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【発明の名称】 炭素同素体研磨用砥石、及び炭素同素体の研磨方法
【発明者】 【氏名】杉本 剛

【氏名】鈴木 秀幸

【要約】 【課題】安価かつ安全に、効率良く炭素同素体を化学研磨することができる炭素同素体研磨用砥石を提供する。

【解決手段】炭素同素体Cの表面を研磨するための砥粒を少なくとも含む砥石10であって、該砥石10は、前記砥粒のうち、前記炭素同素体Cの研磨時において前記炭素同素体Cの炭素と反応して炭化モリブデンが生成可能な三酸化モリブデンからなる酸化物砥粒11を少なくとも含んでなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素同素体の表面を研磨するための砥粒を少なくとも含む砥石であって、
該砥石は、前記砥粒のうち、前記炭素同素体の研磨時において前記炭素同素体の炭素と反応して炭化物が生成可能な酸化物からなる酸化物砥粒を少なくとも含むことを特徴とする炭素同素体研磨用砥石。
【請求項2】
前記砥石は、前記炭化物の硬度以上の硬度を有する高硬度砥粒をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素同素体研磨用砥石。
【請求項3】
前記酸化物砥粒は、4A族、5A族、及び6A族の元素の酸化物からなる酸化物砥粒の群から選択される少なくとも一種の酸化物砥粒であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素同素体研磨用砥石。
【請求項4】
前記高硬度砥粒は、Si,B,4A族,5A族,6A族の元素の炭化物、酸化アルミニウム、及びダイヤモンド、からなる群から選択される少なくとも一種を含む砥粒であることを特徴とする請求項3に記載の炭素同素体研磨用砥石。
【請求項5】
前記砥石は、前記酸化物砥粒を5質量%〜95質量%含有していることを特徴とする請求項3又は4に記載の炭素同素体研磨用砥石。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の砥石を用いて、炭素同素体の表面を研磨する研磨方法であって、
前記炭素同素体の研磨を、少なくとも前記砥石と前記炭素同素体との接触点が100℃以上になるように、前記炭素同素体と前記砥石のいずれか一方又は双方を加熱しながら行うことを特徴とする炭素同素体の研磨方法。
【請求項7】
前記酸化物がMoOである場合には、前記加熱を前記接触点の温度が300℃〜700℃の温度範囲となるように行うことを特徴とする請求項6に記載の炭素同素体の研磨方法。
【請求項8】
前記温度範囲が500℃以上の場合には、前記研磨を不活性ガスの雰囲気下で行うことを特徴とする請求項6または7に記載の炭素同素体の研磨方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド、DLC、グラファイトなどの炭素同素体の表面を研磨するに好適な砥石及び該砥石を用いた炭素同素体の研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭素同素体であるダイヤモンドは装飾品として珍重されている。また、近年では、炭素同素体として、耐摩耗性および潤滑性の観点からCVDダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン(DLC)といった機能性材料が開発され、該機能性材料は、ブレス金型や自動車部品の摺動部などの表面にコーティングされている。さらに、炭素同素体として、カーボン材料が燃料電池のセパレータに適用されている。
【0003】
しかし、前記炭素同素体は、他の材料に比べて非常に硬質であるため、表面を研磨することは容易ではない。現在最も一般的に行われる研磨方法は、ダイヤモンド砥粒を含む砥石を用いて、炭素同素体の表面を研磨する、いわゆる共摺りによる研磨方法である。この方法は、500年以上も前から利用されてきた方法であるが、砥粒にダイヤモンドを使用するため多大にコストを要する研磨方法である。
【0004】
