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作業工具 - 特開2008−36754 | j-tokkyo
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【発明の名称】 作業工具
【発明者】 【氏名】古澤 正規

【氏名】糟谷 喜洋

【要約】 【課題】作業工具において、駆動機構を収容する収容空間の内部圧力を調整しつつ当該収容空間内の潤滑剤の漏出を防止するための、合理的な圧力調整用経路の構成技術を提供する。

【構成】本発明の作業工具は、先端工具119と、駆動機構113,115,117と、潤滑剤が封入された密閉状の駆動機構の収容空間107aと、収容空間107aの圧力を調整する経路151と、を有する。経路151は、所定の容積を有するフィルター室154と、フィルター室154を収容空間107aの内部に連通する内部通路155eと、フィルター室154を収容空間107aの外部に連通する外部通路159cとを有する。フィルター室154には、当該フィルター室154に流入した潤滑剤を吸着するフィルター157が配置されており、当該フィルター157は、フィルター室154に開口される外部通路159cの開口周縁から離間した状態に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の加工作業を行う先端工具と、
前記先端工具を駆動する駆動機構と、
前記駆動機構を収容するとともに、前記駆動機構を潤滑する潤滑剤が封入された密閉状の駆動機構の収容空間と、
前記収容空間の内部と外部とを連通して当該収容空間の圧力を調整する経路と、を有する作業工具であって、
前記経路は、所定の容積を有するフィルター室と、前記フィルター室を前記収容空間の内部に連通する内部通路と、前記フィルター室を前記収容空間の外部に連通する外部通路とを有し、
前記フィルター室には、当該フィルター室に流入した潤滑剤を吸着するフィルターが配置されており、
前記フィルターは、前記フィルター室に開口される前記外部通路の開口周縁から離間した状態に配置されていることを特徴とする作業工具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記フィルター室は、前記内部通路が開口された第1の壁面、前記第1の壁面と対向し、かつ前記外部通路が開口された第2の壁面、および前記第1の壁面と第2の壁面で挟まれる領域を取り囲む周方向の第3の壁面によって形成され、
前記外部通路は、前記第3の壁面から離間した位置で前記第2の壁面に開口され、
前記第2の壁面における前記外部通路の開口周辺部には、前記第2の壁面を伝って前記外部通路に向かって流れる潤滑剤が、前記外部通路を通って外部へ流出する潤滑油の流出方向とは逆方向に流れるように、潤滑剤の流れ方向を転換する方向転換領域が形成されていることを特徴とする作業工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構を収容する収容空間の内部圧力を調整することが可能とされたハンマ、ハンマドリル等の作業工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−351595号公報(特許文献1)には、駆動機構を収容するハウジングの内部圧力を調整できる電動ハンマドリルが開示されている。電動ハンマドリルのハウジング内には、工具ビットに長軸方向の打撃動作および周方向の回転動作を行わせるモータを駆動源とする駆動機構が収容されている。またハウジング内には駆動機構を潤滑するための潤滑剤(グリース)が充填され、そしてハウジングは充填された潤滑剤が外側に漏出しないように密閉構造とされている。電動ハンマドリルの場合、その駆動時において、駆動機構の動作に伴う発熱によってハウジング内の空気が膨張して圧力が高くなると、駆動機構による打撃不良が発生し、あるいは潤滑剤がハウジングから外へ漏出する可能性がある。このため、特許文献1では、ハウジング内部に、ハウジング外部とのみ連通する容積可変の空気室を配設し、駆動機構の駆動に伴うハウジング内部の圧力上昇時に空気室が収縮することでハウジング内部の容積を実質的に拡張し、それによってハウジング内部の空気の膨張による圧力の上昇を緩和する構成としている。
特許文献1に開示された技術によれば、駆動機構を収容する収容空間の内部圧力を調整しつつ当該収容空間内の潤滑剤の漏出を防止する技術が構成されるが、かかる圧力調整技術は、更なる改善の余地がある。
