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【発明の名称】 インパクト工具
【発明者】 【氏名】村上 卓宏

【要約】 【課題】締付能力の低下を招くことなく低騒音化とダンパの脱落を防ぐことができるインパクト工具を提供すること。

【解決手段】モータによって回転駆動されるスピンドルに回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力を互いに係合するハンマからアンビル3を経て先端工具に間欠的に伝達することによって該先端工具に回転打撃力を与えるインパクト工具において、前記アンビル3を軸方向に2分割し、一方の分割片3Aの軸方向一端面に凹部3aを形成し、該凹部3aに他方の分割片3Bの大径部(軸方向一端部)3fを挿入し、該分割片3Bの大径部3fと分割片3Aの前記凹部3aとの軸方向隙間にゴムダンパ(第1のダンパ)11を介設するとともに、分割片3Aの前記凹部3aと分割片3Bの大径部3fとの間に形成される周方向隙間にゴムダンパ(第2のダンパ)12を介設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって回転駆動されるスピンドルに回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力を互いに係合するハンマからアンビルを経て先端工具に間欠的に伝達することによって該先端工具に回転打撃力を与えるインパクト工具において、
前記アンビルを軸方向に2分割し、一方の分割片Aの軸方向一端面に凹部を形成し、該凹部に他方の分割片Bの軸方向一端部を挿入し、該分割片Bの軸方向一端部と分割片Aの前記凹部との軸方向隙間に第1のダンパを介設するとともに、分割片Aの前記凹部と分割片Bの軸方向一端部との間に形成される周方向隙間に第2のダンパを介設したことを特徴とするインパクト工具。
【請求項2】
前記分割片Aの凹部を矩形穴とし、該矩形穴の四隅に前記分割片Bの軸方向一端との間に形成される空間の各々に前記第2のダンパをそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載のインパクト工具。
【請求項3】
前記分割片Aの凹部内に係合爪aを形成し、前記分割片Bの一端部外周に係合爪bを形成し、両係合爪a,b間に前記第2のダンパを介設するとともに、無負荷時において両係合爪a,b間に周方向隙間が形成されるよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のインパクト工具。
【請求項4】
前記分割片Aの軸方向他端面に前記ハンマの凸部に間欠的に係合する凸部を形成するとともに、該凸部が形成される位置に前記係合爪aを形成したことを特徴とする請求項3記載のインパクト工具。
【請求項5】
前記第2のダンパの軸方向端面に突起を一体に突設したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインパクト工具。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回転打撃力を発生してネジ締め等の所要の作業を行うためのインパクト工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動工具の一形態としてのインパクト工具は、モータを駆動源として回転打撃力を発生して先端工具を回転させつつ、これに打撃力を間欠的に与えてネジ締め等の作業を行うものであるが、反動が小さく締付能力が高い等の特長を有しているため、現在、広く用いられている。しかし、回転打撃力を発生する回転打撃機構を有するために作業時の騒音が大きく、この騒音が問題となっている。
【0003】
図9に従来から使用されている一般的なインパクト工具の縦断面を示す。
【0004】
図9に示す従来のインパクト工具は、電池パック1を電源とし、モータ2を駆動源として回転打撃機構部を駆動し、アンビル3に回転と打撃を与えることによって先端工具に回転打撃力を間欠的に伝達してネジ締め等の作業を行うものである。
【0005】
