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【発明の名称】 情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル
【発明者】 【氏名】松田 義弘

【要約】 【課題】製造効率の良い情報記録媒体用ガラス基板を加工する情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルを提供する。

【解決手段】円板の中央に円形の孔を有するガラス基板を前記ガラス基板より大きな板状のガラスから加工する情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルにおいて、前記円板の外径と前記円形の孔とを同時に加工し、且つ、前記円形の孔を加工する内径カッターと前記内径カッターを内包し前記円板の外径を加工する外径カッターとが分離可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板の中央に円形の孔を有するガラス基板を前記ガラス基板より大きな板状のガラスから加工する情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルにおいて、
前記円形の孔を加工する内径カッターと前記内径カッターを内包し前記円板の外径を加工する外径カッターとが分離可能であることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【請求項2】
前記内径カッターがテーパコレットを備え、前記外径カッターが前記テーパコレットに嵌合するテーパ穴を備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【請求項3】
前記内径カッターが雄ねじを備え、前記外径カッターが前記雄ねじに螺合する雌ねじを備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの普及に伴い外部記憶装置の一つであるハードディスクの小型化、高容量化などの高性能化への要求は、非常に高まってきている。また同時に、コンピュータの低価格化に伴って、ハードディスクの低価格化が非常に要求されてきている。磁気ディスク用の基板材料としては、アルミニュウム合金が主として用いられてきた。しかし、より強度が大きく、耐熱性も良好で、表面硬度が高く、高精度な平滑性の要求に十分応えることができる磁気ディスク用基板として、ガラス、セラミック、カーボンなど新しい材料が提案されており、中でも、ガラス基板は広く検討されている。上記の磁気ディスク用の基板は、円板状の基板の外周に同心とする内孔が設けてある。このような円板状のガラス基板を得るため、板状ガラスを外周加工、内孔加工を行って円板状ガラス基板としている(例えば、特許文献1参照)。その後、基板表面にスパッタリングによって磁性膜を形成して情報記録媒体を得ることが行われている。内孔を有する円板状のガラス基板を得る方法としては、上記の様に外周加工、内孔加工を別々に行う方法以外に、外周加工と内孔加工とを同時に加工できる同心円状のダイヤモンド砥石を設けた加工用ドリルを使用する方法がある(特許文献2,特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−67949号公報
【特許文献2】特開平11−149669号公報
【特許文献3】特開2002−8224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の円板状ガラス基板の加工においては、外周加工と内孔加工とを別々に行うため、外周と内孔の内周とを精度良く同心とすることが困難である。また、特許文献2及び特許文献3においては、外周加工のダイヤモンド砥石と内孔加工のダイヤモンド砥石とが一体となっているため、一方のダイヤモンド砥石が消耗して交換が必要な場合、他方が良好であっても交換する必要が有り、製造コストがアップして製造効率が良くないといった課題があった。
【0004】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、製造効率の良い情報記録媒体用ガラス基板を加工する情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、以下の構成により解決される。
【0006】
1. 円板の中央に円形の孔を有するガラス基板を前記ガラス基板より大きな板状のガラスから加工する情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルにおいて、
