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【発明の名称】 打撃工具
【発明者】 【氏名】古澤 正規

【氏名】糟谷 喜洋

【要約】 【課題】工具ビットの駆動モードを切り替えることができる打撃工具において、モード切替構造の合理化に資する技術を提供する。

【構成】打撃工具は、工具ビット119と、工具ビット119に、打撃動作を行わせる第1の駆動機構部113,115と、回転動作を行わせる第2の駆動機構部117と、工具ハウジング107と、モード切替部材149を有する。工具ハウジング107を構成する前方ハウジング107Aと後方ハウジング107Bとは、互いに取外し可能とされている。前方ハウジング内部には、第2の駆動機構部117の回転伝達部材147と噛合い係合することによって工具ビット119が長軸線回りに遊動することを止める回り止め部材151が周方向への相対移動不能に取り付けられ、回り止め部材151は、前方ハウジング107Aが後方ハウジング107Bから取り外される場合に、当該前方ハウジング107Aに取り付けられた状態が維持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ビットと、
前記工具ビットを長軸方向に直線状に打撃動作させる第1の駆動機構部と、
前記工具ビットを長軸方向回りに回転動作させる第2の駆動機構部と、
前記第1および第2の駆動機構部を収容する工具ハウジングと、
使用者によって操作され、前記工具ビットを少なくとも回転動作を含む動作で駆動する第1のモードと、前記工具ビットを打撃動作のみで駆動する第2のモードとの間でモードの切替えを行なうモード切替部材と、を有し、
前記第2の駆動機構部は、それぞれ同一軸線上に配置された、駆動側回転部材と、被動側回転部材と、前記駆動側回転部材の回転を前記被動側回転部材に伝達または伝達を遮断するための回転伝達部材と、を有し、
前記回転伝達部材は、前記モード切替部材のモード切替操作によって軸線方向に移動可能とされており、前記モード切替部材が第1のモードに切り替えられたときには、前記駆動側回転部材と前記被動側回転部材とのそれぞれと噛合い係合する第1の位置へと移動されることによって前記駆動側回転部材から前記被動側回転部材への回転の伝達を可能とし、前記モード切替部材が第2のモードに切り替えられたときには、前記被動側回転部材との噛合い係合を維持しつつ、前記駆動側回転部材との噛合い係合が解除される第2の位置に移動されることによって前記駆動側回転部材から前記被動側回転部材への回転の伝達を遮断する構成とされ、
前記工具ハウジングは、前記工具ビットの長軸方向に関し、当該工具ビットに近い方の前方ハウジングと、前記工具ビットから遠い方の後方ハウジングと、を互いに取外し可能に接合することで構成され、
前記前方ハウジング内部には、前記回転伝達部材が前記第2の位置へ移動されたとき、当該回転伝達部材と噛合い係合することによって前記工具ビットが長軸線回りに遊動することを止める回り止め部材が周方向への相対移動不能に取り付けられ、
前記回り止め部材は、前記前方ハウジングが前記後方ハウジングから取り外される場合に、当該前方ハウジングに取り付けられた状態が維持される構成としたことを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記前方ハウジングは、前記工具ビット長軸方向の両端がそれぞれ開口部とされた筒孔を有し、
前記回り止め部材は、前記前方ハウジングの筒孔に嵌合可能な筒状に形成されており、
前記前方ハウジングの筒孔における一方の開口部内面と前記回り止め部材の外面との一方には、軸方向一端部から前記工具ビット長軸方向に所定長さで延びる凹部が設けられ、他方には前記凹部に係合可能な凸部が設けられ、
前記回り止め部材が前記前方ハウジングの一方の開口部から当該前方ハウジングの筒孔に嵌入される際、前記凹部と前記凸部が互いに係合されることで前記回り止め部材が前記前方ハウジングに周方向の相対移動が不能な状態に取り付けられる構成とされ、
前記前方ハウジングの一方の開口部内面には、当該前方ハウジングに取り付けられた前記回り止め部材の軸方向の位置決めをするC字状のリングが設けられ、
前記リングは、前記一方の開口部内面に形成された環状のリング溝に嵌ることで当該前方ハウジングに固定され、当該固定状態では、前記前方ハウジングに取り付けられた状態の前記回り止め部材の軸方向一端面と当接して当該回り止め部材の軸方向に関する位置決めをしつつ抜け止めする構成とした打撃工具。
【請求項3】
請求項2に記載の打撃工具であって、
前記凹部は、前記前方ハウジングに複数設けられており、前記リング溝よりも外径側に深く形成されるとともに、前記リングの両側に跨って延在している打撃工具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の打撃工具であって、
前記第2の駆動機構部における前記被動側回転部材は、前記回転伝達部材とともに回転して前記工具ビットに回転力を伝達するとともに、前記前方ハウジング、前記回り止め部材および前記リングを貫通して前記工具ビットの長軸方向に延在する筒状部材として構成されており、
前記前方ハウジングの筒孔には、前記他方の開口部側内面に形成された段部によって前記工具ビットの打撃方向に関し位置決めされた状態で緩衝部材が配置されており、当該緩衝部材は、前記工具ビットの打撃動作時に前記筒状部材と当接することで当該筒状部材に作用するビット打撃方向の衝撃を緩和する構成とされ、
