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【発明の名称】 燃焼式動力工具
【発明者】 【氏名】秋葉 美隆

【氏名】前原 幸義

【要約】 【課題】確実にピストンを初期の上死点位置に戻すことができ、且つ、安価な燃焼式動力工具の提供。

【構成】燃焼式動力工具1の第1ハウジング2Aのシリンダ20内にはスプリング23Bが設けられている。スプリング23Bは、ドライバブレード23Aと同軸的な位置関係でドライバブレード23Aを環装しており、その一端はピストン23と係合しており、他端は、シリンダ20内且つ貫通孔24a内において第1ハウジング2Aの他端寄りのシリンダ20の軸方向端部に係合している。スプリング23Bはピストン23を第1ハウジング2Aの他端から一端へ向かう方向へ付勢する。付勢力は比較的弱く5kgf程度であり、燃焼室26内における燃焼爆発によりピストン23を第1ハウジング2Aの一端寄りから他端よりへと押し下げる力に対して極めて弱い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と他端とを有するハウジングと、
該ハウジングの一端近傍に設けられたヘッド部と、
軸心が該ハウジングの一端と他端とを結ぶ方向に指向した位置関係で該ハウジング内に固定して設けられ、大気と連通可能な排気穴が形成されたシリンダと、
該ハウジングの他端部に設けられ工作物への押圧時に移動可能なプッシュレバーと、
該シリンダの軸方向に該シリンダに対して往復摺動可能であり、該シリンダをシリンダ内ピストン下室とピストン上室とに画成するピストンと、
該ハウジング内において移動可能に案内され、該プッシュレバーの移動に連動して該ヘッド部に当接、離間し、該ヘッド部、該ピストン、該シリンダと共に燃焼室を画成する燃焼室枠とを有する燃焼式動力工具において、
該シリンダ内には、一端が該ピストンと係合し他端が該ハウジングの他端寄りの該シリンダの軸方向端部に係合して該ピストンを該ハウジングの他端から一端へ向かう方向へ付勢するスプリングが設けられていることを特徴とする燃焼式動力工具。
【請求項2】
該シリンダの該排気穴には、該シリンダ内の気体を大気中へ排出可能であり大気が該シリンダ内へ流入することを防止するための逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃焼式動力工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼式動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
釘等を打込むための燃焼式の打込み工具等の燃焼式動力工具としては、燃焼室内に噴射された燃料を含む混合ガスを燃焼し、その混合ガスの体積膨張を動力に転換する構成が従来より知られている。このような構成の燃焼式動力工具は、ハウジングとシリンダとピストンとを有している。ハウジングは一端と他端とを有しており、シリンダは、その軸心がハウジングの一端と他端とを結ぶ方向に指向した位置関係でハウジング内に固定して設けられている。
【0003】
シリンダ内には、シリンダの軸方向にシリンダに対して往復摺動可能なピストンが設けられている。ピストンはシリンダを、ハウジングの一端寄りのシリンダ内ピストン下室と、ハウジングの他端寄りのピストン上室とに区画し、ピストンからハウジングの他端へ向かってドライバブレードが延出している。ドライバブレードとピストンとは一体で摺動するように構成されている。シリンダには、大気と連通可能な排気穴が形成されている。排気穴には逆止弁が設けられている。ピストン、シリンダ等により燃焼室が画成される。
【0004】
釘を打ち込む際には、燃焼室内に液化ガスが噴射され空気と混合されて混合気となり爆発燃焼させられる。このことにより、ピストンがドライバブレードと一体でハウジングの一端寄りから他端寄りへと摺動して、ドライバプレードが釘を木材等の工作物に打込む。このとき、逆止弁は開いた状態となっており、排気穴から爆発燃焼により生じた排気ガスが大気中へ排出される。ピストン上室における液化ガスの爆発燃焼後、逆止弁が閉じられて燃焼室が密閉される。このことにより、ピストン上室の温度低下による燃焼室の圧力低下によりピストン上室において熱真空が得られる。ピストン下室はピストン上室よりも相対的に圧力が高くなりピストンは初期の上死点位置に戻される。このような燃焼式動力工具は、例えば特公平1−34753号公報に記載されている。
