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【発明の名称】 チェーンの切断工具
【発明者】 【氏名】田村 守

【要約】 【課題】パンタグラフ機構を介した左右一対のプッシュロッドを設けることによって、ピンリンクプレートの両端のリンクピンを一挙に押し出す、作業能率の良いチェーン切断工具を提供する。

【解決手段】前後に長い上下一対の支持板11、11と、支持板11,11の間に組み込むパンタグラフ機構20を介して前進駆動する左右一対のプッシュロッド31、31と、支持板11,11に着脱するフォーク部材41とを備えてなり、支持板11,11の透孔11a,11bにフォーク41aを挿通することにより,支持板11、11の間にチェーンを組み込み保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に長い上下一対の支持板と、該支持板の間に組み込むパンタグラフ機構と、チェーンのピッチ相当の間隔に配置し、前記パンタグラフ機構を介して前進駆動する左右一対のプッシュロッドと、前記支持板に着脱するフォーク部材とを備えてなり、該フォーク部材は、前記支持板の前端部に左右方向に列設する透孔にフォークを挿通することにより、前記支持板の間にチェーンを位置決めして保持することを特徴とするチェーンの切断工具。
【請求項2】
前記プッシュロッドは、前記パンタグラフ機構の前端のコネクタにねじ止めするホルダを介して保持することを特徴とする請求項1記載のチェーンの切断工具。
【請求項3】
前記パンタグラフ機構は、後端を前記支持板の後端部に連結し、前端を前記支持板の前端側に向け、駆動用のねじ軸を前記支持板の左右に突出させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のチェーンの切断工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ローラチェーンを含むチェーンの交換作業等に際して、チェーンを簡単に切断することができるチェーンの切断工具に関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンの交換作業等に際して、チェーンのリンクピンを抜き取ってチェーンを切断するための工具が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
このものは、把持柄を突設する本体部を横切るようにしてチェーンを保持し、ハンドル付きのねじ軸を本体部にねじ込み、ねじ軸の先端のプッシュロッドを介して、本体部上のチェーンのリンクピンを押し出して抜き取ることができる。なお、チェーンは、本体部に突設する2歯のスプロケット形状の掛止突部に掛けるようにして保持するが、リンクピンを押し出すためにねじ軸を回転操作するとき、掛止突部上のチェーンが外れてしまうことがあるため、チェーンの外れを防止する着脱自在の固定部材を併用することも提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−351526号公報
【特許文献2】特開2003−175474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術によるときは、リンクピンは、ねじ軸の先端のプッシュロッドを介して全長を抜き取る必要があり、作業能率がよくないという問題があった。また、プッシュロッドは、ねじ軸を介して前進駆動するとき、ねじ軸とともに回転することがないように、ねじ軸との相対回転を許容する回転摺動形のホルダなどを介してねじ軸の先端に装着することが必要であり、ねじ軸に対して偏心し易く、十分な耐久性を実現することが難しいという問題もあった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、パンタグラフ機構を介して前進駆動する左右一対のプッシュロッドを設けることによって、ピンリンクプレートの両端のリンクピンを一挙に押し出すことができる上、必要十分な耐久性を容易に実現することができるチェーンの切断工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、前後に長い上下一対の支持板と、支持板の間に組み込むパンタグラフ機構と、チェーンのピッチ相当の間隔に配置し、パンタグラフ機構を介して前進駆動する左右一対のプッシュロッドと、支持板に着脱するフォーク部材とを備えてなり、フォーク部材は、支持板の前端部に左右方向に列設する透孔にフォークを挿通することにより、支持板の間にチェーンを位置決めして保持することをその要旨とする。
【0007】
なお、プッシュロッドは、パンタグラフ機構の前端のコネクタにねじ止めするホルダを介して保持することができ、パンタグラフ機構は、後端を支持板の後端部に連結し、前端を支持板の前端側に向け、駆動用のねじ軸を支持板の左右に突出させることができる。
【発明の効果】
【0008】
