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【発明の名称】 ガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置
【発明者】 【氏名】田中 宏司

【要約】 【課題】燃料を適正な濃度にして燃焼室に供給することができるとともに、過給圧によっても打撃ピストンが下降するのを確実に防止することができる。

【構成】打撃シリンダ5の上部に設けられた可動スリーブ10を上下動させてシリンダヘッド8とに当接、離間させることにより燃焼室9を開閉可能とし、燃焼室9の混合ガスに点火して爆発的に燃焼させ、この高圧のガス圧を打撃ピストン6に作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストン6の下面側に結合されているドライバ7により工具本体の下部に設けられたノーズ部4からファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、打撃シリンダ5と燃焼室9とを仕切る仕切り部16と仕切り部16を開閉するバルブ機構を設け、打撃ピストン6の打ち込み時とファスナー打ち込み後の復帰移動時にバルブ機構を開き作動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体内に配置された打撃シリンダに打撃ピストンを上下方向に摺動可能に設けるとともに、上記打撃シリンダの上部に設けられた燃焼室を開閉可能とし、上記燃焼室で可燃性ガスと空気の混合ガスに、上記シリンダヘッドに配設された点火プラグにより点火して爆発的に燃焼させ、この高圧のガス圧を上記打撃ピストンに作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストンの下面側に結合されているドライバにより工具本体の下部に設けられたノーズ部からファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、
上記打撃シリンダの上端に、該打撃シリンダと上記燃焼室とを仕切る仕切り部を設けるとともに、この仕切り部を開閉するバルブ機構を設け、上記打撃ピストンの打ち込み時とファスナー打ち込み後の復帰移動時に上記バルブ機構を開き作動させる
ことを特徴とするガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置。
【請求項2】
上記バルブ機構が、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記打撃シリンダの内圧が燃焼室内の内圧よりも高いときには上記バネ力に抗して開き作動する逆止弁とによって構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置。
【請求項3】
上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、該シリンダバルブに係合可能なフック手段と、打込み時には上記フック手段を押圧して上記シリンダバルブに係止させ、打込み後は上記フック手段から離反する押圧手段とを設けたことを特徴とする、請求項1に記載のガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置。
【請求項4】
上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを開閉するシリンダバルブを、上記燃焼室内の燃焼と上記打撃シリンダの打ちこみ後の復帰移動に連動するように電気的に作動制御するものである、請求項1に記載のガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼によって動力が供給され釘、打ち込みねじ等の留め具を打ち込むガス燃焼式打込み工具において、特に打撃シリンダと上記燃焼室とを仕切る仕切り部を開閉制御するためのバルブ装置に関する。
【背景技術とその問題点】
【0002】
ガス燃焼式打込み工具は、燃焼室で可燃性ガスと空気とをファンで撹拌混合して得た混合ガスに点火して爆発的に燃焼させ、この燃焼ガスのガス圧を打撃シリンダ内に供給して打撃ピストンを駆動するものである(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、従来のガス燃焼式打込み工具は、燃焼室と打撃シリンダとが一体として連続している構成であるから、例えば、打ち込み終了後に打撃ピストンが上方に復帰移動するときに何らかの理由で途中までしか戻りきれなかったときに、燃焼室の容積は打撃ピストンの位置まで拡大することになる。容積が拡大しても供給される空気と混合ガスの量は一定であるから、燃料が希薄になり着火できないことがある。この場合は、工具を分解して手で打撃ピストンを戻さなければならないので、このような場合を想定して、燃焼室の容積が拡大した状態でも着火できるように、常に燃料を燃焼に適正な量よりも濃くして供給しなければならない。
【0004】
