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【発明の名称】 電動打ち込み機
【発明者】 【氏名】平林 伸治

【氏名】小田 次郎

【要約】 【課題】電動モータを駆動源とする打ち込み機において、従来、駆動ホイールの回転動力を効率よくドライバ支持台に伝達して高い打ち込み力を得るため複数のV溝に断面V字形の突条をそれぞれ噛み合わせて接触面積を大きくする技術が提供されていたが、これでは高い加工精度が要求されるため、本発明では高い加工精度を必要とすることなく、大きな打ち込み力を得ることができるようにする。

【解決手段】ドライバ支持台20に断面V字形の伝達部20bを設け、当該ドライバ支持台20を押圧部材41で押圧してこの伝達部20bを左右一対の駆動ホイール30,30間に食い込ませることにより、摩擦力を大きくしてドライバ支持台20の大きな駆動力を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを駆動源として相互に反対方向に回転する一対の駆動ホイールと、該一対の駆動ホイール間に伝達部を挟み込ませ、該駆動ホイールの回転動力により打ち込み方向に移動するドライバ支持台と、該ドライバ支持台に取り付けられて打ち込み部材を打撃するドライバを備え、
前記ドライバ支持台の伝達部は、断面V字形を有してそれぞれ前記駆動ホイールが当接される伝達面を有しており、前記ドライバ支持台を押圧部材により前記伝達部を前記両駆動ホイール間に食い込ませる方向に押圧可能な構成とした打ち込み機。
【請求項2】
請求項1記載の打ち込み機であって、前記一対の駆動ホイールは、前記ドライバ支持台の伝達面に平行な回転軸線を中心にして回転可能に支持され、該回転軸線に対して平行な周面を前記ドライバ支持台の伝達面に当接させた打ち込み機。
【請求項3】
請求項1記載の打ち込み機であって、前記一対の駆動ホイールは、相互に平行な回転軸線を中心にして回転可能に支持されてその周面は該回転軸線に対して傾斜する円錐面に形成され、該周面を前記ドライバ支持台の伝達面に当接させた打ち込み機。
【請求項4】
請求項1記載の打ち込み機であって、前記ドライバ支持台の後方に、巻き取りホイールを巻き取り方向にばね付勢して設け、該巻き取りホイールに巻き取り可能に一端側を結合した戻しゴムの他端側を前記ドライバ支持台に結合して、該戻しゴムの弾性力及び前記巻き取りホイールの巻き取り力により前記ドライバ支持台を反打ち込み方向に戻す構成とした打ち込み機。
【請求項5】
請求項1記載の打ち込み機であって、前記押圧部材は、電磁アクチュエータを駆動源とするトグルリンク機構を介して前記ドライバ支持台に押圧される構成とした打ち込み機。
【請求項6】
電動モータを駆動源として回転する駆動ホイールと、該駆動ホイールの回転動力により打ち込み方向に移動するドライバ支持台と、該ドライバ支持台に取り付けられて打ち込み部材を打撃するドライバを備え、
前記駆動ホイールは、その全周にわたって一対の傾斜面により断面V字形に形成された伝達部を備え、前記ドライバ支持台は、一対の伝達面が断面V字形に配置された伝達溝を備えており、該伝達溝に前記駆動ホイールの伝達部を食い込ませて前記一対の傾斜面を該伝達溝の伝達面にそれぞれ押圧させて、前記駆動ホイールの回転動力により前記ドライバ支持台を打ち込み方向に移動させる構成とした打ち込み機。
【請求項7】
請求項6記載の打ち込み機であって、前記駆動ホイールを前記ドライバ支持台側に移動させてその伝達部を前記伝達溝に食い込ませる構成とした打ち込み機。
【請求項8】
請求項7記載の打ち込み機であって、前記駆動ホイールは従動ギヤ部を一体に有し、該従動ギヤ部に噛み合う駆動ギヤを前記電動モータにより回転させて、当該駆動ホイールを前記ドライバ支持台を打ち込み方向に移動させる方向に回転させる構成とした打ち込み機。
【請求項9】
請求項8記載の打ち込み機であって、前記駆動ギヤと同軸で傾動可能に傾動板を設け、該傾動板の傾動先端側に前記駆動ホイールを回転可能に支持し、該傾動板を電磁アクチュエータの作動により傾動させて前記駆動ホイールの伝達部を前記ドライバ支持台の伝達溝に食い込ませる構成とした打ち込み機。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、内蔵した電動モータを駆動源として釘等の打ち込み具を打ち込む打ち込み機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、釘打ち機は一般には圧縮エアを駆動源とするもので、圧縮エアによりピストンを往復動させて大きな打撃力を得ることができる。これに対して、電動モータを駆動源として打ち込み用のドライバ(打撃棒)を往復動させて釘等の打ち込み具を打撃するものが提供されている。この電動式の打ち込み機の場合には、大きな打撃力を得るための工夫が従来からなされている。これら様々な工夫が例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。特許文献1に開示された技術は、電動モータにより回転する駆動ホイールを電磁アクチュエータによりドライバに対して接離させて支持ローラとの間に挟み込むことにより当該ドライバに対して打撃力を与える構成となっている。
また、特許文献2に開示された技術は、トグル機構によりアイドラホイールをドライバに接離させて、電動モータにより回転する駆動ホイールとの間にドライバを挟み込んでドライバに打撃力を与える構成となっている。
さらに、特許文献3に開示された技術は、往復動させるドライバ側に複数のV字形の溝部を設ける一方、駆動ホイールの周面にドライバ側のV溝に噛み合う断面V字形の突条を設けて、駆動ホイールのドライバに対する接触面積を大きくして大きな摩擦抵抗を得ることにより大きな打撃力を得る構成となっている。
【特許文献1】特開2006−142392号公報
【特許文献2】特開平6−179178号公報
【特許文献3】米国特許公開公報第2005/0218183号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら従来の電動式打ち込み機には、次のような問題があった。特許文献1及び2に開示された技術によってもなお十分な打撃力を得ることは困難であった。また、特許文献3に開示された技術によれば、ドライバ側にV字形の複数の溝部を設ける一方、駆動ホイールの周面にこれらの溝部に噛み合う複数の断面V字形の突条を設ける必要があり、これらを均等に噛み合わせる必要上高精度の加工が必要になる問題があった。
そこで、本発明は、特許文献3に開示された技術で要求されるような高い加工精度を必要としないで特許文献1,2に開示された技術よりも大きな打撃力を得ることができる電動打ち込み機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した打ち込み機とした。
請求項1記載の打ち込み機によれば、釘等の打ち込み具を打撃するためのドライバを取り付けたドライバ支持台の伝達部が、左右一対の駆動ホイール間に挟み込まれ、さらにこのドライバ支持台が押圧部材により押圧されて断面V字形をなす伝達部が両駆動ホイール間に食い込まれた状態となる。このように一つの断面V字形をなす伝達部を左右一対の駆動ホイール間に挟み込んで大きな摩擦力(打撃力)を得る構成であるので、前記特許文献3に記載されたように複数のV字溝に対して複数の断面V字形の突条を相互に噛み合わせる構成に比して高い加工精度を必要とせず、大きな摩擦力を得ることができる。
