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インパクト式のネジ締め装置 - 特開2008−55580 | j-tokkyo
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【発明の名称】 インパクト式のネジ締め装置
【発明者】 【氏名】伊藤 隆也

【要約】 【課題】反力の少なさ、構造のシンプルさ、エネルギー効率などの点において従来よりも有利な遊星歯車装置を提供する。

【構成】電動式のモータを回転駆動源とし、ハンマーをアンビルに衝突させることによりインパクトを発生させて負荷に回転力を与えるインパクト式のネジ締め装置であって、ハンマーがアンビルから離れた位置である初期位置にあるときに、時間T1においてモータに電流iを流してハンマーを正方向に回転させて加速し、ハンマーをアンビルに衝突させてインパクトを発生させ、ハンマーがアンビルに衝突した後は、時間T2においてモータに流す電流iを零にしてモータを自由回転が可能な状態とするか、または時間T3においてモータに逆方向に電流を流して逆転させることによって、ハンマーを初期位置に戻し、これを繰り返すことによって負荷に連続的にインパクトを与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のモータを回転駆動源とし、ハンマーをアンビルに衝突させることによりインパクトを発生させて負荷に回転力を与えるインパクト式のネジ締め装置であって、
前記ハンマーが前記アンビルから離れた位置である初期位置にあるときに、前記モータに電流を流してハンマーを正方向に回転させて加速し、前記ハンマーを前記アンビルに衝突させてインパクトを発生させ、
前記ハンマーがアンビルに衝突した後は、前記モータに流す電流を零にして前記モータを自由回転が可能な状態とするか、または前記モータに逆方向に電流を流して前記モータを逆転させることによって、前記ハンマーを前記アンビルとの衝突位置から前記初期位置に戻し、
これを繰り返すことによって前記負荷に連続的にインパクトを与えるように構成された、
ことを特徴とするインパクト式のネジ締め装置。
【請求項2】
前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに流す電流を零にして前記モータを自由回転が可能な状態とし、前記ハンマーのアンビルへの衝突による跳ね返りによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す、
請求項1記載のインパクト式のネジ締め装置。
【請求項3】
前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに逆方向に電流を流して前記モータを逆転させることによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す、
請求項1記載のインパクト式のネジ締め装置。
【請求項4】
前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに流す電流を一旦零にし、その後に逆方向に電流を流して前記モータを強制的に逆転させ、これによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す、
請求項1記載のインパクト式のネジ締め装置。
【請求項5】
前記ハンマーがアンビルに衝突したことが検出されてから予め設定された第1の時間が経過したときに、前記ハンマーが前記初期位置に戻ったとして前記モータに電流を流してハンマーを正方向に回転させる、
請求項4記載のインパクト式のネジ締め装置。
【請求項6】
前記ハンマーがアンビルに衝突したことが検出されてから予め設定された第1の時間が経過するまでの間において、予め設定された第2の時間だけ前記モータに逆方向に電流を流す、
請求項5記載のインパクト式のネジ締め装置。
【請求項7】
前記負荷に与える回転トルクを検出するトルクセンサを設けておき、
前記トルクセンサの検出信号が予め設定された設定トルクに達したときに、前記ハンマーがアンビルに衝突したことを検出する、
請求項1ないし6のいずれかに記載のインパクト式のネジ締め装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インパクト式のネジ締め装置に関し、特に、エネルギー効率を向上させたインパクト式のネジ締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボルトやネジを所定のトルクで締付けるために、動力式のネジ締め装置が用いられている。ネジ締め装置においては、軸を連続的に回転させてネジを締付けるとともに、トルクがある値になれば動力を切るかまたはクラッチをすべらせる制御が一般的に行われている。
【0003】
ところで、各種の組み立てラインにおいて、コンベア上のワークに対し、作業者がネジ締め装置を手で持ってネジの締付け作業を行うことがしばしばある。
【0004】
その場合に、携帯性と作業性の点から、ネジ締め装置を片手持ちで操作できることが望まれるので、ピストル形状のものが多く使用されている。しかし、ピストル形状のものでは、出力軸とハンドルとの間の距離を大きくとれないので、大きなトルクの反力を受けることができない。また、ネジ締めの反動を片手で受けなければならないので、締付トルクの増大にしたがってその反動が作業者の負担として問題となってくる。この問題への対処のために、インパクト機構やオイルパルス機構を用いたネジ締め装置が用いられている。
【0005】
インパクト機構のものは、モータでロータを回転させ、ロータが1回転する間にそれに取り付けたハンマーが出力シャフトを1回または2回叩くことによって、モータロータのイナーシャによる衝撃をトルクに変換し、そのトルクを出力シャフトに発生させる。
