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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】大森 和博

【氏名】星 智幸

【要約】 【課題】切換レバーの幅寸法を縮小して当該切換レバーをコンパクトに収納することができるとともに、切換レバーの反トリガ側にリード線を配線することができる電動工具を提供すること。

【構成】モータ4と、遊星歯車機構(減速機構部)5と、該遊星歯車機構5によって減速されたモータ4の回転を回転打撃力に変換して先端工具に伝達する打撃機構部を備え、前記モータ4の回転速度をトリガのストロークに応じて可変させるとともに、切換レバー8を高速側の第1の位置と低速側の第2の位置に選択的に移動させて前記トリガの最大ストロークを2段階に切り換え可能であって、該切換レバー8の前記第1及び第2の位置への移動に節度感を付与する節度部8aを設けて成るインパクトドライバ(電動工具)1において、前記節度部8aをトリガ側に設けるとともに、前記切換レバー8の反トリガ側の端面を平坦面とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータと、該モータの回転を減速させる減速機構部と、該減速機構部によって減速されたモータの回転を回転打撃力に変換して先端工具に伝達する打撃機構部を備え、前記モータの回転速度をトリガのストロークに応じて可変させるとともに、切換レバーを高速側の第1の位置と低速側の第2の位置に選択的に移動させて前記トリガの最大ストロークを2段階に切り換え可能であって、該切換レバーの前記第1及び第2の位置への移動に節度感を付与する節度部を設けて成る電動工具において、
前記節度部をトリガ側に設けるとともに、前記切換レバーの反トリガ側の端面を平坦面としたことを特徴とする電動工具。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源であるモータの最大回転速度を切換レバーによって2段階に切り換えることができるインパクトドライバ等の電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インパクトドライバ等の電動工具は、駆動源であるモータと、該モータの回転を減速させる減速機構部と、該減速機構部によって減速されたモータの回転を回転打撃力に変換して先端工具に伝達する打撃機構部等を含んで構成されており、モータの回転速度をトリガのストロークに応じて可変させることができる。
【0003】
ところで、インパクトドライバ等においては、ネジ頭の切断やネジ込み過ぎ等の不具合を防ぐために、ネジのサイズや被締付材の材質、仕上げ程度等に応じてトリガの最大ストロークを規制してモータの最大回転速度(出力)を一定値以下に抑えるための切換レバーが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図7に示すように、切換レバー108は、不図示のトリガの移動通路に出没してトリガの最大ストロークを2段階に切り換える切換部材108Aと、該切換部材108Aを支持する操作部108Bとを備えており、操作部108Bを操作して高速側の第1の位置と低速側の第2の位置に選択的に移動することによって前記トリガの最大ストロークを2段階に切り換えるものである。ここで、この切換レバー108の操作部108Bには、当該切換レバー108の第1及び第2の位置への移動に節度感を付与する節度部108aが反トリガ側(図7の左側)に設けられている。尚、節度部108aは、操作部108Bにスリット108bを形成することによって撓み変形が可能な縦長部分108a−1の中間に係合突起108a−2を形成することによって構成されており、係合突起108a−2がハウジング側に形成された2つの係合溝(不図示)に選択的に係合することによって切換レバー108の移動に節度感が与えられる。
