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【発明の名称】 打撃動力工具
【発明者】 【氏名】大森 和博

【氏名】星 智幸

【要約】 【課題】本発明は、小型化および軽量化を図り、さらに樹脂ハウジング部とメタルケース部との嵌合部の接続強度を向上させた打撃動力工具を提供する。

【解決手段】打撃動力工具1において、アンビル係合部5aからアンビルの工具挿入口5cへ向かう方向に窄んだ流線形状またはテーパ形状の本体胴体部30の先頭外郭部Sにおいて、樹脂ハウジング部材31とメタルケース部材32との嵌合部31a、32aを設けることによって接合強度の向上を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
該モータにより動力伝達機構を介して回転が与えられるスピンドルと、
該スピンドルに取付けられ、該スピンドルの回転軸方向に移動可能に係合して回転打撃力を与えるハンマと、
後端部に前記ハンマから回転打撃力を受けるアンビル係合部を有し、前端部に先端工具を挿入する工具挿入口を有するアンビルと、
前記モータ、前記スピンドル、前記ハンマおよび前記アンビルを収納するように、前記モータ側の後端部から前記アンビル側の前端部へ回転軸方向に沿って延在する本体胴体部であって、該本体胴体部は、前記モータ側の後端部から前記アンビル側の前端部へ延在する合成樹脂材料から成る樹脂ハウジング部材と、該樹脂ハウジング部材の前記前端部に嵌合する嵌合部を有し、該嵌合部を後端部として前記アンビル側の前端部へ延在する金属材料から成るメタルケース部材とから構成される本体胴体部と、
前記本体胴体部から分岐して前記本体胴体部と一体に設けられるハンドル把持部と、を具備する打撃動力工具において、
前記本体胴体部は、前記アンビルの前記アンビル係合部から前記アンビルの前記工具挿入口へ向かう方向に窄んだ流線形状またはテーパ形状の先頭外郭部を有し、
前記先頭外郭部において、前記樹脂ハウジング部材と前記メタルケース部材との前記嵌合部が設けられていることを特徴とする打撃動力工具。
【請求項2】
前記メタルケース部材は、前記アンビルの前記アンビル係合部より前記工具挿入口側前方において前記樹脂ハウジング部材との前記嵌合部を有し、該嵌合部から前記工具挿入口側へ延設されていることを特徴とする請求項1に記載された打撃動力工具。
【請求項3】
前記アンビルの前記後端部および前記前端部間の中間部は前記メタルケース部材の内周部に支持された金属材料から成るメタル軸受部によって軸支され、前記メタルケース部材の前記嵌合部は前記メタル軸受部の後端部の外周部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された打撃動力工具。
【請求項4】
前記メタルケース部材の前記嵌合部は、前記メタルケース部材の軸方向において前記樹脂ハウジング部材の前記前端部と係止する軸方向係止部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項5】
前記メタルケース部材の前記嵌合部は、前記メタルケース部材の回転方向において前記樹脂ハウジング部材の前記前端部と係止する回転方向係止部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項6】
前記メタルケース部材および前記樹脂ハウジング部材の前記嵌合部には、潤滑オイルの漏洩を防止する弾性体部材が嵌着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項7】
前記アンビルの前記アンビル係合部と前記メタルケース部材との間には衝撃力を緩和する弾性体部材が嵌着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項8】
前記樹脂ハウジング部材は二つの樹脂分割片部材の結合体より形成され、前記メタルケース部材は単一の中空体部材より形成され、前記メタルケース部材の嵌合部を前記二つの樹脂分割片部材間に挟持させることにより前記本体胴体部を組立てたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項9】
前記樹脂分割片部材の前記結合体の前端部に隣接して前記メタルケース部材の外周部の一部を覆う弾性体材料よりなるフロントキャップが嵌着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【請求項10】
前記樹脂ハウジング部材の前記先頭外郭部において、ライトを保持するための照明体収納部が設けられていること特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載された打撃動力工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インパクトドライバやインパクトレンチ等の打撃動力工具に関し、特に、打撃動力工具の本体胴体部のハウジング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ネジ締め等に用いられる打撃動力工具(インパクト工具)は、駆動源となるモータと、モータにより動力伝達機構を介して回転が与えられるスピンドルと、スピンドルに取付けられ、該スピンドルの回転軸方向に移動可能に係合し、回転打撃力を与えるハンマと、該ハンマによる回転打撃力で回転する出力軸を有し、かつ該出力軸に先端工具のビットが装着可能な挿入口(通常、断面六角形)を有するアンビルと、該挿入口に差し込まれたビット等の先端工具を出力軸に固定するビット抜止装置とを備えている。
