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フライス工具 - 特開2008−73807 | j-tokkyo
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【発明の名称】 フライス工具
【発明者】 【氏名】樋代 康広

【氏名】峠 直樹

【氏名】西村 直純

【要約】 【課題】一つの工具で切削と研削の両方の加工を行うことができるとともに、加工の工程においてバリ取りも行うことが可能なフライス工具を提供する。

【解決手段】カップ型の台金11の端面の幅方向ほぼ中央部に円周方向の凹溝12が形成されており、この凹溝12の外周寄りに粒度の大きい砥粒をろう付けして切削用砥粒層13が形成され、凹溝12の内周寄りに粒度の小さい砥粒をろう付けして研削用砥粒層14が形成されている。台金11には、研削用砥粒層14が設けられている領域より内周側に段差部21が設けられ、この段差部21には、ブラシ22が取り付けられている。ブラシ22は、径が0.05mm以上2.5mm以下の毛材を集合させて形成され、毛材は、樹脂、金属またはこれらにダイヤモンド等の硬質素材を固着したものによって形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の台金の端面の外周寄りの領域と内周寄りの領域との境界部に凹溝が設けられ、前記端面の外周寄りの領域には粒度の大きい砥粒をろう付けして切削用砥粒層が形成され、内周寄りの領域には粒度の小さい砥粒をろう付けして研削用砥粒層が形成されたフライス工具であって、前記研削用砥粒層が設けられている領域より内周側にブラシが取り付けられていることを特徴とするフライス工具。
【請求項2】
前記ブラシの上端面は、前記研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面より、2mm以上10mm以下の範囲内で高くなるように前記ブラシが形成されていることを特徴とする請求項1記載のフライス工具。
【請求項3】
前記研削用砥粒層が設けられている領域の台金内周側端部と前記ブラシとの間には空隙が設けられ、この空隙の幅は、前記ブラシの上端面と、前記研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差より大きいことを特徴とする請求項1または2記載のフライス工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミダイキャスト合金や鋳鉄で形成された自動車エンジン部品の研削に主に用いられる、ダイヤモンド砥粒を用いたフライス工具に関し、とくに切削と研削を一つの工具で行うことのできるフライス工具であって、バリ取りに有効なフライス工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造合金やセラミック成形体などの表面加工を行うフライス工具として、超硬合金製のチップに代えてダイヤモンド砥粒を用いたチップ、あるいは砥粒層を形成した工具が使用されている。
【0003】
ところで、たとえばアルミ合金鋳物の表面加工においては、最終製品の形状寸法との関係から、切削(粗研削)と研削(仕上げ研削)の両方の加工を必要とする部分がある。このような両方の加工を行うには、切削と研削のそれぞれに適した別々のフライス工具を使用して加工が行われていた。切削加工と研削加工とでは、加工に適した砥粒の粒度、砥粒どうしの間隔が異なる。本発明者は、これらの点を考慮して、一つの工具で高能率な切削と高精度の研削のいずれをも行うことができるようにしたフライス工具を発明し、この内容が特許文献1に記載されている。このフライス工具の構造を図5、図6に示す。図5はフライス工具を示す斜視図であり、図6は図5のフライス工具の刃先部の拡大断面図である。
【0004】
フライス工具10においては、カップ型の台金11の端面の幅方向ほぼ中央部に円周方向の凹溝12が形成されており、この凹溝12の外周寄りに切削用砥粒層13が形成され、凹溝12の内周寄りに研削用砥粒層14が形成されている。
台金11は、全体形状が短い筒状をした鋼製の台金であり、底部中央部に電動工具の回転軸に取り付けるための取り付け用孔11aが設けられている。
【0005】
凹溝12は断面V字型の溝であり、凹溝12の外周寄りの部分は平坦面15と傾斜面16とに平均粒径600μmのダイヤモンド砥粒17が1.5mm間隔で配置されて切削用砥粒層13が形成され、内周寄りの部分は平坦面18に平均粒径200μmのダイヤモンド砥粒19が配置されて研削用砥粒層14が形成されている。内周寄りの部分の平坦面18と外周寄りの部分の平坦面15との間には0.6mmの段差が設けられている。傾斜面16の傾斜角は15度である。
【0006】
このようにフライス工具10は、切削に適した条件の切削用砥粒層13と、研削に適した条件の研削用砥粒層14とで刃先部を構成しているので、一つの工具で切削と研削の両方の加工を行うことができる。さらに、切削用砥粒層13と研削用砥粒層14との境界部に凹溝12を設け、研削用砥粒層14と切削用砥粒層13に段差を設けているので、切削時に発生した大きな切粉が研削用砥粒層14に入り込むことがなく、研削時の加工精度を良好に維持することができる。
【0007】
上述したフライス工具の使用状況を図7に示す。フライス工具10は回転しながら並進して、ブロック上面やヘッド上面を研削する。しかし、上述したフライス工具を用いても、加工面にバリが発生することは防止できず、このバリ取りのために別途の工程が必要であった。
【0008】
また、特許文献2には、加工対象物のバリ取りのために研磨シートと同一円周上にブラシ材を設けた研削工具が記載されている。しかし、この研削工具では、研磨シートとブラシ材とが同一円周上に設けられているため、粗加工後に仕上げ加工とバリ取りを行うことができない。
【0009】