【0006】
また、オイルパルス機構のものは、モータでロータを回転させ、出力シャフトに取り付けたブレードにそれが1回転する間に1回または2回にわたって油圧が急圧縮する部分を設け、そのときの流体抵抗によって、ロータイナーシャをパルス状トルクに変換し、そのパルス状トルクを出力シャフトに発生させる。
【0007】
また、本出願人は、従来の種々の欠点を改良したインパクト式のネジ締め装置を提案している(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2002−1676
【特許文献2】特開2004−322262
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のインパクト式のネジ締め装置には次のような問題がある。
(1) シャフトを回転ハンマーで打撃する機構のものは、非常に大きな音を連続的に発生するので、長時間の作業では耳栓の着用が必要となるなど、騒音問題がある。
(2) シャフトを回転ハンマーで打撃する機構のものは、打撃ごとに出力トルクが変動し、トルク精度が非常に悪い。また、衝撃を受けるハンマーおよび出力シャフトの磨耗が激しいため、寿命が短く、こまめなメンテナンスが必要である。
(3) オイルパルス機構のものは、その構造上、油の圧縮非圧縮を繰り返すため、衝撃発生機構そのものが発熱するので、エアモータの排気などで冷却を行わないと熱くて使用できない問題がある。また、油温によって発生トルクが変化するため、使用開始から使用終了までトルクを安定的に発生できない問題がある。また、ブレード、パッキン、および油は、高温、高圧にさらされるので、それらの劣化が激しく、そのため寿命が短く、こまめなメンテナンスが必要である。
(4) また、特許文献1、2のネジ締め装置についても、モ−タの制御や衝撃発生機構を改良してさらにエネルギー効率を高めるなど改良の余地がある。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、反力の少なさ、構造のシンプルさ、エネルギー効率などの点において従来よりも有利なインパクト式のネジ締め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るネジ締め装置は、電動式のモータを回転駆動源とし、ハンマーをアンビルに衝突させることによりインパクトを発生させて負荷に回転力を与えるインパクト式のネジ締め装置であって、前記ハンマーが前記アンビルから離れた位置である初期位置にあるときに、前記モータに電流を流してハンマーを正方向に回転させて加速し、前記ハンマーを前記アンビルに衝突させてインパクトを発生させ、前記ハンマーがアンビルに衝突した後は、前記モータに流す電流を零にして前記モータを自由回転が可能な状態とするか、または前記モータに逆方向に電流を流して前記モータを逆転させることによって、前記ハンマーを前記アンビルとの衝突位置から前記初期位置に戻し、これを繰り返すことによって前記負荷に連続的にインパクトを与えるように構成される。
【0011】
好ましくは、前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに流す電流を零にして前記モータを自由回転が可能な状態とし、前記ハンマーのアンビルへの衝突による跳ね返りによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す。
【0012】
また、前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに逆方向に電流を流して前記モータを逆転させることによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す。
【0013】
また、前記ハンマーがアンビルに衝突した後において、前記モータに流す電流を一旦零にし、その後に逆方向に電流を流して前記モータを強制的に逆転させ、これによって前記ハンマーを前記初期位置に戻す。
【0014】
また、前記ハンマーがアンビルに衝突したことが検出されてから予め設定された第1の時間が経過したときに、前記ハンマーが前記初期位置に戻ったとして前記モータに電流を流してハンマーを正方向に回転させる。
【0015】
また、前記ハンマーがアンビルに衝突したことが検出されてから予め設定された第1の時間が経過するまでの間において、予め設定された第2の時間だけ前記モータに逆方向に電流を流す。
【0016】
また、前記負荷に与える回転トルクを検出するトルクセンサを設けておき、
前記トルクセンサの検出信号が予め設定された設定トルクに達したときに、前記ハンマーがアンビルに衝突したことを検出する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、反力の少なさ、構造のシンプルさ、エネルギー効率などの点において従来よりも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係るネジ締め装置1に用いられるネジ締め装置本体3の正面断面図、図2はネジ締め装置本体3の要部の拡大断面図、図3は歯車機構の外観を示す正面図、図4は図1における歯車機構のA−A線断面矢視図、図5は歯車機構による衝撃の発生を説明するための図である。
【0019】
図1および図2において、ネジ締め装置本体3は、作業者が片手で握るためのハンドルグリップ部を有したピストル形状のハンディタイプのものである。ネジ締め装置本体3は、本体ケーシング10に、モータ11、衝撃発生装置である遊星歯車機構12、トルク検出装置13、エンコーダ14、および出力軸15などが設けられて構成されている。図示しないスイッチを操作することによって、電源のオンオフが制御される。
