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【発明の名称】 ソケットレンチ用トルクアダプタ
【発明者】 【氏名】鈴木庄司

【要約】 【課題】特定個所の高トルクの発生を防いだ、耐久的なソケットレンチ用トルクアダプタを提供する。

【構成】該装置室8に錐台形凹部8aに入る突部9を持つ駆動軸5を嵌挿し、突部9と凹部8aとの間にローラピン12を介在させる。凹部8aに隣接する装置室8の直状部8cに前記ローラピン12で押圧されるばね15を収設し、該ばね15の受圧体10を開放端部に取付ける。受圧体10を通じて装置室8より突出する駆動軸5の先端にボルト用ソケット7の係止突子4を設ける。そして、凹部8aに設けた傾斜溝11に前記ローラピン12を係合する一方、突部9の外周面にはローラピン12が出入する傾斜切欠13を設け、該傾斜切欠をボルト弛緩方向側の傾斜面13aとボルト締付け方向側の傾斜面13bとで構成し、両傾斜面を、弛緩方向側の傾斜面13aの奥行幅より締付け方向側の傾斜面13aの奥行幅が広くなるような角度にして交差させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端面に操作ハンドルの突子を係止する駆動用穴を設けたアダプタ主体の前記一端面に対応する他の一端面に、該他の一端面を開放端とする装置室を設け、該装置室に、奥端部の錐台形凹部に入る錐台形突部を突設した駆動軸を嵌挿し、錐台形突部と前記錐台形凹部との間にローラピンを介在させる一方、前記錐台形凹部に隣接する前記装置室の直状部に前記ローラピンで押圧されるばねを収設し、該ばねの受圧体を前記開放端部に取付けると共に、この受圧体を通じて前記装置室より突出する前記駆動軸の先端にボルト用ソケットの係止突子を設けたソケットレンチ用トルクアダプタにおいて、円錐台状の前記錐台形凹部に等間隔を置いて設けた傾斜溝に前記ローラピンを係合する一方、円錐台状の前記錐台形突部の外周面には前記各ローラピンが同時に出入する傾斜切欠を等間隔を置いて設けた、ソケットレンチ用トルクアダプタ。
【請求項2】
傾斜切欠をボルト弛緩方向側の傾斜面とボルト締付け方向側の傾斜面とで構成させ、両傾斜面を、弛緩方向側の前記傾斜面の奥行幅より締付け方向側の傾斜面の奥行幅が広くなるような角度にして交差させた、請求項1記載のソケットレンチ用トルクアダプタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、概しボルト頭部やナットに嵌合させたソケットと該ソケットを回動させるための操作ハンドルとの間に介在させて用いるソケットレンチ用トルクアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソケットレンチ用トルクアダプタは、いうまでもなく公知であるが、例えば、一端面に操作ハンドルの突子(ドライブ)を係止する駆動用穴を設けたアダプタ主体の前記一端面に対応する他の一端面に、該他の一端面を開放端とする装置室を設け、該装置室に、装置室の奥端部の錐台形凹部に係合した錐台形突部を設けた駆動軸を嵌挿し、前記錐台形凹部と前記錐台形凹部との間にローラピンを介在させる一方、前記錐台形凹部に隣接する、前記収納室の直状部に前記ローラピンで押圧される復帰ばねを収容し、該復帰ばねの受圧体を前記開放端部に取付けると共に、前記受圧体を通じて前記収納室より突出する前記駆動軸の先端にボルト又はナット用ソケットの係止突子を設けた構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−239468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記文献所載の従来構造のものは、アダプタ主体側に設けた錐台形凹部を六角錐台形状と成し、その平坦状の傾斜面でローラピンを押圧して駆動軸による高トルクを期待し、一定以上の高いトルクがソケットを通じて例えば、ボルト頭部やナットに負荷しないようにしたものであるが、最も高いトルクが発生する位置は六角錐台形の平坦面(テーパ面)の中央(軸線に対し最も近接した部分)ということになり、高いトルクが当該個所に常に集中するため摩耗が進みトルクダウンになっていた。
【0005】