しかも、ドライバ支持台が押圧部材によって押圧されることにより断面V字形を有する伝達部が左右一対の駆動ホイール間に食い込んで、その伝達面と駆動ホイールとの間に大きな摩擦力が発生し、これにより両駆動ホイールの回転動力を確実にドライバ支持台に伝達して大きな打撃力を得ることができる。
請求項2記載の打ち込み機によれば、左右一対の駆動ホイールの回転軸線は、ドライバ支持台の両伝達面と同様相互にV字形に配置されており、従って両駆動ホイールの周面は回転軸線に対して平行な円筒面となっている。このため、両駆動ホイールの周面の周速(回転半径)は当該周面上の全ての位置において同じになる。このことから、ドライバ支持台の伝達面に対する両駆動ホイールの周面の滑りは発生せず、この点でも両駆動ホイールの回転動力をより確実にドライバ支持台側に伝達して大きな打撃力を得ることができる。
この点、前記特許文献3記載の技術によれば、駆動ホイールの周面に複数のV字形溝部が形成され、各V字形溝部に対してドライバ支持台の断面V字形突条が押し付けられる構成となっている。このため、駆動ホイールの周面であって各V字形溝部の当接面について回転半径ひいては周速が軸線方向の位置によって異なり、その結果ドライバ支持台の突条(噛み合い面)に対して滑りが発生して相互の接触面積が小さくなり、この点で回転動力の伝達損失が発生して大きな打撃力を得ることが困難になる。
また、両駆動ホイール間にドライバ支持台の伝達部が食い込まれることにより、当該両駆動ホイールの回転動力が確実にドライバ支持台に伝達されて大きな打撃力を得ることができる。
【0005】
請求項3記載の打ち込み機によれば、左右一対の駆動ホイールの回転軸線は相互に平行に配置されて、その周面は回転軸線に対して傾斜する円錐面に形成され、この周面がドライバ支持台の伝達面に当接される。左右の駆動ホイールの回転軸を相互に平行に配置することにより当該打ち込み機のコンパクト化を図ることができる。
請求項4記載の打ち込み機によれば、戻しゴムのみによってドライバ支持台を待機位置に戻す構成に比して当該戻しゴムのへたりを防止して、当該打ち込み機の耐久性を高めることができる。また、戻しゴムのみによる場合に比してドライバ支持台のストロークについて大きな距離を設定しつつ確実に戻し位置に戻すことができる。
請求項5記載の打ち込み機によれば、ドライバ支持台に対して押圧部材を大きな力で押圧することができるので、当該ドライバ支持台の伝達面と駆動ホイールとの間の摩擦抵抗を高めてより大きな駆動力を伝達することができ、ひいては大きな打撃力を得ることができる。また、電動モータとは別の電磁アクチュエータを駆動源としてトグルリンク機構を作動させる構成であるので、電動モータの起動停止に対して電磁アクチュエータの作動タイミングを適切に設定しやすくなる。
請求項6記載の打ち込み機によれば、断面V字形の伝達部が断面V字形の伝達溝に食い込まれて、駆動ホイールの一対の傾斜面がそれぞれドライバ支持台の伝達面に押圧され、これにより発生する大きな摩擦力により当該ドライバ支持台が移動して打撃力が発生する。このことから前記と同様従来のような高い加工精度を必要とせず、大きな摩擦力を得ることができ、ひいてはドライバ支持台の大きな打撃力を得ることができる。
請求項7記載の打ち込み機によれば、駆動ホイールがドライバ支持台に接近する方向に移動することによりその伝達部がドライバ支持台の伝達溝に食い込まれ、この状態で回転することによりドライバ支持台が打ち込み方向に移動する。この構成によっても伝達部の伝達溝に対する大きな摩擦抵抗により、駆動ホイールの回転動力がドライバ支持台の大きな打ち込み力に効率よく変換される。
請求項8記載の打ち込み機によれば、ギヤの噛み合いを経て電動モータの回転動力が駆動ギヤから駆動ホイールに伝達される。このため、駆動ギヤと駆動ホイールとの間で大きな回転動力を伝達をベルトを用いた場合のような滑り発生することなく確実に伝達することができ、これにより発生する大きな摩擦力でドライバ支持台を移動させて大きな打撃力を得ることができる。
請求項9記載の打ち込み機によれば、電磁アクチュエータにより駆動ホイールの伝達部をドライバ支持台の伝達溝に対して強固に食い込ませることができ、これにより発生する大きな摩擦力でドライバ支持台を移動させて大きな打撃力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。図1〜図3は、第1実施形態に係る打ち込み機1を示している。この打ち込み機1は、本体部2とハンドル部3に大別できる。ハンドル部3は本体部2の側部から側方へ突き出す状態に一体に設けられている。このハンドル部3の基部にトリガ形式のスイッチレバー4が設けられている。また、本体部2とハンドル部3との間には、多数の打ち込み具(本例では釘n〜nを例示する)が収容されたマガジン5が掛け渡す状態に装備されている。本実施形態の打ち込み機1は、打ち込み具としての釘nを打ち込むための機構について特徴を有している。ハンドル部3及びマガジン5については従来構成と同様で、本実施形態において特に変更を要しないので、その詳細な説明及び図示を省略する。
図1は、本体部2の先端部を釘打ち込み材Wに向けた状態を示している。このため、図1において下向き方向が釘nの打ち込み方向であり、釘nの打撃方向となる。
本体部2は、概ね円筒形状に成形された樹脂製かつ2つ割り構造の本体ハウジング10を備えている。この本体ハウジング10の内部に釘nを打撃するための機構が内蔵されている。ハンドル部3はこの本体ハウジング10の側部に一体に成形されている。このハンドル部3の先端に充電式のバッテリパック6が装着されている。このバッテリパック6を電源として当該打ち込み機1の駆動源としての電動モータ11が起動する。
この電動モータ11は本体ハウジング10の後部(図1において上部)に内蔵されている。この電動モータ11の出力軸には駆動滑車12が取り付けられている。この駆動滑車12に対応して、本体ハウジング10の長手方向ほぼ中央には2つの従動滑車13,14と一つの補助滑車15が配置されている。2つの従動滑車13,14は、打ち込み方向に対して左右対称に配置されている。
【0007】
本体ハウジング10のほぼ中央には、図示省略したスライド支持機構を介してドライバ支持台20が打ち込み方向に沿って移動可能に設けられている。このドライバ支持台20の先端(図1において下面)には、ドライバ21が支持されている。このドライバ21は先方(図1において下方)へ向けて長く延びている。本体ハウジング10の先端にはドライバガイド25が取り付けられている。このドライバガイド25にはドライバ21を挿通可能な打ち込み孔25aがその上端から下端(先端)に至って貫通した状態で設けられている。ドライバ21の先端部はこの打ち込み孔25a内に至っている。
このドライバガイド25には上記マガジン5の供給側先端部が連結されている。マガジン5には、釘n〜nを供給方向(図1において左方)へ押すためのプッシャプレート5aが内蔵されている。このプッシャプレート5aによってドライバガイド25の打ち込み孔25a内に釘nが1本ずつ供給される。