このインパクト工具のハンマケース4に内蔵された回転打撃機構部においては、モータ2の出力軸(モータ軸)2aの回転は、遊星歯車機構5を経て減速されてスピンドル6に伝達され、該スピンドル6が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル6とハンマ7とはカム機構によって連結されており、このカム機構は、スピンドル6の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝6a及びハンマ7の内周面に形成されたV字状のハンマカム溝7a及びこれらのカム溝6a,7aに係合するボール8で構成されている。
【0006】
又、ハンマ7は、スプリング9によって常に先端方向(図9の右方)に付勢されており、静止時にはボール8とカム溝6a,7aとの係合によってアンビル3の端面とは隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ7とアンビル3の相対向する回転平面上の2箇所には凸部がそれぞれ対称的に形成されている。尚、ネジと先端工具及びアンビル3は、回転方向が互いに拘束されている。又、図9において、10はアンビル3を回転自在に支承する軸受メタルである。
【0007】
而して、前述のようにスピンドル6が回転駆動されると、その回転は前記カム機構を介してハンマ7に伝達され、ハンマ7が半回転しないうちに、該ハンマ7の凸部がアンビル3の凸部に係合して該アンビル3を回転させるが、そのときの係合反力によってハンマ7とスピンドル6との間に相対回転が生ずると、ハンマ7はカム機構のスピンドルカム溝6aに沿ってスプリング9を圧縮しながらモータ2側へと後退を始める。
【0008】
そして、ハンマ7の後退動によって該ハンマ7の凸部がアンビル3の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ7は、スビンドル6の回転力に加え、スプリング9に蓄積された弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング9の付勢力によって前方へと移動し、その凸部がアンビル3の凸部に再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル3に加えられるため、該アンビル3に装着された先端工具を介してネジに回転打撃力が伝達される。
【0009】
以後、同様の動作が繰り返されて先端工具からネジに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、該ネジが締結対象である木材等の被締結部材にネジ込まれる。
【0010】
ところで、斯かるインパクト工具を用いた作業中においては、ハンマ7は回転運動と同時に前後運動も行うため、これらの運動が振動源となり、アンビル3と先端工具及びネジを介して被締結部材が軸方向に加振されて大きな騒音を発生する。
【0011】
ここで、インパクト工具を用いた作業時の騒音のうち、締結対象からの騒音エネルギーは大きな割合を占めることが分かっており、騒音低減のためには締結対象に伝わる加振力を小さく抑える必要があり、そのための対策が種々検討されてきた(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平7−237152号公報
【特許文献2】特開2002−254335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、アンビルを2つの部材に分割し、両部材間にトルク伝達部を形成するとともに、軸方向の隙間に緩衝材を介在させることによって、先端工具やネジに作用する軸方向の力を減少させて騒音を低減させる提案がなされている。ここで、両部材の一方には四角凹部が、他方には四角凸部がそれぞれ形成され、トルク伝達部は、両部材を回転不能に連結するための四角の凹凸形状やスプライン形状等で構成されている。
【0013】
しかし、上記トルク伝達部にトルクが掛かると、両部材の間に大きな摩擦力が生じ、この摩擦力によって両部材の軸方向の相対移動が妨げられてしまうため、先端工具やネジに作用する軸方向の力を余り小さくすることができず、騒音低減効果が不十分であった。
【0014】
又、特許文献2には、トルク伝達部を、ボールやコロ等の転動可能な部品をキー要素とし、アンビルの2分割された両部材に設けられた溝と前記キー要素との係合によってトルク伝達部を構成することによって、両部材間の軸方向の摩擦力を低減させる提案がなされている。
【0015】
しかし、このような構成では、キー要素と溝との接触部における面圧が非常に高いために部品が早期に摩耗するとともに、構造が複雑で製造コストが高くなるという問題があった。