前記前方ハウジングの筒孔には、前記回り止め部材と前記緩衝部材との間にバネ部材が介在された状態で収容されており、
前記バネ部材は、前記回り止め部材と前記緩衝部材とを互いに離間する方向に弾発状に付勢することで前記リングと前記段部とによって位置決めされた軸方向の所定位置にそれぞれ保持するとともに、
更に前記バネ部材は、前記回転伝達部材が前記第2の位置へと移動される際、前記回転伝達部材と前記回り止め部材との噛合い係合位置の位置ずれが存在したときは、前記回転伝達部材によって前記回り止め部材が押圧されて前記所定位置から軸方向に後退動作することを許容し、当該後退動作された状態で前記回転伝達部材が前記工具ビットとともに前記回り止め部材に対して周方向に相対移動されて前記位置ずれが修正されたときには、前記回り止め部材を前記所定位置へ復帰させ、これにより前記回転伝達部材と前記回り止め部材が噛合い係合する構成とした打撃工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ビットを駆動状態が異なる複数のモードで駆動することができる打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000−84715号公報(特許文献1)には、工具ビットに長軸方向の打撃動作のみを行わせるハンマモード、工具ビットに長軸方向の打撃動作と長軸方向回りの回転動作を複合した動作を行わせるハンマドリルモード、および工具ビットに長軸方向回りの回転動作のみを行わせるドリルモードの間で工具ビットの駆動モードを切り替えることができる電動ハンマドリルが開示されている。特許文献1に記載のハンマドリルでは、モータの回転出力を工具ビットに伝達する回転伝達機構に、モード切替部材によって操作されるクラッチ機構部を設けている。そして使用者によってモード切替部材がハンマモードに切り替え操作されたときには、クラッチ機構部がモータから工具ビットへの回転出力の伝達を遮断する状態に動作され、と同時に、ギアハウジングに設けたロックスリーブと噛合い係合することによって工具ビットを回り止めするようになっている。
【0003】
ところで、工具ビットに打撃動作を行わせるための打撃駆動機構部、および工具ビットに回転動作を行わせるための回転伝達機構部等を収容するギアハウジングは、機構部の組付け性あるいは修理性等を考慮して、工具ビットの長軸方向に関して二分されている。すなわち、工具ビットを前側とした場合、前方ハウジングとしての筒状に形成されたバレル部と、後方ハウジングとしてのクランクハウジング部から構成され、バレル部とクランクハウジング部は、互いに取外し自在に接合されている。そしてクランクハウジング部に前述したロックスリーブが配置されている。ロックスリーブは、クランクハウジング部の前側の開口部から当該クランクハウジング部内に挿入され、スプライン嵌合によって周方向に回り止めされた状態で配置される。そしてクランクハウジング部内に配置されたロックスリーブは、クランクハウジング部がクランクハウジング部の前側の開口部内面に嵌入されて接合される際、当該バレル部の軸方向後端と当接することによって軸方向の移動が規制される構成、すなわち抜け止めされる構成となっている。このため、例えば工具ハウジング内に収容されているOリングのような消耗部品の交換、あるいは機能部品の修理のために、バレル部をクランクハウジング部から取り外したとき、ロックスリーブがクランクハウジング部から抜け落ちる可能性がある。すなわち、従来のハンマドリルにおける工具ビットのモード切替構造は、部品の交換作業あるいは修理作業を考慮した場合、なお改良の余地がある。
【特許文献1】特開2000−84715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑み、工具ビットの駆動モードを切り替えることができる打撃工具において、モード切替構造の合理化に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明に係る打撃工具は、工具ビットと、工具ビットを長軸方向に直線状に打撃動作させる第1の駆動機構部と、工具ビットを長軸方向回りに回転動作させる第2の駆動機構部と、第1および第2の駆動機構部を収容する工具ハウジングと、使用者によって操作され、工具ビットを少なくとも回転動作を含む動作で駆動する第1のモードと、工具ビットを打撃動作のみで駆動する第2のモードとの間でモードの切替えを行なうモード切替部材と、を有する。なお本発明における「少なくとも回転動作を含む動作で駆動する」とは、工具ビットを打撃動作と回転動作を複合した動作で駆動する態様、および工具ビットを回転動作のみで駆動する態様がこれに該当する。
第2の駆動機構部は、それぞれ同一軸線上に配置された、駆動側回転部材と、被動側回転部材と、駆動側回転部材の回転を被動側回転部材に伝達または伝達を解除するための回転伝達部材と、を有する。そして回転伝達部材は、モード切替部材のモード切替操作によって軸線方向に移動可能とされており、モード切替部材が第1のモードに切り替えられたときには、駆動側回転部材と被動側回転部材とのそれぞれと噛合い係合する第1の位置へと移動されることによって駆動側回転部材から被動側回転部材への回転の伝達を可能とする。このときは、工具ビットを少なくとも回転動作を含む動作で駆動することができる。また回転伝達部材は、モード切替部材が第2のモードに切り替えられたときには、被動側回転部材との噛合い係合を維持しつつ、駆動側回転部材との噛合い係合が解除される第2の位置に移動されることによって駆動側回転部材から被動側回転部材への回転の伝達を遮断する構成とされる。このときは、工具ビットを打撃動作のみで駆動することができる。なお本発明における「噛合い係合」とは、歯と歯が噛合い係合するという意味で用いている。したがって、駆動側回転部材に形成された駆動歯と、被動側回転部材に形成された被動歯と、回転伝達部材に形成されて駆動歯と噛合い係合可能な第1の動力伝達歯と、回転伝達部材に形成されて被動歯と常時に噛合い係合する第2の動力伝達歯と、を有する構成とされる。