ドライバ支持台20は断面V字形の伝達部20bを備えている。この伝達部20bの打ち込み方向左右両側部には、伝達面20a,20aが設けられている。図4に示すようにこの両伝達面20a,20aが相互にV字形に配置されて断面V字形の伝達部20bを構成している。
この伝達部20bは、打ち込み方向左右両側方に配置された駆動ホイール30,30間に挟み込まれており、その両伝達面20a,20aにはそれぞれ駆動ホイール30が当接されている。両駆動ホイール30,30は、それぞれ支軸31を介して上記従動滑車13,14と同軸かつ一体回転可能に支持されている。従動滑車13,14が回転すると両駆動ホイール30,30が回転する。
図2に示すように電動モータ11の出力軸に取り付けた駆動滑車12と左右の従動滑車13,14と補助滑車15との間に1本の駆動ベルト16が掛け渡されている。電動モータ11が打撃方向に起動すると、この駆動ベルト16を介して左右の従動滑車13,14が相互に反対方向に回転し、従って左右の駆動ホイール30,30が相互に反対方向に同じ回転速度で同時に回転する。
【0008】
図4に示すように左右の駆動ホイール30,30を回転支持する支軸31,31は、それぞれその両端部を軸受け32〜32で支持されて、相互にV字形に配置されている。各軸受け32〜32は、本体ハウジング10に固定したホルダ17に取り付けられている。両駆動ホイール30,30は、それぞれ支軸31の軸線(回転軸線)に平行な周面を有する円柱体形状を有している。両支軸31,31は、ドライバ支持台20の伝達面20aと同じ傾斜角度で配置され、従って伝達面20aに対して平行に配置されている。このため、両駆動ホイール30,30の周面は伝達面20aに線当たり状態で当接されている。
両駆動ホイール30,30がそれぞれドライバ支持台20の伝達面20aに当接された状態でそれぞれ反対方向に回転することにより、当該ドライバ支持台20が釘nの打ち込み方向(図1において下方)へ移動する。ドライバ支持台20が打ち込み方向に移動することにより、これと一体でドライバ21が打ち込み方向に移動し、その移動過程でドライバガイド25の打ち込み孔25a内に供給された1本の釘nの頭部が当該ドライバ21の先端で打撃されてドライバガイド25の先端から打ち出される。
ドライバ支持台20は、押圧部材41によりその伝達部20bを両駆動ホイール30,30間に食い込ませる方向(図1,3において右方、図4において上方)に押圧されている。本例の場合、この押圧部材41には2つのローラが用いられている。以下、この押圧部材41を含む押圧機構40について説明する。この押圧機構40の詳細が図5,6に示されている。
【0009】
この押圧機構40は、電磁アクチュエータ42を駆動源として備えている。この電磁アクチュエータ42は、本体ハウジング10内の前部に配置されている。この電磁アクチュエータ42の出力軸42aは圧縮ばね42bによって突き出し側に付勢されている。電磁アクチュエータ42に通電されると、出力軸42aが圧縮ばね42bに抗して引き込み側に移動する。通電が遮断されると、出力軸42aは圧縮ばね42bによって突き出し側に戻される。
この電磁アクチュエータ42の出力軸42aの先端には、ブラケット43を介して作動アーム44の一端側が相対回転可能に連結されている。このブラケット43には出力軸42aの伸縮方向に対して直交する方向に長い連結孔43bが形成されている。この連結孔43bに挿通された連結軸43aを介して当該ブラケット43に作動アーム44が連結されている。このため、作動アーム44の一端側は、連結軸43aを介して回転可能かつ回転中心となる連結軸43aが連結孔43b内で移動可能な範囲でその回転中心を変位可能な状態でブラケット43に連結されている。
作動アーム44は、L字形に屈曲して後方(図1,5,6において上方)へ延びている。この作動アーム44の他端側には、移動支軸45を介して規制アーム46の一端側が回転可能に連結されている。この規制アーム46は、本体ハウジング10に固定支軸47を介して回転可能に支持されている。また、作動アーム44の他端側は、移動支軸48を介して押圧アーム50に回転可能に連結されている。押圧アーム50は固定支軸49を介して本体ハウジング10に回転可能に支持されている。この押圧アーム50の回動先端側(図1,5,6において上端側)に前記押圧部材(押圧ローラ)41が回転自在に支持されている。
【0010】
このように構成された押圧機構40によれば、図1及び図5に示す待機状態では、電磁アクチュエータ42への通電が遮断されており、従って出力軸42aは圧縮ばね42bによって突き出し側に戻されている。この待機状態では、作動アーム44の基端側(連結軸43a側)が図1及び図5において左斜め下方へ変位し、従って規制アーム46が固定支軸47を中心にして反時計回り方向へ傾動して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして反時計回り方向に傾動し、その結果押圧部材41がドライバ支持台20の背面から離間した状態となっている。押圧部材41が背面から離間した状態であるので、ドライバ支持台20は左右駆動ホイール30,30間に食い込まれていない。
これに対して電磁アクチュエータ42に通電されると、その出力軸42aが圧縮ばね42bに抗して引き込み側に作動する。すると、図3及び図6に示すように作動アーム44の基端側が右斜め上方へ変位し、従って規制アーム46が固定支軸47を中心にして時計回り方向に傾動して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして時計回り方向に傾動し、その結果押圧部材41がドライバ支持台20の背面に押圧された状態となる。押圧部材41が背面に押圧された状態であるので、ドライバ支持台20の伝達部20bが左右の駆動ホイール30,30間に食い込まれた状態となっている。
しかも、この状態では図示するように規制アーム46の固定支軸47と、作動アーム45との連結点である移動支軸45と、作動アーム45の押圧アーム50との連結点である移動支軸48が一直線上に位置する状態となる。このため、押圧アーム50は、押圧部材41をドライバ支持台20の背面に押圧した状態にロックされ、これにより伝達部20bの両駆動ホイール30,30間への食い込み状態が強固に維持される。
【0011】
このように押圧機構40は、押圧部材41をドライバ支持台20の背面に押圧し、この押圧状態を固定支軸47及び移動支軸45,48により構成されるトグル機構によってロックし、これにより伝達部20bの駆動ホイール30,30間への食い込み状態を維持する機能を有している。両駆動ホイール30,30間に伝達部20bが強固に食い込まれた状態となるため、両駆動ホイール30,30の回転動力が大きな摩擦により滑りを発生することなく効率よくドライバ支持台20を打ち込み方向へ移動させるための駆動力Tとして伝達される。
ここで、図11に示すように上記押圧機構40によってドライバ支持台20の背面に対して押圧力Pが付加された場合に得られる当該ドライバ支持台20の駆動力Tは、
T=2μNとなる。μは伝達面20aの摩擦係数、Nは伝達面20aに対して直角方向に作用する力を示している。
2N=P/(Sinα+μCosα)であるから、等価摩擦係数をμ(e)とするとT=μ(e)Pより、μ(e)=μ/(Sinα+μCosα)となる。
