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【発明の名称】 強度補強ブラシ及びバリ取り・研磨方法
【発明者】 【氏名】佐藤 護

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の刷毛を束ねると共に揺動自在のコイルスプリングから形成された筒状体に収納した刷毛束を任意の間隔で複数植え付けて強度補強を施した強度補強ブラシにおいて、
前記コイルスプリングの少なくとも頭部では前記刷毛束が非密集状態で収納されており、
前記コイルスプリングの巻き形状が、少なくとも頭部では三角形その他の多角形であること、
を特徴とする強度補強ブラシ。
【請求項2】
前記コイルスプリングの直径が、該コイルスプリングの根元部より先端部方向に向かって次第に拡開している構成であることを特徴とする請求項1に記載の強度補強ブラシ。
【請求項3】
前記コイルスプリングの直径が、該コイルスプリングの根元部より頭部を除く位置まで次第に拡開している構成であることを特徴とする請求項1に記載の強度補強ブラシ。
【請求項4】
前記コイルスプリングの頭部に、隣接するコイル部が密着している密着コイル部を有し、
前記コイルスプリングの他の部分は、隣接するコイル部が離開している粗コイル部であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【請求項5】
(1)前記コイルスプリングの密着コイル部が、又は(2)前記コイルスプリングの密着コイル部と該密着コイル部に連続する粗コイル部の一部が、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である樹脂であって軟質性のもの(以下「軟質性樹脂」という。)で被覆された構成であることを特徴とする請求項4に記載の強度補強ブラシ。
【請求項6】
前記密着コイル部が、2〜7巻きのコイルから構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の強度補強ブラシ。
【請求項7】
前記粗コイル部が、少なくとも1巻きのコイルから構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【請求項8】
前記刷毛束が、径の異なる少なくとも2種類の刷毛を束ねて構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【請求項9】
任意の間隔で複数植え付けられる各刷毛束を収納する各コイルスプリングの隣接する頭部同士が、該頭部の三角形その他の多角形の各面同士で接触するように、前記各刷毛束が植え付けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の強度補強ブラシを用い、該強度補強ブラシの複数本の刷毛を束ねた刷毛束が、これを囲むコイルスプリングによって揺動しながら、バリ取り・研磨を行うことを特徴とするバリ取り・研磨方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は強度補強ブラシ及びバリ取り・研磨方法に関し、詳しくはワイヤブラシに代表される強度補強ブラシ及びバリ取り・研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
研磨ブラシは被研磨物を研磨する性質上、使用による刷毛部分の損耗が生じる。特に板金修理等に用いられる研磨加工用のワイヤブラシは、被研磨物が硬質であるために使用による刷毛部分の損耗が極めて激しく寿命の短いものとなっている。
【0003】
損耗の程度を軽減するために刷毛部分の強度を高めるには刷毛の材質を硬度・剛性の高い材料にすればよいが、刷毛の硬度・剛性を上げ過ぎると被研磨物が磨耗ないしは損傷してしまうという問題点を有している。
【0004】
そこで、刷毛材料の硬度・剛性を高めることなく刷毛の腰の強度を高めるために様々な手段が採用されている(特許文献1〜3等参照)。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、刷毛束の各々を筒状体に収納することで刷毛の腰の強度を高めている。
また特許文献2に記載の技術は、刷毛1本1本を補強膜で被覆することで刷毛部分の損耗を軽減させている。
さらに特許文献3に記載の技術は、刷毛束の外周面に合成繊維フィラメントヤーンをスパイラル状に巻き付け若しくは編み付けることで刷毛の強度を高めている。
【0006】
しかし、特許文献1〜3のいずれの技術もブラシの刷毛部分の強度は高まるものの、ブラシとしての弾力性・しなやかさが阻害されており、研磨性の点で満足できるものではない。
【0007】
