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【発明の名称】 振動絶縁手段を有する手持ち式工具装置
【発明者】 【氏名】アクセル フィッシャー

【氏名】ローランド モイアー

【要約】 【課題】手持ち式工具装置において,回転振動によりグリップに伝達される振動を緩和する。

【構成】手持ち式工具装置(2)は,作動時に第1方向(z)と平行な作動軸線(A)に沿って往復移動する作動手段(10)を内蔵したハウジング(4)と,該ハウジング(4)により振動絶縁手段(16)を介して保持されたグリップ(14)を具えている。振動絶縁手段(16)は,第1弾性軸受(18)と,作動軸線(A)に対して垂直な第2方向(y)において第1弾性軸受(18)よりも作動軸線(A)から離間した第2弾性軸受(20)とを有する。第1弾性軸受(18)は,第2方向(y)に沿うばね剛性が,第1方向(z)に沿うばね剛性よりも低く設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に第1方向(z)と平行な作動軸線(A)に沿って往復移動する作動手段(10)を内蔵したハウジング(4),並びに
該ハウジング(4)により振動絶縁手段(16)を介して保持されたグリップ(14)を具え,
該振動絶縁手段(16)が,第1弾性軸受(18)と,前記作動軸線(A)に対して垂直な第2方向(y)において前記第1弾性軸受(18)よりも前記作動軸線(A)から離間した第2弾性軸受(20)とを有する手持ち式工具装置(2において,
前記第1弾性軸受(18)のばね剛性につき,前記第2方向(y)に沿うばね剛性が,前記第1方向(z)に沿うばね剛性よりも低く設定されていることを特徴とする工具装置。
【請求項2】
請求項1記載の工具装置であって,前記第1弾性軸受(18)が,前記ハウジング(4)に固定されたハウジング側第1軸受手段(22)と,前記グリップ(14)に固定されたグリップ側第1軸受手段(28)とを有し,これらの間に第1弾性手段(32)が設けられ,該第1弾性手段(32)により前記第1軸受手段(22,28)が前記第1方向(z)において相互に弾性的に支持可能であり,前記第2方向(y)において前記第1軸受手段(22,28)の相互間に恒久的な中間スペース(47)が設けられることを特徴とする工具装置。
【請求項3】
請求項2記載の工具装置であって,前記第1軸受手段(22,28)うちの一方が,前記第1方向(z)及び第2方向(y)と垂直な第3方向(x)と平行に延びる第1ピン状軸受素子(24)を有し,他方の第1軸受手段(28,22)が,前記第1ピン状軸受素子(24)を半径方向から包囲する第1管状軸受素子(26)を有し,前記第1ピン状軸受素子(24)を有する第1軸受手段(22,28)が,第1方向(y)において第1面(30)に対し,第1弾性手段(32)に挟まれた状態で常に前記第1管状軸受素子(26)に支持され,かつ,前記第1面(30)と反対側に位置する第2面(34)に対し,前記第1管状軸受素子(26)と接触・離間可能であることを特徴とする工具装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の工具装置であって,前記第1弾性手段(32)が第1エラストマ手段を具え,該第1エラストマ手段が第1ピン状軸受素子(24)の前記第1面(30)側に付勢領域(52)を有し,該付勢領域(52)は前記第1方向(z)において,前記ピン状軸受素子(24)の前記第2面(34)側にあるストッパ領域(49)よりも数倍の大きさに亘って延長すると共に,前記付勢領域(52)が,前記第2方向(y)において第1ピン状軸受素子(24)の両面に向けて第1管状軸受素子(26)から恒久的な距離だけ離間していることを特徴とする工具装置。
【請求項5】
請求項4記載の工具装置であって,前記第1エラストマ手段が支持領域(54)を具え,該支持領域が,前記第1方向(z)において前記付勢領域(52)よりも小さな延長部を有することを特徴とする工具装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の工具装置であって,前記第2弾性軸受(20)が,前記第2方向(y)において前記第1弾性軸受(18)よりも高いばね剛性を有することを特徴とする工具装置。
【請求項7】
請求項6記載の工具装置であって,前記第2弾性軸受(20)が第2ピン状軸受素子(40)を有し,該第ピン状軸受素子(40)が第2エラストマ手段に挟まれた状態で第2環状軸受素子(42)により半径方向から包囲され,前記第2エラストマ手段が星型断面領域を有することを特徴とする工具装置。