【0016】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、締付能力の低下を招くことなく低騒音化とダンパの脱落を防ぐことができるインパクト工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、モータによって回転駆動されるスピンドルに回転打撃機構を装着し、該回転打撃機構によって発生する回転打撃力を互いに係合するハンマからアンビルを経て先端工具に間欠的に伝達することによって該先端工具に回転打撃力を与えるインパクト工具において、前記アンビルを軸方向に2分割し、一方の分割片Aの軸方向一端面に凹部を形成し、該凹部に他方の分割片Bの軸方向一端部を挿入し、該分割片Bの軸方向一端部と分割片Aの前記凹部との軸方向隙間に第1のダンパを介設するとともに、分割片Aの前記凹部と分割片Bの軸方向一端部との間に形成される周方向隙間に第2のダンパを介設したことを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記分割片Aの凹部を矩形穴とし、該矩形穴の四隅に前記分割片Bの軸方向一端との間に形成される空間の各々に前記第2のダンパをそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記分割片Aの凹部内に係合爪aを形成し、前記分割片Bの一端部外周に係合爪bを形成し、両係合爪a,b間に前記第2のダンパを介設するとともに、無負荷時において両係合爪a,b間に周方向隙間が形成されるよう構成したことを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記分割片Aの軸方向他端面に前記ハンマの凸部に間欠的に係合する凸部を形成するとともに、該凸部が形成される位置に前記係合爪aを形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記第2のダンパの軸方向端面に突起を一体に突設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、軸方向に2分割されたアンビルの一方の分割片Aの軸方向一端面に形成された凹部に他方の分割片Bの軸方向一端部を挿入し、該分割片Bの軸方向一端部と分割片Aの凹部との軸方向隙間に第1のダンパを介設したため、分割片A,Bの直接接触が防がれるとともに、振動源である回転打撃機構からの軸方向振動が第1のダンパによって吸収される。又、分割片Aの凹部と分割片Bの軸方向一端部との間に形成される周方向隙間に第2のダンパを介設したため、振動源である回転打撃機構からの周方向振動が第2のダンパによって吸収される。
【0023】
このようにアンビルに設けられた第1及び第2のダンパによって軸方向及び周方向振動が吸収されるため、振動の締結対象への伝播が抑制されて当該インパクト工具の低騒音化が実現される。
【0024】
更に、第1及び第2のダンパは、アンビルの分割片Aの凹部内に収納されるため、これらのダンパのアンビルからの脱落が確実に防がれ、インパクト工具の安定した動作が可能となる。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、分割片Aの凹部を矩形穴とし、該矩形穴の四隅に分割片Bの軸方向一端との間に形成される空間の各々に第2のダンパをそれぞれ設けたため、4つの第2のダンパが周方向に均等に配置され、周方向振動が各ダンパによって略等しく吸収される。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、分割片Aの凹部内に形成された係合爪aと分割片Bの一端部外周に形成された係合爪b間に第2のダンパを介設するとともに、無負荷時において両係合爪a,b間に周方向隙間が形成されるよう構成したため、両係合爪a,bが接触するまでの間は第2のダンパの弾性変形によって周方向振動が吸収され、アンビルに過大なトルクが作用した場合には、両係合爪a,bが接触して第2ダンパを介さないで分割片Aから分割片Bにトルクが直接伝達されため、当該インパクト工具の締付能力が高められる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、分割片Aの軸方向他端面にハンマの凸部に間欠的に係合する凸部を形成するとともに、該凸部が形成される位置に係合爪aを形成したため、該係合爪aの強度が凸部によって補強され、分割片、延てはインパクト工具全体の耐久性が高められる。