【特許文献1】実開昭51−072769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図7に示す従来の切換レバー108においては、節度部108aが反トリガ側(図7の左側)に設けられていたため、全幅Bが広くなって組付スペースが大きくなる他、反トリガ側に節度部108aの係合突起108a−2が突出するため、この切換レバー108の反トリガ側にリード線を配線することができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、切換レバーの幅寸法を縮小して当該切換レバーをコンパクトに収納することができるとともに、切換レバーの反トリガ側にリード線を配線することができる電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、駆動源であるモータと、該モータの回転を減速させる減速機構部と、該減速機構部によって減速されたモータの回転を回転打撃力に変換して先端工具に伝達する打撃機構部を備え、前記モータの回転速度をトリガのストロークに応じて可変させるとともに、切換レバーを高速側の第1の位置と低速側の第2の位置に選択的に移動させて前記トリガの最大ストロークを2段階に切り換え可能であって、該切換レバーの前記第1及び第2の位置への移動に節度感を付与する節度部を設けて成る電動工具において、前記節度部をトリガ側に設けるとともに、前記切換レバーの反トリガ側の端面を平坦面としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切換レバーの節度部をトリガ側に設けたため、該切換レバーの幅寸法が縮小し、その設置スペースも縮小して当該切換レバーをコンパクトに収納することができる。
【0009】
又、切換レバーの節度部をトリガ側に設けた結果、該切換レバーの反トリガ側の端面を平坦面とすることができ、この平坦な端面の外側に配線スペースを確保することができ、そのスペースにリード線を配線することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明に係る電動工具の一形態としてのインパクトドライバの左側面図、図2は同インパクトドライバの内部構造を示す右側断面図、図3は同インパクトドライバの切換レバーを高速側に切り換えた状態を示す右側断面図、図4は同インパクトドライバの切換レバーを低速側に切り換えた状態を示す右側断面図、図5は切換レバーの斜視図、図6は同切換レバーの正面図である。
【0012】
先ず、本発明に係るインパクトドライバ1の基本構成と作用を図1及び図2に基づいて説明すると、図示のインパクトドライバ1は、外形を形成する外枠であるハウジング2とハンマケース3を有しており、ハウジング2は、前後方向に延びる略円筒形の胴体部2Aと、該胴体部2Aに側面視略T字状を成すように連接されたハンドル部2Bで構成されている。そして、ハウジング2の胴体部2Aの内部には、図2に示すように、駆動源であるモータ4と、該モータ4の回転を減速させる減速機構部としての遊星歯車機構5が収容されており、ハンマケース3の内部には、前記遊星歯車機構5によって減速されたモータ4の回転を回転打撃力に変換して不図示の先端工具に伝達する打撃機構部が収容されている。尚、打撃機構部の詳細は後述する。
【0013】
又、ハウジング2のハンドル部2Bの内部には、上部にトリガ6を有するスイッチ7と設けられ、その下方には切換レバー8が設けられている。又、ハンドル部2Bの内部の下部は、バッテリ受け部9が収容されており、ハンドル部2Bの下端には充電可能な電源であるバッテリ10が着脱可能に装着されている。ここで、バッテリ10からモータ4への給電は、2本のリード線11からスチッチ7及びFET12を経てなされる。
【0014】
ところで、前記トリガ6は、これを引くことによってモータ4が起動されるが、モータ4の回転速度はトリガ6のストローク(引き量)に応じて可変される。具体的には、トリガ6のストロークの増大に比例してモータ4の回転速度が上昇するが、トリガ4の最大ストローク(最大引き量)は前記切換レバー8によって2段階に切り換えられ、従って、モータ4の最大回転速度(最大出力)が2段階に切り換えられる。尚、切換レバー8についての詳細は後述する。
【0015】
而して、斯かるインパクトドライバ1において、作業者がトリガ6をON操作してモータ4を起動すると、該モータ4の出力軸(モータ軸)4aの回転は、遊星歯車機構5によって減速されてスピンドル13に伝達され、該スピンドル13が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル13とハンマ14とはカム機構によって連結されており、このカム機構は、スピンドル13の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝13aとハンマ14の内周面に形成されたV字状のハンマカム溝14a及びこれらのカム溝13a,14aに係合するボール15で構成されている。
【0016】
