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【発明の名称】 自在スパナのジョー構造
【発明者】 【氏名】呉 傅福

【要約】 【課題】本発明は、自在スパナのジョー構造を提供する。

【解決手段】本発明は、固定ジョーと可動ジョーの対向端面に、それぞれ、開口段差凹部が形成され、固定ジョーの底端部に、斜めに伸びる摺動路面の一端に連接される当接面が設けられ、また、両開口段差凹部の内側に、それぞれ、少なくとも一つの押圧壁と凹部が形成され、また、当該固定ジョーの開口段差凹部の延伸線と摺動軸の軸心線とが、65°〜85°の夾角をなし、所定の範囲内の異なるサイズのナットの任意の隣接する両側面が、それぞれ、固定ジョーの開口段差凹部と当接面に当接し、横方向に摺動する可動ジョーの内側に位置する押圧壁が、当該異なるサイズのナットの側面のほぼ中央位置に当接し、ナットが挟持回転される時、ナットの角部が、両開口段差凹部に接触しない状態に保持し、これにより、ナットの角部が円弧状に磨耗されることを防止できる効果が得られる自在スパナである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部の一端に頭部が形成され、頭部の一端に固定ジョーが延伸形成された自在スパナの頭部において、前記固定ジョーの横方向に連続する摺動槽と、前記摺動槽に縦方向に連通する収納槽が設けられると共に、摺動槽内に可動ジョーが設けられ、収納槽内に配設した方向制御部材によって連動される可動ジョーにより、固定ジョー及び可動ジョーの対向する端面部の開口距離を調整する自在スパナであって、
前記固定ジョーと可動ジョーの対向端面には、それぞれ開口段差凹部が形成され、固定ジョーの開口段差凹部の底端には、斜めに延伸して摺動路面の一端に連接する当接面が設けられ、また、両ジョーの開口段差凹部の内側には、それぞれ、少なくとも一つの押圧壁が形成されており、前記固定ジョーの開口段差凹部の延伸線と横方向摺動軸の軸心線とが、65°〜85°の夾角をなし、各種類の規格サイズのナットが固定ジョーの開口段差凹部と当接面に当接する時、横方向に可動ジョーを摺動することにより、前記可動ジョーの内側の押圧壁が、各種類のサイズのナットの側面のほぼ中央位置に当接するようになっていことを特徴とする自在スパナのジョー構造。
【請求項2】
固定ジョーの開口段差凹部の延伸線と摺動軸の軸心線との夾角が74°であることを特徴とする請求項1に記載の自在スパナのジョー構造。
【請求項3】
固定ジョーと可動ジョーの開口段差凹部が平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の自在スパナのジョー構造。
【請求項4】
押圧壁が円弧形や台形であることを特徴とする請求項1に記載の自在スパナのジョー構造。
【請求項5】
固定ジョーの開口段差凹部と当接面との連接箇所に、凹部が形成され、可動ジョーの開口段差凹部の内側の押圧壁と上端の平坦面との間に、凹部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の自在スパナのジョー構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自在スパナに関し、特に、挟まれて回転された時に、ナットの角部が円弧状に磨耗されるのを防止することのできる自在スパナのジョー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンエンドスパナや自在スパナ等の開放式スパナは、固定ジョーと可動ジョーの開口段差凹部によりナットの両側面を挟んで回転することで、ナットを締めたり弛めたりする。
【0003】
両ジョーの開口段差凹部でナットの対応する両平行側面を挟んで回転させ、締めたり弛めたりする時、自在スパナはナットの両平行側面に当接するが、回動押圧力を印加すると、両ジョーに対して印加したトルクが、全て、ナットに対する作用力に変化され、その作用点が当該ナットの対角上に位置するため、ナットの角部が円弧状に磨耗される問題がある。また、オープンエンドスパナの開口がナットの対向辺の距離より大きいため、上記の問題が、更に厳しくなり、そして、その後、締め作業や弛め作業が難しくなる恐れがある。
