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【発明の名称】 研削加工装置
【発明者】 【氏名】坪井 俊樹

【要約】 【課題】研削工程毎の研削砥石の交換が正確な位置調整により効率よく行われるとともに、高い寸法精度で生産効率が向上する研削加工が可能な研削加工装置を提供する。

【解決手段】研削加工対象物41の被加工面と交差する軸芯35周りに、互に種類の異なる複数の砥石群31、32がそれぞれ放射状に配されるとともに、前記複数の砥石群31、32のうちいずれか一つの砥石群が選択的に前記被加工面と接触可能に保持されたことで、研削砥石31、32の交換及び調整作業をすることなく連続して一連の研削加工することができ、高精度に研削加工の切り込み制御をすることができるので、タクトタイムの短縮を図ると同時に精度の高い研削加工が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削加工対象物の被加工面と交差する軸芯周りに、互に種類の異なる複数の砥石群がそれぞれ放射状に配されるとともに、前記複数の砥石群のうちいずれか一つの砥石群が選択的に前記被加工面と接触可能に保持されたことを特徴とする研削加工装置。
【請求項2】
前記複数の砥石群は、砥石群毎に前記軸芯を回転軸として回転するとともに前記被加工面に対して進退動する個別の砥石ホルダーにそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1に記載の研削加工装置。
【請求項3】
前記各砥石ホルダーには、それぞれ個別に、前記被加工面に対して進退動させる駆動手段が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の研削加工装置。
【請求項4】
前記各砥石ホルダーは、それぞれ単独で回転可能、又は、互いに同時に回転可能とされたことを特徴とする請求項2又は3に記載の研削加工装置。
【請求項5】
前記複数の砥石群のすべての研削砥石が、前記軸芯を中心とする同心円上に配されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の研削加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、平面の研削加工に適した研削加工装置に関し、特に1台で複数の研削加工工程を行う研削加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大半の研削加工製品は、例えば、粗研削、中研削、仕上げ研削等の複数の工程を経て仕上げられる。これらの研削加工の各工程では、例えば、研削砥石の回転数、切り込み量等の使用条件に適合する研削砥石が使用されるため、一つの研削加工工程が終了する度にこの装置を停止して、次の工程に使用する研削砥石に交換する必要があった。
【0003】
特に、電子デバイス製品の研削加工の場合、例えば、シリコンウェハは高い寸法精度で仕上がり厚さ寸法に加工される必要があるので、研削加工用砥石の使用の他に研磨加工用砥石を使用して仕上げ研磨加工が行われる。そのため、研削砥石の交換回数が多くなり、これらの交換に伴って取り付けの調整をすると、製品を研削加工する一連の工程に時間に要して生産効率を上げることができなかった。そこで、従来から、この研削加工工程毎に研削砥石の交換に要する時間を短縮し、且つ、正確に装着できる研削加工装置が考えられている。
【0004】
その従来技術として、この電子デバイス材料の研削加工において研削砥石の交換や調整作業を不要とした装置について、特開平10−249665号公報(特許文献1)、特開平11−207616号公報(特許文献2)、特開2003−251557号公報(特許文献3)に記載されているものが知られている。以下、図10から13を参照して説明する。
【0005】
図10に示す特許文献1の平面研削盤は、研削砥石131、132等の着脱を行う自動工具交換装置171が備えられている。この自動工具交換装置171は、複数種類の研削砥石132が収納されている複数のポット112と、研削砥石131が装着されているチャック125とが装置の上下に設置されており、そのほぼ中間位置にアーム122が設置されている。そして、このアーム122は棒状の本体の両端に把持部124を有し、回転軸123中心に回転駆動と前後動が可能であり、通常は、両端の把持部124が横並びになった水平状態で位置している。
【0006】