【0020】
モータ11として、例えば3相のACサーボモータが用いられる。しかし、正逆の回転が可能であって、停止時にフリーの状態となり、かつ回転速度の制御が可能なものであれば、単相のACサーボモータ、誘導モータ、DCモータなど、他の種々のモータを採用することができる。
【0021】
遊星歯車機構12は、モータ11の回転を減速する減速機として動作するとともに、モータ11などの回転力を間歇的な衝撃力に変換する衝突エネルギ発生機構として動作する。
【0022】
遊星歯車機構12は、第1の遊星歯車機構61と第2の遊星歯車機構71とを連結して構成されている。第1の遊星歯車機構61と第2の遊星歯車機構71とは、それぞれのアウターギヤ62,72が互いに同軸上にあって、所定の相対角度範囲αにおいてのみ互いに相対回転が可能であり、相対角度範囲α外では互いに周方向に係合して相対回転が不能なように配置されている。また、第2の遊星歯車機構71のサンギヤ73は、第1の遊星歯車機構61のキャリヤ65の回転出力を入力として同軸上で回転するように連結されている。
【0023】
第1の遊星歯車機構61は、そのアウターギヤ62が本体ケーシング10に固定され、かつ、そのサンギヤ63がモータ11によって回転駆動されるように、モータ11の出力軸11a、キー11b、およびサンギヤ63と一体になっが入力軸63aを介して連結されている。サンギヤ63の回転によって、3つのプラネットギヤ64が自転し、かつサンギヤ63の回りを公転する。プラネットギヤ64の公転によってキャリヤ65が回転し、それと一体のサンギヤ73が回転する。
【0024】
ところで、第1の遊星歯車機構61のアウターギヤ62は、トルク検出装置13を介して、本体ケーシング10に対して回転不能に固定されている。
【0025】
すなわち、図2において、部材81,83が本体ケーシング10にピン82,84などによって位置決めされ固定されている。部材83の内周面には歯車(内歯車)が設けられている。トルク検出装置13には、フランジ形のセンサ本体131の両端のフランジ部の外周面に歯車(外歯車)がそれぞれ設けられており、その外歯車の一方が部材83の内歯車と噛み合っており、他方がアウターギヤ62の内歯車と噛み合っている。したがって、アウターギヤ62は、トルク検出装置13を介して部材83によって回転しないように固定されているとともに、アウターギヤ62に加わるトルクはセンサ本体131を歪ませ、これが歪みゲージ132によって検出されることとなる。
【0026】
なお、遊星歯車機構12の全体を覆ってそれを保持するギヤケース85が、部材81の外周面の雄ネジと螺合する雌ネジを有する固定リング86によって固定されている。アウターギヤ62およびアウターギヤ72は、そのギヤケース85の内周面に嵌まり込んでおり、アウターギヤ72はギヤケース85の内周面に対して回転可能である。出力軸15は、ベアリング76によって回転自在に保持されている。
【0027】
なお、アウターギヤ62の外周面に設けられた周溝にOリング67が装着され、Oリング67がそのギヤケース85の内周面との間で適当に圧縮され、アウターギヤ62がガタツキのないように保持されている。また、アウターギヤ72についても、その外周面に周溝が設けられており、図示はしていないが周溝にOリングが装着され、ガタツキのないように保持され、且つ周方向の回転に対して適度な抵抗が与えられている。但し、アウターギヤ72の周囲の部材との嵌合の程度および摩擦の程度によっては、Oリングはなくてもよい。
【0028】
さて、第1の遊星歯車機構61のアウターギヤ62と第2の遊星歯車機構71のアウターギヤ72とは、それぞれの一方の端面から軸方向に突出する突出係合部621,622、721,722がそれぞれ設けられており、第1の遊星歯車機構61の突出係合部621,622と、第2の遊星歯車機構71の突出係合部721,722とが周方向に係合することによって、相対角度範囲α外では相対回転が不能なように構成されている。
【0029】
つまり、アウターギヤ62は本体ケーシング10に対して固定的に設けられているため回転しないが、アウターギヤ72は相対角度範囲α内においてのみ回転可能である。
【0030】
突出係合部621,622および突出係合部721,722は、それぞれのアウターギヤ62,72において周方向に等間隔に設けられている。
【0031】
例えば図5(C)に示すように、アウターギヤ72がアウターギヤ62と係合していない位置(初期位置、加速位置)にあるときに、モータ11に電流を流して正方向(M1方向)に回転させ、これによってアウターギヤ72を逆方向(M2方向)に回転させて加速し、図5(B)に示すようにアウターギヤ72をアウターギヤ62に衝突させてインパクトを発生させる。
【0032】
第2の遊星歯車機構71のアウターギヤ72が第1の遊星歯車機構61のアウターギヤ62に衝突した後は、モータ11に流す電流を零にするかまたは逆方向に電流を流すことによってモータ11を逆方向(M2方向)に回転させ、第2の遊星歯車機構71のアウターギヤ72を正方向(M1方向)に回転させて第1の遊星歯車機構61のアウターギヤ62との係合位置から離す。その結果、アウターギヤ72は図5(C)に示す位置(初期位置)に戻る。
【0033】
つまり、高速側である第1の遊星歯車機構61のサンギヤ63が何回転かする間に、低速側である第2の遊星歯車機構71のアウターギヤ72が相対角度範囲αの中で回転し、アウターギヤ72の突出係合部721,722がアウターギヤ62の突出係合部621,622に実際に当たったときに衝撃を発生する。
【0034】
以下において、モータ11の回転力を衝撃力に変換するメカニズムについてさらに詳しく説明する。
【0035】