本実施形態において、伝達面20a,20aの打ち込み方向に対する傾斜角度α=20°に設定すると、伝達面20aの摩擦係数μ=0.2である場合には、μ(e)=0.38となり、約2倍の等価摩擦係数を得ることができる。このことから、V字形に位置する2つの伝達面20a,20aに対してそれぞれ駆動ホイール30を当接させ、かつドライバ支持台20に対して押圧力Pで伝達部20bを両駆動ホイール30,30間に食い込ませること(くさび作用)により、前記特許文献2に記載された構成(押圧部材と駆動ホイールとの間にドライバを挟み込む構成)をに比して大きな駆動力Tを得ることができる。
【0012】
次に、本体ハウジング10の後部(図1において上部)には、釘nの打ち込みが完了して下動端に至ったドライバ支持台20及びドライバ21を上方へ戻すための巻き取りホイール60,60が設けられている。本例では打ち込み方向に対して左右両側に一対の巻き取りホイール60,60が設けられている。この2つの巻き取りホイール60,60は、軸受け61,61を介して本体ハウジング10に回転可能に支持された巻き取り軸62上に固定されている。図7に示すように巻き取り軸62と本体ハウジング10との間にはぜんまいばね63が介装されている。このぜんまいばね63により巻き取り軸62は巻き取り方向に付勢され、従って両巻き取りホイール60,60が巻き取り方向(図7において時計回り方向)に付勢されている。
両巻き取りホイール60,60にはそれぞれ紐状の弾性を有する戻しゴム70の一端側70aが結合されている。図8に示すように両巻き取りホイール60,60は、それぞれ回転軸線方向の2つ割り構造を有しており、戻しゴム70の一端側70aは、その2つ割り面60aに設けた溝部60b内に嵌め込んで、かつ2つ割り面60a,60a間に挟み込まれた状態で結合されている。溝部60b内には複数の突起60c〜60cが設けられている。この複数の突起60c〜60cに引っ掛かることにより戻しゴム70の一端側70aが溝部60bから抜け出ることが防止され、これにより当該戻しゴム70の一端側70aが巻き取りホイール60に対して一層強固に結合されている。図8に示すようにこの戻しゴム70は、操作されていない状態(巻き取られた状態)では、巻き取りホイール60に1回以上巻き取られるようにその長さ等が設定されている。
【0013】
2本の戻しゴム70,70の他端側は、それぞれドライバ支持台20の側面に結合されている。図9及び図10は、戻しゴム70,70のドライバ支持台20に対する結合状態を示している。両戻しゴム70,70の他端にはそれぞれ球形の係合部70bが設けられている。これに対してドライバ支持台20の両側面には、係合孔20c,20cが設けられている。この係合孔20cに球形の係合部70bを戻し方向に係合させて強固に抜け止めされた状態で当該戻しゴム70の他端側がドライバ支持台20に結合されている。
ドライバガイド25には、前記スイッチレバー4の引き操作の有効、無効を切り換えるためのコンタクトレバー26が設けられている。このコンタクトレバー26は、ドライバガイド25に対して打ち込み方向に移動可能に支持されており、かつその下端部をドライバガイド25の先端から突き出す方向にばね付勢されている。当該打ち込み機1を用いて釘nを打ち込み材Wに打ち込むためには、先ずコンタクトレバー26を打ち込み材Wに当接させて、その後当該打ち込み機1を移動させてドライバガイド25の先端を打ち込み材Wに接近させることによりこのコンタクトレバー26をドライバガイド25に対して相対的に上方へ変位させる必要がある。コンタクトレバー26がばね付勢力により上動すると、本体ハウジング10内に取り付けたリミットスイッチ27がオンし、これにより電動モータ11が起動する。これらの制御が、同じく本体ハウジング10内に取り付けられた制御装置Cにより行われる。
この制御装置Cでは、スイッチレバー4のオン操作信号、リミットスイッチ27のオン信号等が入力され、これに基づいて電動モータ11及び電磁アクチュエータ42の起動停止動作を制御する機能を有している。
【0014】
以上のように構成した第1実施形態の打ち込み機1によれば、コンタクトレバー26を相対的に上動させてドライバガイド25の先端部を打ち込み材Wに接近させると、リミットスイッチ27がオンして電動モータ11が打ち込み方向に起動する。電動モータ11が打ち込み方向に起動すると、駆動滑車12が図2において白抜きの矢印で示した方向(打ち込み方向)に回転し、従って左右の駆動ホイール30,30が同じく白抜きの矢印で示した打ち込み方向(相互に反対方向)に回転する。左右の駆動ホイール30,30が打ち込み方向に回転すると、その回転駆動力がドライバ支持台20の伝達面20a,20aに対する当接状態を経て当該ドライバ支持台20に打ち込み方向への駆動力Tが与えられる。
一方、電動モータ11の起動後、スイッチレバー4を引き操作すると、電磁アクチュエータ42がその出力軸42aを引き込む方向(押圧方向)に作動し、これにより作動アーム44が変位して押圧アーム50が固定支軸49を中心にして押圧方向に傾動し、従って押圧部材41,41がドライバ支持台20の背面に押圧される(押圧力P)。この押圧状態は、トグル機構を構成する移動支軸45,48が図6に示すように一直線上に位置することによりロックされ、従ってドライバ支持台20の左右駆動ホイール30,30間への食い込み状態がロックされる。こうしてドライバ支持台20の伝達部20bが左右の駆動ホイール30,30間に押圧力Pで食い込まれることにより、両者間に滑りを発生することなくドライバ支持台20に対して大きな駆動力Tが発生する。
このように第1実施形態の打ち込み機1によれば、左右一対の駆動ホイール30,30間にV字形の伝達部20bを食い込ませてドライバ支持台20に駆動力Tを与える構成であるので、前記特許文献3に記載されているように複数のV字形溝に対して複数の断面V字形突条をそれぞれ噛み合わせる構成に比して高い加工精度を必要とすることなく、特許文献1,2に記載された従来構成よりも大きな駆動力Tを得ることができ、ひいては大きな打撃力を得ることができる。
【0015】
ドライバ支持台20が大きな駆動力Tで打ち込み方向に移動すると、ドライバ21がドライバガイド25の打ち込み孔25a内を下動して釘nの頭部を打撃し、これによりこの釘nが打ち込み材Wに打ち込まれる。
打ち込み完了後、スイッチレバー4の引き操作を解除すると、電磁アクチュエータ42への通電が遮断されてその出力軸42aが圧縮ばね42bにより突き出し方向に戻される。出力軸42aが突き出し方向に戻されると、図5に示すように作動アーム44が変位して移動支軸45が固定支軸47と移動支軸48を結ぶ線上から外れてトグル機構が解除され、また押圧アーム50が固定支軸49を中心にして反時計回り方向に傾動して押圧部材41,41のドライバ支持台20の背面に対する押圧状態が解除される。
ドライバ支持台20に対する押圧部材41,41の押圧が解除されると、当該ドライバ支持台20が戻しゴム70,70により上方へ引っ張れられて図1に示す待機位置に戻される。ドライバ支持台20の待機位置は、ストッパ71によって規制されている。なお、制御装置Cの制御により電磁アクチュエータ42への通電時間(ドライバ支持台20の押圧状態)は0.07秒に設定されているため、打ち込み完了後、スイッチレバー4の引き操作をそのまま維持した場合であっても電磁アクチュエータ42への通電が自動的に遮断されるようになっている。このため、次の作業へ移る場合に、急いでスイッチレバー4の戻し操作をする必要はなく、この点で良好な操作性が確保されている。
