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【発明の名称】 動力工具及びその緩衝機構
【発明者】 【氏名】星野 享道

【氏名】新井 利道

【氏名】粟飯原 泰宣

【要約】 【課題】衝撃吸収効果と耐久性の向上が図られ、しかもバンパを大型化しなくてもよい。

【構成】打撃シリンダ6内を摺動する打撃ピストン7の下面にドライバ8を一体に結合し、上記打撃シリンダ6内に導入された圧縮空気により打撃ピストン7を駆動して上記ドライバ8によりファスナーを打ち込むとともに、駆動された打撃ピストン7の下面を受ける空気圧工具の緩衝機構において、打撃シリンダ6の端部に上記打撃ピストン7の下面を受けるバンパ15の収容部16を形成し、収容部16に収容されたバンパ15を筒状に形成するとともに、このバンパ15の中央部15bは上下部15a、15cに比べて肉厚であるとともに、上下部15a、15cの肉厚は略同じに形成された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃シリンダ内に打撃ピストンを摺動自在に収容すると共に、該打撃ピストンの下面にドライバを一体に結合し、高圧力により打撃ピストンを駆動して上記ドライバによりファスナーを打ち込むとともに、駆動された打撃ピストンの下面を受ける動力工具の緩衝機構において、
上記打撃シリンダの下部に上記打撃ピストンの下面を受けるバンパの収容部を形成し、該収容部に収容されたバンパを筒状に形成するとともに、このバンパの中央部は上下部に比べて肉厚であるとともに、上下部の肉厚は略同じに形成された
ことを特徴とする動力工具の緩衝機構。
【請求項2】
上記バンパの形状は中央部をはさんで対称的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の動力工具の緩衝機構。
【請求項3】
上記バンパの中央部の内径は、上下部の内径よりも小径であるとともに、上記バンパの中央部の外径は、上記上下部の外径よりも大径であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の動力工具の緩衝機構。
【請求項4】
上記バンパの中央部の内径は、上記打撃ピストンによる衝撃で最大に変形したときに上記バンパの中央部が上記ドライバに接触しない程度に形成されたことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の動力工具の緩衝機構。
【請求項5】
上記バンパの上部と中央部の外周面は、上記収容部の内面に当接し、上記バンパの下部の外周面と上記収容部の内面との間には空間が設けられるように形成されたことを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の動力工具の緩衝機構。
【請求項6】
打撃シリンダ内に打撃ピストンを摺動自在に収容すると共に、該打撃ピストンの下面にドライバを一体に結合し、高圧力により打撃ピストンを駆動して上記ドライバによりファスナーを打ち込むとともに、上記打撃シリンダの下部に上記打撃ピストンの下面を受けるバンパを備えた緩衝機構を用いた動力工具において、
上記打撃シリンダの下部に上記バンパの収容部を形成し、該収容部に収容されたバンパを筒状に形成するとともに、このバンパの中央部は上下部に比べて肉厚であるとともに、上下部の肉厚は略同じに形成された
ことを特徴とする動力工具。
【請求項7】
上記バンパの形状は中央部をはさんで対称的に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の動力工具。
【請求項8】
上記バンパの中央部の内径は、上下部の内径よりも小径であるとともに、上記バンパの中央部の外径は、上記上下部の外径よりも大径であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の動力工具。
【請求項9】
上記バンパの中央部の内径は、上記打撃ピストンによる衝撃で最大に変形したときに上記バンパの中央部が上記ドライバに接触しない程度に形成されたことを特徴とする、請求項6、7又は8に記載の動力工具。
【請求項10】
