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【発明の名称】 吸塵用研磨具
【発明者】 【氏名】滝浪 悟

【氏名】岡 等

【要約】 【課題】シート状研磨材をパッドに取り付ける際に、孔位置を整合させる必要をなくし、研磨材の付け替え労力を軽減すること。

【解決手段】a)研磨面、背面及び20個以上の孔を有するシート状研磨材と;b)支持面及び背面を有するバックアップパッドであって、i)20個以上の孔を有する、又はii)複数の孔を有し、該支持面に、該シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、バックアップパッドとを;有し、シート状研磨材の背面がバックアップパッドの支持面に着脱自在に固定されている吸塵用研磨具であって、該シート状研磨材の該20個以上の孔はバックアップパッドの孔とほぼ隣接していて、等間隔複数正三角形の格子状に配置されている、吸塵用研磨具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)研磨面、背面及び20個以上の孔を有するシート状研磨材と;
b)支持面及び背面を有するバックアップパッドであって、
i)20個以上の孔を有する、又は
ii)複数の孔を有し、該支持面に、該シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、
バックアップパッドとを;
有し、シート状研磨材の背面がバックアップパッドの支持面に着脱自在に固定されている吸塵用研磨具であって、
該シート状研磨材の該20個以上の孔はバックアップパッドの孔とほぼ隣接していて、等間隔複数正三角形の格子状に配置されており、
該シート状研磨材の孔の径の長さは2〜8mmであり、
隣接する孔同士の距離は孔の径の長さの1.5倍以下であり、
該バックアップパッドの孔の径の長さはシート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%である、吸塵用研磨具。
【請求項2】
a)研磨面、背面及び20個以上の孔を有するシート状研磨材と;
b)支持面及び背面を有する中間パッドであって、
i)20個以上の孔を有する、又は
ii)複数の孔を有し、該支持面及び/又は背面に、該シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、
中間パッドと;
c)支持面、背面及び複数の孔を有するバックアップパッドとを;
有し、シート状研磨材の背面が中間パッドの支持面に着脱自在に固定されており、中間パッドの背面がバックアップパッドの支持面に着脱自在に固定されている吸塵用研磨具であって、
該シート状研磨材の20個以上の孔は中間パッドの孔とほぼ隣接していて、等間隔複数正三角形の格子状に配置されており、
該シート状研磨材の孔の径の長さは2〜8mmであり、
隣接する孔同士の距離は孔の径の長さの1.5倍以下であり、
該中間パッドの孔の径の長さはシート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%である、吸塵用研磨具。
【請求項3】
前記バックアップパッドが、
i)支持面、背面及び20個以上の孔を有し、該20個以上の孔は前記シート状研磨材の孔とほぼ隣接しており、該孔の径の長さは前記シート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%である、バックアップパッド、もしくは、
ii)支持面、背面及び複数の孔を有し、該支持面に、前記シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、バックアップパッド;
である、請求項2記載の吸塵用研磨具。
【請求項4】
シート状研磨材の孔が同一寸法の円形である請求項1〜3のいずれか記載の吸塵用研磨具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、吸塵用の孔を備えるシート状研磨材、研磨作業中にかすを吸引するための、吸塵用の孔を備える支持パッド及び通気部材を有する、吸塵用研磨具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車補修作業等においては塗膜、クリヤー塗膜、パテ充てん材、下塗り塗膜等が研磨される。塗膜、クリヤー塗膜、パテ充てん材、下塗り塗膜等を研磨する際にはかすや研磨屑が発生する。かかる屑は除去する必要がある。そうしなければ、研磨材の表面が目詰まりし、研磨効率が低減するからである。そのため、研磨面に吸塵用孔を有する吸塵用研磨具が従来から知られている。