【0006】
本発明においては、特徴的構成として、工具ハウジングは、工具ビットの長軸方向に関し、当該工具ビットに近い方の前方ハウジングと、工具ビットから遠い方の後方ハウジングと、を互いに取外し可能に接合することで構成されており、そして前方ハウジング内部には、回転伝達部材が第2の位置へ移動されたとき、当該回転伝達部材と噛合い係合することによって工具ビットが長軸線回りに遊動することを止める回り止め部材が周方向への相対移動不能に取り付けられた構成とされる。そして回り止め部材は、前方ハウジングが後方ハウジングから取り外される場合に、当該前方ハウジングに取り付けられた状態が維持される構成とした。なお「噛合い係合」とは、上記の場合と同様に、歯と歯が噛合い係合するという意味で用いている。したがって、回り止め部材に形成された制止歯と、回転伝達部材に形成されて制止歯と係合可能な被制止歯と、を有する構成とされる。また本発明における「前方ハウジングに取り付けられた状態が維持される構成」とは、人手による外すという操作がなされない限り回り止め部材が前方ハウジングから外れない状態を指し、典型的には、前方ハウジングと回り止め部材とを組み合わせてアッセンブリ化した状態、あるいはモジュール化した状態をいう。
本発明によれば、モード切替部材が第2のモードに切り替えられることによって、第2の駆動機構の回転伝達部材が第2の位置に移動されたとき、すなわち、回転伝達部材が被動側回転部材との噛合い係合を維持しつつ、駆動側回転部材との噛合い係合が解除されて駆動側回転部材から被動側回転部材への回転の伝達が遮断されたとき、回転伝達部材は、回り止め部材に噛合い係合する。これによって回転伝達部材と噛合い係合されている被動側回転部材を介して工具ビットが回り止めされる。すなわち、工具ビットの向きを一定に保持した状態でハンマ作業を行うことが可能となる。
本発明においては、回り止め部材を前方ハウジングが後方ハウジングから取り外される場合に、当該前方ハウジングに取り付けられた状態が維持される構成としている。このため、例えば工具ハウジングに収容された、Oリングのような消耗品の交換、あるいは駆動機構に関わる機能部品の修理を行うために、前方ハウジングを後方ハウジングから取り外したとき、回り止め部材が当該前方ハウジングから脱落することを防止できる。すなわち、前方ハウジングと回り止め部材は、常時に一部品として取り扱うことができるため、上記の交換作業あるいは修理作業を行う際の作業性を向上できる。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の打撃工具における前方ハウジングは、工具ビット長軸方向の両端部がそれぞれ開口部とされた筒孔を有する。また回り止め部材は、前方ハウジングの筒孔に嵌合可能な筒状に形成されている。そして前方ハウジングの筒孔における一方の開口部内面と回り止め部材の外面との一方には、軸方向の一端部から工具ビットの長軸方向に所定長さで延びる凹部が設けられ、他方には凹部に係合可能な凸部が設けられ、回り止め部材が前方ハウジングの一方の開口部から当該前方ハウジングの筒孔に嵌入される際、凹部と凸部が互いに係合されることで回り止め部材が前方ハウジングに周方向に相対移動が不能な状態に取り付けられる構成とされる。また前方ハウジングの一方の開口部内面には、当該前方ハウジングに取り付けられた回り止め部材の軸方向の位置決めをするC字状のリングが設けられている。リングは、一方の開口部内面に形成された環状のリング溝に嵌ることで当該前方ハウジングに固定され、固定状態では、回り止め部材の軸方向一端面と当接することで当該回り止め部材の軸方向に関する位置決めをしつつ抜け止めする構成とした。
【0008】
本発明によれば、前方ハウジングに凹部と凸部との係合を介して周方向に相対移動が不能に取り付けられる回り止め部材を、C字状のリングによって回り止め部材の軸方向に関する位置決めをしつつ抜け止めする構成としている。このため、簡単な構造で、回り止め部材を前方ハウジングに相対回転不能に取り付けることができるとともに、回り止め部材を軸方向の所定位置に位置決めしつつ抜け止めできる。
【0009】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の打撃工具における凹部は、前方ハウジング側に複数設けられており、リング溝よりも外径側に深く形成されるとともに、リングの両側に跨って延在する構成とした。本発明によれば、リングがリング溝に嵌合した装着状態において、リングの外面と凹部のリング径方向底面との間に隙間が形成されることになる。このため、この隙間に、例えばねじ回しのような適宜棒状の部材を差し込んでリングの外面に内径方向への外力を加えて当該リングの外径を縮小し、リング溝からリングを取り外すことができる。すなわち、本発明によれば、回り止め部材取付用として形成された凹部を利用して、リングを前方ハウジングから容易に取り外すことができるため、単純な形状のものを用いることができ、コストの低減が図れる。