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、第2のダンパの軸方向端面に突起を一体に突設したため、第2ダンパの端面が分割片A,Bの端面の軸方向内側に位置することとなり、第2のダンパの突起を除く本体部と分割片A,Bの端面との直接接触が避けられ、該第2のダンパに過大な剪断応力が発生せず、第2のダンパの亀裂による破損を防いでその耐久性向上を図ることができる。又、第2のダンパが弾性変形した際、その変形が突起によって逃がされるため、該第2のダンパの周方向のバネ定数を小さく設定してその振動吸収能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明に係るインパクト工具の回転打撃機構部の縦断面図、図2は図1のA部拡大詳細図、図3は同インパクト工具のアンビルの側断面図(図6のB−B線断面図)、図4は図3のC部拡大詳細図、図5は同インパクト工具のアンビルの側断面図(図6のD−D線断面図)、図6は図3の矢視E方向の図、図7はゴムダンパを外した状態の図6と同様の図、図8はゴムダンパの斜視図であり、これらの図においては、図9に示したものと同一要素には同一符号を付している。
【0031】
本実施の形態に係るインパクト工具は、電池パック1を電源とし、モータ2を駆動源とするコードレスの手持ち式工具であって、その構成は一部を除き図9に示した従来のインパクト工具のそれと同様である。従って、以下の説明では図9に示したものと同一構成についての再度の説明は省略し、本発明の特徴的な構成についてのみ説明する。
【0032】
本実施の形態に係るインパクト工具は、アンビル3を軸方向に2分割して分割片3A,3Bとし、一方の分割片3Aの軸方向一端面に形成された凹部3a内に、軸方向の緩衝機能を果たす1つのゴムダンパ11と周方向の緩衝機能を果たす4つのゴムダンパ12を収納したことを特徴とする。
【0033】
上記一方の分割片3Aは、略円柱状に成形され、その軸中心部には円孔3bが形成されている。そして、この分割片3Aのハンマ7側の端面には、中心を通る直線状の凸部3cが一体に形成されており、ハンマ7の一端面(分割片3Aに対向する端面)には、2つの扇状の凸部7bが周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に形成されており、これらの凸部7bと分割片3Aに形成された前記凸部3cとは後述のように反回転毎に間欠的に係脱する。
【0034】
又、分割片3Aの他方の端面(他方の分割片3Bに対向する端面)には、図6及び図7に示すように矩形穴状の前記凹部3aが形成されており、この凹部3aの奥側コーナー部の2箇所には4分円状の2つの係合爪3dが周方向に角度180°隔てた対称位置に一体に形成されている。ここで、2つの係合爪3dは、図6及び図7に示すように、分割片3Aの端面に形成された前記凸部3cが形成された周方向位置に形成されている。
【0035】
他方の分割片3Bは、図3及び図5に示すように、中空状の軸部3eの一端部に大径部3fを一体に形成して構成され、大径部3fの外周には、図6及び図7に示すように4つの円弧曲面状の凹部3gが周方向に等角度(90°)ピッチで形成され、これらの凹部3gの間には凸状の計4つの係合爪3hが等角度(90°)ピッチで形成されている。そして、この分割片3Bの軸部3eの軸中心部には六角穴状の先端工具装着部3iが形成されており、大径部3fの軸中心部には、分割片3Aの軸中心部に形成された前記円孔3bと同径の円孔3jが同心的に形成されている。
【0036】
而して、アンビル3においては、図3〜図5に示すように、一方の分割片3Aの凹部3a内に他方の分割片3Bの大径部3fが挿入されるが、このとき、図6に示すように、分割片3Aの凹部1a内の四隅には分割片3Bの大径部3fの外周に形成された4つの凹部3gとの間に径方向隙間としての空間Sが形成され、各空間Sには図8に示すような円柱状の前記ゴムダンパ12がその軸方向がアンビル3の軸方向に一致するようにして介設されている。
【0037】
ここで、上記各ゴムダンパ12は、軸方向両端面の中心部には円柱状の突起12aが面に垂直に一体に形成されており、これらのゴムダンパ12の空間Sからの抜けは、図3〜図5に示すように、分割片3Bの外周に係着されたリングプレート状の抜け止めワッシャ13によって防がれている。
