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【発明の名称】 研磨盤及びこれを用いた金属塗装面の研磨方法
【発明者】 【氏名】氏家 聡

【要約】 【課題】弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けて、研磨布がベース布の表面側にウール繊維を植設して構成されていると共に、ウール繊維を植設した面内に縦溝・横溝が格子状に形成されている研磨盤を用いて行なった研磨の後、当該研磨後の研磨面に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げ研磨に際し、仕上げ研磨工程時間を短縮可能で、仕上げ研磨後の仕上げ面に微小な傷やバフ目などがほとんど残らない鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨盤と研磨方法の提供。

【構成】ベース布の表面側に綿繊維が植設されていると共に綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤を使用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、
前記研磨布が、ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成されていると共に、前記綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されていることを特徴とする研磨盤。
【請求項2】
金属塗装面をサンドペーパーにより水研ぎ又は空研ぎする第一工程と、
弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側にウール繊維を植設して構成されていると共に、前記ウール繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤に、細目のコンパウンドを保持させて、前記第一工程後の研磨面を研磨する第二工程と、
弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成されていると共に、前記綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤に、超微粒子のコンパウンドを保持させて前記第二工程後の研磨面を研磨する第三工程と
を含んでなる金属塗装面の研磨方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、金属その他の加工表面や塗装面の研磨、艶出しの際に回転研磨装置の回転盤に取り付けて使用する研磨盤と、この研磨盤を使用した研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転研磨装置の回転盤に取り付けて使用する研磨盤に関しては、従来から、弾性板の一面側に研磨布の背面を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置の回転盤との固定手段を設けたものが提案されている(特許文献1)。回転研磨装置を介して研磨盤を回転させ前記研磨布の表面を研磨対象物の表面(この「研磨対象物の表面」を本明細書において「研磨面」ということがある)に当接させて研磨が行われる。このような研磨盤は、外周部を研磨対象物の表面(研磨面)に当接でき、線速度の最も早い外周部を研磨に有効に利用でき、かつ汚れた際に交換が容易である。
【0003】
従来から知られているこのような研磨盤では、研磨対象物の表面(研磨面)に当接する研磨布を、ベース布の表面側に所定長さのウール繊維を植設して構成した形態が提案されている。そしてこの従来の技術においては、ウール繊維を植設した面内に、所定幅毎に一定の方向、例えば、縦方向に延びる複数列の溝条が形成されていた(特許文献2)。以下、本明細書、図面において、ベース布の表面側に所定長さのウール繊維を植設して構成した研磨布の背面が弾性板の一面側に固着されている形態の研磨盤や、ベース布の表面側に所定長さのウール繊維を植設して構成した研磨布の背面が弾性板の一面側に固着されていると共に、ウール繊維を植設した面内に、所定幅毎に一定の方向、例えば、縦方向に延びる複数列の溝条が形成されている形態の研磨盤を総称して「ウールバフ」ということがある。
【0004】
研磨作業においては、適当なコンパウンド、液剤と、耐水ペーパー等のペーパーとを用いてペーパー研磨を行った後、ウールバフを用いて研磨を行い、次に、スポンジバフを用いてスポンジ研磨を行って最終仕上げとすることがある。
【0005】
また、従来から、このような研磨方法に関しては、使用するサンドペーパー等の研磨部材の目の粗さと、当該研磨部材に組み合わせて使用するコンパウンドの粗さを適宜選択することにより、バフ目を少なくし、光沢に優れ、かつ耐久性に優れた仕上げ面を実現できるとする金属塗装面の研磨方法も提案されている(特許文献3)。
【0006】
なお、前記の研磨方法で、ウールバフを用いて研磨した後に行われる、スポンジバフを用いたスポンジ研磨は、ウールバフによる研磨の際に残ったバフ目を消し去る仕上げ研磨になる。ウールバフを用いて行った布研磨の際に、研磨対象物の表面(研磨面)に残ったバフ目をスポンジ研磨によって最終仕上げするのである。
【0007】
そこで、この場合に、研磨対象物の表面(研磨面)にバフ目がつきにくい研磨盤を提案することを目的として、弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側にウール繊維を植設して構成されていると共に、前記ウール繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤が提案されている(特許文献4)。以下、本明細書、図面において、この特許文献4で提案された、前記研磨布がベース布の表面側にウール繊維を植設して構成されていると共に、前記ウール繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤を「クロスウール」ということがある。
【特許文献1】実開平4−92769号公報
【特許文献2】特開2002−239920号公報
【特許文献3】特開平2−256456号公報
【特許文献4】国際公開公報WO2005/063444 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献2、3、4等に提案されている発明により、バフ目を少なくし、光沢に優れ、かつ耐久性に優れた仕上げ面を実現する上で大きな成果が上げられていた。