戻しゴム70,70は、それぞれ収縮側への自身の弾性力を有しており、また巻き取り側にばね付勢された巻き取りホイール60に巻き取られる。このため、ドライバ支持台20を大きなストロークで打ち込み方向に移動させる場合にも、当該ドライバ支持台20を確実に待機位置まで戻すことができ、また戻しゴム70,70のへたりを抑制してその耐久性を高めることができる。
なお、本実施形態では巻き取りホイール60,60を回転方向にばね付勢するためにぜんまいばね63を用いる構成としたが、これによりドライバ21の上昇端位置と下降端位置での荷重(付勢力)を等しくすることができる。他のねじりばね、例えばトーションスプリング等を用いると、下降端位置の荷重が大きくなって打ち込み不足が生じたり、逆に上昇端位置で巻き取りが不十分な状態が発生する可能性がある。さらに、トーションスプリングで荷重の変化を低くしようとすると巻き数やコイル径を大きくする必要があるためそのためのスペースを確保する必要があり、結果的に機器の大型化を招く問題がある。この点、前記例示したようにぜんまいばね63を用いることにより機器のコンパクト化を図ることができる。この効果は、本実施形態のように回転角度を大きくとる場合(約360°)に特に顕著である。
また、第1実施形態の打ち込み機1によれば、伝達面20a,20aに対して駆動ホイール30,30の支軸31,31が平行に配置され、従って当該駆動ホイール30,30の回転半径が一定(周速が一定)であることから、駆動ホイール30,30と伝達面20aとの間に滑りが発生せず、この点でも当該駆動ホイール30,30の回転動力を効率よく駆動力Tに変換することができる。
【0016】
以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、第1実施形態では左右の駆動ホイール30,30の回転軸線(支軸31の軸線)を伝達面20a,20aに平行に配置(相互にV字形に配置)する構成を例示したが、図12に示すように駆動ホイール80,80の支軸81,81を相互に平行に配置する構成(第2実施形態)としてもよい。この第2実施形態において第1実施形態と同様の部材、構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。
この第2実施形態の場合、駆動ホイール80,80の周面はドライバ支持台20の伝達面20a,20aに平行な円錐形とすることにより、前記実施形態と同様、ドライバ支持台20を押圧機構40で押圧して当該両駆動ホイール80,80間に伝達部20bを食い込ませることにより両者間に滑りを発生することなくドライバ支持台20の大きな駆動力Tを得ることができる。
また、この場合には、左右の支軸81,81が相互に平行に配置されることから、本体ハウジング10に固定するホルダ83の寸法精度等についての製作コストを低減することができる。
【0017】
次に、以上説明した第1及び第2実施形態は、ドライバ支持台20の伝達部20bを打ち込み方向左右両側から駆動ホイール30,30(80,80)で挟み込んで駆動力Tを伝達する構成を例示したが、逆にドライバ支持台に設けたV字溝に断面V字形の周縁部を有する駆動ホイールを食い込ませて駆動力を伝達する構成(第3実施形態)とすることができる。この第3実施形態に係る打ち込み機100が特許請求の範囲の請求項6に記載した発明の一実施形態に相当する。第3実施形態に係る打ち込み機100が図13に示されている。第1及び第2実施形態と同様の部材及び構成については同位の符号を用いてその説明を省略する。
図13中符号101は駆動源としての電動モータを示している。この電動モータ101の出力軸には駆動滑車102が取り付けられている。本体ハウジング103の中央には、固定支軸106を介して従動滑車104が回転可能に支持されている。図17に示すように固定支軸106は、軸受け107,108を介してホルダ109に回転可能に支持されている。このホルダ109は本体ハウジング103に固定されている。ホルダ109の両側部には凹部109a,109bが設けられている。この凹部109a,109b内にそれぞれ軸受け107,108が保持されている。
従動滑車104と駆動滑車102との間には駆動ベルト105が掛け渡されている。この駆動ベルト105のテンションはアイドラ105aの位置を調整して適切に設定されている。この駆動ベルト105を介して電動モータ101の回転動力が従動滑車104に伝達される。
固定支軸106上には、上記従動滑車104に加えて駆動ギヤ110が取り付けられている。この駆動ギヤ110と従動滑車104は固定支軸106上に固定されているため相互に一体で回転する。このため、電動モータ101が起動すると駆動ギヤ110が回転する。この駆動ギヤ110には、駆動ホイール111の従動ギヤ部111aが噛み合わされている。
また、駆動ホイール111の板厚方向両角部には、相互にV字形に配置された傾斜面111b,111bが全周にわたって設けられている。両傾斜面111b,111bの間に沿って従動ギヤ部111aが設けられている。
この駆動ホイール111は、移動支軸112上に軸受け113を介して回転可能に支持されている。移動支軸112は、図17に示すように固定支軸106の回転軸線を中心にして上下に傾動可能に設けた2枚の傾動板115,115の先端部間に支持されている。両傾動板115,115は、ホルダ109の凹部109a,109bの外周側に回転可能に支持されている。両傾動板115,115が図13において反時計回り方向に傾動すると、駆動ホイール111が打ち込み方向(図13において下方)に変位する。
【0018】
両傾動板115,115には、それぞれ作動アーム部115aが放射方向へ突き出す状態に設けられている。両作動アーム部115a,115aは、連結軸115bを介して一体に結合されている。一方、ホルダ109には電磁アクチュエータ120が取り付けられている。この電磁アクチュエータ120には、前記電磁アクチュエータ42と同様のものが用いられており、その出力軸120aは圧縮ばね120bによって突き出し方向に付勢されている。この電磁アクチュエータ120に通電されると、出力軸120aが圧縮ばね120bに抗して引き込み側にストロークする。電磁アクチュエータ120への通電が遮断されると、出力軸120aは圧縮ばね120bによって突き出し側に戻される。
この電磁アクチュエータ120の出力軸120aの先端にはブラケット121が取り付けられている。このブラケット121には出力軸120aの伸縮方向に対して直交する方向に長い連結孔121aが設けられている。この連結孔121aには上記連結軸115bが挿通されている。このため、電磁アクチュエータ120が通電により作動してその出力軸120aが圧縮ばね120bに抗して引き込み方向に作動すると、両傾動板115,115が図13において時計回り方向へ一定角度だけ傾動する。
両傾動板115,115が図13において時計回り方向へ傾動すると、駆動ホイール111が反打ち込み方向(図13において上方)へ変位する。
