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【発明の名称】 スナップリングの取り付け工具
【発明者】 【氏名】戸森 幹二

【要約】 【課題】スナップリングの取り付け作業をスムーズ且つスピーディに行うことができる実用性、作業性に秀れた取り付け工具を提供すること。

【構成】一対のレバー11、12を中央部よりもやや先端寄りで回動自在に軸着することでX字状の取り付け工具10を形成する。第1レバー11の先端部17は、磁気を帯びており、当接する内面に先端部11と直交するスナップリングを保持する切り込み溝21が形成されている。第2レバー12の先端部18は、当接する内面に、前記切り込み溝21の向きに直交する向きに軸を押さえる切り込み溝22が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の先端部の内面同士が当接し合う鋏状の工具であって、
前記一対の先端部の内面のうち第1の先端部の内面にスナップリングを保持する切り込み溝が形成され、
第2の先端部の内面が軸を押圧する面となっている
スナップリングの取り付け工具。
【請求項2】
前記第2の先端部の内面に、前記スナップリングを保持する切り込み溝と直交するように、軸を押さえる切り込み溝が形成されている請求項1記載のスナップリングの取り付け工具。
【請求項3】
前記一対の先端部のうち、少なくとも第1の先端部が磁気を帯びている請求項1または2記載のスナップリングの取り付け工具。
【請求項4】
前記スナップリングを保持する切り込み溝が第1の先端部の長手方向と直交している請求項1、2または3記載のスナップリングの取り付け工具。
【請求項5】
前記第2の先端部が先端に向かってしだいに薄くなっている請求項1、2、3または4記載のスナップリングの取り付け工具。








【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はスナップリングの取り付け工具に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−130397号公報
【特許文献2】意匠登録第1068504号公報
【0003】
スナップリングは、ブラケットなどに挿入した軸や軸に嵌合したベアリングが軸方向に抜けないように、軸の周囲に溝を切って嵌めるC字状ないしE字状の止め輪である。またばね鋼でできており、弾力を利用して溝に嵌まるようになっている。このスナップリングの着脱用の工具として、例えば特許文献1や特許文献2に示すようなプライヤが使用されている。このものは先端の2本の爪をスナップリングの端部の孔に通し、スナップリングを拡縮して軸や穴に装着させるものである。しかし、細い軸などに小さいスナップリングを装着するにはこのようなプライヤは使いにくい。
【0004】
他方、小さなスナップリングを取り扱う取り付け工具として、図6に示すような、スナップリングを固定して軸に押さえつける取り付け工具100が知られている。この取り付け工具100は金属製のステー101の端部に板バネ状の爪102を互いの先端が揃うようにピン103で固定し、ステー101の先端部と爪102の先端部の隙間にスナップリング104を嵌めて保持するものである。この取り付け工具100では、保持したスナップリング104を軸に対して押さえつけることにより、軸などにスナップリング104を装着する。これにより小さなスナップリングを装着することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6の従来例では、スナップリング104と軸などの位置関係が定まらないので安定せず、取り扱いにくい。従って、このスナップリング104の取り付け作業を正確且つスムーズに行うことには限界がある。特に、スナップリングの取り付け作業を流れ作業で行うことが多く、また、製品の量産性の向上が重要視される機械部品等のメーカーにおいては、前述のようにスムーズな作業が行えないためにスナップリングの取り付け作業に時間がかかり、問題となっている。また、前記隙間にスナップリング104を嵌める際、前記隙間がスナップリング104の厚みに対して広く、取り付け工具100でスナップリング104を保持しにくい場合もある。
【0006】
本発明は小さなスナップリングの取り付け作業をスムーズかつスピーディに行うことができる実用性、作業性に秀れたスナップリングの取り付け工具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスナップリングの取り付け工具は、一対の先端部の内面同士が当接し合う鋏状の工具であって、前記一対の先端部の内面のうち第1の先端部の内面にスナップリングを保持する切り込み溝が形成され、第2の先端部の内面が軸を押圧する面となっていることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