【0003】
このような研磨具は、一般に、シート状研磨材(研磨布紙等)と、それを支持するパッドとから構成されている。研磨材及びパッドには、直径約10mmの吸塵用の孔が6〜7個程度決められた位置に空けられている。そして、シート状研磨材は、孔が重なるようにパッドの研磨材取付け面に装着され、研磨具の研磨面には裏面まで貫通する孔が形成される。
【0004】
研磨作業は、研磨具の裏面に吸引機能を有するサンダーを取り付けて行い、研磨屑は研磨面の孔を通して吸引され、排出される。
【0005】
研磨材をパッドに装着する際には、パッド及び研磨材の孔位置を目視で確認し、孔の位置合わせをしながら研磨材を取り付ける作業が必要であり、手間がかかる。仮に研磨材の孔位置がパッドの孔位置と整合しないと、研磨面において、有効な孔の数が少なくなるために十分な吸塵能力が得られない。それゆえ、研磨材の種類を変更して吸塵用の孔位置や孔形状が変わると、パッドもそれに合わせて変更する必要があり、研磨材の付け替えには煩雑な作業が必要である。
【0006】
かかる問題を改善するために、例えば特許文献1ではパッドの孔を環状溝として孔位置を会わせる労力の軽減を図っている。しかしながら、環状溝の部分において研磨材の支持が不十分となる。また、研磨材の孔位置が同一円周上に空けられていない場合、孔位置は環状溝と整合せず、課題の解決が不十分である。
【0007】
特許文献2ではパッドの孔寸法を研磨材の孔寸法よりも大きくして位置を合わせやすくする提案がされている。又孔の位置が整合していない研磨材を使用する場合、該パッドもそれに合わせて変更する必要があり、交換作業が繁雑である。
【0008】
他方、吸塵用研磨具には、切削性及び研磨持続性のような研磨性能を更に向上させることが望まれている。研磨性能を向上させるためには研磨面の吸塵能力を向上させることが有効である。
【0009】
特許文献3及び4には研磨面に多数の孔を有するシート状研磨材、及び孔開きパッドを有する吸塵用研磨具が記載されている。しかしながら、これら研磨具の研磨面をみると、研磨材の孔位置はパッドの孔位置と整合せず、パッドの孔が研磨材の孔によって狭められている。その結果、研磨面の有効な孔の数かなり少なく、これらの研磨具は研磨面の吸塵能力に劣り、研磨性能が不十分である。
【0010】
【特許文献1】特表2002−529264
【特許文献2】実開昭57−28870号公報
【特許文献3】英国特許第2057483号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/3856号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、シート状研磨材をパッドに取り付ける際に、孔位置を整合させる必要をなくし、研磨材の付け替え労力を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、a)研磨面、背面及び20個以上の孔を有するシート状研磨材と;
b)支持面及び背面を有するバックアップパッドであって、
i)20個以上の孔を有する、又は
ii)複数の孔を有し、該支持面に、該シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、
バックアップパッドとを;
有し、シート状研磨材の背面がバックアップパッドの支持面に着脱自在に固定されている吸塵用研磨具であって、
該シート状研磨材の該20個以上の孔はバックアップパッドの孔とほぼ隣接していて、等間隔複数正三角形の格子状に配置されており、
該シート状研磨材の孔の径の長さは2〜8mmであり、
隣接する孔同士の距離は孔の径の長さの1.5倍以下であり、
該バックアップパッドの孔の径の長さはシート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%である、吸塵用研磨具を提供する。
【0013】
また、本発明は、a)研磨面、背面及び20個以上の孔を有するシート状研磨材と;
b)支持面及び背面を有する中間パッドであって、
i)20個以上の孔を有する、又は
ii)複数の孔を有し、該支持面及び/又は背面に、該シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って伸長されかつ該複数の孔同士を連通する溝を有する、
中間パッドと;
c)支持面、背面及び複数の孔を有するバックアップパッドとを;
有し、シート状研磨材の背面が中間パッドの支持面に着脱自在に固定されており、中間パッドの背面がバックアップパッドの支持面に着脱自在に固定されている吸塵用研磨具であって、