前記円形の孔を加工する内径カッターと前記内径カッターを内包し前記円板の外径を加工する外径カッターとが分離可能であることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【0007】
2. 前記内径カッターがテーパコレットを備え、前記外径カッターが前記テーパコレットに嵌合するテーパ穴を備えていることを特徴とする1に記載の情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【0008】
3. 前記内径カッターが雄ねじを備え、前記外径カッターが前記雄ねじに螺合する雌ねじを備えていることを特徴とする1に記載の情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルによれば、円形の孔と円板の外径とを同時に加工でき、且つ、円形の孔を加工する内径カッターと内径カッターを内包し円板の外径を加工する外径カッターとが分離可能としている。
【0010】
よって、摩耗等により外径カッター又は内径カッターの何れかの交換が必要となった場合、外径カッターと内径カッターとが分離できるため、両方とも交換すること無く、摩耗等により交換を要するカッターのみを交換して板状のガラス基板から円板の中央に円形の孔を有するガラス基板を加工することができる。
【0011】
従って、製造効率の良い記録媒体用ガラス基板を製造する装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
【0013】
図1に情報記録媒体用ガラス基板の例を示す。例えば、0.85インチ用磁気ディスク用ガラス基板の場合、図1に示す円形状のガラス基板1の外形寸法は、仕様にもよるが、概ね外周14の直径がφ22mm、内側にある孔16の直径がφ6mm、厚み0.4mm程度である。磁気ディスク用ガラス基板の大きさは、上記の大きさに限定されず、1インチ用、2.5インチ用等としても良い。
【0014】
このような円形状の磁気記録媒体用ガラス基板を得るために、例えば、磁気記録媒体用ガラス基板より大きい板状のガラス基板より製造するガラス基板製造装置6を模式的に図4に示す。61は情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリルである内外径カッター、63は記録媒体用ガラス基板に加工される板状ガラス、65は板状ガラスを固定する載置台、67は内外径カッターを回転させる回転駆動軸である。板状ガラス63は、一枚でも良いし複数枚としてもよい。内外径カッター61は、内径を加工する内径カッター61bと外径を加工する外径カッター61aとで構成され、内径を加工するカッターと外径を加工するカッターは同心状となるように内径カッター61b及び外径カッター61aが配置されている。
【0015】
板状ガラス63を載置台65に固定し、次に板状ガラス63の上方から、内外径カッター61を図示する矢印Aの方に回転駆動軸67により回転させながら、降下させる。このようにして、板状ガラス63を図1に示すような中央に円形の孔を有する円板状のガラス基板に加工する。
【0016】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態として、図2に内外径カッターの例を示す。内外径カッター2は、内径カッター22と外径カッター21を有している。内径カッター22及び外径カッター21は、例えば鋼等からなる回転基体のカッター部21a,22aに砥石Aを備えている。砥石Aは、カッター部21a,22aの内周面、外周面及び先端部に備えられ、ガラス基板を切断することができるガラスより硬い、例えばダイヤモンドの砥粒がニッケルなどの金属でメッキ固着された電着砥石として構成される。
【0017】
外径カッター21のカッター部21aの形状は円筒状であり、加工された板状ガラス基板は、円板状となって、この筒の内部に入ることになる。内径カッター22の形状は円柱状であり、板状ガラスに円形の孔を形成する。従って、先の外径カッター21により形成された円板状のガラス基板に円形の孔が同時に形成されることになる。このためには、図4に示す板状ガラス基板63が回転しないように載置台65に固定しておくことが必要である。
【0018】
内径カッター22は、外径カッター21に固定されている。内径カッター22のカッター部22aと反対側の端部には外径カッター21に固定するためのテーパコレット22bが設けてある。一方、外径カッター21には、内径カッター22のテーパコレット22bと嵌合するテーパ孔21bが設けてある。内径カッター22のテーパコレット22bは、内径カッター22の円柱状のカッター部22aを形成する時と同じ、所謂同時加工(例えば、旋造加工)にて形成することができる。このため、円柱形状のカッター部22aの回転軸中心とテーパコレット22bの回転軸中心とがほぼ同一とすることができる。
