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【発明の名称】 ガス燃焼式打込み工具
【発明者】 【氏名】大須賀 達

【要約】 【課題】ガス燃焼式打込み工具の全高を低く抑え、外径を小さくするとともに、弾性部材の交換性のよいガス燃焼式打込み工具を提供する。

【構成】ボディ1内に配置された打撃シリンダ6内に打撃ピストン7を上下方向に摺動可能に設けるとともに、打撃シリンダ6上の外側に上下動可能に嵌合された可動スリーブ11を上動させて上方に設けられたシリンダヘッド10に当接させることにより密閉した燃焼室5を形成可能とし、燃焼室5で可燃混合ガスを爆発的に燃焼させ、高圧の燃焼ガスを打撃ピストン7に作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストン7の下面側に結合されているドライバ8によりファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、可動スリーブ11とシリンダヘッド10との間に弾性部材15を配置し、この弾性部材15により可動スリーブ11を下方に付勢した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ内に配置された打撃シリンダ内に打撃ピストンを上下方向に摺動可能に設けるとともに、上記打撃シリンダ上の外側に上下動可能に嵌合された可動スリーブを上動させて上記打撃シリンダの上方に設けられたシリンダヘッドに当接させることにより密閉した燃焼室を形成可能とし、上記燃焼室で可燃性ガスと空気の混合ガスを爆発的に燃焼させ、この高圧の燃焼ガスを上記打撃ピストンに作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストンの下面側に結合されているドライバによりファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、
上記可動スリーブとシリンダヘッドとの間に弾性部材を配置し、この弾性部材により上記可動スリーブを下方に付勢した
ことを特徴とするガス燃焼式打込み工具。
【請求項2】
上記弾性部材を上記打撃シリンダの軸心のまわりに同じ距離になるように配置したことを特徴とする、請求項1に記載のガス燃焼式打込み工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は釘等のファスナーを打ち込むガス燃焼式打込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス燃焼式打込み工具は、ボディ内に配置された打撃シリンダ内に打撃ピストンを上下方向に摺動可能に設けるとともに、上記打撃シリンダ上の外側に筒状の可動スリーブを上下動可能に嵌合し、可動スリーブを常時下方位置にあるように下方にバネ付勢されており、打ち込み作動時には上記バネに抗して上動させて上記打撃シリンダの上方に設けられたシリンダヘッドに当接させることにより密閉した燃焼室を形成可能とするものである。そして、燃焼室内の燃焼ガスに点火して爆発的に燃焼させることにより上記打撃ピストンとともにドライバを駆動し、ファスナーを打ち出すように構成されている。
【0003】
従来は、上記可動スリーブを下方に付勢するバネ部材は、打撃シリンダの下方若しくは側面に設けられていた(特許文献1、2)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のガス燃焼式打込み工具では、上記バネ部材をシリンダ下方のノーズ部前方位置に付設して、コンタクトアームをガス燃焼式打込み工具の下方に付勢している。
【0005】
また、特許文献2の図2は、ガス燃焼式打込み工具内の打撃シリンダの周囲にバネ部材を設け、図8はシリンダの下方にバネ部材を配置してコンタクトアームをガス燃焼式打込み工具の下方に付勢している例である。
【特許文献1】特開2005−212060号公報
【特許文献2】特公平7−36985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の図9に記載のガス燃焼式打込み工具のように、バネ部材等の弾性部材をシリンダの下方に設ける方式のものは、弾性部材を配置するための専用のスペースを設ける必要が生じ、ガス燃焼式打込み工具の全高が高くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献1や特許文献の図2に記載のガス燃焼式打込み工具のように、ノーズ部前面や打撃シリンダの周囲にバネ部材を設けると、作業者がその部分で被打ち込み材の位置合わせを行うための保護カバーが必要となるので、ノーズ部のまわりが大きくなってしまい、狭い場所等に釘を打ち込みにくいという問題があった。
【0008】