【特許文献1】特開2004−351595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、作業工具において、駆動機構を収容する収容空間の内部圧力を調整しつつ当該収容空間内の潤滑剤の漏出を防止するための、合理的な圧力調整用経路の構成技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、所定の加工作業を行う先端工具と、先端工具を駆動する駆動機構と、駆動機構を収容するとともに、駆動機構を潤滑する潤滑剤が封入された密閉状の駆動機構の収容空間と、収容空間の内部と外部とを連通して当該収容空間の圧力を調整する経路と、を有する作業工具が構成される。なお本発明における「作業工具」としては、典型的には、工具ビットに長軸方向の打撃動作、周方向の回転動作あるいは打撃動作と回転動作とを行わせることで、加工材(例えば、コンクリート)にハンマ作業あるいはドリル作業を行う電動ハンマ、ハンマドリル等の衝撃式作業工具がこれに該当するが、このほか、被加工材の切断作業に用いられる切断作業工具、研削や研磨作業に用いられる研削・研磨作業工具、あるいはねじ締め作業に用いられる締付作業工具等、各種作業工具を広く包含する。また「潤滑剤」としては、典型的には、グリースが用いられる。
【0005】
請求項1に記載の発明においては、特徴的構成として、経路は、所定の容積を有するフィルター室と、フィルター室を収容空間の内部に連通する内部通路と、フィルター室を収容空間の外部に連通する外部通路とを有している。そしてフィルター室には、当該フィルター室に流入した潤滑剤を吸着するフィルターが配置されており、当該フィルターは、フィルター室に開口される外部通路の開口周縁から離間した状態に配置されている。なお本発明における「フィルター」としては、典型的には、フェルト、スポンジ、あるいは布等を好適に用いることができるが、これらに限らず潤滑剤を吸着して捕捉することが可能なものであれば構わない。
【0006】
本発明によれば、作業工具による加工作業時において、駆動機構の駆動によって収容空間の内部が発熱して空気が膨張し、当該収容空間の内部圧力が上昇したとき、当該収容空間内の空気が経路を経て収容空間の外部へと流れ、これによって収容空間の内部圧力が概ね一定(大気圧にほぼ等しい)に調整される。すなわち、収容空間内の圧力逃がしが行われる。このため、作業工具が、例えば電動ハンマあるいはハンマドリルのような衝撃式作業工具の場合であれば、収容空間内の圧力が上昇することに起因する駆動機構による打撃不良を未然に防止できる。また本発明によれば、経路中にフィルター室を設定し、当該フィルター室に収容したフィルターによって、経路を経て外部へ流出しようとする潤滑剤を吸着し、外部への漏出を防止することができる。
特に本発明では、フィルターをフィルター室に開口する外部通路の開口縁から離間した状態に配置する構成としている。フィルターが外部通路の開口縁に接触した状態で配置する構成としたときは、フィルターを伝って外部通路側へと流れた潤滑剤がそのまま外部通路の開口縁を伝って当該外部通路へと流れる可能性がある。しかるに、本発明によれば、潤滑剤がフィルターを通過したとしても、当該フィルターに対して外部通路の開口縁が非接触状態にあることで、フィルター通過後の潤滑剤の流れが遮断されることになり、潤滑剤の外部通路への流入が抑えられる。すなわち、本発明によれば、潤滑剤の収容空間内部から外部への漏出防止をより効果的に行うことができる。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作業工具におけるフィルター室は、内部通路が開口された第1の壁面、第1の壁面と対向し、かつ外部通路が開口された第2の壁面、および第1の壁面と第2の壁面で挟まれる領域を取り囲む周方向の第3の壁面によって形成されている。また外部通路は、第3の壁面から離間した位置で第2の壁面に開口されている。そして第2の壁面における外部通路の開口周辺部には、第2の壁面を伝って外部通路に向かって流れる潤滑剤が、外部通路を通って外部へ流出する潤滑剤の流出方向とは逆方向に流れるように、潤滑剤の流れ方向を転換する方向転換領域が形成されている。
内部通路を通ってフィルター室に流入した潤滑剤は、フィルター側面と第3の壁面間をすり抜けて第2の壁面側へと流れ、更に第2の壁面を伝って外部通路の開口に向って流れる。このとき、本発明では、上記のように外部通路の開口周辺部に潤滑剤の流れ方向を転換する方向転換領域を設け、潤滑剤が外部に流出する方向とは逆方向へ進まない限り外部へ漏出できない構成としているため、これによって潤滑剤の漏出に至るまでの距離を長く取ることが可能となり、漏出抑制作用をより高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業工具において、駆動機構を収容する収容空間の内部圧力を調整しつつ当該収容空間内の潤滑剤の漏出を防止するための、合理的な圧力調整用経路の構成技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態につき、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は、作業工具の一例として電動式ハンマドリルを用いて説明する。図1は本実施の形態に係る電動式ハンマドリルの全体構成を示す一部破断側面図であり、図2は本発明の要部を拡大して示す断面図であり、図3はキャップ部材を分解して示す図である。