上記バンパの上部と中央部の外周面は、上記収容部の内面に当接し、上記バンパの下部の外周面と上記収容部の内面との間には空間が設けられるように形成されたことを特徴とする、請求項6、7、8又は9に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧工具又はガス燃焼式工具の動力工具の緩衝機構に関し、特に釘打機等の打撃ピストンの駆動による衝撃をバンパにより吸収する動力工具及びその緩衝機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮空気で打撃ピストンを駆動し、打撃ピストンに結合されたドライバにより釘、打ち込みネジ、ステープル等のファスナーを打撃して被打ち込み材に向けて打ち出す空気圧工具には、打撃ピストンの衝撃を吸収するための緩衝機構が設けられている。この緩衝機構は、通常は打撃シリンダの下方に配置されて打撃ピストンの下面を受け、打撃ピストンの衝撃を吸収する筒状のバンパによって構成されている。
【0003】
このようなバンパとして、例えば特許文献1に示されるように、その下部の内径および外径を上部の内径および外径よりもそれぞれ大きくするとともに、バンパ下部の内側には大きな空間を形成し、さらにドライバとドライバ案内孔間のクリアランスを小さくして、打撃ピストンの衝撃が加わる時に前記クリアランスが閉鎖して下部空間内に閉じ込められた空気が圧縮されるようにし、バンパの弾性とエアクッションの相乗効果を利用して前記衝撃の吸収効果を高めたものが知られている。
【0004】
また、特許文献2に示されるように、上方部分の外径が小さく、下方部分の外径が大きく形成された外形形状の中空円筒形バンパの中空部の内径を、上部内径よりも下部内径が大径となるようにして空隙部を形成し、これにより圧縮されたバンパの変形分が逃げられるようにして圧縮方向の変形を促進することで打撃ピストンの衝撃の吸収効果を高めたバンパが知られている。
【0005】
さらに、特許文献3に示されるように、縦長の筒状で、上部は厚肉でその外径は収容部の内径とほぼ同じ大きさに形成され、中間部は収容部の下部の膨出内面に沿うように膨らみ、下部はへこみ薄肉に形成して空隙を備える形状として、これによりバンパの下部は変形し易く、この変形分は前記空隙に逃げることで打撃ピストンの衝撃の吸収効果を高めたバンパも知られている。
【特許文献1】特許第3267469号公報
【特許文献2】特許第2876982号公報
【特許文献3】実用新案登録第2576575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1ないし3に記載のバンパは、上部で直接に打撃ピストンの下面を受け、このときの衝撃を中央部から下部に伝達して吸収するように設計されていたので、その共通構造として、いずれもバンパの上部の形状と下部の形状が非対称であり、上部は打撃ピストンの衝撃を広い面積で受けるように形成され、下部は上部に対して空間(空隙)を設けることで撓み易い形状に形成されている。
【0007】
ところで、最近の空圧工具には従来よりもかなり高圧の圧縮空気が使用されるようになり、高出力化される傾向にあるが、上述のバンパは高出力の空圧工具における使用においては必ずしも充分な緩衝機能を発揮するとはいえない。
【0008】
すなわち、上述のバンパの上部はいずれも、打撃ピストンの衝撃を広い面積で受けるように形成されており、高出力の空圧工具の打撃ピストンによる強い衝撃力を受けると、同時に上部が大きな撓み変形を引き起こし、上部で受けた衝撃が変形し易い構造の下部に充分に伝達されない状態で、つまり上部のみが変形してしまい、バンパの正常な働きがなされないままの状態で衝撃の吸収がなされるおそれがある。
【0009】
したがって、従来のバンパ構造では、高圧で駆動された打撃ピストンによる衝撃の急激な増大を極力抑えながら衝撃を吸収するという要請に充分に対応できず、また、上部の大きな撓みによる変形は上部のみの劣化を早める原因になり、上部と下部の均等な撓みによる変形を阻害するので結果としてバンパの耐久性を著しく低下させることになる、という問題を残している。
【0010】
したがって、高圧で駆動された打撃ピストンによる衝撃を効果的に吸収するためには、バンパを大型化してその質量を大きくせざるを得なかった。
【0011】