該シート状研磨材の20個以上の孔は中間パッドの孔とほぼ隣接していて、等間隔複数正三角形の格子状に配置されており、
該シート状研磨材の孔の径の長さは2〜8mmであり、
隣接する孔同士の距離は孔の径の長さの1.5倍以下であり、
該中間パッドの孔の径の長さはシート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%である、吸塵用研磨具を提供する。
【発明の効果】
【0014】
シート状研磨材をパッドに対して任意の角度に装着することが可能となり、シート状研磨材をパッドに取り付ける際に、孔位置を整合させる手間が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の吸塵用研磨具は、所定の大きさ及び様式で配置された20以上の多数の孔を有するシート状研磨材と、複数の孔を有する中間パッド及び/又はバックアップパッドとを組み合わせたものである。以下、所定の大きさ及び様式で配置された複数の孔を全体的に捉えて孔構造と呼ぶこともある。
【0016】
本明細書において、研磨面の「有効孔」とは、研磨材の孔とパッドの孔とが重なった部分を指していう。つまり、「研磨面の有効孔」は、サンダーから吸引した場合に研磨かすを吸い込む機能を奏する、研磨具の研磨面から裏面まで連通している孔である。また、「孔」とは貫通孔をいい、窪みは含まれない。「孔」とは少なくとも研磨屑を収集する機能を奏する孔をいう。
【0017】
シート状研磨材
図1は孔を有するシート状研磨材の構造(一部)を示す断面図である。基材11の表面上にバインダー12が被覆され、研磨粒子13はバインダー12により基材11に接着されている。基材の研磨粒子が設けられている面が研磨面であり、設けられていない面が背面である。シート状研磨材の背面には必要に応じて固定部材が設けられる。研磨材には研磨面から背面まで貫通する孔14、14’・・・が設けられている。
【0018】
孔の研磨面側の突出している縁は除去されていることが好ましい。そうでなければ被研磨面を傷つける怖れがあるからである。
【0019】
孔は、好ましくは、シート状研磨材を打ち抜き加工して、又はレーザー加工して形成される。研磨材を打ち抜く際には、その研磨面から基材の裏面へ向かう方向に刃を入れることが好ましい。そのことによって孔の研磨面側の縁が研磨面から突出することが防止されるからである。また、孔は基材を予め打ち抜いて形成しておいてもよい。
【0020】
基材は、シート状研磨材の基材として通常使用される材料であればよい。例えば、ポリマーフィルム、織布、不織布、紙、含浸紙、ポリマー被覆紙、フォーム状のエラストマー等が使用できる。特に好ましい基材はオイル又は樹脂含浸紙、ポリマー被覆紙、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルフィルム、及びこれらの金属蒸着紙及びフィルムである。基材の厚さは、一般に12マイクロメータ(μm)〜5000μm、好ましくは38〜3000μmである。
【0021】
基材の表面には、バインダーにより研磨粒子が接着される。バインダーとしては、接着強度が充分に確保でき、自動車補修用研磨材に通常用いられるものを使用する。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
【0022】
研磨粒子としては、自動車補修用研磨材に用いうるものを使用する。例えば、材質としては、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、酸化アルミナについてさらに言えば溶融アルミナ、セラミックアルミナ(ゾルゲルアルミナを含む)等が挙げられる。また、研磨粒子はポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリオレフィン等からなるプラスチック製微粒子であっても良い。研磨粒子の寸法は、一般に平均粒径500〜0.45μm程度である。すなわち、平均粒径500μm(JIS#36)〜0.45μm(JIS#20000)、好ましくは平均粒径5μm(JIS#2500)〜300μm(JIS#60)である。
【0023】
シート状研磨材は、実質的に孔を形成した被覆研磨材から製造してよい。あるいは、当業者に知られた通常の方法にしたがって、基材の表面に複数の孔を形成し、その後この基材にバインダー及び研磨粒子を被覆し、そして加熱してバインダーを硬化させることにより製造してもよい。
【0024】