このような問題を鑑みて、例えば、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群から選択した1種若しくは2種以上の元素とZr、Hf、V、Nb、Mo、Ta、Wの群から選択した1種若しくは2種以上の元素との金属間化合物を主成分とする炭素同素体を研磨する砥石が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
該砥石によれば、金属間化合物と炭素同素体が研磨時において反応し、該金属間化合物を構成する元素の炭化物を生成するので、炭素同素体を化学的に研磨することが可能である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−198833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1の砥石は、前記金属間化合物を製造するのに特殊な技術を要するため、容易に製造することは難しい。さらに、研磨時において、前記金属間化合物の砥粒のうち一部は、化学的に炭素同素体と反応して炭化物を生成するが、これと同時に金属間化合物の砥粒が物理的に摩耗して摩耗粉(粉体)を生成することがある。該生成された粉体は、微小な粉末であるため、その表面は化学的に活性が高い。この結果、前記砥石を用いて研磨を続けた場合には、発生した粉体により発火、爆発などが生じる危険性があった。
【0008】
さらに、前記特許文献1に記載の砥石を用いたとしても、金属間化合物を構成する元素すべてが、化学反応により炭化物となるわけではないので、効率の良い研磨が行えるとはいえない。
【0009】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価かつ安全に、効率良く炭素同素体を研磨することができる砥石及び該砥石を用いた研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決すべく、本発明に係る炭素同素体研磨用砥石は、炭素同素体の表面を研磨するための砥粒を少なくとも含む砥石であって、該砥石は、前記砥粒のうち、前記炭素同素体の研磨時において前記炭素同素体の炭素と反応して炭化物が生成可能な酸化物からなる酸化物砥粒を少なくとも含むことを特徴とする。
【0011】
本発明にいう「炭素同素体」とは、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、グラファイトなどが挙げられ、炭素を主成分とした部材をいい、炭素同素体に他の元素を含有した部材も含む。
【0012】
本発明に係る炭素同素体研磨用砥石によれば、研磨時において、炭素同素体の表面の炭素と酸化物を構成する元素とが結合して炭化物を生成するばかりでなく、炭素同素体の表面の炭素と酸化物の酸素とが結合して一酸化炭素または二酸化炭素を生成することができ、その結果、従来に比べ効率の良い化学研磨を行うことができる。また、前記酸化物の砥粒は、酸素雰囲気下で酸化物を構成する元素を燃焼させることにより、安価かつ容易に得ることができる。さらに、酸化物砥粒が研磨時において摩耗粉になったとしても、該磨耗粉の表面は活性が低いため、前記砥石を用いて安全に炭素同素体の研磨を行うことができる。
【0013】
前記酸化物砥粒は、研磨時において、炭素同素体の炭素と酸化物を構成する元素とが結合して炭化物を生成するが、該炭化物が炭素同素体の表面に被膜として形成されることがあり、前記酸化物砥粒では前記被膜を研磨し難い場合がある。
【0014】
よって、本発明に係る炭素同素体研磨用砥石は、前記炭化物の硬度以上の硬度を有する高硬度砥粒をさらに含むことがより好ましい。前記構成によれば、炭素同素体の表面に形成された炭化物の被膜を、高硬度砥粒により物理的に研磨することができるので、より効率の良い研磨を促進することができる。
【0015】
本発明に係る炭素同素体研磨用砥石は、前記酸化物砥粒が、4A族、5A族、及び6A族の元素の酸化物からなる酸化物砥粒の群から選択される少なくとも一種の酸化物砥粒であることがより好ましい。
【0016】