【請求項8】
請求項7記載の工具装置であって,前記第2エラストマ手段が,前記第2ピン状軸受素子(40)と前記第2環状軸受素子(42)との間に第2支持領域を有し,該第2支持領域が,円周方向で前記星型断面領域よりも小さい延長部を有することを特徴とする工具装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は,手持ち式工具装置に関し,特に,ドリル又はチゼルハンマとして選択的に使用されるコンビハンマーとして構成された手持ち式工具装置に関する。この種の手持ち式工具装置は,内部に作動手段が設けられたハウジングを具え,この作動手段は作動中第1方向と平行な作動軸線に沿って往復移動する。作動手段は,例えば,電気空圧式打撃機構の打撃ピストンで構成されている。さらに,工具装置は,使用者が把持するグリップを具え,このグリップは,振動絶縁手段を介してハウジングに保持される。振動絶縁手段は,第1弾性軸受と,作動軸線に対して垂直な第2方向において,第1弾性軸受よりも作動軸線から離間した第2弾性軸受とを有する。
【背景技術】
【0002】
上述した構成を有する手持ち式工具装置は,作動中,作動軸線が重心から離間していることにより,ハウジングに回転振動を発生させる。グリップをハウジングに対してばね力に抗しながら確実に移動可能とする弾性ピボット軸受を使用することにより,回転振動により生じる振動の,グリップに対する伝達を緩和する。これにより,第1方向に沿う振動減衰に加えて,第2方向に沿う顕著な振動減衰が生じるので,工具装置を快適に把持することが可能である。
【0003】
振動減衰は,基本的に,振動絶縁された懸架手段により達成され,作動中に発生する振動の大部分をグリップからほぼ完全に遮断し,使用する弾性手段に応じて規模の異なる緩衝作用を発現する。この方式は,振動作用の規模とは無関係に,振動絶縁手段と通称されている。
【0004】
特開昭59−187480号公報(特許文献1)には,グリップがハウジングに対して振動絶縁された手持ち式打撃ドリルハンマーが記載されている。ハウジングとグリップとの間に,打撃軸線領域の上側緩衝領域と,弾性軸受により形成され,打撃軸線から離間して配置された下側緩衝領域とが設けられている。この場合,下側緩衝領域には,上側緩衝領域におけるよりも高いばね剛性が与えられている。
【特許文献1】特開昭59−187480号公報
【0005】
このような既知の振動絶縁手段の構成は,下側緩衝領域による安定的な案内と同時に,上側緩衝領域による打撃方向についての高い緩衝作用を得ることを意図したものである。
【0006】
しかし,両側の緩衝領域に対して全ての側からばね作用が生じるため,ハウジングに発生する回転振動からグリップを充分に絶縁することができないという欠点がある。さらに,回転振動に関して,双方の緩衝領域の弾性挙動が過剰な支持を生じる。下側緩衝領域の比較的高い剛性と,第2方向にも作用する上側緩衝領域のばね作用による過剰な支持により,工具装置の作動中に第2方向に沿って比較的高レベルの振動がグリップに伝達される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は,この種の手持ち式工具装置において,上述した従来技術の欠点を解消すると共に,回転振動によりグリップに伝達される振動を緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は,本発明によれば,第1弾性軸受のばね剛性につき,第2方向に沿うばね剛性を第1方向に沿うばね剛性よりもより小さく設定することにより解決される。このような解決手段により,グリップが,重心周りの回転振動によりハウジングに発生する振動から,第2方向に沿って第2弾性軸受に対するばね作用により決定的に絶縁される。その際,回転振動の絶縁に対する不利な影響が,第2弾性軸受のばね作用によりほぼ完全に回避される。従って,グリップが回転振動から特に効果的に絶縁されるので,作動中に工具装置の特に快適な操作性が実現する。
【0009】
好適には,第1弾性軸受に,ハウジングに固定されたハウジング側第1軸受手段とグリップに固定されたグリップ側第1軸受手段とを設ける。これら軸受手段の両者間に第1弾性手段を設け,この弾性手段により,基本的に第1軸受手段が第1方向について,相互に弾性的に支持可能とする。これに対し,第2方向のばね作用を小さくするため,第2方向について第1軸受手段相互間に恒久的かつ自由な中間スペースを設ける。これにより,グリップが,作動中におけるハウジングの回転振動及びこれにより生じる第2方向に沿った振動から特に効果的に絶縁され,第1方向で受けるべき高い摺動力が,高いばね剛性によって吸収される。
