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【発明の名称】 打込機
【発明者】 【氏名】丹治 勇

【氏名】平井 昇一

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気によって駆動され、シリンダと、シリンダ内を往復動するように配置され、釘やねじ等の止め具を打込むドライバが連結されたピストンと、前記シリンダを外側から覆うように設けられて内部に圧縮空気を溜める蓄圧室を有するハウジングと、前記シリンダ内への圧縮空気の供給を阻止して前記ピストンを静止位置に維持する位置と、前記シリンダ内に圧縮空気を供給して前記ピストンを止め具の打撃位置に移動させる位置とを上下移動するメインバルブとを備え、前記メインバルブはシリンダ上方の外側を長手方向にスライドする筒状体として形成されて、メインバルブの接離によって蓄圧室とシリンダ内の連通を断続し、さらに、メインバルブの接離によってシリンダと大気間の連通を断続する可撓性材からなるシール部材Bとを備え、前記シリンダ内に圧縮空気を流入させてドライバの先端で釘やねじ等の止め具を射出口から被打込み材に打込む打込機であって、前記ハウジング内上面部にピストンが上部に戻る力を受けて停止するためのゴムなどの可撓性のある材料から形成したヘッドバンパを形成し、前記ヘッドバンパの外周から伸びた脚部がシリンダ上部外周と勘合するよう覆うとともに、メインバルブに向けて延びるリング状のシール部材Aを有し、前記脚部はハウジング13内上面部14とシリンダ上部との間で狭持して押し圧した状態として、更に前記シール部材Aをメインバルブが上部静止位置のときメインバルブの内壁面と接触してシール可能とし、メインバルブが下降して移動した際は前記シール部材Bがメインバルブの内壁面と接触してシールする構造において、前記メインバルブの内壁面がシール部材Aの接触から離脱するとほぼ同時に、メインバルブの内壁面がシール部材Bとも接触した状態となる構成であることを特徴とする打込機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮空気を動力源とし釘などの止具を打込む打込機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の打込機の一例を、図6〜図7を用いて説明する。図示しない圧縮機からの圧縮空気は図示しないエアホースを介して打込機本体1内の蓄圧室2に蓄積される。打込機本体1内には円筒状のシリンダが設けられ、シリンダ内には往復移動可能にピストンが支持されている。
【0003】
シリンダの上方外周に円筒状のメインバルブが往復移動可能に支持されている。メインバルブ下方には図示しないトリガ部からの空気通路と連通するメインバルブ室が形成され、蓄圧室の圧縮空気がトリガ部、空気通路を経て、メインバルブ室内に蓄積されている。メインバルブ室にはスプリングが設けられ、メインバルブを常時上方に付勢している。
【0004】
メインバルブの上部にはシール部材Cが装着され、メインバルブの上死点位置でハウジング内上面部をシールし、通常、蓄圧室内の圧縮空気がピストン上室ヘ流入するのを防いでいる。
【0005】
一方、シリンダの上部には小径の嵌合部が形成され、嵌合部には、リング状のゴムから成り、外向きに突出した半円状のシール部を成すシール部材Bが嵌合されている。メインバルブの上部内壁面はシール部材のB外径より小さく、中央部内壁には凹状にえぐられておりシール部の外径より大きく設定されている。中央部内壁には複数個の排気穴が設けられ、ピストン上室は、通路、排気穴を経て大気に連通している。
【0006】
前記トリガ部を操作すると、メインバルブ室内の圧縮空気は空気通路、トリガ部を経て大気へ放出され、蓄圧室内の圧縮空気によるメインバルブ上部に加わる受圧力がスプリング力に打ち勝ち、メインバルブを下降させる。
【0007】
図7に示すようにメインバルブ上部とハウジング内上面部とのシールが開放され、蓄圧室の圧縮空気がピストン上室へ流入すると、ピストンは急激に下降し、射出口内の釘が打ち出され、同時にメインバルブの上部内壁とシール部材Bのシール部とが接触シールして、ピストン上室と通路、排気穴間が閉じられ、ピストン上室の圧縮空気が大気へ流出するのを防ぐ。また、下死点にあるピストンに隣接する位置のシリンダの外周には、戻り室が形成されており、ピストンが下降するときの圧縮空気がそこに溜められる。