このような状況の中で、本発明は、上述した動力工具(空気圧工具)の緩衝機構の改良を提案するものであり、とりわけ、高出力の釘打機における使用において優れた適応性を備えるバンパの改良構造の提案であり、バンパ上部と下部のバランスの良い均等な撓みによる変形を積極的に促すことで衝撃吸収効果と耐久性の向上が図られ、しかもバンパを大型化しなくてもよい動力工具及びその緩衝機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、打撃シリンダ内に打撃ピストンを摺動自在に収容すると共に、該打撃ピストンの下面にドライバを一体に結合し、高圧力により打撃ピストンを駆動して上記ドライバによりファスナーを打ち込むとともに、駆動された打撃ピストンの下面を受ける動力工具の緩衝機構において、上記打撃シリンダの下部に上記打撃ピストンの下面を受けるバンパの収容部を形成し、該収容部に収容されたバンパを筒状に形成するとともに、このバンパの中央部は上下部に比べて肉厚であるとともに、上下部の肉厚は略同じに形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、上記バンパの形状は中央部をはさんで対称的に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記バンパの中央部の内径は、上下部の内径よりも小径であるとともに、上記バンパの中央部の外径は、上記上下部の外径よりも大径であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1、2又は3において、上記バンパの中央部の内径は、上記打撃ピストンによる衝撃で最大に変形したときに上記バンパの中央部が上記ドライバに接触しない程度に形成されたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1、2、3又は4において、上記バンパの上部と中央部の外周面は、上記収容部の内面に当接し、上記バンパの下部の外周面と上記収容部の内面との間には空間が設けられるように形成されたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、打撃シリンダ内に打撃ピストンを摺動自在に収容すると共に、該打撃ピストンの下面にドライバを一体に結合し、高圧力により打撃ピストンを駆動して上記ドライバによりファスナーを打ち込むとともに、上記打撃シリンダの下部に上記打撃ピストンの下面を受けるバンパを備えた緩衝機構を用いた動力工具において、上記打撃シリンダの下部に上記バンパの収容部を形成し、該収容部に収容されたバンパを筒状に形成するとともに、このバンパの中央部は上下部に比べて肉厚であるとともに、上下部の肉厚は略同じに形成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項6において、上記バンパの形状は中央部をはさんで対称的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項6又は7において、上記バンパの中央部の内径は、上下部の内径よりも小径であるとともに、上記バンパの中央部の外径は、上記上下部の外径よりも大径であることを特徴とする。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項6、7又は8において、上記バンパの中央部の内径は、上記打撃ピストンによる衝撃で最大に変形したときに上記バンパの中央部が上記ドライバに接触しない程度に形成されたことを特徴とする。
【0021】
請求項10に係る発明は、請求項6、7、8又は9において、上記バンパの上部と中央部の外周面は、上記収容部の内面に当接し、上記バンパの下部の外周面と上記収容部の内面との間には空間が設けられるように形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1又は6に係る発明によれば、バンパの上部と下部は肉薄なので、バンパ上部の圧縮変形は瞬時にバンパ下部に伝達されてバンパ下部も変形する。したがって、打撃ピストン3による衝撃力の急激な増大が上下にバランスよく吸収される。したがって、圧縮空気がかなりの高圧であっても、上記バンパは瞬間的に全体が変形して衝撃を確実に吸収することができる。
【0023】
また、バンパの撓みによる変形は、全体としては一部に偏ることのない均一性のあるバランスのとれたものであるので、一部のみの劣化が早く進行してバンパの耐久性を低下させることは殆ど起こらない。しかも、中央円筒部は肉厚に形成されて衝撃エネルギ吸収に充分な質量が確保されるので、バンパを大型化しなくても所謂底付き現象の発生のない緩衝機構を得ることができる。