本体ハウジング103には第1及び第2実施形態と同様ドライバ支持台130が打ち込み方向(図13において上下方向)に沿って移動可能に設けられている。このドライバ支持台130は、本体ハウジング103に回転可能に設けたガイドローラ132,133で両側を挟まれた状態で上下に移動可能に支持されている。以下の説明において、当該ドライバ支持台130の図13〜図16において右側面を正面といい、その反対側の左側面を背面(または押圧面130e)という。ドライバ支持台130の背面側にガイドローラ132が当接され、正面側にガイドローラ133が当接されて、当該ドライバ支持台130が両ガイドローラ132,133により上下に移動可能に案内されている。
このドライバ支持台130の下面にドライバ131が取り付けられている。このドライバ131は下方へ向けて長く延びており、その先端側は本体ハウジング103の下面に取り付けたドライバガイド140の打ち込み孔140a内に至っている。
【0019】
ドライバ支持台130の正面側には、相互にV字形に傾斜する2つの伝達面130a,130aがその全長にわたって形成されている。この両伝達面130a,130a間に上記駆動ホイール111の周縁が嵌め込まれて、両伝達面130a,130aにそれぞれ駆動ホイール111の傾斜面111bが線当たり状態で当接されている。
前記したようにこの駆動ホイール111は、電磁アクチュエータ120により上下に傾動する傾動板115,115の傾動先端部間に支持されているため、傾動板115,115が上方へ変位すると、駆動ホイール111が駆動ギヤ110とドライバ支持台130との間に食い込み、これにより駆動ホイール111の両傾斜面111b,111bがそれぞれドライバ支持台130の伝達面130aに押圧されることとなる。
このようにドライバ支持台130に設けた、打ち込み方向に対して左右一対の伝達面130a,130a間に、駆動ホイール111の周縁部を食い込ませて相互にV字形に配置された傾斜面111b,111bをそれぞれ伝達面130a,130aに押圧することにより、第1及び第2実施形態と同様大きな等価摩擦係数μ(e)を得ることができ、これにより高い加工精度を必要とすることなく駆動ホイール111の回転動力を効率よく伝達してドライバ支持台130の大きな駆動力Tを得ることができ、ひいては大きな打ち込み力を得ることができる。
第3実施形態に係る打ち込み機100は、上記したようにドライバ支持台130に対して駆動ホイール111を押し付ける機構に加えて、ドライバ支持台130を駆動ホイール111に押し付ける機構を備えている。従って、第3実施形態の打ち込み機100は、ドライバ支持台130のV溝(伝達面130a,130a)と駆動ホイール111の伝達部(傾斜面111b,111b)を相互に押し付け合う構成を備えている。
【0020】
ドライバ支持台130の、駆動ホイール111とは反対側(ガイドローラ132側)の側方には、一対の押圧ローラ150,150が配置されている。この押圧ローラ150,150は、本体ハウジング103に取り付けた押圧ブラケット151に支持されている。押圧ブラケット151は、その上部において固定支軸154を介してドライバ支持台130に接近離間する方向(図14において左右方向、図17において紙面に直交する方向)に傾動可能な状態で本体ハウジング103に支持されている。この押圧ブラケット151の下部には、上記固定支軸154と平行に傾動支軸153が設けられている。この傾動支軸153を介して当該押圧ブラケット151には2つの押圧レバー156,156が上下(図17では紙面に直交する方向)に傾動可能に設けられている。この押圧レバー156,156の傾動先端側に押圧支軸152を介して上記押圧ローラ150,150が回転可能に支持されている。この押圧レバー156,156は、それぞれ本体ハウジング103との間に掛け渡した引っ張りばね157により下方へ傾動する方向に付勢されている。両押圧レバー156,156は、その先端部間を上記押圧支軸152で結合されているため一体で上下に傾動する。
押圧支軸152の両端部は、それぞれ押圧ブラケット151に設けた円弧形状の溝部151aに挿通されている。この溝部151a内において押圧支軸152が移動可能な範囲で、押圧レバー156,156が傾動支軸153を中心にして上下に傾動する。
図14に示すように固定支軸154と傾動支軸153との間には、板ばね155が掛け渡されている。この板ばね155の中央には、作動ピン158が配置されている。この作動ピン158は、押圧ブラケット151の中央に設けた溝孔151bに挿通されている。この溝孔151bは、図示するように打ち込み方向に対してほぼ直交する方向に沿って長く形成されている。
【0021】
作動ピン158は、前記駆動ホイール111を回転支持する移動支軸112を介して上下に傾動可能に支持された傾動レバー160,160の傾動先端部間に固定されている。また、図14に示すようにこの作動ピン158は板ばね155の左側(ドライバ支持台130とは反対側)に位置している。これに対して傾動支軸153と固定支軸154は、板ばね155の右側(ドライバ支持台130側)に位置している。このため、板ばね155は、その両端部を傾動支軸153と固定支軸154に引っ掛けて係合させる一方、その中央部を作動ピン158によってたわみ方向に押圧された状態となっている。
こうして板ばね155がたわんだ状態に装着されることにより、作動ピン158には常時ドライバ支持台130から離間する方向(図14において左方)への付勢力が作用し、従って両押圧レバー160,160には図14において左方へ変位させる付勢力が作用しており、これにより駆動ホイール111にはドライバ支持台130と駆動ギヤ110との間に食い込ませる方向(図14において上方)の付勢力が常時作用している。この板ばね155の付勢力により、駆動ホイール111の両傾斜面111b,111bがドライバ支持台130の伝達面130a,130aにそれぞれ押圧された状態となっており、これにより駆動ホイール111の回転動力がドライバ支持台130に伝達される。
また、板ばね155の付勢力により、押圧ブラケット151は、ドライバ支持台130に接近する方向(図14において右方)へ常時付勢された状態となっている。このため、押圧ローラ150,150が常時ドライバ支持台130の押圧面130eに押圧される方向(図14において右側)に付勢されている。
一方、ドライバ支持台130の下部側の一定範囲において、その背面側の両側部には中央よりも一段低い逃がし部130b,130bが、上記2つの押圧ローラ150,150に対応して形成されている。この逃がし部130b,130bに対して押圧ローラ150,150は押圧されない。なお、図17に示すように前記したガイドローラ132はドライバ支持台130の押圧面130eの中央部であって両逃がし部130b,130bを外れた位置に当接されている。従って、両押圧ローラ150,150が逃がし部130b,130bに対して押圧された状態においても、このガイドローラ132は常時ドライバ支持台130の押圧面130eに当接されて当該ドライバ支持台130を上下にガイドしている。
また、ドライバ支持台130の上部一定範囲の背面側にも、押圧ローラ150,150が押圧されない逃がし部130cが設けられている。この上部側の逃がし部130cは、その幅方向(図において紙面に直交する方向)全幅にわたって設けられている。
【0022】