【0010】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載の打撃工具における第2の駆動機構部における被動側回転部材は、回転伝達部材とともに回転して工具ビットに回転力を伝達するとともに、前方ハウジング、回り止め部材およびリングを貫通して工具ビットの長軸方向に延在する筒状部材として構成されている。前方ハウジングの筒孔には、他方の開口部側内面に形成された段部によって工具ビットの打撃方向への移動を止められた状態で緩衝部材が配置されており、当該緩衝部材は、工具ビットの打撃動作時に筒状部材と当接することによって当該筒状部材に作用する工具ビット打撃方向の衝撃を緩和する。また前方ハウジングの筒孔には、回り止め部材と緩衝部材との間にバネ部材が介在された状態で収容されている。バネ部材は、回り止め部材と緩衝部材とを互いに離間する方向に弾発状に付勢することでリングと前記段部とによって位置決めされた軸方向の所定位置にそれぞれ保持する。またバネ部材は、回転伝達部材が第2の位置へと移動される際、回転伝達部材と回り止め部材との噛合い係合位置の位置ずれが存在したときは、回転伝達部材によって回り止め部材が押圧されて所定位置から軸方向に後退動作することを許容し、そして後退動作された状態で回転伝達部材が工具ビットとともに回り止め部材に対して周方向に相対移動されて位置ずれが修正されたときには、回り止め部材を所定位置へ復帰させ、これにより回転伝達部材と回り止め部材が噛合い係合する構成とした。
【0011】
本発明によれば、前方ハウジングは、工具ビットの打撃動作時に筒状部材に作用する工具ビット打撃方向の衝撃を緩和する緩衝部材を備えている。そして前方ハウジング内に配置された緩衝部材と回り止め部材は、バネ部材によって互いに離間する方向に弾発状に付勢された状態で、段部とリングによって前方ハウジングの所定位置に保持される構成としている。すなわち、回り止め部材と緩衝部材は、前方ハウジングが後方ハウジングから取り外される場合に、当該前方ハウジングに取り付けられた状態が維持される構成、つまり前方ハウジングとアッセンブリ化した状態、あるいはモジュール化した状態となる。このため、例えば工具ハウジングに収容された消耗品や機能部品を交換あるいは修理するような場合において、前方ハウジングを後方ハウジングから取り外したとき、回り止め部材、緩衝部材およびバネ部材が当該前方ハウジングから脱落するようなことがなく、それら各部材を前方ハウジングとともに常時に一部品として取り扱うことができるため、交換作業あるいは修理作業の作業性をより一層向上できる。
また本発明によれば、回転伝達部材が第2の位置へと移動される第2のモードへの切替時において、回転伝達部材と回り止め部材との噛合い係合に関し位置ずれが存在したときは、回り止め部材がバネ部材を圧縮しつつ後退動作し、そして位置ずれが修正されることに伴い回り止め部材がバネ部材によって所定位置へと復帰し、回転伝達部材と回り止め部材とを噛合い係合する。すなわち、回転伝達部材と回り止め部材との噛合い係合を合理的に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工具ビットの駆動モードを切り替えることができる打撃工具において、モード切替構造の合理化に資する技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図1〜図6を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は、打撃工具の一例として電動式ハンマドリルを用いて説明する。図1には本実施の形態に係る電動式ハンマドリルの全体構成が示される。図1に示すように、本実施の形態に係るハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する打撃工具本体としての本体部103と、当該本体部103の先端領域(図示左側)に中空状のツールホルダ137を介して着脱自在に取付けられたハンマビット119と、本体部103のハンマビット119の反対側に連接された使用者が握るハンドグリップ109とを主体として構成されている。ハンマビット119は、ツールホルダ137によってその長軸方向への相対的な直線動作が可能に、かつその周方向への相対的な回転が規制された状態で保持される。ハンマビット119は、本発明における「工具ビット」に対応する。なお説明の便宜上、ハンマビット119側を前、ハンドグリップ109側を後という。
【0014】
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、打撃要素115および動力伝達機構117を収容したギアハウジング107とによって構成されている。駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117によって適宜減速された上でハンマビット119に伝達され、当該ハンマビット119が周方向に回転動作される。なお駆動モータ111は、ハンドグリップ109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。運動変換機構113および打撃要素115は、本発明における「第1の駆動機構部」に対応し、動力伝達機構117は、本発明における「第2の駆動機構部」に対応する。