【0019】
同様に、外径カッター21のテーパ孔21bは、外径カッター21の円筒状のカッター部21aを形成する時と同じ、所謂同時加工(例えば、旋造加工)にて形成することができる。このため、円筒状のカッター部21aの回転軸中心とテーパ孔21bの回転軸中心とがほぼ同一とすることができる。よって、外径カッター21のテーパ孔21bと内径カッター22のテーパコレット22bを合わせると、外径カッター21の円筒の断面形状と内径カッター22の円柱の断面形状はほぼ同心に配置されることになる。
【0020】
従って、外径カッター21と内径カッター22とを一体化した内外径カッター2で加工される板状ガラスは、中央に円形の孔を同心位置に有する円板状のガラス基板とすることができる。尚、内径カッター22を円柱状としているが、外径カッター21と同様に円筒形状としてもよい。また、内径カッター22のカッター部22aの先端部と外径カッター21のカッター部21aの先端部が、加工される板ガラスの加工条件に応じて同じ平面内でも良いし、同じ平面内で無くてどちらかが長く(短く)てもよい。同じ平面内に2つのカッター部21a,22aの先端が揃っていない場合、例えば、図4の加工される板ガラス63の下側にダミー基板を設けても良い。
【0021】
また、外径カッター21のカッター部21aと反対の端部には、外径カッター21を回転させるガラス基板製造装置が備えている回転駆動軸67(図4参照)に取り付けるための取り付けねじ29が設けてある。よって、外径カッター21は回転駆動軸67に板状ガラスの加工に耐えうる十分な強度で固定される。
【0022】
更に、内径カッター22のテーパコレット22bの先端部にはねじ孔22cが設けてある。このねじ孔22cに固定板27を介してねじ28をねじ込むことで、内径カッター22のテーパコレット22bと外径カッター21のテーパ孔21bとが圧接される。従って、内径カッター22は外径カッター21に板状ガラスの加工に耐えうる十分な強度で固定される。
【0023】
板状ガラスの加工を繰り返し行うと、内径カッター22、外径カッター21それぞれのカッター部22a、21aは、摩耗してついには板状ガラスを十分に加工できない状態となる。この時、内径カッター22と外径カッター21それぞれのカッター部22a、21aの摩耗状態は、回転するカッター部が板状ガラスと接する周速が異なることからも同じ状態とはならない場合が多い。カッター部22a、21aが摩耗した時、ねじ28を取り外して、内径カッター22と外径カッター21を分離し、摩耗したカッターを容易に新しいカッターと交換して、板状ガラスを加工することができる。従って、分離可能な内外径カッター2においては、内径カッターと外径カッターとが分離できないために一方のカッターが摩耗したために両カッターを交換する内外径カッターの場合と比較して製造コストを抑えることができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、図3に内外径カッターの例を示す。内外径カッター3は、内径カッター32と外径カッター31を有している。内径カッター32及び外径カッター31は、例えば鋼等からなる回転基体のカッター部31a,32aに砥石Bを備えている。砥石Bは、カッター部31a,32aの内周面、外周面及び先端部に備えられ、ガラス基板を切断することができるガラスより硬い、例えばダイヤモンドの砥粒がニッケルなどの金属でメッキ固着された電着砥石として構成される。
【0025】
外径カッター31のカッター部31aの形状は円筒状であり、加工された板状ガラス基板は、円板状となって、この筒の内部に入ることになる。内径カッター32の形状は円柱状であり、板状ガラスに円形の孔を形成する。従って、先の外径カッター31により形成された円板状のガラス基板に円形の孔が同時に形成されることになる。このためには、図4に示す板状ガラス基板63が回転しないように載置台65に固定しておくことが必要である。
【0026】
内径カッター32は、外径カッター31固定されている。内径カッター32のカッター部32aと反対側の端部には外径カッター31に固定するための雄ねじ32bが設けてある。一方、外径カッター31には、内径カッター32の雄ねじ32bが螺合する雌ねじ31bが設けてある。内径カッター32の雄ねじ32bは、内径カッター32の円柱状のカッター部32aを形成する時と同じ、所謂同時加工(例えば、旋造加工)にて形成することができる。このため、円柱状のカッターの回転軸中心と雄ねじの回転軸中心とがほぼ同一とすることができる。
【0027】