図1に示すように、本実施の形態に係るハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する本体部103、当該本体部103の先端領域(図示左側)にツールホルダ(便宜上図示を省略する)を介して着脱自在に取付けられたドリルビット119、本体部103の後端側(ドリルビット119の反対側)に連接された作業者が握るグリップ109を主体として構成されている。ドリルビット119は、ツールホルダに対し軸方向には相対移動可能とされ、周方向には一体回転するように装着される。このドリルビット119は、本発明における「先端工具」に対応する。なお説明の便宜上、ドリルビット119側を前、グリップ109側を後という。
【0010】
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、動力伝達機構117および打撃要素115を収容したギアハウジング107とによって構成されており、モータハウジング105とギアハウジング107とは、図示省略のネジ等によって互いに接合される。運動変換機構113、動力伝達機構117および打撃要素115は、本発明における「駆動機構」に対応する。なおギアハウジング107の内部107aは、接合面がシールされた隙間のない密閉空間として形成されており、当該内部107aには運動変換機構113や動力伝達機構117の摺動部位を潤滑するための潤滑剤(グリース)が封入されている。ギアハウジング107の内部107aは、本発明における「収容空間」に対応する。
【0011】
駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してドリルビット119の軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117によって適宜減速された上でドリルビット119に回転力として伝達され、当該ドリルビット119が周方向に回転動作される。なお駆動モータ111は、グリップ109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。
【0012】
運動変換機構113は、駆動モータ111によって水平面内にて回転駆動されるギア123、クランク板125、クランクアーム127、および駆動子としての筒状ピストン129を主体として構成され、クランク板125、クランクアーム127、筒状ピストン129によってクランク機構が構成されている。筒状ピストン129は、シリンダ141(図1および図2に一部が断面で示される)内に摺動自在に配置されており、駆動モータ111が通電駆動されることに伴い当該シリンダ141に沿って直線動作を行う。
【0013】
打撃要素115は、筒状ピストン129のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダに摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをドリルビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。ストライカ143は、筒状ピストン129の摺動動作に伴う当該筒状ピストン129の空気室の空気バネを介して駆動され、ツールホルダに摺動自在に配置されたインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してドリルビット119に打撃力を伝達する。
【0014】
動力伝達機構117は、駆動モータ111によって回転駆動される中間ギア131、中間ギア131とともに水平面内にて回転駆動される小ベベルギア133、当該小ベベルギア133に噛み合い係合して鉛直面内にて回転する大ベベルギア135、当該大ベベルギア135に噛み合い係合して回転するスライドスリーブ147を主体として構成される。そしてスライドスリーブ147の回転出力は、当該スライドスリーブ147とともに回転するシリンダ141を経てツールホルダに伝達され、当該ツールホルダによって保持されるドリルビット119が回転駆動される。
【0015】
上記のように構成されるハンマドリル101は、使用者によるトリガ109aの引き操作によって駆動モータ111が通電駆動されると、クランク機構を主体として構成される運動変換機構113を介して筒状ピストン129がシリンダ141に沿って直線状に摺動動作され、それに伴う筒状ピストン129の空気室内の空気の圧力変化、すなわち空気バネの作用により、ストライカ143は筒状ピストン129内を直線運動する。ストライカ143は、インパクトボルト145に衝突することで、その運動エネルギをドリルビット119に伝達する。
【0016】