【特許文献1】特公平1−34753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の燃焼式動力工具では、逆止弁のシールが悪かったり、シリンダ内のピストン上室の冷却が不十分である場合には、ピストンを完全に初期の上死点位置に戻すことができず、次の打込み時に燃焼室が広くなってしまうという問題が生じることがある。燃焼室が広くなってしまうと、可燃性ガスの濃度が薄くなってしまい、混合気が爆発燃焼されず打込めないという不具合が生ずる。また、シリンダの排気穴には逆止弁が設けられているため、逆止弁にコストがかかり、燃焼式動力工具の製造コストを低減することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、確実にピストンを初期の上死点位置に戻すことができ、且つ、安価な燃焼式動力工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、一端と他端とを有するハウジングと、該ハウジングの一端近傍に設けられたヘッド部と、軸心が該ハウジングの一端と他端とを結ぶ方向に指向した位置関係で該ハウジング内に固定して設けられ、大気と連通可能な排気穴が形成されたシリンダと、該ハウジングの他端部に設けられ工作物への押圧時に移動可能なプッシュレバーと、該シリンダの軸方向に該シリンダに対して往復摺動可能であり、該シリンダをシリンダ内ピストン下室とピストン上室とに画成するピストンと、該ハウジング内において移動可能に案内され、該プッシュレバーの移動に連動して該ヘッド部に当接、離間し、該ヘッド部、該ピストン、該シリンダと共に燃焼室を画成する燃焼室枠とを有する燃焼式動力工具において、該シリンダ内には、一端が該ピストンと係合し他端が該ハウジングの他端寄りの該シリンダの軸方向端部に係合して該ピストンを該ハウジングの他端から一端へ向かう方向へ付勢するスプリングが設けられている燃焼式動力工具を提供している。
【0008】
ここで、該シリンダの該排気穴には、該シリンダ内の気体を大気中へ排出可能であり大気が該シリンダ内へ流入することを防止するための逆止弁が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1記載の燃焼式動力工具によれば、シリンダ内には、ピストンをハウジングの他端から一端へ向かう方向へ付勢するスプリングが設けられているため、ピストン上室において良好な熱真空が得られるか否かにかかわらず、スプリングの付勢力を利用して素早くピストンを初期の上死点位置に戻すことができる。このため、連続して打ち込みを行う場合には、短時間でより多くの打ち込みを行うことができる。また、良好な熱真空を得るための逆止弁等を排気穴に設けずに済むため、燃焼式動力工具の製造にかかるコストを抑えることができる。
【0010】
また、シリンダには大気と連通可能な排気穴が形成されているため、燃焼室において可燃性ガスが爆発燃焼されてピストンがハウジングの一端寄りから他端寄りへと摺動するときに、ピストン下室内の気体を排気穴から大気中へと排出することができる。このため、ピストン下室内の気体がエアダンパーのように作用してピストンの摺動の妨げとなることを防止することができる。また、燃焼室において爆発燃焼した可燃性ガスの排気ガスを排気穴を通して大気中へ排気することができる。
【0011】
本発明の請求項2記載の燃焼式動力工具によれば、シリンダの排気穴には、シリンダ内の気体を大気中へ排出可能であり大気がシリンダ内へ流入することを防止するための逆止弁が設けられているため、ピストン上室に大気が流入することを防止することができ、ピストン上室内において良好な熱真空を得ることができる。このため、スプリングの付勢力と相まって、ピストンをより高速で初期の上死点位置に戻すことができる。
【0012】
また、ピストン上室が熱真空になることにより、ピストンをハウジングの他端寄りから一端寄りへと摺動させる力が生ずるため、付勢力が極めて弱いスプリングを用いることができる。このためスプリングの付勢力が、ピストンがハウジングの一端寄りから他端寄りへと摺動する際の摺動の妨げとなることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
燃焼式動力工具を燃焼式打込み工具に適用した実施の形態について図1乃至図2を参照して説明する。図1の断面図に示す燃焼式打込み工具1は第1ハウジング2Aを有する。第1ハウジング2Aの上部には、図示せぬ吸気口が形成されたヘッドカバー3が取付けられている。第1ハウジング2Aの側部にはハンドル4が設けられている。ハンドル4は、第2ハウジング2Bによりその外殻が構成され、第1ハウジング2Aと第2ハウジング2Bとにより燃焼式打込み工具1の外殻全体をなすハウジング2が構成される。なお、説明の便宜上、図2に示される第1ハウジング2Aの上端をハウジング2の一端とし、第1ハウジング2Aの下端をハウジング2の他端とする。