かかる発明の構成によるときは、フォーク部材は、上下の支持板の前端部に列設する透孔にフォークを挿通することにより、支持板の間にチェーンを位置決めして保持することができる。なお、各フォークは、各支持板の透孔を介してチェーンの各ローラの間を上下に貫通し、チェーンを長さ方向、左右方向の双方向に位置決めする。すなわち、フォークのサイズ、ピッチは、チェーンの規格寸法に適合させるものとする。ただし、チェーンは、支持板の間隔により上下方向にも位置決めするものとし、チェーンの種類によって、適当なスペーサを併用してもよい。一方、左右一対のプッシュロッドは、チェーンのピッチ相当に並置されているから、パンタグラフ機構を介して前進駆動すると、支持板の間に保持されているチェーンのピンリンクプレートの両端のリンクピンを一挙に押し出すことができる。そこで、両端のリンクピンをピンリンクプレートの厚さ相当だけ押し出せば、他方の側のピンリンクプレートと一体にリンクピンを抜き取り、チェーンを切断することができる。
【0009】
プッシュロッドは、パンタグラフ機構の前端のコネクタに付設するホルダを介し、パンタグラフ機構に対して剛に装着し、全体強度を十分に大きくして耐久性を向上させることができる。また、パンタグラフ機構は、前後に長い上下の支持板の間に組み込むことにより、一方の手で支持板の後部を握りながら、支持板の左右に突出するねじ軸を他方の手で簡単に回転操作することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0011】
チェーンの切断工具は、上下一対の支持板11、11と、支持板11、11の間に組み込むパンタグラフ機構20と、パンタグラフ機構20を介して前進駆動する左右一対のプッシュロッド31、31と、フォーク部材41とを主要部材としてなる(図1、図2)。ただし、図2(A)は、図1の正面図であり、図2(B)は、同図(A)のX1 −X1 線矢視相当断面図である。
【0012】
支持板11、11は、それぞれ前後に長く、同形同大に形成する板材である。各支持板11の左右に膨出する前端部には、角状の透孔11a、11b、11bが左右方向に列設されている。ただし、左右の透孔11b、11bは、中央の透孔11aより幅広に形成されている。また、各支持板11の前部には、中央の長孔11c、左右の長孔11d、11dが前後方向に形成され、後端部には、左右の丸孔11e、11eが形成されている。ただし、図1、図2には、各支持板11の一方の丸孔11eのみが図示されている。
【0013】
パンタグラフ機構20は、後部の長いリンク21、21、中間のコネクタ22、22、前部の短いリンク23、23、前端のコネクタ24と、駆動用のねじ軸25とを備えている。各リンク21の後端は、支持板11、11の丸孔11e、11eに挿通するピン軸21aを介して支持板11、11に回転自在に連結されている。なお、ねじ付きのピン軸21a、21aの下端は、共通の板状のナット21bにねじ込まれている。また、各リンク21の前端は、ピン22aを介してコネクタ22の後端に回転自在に連結されている。一方、各リンク23の後端は、ピン22bを介してコネクタ22の前端に回転自在に連結され、各リンク23の前端は、ねじ付きのピン軸23aを介してコネクタ24に回転自在に連結されている。ピン軸23a、23aは、それぞれ支持板11、11の長孔11d、11dに挿通され、下の支持板11を下側から抱持する共通のブラケット23bにねじ込まれている。
【0014】
ねじ軸25は、コネクタ22、22を左右に貫通し、支持板11、11の左右に突出している。ねじ軸25の一端には、摘み25aが付設され、他端には、フランジ25bが形成されている(図1、図3)。ねじ軸25の雄ねじ部分は、摘み25a側のコネクタ22のねじ孔22cにねじ込まれており、フランジ25b側のストレート部分は、他方のコネクタ22の貫通孔22dに回転自在に挿通されている。ただし、ねじ軸25のストレート部分には、フランジ25b側のワッシャ25c、25c、薄形のスラストベアリング25dと、摘み25a側の止め軸25eとがコネクタ22を挟むようにして装着され、貫通孔22dに対して軸方向に位置決めされている。
【0015】
コネクタ24の前面には、ボルト32aを介し、プッシュロッド31、31用のホルダ32がねじ止めされている(図2(A)、図4)。ただし、図4(A)、(B)は、それぞれ図1の要部拡大平面図、図4(A)のX2 −X2 線矢視相当断面図である。丸頭31a付きの各プッシュロッド31は、ホルダ32に形成する段付孔32bに収納され、ボルト32aを締め付けることによって固定されている。また、プッシュロッド31、31は、ホルダ32の前面に平行に突出するようにして並置されている。
【0016】
そこで、パンタグラフ機構20は、摘み25aを介してねじ軸25を正逆に回転操作すると、中間のコネクタ22、22を左右に開閉することにより、リンク21、21、23、23を介して前端のコネクタ24を前後動させることができる。パンタグラフ機構20の後端は、ピン軸21a、21aを介して支持板11、11の後端部に連結され、前端のコネクタ24は、各支持板11の長孔11d、11d、ピン軸23a、23aを介して前後方向に移動可能であるからである。すなわち、プッシュロッド31、31は、コネクタ22、22を閉じる方向にねじ軸25を回転操作すると、パンタグラフ機構20を介して前進駆動することができる。プッシュロッド31、31は、ホルダ32を介してコネクタ24と一体に組み立てられているからである。
【0017】
フォーク部材41は、フォーク41a、41a…を共通の基部41bに等間隔に垂設して構成されている(図1、図5)。中央のフォーク41aは、各支持板11の中央の透孔11a、11aに適合する。また、左右両側のフォーク41a、41aは、それぞれ各支持板11の左右の透孔11b、11bの各外側の辺に接するように配置されている。そこで、フォーク部材41は、フォーク41a、41a…を各支持板11の透孔11a、11b、11bに貫通させるようにして、上下の支持板11、11に着脱自在に装着することができる。