さらに、前記第2の先端部の内面に、前記スナップリングを保持する、切り込み溝と直交するように、軸を押さえる切り込み溝が形成されているものが好ましい(請求項2)。
【0009】
さらに、前記一対の先端部のうち、少なくとも第1の先端部が磁気を帯びているものが好ましい(請求項3)。
【0010】
さらに、前記スナップリングを保持する切り込み溝が第1の先端部の長手方向と直交しているものが好ましい(請求項4)。
【0011】
さらに、前記第2の先端部が先端に向かってしだいに薄くなるように傾斜しているものが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスナップリングの取り付け工具(請求項1)は、スナップリングの両端間の隙間の反対側を切り込み溝によって保持し、軸とスナップリングを両側から挟み込むことで安定した状態で保持できる。そして、この状態で挟み込むことにより、スナップリングの隙間に軸を強制的に通すことができる。そのため、スナップリングの取り付け作業をスムーズ且つスピーディに行うことができる。また、スナップリングを保持する切り込み溝の方向はどの方向でもこの効果が奏される。
【0013】
また、第2の先端部の内面に、前記スナップリングを保持する切り込み溝と直交するように、軸を押さえる切り込み溝が形成されている場合、軸をその切り込み溝にあてがうことにより、軸が横に滑らないように保持することができる(請求項2)。
【0014】
また、前記一対の先端部のうち、少なくとも第1の先端部が磁気を帯びている場合、バネ鋼で形成されているスナップリングが脱落しないので、さらに取り扱いやすい(請求項3)。また、第2の先端部も磁気が帯びている場合、鋼製の軸を保持することができるのでさらに取り扱いやすい。
【0015】
また、両先端部が磁気を帯びている場合は、互いに同極の場合には先端部同士が反発し離れていくのでスナップリングを装着し終わった際、取り付け工具を外し易い。他方、互いに異極の場合は、軸とスナップリングが引き寄せあうので、嵌めやすくなる。
【0016】
また、前記スナップリングを保持する切り込み溝が先端部の長手方向と直交している場合、軸などとスナップリングとを直交するように保持できるので、スナップリングがまっすぐ横方向に拡がり、嵌めやすくなる(請求項4)。
【0017】
また、前記第2の先端部が先端に向かってしだいと薄くなっている場合、軸を支持するブラケットなどに付属するものがスナップリングの取り付け位置付近にあっても、取り付け工具の先端を軸に近づけやすい。さらにスナップリングを外すときに使用することもできる(請求項5)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に図面を参照しながら本発明のスナップリングの取り付け工具(以下、単に「取り付け工具」という)の実施形態を説明する。図1は本発明の取り付け工具の実施形態を示す斜視図、図2aはその取り付け工具の第1の先端部の斜視図、図2bはその取り付け工具の第2の先端部の斜視図、図3はその取り付け工具の使用方法を示す要部側面図、図4は第2の先端部を示す側面図、図5は本発明の取り付け工具の他の実施形態を示す斜視図である。
【0019】
図1に示す取り付け工具10は、一対のレバーすなわち第1レバー11と第2レバー12を中央部よりもやや先端寄りで回動自在に軸着することによりX字状に形成したものである。具体的には、第2レバー12の中央部よりもやや先端寄りの部位には、軸受孔を形成し、他方の第1レバー11の中央部よりも先端寄りの部位には、軸部19を形成し、第2レバー12の軸受孔に第1レバー11に形成した軸部19を軸着することで第1レバー11と第2レバー12同士を回動自在に軸着した構成としている。そして第1レバー11と第2レバー12の軸部より先端側の部分が作業部13、14となっており、後端部の部分が握り部15、16となっている。それにより、握り部15、16を握持操作することにより、第1レバー11の先端部(以下、第1の先端部という)17と第2レバーの先端部(以下、第2の先端部という)18とで対象物を摘むことができる。
【0020】
前記第1の先端部17は図2aに示すように、当接する内面に断面略U字状ないしV字状の第1の切り込み溝21が第1の先端部17に対して直交するように形成されている。この切り込み溝21は断面形状、向き、深さ、幅、長さを特に限定されず、スナップリング30を保持できるのであれば、どのような形態でも構わない。ただし、通常スナップリングは周囲が湾曲しているため、第1の切り込み溝21はU溝が望ましい。また、向きはスナップリングの隙間(図2の符号31を参照)に軸(図3の符号32参照)を押し当てるときに力が均等に働くように前記第1の先端部17に対し直交する方向にするのが好ましい。