図2は本発明に用いるシート状研磨材の研磨面を示す図である。このシート状研磨材20は研磨面に61個の孔24、24’・・・が設けられている。孔24の数は、少なくとも約20個、好ましくは約20〜150個、より好ましくは約30〜100個である。
【0025】
孔24、24’・・・の配置は、隣接する3個の孔の各中心が正三角形を形成する千鳥状になるようにする。正三角形の頂点の位置に存在する、隣接する孔同士の距離は孔の径の長さの1.5倍以下、好ましくは0.5〜1.5倍である。隣接する孔同士の距離が孔の径の長さの1.5倍を越えると、研磨具の回転軸を中心に孔位置をずらした時に、シート状研磨材の孔とバックアップパッドの孔もしくは中間パッドの孔とが適切に整合しない可能性がある。その結果、研磨具の吸塵効率が低下する。すなわち、有効孔の面積が低下する可能性がある。
【0026】
孔24の径の長さは2〜8mm、好ましくは3〜7mmである。孔の径の長さが小さすぎると孔内に研磨かすが詰まりやすくなり、径の長さが大きすぎると孔1個あたりの吸引力が低下してしまう。
【0027】
孔は研磨面全面に均一に配置する必要はない。研磨屑の排出量は研磨面全面にわたって均一ではないからである。例えば、研磨面の回転軸中心部は研磨力が低く、研磨屑の排出量が少ないため、孔を省いても吸塵性能は低下しない。また、用途によっては、研磨面の周縁部に孔をより少なくするか、孔を無くした領域を配して、周縁部領域の研磨力を高めることが望ましい場合もある。
【0028】
シート状研磨材の平面形状及び寸法は用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、ディスク状が一般的である。このことは、以下に説明するパッドについても当てはまる。
【0029】
バックアップパッド
シート状研磨材は自立性に乏しくそのままでは被研磨面に研磨圧を印加し難い。そのため、研磨作業に際して、シート状研磨材は、十分な硬さを有するパッドに固定されて、被研磨面に適切な研磨圧を印加する。
【0030】
パッドには、用途に応じてバックアップパッド及び中間パッドなどの種類がある。バックアップパッドとは、サンダーに直接取り付けて使用するパッドをいう。図3は本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの一例を示す断面図である。このバックアップパッド30は剛性材層31の上に弾性樹脂層32が積層された構成である。弾性樹脂層32側の露出面が支持面であり、剛性材層31側の露出面が背面である。支持面には必要に応じて固定部材が設けられる。背面にはバックアップパッドをサンダーに取り付けるための手段、例えば、ボルト33が設けられている。また、このバックアップパッドには、支持面から背面まで貫通する孔34、34’・・・が設けられている。
【0031】
図4は本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの支持面を示す図である。このバックアップパッド40には、支持面に多数の孔44、44’・・・が設けれている。孔44の数は、少なくとも約20個、好ましくは20〜150個、より好ましくは30〜100個である。
【0032】
孔44の配置態様は、シート状研磨材と略同一である。即ち、シート状研磨材とバックアップパッドとを比較すると、隣接する3個の孔の各中心が形成する正三角形は、寸法が等しくなる。但し、バックアップパッドの孔の数まで、シート状研磨材と完全に一致させる必要はない。上述のとおり、孔は支持面全面に均一に配置させる必要は必ずしもなく、要求性能や用途によって変化させてよいからである。
【0033】
孔の径の長さはシート状研磨材の孔の径の長さに対して80〜120%、好ましくは90〜110%の割合である。この割合が80%未満であると吸塵効率が低下し、120%を越えると孔付近の研磨材の支持力が弱くなり、研磨性能に悪影響を与える。
【0034】
バックアップパッドの支持面には、孔44、44’・・・同士を全部結ぶ線、又は一部結ぶ線に沿って溝を形成してもよい。そのような溝があれば、シート状研磨材の各孔を通過した研磨かすはバックアップパッドの各孔44、44’・・・に効果的に誘導される。
【0035】
溝の幅は1〜8mm、好ましくは2〜7mmにする。溝の幅が細すぎると、研磨屑はバックアップパッド中の孔に向かって効果的に誘導されない。溝の幅が太すぎると、研磨作業中にバックアップパッドがシート状研磨材を有効に支持しない。溝の深さは0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜3.0mmにする。溝の深さが浅すぎると誘導吸塵性が充分に発揮できない。小さい寸法の研磨屑が凝縮されて大きな塊になり易くなるからである。溝の深さが深すぎるとやはり誘導吸塵性が発揮できない。研磨屑が溝の底に付着して堆積し易くなるからである。