【0010】
好適には,ハウジング側及びグリップ側の第1軸受手段のうちの一方に,第1方向及び第2方向と垂直な第3方向と平行に延びる第1ピン状軸受素子を設ける。さらに,他方の第1軸受手段に,第1ピン状軸受素子を半径方向に取り囲む第1管状軸受素子を設ける。第1ピン状軸受素子を具える第1軸受手段は,第1方向において第1面に対して第1弾性手段に挟まれた状態で常に第1管状軸受素子に支持される。他方,第1ピン状軸受素子を具える第1軸受手段は,第1面とは反対側の第2面に対して,グリップに伝達される押し付け力とは無関係に第1管状軸受素子と当接し,又はこれから離間することが可能である。これにより,例えば打撃機構の作動のために必要な押し付け力がグリップに負荷された際,第1方向における適切な振動絶縁が達成される。また,グリップに負の押し付け力が伝達された際,すなわち引張力が負荷された際,その引張力がグリップから工具装置の残部に直接的に伝達されるので,例えば工具が挟まった場合に再度解離させるため,可能な限り直接的な力を工具に伝達することができる。
【0011】
好適には,第1弾性手段に第1エラストマ手段を設け,この第1エラストマ手段が第1ピン状軸受素子の第1面に付勢領域を有し,この付勢領域は第1方向についてピン状軸受素子の第2面にあるストッパ領域よりも数倍の大きさに亘って延長すると共に,エラストマ手段が,第2方向について第1ピン状軸受素子の両面に向けて,第1管状軸受素子に対して恒久的な距離を有する。エラストマ手段は,例えば特にポリウレタン等の発泡樹脂から製造できる。これにより,付勢領域に,適切な絶縁,従ってグリップに対する顕著に低減された振動伝達を保証する,特に有利なばね作用がもたらされる。このとき,発泡エラストマ等で製造された付勢領域に,押し付け力の増加に伴って増大するばね剛性が保証され,このばね剛性は,強い応力が生じた場合でも手持ち式工具装置の適切な案内を可能とする。第2方向について両面に向けて第1管状軸受素子に対してエラストマ手段が維持する恒久的な距離は,この第2方向に重大なばね作用を生じさせるものではない。第1方向に沿って延びる付勢領域によりのみ,その断面により確実なばね作用が第2方向に発生するが,ばね作用はばね剛性に比べて第1方向について顕著に小さい。
【0012】
好適には,第1エラストマ手段に,第1方向において付勢領域よりも小さな延長部を有する支持領域を設ける。これにより,ハウジングに対するグリップの規定の相対移動から,第1弾性手段のばね剛性の所望の累進的増加が得られる。このようにすることで,例えば非常に大きな押し付け力が発生した場合でも,グリップとハウジングとの間の有害な接触が防止される。
【0013】
さらに,第2弾性軸受に,第2方向において第1弾性軸受よりも高いばね剛性を持たせる。これにより,グリップの,重心周りの回転振動によりハウジングに発生する第2方向に沿った振動からの絶縁が,ほぼ第2弾性軸受のばね作用によりのみ生じ,第1弾性軸受による重大な過剰支持が生じない。
【0014】
好適には,第2弾性軸受が第2ピン状軸受素子を有し,このピン状軸受素子が第2エラストマ手段に挟まれた状態で第2環状軸受素子に半径方向に包囲され,第2エラストマ手段が星型断面形状を有する領域を具える。このようなエラストマ手段により,第2ピン状軸受素子周りの半径方向に一様に作用する所定のばね剛性の特に適切な調整が可能になる。さらに,このような構成に基づき,第2ピン状軸受素子周りの回転方向に比較的小さなばね作用が生じる。従って,これらにより,回転振動によりハウジングに発生する振動に対するグリップの特に適切な絶縁が実現される。
【0015】
特に好適には,第2エラストマ手段が,第2ピン状軸受素子と第2環状軸受素子との間に第2支持領域を有し,この支持領域が,円周方向において星型断面形状の領域よりも小さい半径方向延長部を有する。これにより,第2弾性軸受に,ハウジングに対するグリップの規定の相対移動から,第2ピン状軸受の半径方向において第2弾性手段のばね剛性の所望の累進的増加が得られる。第2支持領域によるばねエネルギーのさらなる増加が,その特別な構成,例えば所定の断面形状,一定ではない厚み又は所定の長さにより調整可能である。いずれにせよ,非常に高い押し付け力を負荷した場合,又は挟まった工具が外れた場合に,第2弾性軸受によりもグリップとハウジングとの間の有害な接触が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本発明を図示の好適な実施例についてさらに詳細に説明する。