また、燃焼室に空気をエアコンプレッサ等により過給して燃焼室の内圧を高めることによって出力をアップする場合、過給圧により打撃ピストンが所定の上死点位置に保持されきれずに下降してしまう可能性がある。したがって、打撃ピストンを強く保持するためには、打撃ピストンを上方に復帰させる力も強くしなければならない。しかし、打撃ピストンの復帰移動は、燃焼室が燃焼後に冷却することによる減圧と打撃ピストンの下面に作用する圧力との差圧によって行われるので、過給された燃焼ガスの燃焼後の減圧はむしろ打撃ピストンの復帰移動にマイナスに作用するおそれがある。
【特許文献1】特公平4−48589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解消し、燃料を適正な濃度にして燃焼室に供給することができるとともに、過給圧によっても打撃ピストンが下降するのを確実に防止することができるガス燃焼式打込み工具における燃焼室のバルブ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、工具本体内に配置された打撃シリンダに打撃ピストンを上下方向に摺動可能に設けるとともに、上記打撃シリンダの上部に設けられた燃焼室を開閉可能とし、上記燃焼室で可燃性ガスと空気の混合ガスに、上記シリンダヘッドに配設された点火プラグにより点火して爆発的に燃焼させ、この高圧のガス圧を上記打撃ピストンに作用させて衝撃的に駆動させ、打撃ピストンの下面側に結合されているドライバにより工具本体の下部に設けられたノーズ部からファスナーを打ち出すガス燃焼式打込み工具において、上記打撃シリンダの上端に、該打撃シリンダと上記燃焼室とを仕切る仕切り部を設けるとともに、この仕切り部を開閉するバルブ機構を設け、上記打撃ピストンの打ち込み時とファスナー打ち込み後の復帰移動時に上記バルブ機構を開き作動させることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記バルブ機構が、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記打撃シリンダの内圧が燃焼室内の内圧よりも高いときには上記バネ力に抗して開き作動する逆止弁とによって構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、該シリンダバルブに係合可能なフック手段と、打込み時には上記フック手段を押圧して上記シリンダバルブに係止させ、打込み後は上記フック手段から離反する押圧手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1において、上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを開閉するシリンダバルブを、上記燃焼室内の燃焼と上記打撃シリンダの打ちこみ後の復帰移動に連動するように電気的に作動制御するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、打撃シリンダの上端に、打撃シリンダと燃焼室とを仕切る仕切り部を設けるとともに、この仕切り部を開閉するバルブ機構を設け、上記打撃ピストンの打ち込み時とファスナー打ち込み後の復帰移動時に上記バルブ機構を開き作動させる構成であるから、打撃ピストンの打ち込み時には燃焼室と打撃シリンダが導通するので、燃焼室内で燃焼したガス圧が打撃シリンダ内に供給されて打撃ピストンを駆動する。また、打ち込み終了後は燃焼室と打撃シリンダが導通するので打撃ピストンは確実に復帰移動することができる。
【0011】
このように、仕切り部によって打撃ピストンの位置に関係なく燃焼室の容積は常に一定となり、燃焼室内の混合ガスを一定の適正濃度に保持することができる。したがって、たとえ打撃ピストンが戻りきれなかったときでも、この打撃ピストンに対して一定の圧力を加えて下死点まで移動させ、冷却時には再び打撃ピストンを上死点に復帰移動させることができる。
【0012】
また、過給機を用いて燃焼室を過給した場合は、燃焼室内の圧力は高まるが、バルブ機構は開き作動しないから、燃焼室内の圧力を打撃ピストンが受圧することはない。したがって、過給圧によって打撃ピストンが下降するのを確実に防止することができる。
【0013】
さらに、請求項2に係る発明によれば、打撃シリンダと上記燃焼室とを仕切る仕切り部を開閉するバルブ機構が、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、常時は上記燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記打撃シリンダの内圧が燃焼室内の内圧よりも高いときには上記バネ力に抗して開き作動する逆止弁とによって構成されているから、構造が簡単であり、最小限の部品点数で済む。
【0014】
