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【発明の名称】 留め具打込機
【発明者】 【氏名】西田 昌史

【氏名】石沢 禎紀

【要約】 【課題】本発明の目的は、留め具空打ち防止機構において、マガジン内の所定量以下の残量留め具がノーズ部に詰まったり、ノーズ部を損傷するという問題を回避した留め具打込機を提供することにある。

【構成】留め具空打ち防止機構を有する留め具打込機1において、ノーズ部3またはマガジン部5に保持されたロックアーム52の中間部52cは、ノーズ部3またはマガジン部5に設けられた支軸53に対して、回動可能に支持されると共に支軸53から離間してノーズ射出孔3aの方向に移動可能に支持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具を打込むドライバブレードを有し、該ドライバブレードに往復運動を与える駆動機構を有する打込機本体と、
前記ドライバブレードの往復運動を案内し、かつ留め具が供給されるノーズ射出孔を有するノーズ部と、
一端部が前記ノーズ部に係合され、前記ノーズ射出孔の延在方向と交差する方向に延びた他端部を有するマガジン部であって、該マガジン部内に装填される連結形式の複数の留め具を前記ノーズ射出孔内に前記他端部側より押圧し、前記ノーズ射出孔内の留め具打込後の残量留め具を前記ノーズ射出孔へ前進させるフィーダを内包するマガジン部と、
前記ノーズ射出孔の先端部より付勢されて突出した前方位置と、押圧したときに前記ノーズ射出孔先端部近くへ後退した後方位置との間で、前記ノーズ射出孔の延在方向と平行方向に移動可能に設けられたプッシュレバーと、
前記プッシュレバーの前記後方位置への押圧操作と共働する操作によって前記打込機本体の前記駆動機構の起動を制御するトリガレバーと、を具備する留め具打込機において、
一端部から他端部に延在し、かつ該両端部間の中間部が前記ノーズ部または前記マガジン部に保持されるロックアームと、
前記マガジン部に装填された留め具の残量が所定量以下に減少したとき、前記ロックアームの前記一端部と係合し、該ロックアームの前記一端部を前記ノーズ射出孔方向へ押圧するように前記フィーダに形成されたフィーダ係合部と、
前記ロックアームの前記一端部が押圧されたとき、前記ロックアームの前記他端部と係合するように前記プッシュレバーに形成されたプッシュレバー係合部と、から構成された空打ち防止機構を有し、
前記ノーズ部または前記マガジン部に保持された前記ロックアームの前記中間部は、前記ノーズ部または前記マガジン部に設けられた支軸に対して、回動可能に支持されると共に前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動可能に支持されることを特徴とする留め具打込機。
【請求項2】
前記ロックアームの前記中間部には前記支軸の径より大きな回動用穴部または回動用切込部が形成され、前記回動用穴部または回動用切込部の内周面の一部が前記支軸によって回動可能に支持され、かつ前記回動用穴部または回動用切込部内において、前記内周面の前記支持部が前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動可能に支持されることを特徴とする留め具打込機。
【請求項3】
前記プッシュレバーの前記前方位置において前記マガジン部に装填された留め具の残量が前記所定量に減少して前記フィーダ係合部が前記ロックアームの前記一端部を押圧した場合、前記支軸を支点として前記ロックアームを回動させることによって、前記ロックアームの前記他端部を前記プッシュレバー係合部に係合させ、前記プッシュレバーの前記前方位置から前記後方位置への移動を停止させ、
前記プッシュレバーの前記後方位置において前記マガジン部に装填された留め具の残量が前記所定量以下に減少して前記フィーダ係合部が前記ロックアームの前記一端部側を押圧した場合、前記プッシュレバー係合部を前記ロックアームの前記他端部を支持する支持部として作用させることによって、前記ロックアームの前記中間部を前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動させ、留め具の残量が前記所定量以下となっても前記フィーダの送り部が前記留め具を押圧できるように構成したことを特徴とする留め具打込機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、釘、鋲、ステープル等の留め具を加工物に打込むための留め具打込機に関し、特に、留め具の空打ち防止機構を備える留め具打込機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、釘、鋲、ステープル等の留め具を打込むドライバブレードに往復運動を与える空気式や燃焼式の打込機本体の駆動機構にはシリンダ内で往復運動を行なうピストンが使用され、シリンダの端部には留め具打込み後のドライバブレードの余剰エネルギーを吸収するための衝撃緩和用バンパが設けられる。