本発明は斯様な従来例のトルクアダプタの欠点に着目し、摩耗の進行を可及的に防ぎ、従って、耐久的なソケットレンチ用トルクアダプタを提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一端面に操作ハンドルの突子を係止する駆動用穴を設けたアダプタ主体の前記一端面に対応する他の一端面に、該他の一端面を開放端とする装置室を設け、該装置室に、奥端部の錐台形凹部に入る錐台形突部を突設した駆動軸を嵌挿し、錐台形突部と前記錐台形凹部との間にローラピンを介在させる一方、前記錐台形凹部に隣接する前記装置室の直状部に前記ローラピンで押圧されるばねを収設し、該ばねの受圧体を前記開放端部に取付けると共に、この受圧体を通じて前記装置室より突出する前記駆動軸の先端にボルト用ソケットの係止突子を設けたソケットレンチ用トルクアダプタにおいて、円錐台状の前記錐台形凹部に等間隔を置いて設けた傾斜溝に前記ローラピンを係合する一方、円錐台状の前記錐台形突部の外周面には前記各ローラピンが同時に出入する傾斜切欠を等間隔を置いて設けた基本的手段とし、この基本的手段に、傾斜切欠をボルト弛緩方向側の傾斜面とボルト締付け方向側の傾斜面とで構成させ、両傾斜面を、弛緩方向側の前記傾斜面の奥行幅より締付け方向側の傾斜面の奥行幅が広くなるような角度にして交差させた点を付加することにより、ボルトの締付けよりも緩め方向に用いたときのほうが高いトルクを得られるようにしてボルト側の酸化などの経時変化に尚一層対処したボルト弛緩用として好適なトルクアダプタを提供できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボルト締付け方向に回動させたとき、必要以上のトルクをボルトに負荷させると、ローラピンが傾斜切欠より外れ、従って、常に一定のトルクでボルトの締付け操作を行うことができることは勿論、ローラピンが円錐台状の錐台形突部のテーパ面(外側面)に接している間は高トルクを得られ、すなわち、最大トルク値をローラピンの錐台形突部の外面上の移動中期待できるから、特定個所に(線上に)高トルクの発生が集中することがなく、従って、集中によって生じる摩耗を回避した耐久的なソケットレンチ用トルクアダプタを提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係るソケットレンチ用トルクアダプタの一実施例を示し、図1は縦断面図、図2は使用時の一部の縦断面図、図3は使用時の錐台形突部とローラピンとの関係を示す平面図、図4は錐台形突部とローラピンの関係を示す拡大平面図、図5はアダプタ主体の縦断面図、図6はアダプタ主体の底面図、図7は駆動軸の正面図、図8は駆動軸の平面図である。
【0009】
本発明に係るソケットレンチ用トルクアダプタAは、アダプタ主体1の一端面1´に設けた駆動用角穴2に操作ハンドル3の先端部に設けた係止突子4を係合し、前記アダプタ主体1に嵌挿した駆動軸5の、アダプタ主体1の前記一端面1´に対応する他の一端面1´´より突出する先端に設けた駆動突子6を、ソケット7に係合させるようにして操作ハンドル3とソケット7との間に介在させ、操作ハンドル3を回動させることにより回動する前記駆動軸5によってソケット7を回動させて、ボルトやナットの締付け、弛緩するために用いるものである。
【0010】
前記アダプタ主体1は、前記の通り、一端面1´に前記駆動用角穴2を備える一方、他の一端面1´´を開放端とする装置室8を備え、装置室8は奥端部側の円錐台状の錐台形凹部8aと開放端側のねじ部8bとの間に直状部8cを介在させて構成し、この装置室8に、先端の円錐台状の錐台形突部9を前記錐台形凹部8aに係合させるようにして、前記駆動軸5を、前記ねじ部8bに螺合して装置室8を閉塞した受圧体10を通じて嵌挿するようにして、アダプタ主体1と駆動軸5を互いに組付けて前記アダプタAを構成する。
【0011】
装置室8の円錐台状の前記錐台形凹部8aの傾斜状内周面の、円周方向に等間隔を存した三方には装置室8の前記直状部8cに連通する傾斜溝11を設け、該傾斜溝11にローラピン12を回動かつ縦動自在に係合組付けてある。
【0012】
このローラピン12を介して錐台形凹部8aに係合した円錐台状の前記錐台形突部9のテーパー状(傾斜状)の周面には前記ローラピン12乃至傾斜溝11に対応させて円周方向に等間隔を存した三方に傾斜切欠13を設け、軸線に沿って前記傾斜溝11より部分的に突出するローラピン12の一半側をこれに係脱可能に係合させてある。