【0038】
又、図3〜図5に示すように、分割片3Aの凹部3aの奥側端面と分割片3Bの大径部3fの端面との間に形成された軸方向隙間にはプレート状の前記ゴムダンパ11が介設されており、図5に示すように、このゴムダンパ11の一部(分割片3Aの係合爪3dが無い部分の空間Sに介設された2つのゴムダンパ12の位置)には凸部11aが形成され、この凸部11aがゴムダンパ12の一方の突起12aに当接して該ゴムダンパ12を抜け止めワッシャ13との間で軸方向に位置決めしている。尚、図3に示すように、係合爪3dが臨む空間Sに介設された2つのゴムダンパ12の一方の突起12aは係合爪3dの端面に当接しており、これらのゴムダンパ12は、係合爪3dと抜け止めワッシャ13によって軸方向の位置決めがなされている。
【0039】
ところで、アンビル3にトルクが伝達されない無負荷状態においては、図4に詳細に示すように、分割片3Aと分割片3Bの端面との間には軸方向隙間δ1が形成されており、又、図6に示すように、各係合爪3d,3hとの間には周方向隙間δ2が形成されている。従って、無負荷時には、アンビル3の分割片3A,3Bは周方向にも軸方向にも直接接触していない。
【0040】
而して、アンビル3は、図1に示すように、その分割片3Bの軸部3eが軸受メタル10によって回転自在に支承されてハンマケース4内に収納されるが、分割片3Aは、その中心に形成された円孔3bに挿通するスピンドル6の先端部によって分割片3Bに対して相対回転及び軸方向移動可能に支持されている(図2参照)。尚、図2に示すように、スピンドル6の先端部は、アンビル3の分割片3Aの円孔3bを貫通して他方の分割片3Bの円孔3jに嵌合している。
【0041】
又、図1に示すように、アンビル3の分割片3Bの軸部3eに軸中心部に形成された六角穴状の先端工具装着部3iには先端工具14が脱着可能に装着されており、分割片3Aの外端面に形成された凸部3cに係脱される凸部7bを備えるハンマ7は、スプリング9によってアンビル3側(先端方向)に常に付勢されている。
【0042】
次に、以上の構成を有するインパクト工具の作用について説明する。
【0043】
回転打撃機構部においては、モータ2の出力軸(モータ軸)2aの回転は、遊星歯車機構5を経て減速されてスピンドル6に伝達され、該スピンドル6が所定の速度で回転駆動される。このように、スピンドル6が回転駆動されると、その回転はカム機構を介してハンマ7に伝達され、ハンマ7は、半回転しないうちにその凸部7bがアンビル3の分割片3Aの凸部3cに係合して該分割片3Aを回転させる。
【0044】
そして、ハンマ7の凸部7bとアンビル3の分割片3Aの凸部3cとの係合に伴う反力(係合反力)によってハンマ7とスピンドル6との間に相対回転が生ずると、ハンマ7はカム機構のスピンドルカム溝6aに沿ってスプリング9を圧縮しながらモータ2側へと後退を始める。
【0045】
このハンマ7の後退動によって該ハンマ7の凸部7bがアンビル3の分割片3Aの凸部3cを乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ7は、スビンドル6の回転力に加え、スプリング9に蓄積された弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング9の付勢力によって前方へと移動し、その凸部7bがアンビル3の凸部3cに再び係合してアンビル3を回転させ始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル3に加えられるが、アンビル3の軸方向に2分割された一方の分割片3Aの凹部3aに他方の分割片3Bの大径部3fとの間に形成された軸方向隙間にゴムダンパ11を介設したため、分割片A,Bの直接接触が防がれるとともに、振動源である回転打撃機構からの軸方向振動がゴムダンパ11によって吸収される。
【0046】
又、分割片3Aの凹部3aの四隅に形成された空間Sにゴムダンパ12を介設したため、振動源である回転打撃機構からの周方向振動が4つのゴムダンパ12の弾性変形によって吸収される。
【0047】
このようにアンビル3に設けられた1つのゴムダンパ11と4つのゴムダンパ12によって軸方向及び周方向振動が吸収されるため、振動の締結対象への伝播が抑制されて当該インパクト工具の低騒音化が実現される。特に、本実施の形態では、分割片3Aの凹部3aを矩形穴とし、該矩形穴3aの四隅に分割片3Bの大径部3fに形成された凹部3gとの間に形成された空間Sの各々にゴムダンパ12をそれぞれ設けたため、4つのゴムダンパ12が周方向に均等に配置され、周方向振動が各ゴムダンパ12によって略等しく吸収される。