【0015】
図2および図3にはハンマドリル101の主要部を拡大した状態が断面図で示され、図2はハンマビット119の駆動モードがハンマドリルモードに切り替えられた状態が示され、図3にはハンマビット119の駆動モードがハンマモードに切り替えられた状態が示される。ハンマドリルモードは、本発明における「第1のモード」に対応し、ハンマモードは、本発明における「第2のモード」に対応する。運動変換機構113は、図1に示すように、駆動モータ111によって水平面内にて回転駆動される駆動ギア121、被動ギア123、クランク軸122、クランク板125、クランクアーム127、および駆動子としての筒状ピストン129を主体として構成され、クランク軸122、クランク板125、クランクアーム127および筒状ピストン129によってクランク機構が構成されている。筒状ピストン129は、シリンダ141内に摺動自在に配置されており、駆動モータ111が通電駆動されることに伴い当該シリンダ141に沿って直線動作を行う。
【0016】
打撃要素115は、図2および図3に示すように、筒状ピストン129のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。ストライカ143は、筒状ピストン129の摺動動作に伴う空気室129aの空気バネを介して駆動され、ツールホルダ137に摺動自在に配置されたインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する。
【0017】
動力伝達機構117は、図1に示すように、駆動ギア121と噛み合い係合する中間ギア132、中間ギア132とともに回転する中間軸133、中間軸133とともに水平面内にて回転駆動される小ベベルギア134、当該小ベベルギア134に噛み合い係合して鉛直面内にて回転する大ベベルギア135、当該大ベベルギア135に噛み合い係合して回転駆動されるスライドスリーブ147を主体として構成される。そしてスライドスリーブ147の回転駆動力は、図2および図3に示すように、当該スライドスリーブ147とともに回転するシリンダ141を介してツールホルダ137に伝達され、更には当該ツールホルダ137に保持されたハンマビット119へと伝達される。なおスライドスリーブ147は、シリンダ141上をハンマビット長軸方向に相対移動が可能とされ、かつ周方向には一体に回転するように、シリンダ141に対してスプライン嵌合によって結合されている。すなわち、スライドスリーブ147はスプライン孔を有し、シリンダ141はスプライン軸を有する。スライドスリーブ147のスプライン孔は、本発明の説明に用いた「第2の動力伝達歯」に対応し、シリンダ141のスプライン軸は、本発明の説明に用いた「被動歯」に対応する。
【0018】
スライドスリーブ147は、動力伝達機構117におけるクラッチ機構を構成するものであって、長軸方向の一端外周部にクラッチ歯147aを有し、シリンダ141に対し後方(ハンドグリップ109側)へと相対移動したときには、大ベベルギア135に形成されたクラッチ歯135aに噛み合い係合し、前方(ハンマビット119側)へと相対移動したときは、当該噛み合い係合が解除される構成とされる。大ベベルギア135のクラッチ歯135aは、本発明の説明に用いた「駆動歯」に対応し、スライドスリーブ147のクラッチ歯147aは、本発明の説明に用いた「第1の動力伝達歯」に対応する。すなわち、スライドスリーブ147は、大ベベルギア135の回転駆動力をシリンダ141に伝達する動力伝達状態(図2参照)と、駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態(図3参照)との間で切替可能とされている。なおスライドスリーブ147は、常時には付勢バネ148によってクラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aに噛み合い係合する方向に付勢されている。大ベベルギア135は、本発明における「駆動側回転部材」に対応し、シリンダ141は、本発明における「被動側回転部材」に対応し、スライドスリーブ147は、本発明における「回転伝達部材」に対応する。
【0019】
またスライドスリーブ147は、長軸方向の他端側(前端側)に回転ロック用の歯147bを有する。そしてスライドスリーブ147は、前方へと移動されて動力遮断状態に切り替えられる際(ハンマビット119をハンマモードで駆動する際)、ギアハウジング107に対して周方向に固定状態に設けられたロックスリーブ151の歯151aと噛み合い係合し、これによりシリンダ141、ツールホルダ137、ハンマビット119の周方向の自由な動きを止める、いわゆるバリオロックを行うことが可能とされる。ロックスリーブ151は、本発明における「回り止め部材」に対応する。ロックスリーブ151の歯151aは、本発明の説明に用いた「制止歯」に対応し、スライドスリーブ147の147b」は、本発明の説明に用いた「被制止歯」に対応する。
【0020】