すなわち、上のようにアウターギヤ72が相対角度範囲αの中で回転している間において、出力軸15は、負荷であるネジによって回転できない状態にある。したがって、キャリヤ75も回転できない状態にある。そこで、サンギヤ73が回転すると、プラネットギヤ74は自転するが、キャリヤ75が回転できないので、プラネットギヤ74は公転することなく、アウターギヤ72を回転させる。アウターギヤ72が回転し、その突出係合部721,722がアウターギヤ62の突出係合部621,622に衝突すると、アウターギヤ72はそれ以上回転することができないので停止することとなるが、その時点においてモータ11、入力軸63a、サンギヤ63、キャリヤ65などに蓄えられた回転による慣性エネルギー(イナーシャ)は、突出係合部721,722が突出係合部621,622に衝突した瞬間に、プラネットギヤ74およびキャリヤ75を介して出力軸15に回転衝撃力として伝達される。その結果、負荷にであるネジに対して、回転衝撃力による締付トルクTQが発生する。負荷は、締付トルクTQによって回転する。その回転角度は衝撃力の大きさによる。
【0036】
このように、アウターギヤ72が初期位置STで停止した状態から、モータ11の回転によって回転駆動され、高速回転となったところでアウターギヤ62に衝突し、衝突によってその時点の慣性エネルギーが衝撃力に変換され、これによる大きなトルクが出力軸15から締付トルクTQとして得られる。
【0037】
したがって、相対角度範囲αは、モータ11が立ち上がって最大回転速度または適度な回転速度に達することが可能なように設定されている必要がある。相対角度範囲αは、いわば遊星歯車機構12における遊び角度ともいうべきものであり、この遊び角度の存在によって慣性エネルギーが蓄えられるのである。本実施形態において、相対角度範囲αは60度に設定されている。
【0038】
つまり、図5において、アウターギヤ62の突出係合部621,622は、それぞれ中心角が60度であり、またアウターギヤ72の突出係合部721,722もそれぞれ中心角が60度であるので、アウターギヤ72が回転可能な空間の中心角は60度である。
【0039】
相対角度範囲αが60度であるので、これに対応するモータ11の回転角度は、アウターギヤ72の内径、サンギヤ73の外径、第1の遊星歯車機構61の減速比などに基づく倍率を乗じたものとなる。
【0040】
例えば、第1の遊星歯車機構61の減速比が「3.8」、アウターギヤ72の歯数が「42」、サンギヤ73の歯数が「12」である場合には、
60度×3.5×3.8=798度
なり、約2.2回転となる。したがって、モータ11は2.2回転するまでに所定の必要な回転速度まで立ち上がっていればよいことになる。
【0041】
このように、本実施形態の遊星歯車機構12は、モータ11の回転を減速する減速機であり、かつ、その回転力を衝撃力に変換する衝突エネルギ発生機構でもある。相対角度範囲αを60度と大きくとることができるので、遊星歯車機構12の減速比などとの相乗作用によってモータ11などが慣性エネルギーを蓄えるに十分な回転角度を得ることができ、大きな衝撃力つまり締付トルクTQを発生することができる。
【0042】
しかも、モータ11の回転速度を制御することによって、衝撃力(トルク)を正確に調整することができ、ネジ締めにおける締付トルクTQを高精度で調整し管理することができる。また、温度変化などによる衝撃力の変動もなく、温度によって締付トルクTQが変動することがない。
【0043】
さらに、衝撃力は突出係合部721,722が突出係合部621,622に衝突することによって発生し、そのときの突出係合部721,722の速度はそれほど大きくなく、かつ衝突によって停止するから、衝撃音が小さく、大きな騒音にならない。また、大きく摩耗する部分がなく、各部の耐久性が向上し、通常の歯車と同様に寿命が長く、メンテナンスが容易である。また、構造が簡単であり、小型にコンパクトに構成することができる。
【0044】
また、アウターギヤ72が突出係合部621,622に衝突した時点において、モータ11の電流を零としてモータ11をフリーの状態とする。このようにすることで、衝突の反動による跳ね返りによってアウターギヤ72が反対方向である正方向(M1方向)にある程度回転するので、跳ね返りの途中でモータ11に逆方向の電流を流して逆方向に回転させ、初期位置(加速位置)STに迅速に戻す。その後、モータ11に正方向の電流を流して正方向の回転を加速する。
【0045】
衝突の後でアウターギヤ72を初期位置に戻すためにモータ11を逆方向に回転させることによって、より短時間で初期位置に戻すことが可能となり、サイクルタイムが短縮されて一定時間に衝撃力を発生する回数を多くすることができる。
【0046】
なお、アウターギヤ72が初期位置に戻ったか否かを確認するために、種々の方法を用いることが可能である。例えば、アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突した時点から第1の時間TFが経過したときとする。または、アウターギヤ72の回転角度位置を検出するセンサを設けておく。または、モータ11の回転角度をエンコーダ14により検出してアウターギヤ62の回転角度を演算する。なお、このような第1の時間TFは、タイマーなどを用いて設定可能としておき、ユーザによって調整可能としておけばよい。
【0047】
このように、モータ11に流す電流を制御することで、アウターギヤ72をアウターギヤ62に衝突させ、初期位置に戻し、次の衝突のために加速する、という動作を容易に実現することができる。衝突時のアウターギヤ72の速度を制御して、衝撃力の大きさおよび衝撃力を発生させる間隔を容易に制御することができる。
【0048】
しかも、衝突のたびごとの初期位置が安定し、同一の位置から加速を開始するので衝撃力の安定性および再現性が良好である。