【0024】
請求項2又は7に係る発明によれば、バンパは中央部をはさんで対称的に形成されているので、バンパを収容部に配置するときに、上下を気にする必要がない。どちらの端部から収容部に挿入しても正しい位置に納まる。
【0025】
請求項3又は8に係る発明によれば、バンパの中央部は肉厚に形成されて十分な質量が確保され、またバンパ中央部の内径が細くなっているから、打撃ピストンによる衝撃を受けたときにバンパの上部又は下部が内側に倒れる現象を有効に防止することができる。
【0026】
請求項4又は9に係る発明によれば、上記バンパの中央部の内径は、上記打撃ピストンによる衝撃で最大に変形したときに上記バンパの中央部が上記ドライバに接触しない程度に形成されているので、バンパ中央部がドライバとの接触摩擦により劣化したり破損したりすることがない。
【0027】
請求項5又は10に係る発明によれば、バンパ上部と収納部との間には隙間がないので、打撃ピストンからの衝撃を受けたときに、下方にしか変形できない。中央部は肉厚なのであまり変形しない。このため、バンパ上部の圧縮変形は直ちにバンパ下部に伝達される。バンパ下部と収容部との間には空間が形成されているので、バンパ下部は変形しやすい。したがって、圧縮空気がかなりの高圧であっても、上記バンパは瞬間的に全体が変形して衝撃を確実に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の1つの実施形態を釘打機について図1ないし図4を参照して説明する。
【0029】
図1において符号Aは釘打機を示す。釘打機Aはボディ1の後部にグリップ2を、ボディ1の下部には射出口3を有するノーズ部4をそれぞれ一体に設け、ノーズ部4の後部には射出口3に釘を供給するマガジン5を連設したもので、ボディ1内には打撃シリンダ6と打撃ピストン7からなる駆動部を備えており、打撃シリンダ6内に打撃ピストン7が摺動自在に収容されている。打撃ピストン7の下面にはドライバ8を一体に結合され、ドライバ8はノーズ部4の射出口3内を摺動するように構成されている。
【0030】
また、ボディ1には、グリップ2部内部の供給路9を介して図示されないエアコンプレッサ等の圧縮空気供給源(図示せず)から供給された圧縮空気を貯留するエアチャンバ10が形成されている。
【0031】
ノーズ部4の先端が被打ち込み材に押し付けられた後、トリガレバー11を引き操作して起動バルブ12を作動させると、ヘッドバルブ13が開き作動し、エアチャンバ10内の圧縮空気が打撃シリンダ6内の打撃ピストン7の上面に供給され、これにより打撃ピストン7とドライバ8が下方に駆動されて、マガジン5からノーズ部4の射出口3に供給された釘(図示せず)が打ち出されるようになっている。
【0032】
その後、打撃時に圧縮された打撃シリンダ6の周囲のブローバックチャンバ14内に貯留した圧縮空気により、打撃ピストン7は上動し、初期の上死点位置に復帰して次の釘打ち込みの準備がなされる。
【0033】
ところで、打撃シリンダ6の下端部とノーズ部4との間の、打撃ピストン7の下死点相当位置には、バンパの収容部16が形成され、その内部には釘打ち込み時に下方に駆動された打撃ピストン7の下面を受けるバンパ15(緩衝体)が収容配置されている。
【0034】
図2と図3に示されるように、バンパ15はゴム等の弾性材料によりやや変形の円筒状に形成された部材であり、バンパ15の中央部15bは上下部15a、15cに比べて肉厚であるとともに、上下部15a、15cの肉厚は略同じに形成されている。すなわち、バンパ15の中央部15bの内径は、上下部15a、15cの内径よりも小径であり、中ほどが上下部15a、15cに比べて細くなるように、その内周面はテーパ状に形成されているとともに、バンパ中央部15bの外径は、上下部15a、15cの外径よりも大径であり、その外側部分17はゆるやかな台形状に出っ張っている。しかも、バンパ15の形状は中央部(中央横断面p)をはさんで対称的に形成されている。なお、上記バンパ15の中央部15bの内径は、上記打撃ピストン7の下面が当たって最大に変形したときに上記ドライバ8に接触しない程度に形成されている。
【0035】
なお、バンパ15は中央横断面pをはさんで対称的に形成されているので、ここでは上部15a、下部15cを説明の便宜上使用しているにすぎない。