すなわち、本発明に係る砥石は、4A族であるTi,Zr,Hfの酸化物からなる酸化物砥粒、5A族であるV,Nb,Taの酸化物からなる酸化物砥粒、及び6A族であるCr,Mo,Wの酸化物からなる酸化物砥粒の群から選択される少なくとも一種の酸化物砥粒を含んでいる。
【0017】
このように、4A族、5A族、及び6A族の元素の酸化物からなる酸化物砥粒は、粉体の状態であっても化学的に安定しており、さらに、炭素同素体と反応して4A族、5A族、及び6A族の元素の炭化物が生成され易いので、前記炭素同素体の化学研磨に好適な酸化物砥粒である。
【0018】
前記酸化物砥粒を用いた場合には、本発明の炭素同素体に係る前記高硬度砥粒は、Si,B,4A族、5A族、6A族の元素の炭化物、酸化アルミニウム、及びダイヤモンド、からなる群から選択される少なくとも一種を含む砥粒であることがより好ましい。
【0019】
本発明に係る炭素同素体研磨用砥石は、前記酸化物砥粒を5質量%〜95質量%含有していることが好ましく、残りの砥粒が高硬度砥粒であることがより好ましい。本発明によれば、酸化物砥粒が、5質量%未満である場合には、炭素同素体と酸化物砥粒とが反応する割合が少なくなりすぎて、化学研磨の効率が低下してしまい、さらに、95質量%を超えた場合には、炭化物の被膜が形成される割合に対して該被膜を研磨する高硬度砥粒の割合が少なくなりすぎ、研磨の効率が低下する。
【0020】
前記炭素同素体研磨用砥石を用いて、炭素同素体の表面を研磨する好ましい研磨方法としては、前記炭素同素体の研磨を、少なくとも前記砥石と前記炭素同素体との接触点が100℃以上になるように、前記炭素同素体及び前記砥石のいずれか一方又は双方を加熱しながら行うことが好ましい。
【0021】
前記接触点の温度が100℃よりも低い温度である場合には、炭素同素体と酸化物砥粒との反応が促進されず、炭素同素体の研磨効率が低下してしまう。また、接触点の温度の上限は、炭素同素体が、燃焼する温度よりも低い温度であれば良い。具体的には、炭素同素体が燃焼しない温度は、大気中では1100℃以下であり、酸素雰囲気下では600K以下であり、不活性ガス雰囲気下では1800K以下である。
【0022】
但し、前記酸化物砥粒がMoOからなる場合には、前記加熱を前記接触点の温度が300℃〜700℃の温度範囲となるように行うことがより好ましい。前記方法によれば、砥石と炭素同素体の接触点を300℃〜700℃にすることにより、炭素同素体と酸化物とを好適に反応させることができる。
【0023】
発明者らの後述する実験によれば、前記接触点の温度が300℃よりも低い場合には、前記化学反応が促進され難く、接触点の温度が700℃を超えた場合には、MoOが昇華してしまい炭素同素体を研磨することができない。尚、発明者らの検討によれば、Moの酸化物として、二酸化モリブデンよりも三酸化モリブデンを用いた方が、より炭素同素体を効率良く研磨できるとの知見も得ている。
【0024】
本発明に係る研磨方法は、前記温度範囲が500℃以上の場合には、前記研磨を窒素ガス又は不活性ガスの雰囲気下で行うことがより好ましい。本発明でいう「不活性ガス」とは、窒素ガスまたは希ガスをいい、不活性ガス雰囲気下で研磨を行うことにより、酸素ガスと反応して炭素同素体の一部が燃焼するような現象を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、研磨時において、炭素同素体の炭素と酸化物を構成する元素とが結合して炭化物を生成するばかりでなく、炭素同素体の炭素と酸化物の酸素とが結合して二酸化炭素を生成することができるので、効率の良い研磨をすることができる。さらには、酸化物砥粒が、摩耗粉になったとしても、該磨耗粉は化学的に活性が低いため、前記砥石による炭素同素体の研磨を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、図面を参照して、本発明に係る炭素同素体研磨用砥石の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る炭素同素体研磨用砥石を説明するための模式図を示しており、図1(a)は、研磨初期における炭素同素体と砥石の断面図であり、図1(b)は図1(a)から時間経過後の炭素同素体と砥石との断面図を示している。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る炭素同素体研磨用砥石10は、例えばダイヤモンドなどの炭素同素体Cの研磨時において、炭素同素体Cの炭素と反応して炭化物が生成可能な酸化物を有した酸化物砥粒11と、前記反応して生成された炭化物の硬度以上の硬度を有した高硬度砥粒12と、これらの砥粒11,12を結合する結合剤13と、を少なくとも含んでいる。