図1に示すように、ハウジングの外面を覆うハウジングカバー108の側面部には、ハンマビット119の駆動モードを切り替えるモード切替ノブ149が配置されている。モード切替ノブ149は、本発明における「モード切替部材」に対応する。モード切替ノブ149は、ハンマビット119の長軸方向と交差する水平方向の軸線回りに回動自在に取り付けられており、使用者により当該水平軸線回りに回動操作されることで、ハンマビット119に打撃動作と回転動作を複合した動作を行わせるハンマドリルモードと、ハンマビット119に打撃動作のみを行わせるハンマモードとの間で切替可能とされる。そしてモード切替ノブ149がハンマドリルモードに切り替えられたときには、上述したようにスライドスリーブ147が後方へと移動して大ベベルギア135の回転駆動力をシリンダ141に伝達する状態とする。一方、ハンマモードに切り替えられたときには、スライドスリーブ147が前方へと移動して大ベベルギア135の回転駆動力のシリンダ141への伝達を遮断する状態とするとともに、ハンマビット119を回り止めする。
【0021】
図2および図3に示すように、ギアハウジング107は、ハンマビット119の長軸方向、すなわちハンマドリル101の前後方向において、ハンマビット119に近い前方領域を占める略円筒状に形成されたバレル部107Aと、ハンマビット119から遠い後方領域を占める略箱形のクランクハウジング部107Bとに二分されている。ギアハウジング107は、本発明における「工具ハウジング」に対応し、バレル部107Aは、本発明における「前方ハウジング」に対応し、クランクハウジング部107Bは、本発明における「後方ハウジング」に対応する。バレル部107Aは、軸方向の両端部、つまり前方および後方がそれぞれ開口部とされ、前述したツールホルダ137がバレル部107Aの筒孔を貫通してハンマビット119の長軸方向に延びている。またクランクハウジング部107Bは、前方および下方(駆動モータ111と対向する側)がそれぞれ開口部とされ、前述した運動変換機構113および動力伝達機構117等を収容している。
【0022】
バレル部107Aは、その後端部がクランクハウジング部107Bの前方開口部内に嵌入された状態で、バレル部107Aの後方外周部とクランクハウジン部107Bの前方外周部に設けた互いに対向する接合用突起(あるいは鍔部)をボルト、ナットによって締結することで接合されている。すなわち、バレル部107Aとクランクハウジング部107Bとは取外し可能に接合されている。図4にはクランクハウジング部107Bから取り外されたバレル部107Aが断面で示される。図5は図4のA−A線で切断された部位の断面構造を示しており、この図5に上記の接合構造に関するバレル部107A側の接合用突起が符号107aで示される。また図5にはバレル部107Aの前方開口部が符号107bによって、後方開口部が符号107cによって示される。図6は図4のB−B線で切断された部位の断面構造を示す。
【0023】
バレル部107Aの筒孔内には、図4に示すように、前方から後方にかけて、緩衝部材153、コイルスプリング155、ロックスリーブ151が上記の順序で並列に配置されている。緩衝部材153は、ゴムのような弾性変形可能な緩衝板153aを両側から金属製の座金153bによって挟んだサンドイッチ構造のリング状に形成されており、後方開口部107c側からバレル部107Aの筒孔内に挿入され、その前端面が筒孔の前方開口部107b側内面に形成された段部107dに当接することによって前方(ハンマビット119の打撃方向)への移動が規制されて位置決めされている。そして緩衝部材153は、図2および図3に示すように、その後端面がシリンダ141に設けたフランジ部141aと当接し、ハンマビット119の打撃動作時にツールホルダ137を介して当該シリンダ141に作用する打撃方向の衝撃を緩和する。シリンダ141およびツールホルダ137は、本発明における「筒状部材」に対応する。
【0024】
ロックスリーブ151の外面には、長軸方向に所定長さで延びる複数(本実施の形態では5個の場合を示す)の凸部151bが周方向に所定の間隔で形成されている。ロックスリーブ151は、後方開口部107c側からバレル部107Aの筒孔に挿入する際、複数の凸部151bが、筒孔の後方開口部107c側内面に形成された長軸方向に所定長さで延びる複数の凹部107eにそれぞれ係合する構成とされ、これによりバレル部107Aに対して周方向の相対移動が不能とされた状態で取り付けられる。そしてバレル部107Aに挿入されたロックスリーブ151は、当該挿入後において、バレル部107Aに取り付けられるC字形のリングスプリング157によって位置決めされるとともに抜け止めされる構成とされる。すなわち、ロックスリーブ151は、リングスプリング157によって後方への移動が規制される。リングスプリング157は、本発明における「リング」に対応する。
【0025】
リングスプリング157は、後方開口部107cの開口端内面に形成された環状のリング溝107fに嵌合されている。リング溝107fは、後方開口部107c内面に形成された長軸方向に延びる凹部107eを横切るように形成されている。したがって、凹部107eは、リングスプリング157の両側に跨って延在する構成とされる。そして凹部107eは、リング溝107fよりも外径側に深く形成されている。このため、図6に示すように、凹部107eのリング径方向底面とリングスプリング157の外面との間には、所定の隙間Cが設定されている。
【0026】
緩衝部材153とロックスリーブ151との間には、コイルスプリング155が介在される。コイルスプリング155は、本発明における「バネ部材」に対応する。コイルスプリング155は、緩衝部材153とロックスリーブ151に対して互いに離間する方向の付勢力を作用する。これにより、緩衝部材153とロックスリーブ151とは、段部107dとリングスプリング157によって位置決めされた所定位置に保持される。すなわち、本実施の形態においては、バレル部107Aに、緩衝部材153、ロックスリーブ151、およびコイルスプリング155の各部品を組み付けてアッセンブリとし、それら各部品は、リングスプリング157をバレル部107Aから取り外さない限り、バレル部107Aに取り付けられた状態が維持される構成としている。したがって、これらを単一部品として取り扱うことが可能とされている。