本発明者は、上記した従来の課題を解決するために、複数本の刷毛を束ねると共に揺動自在のコイルスプリングに収納した刷毛束を任意の間隔で複数植え付けて強度補強を施した強度補強ブラシを先に提案した(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−254277号公報
【特許文献2】特開2002−204719号公報
【特許文献3】特開平9−294632号公報
【特許文献4】特許第3822872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は先提案技術について更に研究を続けた結果、バリ取り・研磨時にコイルスプリング及び刷毛束が揺動して摩擦抵抗を受けると、図9に示すように、静止状態(A)ではコイルスプリング4内に均一に配置していた刷毛束3が、研磨時(B)及び(C)では刷毛束3の研磨方向(矢符で示す)の両側(図面では上下)に分離してしまってコイルスプリング4内の中央部分に空洞が生じてしまうことが判った。
【0010】
このコイルスプリング内の刷毛束の分離化及び中央部分の空洞化によって、コイルスプリングに収納された刷毛束の密集度が高い部分と低い部分が生じることになるので、研磨性の点で未だ改良の余地を有していることが判明した。
【0011】
そこで本発明の課題は、刷毛束の密集度の均一化を図り、研磨性の向上した強度補強ブラシ及びこれを用いたバリ取り・研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0013】
1.複数本の刷毛を束ねると共に揺動自在のコイルスプリングから形成された筒状体に収納した刷毛束を任意の間隔で複数植え付けて強度補強を施した強度補強ブラシにおいて、
前記コイルスプリングの少なくとも頭部では前記刷毛束が非密集状態で収納されており、
前記コイルスプリングの巻き形状が、少なくとも頭部では三角形その他の多角形であること、
を特徴とする強度補強ブラシ。
【0014】
2.前記コイルスプリングの直径が、該コイルスプリングの根元部より先端部方向に向かって次第に拡開している構成であることを特徴とする上記1に記載の強度補強ブラシ。
【0015】
3.前記コイルスプリングの直径が、該コイルスプリングの根元部より頭部を除く位置まで次第に拡開している構成であることを特徴とする上記1に記載の強度補強ブラシ。
【0016】
4.前記コイルスプリングの頭部に、隣接するコイル部が密着している密着コイル部を有し、
前記コイルスプリングの他の部分は、隣接するコイル部が離開している粗コイル部であること
を特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【0017】
5.(1)前記コイルスプリングの密着コイル部が、又は(2)前記コイルスプリングの密着コイル部と該密着コイル部に連続する粗コイル部の一部が、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である樹脂であって軟質性のもの(以下「軟質性樹脂」という。)で被覆された構成であることを特徴とする上記4に記載の強度補強ブラシ。
【0018】
6.前記密着コイル部が、2〜7巻きのコイルから構成されていることを特徴とする上記4又は5に記載の強度補強ブラシ。
【0019】
7.前記粗コイル部が、少なくとも1巻きのコイルから構成されていることを特徴とする上記4〜6のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【0020】
8.前記刷毛束が、径の異なる少なくとも2種類の刷毛を束ねて構成されていることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【0021】
9.任意の間隔で複数植え付けられる各刷毛束を収納する各コイルスプリングの隣接する頭部同士が、該頭部の三角形その他の多角形の各面同士で接触するように、前記各刷毛束が植え付けられていることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の強度補強ブラシ。
【0022】
10.上記1〜9のいずれかに記載の強度補強ブラシを用い、該強度補強ブラシの複数本の刷毛を束ねた刷毛束が、これを囲むコイルスプリングによって揺動しながら、バリ取り・研磨を行うことを特徴とするバリ取り・研磨方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、刷毛束の密集度の均一化を図り、研磨性の向上した強度補強ブラシ及びこれを用いたバリ取り・研磨方法を提供することができる。
【0024】