【0003】
そして、周知の打撃動力工具の本体胴体部では、例えば下記特許文献1に開示されているように、モータ部、動力伝達機構部、およびスピンドル部を収容する本体胴体部の一部を樹脂材料から成る樹脂ハウジング部材で形成し、スピンドル部の出力軸側に装着されるハンマ部およびアンビル部を含む打撃機構部(インパクト機構部)全体を収納する胴体部分を金属材料から成るメタルケース部材(ハンマケース部材)で形成している。
【0004】
【特許文献1】特開平2005−231005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の打撃動力工具の本体胴体部は、ハンマ部およびハンマ部の打撃力を受けるアンビル部を含む打撃機構部全体を、アルミ等のメタルで作られたハンマケース内に装着するために、可搬型である動力工具の重量が重くなってしまうという問題がある。また、打撃機構部全体を体積が大きいメタルのハンマケース内に収納するので、ハンマ部の打撃によって発生する振動がメタルハンマケースに伝わり易く、打撃音が大きくなってしまうという問題もある。
【0006】
一方、最近の打撃動力工具においては、モータ部および動力伝達部を収納する樹脂ハウジング部と、打撃部全体を収納するメタルケース部(ハンマケース部)との接続は、ビスで両者を結合するためのネジ止め突出部を形成することなく、嵌合部(係止部)によって円滑に結合させる技術が採用されている。この場合、両者の嵌合部(係止部)の形成に肉厚な樹脂ハウジング部を必要とすることから、本体胴体部の全体の外径を比較的大きく形成させなければ、両者の強い接続強度が得られなくなるという問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、小型化および軽量化を図った本体胴体部を有する打撃動力工具を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、樹脂ハウジング部とメタルケース部との嵌合部の接続強度を向上させた本体胴体部を有する打撃動力工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的を達成するために、本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
本発明の一つの特徴によれば、モータと、該モータにより動力伝達機構を介して回転が与えられるスピンドルと、該スピンドルに取付けられ、該スピンドルの回転軸方向に移動可能に係合して回転打撃力を与えるハンマと、後端部に前記ハンマから回転打撃力を受けるアンビル係合部を有し、前端部に先端工具を挿入する工具挿入口を有するアンビルと、前記モータ、前記スピンドル、前記ハンマおよび前記アンビルを収納するように、前記モータ側の後端部から前記アンビル側の前端部へ回転軸方向に沿って延在する本体胴体部であって、該本体胴体部は、前記モータ側の後端部から前記アンビル側の前端部へ延在する合成樹脂材料から成る樹脂ハウジング部材と、該樹脂ハウジング部材の前記前端部に嵌合する嵌合部を有し、該嵌合部を後端部として前記アンビル側の前端部へ延在する金属材料から成るメタルケース部材とから構成される本体胴体部と、前記本体胴体部から分岐して前記本体胴体部と一体に設けられるハンドル把持部と、を具備する打撃動力工具において、前記本体胴体部は、前記アンビルの前記アンビル係合部から前記アンビルの前記工具挿入口へ向かう方向に窄んだ流線形状またはテーパ形状の先頭外郭部を有し、前記先頭外郭部において、前記樹脂ハウジング部材と前記メタルケース部材との前記嵌合部が設けられている。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記メタルケース部材は、前記アンビルの前記アンビル係合部より前記工具挿入口側前方において前記樹脂ハウジング部材との前記嵌合部を有し、該嵌合部から前記工具挿入口側へ延設されている。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記アンビルの前記後端部および前記前端部間の中間部は前記メタルケース部材の内周部に支持された金属材料から成るメタル軸受部によって軸支され、前記メタルケース部材の前記嵌合部は前記メタル軸受部の後端部の外周部に設けられている。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記メタルケース部材の前記嵌合部は、前記メタルケース部材の軸方向において前記樹脂ハウジング部材の前記前端部と係止する軸方向係止部を有する。