【0036】
また、収容部16の上部16aの内径は中央部16bと下部16cの内径よりも小さく、上部16aから中央部16bに続く内面18はバンパ15の上部15aから中央部15bに続く外周面に即した反り返り形状となっている。また、収容部16の下部16cの内周面は中央部15bと略同じに形成され、下端部近傍は絞られ、下端部20は上端部19の内径と略同じとなるように形成されている。
【0037】
上記収容部16内にバンパ15を収容したとき、上記バンパ15の上部15aと中央部15bの外周面は収容部16の上部16aと中央部16bの内周面にほぼ当接し、上記バンパ15の下部15cの外周面と収容部16の下部16cの内周面との間には空間sが形成されるように形成されている。
【0038】
なお、バンパの対称形状としては、バンパ中央部の内径を上下部の内径と同径にすることにより内周面をストレート状に形成した対称形であってもよい。
【0039】
図4(a)に示されるように、収容部16内に収容された状態で、円筒状バンパ15は、打撃ピストン7の下死点相当位置で該打撃ピストン7の下面21を受け止め、かつドライバ8の移動を許容するようにその内周面がドライバ8から離間して、打撃シリンダ6の下方開口部から僅かに隙間を存した下方位置で該下方開口部に対峙するように配置されている。
【0040】
上記構成において、釘打ち込み作動時に、圧縮空気により駆動されて下降した打撃ピストン7の下面21がバンパ15の上部15aに衝突すると、図4(a)に示すようにバンパ15は撓み、変形を開始する。
【0041】
さらに、打撃ピストン7が下降するのに伴い、バンパ15はその肉薄のバンパ上部15aが縮むように圧縮変形する。同図(b)に示されるように、バンパ15の下部15cも肉薄なので、上部15aで受けた衝撃は瞬時に中央部15bから下部15cに伝達され、下部15cも圧縮変形しつつ、衝撃を吸収する。そして、バンパ上部15aは圧縮変形しながら下方に沈み込むので、上部15aの外周面の一部と収容部16の中央部16bの内周面との間に空間s1が形成される。したがって、同図(c)に示されるように、バンパ上部15aの外周面は外側に膨出して上記空間s1に吸収される。同様にして、バンパ15下部と収容部16の内周面との間にははじめから空間sが形成されているので、バンパ15下部が圧縮変形したときは、直ちにその外周面は外側に膨出して上記空間sに吸収される。これに対し、バンパ中央部15bは肉厚であるから、変形しにくい。したがって、最終的にはバンパ15は全体が同じ厚みとなるように変形する。なお、打撃ピストン7が同図(c)に示す下死点に到達したときにバンパ15の高さは衝撃を受ける前の3分の2となる程度に圧縮されるように設定されている。
【0042】
なお、バンパ15の中央部15bは肉厚に形成されて十分な質量が確保され、また内周面の中央部15bはテーパ状に縮径されているから、打撃ピストン7による衝撃を受けたときにバンパ15の上部15a又は下部15cが内側に倒れる現象を有効に防止することができる。
【0043】
以上のように、バンパ上部15aと収容部16との間には隙間がないので、打撃ピストン7からの衝撃を受けたときに、下方にしか変形できない。中央部15bは肉厚なのであまり変形しない。このため、バンパ上部15aの圧縮変形は直ちにバンパ下部15cに伝達される。バンパ下部15cと収容部16との間には空間sが形成されているので、バンパ下部15cは変形しやすい。したがって、圧縮空気がかなりの高圧であっても、上記バンパ15は瞬間的に全体が変形して衝撃を確実に吸収することができる。
【0044】
また、上記バンパ中央部15bの内径は、上記打撃ピストン7の衝撃により最大に変形したときに上記バンパ中央部15bが上記ドライバ8に接触しない程度に形成されているから、バンパ中央部15bがドライバ8との接触摩擦により劣化したり破損したりすることがない。
【0045】
さらに、上記バンパ15の上下部15a、15cの形状は中央部(中央横断面p)をはさんで対称的に形成されているから、バンパ15を収容部16に配置するときに、上下を気にする必要がない。どちらの端部から収容部16に挿入しても正しい位置に納まる。これに対し、従来のバンパは上下部の形状が異なっていたから、間違えると、事故が発生する危険があった。
【0046】
