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【発明の名称】 動力工具
【発明者】 【氏名】藤澤 治久

【要約】 【課題】プッシャスイッチおよびトリガスイッチを持つ釘等の締結具を打込むための動力工具において、工具を放置した時の低電力消費モードへの保持状態を容易に解除して動作モード(スタンバイモード)に復帰できる保持解除回路を持つ動力工具を提供し、動力工具の操作性の向上を図る。

【構成】低電力消費モードに移行させる機能を持つ動力工具60であって、低電力消費モードに移行した場合、再度、プッシュスイッチ65を操作(オン)することによって自己保持回路64に保持解除回路(トリガ回路)67を介してトリガ信号を供給し、保持回路64を低電力消費モードから動作モード(スタンバイモード)に復帰させる。これにより、操作性の向上を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復運動により締結具を打撃するドライバブレードと、
前記トライバブレードに往復運動を与える動力発生機構部と、
前記動力発生機構部を駆動する駆動回路と、
プッシュスイッチおよびトリガスイッチの操作に基づいて、前記駆動回路を制御する制御回路とを具備する動力工具において、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が所定時間内に操作されない場合、前記制御回路または前記駆動回路への供給電圧を低下させる低電力消費モードを保持可能な保持回路と、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が操作された場合、前記保持回路による前記低電力消費モードの保持を解除する保持解除手段と、を具備することを特徴とする動力工具。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジング内に固定され、上端部から下端部に延在する円筒状シリンダと、
前記ハウジングの一端側に配されたヘッドキャップ部と、
前記シリンダ内に往復摺動可能に配設されたピストンと、
前記ピストンに固定され、締結具を打撃するドライバブレードと、
前記ヘッドキャップ部、前記シリンダの内周部および前記ピストンの上端部と共に燃焼室を画成する燃焼室枠と、
前記シリンダの前記下端部側下方に設けられ、工作物への押圧時に上方移動可能に設けられたプッシュレバに連動するプッシュスイッチと、
少なくとも一端が前記燃焼室内に配された点火プラグと、
前記点火プラグの着火動作を指示するためのトリガスイッチと、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチの操作に基づいて前記点火プラグの動作を制御するための制御回路であって、電池より電源回路を介して所定電圧が供給される制御回路とを具備する動力工具において、
前記電源回路が所定の電源電圧を供給する動作モード、または前記電源回路が前記所定電源電圧以下の電圧を供給する低電力消費モードを保持する保持手段と、
前記電源回路を前記低電力消費モードの保持から前記動作モードの保持に切換えるための、前記プッシュスイッチまたはトリガスイッチの操作に応答する保持解除手段と、を具備することを特徴とする動力工具。
【請求項3】
フライホイールを回転させるモータと、
前記フライホイールの回転駆動力を直線駆動力に変換して締結具を打撃するドライバブレードに伝達するためのブレード送り手段と、
前記フライホイールの回転駆動力を前記ブレード送り手段に伝達または遮断するための動力伝達部と、
電池より電源回路を介して所定電圧が供給され、プッシュスイッチおよびトリガスイッチの操作に基づいて前記モータおよび前記動力伝達部を制御する制御回路と、を具備する動力工具において、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が所定時間内に操作されない場合、前記電源回路から前記制御回路への供給電圧を低下させる低電力消費モードを保持可能な保持回路と、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が操作された場合、前記保持回路による前記低電力消費モードの保持を解除する保持解除手段と、を具備することを特徴とする動力工具。
【請求項4】
前記保持回路は、pnpトランジスタとnpnトランジスタから成る双安定回路より成り、前記保持解除回路は、前記プッシュスイッチのオン動作によって前記双安定回路をオフ状態とするトリガ回路から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載された動力工具。
【請求項5】
前記トリガ回路は、前記pnpトランジスタまたは前記npnトランジスタのベースまたはコレクタと前記プッシュスイッチとの間に接続されたダイオードから成ることを特徴とする請求項4に記載された動力工具。
【請求項6】
前記保持回路は、前記動作モードを保持している場合、電源電圧より低い動作電圧を前記制御回路に供給し、低電力消費モードを保持している場合、電源電圧の供給を遮断することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載された動力工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバブレードによって釘、鋲、ステーブル等の締結具を打込むための動力工具に関し、特に、二次電池(電池パック)を駆動電源とする制御装置により制御される動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
釘、鋲、ステーブル等の締結具を打込むための動力工具としてニッケル・カドミウム電池やリチウム・イオン電池等の二次電池を電力源とする携帯用工具が一般に使用されている。
【0003】
例えば、可搬型の燃焼式動力工具は、下記特許文献1乃至特許文献6に開示されるように、可燃性ガスが充填された小形ガスボンベのガスをシリンダ内のピストン上方に設けられる燃焼室へ噴射させ、プッシュスイッチおよびトリガスイッチの操作に基づいて電池を電力源とする点火回路によってスパーク(火花)を発生させ、燃焼室内の可燃性ガスと空気の混合気を燃焼させることにより、シリンダ内に移動可能に支持されたピストンを駆動し、該ピストンに取付けられたドライバブレードにより釘等の締結具を打撃するものである。
【0004】
かかる燃焼式動力工具では、プッシュレバを工作物に押し付けると、燃焼室が画成された状態でハウジングに装着されたガスボンベから燃焼室内に液化ガスが噴射され、プッシュレバに連動するプッシュスイッチの作動によりファンを回転させて空気と可燃性ガスを撹拌混合させる。引き続いて、トリガスイッチをオン操作させることにより点火プラグをスパークさせて混合気を爆発燃焼させ、ピストンに固定されたドライバブレードを駆動し、締結具を木材等から成る工作物(被加工材)に打込むことができる。爆発燃焼後、所定時間が経過するまでは、燃焼室枠はヘッドキャップに当接した状態が維持され、燃焼ガスの排気後における排気逆止弁の閉鎖によって燃焼室内が密閉されると共に、温度低下により燃焼室内の圧力が低下し(熱真空という)、ピストン上下間の圧力差によりピストンを上昇させることができる。