このアーム122による研削砥石131の交換手順は、まず、アーム122が水平状態から図示した矢印に沿って90°右回転して、上下位置になったアーム122の把持部124によりポット112に収納されている研削砥石132及びチャック125に現在装着されている研削砥石131が同時に把持される。次に、アーム122は研削砥石131、132を把持した状態で前方に直進し、把持した研削砥石131、132はチャック125とポット112のそれぞれから抜脱される。その後、回転軸123中心に矢印に沿って180°右回転して、研削砥石132がチャック125と同じ高さに移動される。最後に、アーム122が後退すれば、研削砥石132はチャック125に装着されると同時に研削砥石131はポット112に収納される。この自動工具交換装置171により、現在装着されている研削砥石131をポット112に収納する一連の動作と、次に使用する研削砥石132をチャック125に装着する一連の動作が同時に行われて、効率よく研削砥石131と132を交換することができる。
【0007】
また、図11に示す特許文献2の平面研削盤は、研削プログラムの指令により複数種類の研削砥石134、135、136の中から、次の研削加工に必要ないずれか一つの研削砥石を自動装着する機構が備えられている。この平面研削盤の自動装着の機構には、砥石ヘッド114にクイル133と一体化した研削砥石134、135、136のいずれかを着脱する機能を有するコレットチャック等のクランプ機構126が備えられている。そして、複数種類の研削砥石134、135、136は、砥石受け台113に直列に積載されており、往復移動する砥石受け台113の上面で研削砥石の着脱がされる。
【0008】
これら研削砥石134、135、136のいずれかを自動装着する手順は、予め砥石ヘッド114に研削砥石が装着されている場合には、まず、図示する矢印に沿って、砥石ヘッド114の下方に砥石受け台113が移動されるとともに、砥石ヘッド114が下降される。そして、この砥石ヘッド114に装着されていたクイル133は砥石受け台113の上で取り外される。そして、次の工程で研削砥石134を使用する場合、砥石受け台113が図示した矢印の右方向に動いて、図11の研削砥石受け台113の左端に位置するクイル133aが砥石ヘッド114の真下に移動させられる。最後に、砥石ヘッド114が下降し、真下に位置するクイル133aを砥石ヘッド114のクランプ機構126により装着してから、この砥石ヘッド114は設定された位置まで上昇する。このような研削砥石134、135、136の自動装着の動作は、研削プログラムの指令に応じて、現在装着されている研削砥石及び次に使用する研削砥石を自動認識した後に研削加工が行われる。その結果、この研削プログラムの指令で自動装着の機構が動作して、全研削加工工程において交換の手間がなくなり、しかも加工時間が短縮される。
【0009】
そして、図12に示す特許文献3の研削、研磨装置は、ディスクのエッジを加工する装置で、同図(A)は、研削砥石の拡大図であり、同図(B)は、チャックと成形用研削砥石の拡大図である。ワーク161と砥石アセンブリ141が図示する矢印に沿って往復移動、及びワーク161側面と砥石アセンブリ141側面が接触する方向への移動により研削加工される。そして、この研削、研磨装置は各工程で研削砥石137と139の切り替えを行うためにカム機構152が備えられている。
【0010】
この装置の研削、研磨手順は、まず、砥石スピンドル154をワークヘッド115に向けて、且つ、ワークヘッド115から離れるように図示する矢印に沿って前進又は後退させて、ハウジング116が囲い117により密閉されてから、砥石アセンブリ141の砥石溝140にチャック121に固定されたワーク161のエッジを係合させて研削加工される。そして、このときの研削工程の変更は、カム機構152により砥石溝140との係合位置の調整及びトルクの制御で行われる。また、複数種類の研削砥石137、139を同一中心軸に直列に重畳した多重研削砥石アセンブリ141として研削砥石を形成して、ワークヘッド115の往復移動によって研削砥石137と139を切り替えて、各研削、研磨加工工程が変更される。
【0011】
この研削加工の各工程では砥石アセンブリ141の磨耗が監視されて、必要時に応じて、成形用研削砥石138が、さらに、図示する矢印へ前進して砥石アセンブリ141と係合させれば、研削砥石137、139のドレッシングを行うことができる。
【0012】
これにより、ワーク161と砥石アセンブリ141それぞれの単純な動作で複数工程の変更及び研削砥石137、139交換を行うことができて、効率の良い研削加工ができる。
【特許文献1】特開平10−249665号公報
【特許文献2】特開平11−207616号公報
【特許文献3】特開2003−251557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1及び2の各装置に、研削砥石132、134を自動装着する機構が備えられていても、研削砥石132、134は研削加工装置から一旦着脱して交換されるため、必然的にロスタイムが生じる。また、特許文献3の装置では、砥石アセンブリ141とワーク161が、研削加工のために砥石スピンドル154の軸方向への移動、及び砥石スピンドル154の軸に対して垂直方向への移動と複数の動作をするためにロスタイムが生じる。いずれの従来技術も、研削加工工程での省力化には効果があるが、装置の動作手順からみて、タクトタイムを短縮することは難しい。