【0017】
図1は,ドリル又はチゼルハンマとして選択的に使用できる電動コンビハンマーとして形成された手持ち式工具装置2の基本的構成を示す。工具装置2は,ハウジング4が,駆動モータ6と,駆動モータ6により駆動される電気空圧式の打撃機構8とを内蔵している。打撃機構8は,打撃ピストンとして形成された駆動手段10を有し,駆動手段10は作動中に作動軸線Aと平行な第1方向zに沿って往復移動する。作動軸線Aは,工具装置2の重心から所定の距離だけ離間し,この距離は作動手段10が中間位置にある場合の手持ち式工具装置2の重心により規定されるものである。
【0018】
ハウジング4の裏側12にグリップ14が保持され,グリップ14は第1方向zに対して直交する第2方向yに沿って延在する。グリップ14は,全体を参照数字16で表した振動絶縁手段によりハウジング4と結合される。振動絶縁手段16は,作動軸線Aに近接させて配置した第1弾性軸受18と,ピボット軸受として構成した第2弾性軸受20とを有する。第2弾性軸受20は,作動軸線A及び第1弾性軸受18から第2方向yに向けて離間させて配置する。
【0019】
第1弾性軸受18は,第1ピン状軸受素子24を有するハウジング側の第1軸受手段22を具える。この軸受手段22は,グリップ側の第1軸受手段28における第1管状軸受素子26により包囲されている。軸受手段28を管状に構成する代わりに,他の任意形状,例えば環状の構成を選択することもできる。第1ピン状軸受素子24は,第1方向zに沿い,第1面30に向けて第1弾性手段32により第1管状軸受素子26に支持される。弾性手段32は,模式的にコイルばねとして例示されているが,他の適切な弾性手段により構成することもできる。第1ピン状軸受素子24は,第1面30とは反対側に位置する第2面34に向けて,図面に示した工具装置2の無負荷状態において,成形部材36で構成されたストッパ37により管状の軸受素子26に当接する。
【0020】
第2弾性軸受20は,第2ピン状軸受素子40を有するハウジング側の第2軸受手段38を具える。この軸受素子40は,グリップ側の第2軸受手段44における第2管状軸受素子42により包囲されている。第2ピン状軸受素子40は,第2弾性手段46により半径方向から包囲することにより,第2管状軸受素子42に支持される。弾性手段46は,模式的に4本のコイルばねとして例示されているが,他の適切な弾性手段により構成することもできる。
【0021】
図2は,作動中の手持ち式工具装置2を示す。グリップ14は押付力P1,P2により押圧され,この押付力により工具装置2が,工具Tを介して,加工すべき材料Mに対して押し付けられる。この場合,グリップ14は,両方の管状軸受素子26,42と共に,それぞれ弾性手段32,46のばね力Fに抗しながらハウジング4に向けて第1方向zに向けて移動する。
【0022】
その結果,第1ピン状軸受素子24により保持された成形部材36のストッパ37が,第1管状軸受素子26から離間する。従って,第1ピン状軸受素子24は,第1方向zにおいて,第1弾性手段32の弾性作用下で,第1管状軸受素子26に対して自由に振動可能である。
【0023】
ピン状の軸受素子24又はこれに保持される成形部材36は,予定された作動中に両方の面に対して発生する全ての力の影響下において,そのつど管状軸受素子26に対し,第2方向yにおいて常に所定の距離を隔てる。この場合,第2方向yに関して第1ピン状軸受素子24の両面に対して生じる恒久的な中間スペース47により,第2方向yにおける第1弾性手段32の弾性作用が最小値まで減少する。従って,第1弾性軸受18は,第2方向におけるばね剛性が,第1方向zに沿うばね剛性よりも低い。
【0024】
同様に第2ピン状軸受素子40を,第2弾性手段46により全ての側から半径方向に第2管状軸受素子42に対して第2弾性軸受20に支持させる。従って,第2方向yにおいて,第2弾性軸受20のばね定数は第1弾性軸受のばね定数よりも高い。
【0025】
さらに,ピボット軸受として構成することにより,第2ピン状軸受素子40周りの回転方向Dにおけるばね作用も保証される。従って,第2ピン状軸受素子40が,第1方向z,第2方向y及び回転方向Dにも,第2弾性手段46の弾性作用下で,第2管状軸受素子42に対して自由に振動可能であり,その際,第2方向yにおける第1弾性軸受18の弾性作用により,障害を与えるような過剰支持が防止される。
【0026】