【0036】
図5は本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの支持面を示す図である。このバックアップパッド50には、支持面に7個の孔54、54’・・・が設けられている。孔54の数は特に限定されない。例えば、3〜70個、5〜19個などの範囲で適宜決定すればよい。孔54の径の長さ及び配置も特に限定されない。バックアップパッドの支持機能と吸塵機能とを考慮して決定すればよい。
【0037】
また、このバックアップパッド50の支持面には、溝55が設けられている。溝55はシート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って配置されている。そして、溝55は各孔54、54’・・・を連通させている。シート状研磨材の各孔を通過した研磨かすはこの溝55を通過してバックアップパッドの各孔54、54’・・・に誘導される。
【0038】
バックアップパッドの支持面の溝は、シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ全ての線に沿って配置する必要はなく、線の一部に沿って配置してもよい。
【0039】
中間パッド
中間パッドとは、研磨作業時に要求されるバックアップパッドの硬さや適合性を調節するために使用するパッドをいう。これは、シート状研磨材とバックアップパッドとの間に取り付けられる。例えば、曲面状の被研磨物を研磨する場合、シート状研磨材を支持する面が弾性樹脂であると硬度が高すぎて被研磨物の曲面全体に均等に研磨材が接触しないため、研磨ムラが起こって表面全体を均一に研磨できない、という不具合を生じる。そこで、例えば、スポンジ製のシートをシート状研磨材とバックアップパッドとの間に取り付けて、支持面の硬度を低下させるのである。図6は本発明に用いるのに好ましい中間パッドの一例を示す断面図である。この中間パッド60はスポンジ層61で構成されている。一方の露出面が支持面であり、他方の露出面が背面である。支持面及び背面には必要に応じて固定部材が設けられる。中間パッドには、支持面から背面まで貫通する孔64、64’・・・が設けられている。孔の数、配置及び寸法はバックアップパッドと同様である。例えば、孔の配置として図2に示されている孔構造を用いてよい。
【0040】
図7は本発明に用いるのに好ましい中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。この中間パッド70には、支持面に7個の孔74、74’・・・が設けられている。孔74の数は特に限定されない。例えば、3〜70個、5〜19個などの範囲で適宜決定すればよい。孔74の径の長さ及び配置も特に限定されない。中間パッドの支持機能と吸塵機能とを考慮して決定すればよい。
【0041】
また、この中間パッド70の支持面及び/又は背面には、溝75が設けられている。溝75はシート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ線に沿って配置されている。そして、溝75は各孔74、74’・・・を横切ってこれらを連通させている。シート状研磨材の各孔を通過した研磨かすはこの溝75を通過して中間パッドの各孔74、74’・・・に誘導される。
【0042】
中間パッドの支持面又は背面の溝は、シート状研磨材の20個以上の孔同士を結ぶ全ての線に沿って配置する必要はなく、線の一部に沿って配置してもよい。溝の幅や深さはバックアップパッドと同様である。
【0043】
図8は本発明に用いる中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。この中間パッド80には、61個の孔84、84’・・・に加えて、溝85が設けられている。溝85は孔84、84’・・・同士を全部結ぶ線に沿って配置されている。そして、溝85は各孔84、84’・・・を連通させている。
【0044】
図9は本発明に用いる中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。支持面又は背面の溝は、孔94、94’・・・同士を、同一中心を有する複数のループ状に結ぶ線に沿って配置されている。
【0045】
吸塵用研磨具