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記メタルケース部材の前記嵌合部は、前記メタルケース部材の回転方向において前記樹脂ハウジング部材の前記前端部と係止する回転方向係止部を有する。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記メタルケース部材および前記樹脂ハウジング部材の前記嵌合部には、潤滑オイルの漏洩を防止するための第1の弾性体部材が嵌着されている。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記アンビルの前記アンビル係合部と前記メタルケース部材との間には衝撃力を緩和する第2の弾性体部材が嵌着されている。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記樹脂ハウジング部材は二つの樹脂分割片部材の結合体より形成され、前記メタルケース部材は単一の中空体部材より形成され、前記メタルケース部材の嵌合部を前記二つの樹脂分割片部材間に挟持させることにより前記本体胴体部を組立てる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記樹脂分割片部材の前記結合体の前端部に隣接して前記メタルケース部材の外周部の一部を覆う弾性体材料よりなるフロントキャップが嵌着されている。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記樹脂ハウジング部材の前記先頭外郭部において、ライトを保持するための照明体収納部が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記特徴によれば、流線形状またはテーパ形状の先頭外郭部に、メタルケース部材および樹脂ハウジング部材の嵌合部を設けるので、肉厚の厚い樹脂ハウジング部材の部分に接続強度の高い嵌合部を形成することができる。従って、樹脂ハウジング部とメタルケース部との嵌合部の接続強度を向上させた本体胴体部を有する打撃動力工具を提供できる。
【0021】
本発明の上記特徴によれば、流線形状またはテーパ形状の先頭外郭部に限定してメタルケース部材が使用されるので、小型化および軽量化を図った本体胴体部を有する打撃動力工具を提供できる。
【0022】
本発明の上記および他の目的、ならびに本発明の上記および他の新規な特徴は、本明細書の以下の記述及び添付図面からさらに明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る打撃動力工具について図面を参照して説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
図1は本発明に係る打撃動力工具をコードレスタイプのインパクトドライバに適用した工具全体を示す断面図、図2は図1に示した打撃動力工具の部分要部拡大図、図3は図2示した打撃動力工具に用いられるメタルケース部材の斜視図をそれぞれ示す。
【0025】
最初に、図1および図2を参照して打撃動力工具全体について説明する。打撃動力工具(インパクトドライバ)1は、モータ2の回転軸と同一方向に沿って、後端部(図面の左端部)Rから前端部(図面の右端部)Fに延在する本体胴体部30と、本体胴体部30の回転軸方向と交わる方向に本体胴体部30より分岐して垂下するハンドル把持部70とから構成され、本体胴体部30の前端部Fに露出するアンビル5には、工具本体より回転打撃力を受けて、被締付部材にネジ(図示なし)を締付ける先端工具6(図1参照)がビット抜止装置5dを介して着脱自在に装着される。先端工具6としてドライバビットの代わりに、ボルト締付用ビットも装着することができる。
【0026】
本体胴体部30の後端部R側には、駆動源となるモータ2が収納もしくは装着され、本体胴体部30の中間部には、モータ2の回転軸方向に回転力を伝達する動力伝達機構部(減速機構部)20が収納され、さらに本体胴体部30の前端部F側には、回転打撃力を与えるインパクト機構部(打撃機構部)40、および該インパクト機構部40の回転打撃力を先端工具6へ伝達するアンビル5が収納される。
【0027】
ハンドル把持部70には、モータ2の駆動電源となる電池パックケース8がハンドル把持部70の下端部に着脱可能に収納されている。電池パックケース8は電池パック8aと配線部8bを含み、電池パックケース8の一部はハンドル把持部70内に挿入される。電池パック8aはトリガスイッチ9を介してモータ2に電気的接続されている。電池パック8aには、例えば、8本のリチウムイオン電池(公称電圧:3.6V)が使用され、4本づつ直列接続したもの2組を並列接続して電池パックケース8に収容する。従って、電池パックケース8の出力電圧は、例えば14.4Vとし、その電流容量は、電池パック8aの1個分の2倍としている。
【0028】