一方、駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117を介してシリンダ141に伝達される。これにより、シリンダ141とともにツールホルダが回転駆動され、更にツールホルダにて保持されるドリルビット119が一体状に回転される。かくして、ドリルビット119が軸方向のハンマ動作と周方向のドリル動作を行い、被加工材(コンクリート)に穴開け作業を遂行する。
【0017】
ところで、上記のハンマドリル101による穴開け作業時において、運動変換機構113、動力伝達機構117および打撃要素115の駆動によってギアハウジング107の内部107aが発熱し、それに伴い密閉構造のギアハウジング107内の空気が膨張して圧力が高くなると、ギアハウジング107の内部107aと連通するストライカ143とインパクトボルト145間の空間も同様に高くなる。その結果、筒状ピストン129の摺動動作により筒状ピストン129内の空気バネの作用を介してストライカ143が直線動作される際、筒状ピストン129の空気バネ室と、ストライカ143とインパクトボルト145間の空間との圧力バランスが崩れて当該ストライカ143が正常に直線動作しない状態、すなわち打撃不良を起こす可能性がある。またギアハウジング107内の圧力が高くなると、当該ギアハウジング107内の潤滑剤がシール面から外部へ漏出する可能性がある。そこで、かかる不具合を解消するべく、ギアハウジング107には、当該ギアハウジング107の内部圧力が上昇したとき、ギアハウジング107内の空気を外部へ流出させることによってギアハウジング107の内部圧力を調整(下げる)する圧力調整通路151が設けられている。圧力調整通路151は、本発明における「経路」に対応する。
【0018】
図2にはギアハウジング107の内部圧力を調整する圧力調整通路151の構成が拡大図として示される。圧力調整通路151は、ギアハウジング107の内部107aと外部とを連通するように設けられる。ギアハウジング107の上面側、すなわち、使用者がドリルビット119の長軸線が概ね水平となるようにハンマドリル101を手で把持した状態で上面側となる位置には、ギアハウジング107の内部107aに潤滑剤を充填する開口部としての充填口107bが設けられており、本実施の形態では、この充填口107bに装着されるキャップ部材153を利用して圧力調整通路151を設けている。図3にはキャップ部材153が分解図として示される。
【0019】
キャップ部材153は、充填口107bを塞ぐための第1のキャップとしてのクランクキャップ155、クランクキャップ155に収容される潤滑剤吸着用のフィルター157、およびクランクキャップ155に被せる第2のキャップとしてのフィルターキャップ159を主体として構成されている。図2および図3に示すように、上方が開口された断面円形の略鉢形状に形成されたクランクキャップ155と、このクランクキャップ155の内側に嵌め込むように被せるフィルターキャップ159とによってフィルター157を収容するフィルター収容空間154が形成されている。すなわち、フィルター収容空間154は、クランクキャップ155の底壁155a、周壁155b、およびフィルターキャップ159の周壁159a、上壁159bによって囲まれた円形空間であり、本発明における「フィルター室」に対応する。またクランクキャップ155の底壁155aは、本発明における「第1の壁面」に対応し、フィルターキャップ159の上壁159bは、本発明における「第2の壁面」に対応し、クランクキャップ155の周壁155bおよびフィルターキャップ159の周壁159aは、本発明における「第3の壁面」に対応する。
【0020】
クランクキャップ155は、周壁155bの外側に更に外筒部155gを有するとともに、当該外筒部155gの外面に雄ネジ155cを有しており、当該雄ネジ155cを充填口107bの内周面に形成された雌ネジに上方からねじ込むことによってギアハウジング107の充填口107bに嵌入固定される。クランクキャップ155の嵌入状態では、当該クランクキャップ155の外周上部に設けた鍔部155dと、充填口107bの段部107cとの間にOリング156が介在されており、これによって充填口107bとクランクキャップ155との嵌合面に関する隙間がシールされている。またクランクキャップ155の嵌入方向の先端側壁面である底壁155aの略中央部には、フィルター収容空間154をギアハウジング107の内部107aに連通する呼吸孔155eが貫通状に設けられている。呼吸孔155eは、本発明における「内部通路」に対応する。
【0021】
フィルターキャップ159は、下方が開口された略円形の筒状に形成されるとともに、クランクキャップ155の開口に上方から嵌入することによって当該クランクキャップ155に装着される。フィルターキャップ159の嵌入方向の後部側壁面である上壁159bの略中央部には、フィルター収容空間154を外部に連通する呼吸孔159cが貫通状に設けられている。呼吸孔159cは、本発明における「外部通路」に対応する。フィルターキャップ159の周壁159aの外周面には、周方向の環状溝159dが形成され、この環状溝159dにOリング158が配置されている。Oリング158は、フィルターキャップ159をクランクキャップ155内に嵌入する際、弾性変形することでフィルターキャップ159とクランクキャップ155との嵌合面に関する隙間をシールするとともに、クランクキャップ155の周壁155bの内周面と摩擦接触することでフィルターキャップ159を嵌入された状態(位置)に保持する。クランクキャップ155内に嵌入されたフィルターキャップ159は、その周壁159aの嵌入方向端面がクランクキャップ155の内周段部155fに当接することで、当該クランクキャップ155に対する嵌入位置が定められる。