上述のシート状研磨材の背面をパッドの支持面に着脱自在に固定して、本発明の吸塵用研磨具が得られる。パッドとして中間パッドを用いる場合は、中間パッドの背面をバックアップパッドの支持面に更に着脱自在に固定して、本発明の吸塵用研磨具が得られる。固定部材は常套のものを用いればよい。好ましい固定部材の例には、2部構成フックループメカニカルファスナー及び粘着材等がある。2部構成フックループメカニカルファスナーを使用した場合は、研磨材とバックアップパッドの間にクリアランスができ、このクリアランスが研磨かすの吸塵チャネルとして機能するため、さらに吸塵効率を上げることができる。機械式ファスナーのフック部を吸塵用シート状研磨材の裏面に取り付け、メカニカルファスナーのループ部をバックアップパッドの研磨材取り付け面に取付けてよく、その逆にしてもよい。クリアランスの高さはループの高さで調整できるが、吸塵チャネルとして機能させるためには0.5mm以上、好ましくは1〜2mm以上とする。
【0046】
本実施の態様の吸塵用研磨具では、バックアップパッド又は中間パッドにシート状研磨材を取り付ける際に、両者の孔位置を整合させる必要がない。つまり、シート状研磨材やパッドをどのような向きに配置しても、研磨面の有効孔の面積が一定以上確保され、研磨面の吸塵能力が維持される。
【0047】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0048】
実施例1
直径125mmの住友スリーエム社製研磨材「ディスクユニカットP400」の背面にメカニカルファスナーのナイロン製パイル地ループ材を取り付けた。この研磨材に、孔をあけ、図2に示される孔構造を形成してシート状研磨材を得た。円形孔の合計数は61個であり、全て直径5mmである。隣接する3個の孔の各中心は正三角形を形成しており、隣接する孔同士の距離は6.8mmである。
【0049】
厚さ10mmのスポンジシートを直径125mmの円形に打ち抜いた。得られたスポンジディスクの支持面にメカニカルファスナーのフック材を、背面に機械式ファスナーのループ材を取付けた。このディスク材に孔をあけ、図2に示される孔構造を形成して中間パッドを得た。直径5.5mmの孔はシート状研磨材と同一の配置態様である。中間パッドの孔の直径はシート状研磨材の孔の直径に対して110%である。
【0050】
直径125mmの信濃機販社製ソリッド(無孔)バックアップパッド「サンダーパッド(孔ナシ)」の支持面にメカニカルファスナーのフック材を取り付けた。このパッド材に孔をあけ、図2に示される孔構造を形成してバックアップパッドを得た。直径5.5mmの孔はシート状研磨材と同一の配置態様である。バックアップパッドの孔の直径はシート状研磨材の孔の直径に対して110%である。
【0051】
上述のシート状研磨材の背面を中間パッドの支持面に固定し、また、中間パッドの背面をバックアップパッドの支持面に固定して吸塵用研磨具を得た。その際、背面と支持面とのクリアランスは2mmになるようにした。
【0052】
図2に示される孔構造を2つ重ねた場合、孔同士の重なり方、又は整合のし方は、回転軸を中心として両者をずらした角度に応じて変化する。図10は孔構造のずらし角度に応じて孔同士の重なり方がどのように変化するかを示した図である。図中、少なくとも一部が重なっている孔の一方を暗く表示している。ずらし角度を5°ごとに変化させた場合、重なる孔数はずらし角度0°から30°になるまでこのように変化し、35°から60°にかけてまた元にもどる。重なる孔数はずらし角度0°のときに最大になり、ずらし角度10°のときに最小になる。
【0053】
吸塵用研磨具の、シート状研磨材と中間パッドとのずらし角度、及び中間パッドとバックアップパッドとのずらし角度を変化させて、表1の条件で研磨試験を行った。その際、総研磨量に対する研磨屑の排出量の割合を吸塵効率とした。結果を表2に示す。
【0054】
[表1]


【0055】
[表2]


【0056】
研磨試験の結果によれば、本発明の吸塵用研磨具の吸塵効率は、シート状研磨材とバックアップパッドとで孔を正確に整合させない場合でもそれほど低下しない。そうすると、バックアップパッドに中間パッドや研磨材を取り付ける際に個々の孔位置を正確に整合させる必要がなく、取付け作業は容易である。
【0057】
実施例2
実施例1と同様にして調製した中間パッドの支持面及び背面に、孔同士を同じ中心を有する複数のループ状に結ぶ線に沿って溝を形成した。図9はその中間パッドの支持面及び背面を示す図である。溝は、支持面のフック要素及び背面のループ要素を3mmの幅で除去することにより形成した。この中間パッドを用いること以外は実施例1と同様にして吸塵用研磨具を調製し、研磨試験を行った。結果を表3に示す。
【0058】
実施例3