図2に示されるように、モータ2の回転軸2aの回転力は、回転軸2aの前端部に設けられたピニオンギヤ(サンギヤ)2bに係合された動力伝達機構部20を介して、インパクト機構部40の一部を構成するスピンドル9に伝達される。動力伝達機構部20は、前記回転軸2aに設けられたピニオンギヤ(サンギヤ)2bとそのピニオンギヤ2bに噛合う二つの遊星ギヤ3を含み、これらはインナカバー20a内に組み込まれている。この動力伝達機構部20によって、スピンドル10にはモータ2の回転に対し減速された回転力が与えられる。
【0029】
インパクト機構部(打撃機構部)40は、動力伝達機構部20を介して回転力が与えられるスピンドル10と、スピンドル10に取付けられ、スピンドル10の回転軸方向に移動可能に係合し、回転打撃力を与えるハンマ11と、ハンマ11の凸部11aと係合するアンビルの凸部(アンビル係合部)5aおよびアンビルの出力軸5bを有するアンビル5とを備える。ハンマ11およびアンビル5は、回転平面上の2箇所に互いに対称的に配置された2つのハンマ凸部11aおよび2つのアンビル凸部(アンビル係合部)5aをそれぞれ有し、該ハンマ凸部11aとアンビル凸部5aは回転方向に噛合い係合する。これら凸部同士11aおよび5aの係合により、回転打撃力が出力軸5bへ伝えられる。
【0030】
さらに、上記ハンマ11は、スピンドル10を囲むリング域で、スピンドル10に対して軸方向に摺動自在に装着されると共に、スプリング12によって軸方向前方へと付勢される。ハンマ11の内周面には、逆V字型(略三角形)のハンマカム溝11cが設けられている。一方、スピンドル10の外周面には軸方向に、V字型のスピンドルカム溝10cが設けられており、このスピンドルカム溝10cとハンマカム溝11c間に挿入されたボール(鋼球)13を介してハンマ11が回転する。この時、被締付物(加工物)のネジ等の締付具(図示なし)を回転させるための負荷トルクよりもハンマ11の回転トルクの方が小さいと、ハンマ11は、スピンドルカム溝11cに沿って、スプリング12をねじりながら圧縮しつつ後退し、ハンマ凸部11aがアンビル凸部5aとの結合から離れた時点から、ハンマ11はアンビル5を乗り越え、更にハンマ11は、スプリング12による付勢とスピンドルカム溝10cによるガイドを受けて、回転しつつ前進し、ハンマ凸部(打撃部)11aで回転前方のアンビル5のアンビル凸部(アンビル係合部)5aに衝撃トルク(打撃トルク)を与える。この衝撃トルクは、アンビル5の出力軸5bにビット抜止装置5dによって取付けられたドライバビット6(図1参照)へ伝わり、さらにドライバビット6から締付具(ネジ)に回転衝撃トルクを伝えて、締付具による被締付部材への締付を行う。
【0031】
本発明に係る本体胴体部30は、モータ2側の後端部Rからアンビル5側の前端部Fへ延在する合成樹脂材料から成る樹脂ハウジング部材31と、樹脂ハウジング部材31に接続されてアンビル5側の前端部Fへ延在するアルミ合金等の金属材料から成るメタルケース部材32とから構成される。
【0032】
メタルケース部材32の内周部には円筒状のメタル軸受部14が圧入され、メタル軸受部14はメタルケース部材32によって支持される。メタル軸受部14は、アンビル5を軸支する軸受部として機能し、潤滑オイルであるグリースを充填するためのリング状溝部14aと、その前端部に装着されたアンビル5の外周部に接触する円錐状のゴムシールを含むオイルシール部14bとを有する。
【0033】
図2に示すように、本体胴体部30は、モータ2を収納する後端部R側からハンマ11を収納する部分へ延在する部分において、略円筒状の外郭形状を持ち、略一定の外径寸法d1をもって延在している。本体胴体部30の前端部F側において、アンビル係合部5aからアンビル5の工具挿入口5cへ向かう方向に窄んだ流線形状またはテーパ形状の先頭外郭部Sを有する。先頭外郭部Sでは、本体胴体部30の円筒状外郭形状の外径寸法d1から、メタルケース部材32の前端部Fの外径寸法d2(d1>d2)へ流線形状またはテーパ形状となるように、その外径寸法が次第に窄められている。
【0034】
樹脂ハウジング部材31の前端部にはメタルケース部材32と嵌合または係止するリング状嵌合突出部(係止突出部)31aが形成され、メタルケース部材32の後端部には樹脂ハウジング部材31の前記嵌合突出部(係止突出部)31aと嵌合または係止するリング状嵌合突出部(係止突出部)32aが形成されている。両者の嵌合突出部31aおよび32aは樹脂ハウジング部材31とメタルケース部材32の嵌合部を形成し、両者はネジ止めなしに嵌合または係止によって接続される。
【0035】
樹脂ハウジング部材31は、断面形状が180度の二つの円弧状樹脂分割片部材を、結合した結合体より形成される。それら二つの円弧状樹脂分割片部材の結合面にはクリップ部(凹凸部)31c(図2参照)が形成されて、両者は密に結合される。メタルケース部材32は、図3に示すように、単一のメタル中空体部材より形成される。メタルケース部材32の嵌合部32aを上記二つの樹脂分割片部材(31)間に挟持させることにより、本体胴体部30が組立てられる。組立体の樹脂ハウジング部材31の外周面には弾性体材料のプロテクタカバー33(図2参照)が形成されて樹脂ハウジング部材31に対する外部からの衝撃を緩和している。
【0036】