【0008】
次に、トリガを離すと再び圧縮空気が空気通路をへてメインバルブ室内に流入し、これによりメインバルブが下部の圧力で上昇するため、メインバルブが上方の静止位置近くに移動し、シール部材Bによるシールが解除され、シリンダの外周とメインバルブの内側の間に形成した通路を経由してメインバルブに開口した排気穴から、ピストンの上面側に供給された圧縮空気を大気に排出し始める。更にメインバルブが完全に上昇すると、蓄圧室の圧縮空気がピストン上室へ流入するのを停止する。ピストン上面側の圧縮空気が排気穴へ流れると、ピストンの上面側の圧力が低下するため、戻り室の圧縮空気がピストンの下面側に作用して、ピストンとドライバをシリンダの上部に形成されたヘッドバンパに当接する静止位置すなわち上死点に急激に復帰させ、ヘッドバンパがピストンが戻る際の余剰エネルギーを吸収し、打込みを終了する。
【0009】
【特許文献1】特開2001−198850号公報
【特許文献2】特開2004−74299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の打込機において、メインバルブが下降すると、蓄圧室の圧縮空気がメインバルブ上面からシリンダ内に流入するが、このとき、メインバルブの上面のシール部材Cのシールが解除されるとき、メインバルブの内壁とシール部材Bとは接触していない状態となる。このため、メインバルブのシールが解除した瞬間、蓄圧室と通路を介して排気穴が連通してしまい、排気穴から大気に圧縮空気が流出してしまい、打込み力の低下や、圧縮空気の消費量の増大を招いていた。
【0011】
上記特許文献2の打込機においては、上気した圧縮空気の大気への流出を防止するため、蓄圧室の圧縮空気をシリンダ上部へ供給するのを停止するようハウジング内部の上部に形成された凹溝にメインバルブ内径に向けて延びる筒状に形成されたシール部材Aが装填され、メインバルブ内壁との間で圧縮空気の入口を形成する構造となっており、メインバルブの上部内壁と協働して断続接触することで流入路の開閉を行い、通路からの圧縮空気の大気への遮断はメインバルブの内側のシール部材Bと協働して行われ、排気路を開閉する。シール部材Aはメインバルブの上部内壁との摩擦力により下方向に押し下げ荷重を受け、また、同時に圧縮空気の圧力も受けることとなる。このため、ハウジングの凹溝からシール部材Aが脱落したり、シール部材Aが外側へめくられてメインバルブの上部内壁との間でかみ込みが生じることがあった。
【0012】
特に最近、打込機本体の小形、軽量化を狙って注目されている高圧仕様(使用圧力20気圧〜30気圧)の打込機においては、上記した不具合がより顕著となることとなっていた。
従って、本発明の目的の一つは、メインバルブが動作するのと同時に、蓄圧室の圧縮空気が排気通路をへて排気穴から大気に連通して放出されることを防止すると共に、流出防止を行うためのシール部材が高圧の圧縮空気を使用しても、筒状に形成されたシール部材が脱落などの不具合が無く、シリンダの外側をスライドするメインバルブとの間でシール機能を維持可能な打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的は、シリンダの外側を長手方向にスライドする筒状体のメインバルブと、シリンダ外周に設けられたゴムなどの可撓性のリング状のシール部材Aをメインバルブ内壁と接触可能に形成し、前記シール部材Aとメインバルブの内壁との接離によって蓄圧室とシリンダ内の連通を断続させ、シール部材Aの上方には延長した脚部が連続して設けられ、シリンダ上部とハウジング上部内面との間に配設された円盤状のヘッドバンパから外周に伸びた外周と一体とし、前記脚部から形成された凹部内にシリンダを収容し、シリンダ外周に前記更にシール部材Aを勘合させ、かつ、シリンダ上面とハウジング内上面部との間で弾性変形させることによりにより達成される。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、シール部材Aの脚部をシリンダの上方に設けられたヘッドバンパから連通して形成するとともに、シール部材Aをシリンダの上部外周に嵌合させるように装着し、メインバルブが静止時にメインバルブの内壁と接触可能としたため、シール部材Aからメインバルブの内壁が離脱するとほぼ同時に、メインバルブの内壁とシール部材Bが接触し始めるため、蓄圧室から圧縮空気がシリンダ内に流入する際、圧縮空気の一部が通路から排気穴を介して大気に連通することがなく、圧力の低下を防止するため打込み力が向上し、さらに無駄な空気消費量も減らすことが可能となる。