請求項1に示す発明によれば、コイルスプリングの巻き形状が三角形その他の多角形であることにより、コイルスプリング内の刷毛束は研磨時に研磨方向両側に逃げるように分離して中央部分に空隙が生じてしまうことがなく、研磨方向前方に空隙が生じる程度である。これは、コイルスプリングが円筒形の場合ではコイルスプリングの内側が形成する丸い内壁に沿って刷毛束が外寄りに逃げてしまうことで研磨方向の両側に分離してしまうのに対し、コイルスプリングの巻き形状を三角形その他の多角形とすることで、三角形その他の多角形の各角部分が、コイルスプリング内で移動する各刷毛が研磨方向両側に逃げてしまうのを防止するストッパーとして作用するためである。
従って、コイルスプリングに収納された刷毛束の密集度に高低が生じることが無く、均一な密集度による研磨が可能となる。
【0025】
請求項2又は3に示す発明によれば、刷毛束の先端部分における各刷毛の間隔を取ることができるので各刷毛が夫々点接触で鋭い刃物の切っ先のように被研磨面に接触することになると共に、各刷毛1本1本が360度全周方向に動きを規制されることなく揺動することができ、研磨性がより向上することになる。
【0026】
請求項4に示す発明によれば、研磨作業時に、一方向の単なる往復動や回転運動だけでなく刷毛束の刷毛の先端を基点にする360度全周方向での弓なりに反りながらの激しい揺動運動や不規則な回転運動に対しても、刷毛束の刷毛の先がコイルスプリングの横から飛び出してしまうことを密着コイル部が未然に防止することができると共に、粗コイル部の伸縮自在の柔軟性によって刷毛束を柔軟性を有した状態で且つ該刷毛束のいわゆる腰とコイル部自体の腰を加えたいわゆる二枚腰の状態となって補助補強されるため、剛柔併せ持ったブラシとなるので、刷毛束の刷毛の破損が抑制され、研磨に際しても最も研磨性が高く効率の高い刷毛の鋭い先端での点接触研磨が被研磨面追従性の良好な状態で可能となる。即ち、研磨作業時に刷毛束が腰砕けの状態になるのを防ぎ、該刷毛束の先端が寝た状態となって刷毛束の先端ではなく腹部分で被研磨面を撫でているだけの状態に陥ることを抑制することができる。
よって、タイヤの深い溝、風呂タイルの目地、蛇腹風な物、鉄条網風な物の如き、形状・構造が複雑な物を清掃したときに隅々まで清掃可能となる。
【0027】
請求項5に示す発明によれば、清掃効果や研磨効果等のブラシとしての効果を抑制することなく、使用時の対象物品の傷付きを防止することができる。また、コイルスプリングの製造工程で生じる該コイルスプリング巻き終わり端部の鋭利部分も軟質性樹脂で被覆することにより、該鋭利部分による対象物品の傷付きを防止することができるという付随的効果も得られる。
【0028】
請求項6に示す発明によれば、刷毛束の刷毛の先がコイルスプリングの横から飛び出してしまうことを防ぐことができる。
【0029】
請求項7に示す発明によれば、スプリングコイルの密着コイル部が軟質性樹脂で被覆された構成である場合には、少なくとも1巻き部分が密着コイル部に被覆された軟質性樹脂の剥離防止用及び/又は脱落防止用のストッパーの役目を果たすので該軟質性樹脂の剥離や脱落を防止することができる。
【0030】
請求項8に示す発明によれば、荒い部分の清掃・研磨を行う太径の刷毛と、細かい部分の清掃・研磨を行う細径の刷毛が互いに幇助しながら研磨することができるので研磨性が良好となる。
【0031】
請求項9に示す発明によれば、コイルスプリングに収納した刷毛束を密に整列状態で複数並べて植え付けた場合であっても、隣接するコイルスプリングの頭部同士との間を隙間が生じることなく接触させることができるので、刷毛束の密集度に高低が生じることが無く、均一な密集度による研磨が可能となる。従って、円筒形のコイルスプリングを複数並べた状態で複数の刷毛束を植え付けた場合に隣接する各コイルスプリング間に生じてしまう隙間を無くすことができる。
【0032】
請求項10に示す発明によれば、対象物品を傷つけることなく、細部に亘るバリ取り・研磨作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明に係る強度補強ブラシの一実施例を示す側面図、図2は刷毛束及びコイルスプリングの拡大斜視図、図3はコイルスプリングの拡開構成を示す拡大側面図、図4はコイルスプリングの他の実施例を示す拡大側面図、図5は刷毛の拡大側面図、図6はコイルスプリング及び刷毛束の静止時及び研磨時の状態を説明する要部拡大平面図、図7は隣接するコイルスプリングの頭部同士を面接触させた状態を示す要部拡大平面図、図8は図7の他の実施例を示す要部拡大平面図、図9は先提案技術のコイルスプリング及び刷毛束の静止時及び研磨時の状態を説明する要部拡大平面図である。
【0034】
図1において、本発明に係る強度補強ブラシ1は、複数本の刷毛2を束ねた刷毛束3・3・3・・・、該刷毛束3の夫々を収納した筒状体である揺動自在のコイルスプリング4、コイルスプリング4に収納した刷毛束3を任意の間隔で複数束植え付けるブラシ基体5、とから主として構成されている。
【0035】