【0014】
そして、これらの自動装着のための装置は、研削砥石132、134、141等を装着するそれぞれの動作に対応する機構が備えられていることから、おのずと構成部品の点数が増加する。特に、一連の動作において複数の自由度が必要な場合、自由度に応じた複数の駆動系部品が必要とされ、モータ等の駆動部品やギヤ、ベルト等の動力伝達部品の点数が増える。これにより、モータが有する遅れ時間や、ギヤが有するバックラッシュによる伝達遅れ時間が部品点数の増加により累積され、切り込み量の制御にも遅れが生じ、その結果として、仕上げ寸法に誤差が生じる。その他にも、部品の破損する頻度が多くなり、駆動部品だけのメンテナンス自体に手間を要することになる。しかも、設置するモータの台数が増加すれば装置が大型化して、生産現場で望まれているフットプリントの縮小が難しくなる。
【0015】
また、電子デバイス材料は、複数の研削工程を経るために研削砥石132、134、141の交換作業が効率良く行われ、且つ、高い仕上がり寸法精度で研削加工される必要がある。特に、液晶ディスプレイパネルの保護基板の研削加工は、適切な平面度で研削されていなければ、製品として組立られた際に表示ムラやドット落ち等の欠陥が現われる。
さらに、中心軸で支持されて研削砥石が昇降する、例えば特許文献2の装置では、必然的に研削砥石134の中心から外周にかけて傾斜する。この場合に、高い精度で研削加工するには、ワーク161の被加工面に平行となるように研削砥石134のドレッシングを行う必要が生じて、結局は調整時間が費やされる。
【0016】
そこで、本発明は、研削工程毎の研削砥石の交換が効率よく行われ、且つ、研削砥石の位置調整が正確に行われて、高い寸法精度で生産効率が向上する研削加工が可能な研削加工装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係る研削加工装置は、研削加工対象物の被加工面と交差する軸芯周りに、互に種類の異なる複数の砥石群がそれぞれ放射状に配されるとともに、前記複数の砥石群のうちいずれか一つの砥石群が選択的に前記被加工面と接触可能に保持されたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、研削加工工程が変わるのに応じて、つまり研削加工の内容が遷移するのに応じて複数の砥石群から各研削加工工程に応じた一つの砥石群を選択するだけで、複数の研削加工工程を連続して実行することが可能となる。したがって、研削加工工程が変わる度に装置を停止して研削砥石を交換することがなくなる。しかも、放射状に配された砥石群によって、効率よく、適合する平面度で研削加工される。
【0019】
また、前記複数の砥石群は、砥石群毎に前記軸芯を回転軸として回転するとともに前記被加工面に対して進退動する個別の砥石ホルダーにそれぞれ設けられてもよい。
【0020】
この場合、研削加工を続けながら砥石ホルダーが進退動するだけで、現在使用している砥石群を別の種類の砥石群に交換することができる。あるいは、砥石群の回転数、砥石切り込み速度等をそれぞれ研削加工工程に合せて設定することが可能となる。
【0021】
また、前記各砥石ホルダーには、それぞれ個別に、前記被加工面に対して進退動させる駆動手段が設けられてもよい。
【0022】
この場合、砥石ホルダーの進退動を個別に制御することが可能となって、精度の高い砥石の切り込みが実現する。
前記各砥石ホルダーは、それぞれ単独で回転可能、又は、互いに同時に回転可能とされてもよい。
【0023】
この場合、単独で砥石ホルダーを回転させると、それぞれの研削砥石に適合した使用条件で回転数を設定させることができ、また、複数の砥石ホルダー同期して回転させると、回転数の制御が容易になって、いずれの場合も多様な研削加工の設定ができる。
前記複数の砥石群のすべての研削砥石が、前記軸芯を中心とする同心円上に配されてもよい。
【0024】
この場合、複数の研削砥石を同時に使用して、研削加工対象物の被加工面の平面度を損ねることなく、研削砥石が配された同心円内の大きさの研削加工対象物を均一に研削加工することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、研削砥石の交換及び調整作業をすることなく連続して一連の研削加工することができ、しかも、高精度に研削加工の切り込み制御をすることができるので、タクトタイムの短縮を図ると同時に精度の高い研削加工が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、以下、図1から9を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る研削加工装置の全体斜視図である。本実施の形態の装置は、研削加工対象物の一例として液晶パネル41を平面研削する縦型研削加工装置である。