【0015】
また、メインバルブ下降時に、シール部材Aを摩擦で引き下げる荷重や、メインバルブの近傍を通る蓄圧室からの高速の圧縮空気によって押し下げ荷重が加わっても、シール部材Aはシリンダ上部とハウジング内上面部でヘッドバンパから連続した脚部が押し圧されて保持されているため、シール部材Aがメインバルブの内側にかみ込んで巻き込まれることがなく、また、シール部材がメインバルブの所定の取付け位置からずれることはない。このため、部材Aの脱落や、かみ込み等の不具合がなく、高圧仕様の打込機でも十分採用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明を一実施形態を示した図1〜図4を参照して説明する。
図示しない圧縮機からの圧縮空気は、図示しないエアホースを介して打込機本体1内の蓄圧室2に蓄積される。打込機本体1内には円筒状のシリンダ3が設けられ、シリンダ3内には往復移動可能にピストン4が支持されている。ピストン4の下部にはドライバ5が一体となって形成され、図示しない給送手段により射出口6内に送られた止め具28を前記ドライバ5の先端で打込むようになっている。
【0017】
シリンダ3の上方外周には円筒状のメインバルブ7が上下往復移動可能に支持されている。メインバルブ7の下方にはトリガ部8からの空気通路9と連通するメインバルブ室10が形成され、蓄圧室2内の圧縮空気がトリガ部8、空気通路9を経て、メインバルブ室10内に蓄積される。メインバルブ室10にはスプリング11が設けられ、メインバルブ7を常時上方に付勢している。
【0018】
メインバルブ7の上部には環状のゴムから成るシール部材C12が装着され、メインバルブ7の上死点位置でハウジング13内上面部14をシールし、ハウジング13内のメインバルブ7外周に形成された蓄圧室2の圧縮空気がシリンダ3内のピストン上室15ヘ流入するのを防いでいる。また、前記シリンダ3の上部には、シリンダからピストン上室15ヘ圧縮空気の流入を可能にするための流入口35が形成されている。
【0019】
図2に示すように、ハウジング13内上面部14の中央にはヘッドバンパ30が形成されており、ピストンが戻るときの力を受けて、上死点に停止させる構造となっている。また、シリンダ3の上部の外周にはメインバルブ7の内壁面22に向けて延びるリング状のシール部材A31がシリンダ3の上部外周に勘合するように配設されている。メインバルブ7の上部内壁面22はシール部材A31の外径とほぼ同径か、または、小さく設定されており、メインバルブ7が上部静止位置のときメインバルブ7に外周から圧縮空気の力がかかると、シール部材A31と内壁面22が確実に接触してシール可能としている。また、前記シール部材A31から上部に伸びてL字状となっている脚部32は、ヘッドバンパ30の外周と連続しながら凹部34を形成しており、前記凹部34内には前記シリンダ3の上部を収容し、ハウジング13内上面部14とシリンダ上部との間で凹部34を狭持し、押し圧した状態としている。
【0020】
シール部材B18は、シリンダ3の上部に形成された小径の嵌合部16の外径とほぼ等しくした内径をしたリング状ゴムで形成され、上方部が外向きに突出してほぼ断面半円状のシール部19と下方部の脚部20とからなり、この脚部20をシリンダ3に形成された溝17へ挿入して装着される。シール部材B18の上部内壁には上方が外側に広くなる面取り部21が設けられ、その範囲は外方に突出した断面半円状のシール部19の頂点位置(シール点)より下側まで形成されている。この結果シール部材B18の内外面に作用する圧縮空気の圧力にうち内面すなわち面取り部21に作用する圧力が大きくなるので、シール部材B18は外方に押されるようになる。
