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【発明の名称】 手持ち工具
【発明者】 【氏名】三上 貢

【氏名】安達 禎章

【氏名】加藤 浩二

【氏名】揚原 紀元

【氏名】三井田 孝嗣

【要約】 【課題】作業の種類、負荷の大小等に応じて効率的に作動させることにより作業を効率よく行うことができる手持ち工具。

【構成】ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータ3とエアモータ2とを備えたことを特徴とし、さらには、上記作動機構と、電動モータ3及びエアモータ2と、これら2つのモータ2、3の動力切り替え機構4とを備え、上記動力切り替え機構4によって電動モータ又はエアモータによる動力を選択的に切り替えて上記作動機構を駆動することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータとエアモータとを備えたことを特徴とする手持ち工具。
【請求項2】
ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータ及びエアモータと、これら2つのモータの動力切り替え機構とを備え、上記動力切り替え機構によって電動モータ又はエアモータによる動力を選択的に切り替えて上記作動機構を駆動することを特徴とする手持ち工具。
【請求項3】
ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータ及びエアモータとを備え、これら2つのモータの動力を並列的に作動させて上記作動機構を駆動することを特徴とする手持ち工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主に建築関連分野においてネジや釘などのファスナーを回転させてねじ込みあるいは打込む手持ち工具に関し、特に電動モータとエアモータの2つのモータを併有する手持ち工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築工法の変化に対応してファスナーにもいろいろな種類のものが要求されている。例えば、最近は外断熱工法が注目されてきており、この工法には外側に断熱材が固定されるが、そのためには長さが150mmから200mmの長大な木ネジが用いられる。木ねじを締め付ける手持ち工具としては、エアインパクトドライバ(特許文献1参照)や電動ドリルが知られている。
【0003】
エアインパクトドライバは高トルクが得られるエアモータを搭載し、また電動ドリルは高速の電動モータを搭載している。長大な木ネジの締め付け作業においては、速い速度で回転させてねじ込むことが必要なので、通常は高トルクが得られるエアモータ駆動によるエアインパクトドライバが用いられる。
【特許文献1】特開2003−326473公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、長さが100mm以上の長大な木ねじをエアインパクトドライバで締め付ける場合、高トルクで締め付けることができるが、高トルクを発生させるエアモータの所要動力を得るためには、1本の木ねじを回転させてねじ込むだけで約40リットルの大量の圧縮エアを消費する。圧縮エアの消費量が多いと、圧縮エアを供給するエアコンプレッサの圧力の低下が著しくなるため、ねじ締め作業を連続して行うことができないという問題がある。
【0005】
また、長大な木ねじを回転させて締め込むには高いねじ込みトルクが必要となるが、電動モータによって締め込むと、電動モータにかかる負荷が大きく、使い勝手上許容される電動ドリルのモータが損傷する可能性が高い。
【0006】
このように、従来はなかったようなファスナーを対象部材に回転によりねじ込んだり打込んだりする場合、手持ち工具にも対応が求められる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、作業の種類、負荷の大小等に応じて効率的に作動させることにより作業を効率よく行うことができる手持ち工具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータとエアモータとを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータ及びエアモータと、これら2つのモータの動力切り替え機構とを備え、上記動力切り替え機構によって電動モータ又はエアモータによる動力を選択的に切り替えて上記作動機構を駆動することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、ファスナーを回転し又は打込む作動機構と、電動モータ及びエアモータとを備え、これら2つのモータの動力を並列的に作動させて上記作動機構を駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、回転特性やトルク特性が異なる電動モータとエアモータとを備えているので、ファスナーの回転、打込み等の作業の種類、負荷の大小等に応じて、電動モータとエアモータのいずれか又は両方を、その持っている特性を最も活かせるように作動機構を作動させることができるので、広範な作業を効率的にこなすことができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、電動モータは円滑な回転立ち上がり特性があり、エアモータは高速・高トルクに適した特性を備えている。