同様に、電動モータで駆動されるフライホイールの回転駆動力を直線駆動力に変換してドライバブレードに伝達する電動式打込機本体においてもドライバの往復路の端部には衝撃緩和用バンパが設けられる。
【0003】
これらの留め具打込機は、打込機本体に取付けられたノーズ部に多数の連結留め具が装填されたマガジンを係合させ、ノーズ部に留め具を順次供給しドライバブレードの往復運動によって打込むものである。また、打込み往復運動を与える打込機本体の駆動機構は、プッシュレバーの押圧操作とトリガレバーの引き操作との連動操作に基づく機械的リンク機構の動作または両レバー操作に基づくANDゲート電気回路の動作によってドライバブレードの駆動機構を起動するように構成されている。従って、ノーズ部に留め具が装填されていない状態で、プッシュレバー等の押圧操作を行なうことによりドライバブレードを駆動して空打ちすると、シリンダ内等に配設された衝撃緩和用バンパ等に過大な衝撃が加わって打込機本体の耐久性を著しく低下させ、もしくは打込機本体またはノーズ部を損傷させるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、例えば下記特許文献1に開示されているように、留め具打込機に空打ち防止機構を設けたものが周知である。この種の空打ち防止機構は、マガジン内に連結形式で装填された留め具の残量が所定量以下となって、マガジン内のフィーダが所定位置へ前進したときに、フィーダに設けたフィーダ係合部に押されて移動するロックアームがプッシュレバーの移動を禁止し、ドライバブレードの駆動機構の起動を停止するものである。
【0005】
【特許文献1】特開平8−141933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者は、従来の留め具打込機の空打ち防止機構について検討している段階で、次のような問題点があることを見出した。
【0007】
すなわち、正常動作において、マガジン内に装填された連結留め具の残量が所定量(設定残量)となってフィーダがマガジン内の所定位置へ前進したときに、フィーダに設けたフィーダ係合部がロックアームの一端部を押圧し、ロックアームの他端部がプッシュレバーの係合部に係合してプッシュレバーの押圧移動を禁止する。これによって、ドライバブレードの打込み動作は起動されることはない。すなわち、マガジン内に装填された連結留め具(例えば、釘)の残量が所定量(例えば、釘4本)に減少したとき、ロックアームの他端部がプッシュレバーの移動に対しストッパーとして係合するために、プッシュレバーの押圧操作が不可能となり、ドライバブレードの打込み動作は起動されることはない。
【0008】
しかし、打込機の操作方法として一般的には実施されていないが、不用意にプッシュレバーを加工物へ押圧したままで、トリガレバーのみを連続的に引いてドライバブレードの打込み動作を連続して行なう、いわゆる、プッシュレバーの引き摺り打込み操作を行なった場合、所定量以下の残量留め具はフィーダによってノーズ射出孔の正しい位置に押圧されなくなる。このため、所定量以下の残量留め具はマガジン内のフィーダとノーズ射出孔との間の空間の不安定な位置に存在することとなるので、この状態でノーズ射出孔にドライバブレードを打撃すると、ノーズ部に釘等の留め具が詰まったり、留め具がノーズ部を損傷するという問題が発生する。
【0009】
また、マガジン内の残量留め具が上記所定量(設定量)に減少した直後のロックアームの他端部とプッシュレバーとの係合は、薄い若しくは弱い状態で行なわれる。この状態でプッシュレバーを次の加工物へ押圧したとき、プッシュレバーを加工物に押圧した時に生ずる衝撃等によりロックアームとプッシュレバーとの弱い係合が解除される場合がある。この状態でトリガレバーを引いてノーズ射出孔にドライバブレードを打撃すると、上記プッシュレバーの引き摺り打込みと同様に、ノーズ部に釘等の留め具が詰まったり、留め具がノーズ部を損傷するという問題が発生する。