【0021】
メインバルブ7の上部内壁22はシール部19の外径より小さく、中央部内壁23は一部凹にえぐれた形成をなしシール部19の外径より大きく設定されている。中央部内壁23には複数個の排気穴24が設けられ、ピストン上室15は、通路26、排気穴24を経て大気に通じている。
【0022】
トリガ部8を操作すると、メインバルブ室10内の圧縮空気は空気通路9、トリガ部8を経て大気へ放出される。この時、蓄圧室2の圧縮空気によるメインバルブ7上部に加わる受圧力がスプリング11の力に打ち勝ち、メインバルブ7を下降させる。
【0023】
こうして図3に示すようにメインバルブ7上部とハウジング13内上面部14とのシールが開放され、蓄圧室2の圧縮空気がシリンダ3上部の流入口35からピストン上室15へ流入し、ピストン4を急激に下降させ、一体連結されたドライバ5の先端によって射出口6内の止め具28釘が打ち出される。
【0024】
メインバルブ7が静止状態から下降し始め、シール部材A31から接触が離脱し始めたとほぼ同時に、メインバルブ7の上部内壁面22とシール部材B18のシール部19とが接触シールするため、ピストン上室15と、通路26、排気穴24間が閉じられ、ピストン上室15に流入する圧縮空気が大気へ流出する事がなくなり、ピストン上室15の圧力が下がることがないので打込み力が増すと共に、圧縮空気が外にもれ出ることが無いため、空気消費量も低減することとなる。
【0025】
また、シール部材A31からメインバルブ7の上部内壁面22の接触が離脱する瞬間は、メインバルブ7からシール部材A32に摩擦による引き下げ荷重と、蓄圧室からの圧力による力が加わるが、シール部材A31は上部に連結した脚部32がヘッドバンパ30と連続して形成されて、その間に凹部34を形成して、シリンダ3の上部を収納していることから、高圧の空気を使用しても、容易に脱落することは無く、シール機能が損なうことない。
【0026】
また、今回はメインバルブ7の上部には環状のゴムから成るシール部材C12を有した打込機の例を示したが、図5に記載したように、シール部材C12が装着されない構造においても、前記したように、ピストン上室15の圧縮空気が、メインバルブ7が下降した瞬間、大気へ流出する事がないため前記した構造と同様の効果を奏する。また、同時に、シール部材A31から脚部32を介してヘッドバンパ30と一体に連結しているため、万が一ヘッドバンパ30の背面に圧縮空気が入り込んだ場合でも、シリンダ3上部で、ヘッドバンパ30の脱落を防止が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明打込機の一実施形態を示す縦断側面図。
【図2】図1の要部拡大断面図。本発明打込機を構成するシール部材とシリンダを示す断面図。
【図3】図2のメインバルブ下死点に移動させた状態を示す断面図。
【図4】図1のメインバルブがシール部材Aとの接触が離れたる瞬間を示した要部拡大断面図。
【図5】図1の他の発明の例を示す要部拡大断面図
【図6】従来の打込機の一例を示す要部拡大断面図。
【図7】図6のメインバルブ下死点に移動させた状態を示す要部拡大断面図。
【図8】図6のメインバルブがハウジング内上面部との接触が離れた瞬間を示した要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0028】
2は蓄圧室、3はシリンダ、4はピストン、5はドライバ、6は射出口、7はメインバルブ、13ハウジング、14は内上面部、18はシール部材B、28は止め具、30はヘッドバンパ、31はシール部材A、32は脚部である。
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月13日(2006.9.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−68344(P2008−68344A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−248084(P2006−248084)