したがって、2つのモータもその特性を重視し、回転によるねじ締め等の作業に初めに電動モータで作業し、後にエアモータに切り替えるとか、初めにエアモータで作業し、後に電動モータに切り替えるとか、ファスナーの回転、打込み等の作業の種類、負荷の大小等に応じて適宜切り替えを選択して作業を効率よく行うことができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、電動モータ及びエアモータとを備え、これら2つのモータの動力を並列的に作動させて作業を行うことができるので、例えば立ち上がりは電動モータの円滑な回転に支配される動作とし、エアモータ作動時は電動モータでエアモータのトルクをアシストするというように、電動モータの特性とエアモータの特性を同時に発揮させて作業を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の手持ち工具の実施の一形態をインパクトドライバによって示した場合の全体の概観説明図であり、図2はその動作のフロー図である。
【0016】
上図において符号1は上記インパクトドライバの工具本体を示す。工具本体1のハウジングの内部にはエアモータ2と電動モータ3とが減速機構3aと動力切り替え機構4を介して直列に配置され、エアモータ2の前部には出力軸の回転に打撃を加える打撃発生機構5が設けられ、さらにハウジングの前方には出力先端軸6が突出し、出力先端軸6にはビット保持スリーブ7を介してドライバビット8が取り付けられている。
【0017】
工具本体1の前部の下部にはエアモータ2に圧縮空気を供給するエア供給管路9と、エアモータ2からの排気エアを排気孔10に排出させるためのエア排気管路11とが配管されている。上記エア供給管路9にはエアモータ2の正転用と逆転用の2経路が設けられている。また、エア供給管路9にはエアカプラ12が取り付けられ、さらにエアカプラ12を介してエアホース13に接続している。エアホース13の端部はエアコンプレッサ等のエア供給源に接続している。さらに、エア供給管路9の基部には電磁バルブ14が設けられている。この電磁バルブ14は正転用と逆転用の2経路のエア供給管路9をそれぞれ開閉するものである。
【0018】
なお、エア排気管路11の中途部からエア冷却管路15が分岐され、電動モータ3の側壁に沿って配置されている。
【0019】
また、工具本体1の後部の下部にはグリップ16が連続形成されている。グリップ16の前方にはモータ操作用トリガ17が配置されている。グリップ16の上部には、トリガ17の操作に連動する操作スイッチ18とエアモータ2を正逆回転させる正逆転切り替えスイッチ19が外部から操作可能に設けられている。
【0020】
グリップ16の内部にはモータの制御回路20が配設されている。この回路20にはスイッチ21とスイッチ22が設けられている。スイッチ21は、後述のように、電動モータ3の回転数や負荷電流を検出して上記回路を閉じたり開いたりするもので、検出値が所定の値よりも高くなったときに上記回路を開いて電力の供給を停止するスイッチであり、スイッチ22はスイッチ21と連動し、スイッチ21がオンしたときは電磁バルブ14を閉じ、スイッチ21がオフしたときには電磁バルブ14を開くようにその開閉を制御するスイッチである。23は電源となる充電池である。
【0021】
ところで、上記インパクトドライバは動力としてエアモータ2と電動モータ3とを備えているが、動力の切り替えは次のように構成されている。
【0022】
すなわち、電動モータ3は円滑な回転立ち上がり特性があり、エアモータ2は高速・高トルクに適した特性を備えている。したがって、木ねじを回転させて木材にねじ込む場合、ねじ込みの初期は比較的緩やかに回転し、その後高速で回転させて締め込むのが好ましい。そのため、上記2つのモータ2、3もその特性を重視し、初めに電動モータ3でねじ込み、後にエアモータ2に切り替えるように設定されている。エアモータ2と電動モータ3とは動力切り替え機構4を介して結合され、2つのモータの動力は動力切り替え機構4によって切り替えられる。動力切り替え機構4はワンウェイクラッチによる一方向のみの動力伝達か、あるいは遊星歯車ユニットによる空転モードの利用等によればよい。
【0023】
動力を切り替える場合、エアモータ2を作動させているとき、電動モータ3も作動させると、電動モータ3が発電機となり、エアモータ2の負荷となる。そこで、この場合は、動力切り替え機構4によって2つのモータの動力伝達を遮断し、これを軽減するためである。電動モータ3のみで駆動する場合は、遊星歯車ユニット、ワンウェイクラッチ等で直結される。このとき、エアモータ2のロータも共回りするが、エアモータ2は空転するだけであるから、電動モータ3の回転負荷にはならない。
【0024】
また、木ねじ24は木材25に回転してねじ込まれていくにつれて負荷も大きくなるから、どの程度ねじ込まれたら電動モータ3からエアモータ2へ動力を切り替えるかは、電動モータ3の回転数や負荷電流の情報から先端軸のトルク、回転数を推定した結果に基づいて行う。一般には、電動モータ3の回転数と木ねじのねじ込み量との関係から、電動モータ3が何回転したときに木ねじが所定の負荷(ねじ込み量)となるかを割り出し、電動モータ3の回転数検出センサが所定の回転数を検出したときに動力を切り替えるようにするか、あるいは電動モータ3の負荷電流の検出センサを設け、木ねじが所定の負荷(ねじ込み量)に達したときの電流値を測定しておき、上記検出センサがその電流値を検出したときに動力を切り替えるように設定しておけばよい。
【0025】