【0010】
従って、本発明の目的は、留め具空打ち防止機構において、マガジン内の所定量以下の残量留め具がノーズ部に詰まったり、ノーズ部を損傷するという問題を回避した留め具打込機を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、空打ち防止機構の信頼性および耐久性を向上させた留め具打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
本発明の一つの特徴によれば、留め具を打込むドライバブレードを有し、該ドライバブレードに往復運動を与える駆動機構を有する打込機本体と、前記ドライバブレードの往復運動を案内し、かつ留め具が供給されるノーズ射出孔を有するノーズ部と、一端部が前記ノーズ部に係合され、前記ノーズ射出孔の延在方向と交差する方向に延びた他端部を有するマガジン部であって、該マガジン部内に装填される連結形式の複数の留め具を前記ノーズ射出孔内に前記他端部側より押圧し、前記ノーズ射出孔内の留め具打込後の残量留め具を前記ノーズ射出孔へ前進させるフィーダを内包するマガジン部と、前記ノーズ射出孔の先端部より付勢されて突出した前方位置と、押圧したときに前記ノーズ射出孔先端部近くへ後退した後方位置との間で、前記ノーズ射出孔の延在方向と平行方向に移動可能に設けられたプッシュレバーと、前記プッシュレバーの前記後方位置への押圧操作と共働する操作によって前記打込機本体の前記駆動機構の起動を制御するトリガレバーと、を具備する留め具打込機において、一端部から他端部に延在し、かつ該両端部間の中間部が前記ノーズ部または前記マガジン部に保持されるロックアームと、前記マガジン部に装填された留め具の残量が所定量以下に減少したとき、前記ロックアームの前記一端部と係合し、該ロックアームの前記一端部を前記ノーズ射出孔方向へ押圧するように前記フィーダに形成されたフィーダ係合部と、前記ロックアームの前記一端部が押圧されたとき、前記ロックアームの前記他端部と係合するように前記プッシュレバーに形成されたプッシュレバー係合部と、から構成された空打ち防止機構を有し、前記ノーズ部または前記マガジン部に保持された前記ロックアームの前記中間部は、前記ノーズ部または前記マガジン部に設けられた支軸に対して、回動可能に支持されると共に前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動可能に支持される。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、前記ロックアームの前記中間部には前記支軸の径より大きな回動用穴部または回動用切込部が形成され、前記回動用穴部または回動用切込部の内周面の一部が前記支軸によって回動可能に支持され、かつ前記回動用穴部または回動用切込部内において、前記内周面の前記支持部が前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動可能に支持される。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記プッシュレバーの前記前方位置において前記マガジン部に装填された留め具の残量が前記所定量に減少して前記フィーダ係合部が前記ロックアームの前記一端部を押圧した場合、前記支軸を支点として前記ロックアームを回動させることによって、前記ロックアームの前記他端部を前記プッシュレバー係合部に係合させ、前記プッシュレバーの前記前方位置から前記後方位置への移動を停止させ、前記プッシュレバーの前記後方位置において前記マガジン部に装填された留め具の残量が前記所定量以下に減少して前記フィーダ係合部が前記ロックアームの前記一端部側を押圧した場合、前記プッシュレバー係合部を前記ロックアームの前記他端部を支持する支持部として作用させることによって、前記ロックアームの前記中間部を前記支軸から離間して前記ノーズ射出孔方向に移動させ、留め具の残量が前記所定量以下となっても前記フィーダの送り部が前記留め具を押圧できるように構成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空打ち防止機構に従えば、ノーズ部またはマガジン部に保持されたロックアームの中間部は、ノーズ部またはマガジン部に設けられた支軸に対して、回動可能に支持されると共に支軸から離間してノーズ射出孔方向に移動可能に支持されるので、プッシュレバー係合部をロックアームの他端部を支持する支持部として作用させた場合、ロックアームの一端部は、ロックアームの中間部を支軸から離間してノーズ射出孔方向に移動させることができる。これによって、マガジン内の留め具の残量が所定量以下となってもフィーダの送り部が留め具を押圧できる。このため、所定量以下の残量留め具はマガジン内のフィーダとノーズ射出孔との間の空間の不安定な位置に存在することなく、常にノーズ射出孔内の正しい位置に押圧されることとなるので、この状態でノーズ射出孔にドライバブレードを打撃すれば、ノーズ部に釘等の留め具が詰まったり、留め具がノーズ部を損傷するという問題が回避できる。従って、空打ち防止機構の信頼性および耐久性を向上させるこができる。