また、請求項3に係る発明によれば、上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを閉じるようにバネ付勢され、上記燃焼室内の内圧が打撃シリンダ内の内圧よりも高いときに上記バネのバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブと、該シリンダバルブに係合可能なフック手段と、打込み時には上記フック手段を押圧して上記シリンダバルブに係止させ、打込み後は上記フック手段から離反する押圧手段とを設けた構成であるから、打込み時にはフック手段がシリンダバルブに係止し、打込み後は係止が解除される。したがって、シリンダバルブはフック手段により機械的に作動するので、開閉作動を確実に行うことができる。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明によれば、上記バルブ機構が、常時は燃焼室と打撃シリンダとを開閉するシリンダバルブを、上記燃焼室内の燃焼と上記打撃シリンダの打ちこみ後の復帰移動に連動するように電気的に作動制御するものであるから、1つの点火時期から打撃ピストンが1回往復動して上死点に復帰するまでの時間を予め計測して設定しておき、点火時期よりも僅かに遅らせてシリンダバルブを電気的に開き作動させ、点火時期から設定時間だけ経過した時点でシリンダバルブを電気的に閉じ作動させることができる。
【0016】
ガス燃焼式打込み工具では点火やファンを回転させるためにバッテリを必要とするので、このバッテリを利用してシリンダバルブを電気的に作動制御することができる。このため、別電源を設ける必要がないから、全体をコンパクトにまとめることができる。また、モータ、ピニオン等は工具本体の内部に収納配置されているので、作業時に生じたごみなどの影響を受けることがないので、故障が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施形態1]
図1において符号1はガス燃焼式打ち込み工具(釘打機)の工具本体を示す。この工具本体1にはグリップ2とマガジン3とが連接されているとともに、内部には打撃ピストン・シリンダ機構が設けられている。工具本体1の下方にはファスナーを打ち出すノーズ部4が設けられている。
【0018】
打撃ピストン・シリンダ機構は、打撃シリンダ5内に打撃ピストン6を摺動自在に収容するとともに、打撃ピストン6の下方にドライバ7を一体的に結合させたものである。
【0019】
打撃シリンダ5の上部と工具本体1の上部の内部に配置されたシリンダヘッド8との間には円筒状の可動スリーブ10が上下動可能に配置されている。そして、可動スリーブ10が上動してシリンダヘッド8の下面に当接することにより、可動スリーブ10の間に上部がシリンダヘッド8によって閉鎖され、下部が打撃シリンダ5と打撃ピストン6によって閉鎖された密閉された燃焼室9が構成されるようになっている。
【0020】
シリンダヘッド8には、ガス容器11に連通する噴射ノズル12と、混合ガスに点火して燃焼させるための点火プラグ13が配置されている。また、工具本体1の上部には、燃焼室9内に噴射された可燃性ガスを燃焼室9内の空気と撹拌させて燃焼室9内で所定の空燃比の混合ガスを生成するための回転ファン14が設けられている。15はファン用モータである。
【0021】
ところで、打撃シリンダ5の上端には、該打撃シリンダ5と上記燃焼室9とを仕切る仕切り部16と仕切り部16を開閉するバルブ機構とが設けられている。
【0022】
上記バルブ機構は、常時は上記燃焼室9と打撃シリンダ5とを閉じるようにバネ17で付勢され、上記燃焼室9内の内圧が打撃シリンダ5内の内圧よりも高いときに上記バネ17のバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブ18と、常時は上記燃焼室9と打撃シリンダ5とを閉じるように付勢され、上記打撃シリンダ5の内圧が燃焼室9内の内圧よりも高いときにのみ開く逆止弁20とによって構成されている。
【0023】
すなわち、シリンダバルブ18は環状に形成され、打撃シリンダ5の上端側部に一定の間隔に形成された開口部21を開閉するように、上記開口部21を含む打撃シリンダ5の外側面に沿って上下動可能に配置されている。そして、シリンダバルブ18は、バネ17によって常時上記開口部21を閉じる方向に付勢されている。上記バネ17のバネ力は燃焼室9の内圧が燃焼により高くなったときにはシリンダバルブ18を閉じ状態に保持できない程度に設定されている。
【0024】
また、仕切り部16には上部開口部22が形成され、この上部開口部22には板バネによる逆止弁20が配置されている。この逆止弁20により、上部開口部22は常時は燃焼室9と打撃シリンダ5とを閉じるようにバネ付勢され、上記打撃シリンダ5の内圧が燃焼室9内の内圧よりも高いときにのみ開くようになっている。
【0025】
なお、ノーズ部4に沿って釘打ち込み方向に摺動可能はコンタクト部材23が配置されている。コンタクト部材23の先端23aは常時は上記ノーズ部4から突出するようにバネ19で付勢されている。上記コンタクト部材23の上部はリンク部材(図示せず)を介して可動スリーブ10の下端に連結されている。
【0026】