さらに、これらのバネ部材の配置では、バネ部材の交換作業が煩雑で、手間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、従来のガス燃焼式打込み工具の抱えていた上記問題点を解決して、ガス燃焼式打込み工具の全高が低く、外径も大きくならないように抑えることにより、小型化、軽量化が実現でき、狭い場所等での作業性もよく、取り扱いが楽であるとともに、また弾性部材が交換しやすくメンテナンス性にも優れるガス燃焼式打込み工具を提供すること等をその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ボディ内に配置された打撃シリンダ内に打撃ピストンを上下方向に摺動可能に設けるとともに、上記打撃シリンダ上の外側に上下動可能に嵌合された可動スリーブを上動させて上記打撃シリンダの上方に設けられたシリンダヘッドに当接させることにより密閉した燃焼室を形成可能とし、上記燃焼室で可燃性ガスと空気の混合ガスを爆発的に燃焼させ、この高圧の燃焼ガスを上記打撃ピストンに作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストンの下面側に結合されているドライバによりファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、上記可動スリーブとシリンダヘッドとの間に弾性部材を配置し、この弾性部材により上記可動スリーブを下方に付勢したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記弾性部材を上記打撃シリンダの軸心のまわりに同じ距離になるように配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、従来のように弾性部材を配置するための専用のスペースを設ける必要がなくなるため、弾性部材を打撃シリンダの下部であって打撃シリンダの下方の専用スペースに設ける場合に比べ、工具の全高を低く抑えることができる。同様に、弾性部材をノーズ部の前部や打撃シリンダのまわりに配する構成ではないから、外径も大きくならないように抑えることができ、これにより小型化、軽量化が実現でき、ノーズ部の先端を狭い場所に入れて打ち込むことができるため、操作性がよく、取り扱いも良好となる。
【0013】
また、弾性部材を交換するときは、単にシリンダヘッドを外すだけでよく、従来のようにボディから打撃シリンダを外したりする面倒な作業をしなくても交換できるので、メンテナンス性がよい。
【0014】
請求項2の発明によれば、一端を可動スリーブに、他端をヘッド部に係止した弾性部材を、上記打撃シリンダの軸心のまわりに上記軸心から同じ距離になるように配置したことにより、バランスがよいので、可動スリーブの作動が円滑かつ確実に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のガス燃焼式打込み工具を釘打機に適用した実施の形態について図1〜図3を参照して説明する。なお、図1はガス燃焼式打込み工具の打ち込み時の状態を示す全体図、図2はその要部の拡大図であり、図3は非作動時の状態の要部の拡大図を示す。
【0016】
図1及び図2において符号1は燃焼式打込み工具のボディを示す。このボディ1にはグリップ1aとマガジン2とが連接されているとともに、内部には打撃ピストン・シリンダ機構4が設けられている。ボディ1の下方には釘を打ち出すノーズ部3が設けられている。
【0017】
打撃ピストン・シリンダ機構4は、打撃シリンダ6内に打撃ピストン7を摺動自在に収容したもので、打撃ピストン7の下方にドライバ8が一体的に結合されている。
【0018】
次に、打撃シリンダ6の上部には燃焼室5が密閉、開放可能に構成されている。すなわち、燃焼室5は、上記打撃ピストン7の上端面と、打撃シリンダ6とボディ1上部の内部に形成されたシリンダヘッド10との間に配置されている環状の可動スリーブ11によって形成されており、可動スリーブ11を図1に示すようにシリンダヘッド10側にシールするために上方移動させることにより密閉された燃焼室5が形成され、図3に示すように下方に移動させることにより燃焼室5の上部が開放されて大気に連通するように構成されている。
【0019】
可動スリーブ11の下端はコンタクトアーム13の上端13bと連結されている。コンタクトアーム13は、打撃シリンダ6の下方に設けられたノーズ部3に沿って上下に摺動自在に設けられ、その下端13aはノーズ部3から突出しており、ノーズ部3とともに上記下端13aを被打ち込み材Pに押しつけることにより、ノーズ部3に対して相対的に上方に移動するようになっている。
【0020】
ところで、図2及び図4(a)に詳しく示されるように、上記シリンダヘッド10と可動スリーブ11との間にはコイルバネ(弾性部材)15が配置されている。シリンダヘッド10の下面には、打撃シリンダ6の軸心に対して対称の位置に、コイルバネ15のガイド軸16が形成され、これに対応し、可動スリーブ11の上面には、コイルバネ15の受け溝17が形成されている。このコイルバネ15により上記可動スリーブ11は常時は図3のように下方に付勢されている。
【0021】
なお、上記シリンダヘッド10には、ガス容器に連通する噴射ノズル18と、混合ガスに点火して燃焼させるための点火プラグ(図示せず)が配置されている。また、上部ボディ1には、燃焼室5内に噴射された可燃性ガスを燃焼室5内の空気と撹拌させて燃焼室5内で所定の空燃比の混合ガスを生成するための回転ファン21が設けられている。
【0022】
次に、上記燃焼室5の作動態様について説明すると、まず、釘の打ち込みに当たり、図1及び図2に示されるように、コンタクトアーム13の下端13aを被打ち込み材Pに強く押しつけ、コンタクトアーム13を相対的に上動させることにより可動スリーブ11を押し上げて上方に移動させて打撃シリンダ6の上方に設けられたシリンダヘッド10に当接させることにより密閉した燃焼室5が形成され、この燃焼室5内に噴射ノズル18から可燃性ガスが噴射され、モータ22が作動して回転ファン21が回転し、可燃ガスと空気とを撹拌混合する。