同様に、外径カッター31の雌ねじ31bは、外径カッター31の円筒状のカッター部31aを形成する時と同じ、所謂同時加工(例えば、旋造加工)にて形成することができる。このため、円筒状のカッター部31aの回転軸中心と雌ねじ31bの回転軸中心とがほぼ同一とすることができる。よって、外径カッター31の雌ねじ31bと内径カッター32の雄ねじ32bを螺合させると、外径カッター31の円筒の断面形状と内径カッター32の円柱状の断面形状はほぼ同心に配置されることになる。
【0028】
従って、外径カッター31と内径カッター32とを一体化した内外径カッター3で加工される板状ガラスは、中央に円形の孔を同心位置に有する円板状のガラス基板とすることができる。尚、内径カッター22を円柱状としているが、外径カッター21と同様に円筒形状としてもよい。また、内径カッター32のカッター部32aの先端部と外径カッター31のカッター部31aの先端部が、加工される板ガラスの加工条件に応じて同じ平面内でも良いし、同じ平面内で無くてどちらかが長く(短く)てもよい。同じ平面内に2つのカッター部31a,32aの先端が揃っていない場合、例えば、図4の加工される板ガラス63の下側にダミー基板を設けても良い。
【0029】
また、外径カッター31のカッター部31aと反対の端部には、外径カッター32を回転させるガラス基板製造装置が備えている回転駆動軸67(図4参照)に取り付けるための取り付けねじ39が設けてある。よって、外径カッター21は雄ねじ29で回転駆動軸67に板状ガラスの加工に耐えうる十分な強度で固定される。
【0030】
更に、外径カッター31の雌ねじ31bにおいて、内径カッター32の雄ねじ32bの先端部に、ロックねじ37が設けてある。このロックねじ37をねじ込むことで、外径カッター31の雌ねじ31bにロックねじ37と内径カッター32の雄ねじ31bとが圧接される。従って、内径カッター32は外径カッター31に板状ガラスの加工に耐えうる十分な強度に固定される。
【0031】
板状ガラスの加工を繰り返し行うと、内径カッター32、外径カッター31それぞれのカッター部32a、31aは、摩耗してついには板状ガラスを十分に加工できない状態となる。この時、内径カッター32と外径カッター31それぞれのカッター部32a、31aの摩耗状態は、回転するカッター部が板状ガラスと接する周速が異なることからも同じ状態とはならない場合が多い。カッター部32a、31aが摩耗した時、ロックねじ37を緩め、必要に応じて取り除いて、内径カッター32と外径カッター31を分離し、摩耗したカッターを容易に新しいカッターと交換して、板状ガラスを加工することができる。よって、摩耗したカッターを容易に新しいカッターと交換することができる。従って、分離可能な内外径カッター3においては、内径カッターと外径カッターとが分離できないために一方のカッターが摩耗したために両カッターを交換する内外径カッターの場合と比較して製造コストを抑えることができる。
【0032】
尚、内径カッター32のカッター部と反対の雄ねじの端面に内径カッター32を外径カッター31にねじ込みしやすいように、例えば、ドライバーのビットに合うマイナス又はプラス形状の溝32dを設けておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】情報記録媒体用ガラス基板の外形の例を示す。
【図2】内径カッターと外径カッターとを固定するためにテーパコレットを備えた内外径カッターの例の断面形状を示す図である。
【図3】内径カッターと外径カッターとを固定するためにねじを備えた内外径カッターの例の断面形状を示す図である。
【図4】ガラス基板製造装置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ガラス基板
2、3、61 内外径カッター(情報記録媒体用ガラス基板加工用ドリル)
6 ガラス基板製造装置
14 外周
16 孔
21、31、61a 外径カッター
22,32、61b 内径カッター
21a、22a、31a、32a カッター部
21b テーパ孔
22b テーパコレット
27 固定板
28 ねじ
29、39 取り付けねじ
31b 雌ねじ
32b 雄ねじ
32d 溝
37 ロックねじ
63 板状ガラス基板
65 載置台
67 回転駆動軸
A、B 砥石
【出願人】 【識別番号】303000408
【氏名又は名称】コニカミノルタオプト株式会社
【出願日】 平成18年10月31日(2006.10.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−110444(P2008−110444A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−295661(P2006−295661)