上記構成において、釘を打ち込むときは、図2のようにコンタクト部材23を被打ち込み材Pに強く押し付けることに伴ってコンタクト部材23とリンク部材が工具本体1に対して相対的に上動するから、可動スリーブ10がシリンダヘッド8に当たるまで上方に移動して密閉した燃焼室9が形成される。同時に、燃焼室9内に噴射ノズル12から可燃性ガスが噴射され、回転ファン14が回転して可燃性ガスと空気とを撹拌混合した後、トリガ29を引いて点火プラグ13で点火して爆発的に燃焼させる。これにより、燃焼室9内の内圧が急激に高くなるから、シリンダバルブ18はバネ17のバネ力に抗して下降し、高圧のガス圧が開口部21から打撃シリンダ5内に供給され、打撃ピストン6が駆動される。
【0027】
これに対し、打ち込み終了後は燃焼ガスが冷却して打撃ピストン6の上部は減圧するから、図3に示されるように、シリンダバルブ18は上動し、開口部21が閉じられる。同時に、仕切り部16の上下間の差圧によって逆止弁20が開くから、打撃ピストン6が上方に復帰移動する。打撃シリンダ5内の圧力は上部開口部22から燃焼室9内に開放されるから、打撃ピストン6は確実に上死点に復帰移動することができる。その後、コンタクト部材23を被打ち込み材から離すことにより、図1に示されるように、コンタクト部材23とリンク部材は相対的に工具本体1に対して下動するから、可動スリーブ10も下方に移動して燃焼室9が開放され、上部からは新鮮な空気が入り込み、下部からは燃焼ガスが排気され、次の打ち込みが準備される。
【0028】
上述のように、打撃シリンダ5と上記燃焼室9とを仕切る仕切り部16を設けるとともに、この仕切り部16を開閉するバルブ機構は、常時は上記燃焼室9と打撃シリンダ5とを閉じるように付勢され、上記燃焼室9内の内圧が打撃シリンダ5内の内圧よりも高いときにバネ17のバネ力に抗して開き作動するシリンダバルブ18と、常時は上記燃焼室9と打撃シリンダ5とを閉じるようにバネ付勢され、上記打撃シリンダ5の内圧が燃焼室9内の内圧よりも高いときには上記バネ力に抗して開き作動する逆止弁20とによって構成されているから、打撃ピストンの位置に関係なく燃焼室9の容積は常に一定となり、燃焼室9内の混合ガスを一定の適正濃度に保持することができる。したがって、たとえ打撃ピストン6が戻りきれなかったときでも、この打撃ピストン6に対して一定の圧力を加えて下死点まで移動させ、冷却時には再び打撃ピストン6を上死点に復帰移動させることができる。
【0029】
また、過給機を用いて燃焼室9を過給した場合は、燃焼室9内の圧力は高まるが、その程度ではシリンダバルブ18は開かないので、燃焼室9内の圧力を打撃ピストン6が受圧することはない。したがって、過給圧によって打撃ピストン6が下降するのを確実に防止することができる。
【0030】
さらに、構造が簡単なので、最小限の部品点数で済む。
【0031】
[実施形態2]
図4〜図8はバルブ装置の別のバルブ機構の実施形態を示すもので、上図において実施形態1と同じ部材は同じ符号で示す。
【0032】
このバルブ機構は、上述に示したシリンダバルブ18と、打撃シリンダ5の外側に設けられたフック手段24と、コンタクト部材23と連動するロックアウトバー25等から構成されている。
【0033】
フック手段24はフックベース26とフック27とを弦巻バネ28を介して連結したもので、工具本体1に設けられた同じ支軸30に回動自在に支持されている。また、フックベース26はコイルバネ37により上部が後方に倒れるように付勢されている。フックベース26とフック27は上記弦巻バネ28により一体に作動するようになっているから、フック手段24は常時は上部が後傾するようになっている。
【0034】
ロックアウトバー25はコンタクト部材23と一体に作動するもので、その上端は可動スリーブ10の下端に連結している。ロックアウトバー25の中間部のフック手段24側には押圧手段として突部31が形成されている。したがって、上記突部31はロックアウトバー25とともに上下方向に移動し、上方に移動するときにフックベース26の背面を押圧して係合するように形成されている。
【0035】
なお、シリンダバルブ18の下部にはU字形のロックバー32が取り付けられている。
【0036】
上記構成において、釘を打ち込むときは、図5に示されるように、コンタクト部材23を被打ち込み材Pに強く押し付けることに伴って可動スリーブ10をシリンダヘッド8に当たるまで上方に移動させる。これにより、密閉した燃焼室9が形成されるとともに、燃焼室9内に噴射ノズル12から可燃性ガスが噴射され、回転ファン14が回転して可燃ガスと空気とを撹拌混合する。同時に、コンタクト部材23とともにロックアウトバー25が上方に移動するから、その突部31がフック手段24のフックベース26の背面に係合するからフック手段24が支軸30を中心に打撃シリンダ5側に回動する。
【0037】