【0049】
また、アウターギヤ72がアウターギヤ62に係合した状態では、遊星歯車機構12は二段の通常の遊星歯車機構として動作するから、モータ11の連続回転によって所定の減速比で減速して出力軸15を連続的に回転させ、ネジを高速回転させて締めつけることができる。例えば高速回転によってネジを着座させることができる。また、逆方向に高速回転させてネジを緩めることができる。このように、通常のナットランナまたはドリルとしても使用することができる。
【0050】
そして、モータ11の制御のモード(速度制御モード、インパクトモード)を切り換えるだけでり、出力軸15からの出力を通常の高速回転と衝撃力による高トルクとに容易に切り換えることができる。
【0051】
また、アウターギヤ62に加わるトルクがトルク検出装置13により検出されるので、通常の高速回転時における出力トルク、インクトレンチとしての出力トルクを容易に演算で瞬時に求めることができ、モータ11の制御によって出力トルク(締付トルク)を高精度に維持することができる。また、必要なトルクを瞬時に発生することが可能である。
【0052】
そして、本実施形態によるときは、衝撃力による反力が小さく、消費されるエネルギーも低減されてエネルギー効率が高められている。次に、これらの点について説明する。
【0053】
すなわち、ネジ締め装置1では、インパクトモードにおいて、アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突した時点でモータ11の電流を零にする。つまり、衝撃力が発生した直後においてモータ11の電流を零にしてエネルギーの供給を停止する。そうすると、それまで回転していた部分の慣性エネルギーによる衝撃力のみに基づいて、負荷であるネジを回転させて締め付けることとなり、つまり締付トルクTQが得られることとなり、本体ケーシング10にはその締付トルクTQによる反力が全く現れない。その結果、ネジ締め装置本体3を手で持って操作している作業者には衝撃による反力が作用せず、片手持ちで操作しても作業者の負担とならない。
【0054】
しかも、衝撃力は慣性エネルギーによって発生させ、衝撃力が発生した時点でモータ11の電流を零にするので、無駄な電流が消費されることなく、エネルギー効率が高い。
【0055】
因みに、従来においては、衝撃力を発生させた後もモータ11を回転駆動しており、これが電流の無駄な消費となり発熱の原因となっていた。
【0056】
つまり従来の装置では、連続的に回転するモータの回転力に基づいて間欠的に衝撃トルクを発生させる機構であることから、衝撃トルクの発生時に発生する反作用に対して機構の都合上押し切り動作を必要とし、その押し切り動作の間において、モータは最大トルクを発生し続けている。ところが、その間のモータの回転出力は、衝撃トルクを発生しまたは増大するために用いられるのではなく、衝撃トルクが発生したときの巨大な反力を単に受けているだけであり、これが構造上のエネルギー損失となってエネルギー効率が非常に悪くなり、かつ作業者への反力が大きい状態となっていたのである。
【0057】
本実施形態による遊星歯車機構12およびモータ11の制御方法によると、衝撃力を発生させるための慣性エネルギーの蓄積のためにのみモータ11を回転させて加速し、衝撃力が発生した瞬間にはモータ11の駆動をやめることにより、作業者に反力が加わらないようにするとともに、無駄なエネルギーを消費しないようにし、これによって従来と比較して半分程度の消費電力で済み、省エネルギー、省コスト、軽量小型化の点で大幅に改善することができたのである。
【0058】
また、アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突したときの反力で反対側に回転するが、この回転力を回生して電源側に回収することによってさらにエネルギー効率を高めることができる。
【0059】
なお、上の実施形態において、アウターギヤ72の突出係合部721,722は本発明の「ハンマー」に相当し、アウターギヤ62の突出係合部621,622は本発明の「アンビル」に相当する。しかし、出力軸15に加わる衝撃力は、上に述べたように、アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突することを起因として、それまでに蓄えられていた慣性エネルギーが出力軸15に加えられることによって得られるものである。つまり、アウターギヤ72のアウターギヤ62への衝突を契機として衝撃力が発生するが、衝撃力を実際に発生させるのは、モータ11および遊星歯車機構12に蓄えられた慣性エネルギーである。要は、衝撃力が発生したときに、モータ11を自由回転が可能な状態とし、これによって作業者に反力が加わらないようにすればよい。
【0060】
また、アウターギヤ72やハンマーの回転方向について、これらは機構上の配置などによって異なるものであるから、実質的な意味を考慮して決定すればよい。例えば、注目するある特定の機能を生じさせる方向を「正」と考えてもよい。
【0061】
次に、ネジ締め装置本体3の制御装置を含めたネジ締め装置1の全体について説明する。なお、ここでは主として制御装置について説明する。
【0062】
図6はネジ締め装置1の全体の構成を示すブロック図である。
【0063】
図6において、ネジ締め装置1は、ネジ締め装置本体3、および、サーボドライバ7と制御用コントローラ8とを有した制御装置4からなる。
【0064】
トルク検出装置13は、モータ11によるネジの締付トルクTQを検出し、検出信号S31を出力する。
【0065】
エンコーダ14は、モータ11の回転速度を検出するためのものであり、モータ11の回転数に比例した個数のパルス信号を出力する。
【0066】