【0014】
ハンドル4は、トリガスイッチ5を備え、電池4Aが着脱可能に挿入されている。第1ハウジング2Aに対向する第2ハウジング2Bの部分にはボンベ室29が形成され、ボンベ室29内には可燃焼液化ガスを内含するガスボンベ30が着脱自在に収容される。ハンドル4の下方には、図示しない釘を装填したマガジン6が設けられている。
【0015】
第1ハウジング2Aの下端付近からは、後述のシリンダ20と一体成形されて、その先端部分が工作物28に対向するノーズ7が延設されている。ノーズ7は後述のドライバブレード23Aの摺動と、図示せぬ釘が工作物28に打込まれるのをガイドする。ノーズ7の下端7aには、工作物28に当接するプッシュレバー9が往復摺動可能に突出して支持されており、プッシュレバー9の上端部は、後述する燃焼室枠10に固定されたアーム部8と連接されている。アーム部8とシリンダ20との間には、付勢部材であるスプリング22が介装されている。よって、アーム部8に連接されたプッシュレバー9が下方に付勢される。
【0016】
第1ハウジング2Aの上端にはその上端開口を覆うためのヘッド部たるヘッドキャップ11が固定されている。図1に示すように、ヘッドキャップ11の、後述する燃焼室26反対側にモータ18が配置されており、このモータ18の近傍には、点火位置が燃焼室26内に面している図示せぬ点火プラグが設けられている。
【0017】
また第1ハウジング2A内には、燃焼式打込み工具1が工作物28に押し付けられて、後述の燃焼室枠10がストローク上端にあることを検出するための図示せぬヘッドスイッチが設けられている。プッシュレバー9が所定位置まで上昇したときに、図示せぬヘッドスイッチがオン動作して、モータ18の回転が開始される。
【0018】
ヘッドキャップ11のハンドル4側内には燃料通路25が形成され、燃料通路25の一端はヘッドキャップ11の下端面に開口し、他端側はガスボンベ30の噴出口をなす噴射ロッド30Aと接続されるガスボンベ接続部25Aを形成する。
【0019】
第1ハウジング2A内には、第1ハウジング2Aの長手方向に移動可能で、上端がヘッドキャップ11の下端面に当接可能な略円筒形状の燃焼室枠10が設けられている。この燃焼室枠10には、前述のようにアーム部8が連結固定されているため、プッシュレバー9の移動に伴って燃焼室枠10も移動する。そして燃焼室枠10の内周面に当接して燃焼室枠10の移動を案内するシリンダ20が、第1ハウジング2Aに固定されている。シリンダ20の軸方向略中央部付近には大気と連通する排気穴21が形成されている。
【0020】
シリンダ20には大気と連通するな排気穴21が形成されているため、後述のように燃焼室26において可燃性ガスが爆発燃焼されてピストン23が第1ハウジング2Aの一端寄りから他端寄りへと摺動するときに、後述のピストン下室20b内(図1)の気体を排気穴21から排気口2aを通して大気中へと排出することができる。このため、ピストン下室20b内の気体がエアダンパーのように作用してピストン23の摺動の妨げとなることを防止することができる。また、燃焼室26において爆発燃焼した可燃性ガスの排気ガスを排気穴21及び排気口2aを通して大気中へ排気することができる。
【0021】
図1に示すように、シリンダ20内には、シリンダ20に対して往復摺動可能なピストン23が設けられ、ピストン23は、図2に示されるように、シリンダ20内をピストン上室20aとピストン下室20bに画成する。このピストン23の下面からドライバブレード23Aがノーズ7の位置まで延出され、このドライバブレード23Aの先端が図示せぬ釘を打撃する箇所となる。また、シリンダ20内にはスプリング23Bが設けられている。スプリング23Bは、ドライバブレード23Aと同軸的な位置関係でドライバブレード23Aを環装しており、その一端はピストン23と係合しており、他端は、後述のように、シリンダ20内且つ貫通孔24a内において第1ハウジング2Aの他端寄りのシリンダ20の軸方向端部に係合している。
【0022】