そのため、例えば、米特許第5878636号や第3916735号、第191892号、第5152198号、及び第1632911号等において、上記の欠点を解決するための開口式スパナが提案されている。また、中華民国において、ジョーと摺動路面とが非垂直形態である中華民国特許公告第586469号『スパナ改良構造』や、米特許第1309860号によって、非垂直形態である考案が提案されている。
さらには、本発明者により、開放式スパナの両ジョーの内側に突出部と凹部を形成して、ナットの角部が円弧状に磨耗されることを防止できる中華民國特許公告第302793号と第547249号とが提案されている。
【0004】
上記の各種従来の開放式スパナの両ジョーの構造設計によれば、ナットの角部が円弧状に磨耗されることを防止する効果が得られ、オープンエンドスパナである場合、一般の定尺のナットに合わせて凹部のサイズを設定するため、設定したサイズのナットに有効である。
また、開放式の自在スパナである場合、オープンエンドスパナの開口が所定の距離に固定される方式と違って、可動ジョーと固定ジョーの開口が調整可能であるが、ナットは、様々の異なる規格サイズがあり、メートル制と英制寸法のものとがある。さらには、同じ雌ねじ規格のナットであっても負荷が異なるもの、ナットの辺長や対向辺距離も様々であり、一部の近似する規格のナットの辺長にも僅かの差がある。そのため、挟み持つ時、確定しない変数が多く、上記のスパナは、所定の範囲内のすべての規格サイズのナットを、確実にジョーの凹部内に保持して異なる規格サイズのナットの角部を保護することができないため、手工具業界において、自在スパナの両ジョーで異なる規格サイズのナットを確実に挟み持って回転する時、ナットの角部が円弧状に磨耗されない効果が得られる自在スパナを研究開発している。
【特許文献1】米特許第5878636号
【特許文献2】米特許第3916735号
【特許文献3】米特許第191892号
【特許文献4】米特許第5152198号
【特許文献5】米特許第1632911号
【特許文献6】中華民国特許公告第586469号
【特許文献7】米特許第1309860号
【特許文献8】中華民國特許公告第302793号
【特許文献9】中華民国特許公告第547249号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、主として、異なる規格サイズのナットを挟み持って回転させた時、ナットの角部が円弧状に磨耗されないようにした自在スパナのジョー構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、固定ジョーと可動ジョーとの対向端に、されぞれ、開口段差凹部が形成され、固定ジョーの底端に、斜めに伸ばして摺動路面の一端に連接する当接面が設けられ、また、両開口段差凹部の内側に、それぞれ、少なくとも一つの押圧壁と凹部が形成され、そして、固定ジョーの開口段差凹部の延伸線と摺動軸の軸心線とが、65°〜85°の夾角をなし、各種類の規格サイズのナットの任意の隣接する両側面が、それぞれ、固定ジョーの開口段差凹部と当接面に当接し、横方向に可動ジョーを摺動することにより、当該可動ジョーの内側の押圧壁が、各種類の規格サイズのナットの側面の約中央位置に当接し、上記の構造により、ナットの角部が、常に両開口段差凹部と接触しない状態に維持し、スパナにより締まる時や弛める時、ナットの角部が円弧状に磨耗されることを防止できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わる自在スパナのジョー構造によれば、新しいナットが挟持されて回転された時に、ナットの角部B、B1が円弧状に磨耗されることを防止できるだけでなく、本発明に係わる固定ジョーの押圧壁212が、ナットの角部Bと、適当な距離を開け、また、可動ジョーの押圧壁242が常にナットの側面Aの中心に当接するため、ナットの角部B1が円弧状に磨耗された古いナットであっても、本発明に係わる自在スパナの両ジョーの新規設計により安定的に挟持されることができ、また、スムーズに締め・弛み作業を行い得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