【0022】
フィルター収容空間154内に収容された交換可能なフィルター157は、フェルトによって形成されており、呼吸孔155eを経てフィルター収容空間154に流入した潤滑剤を吸着して捕捉する。フィルター157は、フィルターキャップ159の周壁159aの嵌入方向の内周側端面と、クランクキャップ155の底壁155aとによって上下方向から挟持されて無用な動きが抑えられている。この挟持状態において、フィルター157は、フィルターキャップ159の上壁159bの内面に対して所定の間隔を置いた離間状態に保持されている。
【0023】
またフィルターキャップ159の上壁159bの内面側において、呼吸孔159cの周辺部には、フィルター収容空間154内に向って所定長さで突出する円形断面のテーパー状の延長部159eが形成されている。延長部159eは、本発明における「方向転換領域」に対応する。
【0024】
上記のように、本実施の形態においては、ギアハウジング107に圧力調整通路151を設け、ギアハウジング107の内部107aを外部、すなわち当該ギアハウジング107を覆っているアウターカバー108との間の空間部に連通する構成としている(図1参照)。このため、ハンマドリル101による穴開け作業時において、運動変換機構113、動力伝達機構117および打撃要素115の駆動によってギアハウジング107の内部107aが発熱し、それに伴い密閉構造のギアハウジング107内の空気が膨張して内部圧力が上昇した場合、当該ギアハウジング107内の空気が圧力調整通路151を経てギアハウジング107の外部へと流出する。すなわち、ギアハウジング107内の圧力逃がしが行われる。これにより、ギアハウジング107の内部圧力は、その上昇が抑えられるように調整されることになり、ギアハウジング107内の圧力が高圧化することに起因する打撃不良を防止できる。なお図2には圧力調整のための空気の流れが矢印で示される。
【0025】
本実施の形態における圧力調整通路151は、フィルター収容空間154と、当該フィルター収容空間154をギアハウジング107の内部107aに連通する呼吸孔155eと、フィルター収容空間154をギアハウジング107の外部に連通する呼吸孔159cとを有している。そしてフィルター収容空間154には、当該フィルター収容空間154に流入した潤滑剤を吸着するフィルター157を収容する構成としている。したがって、上記の圧力逃がし作用に伴いギアハウジング107の内部107aの潤滑剤がクランクキャップ155の呼吸孔155e、すなわち内部側の呼吸孔155eからフィルター収容空間154に流入した場合、これをフィルター157により吸着して捕捉することにより、潤滑剤が外部へ漏出することを防止することができる。
【0026】
フィルター157をフィルター収容空間154に収容する際、例えばフィルター157がフィルターキャップ159の呼吸孔159c、すなわち、外部側の呼吸孔159cの開口縁に接触状態で配置した場合、フィルター157を伝って呼吸孔159c側へと流れた潤滑剤がそのまま呼吸孔159cの開口端縁に伝って流出する可能性が高い。しかるに、本実施の形態においては、フィルター157を外部側の呼吸孔159cの開口縁から離間して配置する構成としている。このため、潤滑剤がフィルター157を伝って呼吸孔159c側に流れようとしても、フィルター157に対して呼吸孔159cの開口縁が非接触状態にあることで、潤滑剤の伝い流れが遮断する(切れる)ことになり、これにより潤滑剤がフィルター157を伝って直接的に外部側の呼吸孔159cへ流出することを防止できる。
【0027】
また本実施の形態では、外部側の呼吸孔159cの周辺にフィルター収容空間154内に向かって突出する延長部159eを設けている。このため、例えばフィルター収容空間154内に流入した潤滑剤がフィルター157の外周とクランクキャップ155の周壁155b内面との間をすり抜けてフィルターキャップ159の上壁159b内面へと伝わり、更に呼吸孔159cに向って流れたとしても、延長部159eのテーパー面によってその流れの方向が転換される。すなわち、潤滑剤は、外部側の呼吸孔159cの流出方向から見て逆方向へと誘導されることになり、これによって潤滑剤の漏出に至るまでの距離が長くなり、より高い漏出抑制作用が得られることになる。
【0028】