【0048】
そして、ゴムダンパ11,12は、アンビル3の分割片3Aの凹部3a内に収納されるため、これらのゴムダンパ11,12のアンビル3からの脱落が確実に防がれ、インパクト工具の安定した動作が可能となる。
【0049】
又、本実施の形態では、分割片3Aの凹部3a内に形成された係合爪3dと分割片3Bの大径部3fの外周に形成された係合爪3h間にゴムダンパ12を介設するとともに、無負荷時において両係合爪3d,3h間に周方向隙間δ2が形成されるよう構成したため、両係合爪3d,3hが接触するまでの間はゴムダンパ12の弾性変形によって周方向振動が吸収され、アンビル3に過大なトルクが作用した場合には、両係合爪3d,3hが図7に示すように直接接触し、ゴムダンパ12を介さないで分割片3Aから分割片3Bにトルクが直接伝達されため、当該インパクト工具の締付能力が高められる。
【0050】
更に、本実施の形態では、分割片3Aの軸方向他端面にハンマ7の凸部7bに間欠的に係合する凸部3cを形成するとともに、該凸部3cが形成される位置に係合爪3dを形成したため、該係合爪3dの強度が凸部3cによって補強され、分割片3A、延てはインパクト工具全体の耐久性が高められる。
【0051】
又、本実施の形態では、各ゴムダンパ12の軸方向両端面に突起12aを一体に突設したため、該ゴムダンパ12の端面が分割片3A,3Bの端面の軸方向内側に位置することとなり、ゴムダンパ12の突起12aを除く本体部と分割片3A,3Bの端面との直接接触が避けられ、該ゴムダンパ12に過大な剪断応力が発生せず、ゴムダンパ12の亀裂による破損が防がれてその耐久性向上が図られる。その他、ゴムダンパ12が弾性変形した際、その変形が突起12aによって逃がされるため、該ゴムダンパ12の周方向のバネ定数を小さく設定してその振動吸収能を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、回転打撃力を発生して所要の作業を行うためのハンマドリル等のインパクト工具に適用して、特に騒音の低減を図る上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るインパクト工具の回転打撃機構部の縦断面図である。
【図2】図1のA部拡大詳細図である。
【図3】本発明に係るインパクト工具のアンビルの側断面図(図6のB−B線断面図)である。
【図4】図3のC部拡大詳細図である。
【図5】本発明に係るインパクト工具のアンビルの側断面図(図6のD−D線断面図)である。
【図6】図3の矢視E方向の図である。
【図7】ゴムダンパを外した状態の図6と同様の図である。
【図8】ゴムダンパの斜視図である。
【図9】従来のインパクト工具の縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 電池パック
2 モータ
2a モータの出力軸(モータ軸)
3 アンビル
3A アンビルの分割片(分割片A)
3B アンビルの分割片(分割片B)
3a 分割片Aの凹部
3b 分割片Aの円孔
3c 分割片Aの凸部
3d 分割片Aの係合爪(係合爪a)
3e 分割片Bの軸部
3f 分割片Bの大径部
3g 分割片Bの凹部
3h 分割片Bの係合爪(係合爪b)
3i 分割片Bの先端工具装着部
3j 分割片Bの円孔
4 ハンマケース
5 遊星歯車機構
6 スピンドル
6a スピンドルカム溝
7 ハンマ
7a ハンマカム溝
7b 凸部
7c 円孔
8 ボール
9 スプリング
10 軸受メタル
11 ゴムダンパ(第1のダンパ)
11a ゴムダンパの凸部
12 ゴムダンパ(第2のダンパ)
12a ゴムダンパの突起
13 抜け止めワッシャ
14 先端工具
S 空間
δ1 軸方向隙間
δ2 径方向隙間
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月20日(2006.9.20)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−73793(P2008−73793A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−254417(P2006−254417)