【0005】
可搬型動力工具の他の形態として、下記の特許文献7に開示されるように、モータにより回転駆動されるフライホイールの運動エネルギを直線運動エネルギに変えて締結具を打込む電動式動力工具が提案されている。この電動式動力工具は、モータによりフライホイールを回転させておき、その回転エネルギをクラッチ等の動力伝達機構により釘等の締結具がセットされた打撃機構部へ伝達させ、打撃動作を行わせるものである。
【0006】
電池を使用する可搬型動力工具では、作業現場での電池の無駄な電力消費を避けて、二次電池を装着した後の電池の有効放電時間を長く確保することが必要である。このため、下記特許文献8には、燃焼式動力工具において、作業現場等で継続的に使用されていない場合または異常状態にある場合、プッシュスイッチおよびトリガスイッチからの入力信号に基づいて、動力工具の駆動回路(動力発生回路)を制御する制御回路(以下の説明では、「駆動回路」を含めて「制御回路」または「制御装置」と称する場合がある)に供給する電力を低下または遮断する、所謂、低電力消費モードに移行させる保持回路機能を設けた技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特公昭64−9149号公報
【特許文献2】特公平1−34753号公報
【特許文献3】特公平3−25307号公報
【特許文献4】特公平4−48589号公報
【特許文献5】特開平8−216052号公報
【特許文献6】米国特許第5133329号公報
【特許文献7】特開平8−205573号公報
【特許文献8】特開2005−28568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献8に開示されたような、従来の低電力消費モードへの切換え保持回路機能を持つ制御回路では次のような不具合があった。
【0009】
動力工具の所定時間以上の不使用または異常状態を検出し、保持回路によって電源回路を低電力消費モードに移行させると、保持回路は低電力消費モードとして機能する安定状態となってしまうので、再度のプッシュレバの操作によってプッシュスイッチを作動させても動力工具は動作しない状態となる。この場合、保持回路の低電力消費モードを解除するには、電池が装着される電源回路の主電源スイッチを一度オフ(OFF)して、再度オン(ON)する必要があり、また電源回路に主電源スイッチがない場合は、動力工具本体から電池を抜き差しする必要がある。このため、動力工具の制御装置が低電力消費モードに移行すると、その解除が煩わしく、動力工具の操作性が低下し、かつ使用効率も低下することになる。
【0010】
また、従来の動力工具では、作業現場で放置した動力工具が低電力消費モードの状態で動力工具が動作しなくなったのか、または何等かの故障によって動作不能なのか判別つかない場合があり、その確認に時間を要するという操作性の煩わしさもある。
【0011】
従って、本発明の目的は、低電力消費モードを容易に解除可能な制御装置を具備し、操作性の向上を図った動力工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、以下の通りである。
【0013】
本発明の一つの特徴によれば、往復運動により締結具を打撃するドライバブレードと、前記トライバブレードに往復運動を与える動力発生機構部と、前記動力発生機構部を駆動する駆動回路と、プッシュスイッチおよびトリガスイッチの操作に基づいて、前記駆動回路を制御する制御回路とを具備する動力工具において、前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が所定時間内に操作されない場合、前記制御回路または前記駆動回路への供給電圧を低下させる低電力消費モードを保持可能な保持回路と、前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が操作された場合、前記保持回路による前記低電力消費モードの保持を解除する保持解除手段と、を具備する。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、ハウジングと、前記ハウジング内に固定され、上端部から下端部に延在する円筒状シリンダと、前記ハウジングの一端側に配されたヘッドキャップ部と、前記シリンダ内に往復摺動可能に配設されたピストンと、前記ピストンに固定され、締結具を打撃するドライバブレードと、前記ヘッドキャップ部、前記シリンダの内周部および前記ピストンの上端部と共に燃焼室を画成する燃焼室枠と、前記シリンダの前記下端部側下方に設けられ、工作物への押圧時に上方移動可能に設けられたプッシュレバに連動するプッシュスイッチと、少なくとも一端が前記燃焼室内に配された点火プラグと、前記点火プラグの着火動作を指示するためのトリガスイッチと、前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチの操作に基づいて前記点火プラグの動作を制御するための制御回路であって、電池より電源回路を介して所定電圧が供給される制御回路とを具備する動力工具において、前記電源回路が所定の電源電圧を供給する動作モード、または前記電源回路が前記所定電源電圧以下の電圧を供給する低電力消費モードを保持する保持手段と、前記電源回路を前記低電力消費モードの保持から前記動作モードの保持に切換えるための、前記プッシュスイッチまたはトリガスイッチの操作に応答する保持解除手段と、を具備する。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、フライホイールを回転させるモータと、前記フライホイールの回転駆動力を直線駆動力に変換して締結具を打撃するドライバブレードに伝達するためのブレード送り手段と、前記フライホイールの回転駆動力を前記ブレード送り手段に伝達または遮断するための動力伝達部と、電池より電源回路を介して所定電圧が供給され、プッシュスイッチおよびトリガスイッチの操作に基づいて前記モータおよび前記動力伝達部を制御する制御回路と、を具備する動力工具において、前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が所定時間内に操作されない場合、前記電源回路から前記制御回路への供給電圧を低下させる低電力消費モードを保持可能な保持回路と、