サーボドライバ7は、電源部21、インバータ22、AD変換器23、加算器24、速度誤差アンプ25、切り替え器26、リミット回路27、電流制御演算部28、PWM回路29、ゲートドライブ30、エンコーダ信号処理部31、速度検出部32、電流検出器33,34、およびAD変換器35,36などからなる。
【0067】
制御用コントローラ8は、プリアンプ41、AD変換器42、パラメータ格納部43、および指令制御部44などからなる。指令制御部44には、速度/電流指令演算部51、運転制御モード切替え部52、および速度/電流リミット部53などが設けられる。
【0068】
電源部21は、例えばAC100ボルトの交流電力を整流し、適当な種々の電圧の直流電力に変換する。直流電力は、インバータ22、およびその他の回路および各部に供給される。
【0069】
AD変換器23は、速度/電流指令演算部51から出力される速度/電流指令(速度/トルク指令)S1を入力し、それに応じたデジタル値の指令データD1を出力する。指令データD1は、運転モードに応じて、速度指令データD1Sとなったり、電流(トルク)指令データD1Tとなったりする。
【0070】
加算器24は、AD変換器23から出力される指令データD1から、速度検出部32から出力される速度データD21を差し引く。
【0071】
速度誤差アンプ25は、加算器24から出力される速度指令データD2を差動増幅する。
【0072】
切り替え器26は、運転制御モード切替え部52からの制御切替え指令S2に応じて、速度誤差アンプ25の出力する速度指令データD3とAD変換器23の出力する電流指令データD1Tとを切り替える。つまり、速度制御を行うときには速度誤差アンプ25の出力する速度指令データD3に、電流制御(トルク制御)を行うときにはAD変換器23の出力する電流指令データD1Tに、それぞれ接続されるように切り替える。
【0073】
リミット回路27は、速度/電流リミット部53からの速度/電流リミット指令(速度/トルクリミット指令)S3に基づいて、モータ11の回転速度または電流の最大値を制限するように制御する。
【0074】
電流制御演算部28は、リミット回路27の出力する指令データD4、エンコーダ信号処理部31の出力するデータD5、およびAD変換器35,36の出力する電流データD6,D7に基づいて、モータ11に流す電流値を演算し、電流指令データD8として出力する。
【0075】
PWM回路29は、電流制御演算部28の出力する電流指令データD8に基づいて、PWM(パルス幅変調)を行い、パルス幅変調の行われたパルス信号D10を出力する。
【0076】
ゲートドライブ30は、パルス信号D10に基づいて、インバータ22の各スイッチング素子のゲートをオンオフするためのパルス信号D11を生成する。
【0077】
エンコーダ信号処理部31は、エンコーダ14から出力されるパルス信号の信号処理を行う。
【0078】
速度検出部32は、エンコーダ信号処理部31から出力される信号に基づいて、速度を検出し、速度に応じた値を示す速度データD21を出力する。したがって、速度データD21は、モータ11の実際の回転速度を表すことになる。
【0079】
電流検出器33,34は、モータ11に流れるu相およびw相の電流(モータ電流)iを検出する。AD変換器35,36は、電流検出器33,34により検出されたモータ電流iを、それぞれデジタル値の電流データD6,D7に変換する。
【0080】
プリアンプ41は、トルク検出装置13によって検出された検出信号S31を増幅する。AD変換器42は、プリアンプ41の出力する信号S32をデジタル値のトルクデータD31に変換し、速度/電流指令演算部51に出力する。トルクデータD31は、上に述べたように、ネジに対する実際の締付トルクTQを示すデータである。
【0081】
パラメータ格納部43は、速度/電流指令演算部51などの演算に必要な種々のパラメータを格納する。パラメータとして、例えば、最小の電流値、計測開始トルク、着座トルクTS、目標接近トルクTQN、目標トルクTQJ、締付トルクTQの最大値TQM、電流スロープθ、第1スロープθ1、および第2スロープθ2などがある。これらのパラメータは、設定器45により設定される。設定器45として、デジタルスイッチ、テンキー、タッチパネル、または切替えスイッチなどが用いられる。
【0082】
速度/電流指令演算部51は、AD変換器42からのトルクデータD31、パラメータ格納部43からのパラメータなどに基づいて、速度指令値および指令用の電流値を演算し、速度/電流(トルク)指令S1として出力する。
【0083】
なお、速度/電流(トルク)指令S1のうちの電流指令S1Tは、後述する電流パルスDPがオン時間TNの間のみ、指令用の電流値を出力し、オフ時間TFの間は、電流指令S1Tをゼロとする。
【0084】
運転制御モード切替え部52は、速度制御モードとインパクトモード(電流制御モード、トルク制御モード)とを切り替える。
【0085】
速度制御モードでは、モータ11の回転速度が、速度指令データD1Sにより設定された速度となるように制御を行う。負荷が変動しても、設定された速度となるように、モータ11に流れる電流を制御する。速度制御モードでは、電流のリミット値を設けることができる。電流のリミット値により、電流の最大値が制限される。したがって、負荷の状態によっては、設定された速度に達しない場合がある。
【0086】
インパクトモードでは、モータ11に流れる電流の方向および大きさを制御し、遊星歯車機構12において衝撃トルクを発生するように制御する。インパクトモードにおいて、モータ11には電流指令データD1Tにより指定される電流が流れる。モータ11の回転速度は、設定された電流値に応じて変化する。
【0087】