このような振動絶縁手段16の基本的構成により,グリップ14は,ハウジング4において重心Sが作動軸線Aから離間することにより生じる回転振動(矢印DS参照)に対しても,効果的に全ての方向で絶縁可能である。
【0027】
図3〜図5は,第1弾性軸受18の好適な実施形態を示す。第1弾性手段32は,基本的に発泡ポリウレタンからなるエラストマ手段により形成される。第1弾性手段32は複数部分から構成され,基本的に2個の凸型エラストマ体48と,その間に設けた2個のカラー型エラストマ体50とを有し,これらは共に第1ピン状軸受素子24内に嵌め込まれ,第1ピン状軸受素子24は第1方向z及び第2方向yに対して垂直な第3方向xと平行な方向に向けられている。
【0028】
凸型エラストマ体48は,第1方向zに第1ピン状軸受素子24の第1面30に対する付勢領域52を有し,この付勢領域52は,同様にそれぞれ第1面30に設けた,双方のカラー型エラストマ体50の支持領域54よりもそれぞれ第1方向zに突出する。これに対し,第1ピン状軸受素子24の第2面34において,双方の凸型エラストマ体48に先の尖ったストッパ領域49をそれぞれ1個構成する。ストッパ領域49は,第1方向zに向けて延在する延長部を有し,この延長部は第1方向yにおける付勢領域52の延長部の一部のみに相当する。これにより,手持ち式工具装置2の作業方向において,付勢領域52に対して比較的柔軟な弾性特性が維持されるのに対し,逆方向では第1ピン状軸受素子24と管状軸受素子26との間で比較的堅固な接触を生じさせることができる。従って,引っ張る際,グリップ14において,ハウジング4に対する比較的直接的な力の伝達が生じ,これは,例えば引っ掛かりが生じた場合に工具Tを加工すべき材料Mから分離させる上で好ましい。
【0029】
さらに,前側エラストマ体56を設け,この前側エラストマ体56は,組み立て状態で,ハウジング側の第1軸受手段22の側方部分58と,第1管状軸受素子26の前側フランジ60との間に配置される。この前側エラストマ体56により,作動中,第3方向xにおいても,第1ハウジング側軸受手段22からの第1グリップ側軸受手段28の少なくとも部分的な絶縁による振動減衰が生じる。
【0030】
図4から明らかなように,第1弾性軸受18は,2個の固定手段62により完全に予め組み立てることができる。これらの固定手段62は,側方部分58のそれぞれ1個の収容孔64を貫通すると共に,図3にみられる第1ピン状軸受素子24の長孔66の内部に固定される。
【0031】
図5は,図1に対応する無負荷の開始位置にある第1弾性軸受18を示す。このとき,先の尖ったストッパ37は,第1管状軸受素子26の収容溝68に当接している。さらに,付勢領域52は向かい合うように第1管状軸受素子26の軸受溝70に支持される。従って,工具装置2の不作動状態において,第2方向yについても第1管状軸受素子26に対する第1ピン状軸受素子24の確実な固定が生じる。このほか,凸型エラストマ体48は,第1管状軸受素子26と一緒に第2方向yについて両側にそれぞれ1個の中間スペース47を構成する。
【0032】
図2に対応する作動中のグリップ14における,従って第1グリップ軸受手段28における押し付け圧力P1,P2の発生により,ストッパ37は収容溝68から第1方向zに離間する。その際,体積が反復的に小さくなるにせよ,中間スペース47が作動中常に維持される。従って,第2方向yに沿って,軸受溝70に対して押し付けられる付勢領域52によりのみ,比較的低レベルの弾性作用を発生させることができる。
【0033】
さらに,特に大きな押し付け圧力P1,P2が発生した場合,付勢領域52は,第1管状軸受素子26が第1方向zにおいてカラー型エラストマ体50の支持領域54と当接するまで圧縮される。その際,第1弾性手段32のばね剛性は,第1方向zについて集中的に高くなる。
【0034】
図6〜図8は,ピボット軸受として構成された第2弾性軸受20の特に好適な実施態様を示す。第2弾性手段46も,基本的に発泡ポリウレタンからなるエラストマ手段で構成される。第2弾性手段46は複数部分から構成され,基本的に2個の星型エラストマ体72と,その間に設けた2個の環状エラストマ体74とを有し,これらは共に第3方向xと平行な方向を向いた第2ピン状軸受素子40内に嵌め込まれる。
【0035】
星型エラストマ体72は,第2ピン状軸受素子40周りの半径方向において,環状エラストマ体74よりもさらに延びる。
【0036】
さらに,この場合2個の前側エラストマ体76を設け,これらの前側エラストマ体76は,組み立て状態で,第2ハウジング側軸受手段38の側方部分78と第2管状軸受素子42の前側フランジ80との間に配置される。この前側エラストマ体76により,作動中,第3方向xにおいても,第2ハウジング側軸受手段38からの第2グリップ側軸受手段44の少なくとも部分的な絶縁による振動伝達の緩和が生じる。