前記プッシュスイッチおよび前記トリガスイッチのいずれか一方が操作された場合、前記保持回路による前記低電力消費モードの保持を解除する保持解除手段と、を具備する。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記保持回路は、pnpトランジスタとnpnトランジスタから成る双安定回路より成り、前記保持解除回路は、前記プッシュスイッチのオン動作によって前記双安定回路をオフ状態とするトリガ回路から成る。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記トリガ回路は、前記pnpトランジスタまたは前記npnトランジスタのベースまたはコレクタと前記プッシュスイッチとの間に接続されたダイオードから成る。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記保持回路は、前記動作モードを保持している場合、電源電圧より低い動作電圧を前記制御回路に供給し、低電力消費モードを保持している場合、電源電圧の供給を遮断する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の動力工具によれば、駆動回路を制御する制御回路に電圧を供給する電源回路を低電力消費モードから動作モードに切換えるために、保持回路はプッシュスイッチまたはトリガスイッチの操作に応答する保持解除回路を具備するので、プッシュスイッチまたはトリガスイッチの再操作、すなわちプッシュレバまたはトリガスイッチの再操作に応答して保持回路を自動的に動作モードに切換えることが可能となり、動力工具の運転を再開できる。これによって、電池を抜き差しすることにより保持回路を解除するという煩わしさを無くし、動力工具の操作性を向上させることができる。
【0020】
本発明の上記およびその他の目的、ならびに上記および他の特徴は、以下の本明細書の記述及び添付図面からさらに明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る動力工具の制御装置について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
[動力工具60の制御装置]
図1は、本発明に係る動力工具60の制御装置60aのブロック図を示す。制御装置60aは、駆動回路61と、マイコン等から成る制御回路(演算制御回路)62と、低電圧電源回路63と、自己保持回路64と、プッシュスイッチ(ノーマルオフタイプ)65と、トリガスイッチ(ノーマルオフタイプ)66と、プッシュスイッチ65とトリガスイッチ66の操作に応答して、各スイッチ65、66から自己保持回路64へトリガ信号を入力するための保持解除回路(トリガ回路)67と、表示回路68と、ニッケル・カドミウム電池またはリチウム・イオン電池等の二次電池から成る電池(電池パック)69とを具備する。また、プッシュスイッチ65はスイッチ回路65aによってオンされたか否かを検知され、スイッチ65の操作に応答する信号を制御回路62へ入力する。同様に、トリガスイッチ66はスイッチ回路66aによってオンされたか否かを検知され、スイッチ66の操作に応答する信号を制御回路62へ入力する。
【0023】
電池69の電圧は、例えば7.2Vのニッケル水素電池で、モータ駆動回路、火花点火回路等の駆動回路61へ供給される。一方、電池69の電池電圧は、低電圧電源回路63によって例えば3.3Vの低電圧に降圧されて制御回路62に動作電源として供給される。
【0024】
低電圧電源回路63は、通常の直流安定化電源回路(レギュレータ)を含み、制御回路62への低電圧の出力または出力の停止を制御する制御入力端子63aを持ち、後述する自己保持回路64の出力が接続されている。
【0025】
自己保持回路64は、例えばサイリスタ半導体素子、またはpnpトランジスタおよびnpnトランジスタのコレクタにベースが互いに接続された双安定回路(サイリスタ回路)で構成できる。この保持回路64は、フリップフロップ回路または他の記憶回路で構成しても良い。自己保持回路64の第1の安定状態(例えば、サイリスタ回路がオフ状態)は動作モードとして機能し、第2の安定状態(例えば、サイリスタ回路がオン状態)は低電力消費モードとして機能する。
【0026】
自己保持回路64は、動力工具60が途中で所定時間以上放置され、または異常状態とされた場合、制御回路62から制御信号(一種のトリガ信号)を受けて第2の安定状態(例えば、サイリスタ回路がオン状態)となって動作モードから低電力消費モードとなる。逆に、放置された動力工具60を動作モードに復帰したい場合は、再度、プッシュスイッチ65またはトリガスイッチ66を操作すれば、後述する保持解除回路(トリガ回路)67を介してトリガ信号が自己保持回路64に供給されて自己保持回路64は、上記第2の安定状態より上記第1の安定状態(オフ状態)に移行し、低電圧電源回路63を動作モードに復帰させる。これによって、トリガスイッチ66の操作に応答して制御装置60a全体を活性化させ、動力工具60を動作させることができる。
【0027】
保持解除回路(トリガ回路)67は、自己保持回路64を上記第2の安定状態(例えば、オン状態)である低電力消費モードから第1の安定状態(例えば、オフ状態)である動作モードに移行させるためのトリガ信号を印加するための回路で、プッシュスイッチ65またはトリガスイッチ66のオン操作に基づく信号を保持回路64に入力するものである。例えば、一方向性のダイオードから成る。
【0028】
後述する燃焼式動力工具の実施形態からより理解されるように、プッシュスイッチ65またはトリガスイッチ66を操作した後、所定時間(例えば、10分間)内にトリガスイッチ66またはプッシュスイッチ65を操作した場合、自己保持回路64は、オフ状態(双安定回路の第1の安定状態)を維持し、低電圧電源回路63が所定の電源電圧(例えば3.3V)を供給する動作モードを保持する。これによって、動力工具60は通常の動作を継続する。しかし、プッシュスイッチ65を操作させた後に、トリガスイッチ66を操作させることなく、所定時間(10分間)を越えた場合、制御回路62より制御信号が保持回路64に送信され、自己保持回路64は、オン状態(双安定回路の第2の安定状態)へ移行し、電源回路63の制御入力端子63aを例えばグランド(接地)レベルに低下させ、低電圧電源回路63の出力電圧を所定電圧3.3V以下の電圧(例えば、0V)とする低電力消費モードとさせる。これによって、動力工具60の不使用時の無駄な電力消費を防止できる。
【0029】
この場合、本発明に従って、再びプッシュレバ(図示なし)を押圧してプッシュスイッチ65をオン状態とすれば、トリガ回路67を介して、プッシュスイッチ65の操作に基づくトリガ入力信号が自己保持回路64に入力され、自己保持回路64はオフ状態(第1の安定状態)に移行する。すなわち、通常の動作モードに復帰する。引き続きトリガスイッチ66を操作すれば、制御回路62および駆動回路61は、制御装置60aとして正常に動作して締結具の打込み動作を実行する。
【0030】
[燃焼式動力工具90の実施形態]
次に、本発明の実施形態に係る燃焼式動力工具について説明する。
【0031】