以上のように構成した第3実施形態の打ち込み機100によれば、コンタクトレバー26を相対的に上動させてドライバガイド140の先端を打ち込み材Wに接近させると、リミットスイッチ27がオンして電動モータ101が起動する。電動モータ101が打ち込み側に起動すると、駆動ベルト105を介して従動滑車104が回転し、従って駆動ギヤ110が図13において時計回り方向に一体で回転する。駆動ギヤ110の回転により、駆動ホイール111が図13において反時計回り方向に回転する。一方、電動モータ101の起動後、スイッチレバー4を引き操作すると、電磁アクチュエータ120がその出力軸120aを引き込む方向に作動する。これにより傾斜板115が図13において時計回り方向に傾動して駆動ホイール111の傾斜面111b,111bがそれぞれドライバ支持台130の伝達面130aに押圧される。この押圧状態により発生する、傾斜面111b,111bとドライバ支持台130の伝達面130a,130aとの間の摩擦により当該ドライバ支持台130が打ち込み方向に移動し、これによりドライバ131により釘nが打撃されてドライバガイド140の先端から打ち出される。
図13及び図14は、ドライバ支持台130が打ち込み方向へ移動していない待機状態を示している。この待機状態では、押圧ローラ150,150がドライバ支持台130の逃がし部130b,130bに位置して押圧されていない状態となっている。このため、上記したように電磁アクチュエータ120の作動により駆動ホイール111が打ち込み側(図13及び図14において反時計回り方向)に回転し、かつその両傾斜面111b,111bがそれぞれドライバ支持台130の伝達面130aに押圧されて当該ドライバ支持台130が打ち込み方向に移動し始めた当初は、両押圧ローラ150,150が逃がし部130b,130b内に位置して浮いた状態となっているため、ドライバ支持台130は単に駆動ホイール111とガイドローラ132との間に狭持されることにより発生する狭持力(比較的弱い駆動力T)によってのみ打ち込み方向に下動し始める。
【0023】
上記の待機状態からドライバ支持台130が下動し始めて、図15に示すように一定距離下動した段階で両押圧ローラ150,150が逃がし部130b,130bから外れて、それぞれ当該ドライバ支持台130の押圧面130eに当接する。両押圧ローラ150,150は、板ばね155の付勢力によりドライバ支持台130の押圧面130eに押し付けられる。これによりドライバ支持台130が駆動ホイール111側に押し付けられ、その反力により押圧ブラケット151が固定支軸154を中心にしてドライバ支持台130から離間する方向に僅かに傾動し、これにより作動ピン158が同方向に変位し、若しくは同方向へ変位させる外力が作用することにより駆動ホイール111がより大きな力でドライバ支持台130と駆動ギヤ110との間に食い込み、これにより駆動ホイール111の傾斜面111b,111bがより大きな押圧力で伝達面130a,130aに押圧され、ひいてはドライバ支持台130の駆動力Tが増大される。
図15に示す状態から図16に示す状態に至る間、電磁アクチュエータ120の駆動力と板ばね155の付勢力により駆動ホイール111がドライバ支持台130と駆動ギヤ110との間に強固に食い込まれた状態となり、これによりドライバ支持台130が大きな駆動力Tで下動して、釘nが打ち込まれる。
ドライバ131による釘nの打ち込み(打撃)が完了した後、ドライバ支持台130が下動端に至ると、両押圧ローラ150,150が上部側の逃がし部130cに至ってその当該ドライバ支持台130に対する押圧状態が解除される。また、通常はこの段階で、電磁アクチュエータ120への通電が0.07秒のタイマー設定により自動的に遮断されてその出力軸120aが圧縮ばね120bによって突き出し側に戻され、これにより傾斜板115,115に対して作用していた、駆動ホイール111を食い込み方向へ変位させる方向の外力が除去される。
【0024】
こうして駆動ホイール111に対して食い込み方向に作用していた圧縮ばね155の付勢力と電磁アクチュエータ120の引き込み力が解除されることにより、駆動ホイール111のドライバ支持台130と駆動ギヤ110との間への強い食い込みが解除され、これにより駆動ホイール111の傾斜面11b,111bの伝達面130a,130aに対する強い押圧状態が解除されて、ドライバ支持台130への駆動力Tの伝達が解除される。
ドライバ支持台130への駆動力Tの伝達が解除されると、当該ドライバ支持台130は、前記第1及び第2実施形態と同様、戻しゴム70,70及び巻き取りホイール60,60によるその巻き取りにより上方の待機位置側に戻される。ドライバ支持台130が上動してその上端がストッパ71に当接すると当該ドライバ支持台130は待機位置に戻された状態となる。
なお、コンタクトレバー26が相対的に上動して電動モータ101が起動したままの状態で、ドライバ支持台130が戻しゴム70,70によって上昇端位置(待機位置)に戻される過程において、押圧ローラ150,150が再びドライバ支持台130の押圧面130eに押圧され、その結果駆動ホイール111の回転により再度ドライバ支持台130が下動していわゆる二度打ちがなされることが考えられるが、本実施形態では、この二度打ちが確実に防止されるようになっている。すなわち、ドライバ支持台130の上部側の逃がし部130cの下部には押圧解除用の案内面130dが設けられている。
この案内面130dによれば、ドライバ支持台130が下降端位置から上昇し始めた直後において、両押圧ローラ150,150が当該案内面130dに干渉し、この干渉状態のままドライバ支持台130が上昇することにより押圧レバー156が引っ張りばね157に抗して傾動支軸153を中心にして図示反時計回り方向に傾動する。
両押圧ローラ150,150を支持する押圧支軸152が挿通された溝部151aは、ドライバ支持台130の押圧面130eから遠ざかる方向へ変位する円弧に沿って形成されていることから、押圧レバー156が図示反時計回り方向に傾動することにより両押圧ローラ150,150は溝部151aに沿って変位し、従ってドライバ支持台130から離間する方向に変位する。この状態が図16において二点鎖線で示されている。
こうして両押圧ローラ150,150がドライバ支持台130の押圧面130eから遠ざかる方向に変位するため、当該ドライバ支持台130が再度押圧されることを回避することができ、これによりいわゆる二度打ちが確実に防止される。
ドライバ支持台130が上昇端位置に戻されると、両押圧ローラ150,150がそれぞれ逃がし部130bに至るため、押圧アーム156は引っ張りばね157によって再び図示時計回り方向に傾動し、これにより両押圧ローラ150,150が図14に示す初期位置に戻される。
以上説明したように第3実施形態の打ち込み機100によっても、駆動ホイール111の傾斜面111b,111b(V字形の伝達部111D)がドライバ支持台130の伝達面130a,130a(V字形の伝達溝130M)に大きな押圧力で押圧され、これにより得られる大きな等価摩擦係数により大きな駆動力Tでドライバ支持台130ひいてはドライバ131を打ち込み方向に移動させて大きな打撃力を得ることができる。このことから、第3実施形態に係る打ち込み機100によっても第1及び第2実施形態と同様、高い加工精度を必要とすることなく、大きな駆動力Tを得ることができる。
【0025】
