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【発明の名称】 打込機
【発明者】 【氏名】市川 薫

【氏名】石沢 禎紀

【氏名】飯島 義光

【要約】 【課題】プッシュレバーの上部レバーの矯正工程を廃してコストダウンを図るとともに、上部レバーの応力集中による破損や材料強度の低下による寿命低下等の問題を解消することができる打込機を提供すること。

【解決手段】駆動源によって往復動して釘(止具)を打撃するドライバブレード11を備えたピストン10と、トリガアーム25を回動可能に連結して成るトリガ6と、2分割された上部レバー22Aと下部レバー22Bとをアジャスタ27にて連結して成るプッシュレバー22と、前記トリガ6の引き操作と前記プッシュレバー22の被打込材への押し当て動作との協働により前記ピストン10を駆動して釘を被打込材に打ち込む空気式釘打機(打込機)1において、前記プッシュレバー22の上部レバー22Aを、2分割されたプレス成型品を結合することによって構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって往復動して止具を打撃するドライバブレードを備えたピストンと、トリガアームを回動可能に連結して成るトリガと、2分割された上部レバーと下部レバーとをアジャスタにて連結して成るプッシュレバーと、前記トリガの引き操作と前記プッシュレバーの被打込材への押し当て動作との協働により前記ピストンを駆動して止具を被打込材に打ち込む打込機において、
前記プッシュレバーの上部レバーを、2分割されたプレス成型品を結合することによって構成したことを特徴とする打込機。
【請求項2】
前記プレス成型品である円板状のベース部材と角柱状のロッド部材とをロー付けによって結合して前記上部レバーを構成したことを特徴とする請求項1記載の打込機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンと共に往復動するドライバブレードによって釘やステープル等の止具を打ち込むための打込機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
打込機の一形態としての釘打機は、駆動源によって往復動して釘を打撃するドライバブレードを備えたピストンと、トリガアームを回動可能に連結して成るトリガと、2分割された上部レバーと下部レバーとをアジャスタにて連結して成るプッシュレバーを有し、前記トリガの引き操作と前記プッシュレバーの被打込材への押し当て動作との協働により前記ピストンを駆動して釘を被打込材に打ち込む工具である。
【0003】
ところで、斯かる釘打機においては、安全性を考慮して、トリガの引き操作だけでは釘打ち作業が開始されず、トリガの引き操作とプッシュレバーの被打込材への押し当て動作の双方がなされたときのみピストンが駆動されて釘打ち作業が開始されるよう構成されている。具体的には、プッシュレバーを被打込材に押し当てると、該プッシュレバーがピストン軸方向に移動し、該プッシュレバーの上部レバーがトリガアームに係合して該トリガアームをトリガに対して回動させ、トリガの引き操作による駆動源の起動を可能とするよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、図6に示すように、上記プッシュレバーの上部レバー122Aは、円板状のベース部122aの中心部に角柱状のロッド部122bを垂直に立設して構成されているが、従来、この上部レバー122Aは、精密鋳造又はメタルインジェクションによって一体に成形されていた。
【特許文献1】特開2005−335035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6に示す上部レバー122Aを従来のように精密鋳造等によって一体成形する場合、製造上、ロッド部122bに曲がりが不可避的に発生するため、その曲がりを矯正するための矯正工程が後工程として必要となり、製造工程が増えてコストアップを免れないという問題があった。
【0006】