また、樹脂ハウジング部材31とメタルケース部材32の嵌合部31a、32aには弾性体材料から形成されたOリング15が嵌着され、打撃機構部40から本体胴体部30の外部への潤滑オイルの漏洩を防止している。さらに、ハンマ11によって打撃されるアンビル係合部5aと、メタルケース部材32およびメタル軸受部14との間には、弾性体ワッシャ16を挿入し、ハンマ11を含む打撃機構部40から発生する衝撃を吸収させてメタルケース部材32への振動音または衝撃力の伝達を低減させている。
【0037】
図2に示されるように、樹脂ハウジング部材31の前端部に隣接してメタルケース部材32の外周部の一部を覆う弾性体材料よりなるフロントキャップ34が嵌着されている。フロントキャップ34は、メタルケース部材32に形成されたリング状ストッパ(突出部)32bによって回転軸方向の移動が防止され、樹脂ハウジング部材31の前端部およびプロテクタカバー33の回転軸方向への移動を拘束し、または衝撃を緩和させる機能を持つ。
【0038】
樹脂ハウジング部材31の先頭外郭部Sにおいて、LED等のライトを保持するための照明体収納部31bが樹脂ハウジング部材31と一体に設けられる。これにより、照明体を先端工具6に接近して先頭外郭部Sに設置することができるので、照明体収納部31bに設置されるLED等の照明体の照明範囲をより広くし、作業性を向上させることができる。
【0039】
本発明によれば、樹脂ハウジング部材31とメタルケース部材32の嵌合部31a、32aは、上記先頭外郭部Sに設けられる。言い換えれば、メタルケース部材32が設けられる部位は先頭外郭部Sに限定される。特に、メタルケース部材32は、アンビル係合部5aより前方においてハウジング部材31との嵌合部32aを有する。これにより、樹脂ハウジング部材31とメタルケース部材32の嵌合部(突出部)31a、32aは、先頭外郭部Sの最大径d1と最小径d2との窄め寸法差(d1−d2)の範囲内において、その高さ(回転径方向の高さ)h1を高く、また、その幅(回転軸方向の幅)を広くすることができ、その結果、本体胴体部30の外径寸法d1を大きくすることなく、その嵌合部(突出部)31a、32aの接合強度を強くすることができる。特に、嵌合部(突出部)31a、32aの高さを高くすることにより、回転軸方向の打撃力に対して嵌合部の接続強度を向上させることができる。また、接続強度を高くして小型化が可能となる。
【0040】
メタルケース部材32には、図3に示すように、回転方向の回転を拘束または防止するための突出係合部32cが形成されており、樹脂ハウジング部材31の図示されない係合部(凹部)に嵌合される。
【0041】
以上の実施形態の説明から明らかにされるように、本発明に従えば、止めネジを使用することなく、本体胴体部の径が窄められる先頭外郭部における嵌合により樹脂ハウジング部材とメタルケース部材とを強固に接続できる。このため、本体胴体部を小型化することができ、かつ樹脂ハウジング部材とメタルケース部材の接合部による作業の障害(邪魔)や、被締付部材への損傷を防止し、作業性を向上することができる。また、メタルケース部材は打撃機構部全体を包囲しないので、打撃動力工具の重量を軽量化することが可能となり、打撃動力工具の操作性を向上することができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る打撃動力工具の断面図。
【図2】図1に示した打撃動力工具の部分拡大断面図。
【図3】図1に示した打撃動力工具に使用されるメタルケース部材の斜視図。
【符号の説明】
【0044】
1:打撃動力工具 2:モータ 2a:モータの出力軸 3:遊星ギア
2b:ピニオンギヤ(サンギヤ) 5:アンビル 5a:アンビル係合部
5b:アンビル出力軸 5c:工具挿入口 5d:ビット抜止装置
6:先端工具(ドライバビット) 8:電池パックケース 8a:電池パック
8b:配線部 9:トリガスイッチ 10:スピンドル
10c:スピンドルカム溝 11:ハンマ 11a:ハンマ凸部(ハンマ係合部)
11c:ハンマカム溝 12:スプリング 13:ボール
14:メタル軸受部 14a:リング状オイル溝部 14b:オイルシール部
15:Oリング 16:弾性体ワッシャ 20:動力伝達機構部(減速機構部)
20a:インナカバー 30:本体胴体部 31:樹脂ハウジング部材
31a:嵌合突出部(係止突出部) 31b:照明体収納部
31c:クリップ部 32:メタルケース部材
32a:嵌合突出部(係止突出部) 32b:リング状ストッパ
32c:突出係合部 33:プロテクタカバー 34:フロントキャップ
40:インパクト機構部(打撃機構部) 70:ハンドル把持部
S:先頭外郭部
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【代理人】 【識別番号】100072394
【弁理士】
【氏名又は名称】井沢 博


【公開番号】 特開2008−93782(P2008−93782A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−278267(P2006−278267)