【0017】
本発明の上記およびその他の目的、ならびに上記および他の特徴は、以下の本明細書の記述および添付図面からさらに明らかとされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を圧縮空気式の釘打込機に適用した実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本発明の釘打込機に関する以下の説明では、釘打込機によって釘等の留め具が打込まれる方向を水平方向に設置した状態で、便宜上、留め具が打込まれる方向を「左方向または右方向」と表現したが、特別な実施形態または意図に限定するものではない。留め具が打込まれる方向を垂直方向に設置した状態では、「下方または下部」、その対向方向を「上方または上部」の意味として説明することができ、それらはいずれも本発明の要旨を限定するものではない。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る釘打込機の全体正面図(一部断面を含む)で、図2は、図1に示した実施形態に係る釘打込機の全体背面図(外観図)で、留め具が打込まれる方向は、図1の右手側から左手側への方向(左方向)とは反対に、左手側から右手側への方向(右方向)として図示されている。
【0020】
[釘打込機の全体構成]
釘打込機1は、釘打込機本体2と、ノーズ部3およびマガジン部5から成るノーズ組立部4とから構成される。釘打込機本体2は、シリンダ6およびピストン7等のドライバブレード11の駆動機構を包囲する部分と、釘打込機1を把持するためのハンドル部8および蓄圧室14の一部を形成する部分とから成るハウジング9によって包囲されている。
【0021】
ハンドル部8の一端部(下端部)にはエアプラグ10が設けられ、塵埃侵入防止用のダストキャップ12が被せられているが、釘打込機本体2を動作させる場合はダストキャップ12を外して、エアプラグ10に図示しない圧縮機からのエアホースを接続して、圧縮空気を供給する。また、ノーズ組立部4のノーズ部3は、本体2の一端部に配設され、ノーズ組立部4のマガジン部5の一端は釘打込機本体2のハンドル部8に締付具(ボルト・ナット)13によって取付けられている。
【0022】
ピストン7の駆動源となる圧縮空気はエアプラグ10を介して釘打込機本体2内の蓄圧室14に貯蔵される。釘打込機本体2内にはシリンダ6が設けられ、該シリンダ6内には左右方向に往復運動可能なピストン7が設けられる。ピストン7はその左面(ノーズ部3側)に一体に取り付られたドライバブレード11を有する。ドライバブレード11の先端部によって、マガジン部5からノーズ部3内に装填される連結釘(留め具)15の頭を順次打撃する。
【0023】
図1に示すように、シリンダ6の左方部には、ドライバブレード11がピストン7とともに軸方向の左方向(下死点側)に移動したときに、そのドライバブレード11を案内するノーズ射出孔3aを配設し、ノーズ射出孔3aより木材のような加工物(図示なし)へ釘15が打ち出される。ピストン7の外周部にはピストン7をシールするために、ゴム等の可撓性材料からなる周知のOリング7aが設けられている。
【0024】
シリンダ6の右方部(上死点側)には、可撓性材料からなるヘッドバルブ(メインバルブ)16が区画部9aの内壁面に左右方向(上下方向)に摺動可能に収納されている。ヘッドバルブ16は、ヘッドバルブスプリング16aの押圧力とトリガバルブ17へ連通する図示されないヘッドバルブ制御通路に流入した圧縮空気の押圧力とによって、その左死点側(下死点側)に付勢されている。
【0025】