切り替え器26によって、速度制御モードでは速度指令データD3が選択され、インパクトモードでは電流指令データD1Tが選択される。
【0088】
自動運転時の締付け動作において、最初は速度制御モードで運転を行い、出力軸15を高速回転させる。出力軸15に発生する締付トルクTQが予め設定された着座トルクTSに達したときに、負荷であるネジが着座したと判断し、インパクトモードに切り替える。インパクトモードでは、電流指令データD1Tにより示される電流が流れ、または電流が零となり、モータ11は正方向と逆方向の回転を繰り返す。
【0089】
手動運転時では、図示しない切り替えスイッチの操作に応じて、いずれかのモードが設定される。
【0090】
速度/電流リミット部53は、速度および電流(トルク)の最大値を設定し、設定した値をリミット回路27に与える。
【0091】
制御用コントローラ8は、CPU、ROM、RAM、その他の周辺素子などを用いて構成される。上に述べた速度/電流指令演算部51、運転制御モード切替え部52、および速度/電流リミット部53などは、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることによって実現される。それらの一部をハードウエア回路で実現することも可能である。
【0092】
制御用コントローラ8は、データまたは指令を入力するための入力装置、締付けの良否結果などを表示するための表示装置、他のデータ処理システムまたは制御装置との通信のための通信装置などを備える。
【0093】
次に、ネジ締め装置1の制御方法について、動作状態を示す図を参照して説明する。
【0094】
図7はネジ締め装置1によるネジ締め動作の全体の状態を示す図、図8はインパクトモードにおける電流指令データD1Tおよびモータ11の回転速度などとの関係を示す図、図9は図8の一部を拡大して示す図である。
【0095】
図7に示すように、最初は速度制御モードで運転を行い、出力軸15を高速回転させる。この間において、遊星歯車機構12は減速機として動作する。出力軸15に発生する締付トルクTQが予め設定された着座トルクTSに達したときに、負荷であるネジが着座したと判断し、インパクトモードに切り替える。インパクトモードでは、電流指令データD1Tにより示される電流が流れ、または電流が零となり、モータ11は正方向と逆方向の回転を繰り返す。
【0096】
図8および図9に示すように、インパクトモードにおいて、電流指令データD1Tは、時間T1において正の一定の値が続き、次の時間T2において零となり、次の時間T3において負の一定の値が続き、次の時間T4において零となる。これが繰り返される。
【0097】
そうすると、電流指令データD1Tに対して応答遅れを持った電流iが流れる。
【0098】
時間T1において、モータ11は正の回転方向に加速され、時刻t2においてアウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突し、衝撃力が発生する。衝撃力が発生したことは、トルク検出装置13によって締付トルクTQが一定値以上となったことによって検出される。この衝撃力によってネジが回転し、衝撃力の元である慣性エネルギーの大きさに応じたネジの締め付けが行われる。
【0099】
そして、時刻t2において、モータ11の電流指令データD1Tが零となる。モータ11の電流指令データD1Tが零となった直後は実際の電流iはまだ流れているため、モータ11の回転速度nは若干増大し、その後に回転速度nは減少し、時刻t3において回転速度nが零となる。時刻t2から時刻t3の間が時間T2とほぼ一致する。時間T2においてモータ11はトルクを発生していないから、締付トルクTQの反力は作業者に伝わらない。
【0100】
モータ11の回転速度nが零になったころに、負の電流指令データD1Tを送ってモータ11に逆方向の電流iを流して逆方向に回転させる。モータ11は時間T3において逆方向に回転加速し、その後の時間T4において、慣性のために一定の回転速度nで回転する。この間において、アウターギヤ72は反対方向に回転し、初期位置に戻る。
【0101】
時間T2、T3、T4の合計が、上に述べた第1の時間TFに相当する。したがって、これらの時間T2、T3、T4を調整することによて、第1の時間TFを調整することができる。
【0102】
なお、時間T1は例えば10〜20ms程度、時間T2は例えば4〜10ms程度、時間T3は例えば3〜10ms程度、時間T4は例えば8〜20ms程度である。時間T1〜4の合計つまり1サイクルは例えば30〜50ms程度である。時間T2〜4の合計の時間が、アウターギヤ72が衝突してから初期位置に戻るまでの時間である。
【0103】
また、時間T1における電流指令データD1Tの高さ(振幅)に応じた大きさの電流iが流れ、これに応じてモータ11の回転が加速される。電流指令データD1Tは、通常、最大値とする。しかし、インパクトモードにおける締付トルクTQの大きさを調整するために、電流指令データD1Tの大きさ(振幅)を調整し、また時間T1を調整してよい。
【0104】
また、時間T3における電流指令データD1Tの大きさを調整することによって、アウターギヤ72が初期位置に戻るまでの時間が調整される。
【0105】
なお、アウターギヤ72が衝突後の反力のみで初期位置に戻るようにしてもよい。その場合にはモータ11を逆転させるための電流を流す必要がない。また、アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突した後において、直ぐにモータ11に逆方向に電流を流して逆転させてアウターギヤ72を初期位置に戻してもよい。
【0106】
次に、ネジ締め装置1におけるネジ締め動作の流れをフローチャートによって説明する。
【0107】