なお、バンパの形状は上述のものに限定されない。外形が八角形、十角形等の多角形であってもよい。また、その場合でも、例えば、図5及び図6(a)(b)(c)に示すバンパ15のように構成してもよい。このバンパ15の外周面は正八角形状に形成され、また上半部23aと下半部23bは、中央で回転方向に相対的に22.5度ずれた構造となっている。すなわち、上記バンパ15の外周面の形状を除けば図2に示したバンパ15と同様に、筒状に形成され、バンパ15の中央部15bは上下部15a、15cに比べて肉厚で、上下部15a、15cの肉厚は略同じであり、バンパ15の中央部15bの内径は上下部15a、15cの内径よりも縮径され、内周面はテーパ状に形成されている。
【0047】
上記バンパ15は、上部15aと下部15cが22.5度ずれているが、さらに22.5度ずらせば上下の各角が合致するので、実質的に中央横断面pをはさんで対称的な形状である。また、それゆえ、釘打機の収容部16内にはどちらの端部から挿入してもよい。また取付け状態において回転による位置ズレを起こしにくいので安定する。
【0048】
したがって、上記構成のバンパ15によれば、打撃ピストン7の衝撃を受けたとき、バンパ15の上部15aは変形するが、8個の角部がリブのように作用するので、変形は縦方向に生じやすい。すなわち、あまり横方向に広がらずに上部15a全体が下方に向けて沈み込みやすい。ところが、中央部15は肉厚で衝撃エネルギ吸収に充分な質量が確保されているので、あまり変形しない。このため、バンパ上部15aの圧縮変形は直ちにバンパ下部15cに伝達されて変形し、圧縮空気がかなりの高圧であっても、上記バンパ15は瞬間的に全体が変形して衝撃を確実に吸収することができる。
【0049】
上述のように、上記構成のバンパ15によれば、以下のような作用効果が期待できる。
【0050】
バンパ15の上部15aと下部15cは肉薄なので、バンパ上部15aの圧縮変形は直ちにバンパ下部15cに伝達されて変形する。したがって、圧縮空気がかなりの高圧であっても、上記バンパ15は瞬間的に全体が変形して衝撃を確実に吸収することができる。
【0051】
また、バンパ15の撓みによる変形は、全体としては一部に偏ることのない均一性のあるバランスのとれたものであるので、一部のみの劣化が早く進行してバンパ15の耐久性が低下するような現象は殆ど起こらない。しかも、中央円筒部は肉厚に形成されて衝撃エネルギ吸収に充分な質量が確保されるので、バンパ15を大型化しなくても所謂底付き現象の発生のない緩衝機構を得ることができる。
【0052】
また、上記バンパ中央部15bの内周面はドライバ8に接触しないように形成されているから、バンパ中央部15bがドライバ8との接触摩擦により破損することがない。
【0053】
さらに、上記バンパ15の上下部15a、15cの形状は中央部(中央横断面p)をはさんで対称的に形成されているから、バンパ15を収容部16に配置するときに、上下を気にする必要がない。どちらの端部から収容部16に挿入しても正しい位置に納まる。
【0054】
なお、上記実施形態では、圧縮空気を利用した空気圧工具に利用するバンパで説明したが、ガス燃焼式工具等に利用したバンパでも同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る釘打機の縦断面図
【図2】バンパ部分の拡大断面図
【図3】上記バンパの斜視図
【図4】本発明のバンパの撓みによる変形状態を示す図であり、(a)は、駆動された打撃ピストン7下面の衝突時の変形直前のバンパの状態を示す図であり、(b)は、上記打撃ピストンの衝突により下方に押し込まれて変形したバンパ1の変形状態を示す図であり、さらに(c)は、上記打撃ピストンが下死点に到達したときの最終段階におけるバンパの変形状態を示す図である。
【図5】他の実施形態に係るバンパの斜視図
【図6】(a)は上記バンパの平面図、(b)はその側面図、(c)は(b)のX−X線上の断面図
【符号の説明】
【0056】
A 釘打機
1 ボディ
6 打撃シリンダ
7 打撃ピストン
8 ドライバ
15 バンパ
16 収容部
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−49441(P2008−49441A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−228465(P2006−228465)