又、上部レバー122Aの矯正工程においてロッド部122bの曲げを正すため、該ロッド部122bの付け根部分(図6のa部分)に応力集中が発生し、その部分が破損し易いという問題の他、成形時にブローホールが発生するために材料強度が低下し、成形された上部レバー122Aの寿命が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、プッシュレバーの上部レバーの矯正工程を廃してコストダウンを図るとともに、上部レバーの応力集中による破損や材料強度の低下による寿命低下等の問題を解消することができる打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、駆動源によって往復動して止具を打撃するドライバブレードを備えたピストンと、トリガアームを回動可能に連結して成るトリガと、2分割された上部レバーと下部レバーとをアジャスタにて連結して成るプッシュレバーと、前記トリガの引き操作と前記プッシュレバーの被打込材への押し当て動作との協働により前記ピストンを駆動して止具を被打込材に打ち込む打込機において、前記プッシュレバーの上部レバーを、2分割されたプレス成型品を結合することによって構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記プレス成型品である円板状のベース部材と角柱状のロッド部材とをロー付けによって結合して前記上部レバーを構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プッシュレバーの上部レバーを2つのプレス成形品を結合することによって製造するため、従来要していた後工程としての矯正工程を省略して製造コストを下げることができる。
【0011】
又、一体成形された上部レバーの矯正工程において発生していた応力集中に伴う上部レバーの破損、成形時に発生するブローホールに起因する材料強度の低下による寿命低下等の問題が発生することがなく、上部レバーの耐久性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明に係る打込機の一形態としての空気式釘打機の一部を破断して示す左側面図、図2は同空気式釘打機の右側面図、図3は図1のA部拡大詳細図、図4は上部レバーの斜視図、図5は同上部レバーの分解斜視図である。
【0014】
図1及び図2に示す空気式釘打機1は、側面視略T字状を成すハウジング2を備えており、このハウジング2の上端開口部にはエキゾーストカバー3が気密に被着されている。又、ハウジング2内には蓄圧室S1が形成されており、ハウジング2のハンドル部2aの後端部には、不図示のエアホースを接続するためのエアプラグ4が設けられている。
【0015】
更に、ハウジング2には、不図示の多数本の釘を収容することができるマガジン5が装着されるとともに、トリガ6によって上下動するプランジャ7を備えるトリガバルブ8が設けられている。
【0016】
又、ハウジング2内にはシリンダ9が設けられており、このシリンダ9内にはピストン10が上下摺動可能に嵌挿されている。そして、ピストン10には、プレート状のドライバブレード11の一端がピストンピン12によって連結されており、ドライバブレード11は、シリンダ9内を垂直下方へ延びている。又、シリンダ9内はピストン10によってピストン上室S2とピストン下室S3とに区画されており、シリンダ9内の底部には、ゴム等の弾性体から成るピストンバンパ13が設けられている。
【0017】
更に、ハウジング2内のシリンダ9との間の下半部には、隔壁14によって区画された円筒状の戻り空気室S4が形成されており、シリンダ9の戻り空気室S4の一部を構成する部分の上下には空気孔15,16がそれぞれ周方向に複数形成されており、上方の空気孔15には、ピストン上室S2からの圧縮空気の戻し空気室S4方向への流れのみを許容する逆止弁17が設けられている。
【0018】
他方、前記エキゾーストカバー3内には、前記シリンダ9の上面に対して接離するメインバルブ18が上下摺動可能に設けられており、該メインバルブ18は、スプリング19によって常時下方(シリンダ9の上端面に密着する方向)に付勢されている。そして、このメインバルブ18とエキゾーストカバー3との間にはメインバルブ室S5が画成されており、このメインバルブ室S5は、不図示の空気通路を介して前記トリガバルブ8に連通しており、後述のようにトリガバルブ8によって前記蓄圧室S1又は大気に選択的に連通せしめられる。又、エキゾーストカバー3には、大気中に開口する排気孔20が形成されており、この排気孔20は、メインバルブ18によって開閉されて前記シリンダ上室S2に選択的に連通される。
【0019】
更に、ハウジング2の先端部には、釘を案内するためのノーズ21が取り付けられるとともに、該ノーズ21に沿って上下方向に移動可能なプッシュレバー22が設けられており、ノーズ21には前記マガジン5から供給された釘を1本ずつ打ち込むための射出口23が形成されている。
【0020】
ところで、図3に詳細に示すように、前記トリガ6は、その一端がトリガピン24によって上下に回動可能に枢着されており、該トリガ6には、トリガアーム25の一端がロールピン26によって上下に回動可能に枢着され、該トリガアーム25の他端(自由端)は、前記トリガピン24の上部に係合している。