【0027】
次に上記のように構成されたハンマドリルの作用を説明する。モード切替ノブ149をハンマドリルモード側に切替操作すれば、スライドスリーブ147は、大ベベルギア135側へと移動され、クラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aに噛み合い係合し、動力の伝達が可能な状態とされる(図2参照)。したがって、この状態でハンドグリップ109のトリガ109aを引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、駆動モータ111の回転運動は、クランク機構によって直線運動に変換され、筒状ピストン129がシリンダ141に沿って直線状に摺動動作される。そして筒状ピストン129の摺動動作に伴う当該筒状ピストン129の空気室129aの空気バネの作用により、ストライカ143は、筒状ピストン129内を直線運動してインパクトボルト145に衝突し、その運動エネルギをハンマビット119に伝達する。一方、駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117を介してシリンダ141に回転運動として伝達され、更にはシリンダ141に連結されたツールホルダ137および当該ツールホルダ137に相対回転が規制された状態で保持されるハンマビット119に回転運動として伝達される。すなわち、ハンマドリルモードでは、ハンマビット119が打撃動作(ハンマ動作)と回転動作(ドリル動作)を複合した動作で駆動され、これにより被加工材に対し所定のハンマドリル作業を遂行することができる。
【0028】
一方、モード切替ノブ149をハンマモード側に切替操作すれば、スライドスリーブ147が前方へと移動され、スライドスリーブ147のクラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aから離間され、動力伝達機構117が動力の伝達を遮断する状態に切り替えられる。と同時にスライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bがロックスリーブ151の歯151aに噛み合い係合し、ハンマビット119を回り止めする。したがって、この状態でハンドグリップ109のトリガ109aを引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、動力伝達機構117のスライドスリーブ147が動力遮断状態に切り替えられているため、ハンマビット119は回転しない。このため、ハンマモードでは、ハンマビット119の打撃動作(ハンマ動作)のみによる所定のハンマ作業を遂行することができる。このとき、ロックスリーブ151によってハンマビット119が回り止めされているため、ハンマビット119の向きを一定に保持した状態でハンマ作業を行うことが可能となる。
【0029】
なおモード切替ノブ149のハンマモードへの切替時において、スライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bとロックスリーブ151の歯151aに周方向の位置ずれが存在したときは、噛み合い係合が行われない。すなわち、スライドスリーブ147の歯147bの軸方向端面がロックスリーブ151の歯151aの軸方向端面に当接し、当該ロックスリーブ151を押してコイルスプリング155を弾性変形しつつ前方へと移動させることになる。この移動された状態において、ハンマビット119を手指で掴んで回動し、当該ハンマビット119とともにスライドスリーブ147を回動して上記歯147b,151aの位置ずれを修正すれば、ロックスリーブ151がコイルスプリング155によって後方の所定位置へと移動され、スライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bとロックスリーブ151の歯151aが噛合い係合される。すなわち、本実施の形態によれば、スライドスリーブ147とロックスリーブ151との噛合い係合を合理的に行うことができる。
【0030】
ところで、ギアハウジング107がバレル部107Aとクランクハウジング部107Bとに二分された既存のハンマドリルの場合、ハンマビット119をハンマモードで駆動する際、当該ハンマビット119を回り止めするロックスリーブ151をクランクハウジング部107Bに取り付け、そして当該クランクハウジング部107Bに接合されるバレル部107Aの軸方向後端部によってロックスリーブ151を抜け止めする構成としている。このため、例えばギアハウジング107に収容されているOリング等の消耗品を交換する場合、あるいは駆動機構に関わる機能部品を修理するような場合において、バレル部107Aをクランクハウジング部107Bから取り外したとき、ロックスリーブ151がクランクハウジング部107Bから脱落し、ばらばらになる可能性がある。
【0031】