【0028】
この研削加工装置の構成は、回転テーブル11と液晶パネル固定冶具21を有し、複数の液晶パネル固定冶具21は回転テーブル11上面に放射状に配設されるとともにマグネットチャック13で固定される。また、これらの液晶パネル固定冶具21それぞれの上面に、液晶パネル41が真空チャック22で固定される。これら回転テーブル11の中心軸12を駆動させる回転テーブル駆動用モータ、及びマグネットチャック13を駆動させる電源、並びに真空チャック22を駆動させる真空ポンプは、装置架台14内部の適位置に設置されている(図示省略)。
【0029】
そして、回転テーブル11の周縁寄りの上方に軸芯を有し、この軸芯を中心軸35(図3参照)として、同じ大きさの円盤形状である粗研削砥石ホルダー33と仕上げ研削砥石ホルダー34が設置されている。この粗研削砥石ホルダー33には粗研削砥石ベース36を介して粗研削砥石31が、仕上げ研削砥石ホルダー34には仕上げ研削砥石ベース37を介して仕上げ研削砥石32が種類別に複数個保持されている。また、粗研削砥石ホルダー33には貫通溝39が施されているので、仕上げ研削砥石ホルダー34を重畳させ、この貫通溝39に仕上げ砥石ホルダー34を嵌合させると、研削砥石31、32は、粗研削砥石ホルダー下面72で同一円周上に均等間隔に配される(詳細は後述に記載)。
【0030】
さらに、この装置は、これらの砥石ホルダー33、34をそれぞれ個別に、前記被加工面に対して進退動させる駆動手段として、昇降させる昇降機構と、互いに同時に回転可能とした回転機構の両方を有する駆動アクチュエータ51が備えられている。この駆動アクチュエータ51は、砥石ホルダー33、34が設置されている中心軸35の上端部に載設されて同じユニットに設置された図示しないモータと伝達部品から、回転機構及び昇降機構に駆動力が伝達されて各砥石ホルダー33、34が駆動される(詳細は後述に記載)。そして、この駆動アクチュエータ51の構成部品はカバー15により一体が封止されている。
【0031】
次に、この研削加工装置の動作順序を説明する。
【0032】
はじめに、回転テーブル11上に液晶パネル固定冶具21と、液晶パネル固定冶具21の上に液晶パネル41が確実に固定されているか確認の後、本実施の形態に係る研削加工装置が始動される。
【0033】
そして、駆動用モータの駆動により回転テーブル11が回転テーブル中心軸12を中心に回転してから、駆動アクチュエータ51のモータを駆動させて砥石ホルダー33、34が中心軸35を中心に回転される。それから、この駆動アクチュエータ51の昇降機構によって粗研削砥石ホルダー下面72が液晶パネル41に接触する位置まで下降させられ、粗研削砥石31が液晶パネル41の被加工面を押圧して研削加工が開始される。このとき、回転テーブル中心軸12と粗研削砥石ホルダー33の中心軸35とが偏心して設置されているので、回転する回転テーブル11の円周上で砥石ホルダー33、34が自転して、粗研削砥石ホルダー下面72において研削砥石31、32が配置されている円の直径と同じ幅の軌跡で液晶パネル41は研削される。これら回転テーブル11と砥石ホルダー33、34との相互運動により、回転テーブル11上面に固定した複数の液晶パネル41は均一に研削加工される。
【0034】
図2は、本実施の形態に係る研削加工装置において研削対象物とされる液晶パネルの構造を示す断面図である。この使用する液晶パネル41は、液晶基板42、液晶43、封止基板44、カラーフィルタ45、保護基板46の順に貼り合せた後に、本実施の形態の研削加工装置でもって保護基板46の表面(P面)が研削加工される。この保護基板46は、その表面(P面)上にフレーム等の他の部材47が積層されることから、数十μmの板厚まで規定された平面度に加工される。
【0035】
次に、図3から図5を参照して、砥石ホルダー33、34それぞれの構造を以下、詳しく説明する。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態に係る砥石ホルダー部分の組立斜視図であり、図4は、図3に示す砥石ホルダーの底面図である。
【0037】
二種類の砥石ホルダー33、34は同一の中心軸35に設置されており、それぞれが砥石ベース36、37を保持した状態で円盤外形は同一の大きさである。そして、砥石ホルダー33、34それぞれの円盤の外周側面において、粗研削砥石ホルダー33には粗研削砥石31が付着している12個の粗研削砥石ベース36が、仕上げ研削砥石ホルダー34には仕上げ研削砥石32が付着している12個の仕上げ研削砥石ベース37が、それぞれ等間隔で保持されている。
【0038】