【0021】
なお、この実施形態では、前記第1の先端部17は磁気を帯びている。それにより、スナップリングを安定して保持できる。ただし、磁気を帯びている部位は特に限定されず、第1の作業部13全体が磁気を帯びていてもよい。
【0022】
前記第2の先端部18は図2bに示すように、当接する内面にU溝の第2の切り込み溝22が第2の先端部18に沿うように形成されている。それにより第1の切り込み溝と第2の切り込み溝22の向きが直交するので、スナップリングに対して軸を直角に位置付けることが容易である。第2の切り込み溝22の断面形状、深さ、幅、長さは特に限定されない。しかし、通常、断面形状が円形である軸などを滑らないように保持するため、U溝ないしV溝が望ましい。
【0023】
また、第1の先端部17と同様に、第2の先端部18や第2レバー12の作業部14も磁気を帯びていてもよい。その場合は嵌めようとしている軸も安定して保持できる。また、磁極の限定もされない。さらに、前記第2の先端部18は図4に示すように、外面が先端に向かってしだいと薄くなっている。それにより、先端部18をスナップリングの隙間に挿入して、軸から取り外すために利用できる。
【0024】
前記握持部15、16には、それぞれゴム被覆23、24を設けている。なお、前記ゴム被覆23、24は任意であるが、滑り止めや電気絶縁の効果が奏される。
【0025】
次に上記のように構成される取り付け工具10の使用方法について説明する。図3で示すように、はじめに、スナップリング30の隙間(途切れている部位)31の反対側を第1の切り込み溝21に嵌合し、保持させる。そして、この取り付け工具10を、第2の切り込み溝22に軸32を保持させるよう近づける。さらに握持部17、18を握り、スナップリング30の隙間31に軸32を当てる。なお、軸32には、スナップリング30を嵌合させる環状溝33が形成されている。この状態で第1の先端部17と第2の先端部18でスナップリング30と軸32を挟みつけると、隙間31を通してスナップリング30の内側に軸32が押し込まれる。
【0026】
そのとき、スナップリング30の隙間31は軸32を受け入れるように拡がり、軸32がスナップリング30に入り込んだ後、弾力的に閉じる。それによりスナップリング30は軸32の周囲の環状溝33に装着される。
【0027】
前記実施の形態では、第1レバー11と第2レバー12を軸着したが、図5に示す取り付け工具40のような第1レバー11と第2レバー12の後端部同士を固定し各レバー11、12の弾力性で先端部17、18同士を当接させる、ピンセットや和鋏状の形態の工具とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の取り付け工具の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2aおよび図2bはそれぞれその取り付け工具の第1の先端部および第2の先端部の斜視図である。
【図3】その取り付け工具の使用方法を示す側面図である。
【図4】その取り付け工具の第2の先端部を示す側面図である。
【図5】本発明の取り付け工具の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】従来のスナップリングの取り付け工具の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 取り付け工具
11 第1レバー
12 第2レバー
13、14 作業部
15、16 握持部
17 第1の先端部
18 第2の先端部
19 軸部
21 第1の切り込み溝
22 第2の切り込み溝
23、24 ゴム被覆
30 スナップリング
31 隙間
32 軸
33 環状溝
40 取り付け工具
100 従来の取り付け工具
101 金属製のステー
102 板バネ状の爪
103 ピン
104 スナップリング
【出願人】 【識別番号】501196493
【氏名又は名称】有限会社ベクトル
【出願日】 平成18年8月16日(2006.8.16)
【代理人】 【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫


【公開番号】 特開2008−30183(P2008−30183A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−221942(P2006−221942)