スプリング23Bはピストン23を第1ハウジング2Aの他端から一端へ向かう方向へ付勢する。付勢力は比較的弱く5kgf程度であり、これはスプリング23Bが設けられていない場合であって第1ハウジング2Aのピストン下室20bが0.2気圧ぐらいのときに、計100g程度のピストン23及びドライバブレード23Aを第1ハウジング2Aの他端から一端へ向かう方向へ付勢して移動させることができる付勢力に相当する。このため、後述のように燃焼室26内における燃焼爆発によりピストン23を図1の下方へ押下げる際の押下げ力に対して、スプリング23Bの付勢力は極めて弱く、押下げる際の妨げとはならない。
【0023】
このようにスプリング23Bが設けられているため、ピストン上室20aにおいて良好な熱真空が得られるか否かにかかわらず、スプリング23Bの付勢力を利用して素早くピストン23を初期の上死点位置に戻すことができる。このため、連続して釘の打ち込みを行う場合には、短時間でより多くの打ち込みを行うことができる。また、良好な熱真空を得るための逆止弁等を排気穴21に設けずに済むため、燃焼式動力工具1の製造にかかるコストを抑えることができる。
【0024】
また、シリンダ20内の最下部には、弾性体より構成されるバンパ24が配置されている。よって、ピストン23が下方に移動した場合に、下死点でバンパ24に衝突することになる。バンパ24には貫通孔24aが形成されており、貫通孔24aをドライバブレード23Aとスプリング23Bとが貫通し、スプリング23Bの前述の一端に対する他端は、シリンダ20内且つ貫通孔24a内において第1ハウジング2Aの他端寄りのシリンダ20の軸方向端部、即ち図1に示されるシリンダ20内の最下部に係合している。
【0025】
燃焼室枠10の上端がヘッドキャップ11に当接したときに、ヘッドキャップ11と、燃焼室枠10と、ピストン23とにより燃焼室26が画成される。燃焼室枠10がヘッドキャップ11から離間したときは、図1に示されるように、ヘッドキャップ11と燃焼室枠10の上端との間に外気と通じる第1流路26aが生じ、また燃焼室枠10の上端部とシリンダ20の上端部との間に第2流路26bが生じるように構成されている。これら流路は、シリンダ20の外周面側に燃焼ガスや新たな空気を通過させ、この通過した燃焼ガス等は第1ハウジング2Aに形成された排気口2aから排出される。また、上述したヘッドカバー3の図示せぬ吸気口は燃焼室26内に空気を供給するために形成され、排気穴21からは、排気口2aと同様に燃焼室26の燃焼ガスを排出する。
【0026】
燃焼室26内にはファン19が配置されている。ファン19はモータ18の出力軸18bに固定されており、当該出力軸と一体回転可能である。図2に示されるように燃焼室枠10がヘッドキャップ11と当接位置にあるときに、ファン19が回転することにより空気と可燃性ガスとを攪拌混合させる。また、点火後に乱流燃焼を生じせしめて燃焼を促進させる。また、燃焼室枠10がヘッドキャップ11から離間して、第1流路26a、第2流路26bが生じたときには、燃焼室26内の燃焼ガスを掃気すると共にシリンダ20を冷却するという3つの機能を果たす。
【0027】
次に燃焼式打込み工具1の動作について説明する。非作動の状態では、図1に示されるように、スプリング22の付勢力によりプッシュレバー9は下方に付勢されてノーズ7下端より突出している。このとき燃焼室枠10はアーム部8を介してプッシュレバー9に連接されているので、燃焼室枠10の上端はヘッドキャップ11から離間する。また燃焼室枠10の内周面はシリンダ20の上端部から離間した状態となっている。これらのことより第1流路26a、第2流路26bが提供される。このときピストン23は、シリンダ20内の上死点位置に停止している。
【0028】
この状態でハンドル4を把持し、プッシュレバー9を工作物28に押し付けると、プッシュレバー9がスプリング22の付勢力に抗して相対的にシリンダ20へ接近し、同様にアーム部8を介してプッシュレバー9と連接した燃焼室枠10もシリンダ20に対して相対的に上昇し、上述した第1流路26a、第2流路26bが閉じられて、燃焼室26が密封される。
【0029】
またプッシュレバー9の移動に伴って、ガスボンベ30をヘッドキャップ11の方向に傾斜させることにより、ガスボンベ30の噴射ロッド30Aがヘッドキャップ11のガスボンベ接続部25Aに押し付けられてガスボンベ30の液化ガスが燃料通路25の噴射口より燃焼室26内に1回だけ噴射される。
【0030】
更に、プッシュレバー9の移動に伴って燃焼室枠10がストローク端まで上昇すると、図示せぬヘッドスイッチがオンとなってモータ18に電力が供給され、ファン19が回転し始める。ファン19が密封空間となった燃焼室26内で回転することにより、噴射された可燃性ガスが燃焼室26内の空気と攪拌混合される。