図2は本発明の実施形態に係る燃焼式動力工具90の断面構造図に関し、燃焼式動力工具90のピストンが初期状態の位置にある場合を示す。図3は図2に示した燃焼式動力工具90の制御装置51のブロック図を示す。なお、以下の説明では、本発明の実施形態に係る動力工具によって釘等の締結具が打込まれる方向を便宜上「下方または下部」、その対向方向を「上方または上部」の意味として説明しているが、特別な実施例または意図に限定するものではない。
【0032】
図2において、燃焼式動力工具(釘打込機)90は、本体枠を形成するハウジング14と、ハウジング14の上部に取り付けられたヘッドカバ20とを有する。ハウジング14の内部には、シリンダ4、バンパ2、ピストン10、ピストン10と一体に形成されたドライバブレード10a、ファン6、モータ8、点火プラグ9、ガス噴射口19、ガスボンベ7、燃焼室枠15、およびヘッドキャップ20aが設置されている。またハウジング14には、ハンドル11、ノーズ1、プッシュレバ21、マガジン13、トリガスイッチ12が装着されている。
【0033】
ハウジング14に装着されるマガジン13には、後述するように、点火プラグ9のスパーク(火花)の発生を制御するための制御装置(制御回路および駆動回路を含む)51を備える。この制御装置51は、図3に示されるように、回路基板に実装されたマイコン(制御回路)300、電池25からの電源電圧を低電圧化する低電圧電源回路(レギュレータ)115、点火プラグのスパーク発生を行うための点火回路450、ファンを駆動するモータ駆動回路500等を含み、プッシュスイッチ23、トリガスイッチ12、および温度センサ5等の各部材に電気的接続され、それら部材に基づいて発生する電気信号を受けて、後述する点火エネルギ蓄積用コンデンサ(点火用コンデンサ)401の充電制御および点火プラグ9のスパークの発生制御を行うとともに、ファンモータ8の起動または回転制御を行う。この制御装置51は、ハンドル11部のホルダ内にセットされたリチウム・イオン電池などの二次電池(電池パック)25に電気的接続され、電池25より電源が供給される。
【0034】
ハウジング14内において、ハウジング14に対し、シリンダ4とヘッドキャップ20aは固定されている。燃焼室枠15は、シリンダ4の下方に設置されたプッシュレバ21と連接し、ハウジング14とシリンダ4に案内され、ばね26により、締結具である釘24を打込む方向すなわち図中下方に付勢され、ハウジング14の軸方向に移動可能となっている。
【0035】
燃焼室枠15は、プッシュレバ21が木材などの被加工物29に押し付けられたときに、ばね26の付勢に抗してプッシュレバ21の上昇とともに、シリンダ4の上部へ移動して燃焼室15aを形成する。すなわち、燃焼室枠15、ヘッドキャップ20aおよびピストン10で閉鎖された空間により、可燃性ガスと空気の混合気が燃焼する燃焼室15aが形成される。密閉された燃焼室15aを形成するために、シリンダ4の上端とヘッドキャップ20aの下端には、例えば、Oリング等のシール部材22が設けられている。
【0036】
シリンダ4内にはOリング等の摺動シール部材27を介してピストン10が上下方向に移動可能に設置されている。シリンダ4の下方には、排気穴3と、排気穴3の開閉を行う逆止弁(図示せず)と、ピストン10が突当たるバンパ2とが設けられている。バンパ2は、ピストン10が釘24を打込むために急激に下死点に移動しバンパ2へ衝突したとき、変形してピストン10の余剰エネルギを吸収する。
【0037】
燃焼室15a内には、ヘッドカバ20上方に設けられたモータ8によって回転可能なファン6、トリガスイッチ12の作動によってスパークを発生させる点火プラグ9、可燃性ガス(液化ガス)を貯留するガスボンベ7から供給される可燃性ガスを噴射する噴射口19、半径方向内側に突き出たリブ、すなわち燃焼室フィン16が設けられている。
【0038】
ハウジング14の下方に釘24を装填したマガジン13と、マガジン13から給送される釘24を工作物に案内するノーズ1がシリンダ4と一体に設けられている。
【0039】
図2に示す静止状態においては、ばね26の付勢により、プッシュレバ21がノーズ1の下端より下方に突出している。このときプッシュレバ21と連接している燃焼室枠15下方とシリンダ4上端には隙間17があり、また同時に燃焼室15上端とヘッドカバ20下方との間にも隙間18がある。ピストン10はシリンダ4内の上死点位置に停止している。
【0040】
この状態でハンドル11を把持し、プッシュレバ21の先端を被加工物29に押し付けると、プッシュレバ21がばね26に抗して上昇し、プッシュレバ21と連接した燃焼室枠15も上昇し、燃焼室枠15の下方および上方の隙間17および18が閉じられて、シール材22により密封され、これによって外気から閉じられた燃焼室15aが形成される。
【0041】
このプッシュレバ21の動作と連動し、その後、ガスボンベ(燃料タンク)7が押圧されて、噴射口19から燃焼室15aへ可燃性ガスが噴射され、更に、燃焼室枠15が上死点に位置したことを検知するプッシュスイッチ23によって、モータ8の駆動回路がオン(ON)となり、ファン6が回転する。ファン6が密封空間となった燃焼室15a内で回転することにより、燃焼室15a内に突出した燃焼室フィン16とあいまって、噴射された可燃性ガスが燃焼室15a内の空気と撹拌混合される。ガスボンベ7内には、加圧された液化可燃性ガスが貯蔵され、この液化ガスは燃焼室内に噴射されて気化する。ボンベ7の上端にはボンベから噴射されるガス量を調節するための計量弁7aを備えており、調節された量のガスを噴射口19に供給する。
【0042】
上記プッシュレバ21の被加工物29への押圧動作に引続き、ハンドル11部のトリガスイッチ12をONすると、後述する制御装置51の動作によって、点火プラグ9がスパークし、前記混合気に着火し、燃焼する。燃焼し、膨張した燃焼ガスはピストン10を下方へ移動させ、ノーズ1内の釘24を打ち込む。
【0043】
打ち込み後、ピストン10はバンパ2に当接し、燃焼ガスは排気穴3よりシリンダ4外へ放出される。排気穴3には上記した如く逆止弁が付随しており、燃焼ガスがシリンダ4外へ放出され、シリンダ4及び燃焼室15a内が大気圧になった時点で逆止弁は閉じられる。シリンダ4および燃焼室15a内に残った燃焼ガスは燃焼後であるため高温であり、燃焼ガスの熱がシリンダ4の内壁、燃焼室枠15の内壁、燃焼室フィン16等に吸収されることで、燃焼ガスが急冷されて、燃焼室15a内の圧力が低下して大気圧以下になり(熱真空の状態となり)、ピストン10は初期の上死点位置に引き戻される。
【0044】
その後、トリガスイッチ12を開放してオフ(OFF)とし、工具本体を持ち上げ、プッシュレバ21を被加工物29から離すと、プッシュレバ21と燃焼室枠15がばね26の付勢により下方へ移動し、図2に示す元の状態に戻る。この時、ファン6は、プッシュスイッチ23をOFFしても、制御装置51の制御により所定時間回転を継続する。
【0045】
図2に示す状態では、燃焼室枠15の上下に隙間17、18を生じさせ、燃焼室15aを密閉状態より開放する。この状態でファン6により流れを発生させることでハウジング14上面の吸気口28からきれいな空気を取り込み、ハウジング14の排気口28から燃焼後の残留ガスを吐き出すことで、燃焼室15a内の空気を掃気する。その後ファン6が停止し初期の静止状態となる。