操作者によって操作される操作部は、トリガレバー18と、トリガレバー18に回動可能に装着されたアームプレート19と、ノーズ射出孔3aの先端から突き出し、アームプレート19に係合するようにアームプレート19の近傍まで延びるプッシュレバー20とを具備し、プッシュレバー20の押圧操作にリンクしてトリガレバー18を操作できるように構成されている。すなわち、プッシュレバー20の後方位置への押圧操作と共働するトリガレバー18の操作によってトリガバルブ部17の開閉を制御してピストン7の往復運動を起動させる。
【0026】
図2に示されるように、プッシュレバー20は、ノーズ部3(ノーズ射出孔3a)の先端より突出する先端部20aと、アームプレート19に係合する後端部20bとを有し、先端部20aから後端部20bまでノーズ射出孔3aの延在方向と平行してノーズ部3の背面側に延設されている。プッシュレバー20にはプッシュレバー20の全体の長さを調整するためにアジャスタ部21が装着され、アジャスタ部21内に設けられた付勢バネ(図示なし)によりプッシュレバー20の全体がノーズ部3の先端より前方位置に付勢されている。通常状態で工作物にプッシュレバー20の先端部20aを押圧した場合、その先端部20aはノーズ部3(ノーズ射出孔3a)の先端近傍の後方位置へ後退移動する。図1に示したように、この先端部20aの移動によりプッシュレバー20の全体がトリガレバー18側に移動し、プッシュレバー後端部20bがアームプレート19に係合し、トリガレバー18による起動操作を可能とする。
【0027】
図1において、ヘッドバルブ16を押圧するための制御通路(図示なし)は、トリガバルブ部17へ接続され、トリガバルブ部17のプランジャ17aの左右開閉(上下開閉)に従って、釘打込機本体2の外部大気または蓄圧室14に蓄積されている圧縮空気と連通する。更に詳細に言えば、プランジャ17aは、トリガバルブ部17内に設けられた、バルブピストンと共働し、プランジャ17aの左右動(上下動)に従って、ヘッドバルブ制御通路を、大気へ連通させるか、または圧縮空気で満たされた蓄圧室14へ連通させる。すなわち、図1に示されたように、プランジャ17aが左方状態(下方状態)にある場合、言い換えれば、トリガバルブ部17内のコイルバネにより左方位置(下方位置)に付勢されている場合、ヘッドバルブ制御通路は蓄圧室14と連通し、圧縮空気が供給される。逆に、プランジャ17aがアームプレート19およびトリガレバー18によって右方向(上方向)に引上げられた場合、ヘッドバルブ16を押圧するための制御通路はトリガバルブ部17を介してその近傍の外部大気と連通する。釘打ち操作において具体的に説明するならば、プッシュレバー20が加工物に押圧されて、該プッシュレバー20が後方に後退し、これによってアームプレート19が押し上げられた状態で、更にトリガレバー18がトリガバルブ17方向(上方向)に引かれた場合、上記したように、プランジャ17aが左方向(上方向)へ押し込まれて、ヘッドバルブ制御通路は、トリガバルブ部17を通して大気と連通する。これによって、ヘッドバルブ16はX方向の上死点側へ移動し、ピストン7とヘッドバルブ16とに区画されるピストン上室27を蓄圧室14に連通させ、蓄圧室14より圧縮空気をピストン7のピストン上室27に供給し、ピストン7を左方向(下方向)に運動させ、ピストン7に一体に取付けられたドライバブレード11に打撃力を与える。
【0028】
シリンダ6の左端部(下端部)には、釘15の打込み後、ピストン7の余剰エネルギを吸収するための衝撃緩和用バンパ25が設けられている。衝撃緩和用バンパ25は、シリンダ6の上死点側に移動しないように、バンパ25の一部がシリンダ6の内径よりも大径になっている。
【0029】
シリンダ6の左端(下端)外周にはピストン7を下死点から上死点に復帰させるための戻し空気室22が設けられ、ピストン7の往復行程途中にはシリンダ6から戻し空気室22の方向にのみ連通する逆止弁23aを備えた空気通路23が設けられ、シリンダ6の下端外周にはシリンダ6と戻し空気室22とを連通する空気通路24が設けられている。なお、エアダスタ26は、ボタン26aを有し、吹き出し口から圧縮空気を噴射させて作業時発生した木屑等の塵埃を吹飛ばす装置である。
【0030】
[空打ち防止機構の構成]
次に、図1の正面図および図3の側面図(図1のA−A方向からの側面図)を参照して本発明に係る空打ち防止機構の構成について説明する。
【0031】