そして、この仕上げ研削砥石ベース37を高さ寸法h1で幅寸法bの直方体として、仕上げ研削砥石ホルダー34を粗研削砥石ホルダー上面71に重畳すると、仕上げ研削砥石下面75は粗研削砥石下面74と同一レベルにすることができる。また、二種類の砥石ベース36、37は両方ともに同一の幅寸法bであるので、粗研削砥石ホルダー33に施された貫通溝39に仕上げ研削砥石ベース37を嵌合し、研削砥石ホルダー33と34を重畳すると、円盤形状の外周側面で砥石ベース36、37が均等間隔に保持することができ、互いに干渉することがなくなる。
【0039】
図4に図示した通り、それぞれ砥石ベース36、37は砥石ホルダー33、34に取り付けられた状態で下面になる位置で、一個の砥石ベースにつき二個の角柱状の研削砥石31、32が対向する両縁に沿って取り付けられている。そして、粗研削砥石ホルダー33に仕上げ研削砥石ホルダー34が重畳され、粗研削砥石ホルダー下面72から見ると、二種類の研削砥石31、32が同一円周上に交互に放射状に均等間隔で配される。これにより、これらの研削砥石31、32は液晶パネル41被加工面上を均等に研削して、規定の平面度で研削加工することができる。
【0040】
また、研削加工工程に合せてこれら粗研削砥石下面74か、仕上げ研削砥石下面75のいずれかを下方に移動させて、研削加工工程に適する研削砥石を選択することができる。粗研削砥石下面74と仕上げ研削砥石下面75とを同一レベルにした場合、粗研削砥石31と仕上げ研削砥石32の両方の研削砥石で研削加工されるので、研削加工の効率が上がる。あるいは、これらの砥石ホルダー33、34のいずれかを下降させた場合は、粗研削加工工程か仕上げ研削加工工程を選択できる。
【0041】
ただし、これら研削砥石31、32が配されている円周の直径Dの大きさにより、研削加工可能な液晶パネル41の外形が制限される。例えば、中型のテレビ、パーソナルコンピュータに使用する液晶ディスプレイパネルがこの直径Dに内接する大きさであれば、図4に図示する通り、研削砥石31、32が同一円周に配させれば研削加工することができる。これに対して、携帯電話等の液晶ディスプレイパネルの研削加工は小型であるので、円周の直径Dを小さくして研削砥石を配置させる。あるいは、研削砥石31、32が種類別に外周と内周に分けて配置されてもよい。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態に係る粗研削砥石ホルダーの斜視図である。この粗研削砥石ホルダー33の外周側面には、粗研削砥石ホルダー33の中心角30°毎に上下方向に貫通溝38が12箇所設けられており、その貫通溝38に粗研削砥石ベース36が嵌合されている。
【0043】
これら各粗研削砥石ベース36は、粗研削砥石ホルダー33の円盤の厚みと同じ寸法h2にされ、粗研削砥石ベース36を貫通溝38に嵌合させると粗研削砥石ベース36が粗研削砥石ホルダー上面71から突き出さない状態に保持される。そのため、隙間を空けることなく、粗研削砥石ホルダー33に仕上げ研削砥石ホルダー34が重畳される。そして、このように粗研削砥石ホルダー33と仕上げ研削砥石ホルダー34とを重畳すると、粗研削砥石下面74と仕上げ研削砥石下面75とが同じレベルになって、同一平面上に配されるように取り付けられる。
【0044】
また、粗研削砥石ホルダー33の外周側面で、粗研削砥石ベース36が嵌合されている中間位置に粗研削砥石ベース36と同数の別の貫通溝39が設けられている。この貫通溝39は、粗研削砥石ホルダー33に重畳される仕上げ研削砥石ホルダー34が保持している仕上げ研削砥石ベース37が摺動可能に嵌め込まれる。仕上げ研削砥石ホルダー34が単独で昇降する際に、この貫通溝39の内側を仕上げ研削砥石ベース37が摺動する。
【0045】
このとき、この貫通溝39は砥石ベース36幅寸法bよりも僅かに大きくするとともに、貫通溝内壁73を精密仕上げに加工する。そうすれば、粗研削砥石ホルダー33か仕上げ研削砥石ホルダー34のいずれかが単独で昇降しても、仕上げ研削砥石ベース37が貫通溝39内を円滑に摺動して、粗研削砥石下面74は液晶パネル41被加工面に平行位置を保って下降することができる。これで、研削砥石31又は仕上げ研削砥石32が貫通溝38内面と干渉して、研削砥石下面74、75と液晶パネル41の被加工面との平行度が損なわれることがなくなる。
【0046】
そして、この貫通溝39に仕上げ研削砥石ベース37を嵌合させると、粗研削砥石ホルダー下面72で粗研削砥石31及び仕上げ研削砥石32が同一円周上で配置され、さらに、砥石ホルダー33、34の昇降により粗研削砥石下面74及び仕上げ研削砥石下面75が同一平面上に配置させられる。そして、重畳している砥石ホルダー33、34は、一体化しているので、同調して回転される。
【0047】
次に、図6から9を参照して、研削加工工程順に砥石ホルダー33、34それぞれの動作の一例を以下、説明する。
【0048】