【0031】
かかる状態でハンドル4のトリガスイッチ5をオンすると、図示せぬ点火プラグがスパークし、混合ガスに着火して燃焼・膨張する。この燃焼・膨張した混合ガスはピストン23を下方へ移動させ、ピストン23がシリンダ20内のバンパ24に衝突するまでノーズ7内の図示せぬ釘は、ドライバブレード23Aを介して工作物28に打ち込まれる。
【0032】
打ち込み後、ピストン23はバンパ24と接し、燃焼ガスは排気穴21よりシリンダ20外部へ放出される。その後、ピストン23に設けたスプリング23Bの付勢力により、ピストン23を第1ハウジング2Aの他端から一端へ向かう方向へシリンダ20内で摺動させ、初期の上死点位置へ素早く戻す。
【0033】
その後、トリガスイッチ5をOFFし、燃焼式打ち込み工具1を持ち上げ、プッシュレバー9を工作物28から離すと、プッシュレバー9と燃焼室枠10がスプリング22の付勢によりシリンダ20に対して相対的に下方へ戻る。この時、ファン19はトリガスイッチ5をOFFしても、制御部(図示せず)により一定時間、回転を継続している。図1に示す状態では燃焼室枠10の上方に第1流路26a、第2流路26bを生じさせ、ファン19により流れを発生させることでヘッドカバーに設けられた吸気口(図示せず)からきれいな空気を取り込み、排気口2aから燃焼後の空気を吐き出すことで、燃焼室26内の空気を掃気する。その後ファン19が停止し初期の静止状態となる。静止状態になった後、上記過程を再度繰り返すことにより、再び釘を打ち込むことが可能となる。
【0034】
本発明による燃焼式動力工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、シリンダの排気穴には、シリンダ内の気体を大気中へ排出可能であり大気がシリンダ内へ流入することを防止するための逆止弁が設けられていてもよい。
【0035】
この構成の燃焼式打込み工具の動作における打ち込み直後、ピストンはバンパに衝突し、燃焼ガスは排気穴よりシリンダ外部へ放出される。このとき、混合ガスが燃焼した直後のシリンダ及び燃焼室内部に残った燃焼ガスは燃焼後であるため高温であり、その燃焼熱がシリンダの内壁、燃焼室枠の内壁から吸収され、シリンダ等は高温になる。この吸収された熱は、シリンダ、燃焼室枠の外壁表面から大気中に放散される。
【0036】
このようにしてシリンダ等に燃焼ガスの燃焼熱が吸収されることにより燃焼ガスが急冷され、燃焼ガスの体積が減少して、ピストン上室の圧力が低下し大気圧以下となるいわゆる熱真空の状態となり、これに加えて、ピストンに設けたスプリングの付勢力により、ピストンを第1ハウジングの他端から一端へ向かう方向へシリンダ内で摺動させ、初期の上死点位置へ高速で引き戻すことができる。
【0037】
また、ピストン上室に大気が流入することを防止することができ、ピストン上室内において良好な熱真空を得ることができる。このため、スプリングの付勢力と相まって、逆止弁が設けられていない場合と比較して、ピストンをより高速で初期の上死点位置に戻すことができる。
【0038】
また、ピストン上室を熱真空とすることができ、ピストンを第1ハウジングの他端寄りから一端寄りへと摺動させる力が生ずるため、付勢力が極めて弱いスプリングを用いることができる。このためスプリングの付勢力が、ピストンが第1ハウジングの一端寄りから他端寄りへと摺動する際の摺動の妨げとなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態に係る燃焼式打ち込み工具の燃焼室が密封されていない状態を示す側方断面図。
【図2】実施の形態に係る燃焼式打ち込み工具の燃焼室が密封された状態を示す側方断面図。
【符号の説明】
【0040】
1 燃焼式打ち込み工具 2 第1ハウジング 3 ヘッドカバー 8 アーム部 9 プッシュレバー 10 燃焼室枠 11 ヘッドキャップ 20 シリンダ 20a 上室 20b 下室 21 排気穴 23 ピストン 23A ドライバブレード 23B スプリング 26 燃焼室 28 工作物
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子

【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦


【公開番号】 特開2008−62309(P2008−62309A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239751(P2006−239751)