刷毛束3は、一束当り通常30本程度の刷毛2の1本1本を半折りし、折曲部2A(図5参照)をブラシ基体5に穿れた植付孔に差し込むことで一束当り60本程度の刷毛2の刷毛束3となる構成である。ブラシ基体5への刷毛束3の植え込みに際しては刷毛束3の根元部を線状材で結束する各刷毛2の折曲部2A全てに線状材を挿通し、更に該線状材の末端を上向きに折り曲げた状態でブラシ基体5の植付孔に差し込むことで、線状材の上向きの末端が植付孔内で抜け防止のストッパーの役目を果たさせてもよいし、後述のように、本発明のコイルスプリング4にこの役目を果たさせてもよい。
【0036】
研磨ブラシ1の刷毛2の材質としては、一般的には金属線と非金属線があり、金属線としては鉄系金属線(ピアノ線、ステンレス線等)と非鉄系金属線(黄銅線)、非金属線としては植物繊維(タンピコ、コイヤー等)と動物繊維(豚毛、馬毛、山羊毛等)と合成繊維(ナイロン繊維(研磨剤混入も有り)、塩化ビニル繊維、メタ系アラミド繊維(研磨剤混入も有り)、ポリプロピレン等)が用いられている。
【0037】
刷毛2の太さとしては、例えば、この種のワイヤブラシに代表されるバリ取り・研磨用の強度補強ブラシとして一般的な0.1〜1.0mm径が挙げられ、被研磨物に応じて適宜適切な径の刷毛2を用いることができる。
【0038】
また、刷毛2は、同素材・同径のものを用いるだけでなく、異素材・異径のものを2種類以上組合せて用いることもできる。
【0039】
刷毛束3を収納する筒状体である揺動自在のコイルスプリング4としては、刷毛2が金属線の場合には該金属線と同質ないしは近質のコイルスプリング4であることが好ましく、刷毛2が非金属線である場合には金属製のコイルスプリング4に合成樹脂で被覆コーティングしたものが好ましい。刷毛束3の刷毛2の材質とコイルスプリング4の材質を略同質とすることは、研磨に影響を与えることなく好ましい。
【0040】
図2に示すように、刷毛束3の先端を含む上部はコイルスプリング4の上端(頭部)より突出させており、かかる突出程度としては、刷毛束3の長さLに対する刷毛束3の先端を含む上部の突出長さlは、例えば、刷毛2がステンレス製の場合には刷毛束3の長さLが15〜50mmのときlは3〜10mmであることが好ましく、Lが15〜30mmのときlは5〜8mmが特に好ましく、また、刷毛2が黄銅製の場合には刷毛束3の長さLが15〜50mmのときlは3〜9mmであることが好ましく、Lが15〜30mmのときlは5〜7mmが特に好ましい。
【0041】
コイルスプリング4の少なくとも頭部4Cでは、刷毛束3は非密集状態で収納、即ち、コイルスプリング4内においても刷毛束3が揺動できるように収納されている。後述するように、コイルスプリング4の径を根元部4Aより頭部4Cが大となるように構成することで、頭部4Cでの刷毛束3の密集度は根元部4A部分より小となる。
【0042】
刷毛束3と該刷毛束3を収納するコイルスプリング4とは、少なくとも一部が密着していることが好ましく、ブラシ基体5への植え込み側である根元部分が密着していることが特に好ましい。コイルスプリング4の柔軟性にも影響されるが、この刷毛束3への密着程度によってブラシとしての刷毛2の柔軟性・しなやかさを変更できる。即ち、同硬度の柔軟性を有するコイルスプリング4を比較した場合、収納する刷毛束3により多く密着している方が硬い性質を有することになる。
【0043】
コイルスプリング4は、巻き形状が、少なくとも頭部4Cでは三角形その他の多角形である。三角形その他の多角形としては、好ましくは図2、図6及び図7に示すような略正三角形が好ましいが、図8に示す略正方形でもよい。また、二等辺三角形、直角三角形(例えば、図7の左右両端のコイルスプリング4の頭部4Cの形状)等の他の三角形でもよいし、長方形、平行四辺形、台形等の他の四角形でもよいし、五角形等の他の多角形でもよい。三角形その他の多角形のコイルスプリング4は、異形コイル等の形成機である公知公用のフォーミングマシンを用いることで形成することができる。尚、頭部4Cを除く部分については、該頭部4Cと同様の巻き形状、即ち、三角形その他の多角形であってもよいし、他の形状、即ち、円形や楕円形、頭部4Cとは異なる形状の三角形その他の多角形であってもよい。
【0044】
また、コイルスプリング4は、根元部4Aから先端部4Bまで同径の筒状体でもよいが、好ましくは図1、図2、図3(A)及び図4に示すように根元部4Aより先端部4B方向に向かって次第に拡開していたり、或いは図3(B)に示すように根元部4Aから頭部4Cを除く位置まで次第に拡開していることである。尚、「次第に拡開」とは文字通りに図3(A)に示すように次第に拡開する状態は勿論のこと、図3(C)に示すように途中に段部4Dを形成することで段階的に拡開する構成についても本発明は含むものとする。
【0045】
コイルスプリング4の拡開程度としては、例えば、根元部4Aの径が2.5mmの場合、先端部4Bの径は3.5mm程度であることが好ましい。