【0023】
次に、トリガ23を引くと、点火プラグが混合ガスに点火し、混合ガスは燃焼して爆発的に膨張する。この燃焼ガスの圧力が打撃ピストン7の上面に作用して下方に衝撃的に駆動するので、ドライバ8がノーズ部3内に供給されているマガジン2内の先頭釘(図示せず)を打撃し、被打ち込み材P中に打ち込む。
【0024】
打ち込みが完了すると、燃焼室5内の温度が急激に下がるので、打撃シリンダ6まで拡大した打撃ピストン7の上方空間は負圧となり、図3に示されるように、下からの大気圧との差圧によって元の容積に戻ろうとするので、打撃ピストン7は上死点にリターン移動する。そして、釘打機を引き上げてノーズ部3を被打ち込み材Pから離すことで、可動スリーブ11およびコンタクトアーム13が相対的に下動して燃焼室5は開放され、次の打ち込み作業が準備される。
【0025】
そして、ノーズ部3内に次位の釘が供給された後、上述のように釘の打ち込み時にコンタクトアーム13の下端13aを被打ち込み材Pに強く押しつけ、コンタクトアーム13を相対的に上動させることにより可動スリーブ11をコイルバネ15に抗して押し上げて燃焼室5を形成させ、打ち込みを行う。打ち込みが完了して打撃ピストン7が上死点にリターン移動し、釘打機を引き上げてノーズ部3を被打ち込み材Pから離すことで、コイルバネ15の付勢力により、可動スリーブ11およびコンタクトアーム13が相対的に下動して燃焼室5は開放されるのである。
【0026】
上述のように、可動スリーブ11の上面とシリンダヘッド10の下面との間にコイルバネ15を配置するスペースを形成したので、従来のようにコイルバネ15等の弾性部材を配置するための専用のスペースを設ける必要がなくなった。したがって、弾性部材を打撃シリンダ6の下部であって打撃シリンダ6の下方の専用スペースに設ける場合に比べ、工具の全高を低く抑えることができる。同様に、弾性部材をノーズ部の前部や打撃シリンダ6のまわりに配する構成ではないから、外径も大きくならないように抑えることができて小型化、軽量化に資することができるとともに、ノーズ部の先端を狭い場所に入れて打ち込むことができるため、操作性や取り扱い性も向上する。
【0027】
また、弾性部材を交換するときは、単にシリンダヘッド10を外すだけでよく、従来のようにボディから打撃シリンダ6を外したりする面倒な作業をしなくても交換できるので、メンテナンス性がよい。
【0028】
さらに、複数のコイルバネ15を、上記打撃シリンダ6の軸心(可動スリーブ11の軸心でもある)Qのまわりに同じ間隔で上記軸心から同じ距離になるように配置したことにより、各弾性部材の下方の付勢力の合力が左右前後にアンバランスにならずに上記方向と一致するので、可動スリーブ11の作動が円滑かつ確実に行われる。
【0029】
また、コンタクトアーム13およびこれに連動する可動スリーブ11が、被打ち込み材Pにコンタクトアーム13を押し込む際の上動動作と、打ち込み動作を終了した後の下動動作とによるストロークは、常にコイルバネ15の反発力を受けて行われるため、上記ストロークの方向は、コイルバネ15の設置位置に影響を受ける。ところで、上記コイルバネ15は従来技術の設置位置と異なり、可動スリーブ11とコンタクトアーム13との連結体のストロークの外側の延長上に位置しているため、上記ストロークの直線性が確保されやすい。すなわち、従来のように、コイルバネ15が上記連結体の可動範囲の内側に位置していると、コイルバネ15を中心とした首振り運動の影響を受けやすいのに対し、上記構成の場合はその影響を受けにくくなるからである。
【0030】
なお、上記シリンダヘッド10と可動スリーブ11との間には4個のコイルバネ15(弾性部材)を配置することに限定されない。例えば、図4(b)に示されるように3個のコイルバネ15を配置する構成であってもよい。この場合も、コイルバネ15は打撃シリンダ6の軸心のまわりに同じ間隔で上記軸心から同じ距離になるようにバランスよく配置する。このように、コイルバネ15を複数個設ける場合は、打撃シリンダ6の軸心Qのまわりに同じ間隔で上記軸心Qから同じ距離になるように配置するのが好ましい。
【0031】
あるいは、図4(c)に示されるように可動スリーブ11の上面の円周上に設置した大径のコイルバネ15を1個配置してもよい。その場合は、円周上に均等に荷重が働くように等間隔でガイド軸等を配置するのが好ましい。
【0032】
また、本実施形態では、コンタクトアーム13を一部材で構成しているが、コンタクトアームを2部材又は3部材に分けて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ガス燃焼式打ち込み工具の打ち込み直前の状態を示す縦断面図
【図2】図1の要部の拡大図
【図3】ガス燃焼式打ち込み工具の打ち込み後の状態を示す縦断面図
【図4】(a)(b)(c)はコイルバネの可動スリーブ上の配置状態を示す説明図
【符号の説明】
【0034】
1 ボディ
6 打撃シリンダ
7 打撃ピストン
8 ドライバ
10 シリンダヘッド
11 可動スリーブ
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−49452(P2008−49452A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229743(P2006−229743)