【0046】
本発明によれば、制御装置51は、動力工具90が作業現場等で放置された場合、低電力消費モードに制御する。また、制御装置51は、動力工具90が正常な放置状態にあって、再度、プッシュレバの操作に基づいてプッシュスイッチがスイッチ・オンされた場合、低電力消費モードから通常の動作モード(スタンバイモード)に復帰させることができる。
【0047】
[制御装置51の構成]
次に、上記制御装置51の具体的な回路構成について図3を参照して説明する。
【0048】
制御装置51は、電源部100、電池電圧検出部150、プッシュスイッチ部200、トリガスイッチ部250、マイコン等から成る制御回路(以下、「マイコン」と称する)300、発振器310、充電回路部400、点火回路部450、モータ駆動制御部500、表示部600等から構成される。
【0049】
電源部100は、主電源スイッチ101、マイコン300の駆動電圧や基準電圧を発生するレギュレータ115、電界効果トランジスタ(以下、FETと称する)109、トランジスタ102、108および114、ダイオード112、コンデンサ105、113、116および118、抵抗103、104、106、107、110および111を具備する。
【0050】
レギュレータ115は低電圧電源回路を構成する。電池25からダイオード112を介して例えば7.2Vの電源電圧を端子R2に入力し、マイコン300等の制御部(駆動制御部を含む)に必要な動作電源電圧、例えば3.3Vに降圧し、端子R4に直流電圧を出力する。レギュレータ115は、端子R4に直流電圧(3.3V)を出力するか、もしくはその直流電圧の出力を停止するかを制御する制御端子R1を有する。制御端子R1には自己保持回路(双安定回路)130の出力が電気的接続される。
【0051】
自己保持回路130は、マイコン300の端子P14から出力される、レギュレータ115の動作を停止させる出力停止信号がマイコン300の動作停止後でも制御端子R1に出力停止信号を供給する保持作用を有する。すなわち、レギュレータ115の出力を停止する時は、マイコン300の端子P14からハイ(HIGH)信号を一時的にトリガ信号として出力してFET109をオン(ON)させ、双安定回路を構成するサイリスタ回路接続されたpnpトランジスタ102とnpnトランジスタ108の両者をオフ状態からオン状態に保持させ、自己保持回路130の出力トランジスタ114をオンからオフ状態としてレギュレータ115の出力を停止させるものである。これにより、主電源スイッチ101を動作状態(スタンバイモード)にしたまま動力工具90を長時間放置した場合、動力工具90を置いた際にプッシュレバ21が意図せずに押された状態となってプッシュスイッチ23がオンにしたままになっている場合、もしくはプッシュスイッチ23の接点が溶着してオンのままになっている場合といった異常状態を検出し、レギュレータ115の出力停止を維持する低電力消費モードとし、電池25の無駄な電力消費を防止するものである。
【0052】
本発明によれば、後述するように、この自己保持回路130による低電力消費モードを、比較的単純な回路により、プッシュスイッチ23の再度の操作により簡単に解除し、通常の動作モード(スタンバイモード)に復帰させる保持解除回路(トリガ回路)Dを提供する。
【0053】
なお、リセットIC117は、電池25を挿入し主電源スイッチ101がオンした時や、レギュレータ115から直流電圧が所定電圧の範囲内に再度、設定されたときに、マイコン300のリセット端子P6にリセット信号を送る集積回路装置である。
【0054】
電池電圧検出部150は、FET155および157、抵抗153、154、156、158および159、コンデンサ160を具備する。電池25の電圧は、抵抗158および抵抗159で分圧され、マイコン300に入力される。電池電圧検出部150には、電圧検出停止回路151が設けられており、電源部100で低電力消費モードとなりレギュレータからの電圧出力が停止した時、FET155およびFET157がオフとなって、電池電圧を検出する回路が遮断され、分圧抵抗158および159での無駄な電力消費を防止することができる。
【0055】
プッシュスイッチ部200は、プッシュスイッチ(ノーマルオフタイプ)23、抵抗202および203、ダイオード204および205、コンデンサ206を具備する。動力工具90が被加工物(木材)29に押付けられ、プッシュスイッチ23がオンすると、マイコン300の端子P20にロウ(LOW)信号が伝達される。プッシュスイッチ23およびトリガスイッチ12は、動力工具90の機械的構造上、制御装置51の回路基板から離れた位置に設けられ、基板から各スイッチまでの間は図示しないケーブルによって接続されている。しかし、このケーブルが点火時等に発生するノイズを拾ってしまい、時としてグランド側が正となるような電圧が誘起される場合がある。そこで、クランプ回路としてダイオード204および205を設け、誘起電圧をダイオード204および205を経由させることで、マイコン300に過大な電圧が印加されることを防止している。
【0056】
トリガスイッチ部250は、トリガスイッチ(ノーマルオフタイプ)12、抵抗252および253、ダイオード254および255、コンデンサ256からなり、プッシュスイッチ部200と同様の動作に、トリガスイッチ12の操作に基づいてマイコン300に制御信号(ロウ信号)を入力する。
【0057】
マイコン300はリセット入力ポート301、出力ポート302、演算処理部(CPU)303、RAM304、ROM305、A/Dコンバータ306、出力ポート307、タイマ308、入力ポート309等からなり、モータ8の駆動や点火回路450などの動作を制御する。タイマ308にはマイコン300の外部に接続される振動子(例えば、水晶振動子)310が接続されている。本実施形態ではマイコン300を演算制御部として使用しているが、マイコン以外のデジタル回路を演算制御部として使用してもよい。
【0058】
充電回路400は点火用コンデンサ401の充電をする回路で、コンデンサ401、トランス403、ダイオード402、404および406、トランジスタ408および411、FET405、抵抗407、409、410、412および413からなる。
【0059】
点火用コンデンサ401の充電の開始は、トリガスイッチ12を引くことにより開始される。トリガスイッチ12が操作されると、トリガスイッチ12のオン信号は2つの経路で充電回路400に伝達される。第1の経路は、トリガスイッチ12の一端側Aより、抵抗412を介してトランジスタ411のベースに入力され、トランジスタ411がオンし、トランジスタ408のコレクタに信号が伝達される。トリガスイッチ12がオンすると、同時に第2の経路としてマイコン300の端子P19に入力され、マイコン300の出力端子P11からロウ信号が間欠的に出力されて充電回路400のトランジスタ408のベースに入力され、トランジスタ408をオン/オフ制御する。2つの経路の信号により、FET405がオン/オフを繰り返し、トランス403の2次側に高電圧が発生し、点火用のコンデンサ401を充電する。