また、第3実施形態の打ち込み機100によれば、ドライバ支持台130の下動当初には、押圧ローラ150,150がそれぞれ逃がし部130bに位置してドライバ支持台130がこの押圧ローラ150,150によって押圧されない状態となるため、小さな駆動力Tでドライバ支持台130が下動し始め、これにより当該打ち込み機100スムーズな動作状態を確保することができる。これに対して、ドライバ131により釘nが打撃される段階(釘nの打ち込み段階)では、両押圧ローラ150,150が逃がし部130bから外れて当該ドライバ支持台130の押圧面130eに押圧され、これにより当該ドライバ支持台130の伝達面130a,103aに対してそれぞれ駆動ホイール111の傾斜面111bが大きな力で押し付けられ、これにより大きな駆動力Tを得ることができる。
さらに、ドライバ支持台130の背面上端部にも逃がし部130cが設けられている。この逃がし部130cによれば、釘nの打ち込みが完了してドライバ支持台130が下動端に至った段階では、両押圧ローラ150,150がこの逃がし部130cに位置して当該ドライバ支持台130の押圧されない状態となり、この場合にも伝達面130a,130aで形成されるV字溝に対する駆動ホイール111の強い食い込み状態がほぼ解除された状態となる。このため、ドライバ支持台130の待機位置への戻り段階で戻しゴム70,70及び巻き取りホイール60,60による当該ドライバ支持台130の戻し動作をスムーズに行うことができる。
また、第3実施形態の打ち込み機100によれば、駆動ホイール111の従動ギヤ部111aと駆動ギヤ110との噛み合いを通じて当該駆動ホイール111と駆動ギヤ110との間に回転方向の滑りが発生しないことから、当該駆動ホイール111を駆動ギヤ110とドライバ支持台130との間により確実に食い込ませることができ、ひいては駆動ホイール111の周縁部を、伝達面130a,130aにより形成されるV字形溝部に強固に食い込ませて大きな駆動力Tを得ることができる。
【0026】
以上説明した第3実施形態にも種々変更を加えることができる。例えば、駆動ギヤ110と駆動ホイール111の従動ギヤ部111aとの噛み合いを経て回転動力を伝達する構成を例示したが、両者間の摩擦により回転動力を伝達する構成としてもよい。
また、従動滑車104及び駆動ギヤ110を省略して、駆動ベルト105を直接駆動ホイール111に掛け渡して回転動力を伝達する構成としてもい。係る構成によっても、電磁アクチュエータ120の作動により傾動板115,115の傾動により当該駆動ホイール111の周縁部を、ドライバ支持台130の伝達面130a,130a間に食い込ませることができる。
さらに、2つの押圧ローラ150,150をドライバ支持台130の押圧面130eの両側部に押圧し、その間にガイドローラ132を転動させる構成を例示したが、逆にドライバ支持台130の押圧面130eの両側部に対して2つのガイドローラを転動させ、その間に一つの押圧ローラを押圧しつつ転動させる構成としてもよい。係る構成の場合、逃がし凹部をドライバ支持台の押圧面の幅方向の中央に設ける構成とすればよい。
また、バッテリ式の打ち込み機を例示したが、交流電源を電源とする打ち込み機にも同様に適用することができる。さらに、釘nを打ち込む打ち込み機を例示したが、タッカー等その他の打ち込み機についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る打ち込み機の内部構造全体の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る打ち込み機の内部構造を、図1の矢印(2)方向から見た図である。
【図3】第1実施形態の打ち込み機の側面図である。本図は、ドライバ支持台が下動端に至って打ち込みが完了した段階の内部構造を示している。
【図4】図2の(4)-(4)線断面矢視図であって、左右の駆動ホイール間への伝達部の食い込み状態を示す横断面図である。
【図5】押圧機構の動作を示す側面図である。本図は、押圧部材41がドライバ支持台に押圧されていない時の状態を示している。
【図6】押圧機構の動作を示す側面図である。本図は、押圧部材41がドライバ支持台に押圧された時の状態を示している。
【図7】戻しゴムを巻き取る巻き取りホイールの側面図である。
【図8】巻き取りホイールの横断面図であって、戻しゴムの一端側の固定状態を示す図である。
【図9】ドライバ支持台の平面図であって、戻しゴムのドライバ支持台側の端部の固定状態を示す図である。
【図10】ドライバ支持台の側面図であって、戻しゴムのドライバ支持台側の固定状態を示す図である。
【図11】図4の要部拡大図であって、左右の駆動ホイールと伝達部に対する力の付加状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る打ち込み機における伝達部の駆動ホイール間への食い込み部周辺の横断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る打ち込み機の内部構造全体の側面図である。
【図14】第3実施形態に係る打ち込み機の駆動部周辺の側面図である。本図は、ドライバ支持台が待機位置に位置する段階を示している。
【図15】第3実施形態に係る打ち込み機の駆動部周辺の側面図である。本図は、ドライバ支持台が下動し始めた段階を示している。
【図16】第3実施形態に係る打ち込み機の駆動部周辺の側面図である。本図は、ドライバ支持台が下動端に至った段階を示している。
【図17】図14の(17)-(17)線断面矢視図であって、駆動部の横断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…打ち込み機(第1実施形態)
2…本体部
4…スイッチレバー
5…マガジン
n…釘(打ち込み具)
W…打ち込み材
10…本体ハウジング
11…電動モータ
12…駆動滑車
16…駆動ベルト
20…ドライバ支持台
20a…伝達面、20b…伝達部
21…ドライバ
25…ドライバガイド
C…制御装置
30…駆動ホイール
40…押圧機構
41…押圧部材(押圧ローラ)
42…電磁アクチュエータ
44…作動アーム
50…押圧アーム
T…ドライバ支持台の駆動力
P…押圧部材の押圧力
μ(e)…等価摩擦係数
60…巻き取りホイール
70…戻しゴム
80…駆動ホイール(第2実施形態)
100…打ち込み機(第3実施形態)
101…電動モータ
105…駆動ベルト
110…駆動ギヤ
111…駆動ホイール、111D…伝達部
111a…従動ギヤ部、111b…傾斜面
115…傾動板
120…電磁アクチュエータ
130…ドライバ支持台、130M…伝達溝
130a…伝達面、130b,130c…逃がし部、130e…押圧面
150…押圧ローラ
155…板ばね
156…押圧レバー
158…作動ピン
160…傾動レバー


【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【代理人】 【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−73805(P2008−73805A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−255666(P2006−255666)