【0046】
刷毛束3及び該刷毛束3を収納したコイルスプリング4をブラシ基体5に植え込むに際して、刷毛束3からの刷毛2の脱落を防止するために、半折りされている刷毛2の根元部の折曲部2A(図4参照)にコイルスプリング4の根元部の螺旋端部を挿通し、更に該コイルスプリング4の末端を上向きに折り曲げた状態でブラシ基体5の植付孔に差し込むことで、コイルスプリング4の上向きの末端が植付孔内で抜け防止のストッパーの役目を果たす構成とすることが好ましい。
【0047】
コイルスプリング4は、本実施例では、頭部4Cは隣接するコイル部が密着している密着コイル部となっており、他の部分は隣接するコイル部が離開している粗コイル部となっているが、頭部4C以外の部分の一部乃至は全部が密着コイル部であってもよい。
【0048】
コイルスプリング4の頭部4Cの密着コイル部は、2〜7巻き分が密着していることが好ましく、3〜5巻き分が密着していることがより好ましい。また、頭部4C以外を粗コイル部とした場合、該粗コイル部は少なくとも1巻きから構成されていることが好ましい。
【0049】
またコイルスプリング4は、図4に示すように、頭部4Cである密着コイル部と該密着コイル部に連続する粗コイル部の一部を軟質性樹脂で被覆することが好ましい。密着コイル部だけでなく、該密着コイル部に連続する粗コイル部の一部まで含めて軟質性樹脂による被覆部6とすることにより、頭部4Cである密着コイル部のみを被覆した場合に比して、研磨時等の負荷が掛かった際の被覆部6の剥離や脱落を防止することができる。即ち、密着コイル部に連続する粗コイル部の一部まで被覆することにより、粗コイル部の被覆した部分が被覆部6の剥落防止用又は脱落防止用のストッパーの役目を果たすことになる。
【0050】
粗コイル部の軟質性樹脂で被覆された一部は、前記密着コイル部に連続する少なくとも1巻きであることが好ましいが、1巻きの3分の1以上であればよく、2巻き程度であれば充分である。
【0051】
軟質性樹脂で被覆する部分は、上記した図4に示す頭部4Cである密着コイル部と該密着コイル部に連続する粗コイル部の一部に限定されず、頭部4Cである密着コイル部のみであってもよいし、密着コイル部及び粗コイル部の全部であってもよい。
【0052】
軟質性樹脂による被覆である被覆部6は、コイル部の線材に対して軟質性樹脂繊維によるフィラメントヤーンを巻き付け或いは編み付けてもよいし、溶融した軟質性樹脂液にどぶ漬けしてもよい。
【0053】
コイル部の線材に対するマルチフィラメントによる被覆は、右巻きと左巻きの重複になるスパイラル巻き、右巻き左巻きいずれかのスパイラル巻き、組み紐状編みの態様とすることができる。また、フィラメントヤーンは、単独種のフィラメントヤーンをコイル部の線材に施してもよいし、他種のフィラメントヤーンと併用の形で施してもよい。他種との併用では、その施される態様が上記重複スパイラル巻きのときは、一方を右巻き、他方を左巻きとし、組み紐状編みの場合では、2種のフィラメントヤーンによる組み紐編みとすればよい。
【0054】
軟質性樹脂樹脂繊維による被覆の場合、ナイロン系接着剤等の接着剤により固定してもよい。接着剤としては、例えば、15%前後のメトキシメチレン化ナイロンをメタノールに溶解した溶液を挙げることができる。また該接着剤は浸漬、塗布等の適宜の手段で付与でき、一般的にはマルチフィラメントによって被覆したコイル部の線材を前記溶液にどぶ漬けした後、約130〜150℃で乾燥、キュアリングを施し、被覆したフィラメントヤーンを固定すればよい。
【0055】
本発明に用いられる軟質性樹脂としては、ゴム、エラストマー、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である樹脂であって軟質性のもの(軟質性樹脂)である。特に、前記軟質性樹脂が、ゴム、エラストマーの、少なくともいずれか1種または混合物であることが好ましい。
【0056】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂としては、汎用熱硬化性樹脂[フェノール樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フタル酸ジアリル樹脂]、特殊熱硬化性樹脂(ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂)、熱硬化性エラストマー(ポリウレタン、シリコーンエラストマー、IR、BR、SBR、EPDM、IIR、CR、CHR、CHC、ACM、フッソゴム)、及び複合材料(シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド)等の中から選ばれる軟質性のものが挙げられる。