【0060】
上述のように充電回路400は、マイコン300の端子P19にノイズ等により発生した異常電圧が入力されコンデンサ401の充電信号をマイコン300から出力するようなことがあっても、トリガスイッチ12がオフの時はトランジスタ411がオンせず、コンデンサ401の充電は開始されない。
【0061】
点火回路450は点火プラグ15、サイリスタ457、トランジスタ453、ダイオード458、抵抗451、452、454および456を具備する。点火のタイミング信号はマイコン300の端子P9からロウ信号が発せられ、トランジスタ453がオンし、サイリスタ457のゲートに信号が伝達され、サイリスタ457がオンする。サイリスタ457がオンすると、コンデンサ401に充電されていた蓄積エネルギが放電され、トランス(変圧器)459により約15KVまで昇圧され点火プラグ9でスパーク(点火)する。マイコン300は点火回路起動後10msec間、サイリスタ457のゲートにON信号を入力するように動作する。
【0062】
モータ駆動回路500は工具90を被加工物29に押付けプッシュスイッチ23がオン状態になると動作し、起動時駆動回路510、定常時駆動回路540、掃気時駆動回路570から構成される。
【0063】
起動時回路510はトランジスタ514、515および516、抵抗511、512および513から構成され、プッシュスイッチ23がオンするとマイコン300の端子P10からロウ信号が出力され、トランジスタ514がオフ、トランジスタ515および516がオンとなり、モータ8の駆動回路部には電池電圧7.2Vが印加される。
【0064】
定常時回路540、掃気時回路570も同様の動作をするが、それぞれの回路はトランジスタ550および580のベース電圧に応じた電圧(定常時回路は6V、掃気時回路は5V)が出力されモータ3に印加される。
【0065】
[制御装置51の回路動作]
動力工具90が木材29に押し付けられるとガスボンベ7から可燃性ガスが噴射すると共に、プッシュスイッチ23がオンし、可燃性ガスと空気の撹拌混合が始まる。この際、早期に撹拌することにより確実にガスの爆発的燃焼が起こり、釘打ち動作が確実に行われる。釘を木材29に打込み、動力工具90を木材29から離した後も、モータ8はファン6による掃気と冷却のために回転を続ける。モータ8の印加電圧は、起動時電圧≧定常時電圧≧掃気時電圧の関係となっていれば良い。このような関係に設定することにより、起動時には早期に可燃性ガスと空気を撹拌・混合し、撹拌後はモータ8を定常回転とし、掃気時には掃気・冷却が行える必要最低限の回転数で運転することにより十分な爆発力を得られ、かつ電池25の電力消費を抑えることができる。
【0066】
なお、プッシュスイッチ23とトリガスイッチ12によるファン6や充電・点火の動作は、それぞれ他のスイッチのオン/オフに関係なく動作が進行する。このようにすることにより動力工具90が木材29に押付けられて可燃性ガスが燃焼室に噴射され、周囲温度やガスボンベ圧力の影響により可燃性ガスが十分に気化・撹拌されていない時にでも、動力工具90を木材29に押付けたまま、トリガスイッチ12を数回引くことにより、可燃性ガスに着火させることができる。
【0067】
表示部600はLED601と、抵抗602および603とからなる。電池25を動力工具90に装着し、主スイッチ101をオンするとマイコン300の端子P16が間欠的なロウ信号を発し、LED601が緑色の点滅を始め動力工具90が使用可能であることを示す。動力工具90を木材29に押付け、モータ8が駆動すると、端子P15からロウ信号を出力し、LED601が緑色に点灯することにより、釘が発射可能であることを示す。また、制御装置51が低電力消費モードになっていない状態で、電池25の電圧が基準電圧(例えば、7.2V)に達していない時はマイコン300の端子P15からロウ信号を出力し、LED601が赤色に点灯することにより、動力工具90の使用者に電池25の充電の必要性を促す。
【0068】
マイコン300は、動力工具90に電池25を挿入し、主電源スイッチ101をオンにした場合、プッシュスイッチ23およびトリガスイッチ12がオフか否かをチェックする。この確認を行う目的は、操作最初の段階でプッシュスイッチ23またはトリガスイッチ12がオンになっている場合はスイッチの接点溶着などの不具合があると判断されるため、両方のスイッチがオフとなっていなければ動力工具を動作させない。
【0069】
また、マイコン300は、操作の初期状態に電池25を挿入し、主電源スイッチ101をオンすれば、リセットされた状態となる。動力工具90が動作モードで長時間放置されて電池25が消耗することを防止するため、動力工具90が使用状態にあるか否かを、プッシュスイッチ23の連続オフ時間で検出する。例えば、プッシュスイッチ23が10分間以上オフ状態にあるときには、上述したように、マイコン300は、端子P14から自己保持回路130にトリガ信号を供給し、電源回路100を低電力消費モードとする。
【0070】
[自己保持回路130の構成]
自己保持回路130の代表的な回路は、上述したように、pnpトランジスタ102のコレクタおよびベースを、npnトランジスタ108のベースおよびコレクタにそれぞれ接続して成るサイリスタ回路(正帰還回路)を含む。この回路は、フリップフロップ回路、サイリスタ半導体素子等の双安定回路または双安定素子によって構成できる。pnpトランジスタ102とnpnトランジスタ108のサイリスタ回路は、両者のいずれか一方のトランジスタを瞬時的にオン(ON)またはオフ(OFF)するトリガ信号によってオン状態またはオフ状態に安定できる。すなわち、トリガ信号によって決定されるオンまたはオフ状態を保持する。本実施形態では、マイコン300の端子P14からハイ信号である出力停止信号をFET109に瞬時的に入力し、そのFET109オンさせてトリガ信号を印加することにより、両者のトランジスタ102および108をオフ状態からオン状態へ自己保持させる。これにより、トランジスタ114はオン状態からオフ状態にバイアスされ、レギュレータ115は、マイコン300等への低電圧(3.3V)の供給を停止して低電力消費モードに保持し、無駄な電力消費を防止することができる。
【0071】
自己保持回路130によって低電力消費モードを形成する欠点は、低電力消費モードに移行して本体が動作しないのか、あるいは、故障等による不具合で本体が動作しないのか判りにくい点である。すなわち、レギュレータ115の出力が停止するとマイコン300の出力端子P14からの出力停止信号も停止してしまう。このため、pnpトランジスタ102とnpnトランジスタ108のサイリスタ回路に、トランジスタ102および108をオン状態からオフ状態へ復帰させるトリガ回路を特別に設けない以上、電池25を取り外すか、または、主電源スイッチ101を一度、オフ状態としない限り、トランジスタ108(またはトランジスタ102)はオン状態が維持され、レギュレータ115の出力停止を維持する、所謂、低電力消費モードを保持し、動力工具90は正常に動作しなくなるという欠点がある。しかるに、本発明によれば、低電力消費モードを解除するための簡単な保持解除回路(トリガ回路)Dが付加される。