マガジン部5は、一端部5aがノーズ部3に係合され、ノーズ射出孔3aの延在方向と交差する方向に延びた他端部5bを有する。該マガジン部5内には装填される連結形式の複数の釘(連結留め具)15をノーズ射出孔3a内に他端部5b側より押圧し、ノーズ射出孔3a内の留め具打込後の残量留め具15をノーズ射出孔3aへ前進させるためのフィーダ51が装着されている。フィーダ51は、図示されないゼンマイバネにより、マガジン部5の一端部5aの方向に付勢されており、送り部51aによって連結留め具15をノーズ射出孔3a方向に常に押圧する。これによって、装填された連結留め具15が順次打込まれて消費されると、残量留め具15をノーズ射出孔3aへ向かう方向へ前進させて、常にノーズ射出孔3a内へ残量留め具15を押圧し装填する。フィーダ51はフィーダ係合部51bを有し、残量留め具15が所定量(例えば、釘4本)以下になると、後述するロックアーム52をノーズ射出孔3aへ向かう方向において押圧する。
【0032】
ロックアーム52は、図3に示されるように、一端部52aから他端部52bに延在し、かつ該両端部間の中間部52cがノーズ部3またはマガジン部5に保持されている。この保持には支軸53と、ノーズ部3またはマガジン部5に設けられた保持部4aと、ロックアーム52の一端部52aをマガジン5の他端部5b方向(下方向)へ付勢する付勢バネ52dとが用いられる。ロックアーム52は、ロックアーム52の中間部52cが、ノーズ部3またはマガジン部5に設けられた支軸53に対して回動可能に支持されると共に、図12に示すように、支軸53から距離d1を以って離間するようにノーズ射出孔方向に移動可能に支持される。特に、ロックアーム52を支軸53から離間して移動可能にするために、ロックアーム52の中間部5cには、図4の(a)に示すような回動用切込部52fか、図4の(b)に示すような回動用穴部52fが設けられる。これらはロックアーム52の一端部52aが、他端部52bを回動中心としてノーズ射出孔方向に移動できるように、少なくともノーズ射出孔方向側において長円内周形状となっている。これによって、ロックアーム52の中間部52cは、図12に示されるように、支軸53に支持されているときの第1の位置P1から、距離d1をもって離間して第2の位置P2へ移動可能となる。
【0033】
ロックアーム52に関連してプッシュレバー20にプッシュレバー係合部20cが形成される。プッシュレバー係合部20cは、後述する図7に示されるように、その側面部にロックアーム52の平面部が係合する場合と、後述する図12に示すように、その平面部にロックアーム52の下側面部が係合する場合とがある。
【0034】
[空打ち防止機構の動作]
次に、図1に図示したA−A方向からの側面図である図8〜図12に基づいて空打ち防止機構の動作について説明する。
【0035】
1.釘が装填されていない状態
図8に示すように、マガジン部5に釘が装填されていない状態では、ゼンマイバネ(図示なし)によって付勢されたフィーダ係合部51bがノーズ射出孔3aに近づくN方向にロックアーム52の一端部52aを押圧し、支軸53を支点としてロックアーム52の他端部52bをノーズ射出孔3aから遠のくS方向に回動させる。これによって、プッシュレバー係合部20cは、ロックアーム52の他端部52bに完全に重なり、ロックアーム52の他端部52bと完全に係合する状態に回動する。この状態でプッシュレバー20をトリガレバー方向に押圧しても、すなわち、プッシュレバー20を加工物(図示なし)に押し付けても、ロックアーム52の他端部52bがプッシュレバー20の経路に存在することになるので、プッシュレバー20の後方位置方向への移動を阻止する。従って、プッシュレバー20の他端部20bはアームプレート19に係合できなくなるので、トリガバルブ部17を起動することができない。すなわち、ドライバブレード11による釘打込み動作は停止される。
【0036】
図8に示すような状態となったときは、フィーダ51(図1参照)を後退させてマガジン部5内に留め具(釘)を補充すれば、図3に示すように、フィーダ係合部51bがロックアーム一端部52aへの押圧を解除するので、ロックアーム他端部52bがプッシュレバー20の移動経路から退避し、図3に示す状態に復帰して作業の再開が可能になる。
【0037】
2.釘残量が設定量以上の状態
図9に示すように、マガジン部5内に釘が装填され、その残量が設定残量より多い状態(例えば、5本)では、フィーダ係合部51bがロックアーム一端部52aを押圧するものの、支軸53を支点としたロックアーム他端部52bがプッシュレバー係合部20cの軌道上までは回動しない。このため、プッシュレバー係合部20cは、ロックアーム他端部52bに係合することはない。この状態でプッシュレバー20をトリガレバー方向に押圧すれば、図5の背面図に示すように、ロックアーム52の他端部52bがプッシュレバー20の後方位置方向へ移動し、プッシュレバー他端部20bはロックアーム19に係合するので、トリガバルブ部17を起動することができる。すなわち、ドライバブレード11による釘打込み動作が行なわれる。