又、上記ハンマ14は、スプリング16によって常に先端方向(図2の右方)に付勢されており、静止時にはボール15とカム溝13a,14aとの係合によってアンビル17の端面と隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ14とアンビル17の相対向する回転平面上の2箇所には凸部がそれぞれ対称的に形成されている。尚、アンビル17には不図示の先端工具が着脱可能に装着されている。
【0017】
ところで、前述のようにスピンドル13が所定の速度で回転駆動されると、このスピンドル13の回転は、前記カム機構を介してハンマ14に伝達され、該ハンマ14が半回転しないうちに、該ハンマ14の凸部がアンビル17の凸部に係合して該アンビル17が回転されるが、そのときの係合反力によってハンマ14とスプリング16との間に相対回転が生ずると、ハンマ14は、カム機構のスピンドルカム溝13aに沿ってスプリング16を圧縮しながらモータ4側へと後退を始める。
【0018】
そして、ハンマ14の後退動によって該ハンマ14の凸部がアンビル17の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ14は、スピンドル13の回転力に加えて、スプリング16に蓄積された弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング16の付勢力によって前方へと移動し、その凸部がアンビル17の凸部に再び係合して一体的に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル17に加えられるため、該アンビル17に装着された先端工具を介して不図示のねじに回転打撃力が伝達される。
【0019】
以後、同様の動作が繰り返されて先端工具からねじに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、ねじが木材等の不図示の被締付材にねじ込まれる。
【0020】
次に、前記切換レバー8の詳細を図3〜図6に基づいて説明する。
【0021】
切換レバー8は、前述のようにトリガ6の最大ストローク(最大引き量)を2段階に切り換えることによって、モータ4の最大回転速度(最大出力)を2段階に切り換えるものであって、図5及び図6に示すように、トリガ6の移動通路(図3及び図4参照)に出没してトリガ6の最大ストロークを2段階に切り換えるためのL字状の切換部材8Aと、該切換部材8Aを支持する平板状の操作部8B及びハウジング2のハンドル部2Bの表面に露出する長円状の操作子8Cを備えている。
【0022】
而して、切換レバー8は、図3及び図4に示すように、その切換部材8Aと操作部8Bがハウジング2のハンドル部2B内に収納されており、操作部8Bは、ハンドル部2Bの内面に上下方向に平行に立設されたリブ状のガイド部2a,2bに上下動可能に嵌合保持されている。従って、切換レバー8は、上下に移動可能であって、高速側の第1の位置(図1に示す「P」位置)と低速側の第2の位置(図1に示す「S」位置)に選択的に移動することによってトリガ6の最大ストローク、つまりはモータ4の最大回転速度(最大出力)を2段階に切り換える。
【0023】
ところで、図5及び図6に示すように、切換レバー8の操作部8Bのトリガ6側(図5及び図6の右側)には、当該切換レバー8の第1及び第2の位置への移動に節度感を付与する節度部8aが設けられている。この節度部8aは、操作部8Bにスリット8bを形成することによって撓み変形が可能な縦長部分8a−1の中間に係合突起8a−2を形成することによって構成されており、係合突起8a−2がハウジング2のハンドル部2Bの内面に形成された前記ガイド部2aの上下(第1の位置と第2の位置に対応する箇所)に形成された2つの係合溝2a−1,2a−2に選択的に結合することによって切換レバー8の移動に節度感が与えられる。
【0024】
以上のように、本実施の形態では、切換レバー8の操作部8Bのトリガ6側に節度部8aを設けたため、操作部8Bの反トリガ6側(図5及び図6の左側)の端面8cには突起物が突出することがなく、この端面8cは平坦面とされている。
【0025】
而して、モータ4の回転速度(出力)に制限が無い場合には、図1に示す切換レバー8の操作子8Cが下方に押し下げられて切換レバー8は第1の位置(図1の「P」位置)にあり、このとき、図3に示すように、節度部8aの係合突起8a−2はガイド部2aの下方の係合溝8a−2に係合し、切換レバー8の切換部材8Aは図示のようにトリガ6の移動通路6aから退避してトリガ6の移動を阻害することがない。従って、この状態ではトリガ6を最大ストロークまで引くことができ、モータ4の回転速度(出力)を最大値まで上げて作業を行うことができる。