図6は、本発明の実施の形態に係る研削加工装置の工程線図の一例である。また、図7は、粗研削工程に使用する砥石ホルダーの組立斜視図であり、図8は、仕上げ研削工程に使用する砥石ホルダーの組立斜視図である。本実施の形態の研削加工装置は、研削加工の各工程に適する使用条件で砥石ホルダー33、34を動作させて、連続して液晶パネル41の研削加工を行うものである。
【0049】
図6に図示するOの「加工開始点」は、砥石ホルダー33、34が原点位置に設定された状態であり、OからSの「加工スタート」まで空送りを示している。この空送り工程では、駆動アクチュエータ51が駆動されて、砥石ホルダー33、34は液晶パネル41の上方で互いに同時に回転される。
【0050】
次に、Sの「加工スタート」になると、液晶パネル41の粗研削加工が始まり、SからM1まで「(1)粗研削」加工を示している。砥石ホルダー33、34は同調して回転された状態で粗研削砥石ホルダー33のみが下降し、砥石切り込み速度f1で液晶パネル41が切り込まれて「(1)粗研削」加工が開始される。このような研削加工開始時は、図7に図示する通り、仕上げ研削砥石ホルダー34を上昇させると同時に粗研削砥石ホルダー33を下降させて、粗研削砥石31の砥石切り込み速度を上げる。そうすれば、単位時間の研削量が多くなり、所定の切り込み量に達するまでの研削時間を短縮させることができる。
【0051】
次に、所定の時間あるいは切り込み量に達すると「(1)粗研削」工程を終了し、「(3)仕上げ研削」加工工程へ移るM1からM2までの間は、「(2)砥石自動切り替え」を示している。ここで、砥石切り込み速度はf2に減速されて、図8に図示する通りに粗研削砥石ホルダー33を上昇させると同時に仕上げ研削砥石ホルダー34を下降させる。
【0052】
このとき、図7及び図8の図示では、理解し易いように粗研削砥石31と仕上げ研削砥石32の下面の位置に落差が表わされているが、実際の切り込み量はミクロン単位で粗研削砥石31と仕上げ研削砥石32の下面の落差は僅かで、砥石ホルダーの移動は短時間で行われる。また、砥石ホルダー33、34それぞれの昇降動作は同時に行われるので、M1からM2までの粗研削砥石31は短時間で交換される。
【0053】
そして、M2からEまで「(3)仕上げ研削」加工工程を示しており、「(2)砥石自動切り替え」後の図8に示す仕上げ研削砥石下面75が下方に位置した状態で、砥石切り込み速度f3まで減速させる。この砥石切り込み速度f3で仕上げ研削砥石ホルダー34が下降させられると、液晶パネル41に仕上げ研削砥石32だけが接触されて仕上げ研削加工が行なわれる。このように、液晶パネル41の厚み寸法が仕上がり寸法に近くなった時点で、仕上げ研削砥石32に交換して砥石切り込み速度をf3と低速にすると、高い精度で切り込み量を制御することが可能になる。
【0054】
最後に、Eの「(4)スパークアウト」工程では、仕上げ研削砥石32による砥石切り込み速度が停止されて、砥石切り込み速度が0になる。この状態で、一定時間の「(4)スパークアウト」工程が行われて、全研削加工工程が終了する。
【0055】
この一連の研削加工工程では、砥石ホルダー33、34のそれぞれを昇降させるだけで粗研削砥石31の交換が可能となって複数種類の研削加工が実現するとともに、交換時のロスタイムが解消されてタクトタイムを短縮することができる。
【0056】
次に、この一連の研削加工工程において、研削加工手段及び研削砥石交換手段となる駆動アクチュエータの構造と動作について、以下、図9を参照して説明する。
【0057】
図9は、本発明に係る砥石ホルダーの駆動アクチュエータの断面図である。この駆動アクチュエータ51の構成は、砥石ホルダー33、34の両方を駆動する、図示しない高精度の位置決めが可能なサーボモータと、このサーボモータに連結する歯付きベルトあるいはチェーンからなる。また、粗研削砥石ホルダー33は粗研削砥石ホルダー中心軸52と、仕上げ研削砥石ホルダー34は仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53とそれぞれ一体化され、それぞれが高速回転あるいは各砥石ホルダー33、34の昇降に耐えうる剛性を有している。
【0058】
これら粗研削砥石ホルダー中心軸52と仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53との軸心を一致させた状態で、中空丸棒の仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53の内側に粗研削砥石ホルダー中心軸52が挿入されている。そして、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53の最上端にはギア61が円周方向に360°施されており、駆動力が伝達される歯付きベルトと連結されている。あるいは、チェーンを使用する場合には、ギヤ61の代わりにスプロケットが施されていてもよい。