次に、図6に示すようにトリガ29を引いて燃焼室9内の混合ガスを爆発的に燃焼させることにより、燃焼室9内の内圧が急激に高くなるから、シリンダバルブ18はバネ17のバネ力に抗して下降し、高圧のガス圧が開口部21から打撃シリンダ5内に供給され、打撃ピストン6が駆動される。シリンダバルブ18が下降すると、U字形のロックバー32も下方に移動してフック27の傾斜面27aに当たるので、フック27は押しのけられた後、図7のようにロックバー32が通過した後、弦巻バネ28により再び戻ってロックバー32に係止する。これにより、シリンダバルブ18は下死点にロックされ、開口部21は開いた状態に保持される。
【0038】
打ち込み終了後は、燃焼ガスが冷却して打撃ピストン6の上部は減圧し、シリンダバルブ18は開いたままであるから、打撃ピストン6は確実に上死点に復帰移動することができる。そして、コンタクト部材23を被打ち込み材から離すことにより、コンタクト部材23は工具本体1に対して相対的に下動し、突部31も下方に移動する。このため、図8に示されるように、フックベース26に対する押圧力は解除され、フック手段24はコイルバネ37により後傾状態となり、フック27もロックバー32から外れるので、シリンダバルブ18はバネ17により上動して開口部21を閉じる。そして、燃焼室9には新鮮な空気が入り込み、下部からは燃焼ガスが排気され、次の打ち込みが準備される。
【0039】
上述のように、このバルブ機構は、常時は上記ノーズ部4から突出し、打ち込み時には被打ち込み材に押し付けることにより相対的に工具本体1に対して上動するコンタクト部材23と連動するフック手段24を設け、コンタクト部材23が上動したときは開き作動したシリンダバルブ18に上記フック手段24を係止させて開き状態に保持し、上記コンタクト部材23が下動したときは上記フック手段24とシリンダバルブ18との係止を解除させる構成であるから、シリンダバルブ18はフック手段24により機械的に作動するので、開閉作動を確実に行うことができる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、コンタクト部材に連動するロックアウトバー25と突起31(押圧手段)で説明したが、ロックアウトバーをトリガに連動させ、トリガを引くことでフック手段を押圧作動させる機構でもよい。
【0041】
[実施形態3]
図9及び図10はバルブ装置のさらに別のバルブ機構の実施形態を示すもので、上図において実施形態1、2と同じ部材は同じ符号で示す。
【0042】
このバルブ機構は、常時は燃焼室9と打撃シリンダ5とを開閉するシリンダバルブ18を、燃焼室9内の燃焼と打撃シリンダ5の打ちこみ後の復帰移動に連動するように電気的に作動制御するものであり、工具本体1の内部には、打撃シリンダ5の前部には電動モータ33が設けられている。この電動モータ33の出力軸は伝動ベルト34を介してピニオン35に作動連結され、ピニオン35はラック36に噛合している。ラック36はシリンダバルブ18の下方に延長形成されている。
【0043】
上記構成によれば、電動モータ33を正逆回転させることにより、シリンダバルブ18は図9のように閉じたり、図10のように開いたりすることができる。したがって、1つの点火時期から打撃ピストン6が1回往復動して上死点に復帰するまでの時間を予め計測して設定しておき、電動モータ33を点火時期よりも僅かに遅らせて作動させてシリンダバルブ18を開き作動させ、点火時期から設定時間だけ経過した時点で電動モータ33を逆転させてシリンダバルブ18を閉じ作動させることができる。
【0044】
ガス燃焼式打込み工具では点火やファンを回転させるためにバッテリを必要とするので、このバッテリを利用して電動モータ33を作動制御することができる。このため、別電源を設ける必要がないから、全体をコンパクトにまとめることができる。また、モータ33、ピニオン35等は工具本体1の内部に収納配置されているので、作業時に生じたごみなどの影響を受けることがないので、故障が発生しにくい。
【0045】
なお、電動モータ33の代わりにソレノイドを使用し、磁力によってシリンダバルブ18の開閉を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ガス燃焼式釘打機の縦断面図
【図2】上記ガス燃焼式釘打機の打ち込み時の要部を示す縦断面図
【図3】上記ガス燃焼式釘打機の打ち込み終了後の作動態様を示す縦断面図
【図4】バルブ装置の別のバルブ機構の実施形態の初期状態を示す縦断面図
【図5】コンタクト部材を被打ち込み材に押し込んだ状態の要部の縦断面図
【図6】打ち込み時の要部の縦断面図
【図7】打ち込み終了時の要部の縦断面図
【図8】打ち込み終了後の作動態様を示す要部の縦断面図
【図9】バルブ装置の別のバルブ機構の実施形態の初期状態を示す縦断面図
【図10】打ち込み時の要部の縦断面図
【符号の説明】
【0047】
4 ノーズ部
5 打撃シリンダ
6 打撃ピストン
9 燃焼室
8 シリンダヘッド
10 可動スリーブ
16 仕切り部
18 シリンダバルブ
20 逆止弁
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−36800(P2008−36800A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216831(P2006−216831)