【0028】
具体的は、酸化物砥粒11は、三酸化モリブデン(MoO)からなる砥粒であり、図1(a)の式(1)に示すように、三酸化モリブデンは、炭素同素体Cの研磨時において炭素同素体Cの炭素と反応して、炭化モリブデン(MoC)が生成され易い材料である。
【0029】
炭素同素体Cの炭素と反応して炭化物が生成可能な酸化物としては、モリブデン(Mo)の酸化物のほかに、モリブデンと同族(6A族)の元素であるクロム(Cr)、又はタングステン(W)の酸化物、4A族の元素であるチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)の酸化物、又は5A族の元素であるバナジウム(V),ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)の酸化物が挙げられ、酸化物砥粒は、これらの酸化物の砥粒うち少なくとも1種以上の砥粒で構成されていればよい。
【0030】
高硬度砥粒12は、反応した炭化モリブデン(MoC)の硬度以上の硬度を有するダイヤモンドからなる砥粒である。本実施形態の場合、高硬度砥粒12は、炭化モリブデンの硬度以上の硬度を有する砥粒であればよく、例えば、炭化モリブデン(MoC)の硬度以上の硬度を有するであることを条件として、Si,B,4A族、5A族、6A族の元素の炭化物、酸化アルミニウム、及びダイヤモンド、からなる群から選択される少なくとも一種を含む砥粒であってもよい。
【0031】
このような酸化物砥粒11及び高硬度砥粒12は、例えば、ガス、水などを利用したアトマイズ法により製造されてもよく、前記成分を含む鋳塊等をミルにより粉砕して得てもよく、一般的な砥粒の粒度等が得られるのであれば、特にその製造方法は限定されるものではない。
【0032】
そして、本実施形態に係る砥石は、酸化物砥粒11及び高硬度砥粒12及びこれらの砥粒11,12を結合する結合剤13を所定の割合で混合し、これを成形することにより製作することができる。具体的には、これらの砥粒が少なくとも結合可能な量の結合剤13を準備し、酸化物砥粒11を砥石10に対して5質量%〜95質量%、残りの砥粒を高硬度砥粒12とし、酸化物砥粒11と高硬度砥粒12と結合剤13とを均一に混合し、該混合した砥粒を砥石の形状に合わせた型内に投入し、加熱及び加圧して、砥石10を製作する。なお、前記結合剤13を用いずに、酸化物砥粒11と高硬度砥粒12との混合した砥粒を焼結により製作してもよい。
【0033】
このようにして製造された砥石は、図1(a)に示すように、研磨時において、炭素同素体Cの炭素と三酸化モリブデンのモリブデンとが反応により結合して炭化モリブデンを生成する(式1)ばかりでなく、同時に、(式2)〜(式4)の一連の化学反応式に示すように、炭素同素体Cの炭素と三酸化モリブデンの酸素とが反応により結合して、一酸化炭素または二酸化炭素を生成することができるので、炭素同素体Cの表面の炭素を化学的に研磨することができる。また、三酸化モリブデンは、化学的に安定しているため、研磨時に摩耗粉になったとしても、活性が低いので、継続して安全に炭素同素体の研磨を行うことができる。
【0034】
さらに、図1(a)に示すように、炭素同素体Cの研磨に伴って生成される炭化モリブデンは、研磨時間の経過に伴い、図1(b)に示すような被膜fとして、炭素同素体Cの研磨表面に形成されるが、炭化モリブデンよりも高硬度のであるダイヤモンドの砥粒(高硬度砥粒)を砥石内に含ませたことにより、炭素同素体Cの表面に形成された炭化モリブデンの被膜fを、高硬度砥粒12により物理的に研磨することができるので、より効率よく炭素同素体を研磨することが可能となる。
【0035】