【0038】
3.釘残量が設定量の状態
図10および図7の背面図に示すように、マガジン部5に装填された釘残量が設定量(例えば、4本)に減少した状態では、付勢されたフィーダ係合部51bがノーズ射出孔3aに近づくN方向にロックアーム一端部52aを押圧し、支軸53を支点としてロックアーム他端部52bをノーズ射出孔3aから遠のくS方向に回動させる。これによって、プッシュレバー係合部20cは、ロックアーム52の他端部52bに重なり、ロックアーム他端部52bに係合する状態に回動する。図7の背面図に示すように、この状態でプッシュレバー20をトリガレバー方向に押圧しても、ロックアーム他端部52bがプッシュレバー20の後方位置方向への移動を阻止する。従って、プッシュレバー他端部20bはトリガレバー18に係合できなくなるので、トリガバルブ部17を起動することができず、ドライバブレード11による釘打込み動作は停止される。
【0039】
この状態では、釘残量が設定量(例えば、4本)のため、プッシュレバー係合部20cは、ロックアーム52の他端部52bに薄くまたは弱く係合することになるので、釘残量が設定量であることを意識することなく、プッシュレバー20を加工物等に押圧した場合、押圧時の衝撃等により、ロックアーム他端部52bの係合が解除される場合がある。解除された状態でトリガレバー18を引いてトリガバルブ部17を起動すれば、ドライバブレード11による釘打込み動作が可能となる。
【0040】
しかしながら、この場合、従来の釘打込機で問題となることは、ロックアーム他端部52bの係合が解除された状態でプッシュレバー20を加工物等に押圧した場合、プッシュレバー係合部20cの平面部がロックアーム他端部52bに対する係合部(支点)として作用し、ロックアーム一端部52aのN方向への回動を不能にすることである。言い換えれば、従来の釘打込機では、設定量以下(4本以下)の残量釘をフィーダ送り部51aによってノーズ射出孔3a方向(N方向)に押圧することが不可能であった。このため、設定量以下の残量釘15は、フィーダ51によってノーズ射出孔3aの正しい位置に押圧されなくなるので、マガジン部5内のフィーダ送り部51aとノーズ射出孔3aとの間の空間の不安定な位置に存在することになる。このような釘の設定が不安定な状態でノーズ射出孔3aにドライバブレード11を打撃すると、ノーズ射出孔3a等に釘等の留め具が詰まったり、留め具がノーズ部3を損傷するという問題が発生する。本発明によれば、以下の理由からこのような問題が回避される。
【0041】
4.引き摺り打込み
図11は、プッシュレバー20を押圧した状態を維持しながら、すなわちプッシュレバー20を加工物に押圧した状態を維持しながら、トリガレバー18を引いて打込み動作を継続的に行なった場合、残量釘15が設定量(4本)になった係合状態を示す。言い換えれば、プッシュレバー20を加工物に押圧した状態を維持しながら引き摺り打込みを行なった場合において、残量釘15が設定量(4本)に減少した状態を示す。この状態では、押圧されたプッシュレバー係合部20cの平面部がロックアーム他端部52bに対する係合部(支点)として作用する。この場合、回動用穴部52fの内周部は長円形状に形成されているので、ロックアーム中間部52cのN方向への移動が支軸53に拘束されることはない。
【0042】
図12は、図11に示した場合と同様に引き摺り打込み操作を実施した場合、特に、残量釘15が設定量以下(4本〜0本)になった係合状態を示す。上述したように、押圧されたプッシュレバー係合部20cの平面部がロックアーム他端部52bに対する係合部(支点)として作用し、かつロックアーム中間部52cは長円形状の回動用穴部52fによって支軸53に拘束されることなくN方向に移動可能に保持できるので、フィーダ送り部51aは残量釘15を常にノーズ射出孔3a方向(N方向)へ押圧することができる。言い換えれば、ロックアーム52の支点が支軸53からプッシュレバー係合部20cへ移動するため、ロックアーム52の回動中心を中間部52cから他端部52bへ移動することができるので、ロックアーム一端部52aを、当初のフィーダ係合部51bの設定位置より、さらにN方向へ移動させることができる。
【0043】