【0072】
すなわち、本発明に従えば、ダイオードDが、保持解除回路(トリガ回路)としてプッシュスイッチ23の一端側Sとトランジスタ108のベースBとの間に挿入される。これによって、プッシュスイッチ23が最初の操作から所定時間(例えば、10分間)の経過後に再び操作(オン操作)されれば、ダイオードDを介して、グランドレベルの信号がトランジスタ108のベースに入力され、トランジスタ102および108が構成する双安定回路(サイリスタ回路)はオン状態からオフ状態へ移行(リセット)され、自己保持回路130の出力トランジスタ114をオン状態に復帰させ、レギュレータ115は、マイコン300等に所定の低電圧(3.3V)を供給することになる。すなわち、プッシュスイッチ23の操作により、電源回路100は、低電力消費モードより動作モード(スタンバイモード)へ容易に復帰(リセット)させることができる。これによって、電池を抜き差しすることにより自己保持回路を解除するという煩わしさを無くし、動力工具の操作性を向上させることができる。
【0073】
[電動式動力工具70の実施形態]
図4は本発明の実施形態に係るプッシュスイッチおよびトリガスイッチを持つ電動式動力工具(釘打込機)70の構成を示し、図5は電動式動力工具70の制御装置81のブロック図を示す。
【0074】
図4に示すように、電動式動力工具70は、前端部に釘打撃部71cを有する本体ハウジング部71aと、本体ハウジング部71aの釘打撃部71c(前端部)に設置され、この釘打撃部71cに釘を連続的に供給するためのマガジン72と、本体ハウジング部71aから垂下して延びるハンドルハウジング部71bと、ハンドルハウジング部71bの分岐部に設けられた、釘打込み時に操作するためのトリガスイッチ(ノーマルオフタイプ)75と、ハンドルハウジング部71bの下端に接続したリチウム・イオン電池等の二次電池から構成される電池パック77とから構成されている。
【0075】
マガジン72内には、図示されていなが、多数の連結釘(ブロック)で充填されており、その連結釘は、釘打撃部71cの射出口部71dに打撃される釘72aが順次供給されるように、マガジン72の下方よりバネ(図示なし)により付勢される。
【0076】
本体ハウジング部71a内には、釘打撃部71cにある釘72aに打撃力を与えて打込むためのドライバ(駆動子)73が設けられる。ドライバ73は、釘72aの頭に打撃力を伝えるドライバブレード73aと、回転運動するピニオン80と噛合うラック73bとを有する。ドライバ73のラック73bとラック73bに噛合うピニオン80とは、ピニオン80の回転駆動力をドライバ73に直線駆動力として与えるドライバ送り機構73cを構成する。
【0077】
他方、本体ハウジング部71a内には、電池77による直流電源で駆動され、釘を打込む動力源となるモータ(例えば、DC整流子モータ)96(図5参照)と、モータ96の回転軸に固定されたモータギア78と、モータギア78とギヤで噛合うフライホイール79とを具備する。フライホイール79とピニオン80とは同軸上で回転可能となっているが、フライホイール79の回転軸の外周面がピニオン80の回転軸の内周面に当接させる係合状態とするか、またはフライホイール79の回転軸の外周面をピニオン80の回転軸の内周面から非接触させる離脱状態にするクラッチ機構(動力伝達手段)(図示なし)が設けられている。このクラッチ機構は、図示されていないが、ソレノイド(係合離脱手段)93(図5参照)の往復運動によって制御される。
【0078】
フライホイール79は、モータギア78と噛合って、モータ96(図5参照)の回転運動に基づく運動エネルギを蓄積する。ドライバ送り機構73cは、締結具打撃部71cの釘72aにドライバブレード73aを打撃させるように、フライホイール79の回転駆動力をドライバブレード73aに直線駆動力として与える。
【0079】
この電動式動力工具においても、上記燃焼式動力工具と同様に、まず、プッシュレバ82を押し付けることによりプッシュスイッチ(ノーマルオフタイプ)83(図5参照)をオンさせれば動作モード(スタンバイモード)となる。その後、引き続きトリガスイッチ75を引いてオンさせれば、トランジスタ92がオンしてソレノイド93に電流が流れる。これによって、モータ96の回転力によりフライホイール79に蓄積された回転エネルギが、クラッチ機構を構成するソレノイド93によってドライバ送り機構73cを構成するピニオン80に伝達される。ピニオン80が回転運動すれば、ピニオン80に噛合うラック73bによって直線運動に変換されて、ドライバ73に固定されたドライバブレード73aが釘72aの頭部を打撃する。ドライバブレード73aが釘72aを打撃した後は、ソレノイド93に流れる電流はオフされるので、クラッチ機構は離脱状態となり、ドライバ73の端部には、例えば定荷重バネから成る、ドライバ戻りバネ74が接続されているので、このバネ力によって、打撃後のドライバ送り機構73c(ラック73bとピニオン80)の位置を、打撃前の位置に復帰させる。
【0080】
本体ハウジング部71aの釘打撃部71cの先端部には、プッシュレバ82が往復動可能に設けられる。プッシュレバ82に連動するプッシュスイッチ83は、被加工物への釘の打込み深さの調整や、トリガスイッチ75と共に、釘の打込みタイミングを調整する機能を持つ。さらに、本体ハウジング部71a内には、プッシュスイッチ83およびトリガスイッチ75の操作に基づいて、モータ96の回転およびソレノイド93の駆動時間(オン時間)を制御するための制御装置81が設置されている。また、制御装置81は、動作モードから低電力消費モードに切換えるか、もしくは低電力消費モードを動作モードに切換えるための自己保持回路88(図5参照)を有する。
【0081】
[制御装置81の構成]
次に、電動式動力工具70の制御装置81について図5を参照して説明する。
【0082】
図5に示すように、制御装置81は、マイコン(制御回路)86と、低電圧電源回路84と、自己保持回路87と、保持解除回路(トリガ回路)88と、モータ駆動回路94およびモータ駆動トランジスタ95と、ソレノイド駆動回路91およびソレノイド駆動トランジスタ92と、プッシュレバ82(図4参照)に連動するプッシュスイッチ83と、トリガスイッチ75とを具備する。制御装置81の電源となる電池77は、上記した他の実施態様と同様に、例えば、7.2Vのリチウム・イオン二次電池(電池パック)から成り、低電圧電源回路84は、例えば、3.3Vに降圧させる機能を有し、制御入力端子84aの入力信号に応答して、所定の低電圧を出力するか、出力を停止するかを選択する機能を有する。