【0013】
傾斜切欠13は、一対の傾斜面13a,13bすなわちボルト弛緩方向側の傾斜面13aとボルト締付け方向側の傾斜面13bとで成り、両傾斜面13a,13bは、弛緩方向側の傾斜面13aの奥行幅より締付け方向側の傾斜面13bの奥行幅が広くなるような角度の関係にして前記傾斜切欠13を構成し、このため、この傾斜切欠13に係合した前記ローラピン12の傾斜切欠13からの離脱は弛緩方向側の傾斜面13a側より締付け方向側の傾斜面13b側のほうが低トルクで足りるようにしてある。
【0014】
また、前記駆動軸5には前記錐台形突部9に隣接させて受圧リング14を組付けてあり、この受圧リング14と前記受圧体10との間に駆動軸5に巻回するようにしてコイルばね(板ばねでも不都合はない)15を配して前記装置室8内に収設してある。
【0015】
さらに、受圧体10を通じて前記装置室8より突出する駆動軸5の先端にはソケット7に係止(係合)する前記駆動突子6を設けてある。
【0016】
そして、駆動突子6に係合、組付けたソケット7を例えば、ボルト(の頭部)に組合わせ、駆動用角穴2に操作ハンドル3(レンチ)の係止突子4を係合させて、操作ハンドル3を回動させると、該回動方向が前記ボルトの締付け方向であるときは、操作ハンドル3(係止突子4)に伴われて回動するアダプタ主体1側の(傾斜溝11に係合した)ローラピン12が、傾斜切欠13の締付け方向側の傾斜面13bを押圧して駆動軸5を回動させ、駆動突子6を介してソケット7は締付け方向に回動してボルト締め操作が行われる。
【0017】
このボルト締め操作時に操作ハンドルを通じて一定以上のトルクが負荷されると、各ローラピン12は傾斜面13b側において傾斜切欠13から同時に離脱して錐台形突部9の外周面9´に接している間は高トルクが発生し、かつ、一定以上のトルクの発生は規制され、回動操作の継続によってコイルばね15の作用により隣接する他の(次段の)傾斜切欠13に同時に係合することになり、この操作の繰り返しにより、駆動突子6やソケット7を介してボルトに必要以上のトルクが負荷されることがなく、従って、ボルトに対する必要以上のトルクの負荷を防止することができる。
【0018】
また、回動方向が前記ボルト(ナットの場合でも良いことは勿論)の弛緩方向であるときは、弛緩方向側の傾斜面13aをローラピン12が押圧することになり、他の一方の傾斜面13bとの相対的な形態関係により該傾斜面13bを押圧するときよりも高いトルクがボルトに負荷され、ボルトの錆付き等に対処した高トルクで当該ボルトの弛緩操作を行え、締付け方向の場合と同様、各ローラピン12が傾斜面13a側において傾斜切欠から同時に離脱して錐台形突部9の外周面9´上を移動中最大トルク値となる。
【0019】
なお、傾斜面13b側からの、ローラピン12の傾斜切欠13からの離脱ができないような角度にすると、使用によっては、当該アダプタが破壊するので、傾斜面13a,13bの角度関係は適宜考慮すべきである。
【0020】
ローラピン12(傾斜切欠13や傾斜溝11)は、実施例においては、円周方向に等間隔を存した三方に配してあるが、実施例以外の複数個でもよいが、円周方向に等間隔を存して配すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】縦断面図。
【図2】使用時の一部の縦断面図。
【図3】使用時の錐台形突部とローラピンとの関係を示す平面図。
【図4】錐台形突部とローラピンの関係を示す拡大平面図。
【図5】アダプタ主体の縦断面図。
【図6】アダプタ主体の底面図。
【図7】駆動軸の正面図。
【図8】駆動軸の平面図。
【符号の説明】
【0022】
1 アダプタ主体
2 駆動用穴
4 係止突子
5 駆動軸
8 装置室
8a 錐台形凹部
9 錐台形突部
10 受圧体
11 傾斜溝
12 ローラピン
13 傾斜切欠
15 ばね
【出願人】 【識別番号】390003436
【氏名又は名称】株式会社山下工業研究所
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛


【公開番号】 特開2008−6514(P2008−6514A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176400(P2006−176400)