また本実施の形態によれば、充填口107bを塞ぐために備えられるキャップ部材153を利用して圧力調整通路151を構成しており、わざわざ通路を設ける構成に比べて構成上の合理化が図れる。また潤滑剤を吸着するフィルター157については、必要に応じてクランクキャップ155からフィルターキャップ159を取り外すことで容易に交換することができる。
【0029】
上記のように、本実施の形態によれば、潤滑剤の漏出抑制効果の高い圧力調整通路151を有するハンマドリル101が提供される。
【0030】
なお上述した実施の形態は、駆動モータ111の回転出力を直線運動に変換してストライカ143を駆動する運動変換機構113につき、クランク機構を利用する形式のハンマドリルの場合で説明したが、スワッシュベアリングの回転動作によって駆動されるスワッシュプレートの揺動運動を利用してストライカ143を駆動する形式のハンマドリルに適用しても構わない。また本実施の形態では、作業工具として電動式のハンマドリル101を例にとって説明しているが、ハンマドリル101に限るものではなく、駆動機構を収容するハウジング内に当該駆動機構を潤滑する潤滑剤が封入されている構成の作業工具であれば、適用可能である。
また本実施の形態では、フィルターキャップ159がクランクキャップ155の内側に嵌り込む構成としたが、外側に被さる構成に変更しても構わない。
【0031】
なお本発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能である。
(態様1)
「請求項1または2に記載の作業工具であって、
前記収容空間を有する工具ハウジングと、
前記工具ハウジングに形成された開口部と、
前記開口部を塞ぐキャップ部材と、を有し、
前記キャップ部材は、
前記工具ハウジングの外側から前記開口部に嵌入され、当該嵌入方向の先端側には前記内部通路が形成された先端側壁面を有するとともに嵌入方向の後端側が開口された筒状の第1のキャップと、
前記第1のキャップの開口に嵌入され、当該嵌入方向の後端側には前記外部通路が形成された後端側壁面を有するとともに嵌入方向の先端側が開口された筒状の第2のキャップとを有し、
前記フィルターは、前記第1のキャップ内に収容されるとともに、前記第2のキャップの開口縁部と前記第1のキャップの先端側壁面とによって挟持されており、これにより前記外部通路の開口周縁から離間した状態に保持されることを特徴とする作業工具。」
態様1に記載の発明によれば、工具ハウジングに取り付けられるキャップ部材を利用して、収容空間の圧力を調整しつつ潤滑剤の漏出を防止する上で有効な圧力調整用経路を合理的に構築することができる。
【0032】
(態様2)
「態様1に記載の作業工具であって、
前記第2のキャップの前記後端側壁面は、前記外部通路を囲む領域に前記第1のキャップ内に向って所定長さで延出する延長部を有することを特徴とする作業工具。」
態様2に記載の発明によれば、簡単な構造でありながら、壁面を伝って外部へと流出する潤滑剤の漏出に至るまでの距離を稼ぐことが可能となり、その結果、潤滑剤の漏出抑制作用を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を示す一部破断側面図である。
【図2】主要部を示す側面図である。
【図3】キャップ部材を分解して示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
101 ハンマドリル(作業工具)
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
107a 内部(収容空間)
107b 充填口(開口部)
107c 段部
108 アウターカバー
109 グリップ
109a トリガ
111 駆動モータ
113 運動変換機構
115 打撃要素
117 動力伝達機構
119 ハンマビット(先端工具)
123 ギア
125 クランク板
127 クランクアーム
129 筒状ピストン
131 中間ギア
133 小ベベルギア
135 大ベベルギア
141 シリンダ
143 ストライカ
145 インパクトボルト
147 スライドスリーブ
151 圧力調整通路(経路)
153 キャップ部材
154 フィルター収容空間(フィルター室)
155 クランクキャップ(第1のキャップ)
155a 底壁(第1の壁面)
155b 周壁(第3の壁面)
155c 雄ネジ
155d 鍔部
155e 呼吸孔(内部通路)
155f 内周段部
155g 外筒部
156 Oリング
157 フィルター
158 Oリング
159 フィルターキャップ
159a 周壁
159b 上壁(第2の壁面)
159c 呼吸孔(外部通路)
159d 環状溝
159e 延長部
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行


【公開番号】 特開2008−36754(P2008−36754A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212788(P2006−212788)