【特許文献1】特開2002−263937号公報
【特許文献2】実用新案登録第3072671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、一つの工具で切削と研削の両方の加工を行うことができるとともに、加工の工程においてバリ取りも行うことが可能なフライス工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、本発明のフライス工具は、カップ状の台金の端面の外周寄りの領域と内周寄りの領域との境界部に凹溝が設けられ、前記端面の外周寄りの領域には粒度の大きい砥粒をろう付けして切削用砥粒層が形成され、内周寄りの領域には粒度の小さい砥粒をろう付けして研削用砥粒層が形成されたフライス工具であって、研削用砥粒層が設けられている領域より内周側にブラシが取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
研削用砥粒層が設けられている領域より内周側にブラシが取り付けられていることにより、研削によって発生するバリを研削の過程において除去することができる。そのため、バリ取りの工程を別途設けることが不要となり、加工工程を合理化できる。また、特許文献2に記載の構造のものと比較して、粗加工後に仕上げ加工とバリ取りができることから、高能率な加工が可能で、かつ仕上げ面を良好に維持することができる。
【0013】
本発明のフライス工具においては、前記ブラシの上端面は、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面より、2mm以上10mm以下の範囲内で高くなるように前記ブラシが形成されていることを特徴とする。
【0014】
ブラシの上端面と、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差が2mm未満であると、ブラシによるバリ取りの効果が低下する。また、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差が10mmを超えると、ブラシの存在によって加工面の面粗度が低下する。
【0015】
本発明のフライス工具においては、前記研削用砥粒層が設けられている領域の台金内周側端部と前記ブラシとの間には空隙が設けられ、この空隙の幅は、前記ブラシの上端面と、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差より大きいことを特徴とする。
【0016】
研削用砥粒層が設けられている領域の台金内周側端部と前記ブラシとの間には空隙が設けられていることにより、研削により発生した切粉を効果的に排出できる。また、フライス工具の回転によってブラシが研削面にかみ込まれると研削に悪影響を及ぼすことから、このブラシのかみ込みを防止するためには、空隙の幅を、ブラシの上端面と、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差より大きくすることが好ましい。こうすると、ブラシが回転によって外周側に倒れても、ブラシが研削面にかみ込まれることがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、一つの工具で切削と研削の両方の加工を行うことができるとともに、加工の工程においてバリ取りも行うことが可能なフライス工具を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明のフライス工具をその実施形態に基づいて説明する。
図1(a)に、本発明の実施形態に係るフライス工具の上面を示し、図1(b)に、本発明の実施形態に係るフライス工具の刃先部の拡大断面図を示す。
図1において、カップ型の台金11の端面の幅方向ほぼ中央部に円周方向の凹溝12が形成されており、この凹溝12の外周寄りに粒度の大きい砥粒をろう付けして切削用砥粒層13が形成され、凹溝12の内周寄りに粒度の小さい砥粒をろう付けして研削用砥粒層14が形成されている。
【0019】
台金11は、全体形状が短い筒状をした鋼製の台金であり、凹溝12は断面V字型の溝である。凹溝12の外周寄りの部分は平坦面15と傾斜面16とに平均粒径600μmのダイヤモンド砥粒17が1.5mm間隔で配置されて切削用砥粒層13が形成され、内周寄りの部分は平坦面18に平均粒径200μmのダイヤモンド砥粒19が配置されて研削用砥粒層14が形成されている。内周寄りの部分の平坦面18と外周寄りの部分の平坦面15との間には0.6mmの段差が設けられている。傾斜面16の傾斜角は15度である。切粉の排出と研削液の供給のため、台金11の上面にスリット20を設けることができる。
【0020】
台金11には、研削用砥粒層14が設けられている領域より内周側に段差部21が設けられ、この段差部21には、ブラシ22が取り付けられている。ブラシ22は、径が0.05mm以上2.5mm以下の毛材を集合させて形成され、毛材は、樹脂、金属またはこれらにダイヤモンド等の硬質素材を固着したものによって形成されている。研削用砥粒層14が設けられている領域の台金内周側端部23とブラシ22との間には、空隙24が設けられている。この空隙24の幅Xは、ブラシ22の上端面25と、研削用砥粒層14が設けられている内周寄りの領域の平坦面18との高さの差Yより大きくなるようにしている。また、ブラシ22の上端面25は、研削用砥粒層14が設けられている内周寄りの領域の平坦面18より、2mm以上10mm以下の範囲内で高くなるようにしている。ブラシ22の取り付けは、例えば、ブラシ22の下部に設けられた台座部27を、ねじ26を用いて台金11に固定することによって可能である。
【0021】
このような構成のフライス工具を用いると、図7に示す状況で研削を行う際に、研削時に発生するバリを研削の工程中で除去することができる。
以下に、試験結果を示す。
試験条件を表1に示す。
【0022】
【表1】