図10はネジ締め装置1におけるネジ締め動作の流れを示すフローチャート、図11はインパクトモードにおける動作を示すフローチャートである。
【0108】
図10において、まず、速度制御モードによる速度制御が行われる(#11)。速度制御では、速度指令データD1Sによってモータ11の回転速度が設定される。速度指令値が徐々に増大され、モータ11の回転速度も増大する。所定の回転速度になると、一定値に維持される。
【0109】
つまり、ネジが着座する前に、モータ11に電流を流してハンマーであるアウターギヤ72を回転させ、アウターギヤ72がアンビルであるアウターギヤ62に当接した状態で出力軸15を回転させてネジを連続的に回転させる。
【0110】
これによって、モータ11が高速回転し、ネジの着座までの仮締めが行われる。
【0111】
締付トルクTQが着座トルクTSに達すると(#12でイエス)、ネジが着座したと判断し、インパクトモードに切り換える(#13,14)。なお、インパクトモードに切り換える前に、モータ11に流す電流を一旦零としてもよい。
【0112】
インパクトモードでは、締付トルクTQが目標トルクTQJに達するまでの間(#15でノー)、電流制御を行う。
【0113】
締付トルクTQが目標トルクTQJに達すると(#15でイエス)、モータ11を停止させる(#16)。モータ11を停止させるために、電流パルスDPの供給を停止し、モータ11に流れる電流を零にする。
【0114】
そして、最終の締付トルクTQおよびそれまでに現れた最大値TQMについて、設定された上下限値の範囲内に入っているか否かを判定し、判定結果を表示装置の表示面に表示する(#17)。
【0115】
図11において、インパクトモードでは、モータ11に電流を流して正方向(M1方向)に回転させる(#21)。これによって、サンギヤ63、73は正方向に回転し、アウターギヤ72は逆方向(M2方向)に回転する(#22)。アウターギヤ72がアウターギヤ62に衝突すると(#23でイエス)、モータ11の電流を停止する(#24)。衝撃力による締付トルクTQが発生し、これによってネジを締めつける(#25)。アウターギヤ72は、衝突の反動で反対方向つまり正方向(M1方向)に回転する(#26)。モータ11に逆方向の電流を流して逆転させ(#27)、アウターギヤ72を初期位置にまで戻す(#28)。
【0116】
ステップ#21〜27が、目標トルクTQJに達するまで繰り返される(#14、15)。
【0117】
本実施形態によると、ネジ締め装置1は、遊星歯車機構12が減速機と衝突エネルギ発生機構とを兼用しており、シンプルな構成で軽量かつコンパクトにすることができる。モータ11の制御によって、速度制御モードのようなダイレクト動作(連続動作)とインパクトモードによるインパクト動作とを簡単に切り換えることができるので、ネジ締めにおいて高速かつ高精度でネジ締め動作を行えるのみでなく、穴あけ動作とネジ締め動作とを1つのネジ締め装置1で簡単に行うことができる。
【0118】
上に述べた実施形態において、アウターギヤ62,72の突出係合部621,622,721,722をそれぞれ2つずつ設けたが、3つずつまたはそれ以上を等間隔に設けてもよい。1つずつの場合は衝撃によって半径方向の力が発生するので、これの対策を行っておけば可能である。また、相対角度範囲αを60度としたが、これ以上であってもこれ以下であってもよい。2つのアウターギヤ62,72の突出係合部の大きさを同じにしたが、互いに異なっていてもよい。
【0119】
上の実施形態において、遊星歯車機構12、ネジ締め装置本体3、制御装置4、ネジ締め装置1の全体または各部の構造、形状、個数、処理の内容または順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0120】
上に述べた実施形態では、衝撃発生装置として遊星歯車機構12を用いた例について説明したが、遊星歯車機構12以外の構造の衝撃発生装置についても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明に係るネジ締め装置本体の正面断面図である。
【図2】ネジ締め装置本体の要部の拡大断面図である。
【図3】歯車機構の外観を示す正面図である。
【図4】図1における歯車機構のA−A線断面矢視図である。
【図5】歯車機構による衝撃の発生を説明するための図である。
【図6】ネジ締め装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図7】ネジ締め装置によるネジ締め動作の全体の状態を示す図である。
【図8】インパクトモードにおける各部の動作状態を示す図である。
【図9】図8の一部を拡大して示す図である。
【図10】ネジ締め装置におけるネジ締め動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】インパクトモードにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
1 ネジ締め装置
3 ネジ締め装置本体
10 本体ケーシング
11 モータ
12 遊星歯車機構
13 トルク検出装置
15 出力軸
61 第1の遊星歯車機構
62 アウターギヤ(アンビル)
71 第2の遊星歯車機構
72 アウターギヤ(ハンマー)
621,622 突出係合部
721,722 突出係合部
ST 初期位置
【出願人】 【識別番号】500285923
【氏名又は名称】株式会社エスティック
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄


【公開番号】 特開2008−55580(P2008−55580A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238310(P2006−238310)