本発明に係る自在スパナのジョー構造の実施例について、図1及び2を参照して説明する。図1は自在スパナのジョー構造の要部の斜視図であり、図2は全体を示す斜視図である。
【0010】
図中、符号1は自在スパナ本体であり、前記自在スパナ本体1のグリップ部10の一端には、拡大状の頭部20が形成され、頭部20の一端に一体的に延伸した固定ジョー21が形成されており、固定ジョー21の側方には横方向に段差を持って連続する摺動槽22が形成され、該摺動槽22と直交する縦方向に連通する収納槽23が形成されている。
【0011】
前記摺動槽22内には横方向への摺動自在に可動ジョー24が配設され、前記固定ジョー21の当接端面と対峙するように嵌装されている。さらに前記可動ジョー24の下端部には噛み合い歯が設けられてり、前記収納槽23内に配設されたウォームギアなどの方向制御部材25と噛合っており、前記方向制御部材25を回転することにより、可動ジョー24が同期に連動されて摺動槽22に沿って横方向に、即ち前記固定ジョー21と当接端面が対峙する方向に変位し、これにより、両ジョー21、24との当接端面の開口距離が変化される。
【0012】
また、前記方向制御部材25は、図2のように従来のウォームギアとの噛合を実施例として説明したが、前記方向制御部材は、ボタン(Button)や、楔部材(Wedge member)、或いは他の手動や電動の可動ジョーの摺動を制御できる等価の技術手段であってよい。
【0013】
本発明の主な特長とするところは、頭部20に配設される固定ジョー21および可動ジョー24の新規構造であり、固定ジョー21と可動ジョー24との対向当接端面に、それぞれ、互いに平行する開口段差凹部211、241が形成され、両開口段差凹部211、241の内側(摺動槽22側)に、それぞれ、円弧形や台形等からなる押圧壁212、242が設けられている。
【0014】
また、前記固定ジョー21の開口段差凹部211の底面側には、ナット30(図3参照)の一側面に当接するための斜めに延伸して摺動路面221の一端に連続する当接傾斜面213が設けられ、また、固定ジョー21の開口段差凹部211の内側において、押圧壁212と当接傾斜面213との隣接する位置に、ナットの角部Bが逃げるための凹部214が形成されている。
【0015】
前記可動ジョー24の開口段差凹部241の内側に位置する押圧壁242は、前端の平坦面243において、予め設定した長さを有する凹部244により形成され、ナットの角部B1が、開口段差凹部241の凹部244に逃げるようになっている。
両ジョーの開口段差凹部211、241の延伸線Yと交差する横方向の摺動軸の軸心線Xとが傾斜状になるように夾角を有し(本実施例においては、両ジョーの開口段差凹部が平行に設置される状態であるため、両ジョーの開口段差凹部について説明するが、可動ジョーの開口段差凹部と固定ジョーの開口段差凹部とが平行的でない場合、固定ジョーの開口段差凹部を当該傾斜夾角の基準とする)、両開口段差凹部211、241の延伸線Yと摺動軸の軸心線Xとが形成した傾斜夾角θが65°〜85°の範囲内であり、傾斜夾角が74°であることが好ましい。
【0016】
図3乃至5を参照すると、本発明に係わる自在スパナ1の両ジョー21,24の開口段差凹部211、241の内側に、それぞれ、押圧壁212、242が形成され、両開口段差凹部211、241の延伸線Yと摺動軸の軸心線Xとが、74°の夾角を持つように設計し、これにより、可動ジョー24は、移動する過程において、その内側の押圧壁242が、常に挟み持たれた各種類のナット30、30a、30bのナット側面Aのほぼ中央位置に当接させることが確保できる。
【0017】
本発明において、開口段差凹部211および241の延伸線Yと摺動軸の軸心線Xとが74°に傾斜するようにした点については、図6乃至8を参照しながら説明する。
【0018】
まず、図7のように、異なるサイズのナットのそれぞれの角部Bを同一点に重ね合わせ、ナットの角部Bが対応するナットの側面Aの中心点を連結して基準線X1とし、当該基準線X1がナットの角部Bの点を通し、また、水平線X2が、ナット側面Aに垂直となるようにし、当該基準線X1と水平線X2の夾角θbが16°であるためである。