【0059】
そして、この仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53は、円筒状の摺動面A54に2個の軸受A57を介して取り付けられている。また、この仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53の内側において、粗研削砥石ホルダー中心軸52が軸方向の上下位置で軸支された2個の軸受B58を介してブッシュ59に取り付けられ、さらに、これらのブッシュ59と組み込まれた粗研削砥石ホルダー中心軸52は滑り軸受56を介して摺動面B55に取り付けられている。
【0060】
これらの部品は高精度に取り付けられて、あるいは、高精度の取り付けを維持するために、必要に応じて円周方向に二つ割りの部品を使用する。本実施の形態の場合、摺動面A54、摺動面B55を二つ割りの部品にして、組立時に粗研削砥石ホルダー中心軸52と摺動面A55とを、あるいは、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53と摺動面B54との同軸度を適合させることができる。これにより、砥石ホルダー33、34の回転時と下降時に、研削砥石31、32は液晶パネル41の被加工面に対して垂直に接触させることができる。
【0061】
そして、この粗研削砥石ホルダー中心軸52は、軸受B58、ブッシュ59、滑り軸受56、摺動面B55と組立られた後に、最上端でスペーサ62が取り付けられており、このスペーサ62の上部側面には、磁石A63が円周方向に30°の間隔で12個設置されている。
【0062】
この磁石A63に対応して、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53のギヤ61が施されている内側にも、磁石A63と同じ間隔で磁石B64が設置される。ただし、これらの磁石A63と磁石B64は中心軸52と中心軸53の軸心が一致し、さらに回転テーブル11に対して垂直となるように調整したうえで設置されている。それで、この調整された状態で磁石A63と磁石B64は一定の隙間65を介して互いに吸引されて、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53に伝達された駆動力が粗研削砥石ホルダー中心軸52に伝達されて、中心軸53と中心軸52は同調して回転することができる。
【0063】
また、磁力により動力伝達が行われると、サーボモータから仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53に伝達された駆動力が粗研削砥石ホルダー中心軸52に伝達される際に、動力伝達部品から生じる遅れ時間がなくなり、切り込み制御の誤差が低減される。そのうえ、粗研削砥石ホルダー中心軸52と仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53は単独で昇降することから、それぞれの高さ位置の関係が常に同じではないので、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53から効率よく駆動力が伝達されるために磁力を使用する。
【0064】
そして、中心軸52、53の最下端においては、それぞれ砥石ホルダー33、34の本体は適切な垂直度、真直度で組立られた一体部品とされる。仕上げ研削砥石ホルダー34の中心に貫通穴66が、例えば、粗研削砥石ホルダー中心軸52の軸径より10mm程度大きくして設けられている。このように貫通穴66を大きくすることで、それぞれの中心軸52が昇降する際に互いに干渉することがなくなる。
【0065】
このように、貫通穴66が軸径よりも大きく設けられたため、研削加工時に生じる研削屑や研削液等が飛散して仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53の内側に侵入し、駆動アクチュエータ51の昇降機構と回転機構の駆動に支障をきたすことが考えられる。そこで、これを防ぐために貫通穴66の最下端に、例えばメカニカルシール等の異物の侵入を防ぎ、且つ粗研削砥石ホルダー中心軸53を円滑に摺動させるシール67を取り付けて、高精度に砥石の切り込みが行われる機構としている。
【0066】
次にこの駆動アクチュエータの回転機構及び昇降機構の動作について研削加工工程順に従って、以下、説明する。
【0067】
上記した通りに、回転テーブル11の回転と同時に駆動アクチュエータ51のサーボモータも始動され、図示しないサーボモータから歯付きベルトを介して、仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53に駆動力が伝達される。
【0068】