【0018】
フォーク部材41は、支持板11、11の前端部において、支持板11、11の間にチェーンCを位置決めして保持することができる(図2、図6)。ただし、図6(A)、(B)は、それぞれ図1の要部拡大平面相当図、図2のX3 −X3 線矢視相当拡大断面図である。また、図6(C)は、チェーンCの要部構成斜視図である。
【0019】
チェーンCは、ローラリンクプレートC1 、C1 の両端にそれぞれブシュC2 を介してローラC3 を装着するローラリンクCa と、ピンリンクプレートC4 、C4 の両端にそれぞれリンクピンC5 、C5 を設けるピンリンクCb とを交互に連結するローラチェーンである(図6(C))。ただし、各ローラC3 は、ローラリンクプレートC1 、C1 の間において、ブシュC2 に対して回転自在であり、各リンクピンC5 は、ブシュC2 に回転自在に挿通された上、ピンリンクプレートC4 、C4 の外側において両端がかしめられている。
【0020】
フォーク部材41の各フォーク41aは、支持板11、11の透孔11a、11aまたは透孔11b、11bに挿通すると(図6(A)、(B))、支持板11、11の間に挿入するチェーンCの隣接するローラC3 、C3 、相対向するローラリンクプレートC1 、C1 が形成するチェーンC内のスプロケット用の空間に隙間なく挿通されるように寸法設定されている。また、支持板11、11の間隔は、ローラリンクプレートC1 、C1 の最大高さ相当に設定されている。そこで、チェーンCは、フォーク部材41を介し、支持板11、11の間に、長さ方向、上下方向、左右方向のいずれにも移動不能に位置決めして保持することができる。また、このとき、パンタグラフ機構20の前端のプッシュロッド31、31は、チェーンCのリンクピンC5 、C5 に正確に対応する。すなわち、プッシュロッド31、31は、ホルダ32を介し、支持板11、11の間隔の中間の高さ位置において、チェーンCのピッチ相当の間隔に配置して前向きに保持されている。
【0021】
そこで、ねじ軸25を回転操作してプッシュロッド31、31を前進駆動し、プッシュロッド31、31を介して少なくとも片側のピンリンクプレートC4 の厚さ相当以上にリンクピンC5 、C5 を押し出すと(図6(A))、他のピンリンクプレートC4 と一体にリンクピンC5 、C5 を抜き取ってチェーンCを切断することができる。すなわち、プッシュロッド31、31は、ピンリンクプレートC4 、C4 の両端のリンクピンC5 、C5 を一挙に押し出すことができる。
【他の実施の形態】
【0022】
チェーンの切断工具は、プッシュロッド31、31、ホルダ32、フォーク部材41を交換するだけで、小形のチェーンCにも対応可能である(図7)。ただし、図7(A)〜(C)は、それぞれ要部拡大正面図、ホルダ32の平面図、図7(A)のX4 −X4 線矢視相当断面図である。
【0023】
ホルダ32の前面側下部には、フォーク部材41のフォーク41a、41a…用のスリット32c、32c…を形成するスペーサ部分32dが前向きに突設されている。そこで、チェーンCは、フォーク部材41を介し、上の支持板11とホルダ32のスペーサ部分32dとの間の間隔内に位置決めして保持することができる。なお、フォーク部材41のフォーク41a、41a…は、チェーンCの規格寸法に適合するように形成されている。また、フォーク部材41は、保持中のチェーンCが傾かないように、上の支持板11の透孔11a、11b、11b内に基部41bを部分的に沈めるようにして、支持板11、11に装着されている。さらに、プッシュロッド31、31は、チェーンCの規格寸法に合わせて、径を小さくして長さを長くし、間隔が狭められている。
【0024】
以上の説明において、チェーンCは、ローラC3 、C3 …を有しないブシュチェーンであってもよい。また、パンタグラフ機構20は、ねじ軸25を手動操作するに代えて、電動操作としてもよい。さらに、パンタグラフ機構20は、小形の油圧シリンダまたは空圧シリンダのような直線駆動源に代えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】全体構成斜視図
【図2】全体構成説明図
【図3】要部分解図
【図4】要部構成説明図
【図5】要部斜視図
【図6】使用状態説明図
【図7】他の実施の形態を示す使用状態説明図
【符号の説明】
【0026】
C…チェーン
11…支持板
11a、11b…透孔
20…パンタグラフ機構
24…コネクタ
25…ねじ軸
31…プッシュロッド
32…ホルダ
41…フォーク部材
41a…フォーク

特許出願人 田 村 守
代理人 弁理士 松 田 忠 秋
【出願人】 【識別番号】302006876
【氏名又は名称】田村 守
【出願日】 平成18年10月18日(2006.10.18)
【代理人】 【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋


【公開番号】 特開2008−100304(P2008−100304A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−283386(P2006−283386)