【0019】
図6と図8を参照しながら説明すると、本発明において、可動ジョー24が固定ジョー21に向かって異なるサイズのナットを押し進めた時、可動ジョー24の内側に位置する押圧壁242が、常に、異なるサイズのナットに対して水平にナットの側面のほぼ中央位置に当接するようになっており(図6のように、基準線X1と軸心線Xとが平行状態である)、また、図7において、基準線X1と水平線X2とを同時に反時計回りに16°を回転する時だけ、図8のように、基準線X1と水平線X2との夾角θaが、16°に維持できる。これにより、可動ジョー24の押圧壁242が固定ジョー21に向かって移動する時、当該押圧壁242が、異なるサイズのナットの側面Aの中央位置に当接でき、上記のことにより、本発明は、スパナの両開口段差凹部の延伸線(或いは、固定ジョーの開口段差凹部の延伸線)と摺動軸の軸心線Xが74°の夾角になるように設計されている。
【0020】
上記の設計により、両開口段差凹部で挟み持った時、異なるサイズのナットの角部B、B1が、常に両開口段差凹部211、241の内側にある凹部214、244に位置し、そのため、図3乃至5のように、本発明に係わる自在スパナで異なるサイズのナットを挟持した場合、ナットの角部B、B1が両ジョーの開口段差凹部211、241に当接しない状態になり、これにより、従来の自在スパナで予め設定したサイズのナットを挟持した時に、挟まれたたナットの角部が円弧状に磨耗される、という欠点を解消できる。
【0021】
本発明に係わる自在スパナのジョー構造によれば、新しいナットが、挟み持たれて回転されることにより、ナットの角部B、B1が円弧状に磨耗されることを防止できるだけでなく、本発明に係わる固定ジョーの押圧壁212が、ナットの角部Bと、適当な距離を開け、また、可動ジョーの押圧壁242が、常にナットの側面Aの中心に当接するため、ナットの角部B1が円弧状に磨耗された古いナットであっても、本発明に係わる自在スパナの両ジョーの新規設計により、安定的に挟み持つことができ、また、スムーズに締め作業や弛み作業が行われる。
【0022】
以上の説明のように、本発明に係わる自在スパナのジョー構造は、従来のものがない新規構造を有することにより、新規性を有し、また、従来のものより良い効果が得られることにより進歩性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる自在スパナのジョー構造の実施例を示すか要部の斜視図
【図2】本発明に係わる自在スパナのジョー構造の実施例の全体斜視図
【図3】本発明に係わる自在スパナで比較的に大きいナットを挟み持つ時の状態の使用説明図
【図4】本発明に係わる自在スパナで普通のナットを挟み持つ時の状態の使用説明図
【図5】本発明に係わる自在スパナで比較的に小さいナットを挟み持つ時の状態の使用説明図
【図6】本発明に係わる自在スパナの可動ジョーの内側に位置する押圧壁が基準線に沿って摺動する時の使用説明図
【図7】異なるサイズのナットの側面の基準線の説明図
【図8】異なるサイズのナットを反時計回りに16°を回転する時の説明図
【符号の説明】
【0024】
1 自在スパナ本体
10 グリップ部
20 頭部
21 固定ジョー
211 開口段差凹部
212 押圧壁
213 当接面
214 凹部
22 摺動槽
221 摺動路面
23 収納槽
24 可動ジョー
241 開口段差凹部
242 押圧壁
243 平坦面
244 凹部
25 方向制御部材
30 比較的に大きいナット
30a 普通のナット
30b 比較的に小さいナット
A 側面
B ナットの角部
B1 ナットの角部
X 摺動軸の軸心線
X1 基準線
X2 水平線
Y 延伸線
【出願人】 【識別番号】506333934
【氏名又は名称】伯▲キン▼工具股▲分▼有限公司
【出願日】 平成18年10月3日(2006.10.3)
【代理人】 【識別番号】100063808
【弁理士】
【氏名又は名称】門間 正一


【公開番号】 特開2008−87116(P2008−87116A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−271524(P2006−271524)