従って、残量釘15が設定量(4本)以下に減少しても、残量釘15はフィーダ送り部51aによって常にノーズ射出孔3a方向(N方向)へ押圧でき、常に残量釘がノーズ射出孔3a内に正しく設定されるので、残量釘15が設定量(4本)以下に減少した状態でノーズ射出孔3aにドライバブレード11を打撃しても、ノーズ射出孔3a等に釘等の留め具の詰り、または留め具によるノーズ部3の損傷を防止することができる。
【0044】
また、マガジン部5内の残量留め具15が上記設定量に減少した直後のロックアーム他端部52bとプッシュレバー係合部20cとの係合は、薄い若しくは弱い状態で行なわれる。この状態でプッシュレバーを次の加工物へ押圧した場合、プッシュレバーを加工物に押圧した時に生ずる衝撃等によりロックアーム他端部52bとプッシュレバー係合部20cとの弱い係合が解除されるときがあっても、上記プッシュレバーの引き摺り打込みと同様に、残量釘15が設定量(4本)以下に減少しても、上述したように、残量釘15はフィーダ送り部51aによって常にノーズ射出孔3a方向(N方向)へ押圧できるので、ノーズ射出孔3a等に釘等の留め具の詰り、または留め具によるノーズ部3の損傷を防止することができる。従って、空打ち防止機構を有する釘打込機の信頼性および耐久性を向上させるこができる。
【0045】
以上の実施形態では、打込機の留め具として釘の場合について説明したが、本発明は、ステープル(コの字型の釘)、ネジ等の釘以外の留め具を打込む留め具打込機にも適用できる。また、本発明は圧縮空気式以外に、燃焼式または電動式の打込機に適用しても、上述した圧縮空気式打込機と同様な効果を得ることができる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る留め具打込機に全体正面図。
【図2】図1に示す留め具打込機の全体背面図。
【図3】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(初期状態の場合)。
【図4】図1に示す留め具打込機に用いられるロックアーム部材の正面図。
【図5】図1に示す留め具打込機の通常打込状態における全体背面図。
【図6】図1に示す留め具打込機のプッシュレバー押圧前の全体背面図。
【図7】図1に示す留め具打込機のプッシュレバー押圧後の全体背面図。
【図8】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(釘残量0本の場合)。
【図9】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(釘残量5本の場合)。
【図10】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(釘残量4本の場合)。
【図11】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(釘残量4本の引き摺り打込みの場合)。
【図12】図1に示す留め具打込機のA−A方向からの要部側面図(釘残量4本〜0本の引き摺り打込みの場合)。
【符号の説明】
【0048】
1:釘打込機 2:釘打込機本体 3:ノーズ部 4:ノーズ組立部
4a:ロックアーム保持部 5:マガジン部 6:シリンダ
7:ピストン 7a:Oリング 8:ハンドル部 9:ハウジング部
9a:区画部 10:エアプラグ 11:ドライバブレード
12:ダストキャップ 13:締付具(ボルト・ナット) 14:蓄圧室
15:連結釘 16:ヘッドバルブ 16a:ヘッドバルブスプリング
17:トリガバルブ部 17a:プランジャ 18:トリガレバー
19:アームプレート 20:プッシュレバー 20a:プッシュレバー一端部
20b:プッシュレバー他端部 20c:プッシュレバー係合部
21:アジャスタ 22:戻り空気室 23:空気通路 23a:逆止弁
24:空気通路 25:衝撃緩和用バンパ 26:エアダスタ
27:ピストン上室 51:フィーダ 51a:フィーダ送り部
51b:フィーダ係合部 52:ロックアーム 52a:ロックアーム一端部
52b:ロックアーム他端部 52c:ロックアーム中間部
52d:バネ係合部 52e:付勢バネ
52f:回動用切込部または回動用穴部 53:支軸
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−68329(P2008−68329A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−246250(P2006−246250)