【0026】
他方、ネジ頭の切断やネジ込み過ぎ等の不具合を防ぐために、ネジのサイズや被締付材の材質、仕上げ程度等に応じてトリガ6の最大ストロークを規制してモータ4の最大回転速度(出力)を一定値以下に抑える必要がある場合には、図1に示す切換レバー8の操作子8Cが上方に押し下げられて切換レバー8が第1の位置(図1の「P」位置)から第2の位置(図1の「S」位置)に移動せしめられる。このとき、図4に示すように、節度部8aの係合突起8a−2はガイド部2aの上方の係合溝2a−1に係合して切換レバー8の移動に節度感を与えるとともに、切換レバー8の切換部材8Aが図示のようにトリガ6の移動通路6aに突出してトリガ6の移動を規制し、それ以上のトリガ6の移動を阻止する。従って、この状態ではトリガ6を最大ストロークまで引くことができず、モータ4の回転速度(出力)は所定値以下に抑えられ、ネジ頭の切断やネジ込み過ぎ等の不具合が防がれる。
【0027】
以上において、本発明に係るインパクトドライバ1においては、切換レバー8の節度部8aをトリガ6側に設けたため、図6に示すように、切換部材8Aと操作部8Bとを幅方向にオーバーラップさせることができ、図7に示した従来の切換レバー108の幅寸法B’に対して、切換レバー8の幅寸法Bを縮小することができ(B<B’)、その設置スペースが縮小して当該切換レバー8をハウジング2のハンドル部2Bにコンパクトに収納することができる。
【0028】
又、上述のように切換レバー8の節度部8aをトリガ6側に設けた結果、該切換レバー8の反トリガ6側の端面8cを平坦面とすることができ、この平坦な端面8cの外側(より具体的には、ハウジング2のハンドル部2Bの内面に突設されたガイド部2bとハンドル部2Bの内壁との間)に配線スペースを確保することができ、図3及び図4に示すように、そのスペースに、バッテリ10から照明用のLED18まで配索された2本のリード線19を配線することができる。
【0029】
尚、以上は本発明を特に充電式のバッテリを備えるコードレスのインパクトドライバに適用した形態について説明したが、コード付きのインパクトドライバに対しても本発明を同様に適用することができる。又、本発明は、インパクトドライバだけに適用が限定される訳ではなく、ドライバ、ドリル、丸鋸、ジグソー等の他の電動工具に対しても幅広く適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るインパクトドライバの左側面図である。
【図2】本発明に係るインパクトドライバの内部構造を示す右側断面図である。
【図3】本発明に係るインパクトドライバの切換レバーを高速側に切り換えた状態を示す右側断面図である。
【図4】本発明に係るインパクトドライバの切換レバーを低速側に切り換えた状態を示す右側断面図である。
【図5】本発明に係るインパクトドライバの切換レバーの斜視図である。
【図6】本発明に係るインパクトドライバの切換レバーの正面図である。
【図7】従来のインパクトドライバの切換レバーの正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 インパクトドライバ(電動工具)
2 ハウジング
2A ハウジングの胴体部
2B ハウジングのハンドル部
2a,2b ガイド部
2a−1 係合溝
2a−2 係合溝
3 ハンマケース
4 モータ(駆動源)
4a モータの出力軸(モータ軸)
5 遊星歯車機構(減速機構部)
6 トリガ
6a トリガの移動通路
7 スイッチ
8 切換レバー
8A 切換レバーの切換部材
8B 切換レバーの操作部
8C 切換レバーの操作子
8a 切換レバーの節度部
8a−1 節度部の縦長部分
8a−2 節度部の係合突起
8b 操作部のスリット
8c 操作部の端面
9 バッテリ受け
10 バッテリ
11 リード線
12 FET
13 スピンドル
13a スピンドルカム溝
14 ハンマ
14a ハンマカム溝
15 ボール
16 スプリング
17 アンビル
18 LED
19 リード線
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−62340(P2008−62340A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242971(P2006−242971)