例えば、負荷電流によって動力を切り替える場合は、ねじ込み開始時はスイッチ21がオンして電動モータ3に電力を供給する回路を閉じると同時に、スイッチ22が電磁バルブ14を閉じるようにしておき、電流検出センサが所定の電流値を検出したときに上記スイッチ21がオフして電動モータ3に電力を供給する回路を切り、同時にスイッチ22が電磁バルブ14を開いてエア供給管路9に圧縮エアを供給して動力を切り替えるように設定しておけばよい。なお、この方式によれば、例えばサッシに形成された孔に木ねじを通して窓枠に止着するときなどのような高トルクを必要としない軽負荷作業は、電動モータ3のみで行い、エアモータ2は動作しない設定となる。
【0026】
次に、図2とともに上記構成のインパクトドライバの動作態様について述べる。まず、ドライバビット8の先端を木ねじの頭部溝に係合させて操作スイッチ18をオンすると、電動モータ3が作動する。これにより、出力軸とともにドライバビット8が回転し、打撃発生機構5が動作してねじ締めが開始される。ねじ込みの当初は大きなトルクは不要なので、木ねじは確実に木材中に入り込んでいく。そして、ねじ込みが進むにつれてだんだんとトルクも大きくなっていくので、木ねじの長さの数十%がねじ込まれて所定のねじ込み量又は所定の電流値が検出されると、自動的にスイッチ21がオフし、これに連動してスイッチ22がオンして電磁バルブ14が開き、電動モータ3の回転が停止すると同時にエア供給源からの圧縮エアがエア供給管路9を経てエアモータ2に供給されてエアモータ2が駆動される。電動モータ3が停止すると、動力切り替え機構4により電動モータ3の動力伝達は遮断され、エアモータ2の作動のみに切り替えられる。エアモータ2が駆動されると打撃発生機構5も作動するから、ドライバビット8は打撃を伴う回転力により高トルクで木ねじの残り部分をねじ込む。所定のねじ込み量になったところで作業者がスイッチ17をオフすると、自動的にスイッチ22がオフし、電磁バルブ14が閉まり、圧縮エアの供給が停止するからエアモータ2の回転が停止する。これによりねじ締めが完了する。
【0027】
なお、ねじ込み開始後にねじ込み位置を間違えたことに気づいたときは、ねじ込み始めた木ねじを逆回転させて緩めなければならない。この場合は、正逆転切り替えスイッチ19をオンする。これにより、逆転用の電磁バルブ14が開いてエアモータ2が逆転する。逆転のときは電動モータ3も同時に逆回転するが、電動モータ3の回転が動力切り替え機構4によりエアモータ2には伝達されるわけではない。したがって、エアモータ2駆動のみによる動作となる。
【0028】
ところで、電動モータ3は負荷がかかるほど電流が多く流れて発熱する。ところが、エアモータ2の排気は減圧時の断熱膨張により冷却される。排気エアの一部はエア排気管路11から分岐したエア冷却管路15を通って排出されるが、エア冷却管路15は電動モータ3の側壁に沿って配管されているので、電動モータ3は減圧されて低温となった排気エアによって効率的に冷却される。
【0029】
上述のインパクトドライバによれば、ねじ込み初期の低トルク過程では、充電池駆動の電動モータ3の動力によってねじ込みを行い、高トルクが必要になると、自動的にエアモータ2の動力に切り替えられるので、圧縮エアの消費量を抑制することができる。したがって、長大な木ねじであっても連続的に打ち込むことができる。
【0030】
なお、上述の動作フローでは、電動モータ3による駆動とエアモータ2による駆動を協働して行い、その特性に応じて2つのモータを選択的に切り替え作動させる構成が採用されているが、動力をどこで切り替えるかにより、エアモータ2を主たる動力源、電動モータ3を従たる動力源とし、その逆にエアモータ2を従たる動力源、電動モータ3を主たる動力源として設定することもできる。また、いずれか一方のみを作動させることもできる。
【0031】
このように設定を自由に選択することができるので、ねじの長さに応じて、軽負荷の短いねじの場合は、電動モータ3だけでねじ締めが完了するような機能の選択、またエアモータ2だけのねじ締め機能の選択ができるようにしておくことで作業条件に適した使い方を提供することができる。これは、電動モータ3とエアモータ2のそれぞれのモータの始動、停止を行うスイッチ21、22の開閉タイミングを設定する回路を搭載することで可能となる。
【0032】
さらには、切り替え機構を設けず、電動モータ3とエアモータ2の軸を直結し、立ち上がりは電動モータ3の円滑な回転に支配される動作とし、エアモータ2作動時は電動モータ3でエアモータ2のトルクをアシストする並列構成としてもよい。
【0033】
電動モータとエアモータとを切り替え構成とするか並列構成とするかは、作業の種類、負荷の大小等に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
なお、上述の実施形態は木ねじを回転させる作動機構を備えたインパクトドライバに関するものであるが、そのほかにも、釘打機、ねじ打ち機、ドリル工具等の各種の手持ち工具に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態に係るインパクトドライバの全体概観図
【図2】上記インパクトドライバの動作フロー図
【符号の説明】
【0036】
2 エアモータ
3 電動モータ
4 動力切り替え機構
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年9月15日(2006.9.15)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−68376(P2008−68376A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−250772(P2006−250772)