【0037】
図7から明らかなように,第2弾性軸受20は,2個の固定手段82により完全に予め組み立てることができる。これらの固定手段82は,側方部分78の各1個の収容孔84を貫通すると共に,それぞれ,図6に示す第2ピン状軸受素子40の長孔86の内部に固定される。
【0038】
図8は,図1に対応する無負荷時の開始位置にある第2弾性軸受22を示す。作動中,星型エラストマ体72は,第2ピン状軸受素子40周りの全ての半径方向に対してほぼ等しいばね剛性を有し,そのばね剛性は,ストッパ37が第1管状軸受素子26に押し付けられている際に第1弾性軸受18が第2方向yにおいて発現するばね剛性よりも高い。
【0039】
さらに,半径方向に特に大きな負荷が作用する場合,星型エラストマ体72は,第2管状軸受素子42が,第2支持領域として機能する環状エラストマ体74と当接するまで圧縮される。その際,第2弾性手段42のばね剛性は,その圧縮方向において集中的かつ累進的に大きくなる。さらに,第2弾性軸受20は,回転方向Dにおいても,グリップ14をハウジング4の回転運動から遮断するばね作用を発現する。
【0040】
それぞれエラストマ手段として構成される弾性手段32,46は,上述した複数部分からなる構成に止まらず,複数のエラストマ体48,50,56;72,74,76を一体化させた構成とすることも可能である。さらに,第2弾性手段46は,上述した実施形態以外に,板ばねによりも形成することができるが,この場合に板ばねは3方向x,y,zの全てにおいて等しい自由度を実現しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による手持ち式工具装置の基本的な構成の説明図である。
【図2】押付力により押圧されている図1の手持ち式工具装置の説明図である。
【図3】手持ち式工具装置の第1弾性軸受の好適な実施態様を示す分解斜視図である
【図4】予備組み立てした状態の図3の第1弾性軸受を第1方向zにみた説明図である。
【図5】図4のV−V線に沿う第1弾性軸受の断面図である。
【図6】手持ち式工具装置の第2弾性軸受の好適な実施態様を示す分解斜視図である。
【図7】予備組み立てした状態の図6の第2弾性軸受を第1方向zにみた説明図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う第2弾性軸受の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
2 手持ち式工具装置
4 ハウジング
6 駆動モータ
8 打撃機構
10 作動手段
12 裏側
14 グリップ
16 振動絶縁手段
18 第1弾性軸受
20 第2弾性軸受
22 第1ハウジング側軸受手段
24 第1ピン状軸受素子
26 第1管状軸受素子
28 第1グリップ側軸受手段
30 第1面
32 第1弾性手段
34 第2面
36 成形部材
37 ストッパ
38 第2ハウジング側軸受手段
40 第2ピン状軸受素子
42 第2管状軸受素子
44 第2グリップ側軸受手段
46 第2弾性手段
47 中間スペース
48 凸型エラストマ体
49 ストッパ領域
50 カラー型エラストマ体
52 付勢領域
54 支持領域
56 前側エラストマ体
58 側方部分
60 前側フランジ
62 固定手段
64 収容孔
66 長孔
68 収容溝
70 軸受溝
72 星型エラストマ体
74 環状エラストマ体
76 側方エラストマ体
78 側方部分
80 前側フランジ
82 固定手段
84 収容孔
【出願人】 【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【出願日】 平成19年7月26日(2007.7.26)
【代理人】 【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司

【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100134005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 達也


【公開番号】 特開2008−30192(P2008−30192A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−195115(P2007−195115)