しかるに、本実施の形態によれば、ロックスリーブ151をバレル部107Aに設けるとともに、リングスプリング157によって抜け止めする構成としている。このため、例えばギアハウジング107に収容されているOリング等の消耗品を交換する場合、あるいは駆動機構に関わる機能部品を修理するような場合において、バレル部107Aをクランクハウジング部107Bから取り外したとき、ロックスリーブ151が当該バレル部107Aから脱落することがない。すなわち、バレル部107Aとロックスリーブ151とを常時に一部品として取り扱うことができるため、交換作業あるいは修理作業の作業性を向上できる。
また本実施の形態では、ロックスリーブ151のみならず、緩衝部材153およびコイルスプリング155をも、バレル部107Aに関してアッセンブリ化し、常時に一部品として取り扱うことができる構成としている。このため、交換あるいは修理作業を行う上でより好都合となる。
【0032】
また本実施の形態では、バレル部107Aと当該バレル部107Aの筒孔内を貫通するツールホルダ137との間に存在する空きスペースを利用してロックスリーブ151を配置している。このため、クランクハウジング部107B側にロックスリーブ151を配置する構成に比べると、当該クランクハウジング部107Bの径方向寸法をロックスリーブ151の径方向相当分(収容スペース分)だけ、小さく設定することが可能になり、ギアハウジング107のコンパクト化を図る上で有効となる。
【0033】
また本実施の形態では、ロックスリーブ151の凸部151bが係合する凹部107eをリングスプリング157の両側に跨って延在するとともに、リング溝107fよりも外径側に深く形成している。このため、図6に示すように、凹部107eの底面とリングスプリング157の外面との間には、所定の隙間Cが形成される。したがって、この隙間Cに棒状の部材を差し込み、リングスプリング157に対して内径方向への外力を加えることで当該リングスプリング157の径を縮小化し、リング溝107fから取り外すことができる。このため、ロックスリーブ151の抜け止め部材として、着脱のための摘み部分を備えた形状のスナップリングを用いる必要がなく、単純なC字形のものを用いることができるため、コストを低減できる。
【0034】
なお本実施の形態は、ハンマビット119の駆動モードにつき、ハンマドリルモードとハンマモードとの間でモードの切替えを行なうハンマドリルを用いて説明したが、ハンマビット119に回転動作のみを行わせるドリルモードとハンマモードとの間でモードの切替えを行なうハンマドリル、あるいはハンマドリルモード、ハンマモードおよびドリルモードの間でモードの切替えを行なうハンマドリルに適用しても構わない。
また本実施の形態では、駆動モータ111の回転出力を直線運動に変換してストライカ143を駆動する機構として、クランク機構を用いた場合で説明したが、クランク機構に変えて、駆動モータ111によって回転駆動される回転軸に、当該回転軸の軸線に対して所定の傾斜角度で傾斜した状態で揺動板を取り付け、回転軸の回転に基づき揺動板が回転軸の軸方向に揺動動作を行う構成の揺動機構を採用しても構わない
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を示す一部破断側面図である。
【図2】主要部を示す側断面図であり、ハンマドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図3】主要部を示す側断面図であり、ハンマモードに切り替えられた状態を示す。
【図4】バレル部とそれに組み付けられた各機能部材を示す横断面図である。
【図5】図4のA−A線に基づく断面図である。
【図6】図4のB−B線に基づく断面図である。
【符号の説明】
【0036】
101 ハンマドリル(打撃工具)
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング(工具ハウジング)
107A バレル部(前方ハウジング)
107B クランクハウジング部(後方ハウジング)
107a 接合用突部
107b 前方開口部
107c 後方開口部
107d 段部
107e 凹部
107f リング溝
108 ハウジングカバー
109 ハンドグリップ
109a トリガ
111 駆動モータ
113 運動変換機構(第1の駆動機構)
115 打撃要素(第1の駆動機構)
117 動力伝達機構(第2の駆動機構)
119 ハンマビット(工具ビット)
121 駆動ギア
122 クランク軸
123 被動ギア
125 クランク板
127 クランクアーム
129 筒状ピストン
129a 空気室
132 中間ギア
133 中間軸
134 小ベベルギア
135 大ベベルギア
135a クラッチ歯
137 ツールホルダ
141 シリンダ
143 ストライカ
145 インパクトボルト
147 スライドスリーブ(回転伝達部材)
147a クラッチ歯
147b 回転ロック用歯
148 付勢バネ
149 モード切替ノブ(モード切替部材)
151 ロックスリーブ
151a 歯
151b 凸部
153 緩衝部材
153a 緩衝板
153b 座金
155 コイルスプリング(バネ部材)
157 リングスプリング
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行


【公開番号】 特開2008−49439(P2008−49439A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−228394(P2006−228394)