【0021】
又、前記プッシュレバー22は、2分割された上部レバー22Aとプレート状の下部レバー22Bとをアジャスタ27によって連結して構成されている。
【0022】
而して、本実施の形態では、上部レバー22Aは、図5に示すように、鋼材のプレス成型によって別々に製造された円板状のベース部材22aと角柱状のロッド部材22bとをロー付け(本実施の形態では、銅ロー付け)によって結合することによって図4に示すように1部品として一体に構成されている。即ち、プレス成型によってベース部材22aの中心部に形成された矩形孔22a−1に、同じくプレス成型されたロッド部材22bの下端部を上方から嵌め込み、その嵌込部をロー付けすることによって図4に示す1部品としての上部レバー22Aが得られる。
【0023】
以上のように構成された上部レバー22Aのロッド部材22bは、図3に詳細に示すように、下方が開口するシリンダ状のレバーガイド28の中心部に上下動可能に挿通支持されている。
【0024】
前記アジャスタ27は、プッシュレバー22の長さを調節して釘の打ち込み深さを調整するためのものであって、前記レバーガイド28内に下方から上下動可能且つ回転可能に嵌合する有底筒状のダイヤル29と、このダイヤル29と共に回転するネジ部材30を含んで構成されている。ここで、ダイヤル29内には前記上部レバー22Aのベース部材22aが嵌合保持されており、上部レバー22Aを含むプッシュレバー22の全体は、レバーガイド28と上部レバー22Aのベース部材22aとの間に縮装されたスプリング31によって下方に付勢されている。
【0025】
他方、プッシュレバー22の下部レバー22Bは、図2に示すように、金属プレートを屈曲させて成形されており、当該空気式打込機1の非作動時には、該下部レバー22Bの下端部は前記ノーズ21の下端よりも下方へ所定量だけ突出している。又、空気式打込機1の非作動時には、プッシュレバー22の上部レバー22Aは、図3に実線にて示すように、スプリング31によって下方に付勢され、その上端がトリガ6に設けられたトリガアーム25から離間しており、この状態では、トリガ6を引いてこれをトリガピン24を中心として上方へ回動させても、トリガアーム25が前記トリガバルブ8のプランジャ7に当接せず、トリガバルブ8を駆動して空気式打込機1を起動させることはできない。
【0026】
次に、以上の構成を有する空気式釘打機1の作用を説明する。
【0027】
木材等の不図示の被打込材への釘打ち作業に際して、エアプラグ4に不図示のエアホースを接続すると、コンプレッサ等の不図示の圧力供給源から圧縮空気がエアホースを経て空気釘打機1のハウジング2内の蓄圧室S1に供給されて蓄積され、その一部は、不図示の空気通路を通ってメインバルブ室S5に流入する。
【0028】
メインバルブ室S5に流入した圧縮空気は、その圧力でメインバルブ18を図1に示すようにスプリング19と共にシリンダ9の上端面に密着させてシリンダ9内のピストン上室S2と蓄圧室S1との連通を遮断し、蓄圧室S1内の圧縮空気のピストン上室S2への流入を防ぐため、ピストン10は静止したままの状態を保ち、釘打ち作業はなされない。
【0029】
次に、トリガ6の引き動作とプッシュレバー22の被打込材への押し当て動作の双方がなされると、プッシュレバー22が上動し、その上部レバー22Aの上端が図3に鎖線にて示すようにトリガアーム25をロールピン26を中心として鎖線位置まで上方へと回動させるため、該トリガアーム25とトリガバルブ8のプランジャ7との距離が短くなる。従って、この状態でトリガ6を引いてこれをトリガピン24を中心として上方へ回動させると、トリガアーム25は、上部レバー22Aのロッド部材22bの先端を中心として上方に回動してトリガバルブ8のプランジャ7を上方へ押し上げるため、トリガバルブ8がONされ、メインバルブ室S5の圧縮空気が不図示の空気通路を通って大気中に排出される。
【0030】
すると、メインバルブ18が蓄圧室S1内の圧縮空気の圧力で押し上げられ、シリンダ9の上端が開口すると同時に、シリンダ9内のピストン上室S2と大気との連通が遮断され、蓄圧室S1内の圧縮空気がシリンダ9内のピストン上室S2に流入し、ピストン10はドライバブレード11と共に圧縮空気の圧力で急激に下死点に向かって下降するため、マガジン5からノーズ21の射出口23へと供給された釘がドライバブレード11によって打撃される。そして、ドライバブレード11によって打撃された釘は、ノーズ21の射出口23に案内されて被打込材に打ち込まれる。尚、アジャスタ27のダイヤル29を回せば、これと共にネジ部材30が回転してプッシュレバー22の下部レバー22Bが上下動するため、これによってプッシュレバー22全体の長さが調節され、釘の打込み深さが任意に調整される。