【0057】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、汎用熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、繊維素系樹脂など)、汎用エンジニアリング樹脂[ナイロン(ポリアミド)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなど]、及び耐熱エンジニアリング樹脂(ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアクリレート、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレンなど)等の中から選ばれる軟質性のものが挙げられる。
【0058】
以上の構成を有するコイルスプリング4に収納された刷毛束3は、図7に示すように、ブラシ基体5へ複数(図7では15個×3列の計45個)並べて植え付ける際、各刷毛束3を収納する各コイルスプリング4の隣接する頭部4C同士が、該頭部4Cの三角形の各面同士で接触するように植え付けることができる。即ち、各コイルスプリング4がその頭部4C部分で隣接する頭部4C同士が接触するように密に整列状態で並べて植え付けた場合であっても、隣接するコイルスプリング4の頭部4C同士との間に隙間が生じることがなく接触させることができるので、刷毛束3の密集度に高低が生じることが無く、均一な密集度を有する強度補強ブラシとすることができる。従って、均一な密集度による研磨が可能となる。尚、図7に示す本実施例では、左右両端に位置する6個(右端3個+左端3個)のコイルスプリング4の頭部4Cの形状が直角三角形であり、他のコイルスプリング4の頭部4Cの形状が正三角形ないしは二等辺三角形となっている。
【0059】
コイルスプリング4の少なくとも頭部4Cの巻き形状は、図8に示すように四角形とすることもでき、四角形の場合であってもコイルスプリング4の隣接する頭部4C同士が、該頭部4Cの四角形の各面同士で接触するように並べて植え付けることができる。即ち、図7の三角形の場合と同様に、各コイルスプリング4がその頭部4C部分で隣接する頭部4C同士が接触するように密に整列状態で並べて植え付けた場合であっても隣接するコイルスプリング4の頭部4C同士との間に隙間が生じることがなく接触させることができるので、刷毛束3の密集度に高低が生じることが無く、均一な密集度を有する強度補強ブラシとすることができる。従って、均一な密集度による研磨が可能となる。尚、図8では21個(7個×3列)のコイルスプリング4を並べた状態となっている。
【0060】
また、前述したようにコイルスプリング4の巻き形状は、少なくとも頭部4Cでは三角形その他の多角形であり、三角形その他の多角形としては、上記した実施例の略正三角形や略正方形である四角形に限らず、二等辺三角形、直角三角形等の他の三角形や、長方形、平行四辺形、台形等の他の四角形、五角形等の他の多角形でもよい。
【0061】
本発明を適用可能な強度補強ブラシは、手動に限らず自動ブラシであってもよく、例えば、前記特許文献1の図面(特に、図2及び図7)に記載のブラシ類に適用できるし、またブラシ基体の形状も問わない。
【0062】
以上の構成を有する強度補強ブラシを用いれば、複数本の刷毛を束ねた刷毛束が、これを囲むコイルスプリングによって揺動しながら、対象物品を傷つけることなく、細部に亘るバリ取り・研磨作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る強度補強ブラシの一実施例を示す側面図
【図2】刷毛束及びコイルスプリングの拡大斜視図
【図3】コイルスプリングの拡開構成を示す拡大側面図
【図4】コイルスプリングの他の実施例を示す拡大側面図
【図5】刷毛の拡大側面図
【図6】コイルスプリング及び刷毛束の静止時及び研磨時の状態を説明する要部拡大平面図
【図7】隣接するコイルスプリングの頭部同士を面接触させた状態を示す要部拡大平面図
【図8】図7の他の実施例を示す要部拡大平面図
【図9】先提案技術のコイルスプリング及び刷毛束の静止時及び研磨時の状態を説明する要部拡大平面図
【符号の説明】
【0064】
1 研磨ブラシ
2 刷毛
2A 折曲部
3 刷毛束
4 コイルスプリング
4A 根元部
4B 先端部
4C 頭部
4D 段部
5 ブラシ基体
6 被覆部
【出願人】 【識別番号】503263322
【氏名又は名称】佐藤 護
【出願日】 平成18年9月26日(2006.9.26)
【代理人】 【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭


【公開番号】 特開2008−80411(P2008−80411A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−259888(P2006−259888)