【0023】
試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】


【0025】
表2においては、従来品を100とした指数で表している。ここで従来品とは、特許文献1に記載された構成のフライス工具である。発明品は従来品と比べて切粉の排出に関しては同等であるため、消費電力は同じ値を示している。面粗度については、発明品はブラシを有しているため、従来品よりやや低下する。その一方、発生するバリの幅、バリの厚みについては、ブラシの効果により、大きく改善している。
【0026】
次に、ブラシ22の上端面25と、研削用砥粒層14が設けられている内周寄りの領域の平坦面18との高さの差Y(以下、「高さの差Y」と略記する)を変化させたときの、面粗さを図2に示し、バリの量を図3に示す。いずれも高さの差Yが0のときを100とした指数で表示している。
【0027】
図2からわかるように、高さの差Yが10mmを超えると、急激に面粗さが劣化している。また、図3からわかるように、高さの差Yが2mm未満であると、バリの量が急激に増加している。このことから、高さの差Yは2mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0028】
次に、空隙24の幅Xと、高さの差Yとの差を変化させたときの面粗さを図4に示す。
空隙24の幅Xが高さの差Yより小さい範囲では、急激に面粗さが劣化している。このことから、空隙24の幅Xを高さの差Yより大きくすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、一つの工具で切削と研削の両方の加工を行うことができるとともに、加工の工程においてバリ取りも行うことが可能なフライス工具として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るフライス工具の刃先部の拡大断面図を示す図である。
【図2】ブラシの上端面と、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差Yを変化させたときの、面粗さを示す図である。
【図3】ブラシの上端面と、研削用砥粒層が設けられている内周寄りの領域の平坦面との高さの差Yを変化させたときの、バリの量を示す図である。
【図4】空隙の幅Xと、高さの差Yとの差を変化させたときの面粗さを示す図である。
【図5】従来のフライス工具を示す斜視図である。
【図6】従来のフライス工具の刃先部の拡大断面図である。
【図7】フライス工具の使用状況を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10 フライス工具
11 台金
12 凹溝
13 切削用砥粒層
14 研削用砥粒層
15 平坦面
16 傾斜面
17 ダイヤモンド砥粒
18 平坦面
19 ダイヤモンド砥粒
20 スリット
21 段差部
22 ブラシ
23 台金内周側端部
24 空隙
25 上端面
26 ねじ
27 台座部
【出願人】 【識別番号】000111410
【氏名又は名称】株式会社ノリタケスーパーアブレーシブ
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
【出願日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久

【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生


【公開番号】 特開2008−73807(P2008−73807A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−256105(P2006−256105)