【0031】
尚、ピストン10がシリンダ9内を下降して空気孔15を通過すると、ピストン上室S2内の圧縮空気は、空気孔15と逆止弁17を通って戻し空気室S4に流入して蓄積される。又、ピストン10がシリンダ9内を下降して下死点に達すると、該ピストン10がピストンバンパ13に衝突して該ピストンバンパ13を弾性変形させるため、このピストンバンパ13の弾性変形によって余剰エネルギーが吸収される。
【0032】
次に、トリガ6を元に戻すか、或はプッシュレバー22を被打込材から離すと、プランジャ7が元に戻ってトリガバルブ8がOFFされ、蓄圧室S1内の圧縮空気が不図示の空気通路を通ってメインバルブ室S5に流入するため、この圧縮空気の圧力でメインバルブ18が下方へ移動してエキゾーストカバー3から離脱し、図1に示すように、該メインバルブ18がシリンダ9の上端面に密着する。すると、蓄圧室S1とシリンダ9内のピストン上室S2との連通が遮断されるとともに、排気孔20が開いてピストン上室S2が排気孔20を介して大気に連通せしめられる。これにより、シリンダ9内のピストン上室S2内の圧縮空気は、排気孔20から大気に排出される。
【0033】
すると、戻し空気室S4内に蓄積されていた圧縮空気が空気孔16を通ってシリンダ9内のピストン下室S3に流入するため、ピストン10は圧縮空気の圧力を下面に受けてシリンダ9内を上死点に向かって急激に上昇し、ピストン10とドライバブレード11は図1に示す初期位置に戻る。
【0034】
以上の動作が繰り返されることによって、マガジン5内に装填された複数の釘が被打込材に連続的に打ち込まれていく。
【0035】
以上において、本実施の形態では、プッシュレバー22の上部レバー22Aを、2つのプレス成形品であるベース部材22aとロッド部材22bとをロー付けによって結合することによって製造したため、従来要していた後工程としての矯正工程を省略して製造コストを下げることができる。
【0036】
又、一体成形された従来の上部レバー122A(図6参照)の矯正工程において発生していた応力集中に伴う上部レバー122Aの破損、成形時に発生するブローホールに起因する材料強度の低下による寿命低下等の問題が発生することがなく、プッシュレバー22の上部レバー22Aの耐久性の向上を図ることができる。
【0037】
尚、以上は本発明を特に空気式釘打機に適用した形態について説明したが、本発明は、電動式、燃焼式釘打機に対しても同様に適用可能であるとともに、釘打機以外のピンやステープル等の止具を打ち込むための他の任意の打込機に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る空気式釘打機の一部を破断して示す左側面図である。
【図2】本発明に係る空気式釘打機の右側面図である。
【図3】図1のA部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係る空気式打込機の上部レバーの斜視図である。
【図5】本発明に係る空気式打込機の上部レバーの分解斜視図である。
【図6】従来の空気式打込機の上部レバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 空気式釘打機(打込機)
2 ハウジング
2a ハンドル部
3 エキゾーストカバー
4 エアプラグ
5 マガジン
6 トリガ
7 プランジャ
8 トリガバルブ
9 シリンダ
10 ピストン
11 ドライバブレード
12 ピストンピン
13 ピストンバンパ
14 隔壁
15,16 空気孔
17 逆止弁
18 メインバルブ
19 スプリング
20 排気孔
21 ノーズ
22 プッシュレバー
22A プッシュレバーの上部レバー
22B プッシュレバーの下部レバー
22a 上部レバーのベース部材
22a−1 ベース部材の矩形孔
22b 上部レバーのロッド部材
23 射出口
24 トリガピン
25 トリガアーム
26 ロールピン
27 アジャスタ
28 レバーガイド
29 ダイヤル
30 ネジ部材
31 スプリング
S1 蓄圧室
S2 ピストン上室
S3 ピストン下室
S4 戻し空気室
S5 メインバルブ室
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−73812(P2008−73812A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−256635(P2006−256635)