砥石ホルダー33、34が回転テーブル11の上方で重畳した状態が初期状態であり、サーボモータから歯付きベルトを介して伝達された駆動力により仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53が摺動面Aの内側で回転する。さらに、その駆動力が仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53から伝達されて、磁石A63、磁石B64を介して摺動面B55の内側で粗研削砥石ホルダー中心軸52が回転する。その結果、中心軸52、53は互いに同時に回転する。
【0069】
粗研削加工工程では、中心軸52、53が同調して回転している間に、粗研削砥石ホルダー中心軸52だけが摺動面B55内側を摺動し、粗研削砥石ホルダー33を下降させて、粗研削砥石31で液晶パネル41を切り込む(図7参照)。
【0070】
次の仕上げ研削加工工程に移るには、粗研削砥石ホルダー中心軸52が摺動面B55内側を摺動して粗研削砥石31が液晶パネル41を切り込むと同時に、仕上げ研削ホルダー中心軸53が摺動面A54を摺動して、次に使用する仕上げ研削砥石ホルダー34が下降する。そして、仕上げ研削砥石32が液晶パネル41に接触して、この仕上げ研削砥石32による研削加工が始まった時点で、粗研削砥石ホルダー33は上昇させられて粗研削加工工程が終了する。この仕上げ研削ホルダー中心軸53が摺動面A54を摺動する際に、一旦砥石ホルダー33、34の回転速度は減速されて、粗研削砥石31が液晶パネル41から離れた時点で、砥石切り込み速度は低速にされて、切り込み量を制御しながら仕上げ研削工程が行なわれる(図8参照)。
【0071】
仕上げ研削工程が終了すると、仕上げ研削砥石ホルダー34の切り込みは停止され、スパークアウト工程での仕上げ研削砥石ホルダー34の回転数で一定時間ならし研削加工された後、再び仕上げ研削砥石ホルダー中心軸53の摺動して、仕上げ研削砥石ホルダー34が上昇させられる。そして研削加工終了時は、それぞれの砥石ホルダー33、34は回転テーブル11上方の初期状態の位置に戻る(図3参照)。
【0072】
このように、本実施の形態の駆動アクチュエータ51は、砥石ホルダー33、34のそれぞれを高精度で効率的に回転と昇降させるための機構を一つのユニットに構成しているので、研削加工装置自体のフットプリントの小型化が図られる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の研削加工装置は、半導体デバイスやディスプレイデバイスのだけでなく、太陽電池等のエネルギーデバイスの研削、研磨加工や、超精密仕上げで需要の多い金属加工で特に、食品用や医療用等の機械部品の研削、研磨加工に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態に係る研削加工装置の全体斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る研削加工装置において研削対象物とされる液晶パネルの構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る砥石ホルダー部分の組立斜視図である。
【図4】図3に示す砥石ホルダーの底面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る粗研削用の砥石ホルダーの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る研削加工装置の工程線図の一例である。
【図7】本発明の実施の形態に係る粗研削工程に使用する砥石ホルダーの組立斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る仕上げ研削工程に使用する砥石ホルダーの組立斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る砥石ホルダーの駆動アクチュエータの断面図である。
【図10】特許文献1に係る工作機械における工具の交換方法及びその管理方法並びにその装置の概略構成図である。
【図11】特許文献2に係る平面研削方法及びその平面研削盤の概略構成図である。
【図12】特許文献3に係るワークスピンドル及びツールスピンドルを有する研削/研磨マシンの概略構成図である。
【符号の説明】
【0075】
31 粗研削砥石
32 仕上げ研削砥石
33 粗研削砥石ホルダー
34 仕上げ研削砥石ホルダー
35 中心軸
41 液晶パネル
51 駆動アクチュエータ
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗


【公開番号】 特開2008−114326(P2008−114326A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−299141(P2006−299141)