実施例1と同様にして調製した中間パッドの支持面及び背面に、孔同士を全部結ぶ線に沿って溝を形成した。図8はその中間パッドの支持面及び背面を示す図である。溝は、支持面のフック要素及び背面のループ要素を、溶解(溶融)除去法により、3mmの幅で除去することにより形成した。この中間パッドを用いること以外は実施例1と同様にして吸塵用研磨具を調製し、研磨試験を行った。結果を表3に示す。
【0059】
実施例4
厚さ10mmのスポンジシートを直径125mmの円形に打ち抜いた。得られたスポンジディスクの支持面に面ファスナーのフック材を、背面に面ファスナーのループ材を取付けた。このディスク材に、信濃機販社製バックアップパッド「サンダーパッド(穴有)」に設けられている孔と重なるように7個の孔をあけた。中央部の孔の直径は20mmであり、周囲部の孔の直径は11mmである。このパッド材の支持面及び背面に、シート状研磨材の孔同士を全部結ぶ線に沿って溝を形成した。図7はその中間パッドの支持面及び背面を示す図である。溝は、支持面のフック要素及び背面のループ要素を、溶解(溶融)除去法により、3mmの幅で除去することにより形成した。この中間パッドを用いること以外は実施例1と同様にして吸塵用研磨具を調製し、研磨試験を行った。結果を表3に示す。
【0060】
実施例5
7個の孔を有する信濃機販社製バックアップパッド「サンダーパッド(穴有)」及び実施例4と同じ中間パッドを用いること以外は実施例1と同様にして吸塵用研磨具を調製し、研磨試験を行った。結果を表3に示す。
【0061】
比較例
支持面及び背面に溝を形成しないこと以外は実施例4と同様にして、7個の孔を有する中間パッドを調製した。7個の孔を有する信濃機販社製バックアップパッド「サンダーパッド(穴有)」及びこの中間パッドを用いること以外は実施例1と同様にして吸塵用研磨具を調製し、研磨試験を行った。結果を表3に示す。
【0062】
[表3]


【0063】
研磨試験の結果、中間パッド及びバックアップパッドについて、孔の数や配置が従来と同じであっても、シート状研磨材の孔同士を結ぶ線に沿って溝を設けた場合は、本願発明の孔構造を形成した場合と同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】孔を有するシート状研磨材の構造(一部)を示す断面図である。
【図2】本発明に用いるシート状研磨材の研磨面を示す図である。
【図3】本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの一例を示す断面図である。
【図4】本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの支持面を示す図である。
【図5】本発明に用いるのに好ましいバックアップパッドの支持面を示す図である。
【図6】本発明に用いるのに好ましい中間パッドの一例を示す断面図である。
【図7】本発明に用いるのに好ましい中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。
【図8】本発明に用いるのに好ましい中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。
【図9】本発明に用いるのに好ましい中間パッドの支持面又は背面の他の例を示す図である。
【図10】孔構造のずらし角度に応じて孔同士の重なり方がどのように変化するかを示した図である。
【符号の説明】
【0065】
11…基材、
12…バインダー、
13…研磨粒子、
14、14’…孔、
20…シート状研磨材、
24、24’…孔、
30…バックアップパッド、
31…剛性材層、
32…弾性樹脂層、
33…ボルト、
34、34’…孔、
40…バックアップパッド、
44、44’…孔、
50…バックアップパッド、
54、54’…孔、
55…溝、
60…中間パッド、
61…スポンジ層、
64、64’…孔、
70、80、90…中間パッド、
74、74’、84、84’、94、94’…孔、
75、85、95…溝。
【出願人】 【識別番号】599056437
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆

【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄

【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石


【公開番号】 特開2008−87082(P2008−87082A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−268351(P2006−268351)