ここで、発明者らは、本実施形態に係る砥石を用いて、炭素同素体を研磨するに好適な条件を調査すべく、以下の予備試験を行った。
【0036】
(予備試験1)
酸化物砥粒に含有する三酸化モリブデンの粉末と、炭素同素体であるダイヤモンドの粉末とを1:1の質量の割合で準備し、これらの粉末を混合した。次に、この混合粉末を炉内に投入すると共に図2に示す温度範囲かつ加熱速度10℃/minで窒素雰囲気下において加熱し、混合粉末の重量を測定し、該重量から重量の減量率(mass%)を算出した。その結果を図2に示す。
【0037】
(予備試験2)
予備試験1で用いたダイヤモンドの粉末を準備し、予備試験1と同じ条件で重量を測定し、その測定値から減量率を算出した。その結果を図2に示す。
【0038】
(予備試験3)
予備試験1で用いた三酸化モリブデンの粉末を準備し、予備試験1と同じ条件で重量を測定し、その測定値から減量率を算出した。その結果を図2に示す。
【0039】
(結果)
図2に示すように、予備試験1の三酸化モリブデンの粉末とダイヤモンドの粉末とを混合した粉末のみに、粉末の重量の減少が確認でき、加熱温度が上昇するにつれて、重量の減量率が大きくなった。
【0040】
(考察)
この結果から、予備試験1は、三酸化モリブデンとダイヤモンドの表面の炭素とが反応し、一酸化炭素または二酸化炭素のガスが生成されたことにより、重量が減少したと考えられる。具体的には、三酸化モリブデンと炭素同素体とを接触させて加熱することにより、図1(a)に示すような化学反応が生じたと考えられ、加熱温度を上昇させるに従って、前記化学反応が促進され、炭素同素体の表面の炭素が一酸化炭素又は二酸化炭素となって除かれたと考えられる。
【0041】
よって、この三酸化モリブデンを有した酸化物砥粒を少なくとも含む砥石を用いれば、化学的に炭素同素体を研磨することができると考えられる。また、このような酸化物砥粒として、4A族、5A族、及び6A族の元素の酸化物からなる酸化物砥粒の群から選択される少なくとも一種の酸化物砥粒であれば、同様の化学反応が生じると考えられ、これらの酸化物砥粒であっても、同様に炭素同素体を化学研磨することができると考えられる。
【0042】
さらに、前記化学反応は、加熱環境下で促進するが、研磨時における砥石と炭素同素体との摩擦熱により化学反応は生じると考えられる。ただし、研磨の初期段階から(摩擦熱が発生する前から)、より効率良く化学研磨を行うためには、少なくとも前記砥石と前記炭素同素体との接触点を100℃〜700℃(三酸化モリブデンの昇華温度以下)になるように、砥石及び炭素同素体の一方又は双方を加熱しながら研磨することが好ましいと考えられ、より好ましくは、図2に示すように、接触点を300℃〜700℃になるように、加熱しながら研磨を行うとよいと考えられる。
【0043】
なお、本予備試験では、炭素同素体を窒素雰囲気下で加熱したが、大気下では、炭素同素体は500℃以上で大気中の酸素と反応するため、前記加熱温度が500℃以上である場合には、窒素ガスまたは希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で、研磨することが望ましいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る炭素同素体研磨用砥石を説明するための模式図を示しており、図1(a)は、研磨初期における炭素同素体と砥石の断面図であり、図1(b)は図1(a)から時間経過後の炭素同素体と砥石との断面図。
【図2】予備試験1〜3における加熱温度と粉末の重量の減量率との関係を示した図。
【符号の説明】
【0045】
10:炭素同素体研磨用砥石、11:酸化物砥粒、12:高硬度砥粒、C:炭素同素体
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男

【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康


【公開番号】 特開2008−105143(P2008−105143A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291107(P2006−291107)