【0083】
モータ検知回路89は、モータ96が釘打ちエネルギに必要な回転力に達したタイミングを検知し、マイコン86に入力する。
【0084】
マイコン86は、モータ96の駆動制御およびソレノイド93の駆動制御などの制御プログラムを格納し、またモータ96の回転時間等の回転状況を判定する表を記憶するROM(リード・オンリ・メモリ)86bと、ROM86bに格納された制御プログラム等を実行する演算部を有するCPU(演算部)86aと、CPU86aの作業領域の記憶や、モータ96から入力されたデータを一時記憶するためのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)86cと、基準クロック信号発生器を含むTIM(タイマ)86dとを備える。
【0085】
マイコン86は、モータ96の回転状態、プッシュスイッチ83のオン状態、およびトリガスイッチ75のオン状態に基づいて発生する各出力信号に基づいて、モータ96の駆動トランジスタ(例えば、pnp型)95を駆動するモータ駆動回路94、およびソレノイド93の駆動トランジスタ(例えば、pnp型)92を駆動するソレノイド駆動回路91を制御する。クラッチ機構を構成するソレノイド93は、モータ96が釘打ちエネルギに必要な回転力に達した時に、フライホイール79の回転軸の外周面をピニオン80の回転軸の内周面に当接させ、フライホイール79(図4参照)の回転エネルギをピニオンギア80に伝達させる機能を持つ。
【0086】
[自己保持回路87の構成]
自己保持回路87は、制御回路部86、91および94を低電力消費モードに切換える機能を有する。すなわち、上記他の実施態様と同様に、プッシュスイッチ83がオンされた後に電動式動力工具70が放置されて所定時間経過すると、マイコン86より出力停止信号がトリガ信号として自己保持回路87に送信されて、自己保持回路87は第1の安定状態(例えば、オフ状態)から第2の安定状態(例えば、オン状態)に自己保持され、低電圧電源回路84の出力電圧(3.3V)を出力停止とする。所謂、低電力消費モードに保持する。これによって、電動式動力工具70を放置した場合の制御装置81の電力消費を防止することができる。作業者が動力工具70の使用を意図して低電力消費モードを解除したい場合は、プッシュスイッチ83に応答する保持解除回路(トリガ回路)88を使用する。すなわち、プッシュスイッチ83と自己保持回路87との間に挿入された保持解除回路88によって、プッシュスイッチ83のオン操作に応答して、例えば、グランドレベルの信号を自己保持回路87に印加することができるので、自己保持回路87はプッシュスイッチ83のオン動作に応答して、低電力消費モードの第2の安定状態から他の第1の安定状態(オフ状態)に移行して、低電圧電源回路の制御入力端子84aには所定電圧を出力するための指令信号を入力することができる。所謂、動作モード(スタンバイモード)に復帰させることができる。
【0087】
自己保持回路87は、上記燃焼式動力工具の実施態様と同様に、pnpトランジスタとnpnトランジスタのコレクタをベースに正帰還接続したサイリスタ回路またはフリップフロップ回路等の他の双安定回路で達成することができる。また、保持解除回路88は、プッシュスイッチ83のグランドレベルを上記サイリスタ回路87へトリガ信号として印加するダイオードによって構成できる。
【0088】
以上の実施態様の説明より明らかなように、動作モード(スタンバイモード)にある動力工具を所定時間以上放置した場合、動作モードから低電力消費モードに自動的に保持し、かつプッシュスイッチ(プッシュレバ)の操作によって容易に動作モードに復帰(リセット)することができる。従って、煩わしい電池の取り外し作業や電源スイッチの入れ直し作業を省略できるので、省資源化が実現できると共に操作性の向上も図れる。この場合、低電力消費モードから動作モードへの切り換えは、簡単なトリガ回路によって達成できるので、安価な動力工具を提供できる。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の動力工具に係る制御装置のブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る燃焼式動力工具の全体断面図。
【図3】図2に示した燃焼式動力工具における制御装置のブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係る電動式動力工具の全体断面図。
【図5】図4に示した電動式動力工具における制御装置のブロック図。
【符号の説明】
【0091】
1:ノーズ 2:バンパ 3:排気穴 4:シリンダ
5:温度センサ 6:ファン 7:ガスボンベ 7a:軽量弁
8:モータ 9:点火プラグ 10:ピストン 10a:ドライバブレード
11:ハンドル 12:トリガスイッチ 13:マガジン
14:ハウジング 15:燃焼室枠 16:燃焼室フィン
17:隙間(燃焼室枠15下方とシリンダ4上端との間)
18:隙間(燃焼室15上端とヘッドカバ20下方との間)
19:噴射口 20:ヘッドカバ 20a:ヘッドキャップ
21:プッシュレバ 22:シール部材 23:プッシュスイッチ
24:締結具(釘) 25:電池 26:ばね 27:吸気口
28:排気口 29:被加工物(木材) 51:制御装置
60:動力工具 61:駆動回路 62:制御回路(マイコン)
63:低電圧電源回路 64:自己保持回路 65:プッシュスイッチ
66:トリガスイッチ 67:保持解除回路(トリガ回路) 68:表示回路
69:電池(電池パック) 70:電動式動力工具 71a:本体ハウジング部
71b:ハンドルハウジング部 71c:釘打撃部 71d:射出口部
72:マガジン 73:ドライバ 73a:ドライバブレード
73b:ラック 73c:ドライバ送り機構 74:ドライバ戻りバネ
75:トリガスイッチ 76:モータ(整流子モータ) 77:電池
78:モータギア 79:フライホイール 80:ピニオン
81:制御装置 82:プッシュレバ 83:プッシュスイッチ
84:低電圧電源回路 86:マイコン(制御回路) 87:自己保持回路
88:保持解除回路(トリガ回路) 89:モータ検知回路
90:燃焼式動力工具 91:ソレノイド駆動回路 92:トランジスタ
93:ソレノイド 94:モータ駆動回路 95:トランジスタ
96:モータ 100:電源部 101:主電源スイッチ
115:レギュレータ(低電圧電源回路) 130:自己保持回路
150:電池電圧検出部 200:プッシュスイッチ部
201:プッシュスイッチ 300:マイコン(制御回路)
400:充電回路 450:点火回路 500:モータ駆動回路
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−62360(P2008−62360A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245151(P2006−245151)