【0009】
しかし、特許文献4で提案されているクロスウールを用いて研磨を行なった場合であっても、研磨面(研磨対象物の表面)に微小な傷、バフ目が残ることがあり、これを取り除くため、極細目〜超微粒子のコンパウンドを用い、スポンジバフを使用して仕上げの研磨を行なう必要があった。
【0010】
このスポンジバフを使用した仕上げの研磨では、仕上げ面を良好にする目的で、樹脂製の仕上げ剤を使用することがある。ここで使用する樹脂製の仕上げ剤が、研磨面に残っていた微小な傷を埋め込み、仕上げ面を良好にする効果があるからである。
【0011】
しかし、この樹脂製の仕上げ剤は水洗によって除去されてしまうので、結局、特許文献4で提案されているクロスウールなどを用いて行った研磨の際に研磨対象物の表面(研磨面)に残っていた微小な傷、バフ目が見えてきて、仕上げ面が良好でない、すなわち、鏡面になっていない、ことになる。
【0012】
そこで、この発明は、特許文献4で提案されている、クロスウールを用いて行なった研磨の後に、当該研磨後の研磨面(研磨対象物の表面)に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げの研磨に際して、従来のスポンジバフを使用した仕上げの研磨の際に使用することがあった樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなく、仕上げの研磨工程の時間を短縮可能で、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨盤と、研磨方法を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、この発明が提案する研磨盤は、弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成されていると共に、前記綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されているものである。
【0014】
なお、以下、本明細書、図面において、このように、弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなり、研磨布が、ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成されていると共に、綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている本発明の研磨盤を「クロスコットン」ということがある。
【0015】
前述したクロスウール(特許文献4)を提案した本願出願人は、この特許文献4のクロスウールを用いて行なった研磨の後に、研磨面に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げの研磨(スポンジバフを使用したスポンジ研磨)にあたって樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなく、仕上げの研磨工程の時間を短縮可能で、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨盤と、研磨方法を鋭意検討した結果、特許文献4で提案した従来のクロスウールにおいて、ベース布の表面側にウール繊維ではなく、綿繊維を植設した研磨盤とすることによって、これらの目的が達成されることを見出した。
【0016】
これは、綿繊維を使用した方がウール繊維を使用した場合よりも柔らかく、研磨面に傷をつけにくくなり、その一方、綿繊維の方が従来、仕上げの研磨のスポンジ研磨に使用されていたスポンジバフよりも研削力が大きいためではないかと思われる。
【0017】
本発明の研磨盤(クロスコットン)は前述したように、本願出願人が提案している特許文献4記載のクロスウールを踏まえて完成されたものであり、本発明の研磨盤(クロスコットン)の基本的な構成は、特許文献4記載のクロスウールと同様である。
【0018】
すなわち、前述した研磨が行われるときに、研磨対象物に当接する研磨盤の表面に、所定幅毎に一定の方向、例えば、縦方向に延びる複数列の溝条が形成されている形態の研磨盤では、前記複数列の溝条が、研磨盤の回転方向に対して略直角をなす箇所が生じる。この箇所では、後で説明するように、研磨時に用いる液剤やコンパウンドの「逃げ」が一方向にしか形成されないことになる。そこで、研磨盤の回転時に、液剤やコンパウンドの「逃げ」が常に四方向に形成されるように、縦溝と横溝とを格子状に交差させるものである。即ち、研磨盤の回転時に、液剤やコンパウンドが縦溝、横溝のどちらの方向にも逃げられるようにすることにより、本発明の研磨盤が研磨に用いられる際に生じるバフ目を少なくするものである。
【0019】
この発明の研磨盤(クロスコットン)を構成する前記弾性板は、研磨施工者の力加減、研磨装置(回転研磨機)の操作、研磨対象物表面の凹凸の影響等を緩和して、研磨布の表面を均一の圧力で研磨面に当接させるものであることが望ましい。そこで、弾性板の材質は、スポンジやゴム材等従来公知の弾性材料を採用することができる。また、その厚さ、形状は適宜決定できるが、回転運動によって研磨対象物の表面(研磨面)を研磨するものであるから円盤形状とすることが一般的である。
【0020】
ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成した前記研磨布において、綿繊維の太さ、長さ、密度は、研磨の目的、用途に応じて適宜選択する。また、綿繊維を植設した面内に形成した縦溝及び横溝の幅や間隔も、同様に研磨の目的、用途に応じて適宜選択する。
【0021】
研磨布の研磨対象物に当接する側である表面側に格子状に縦溝、横溝を設けるのは、研磨時に回転運動する研磨盤の各部において、回転方向(接線方向)とほぼ一致する方向の溝を設ける趣旨である。このように研磨盤の研磨布の表面に回転方向(接線方向)とほぼ一致する方向の溝を設けると、溝に溜まった液剤やコンパウンドが溝に沿って適度に流れるので溝部で加わる圧力が適度に緩和され、ベース布に植設した繊維が綿繊維であることと相俟って、研磨対象物の表面(研磨面)にバフ目をあまり付けることなく研磨を行うことができる。
【0022】
本願発明の研磨盤(クロスコットン)は回転研磨装置側の回転盤に取り付けられるものである。そして、研磨盤の表面側(研磨布の表面側)を研磨対象物に当接させつつ、研磨盤を回転させて研磨作業を行うものであるから、研磨作業中に研磨盤が回転研磨装置の回転盤から容易に外れないことが必要である。また、研磨盤は、研磨の目的、用途に応じて取り替えることができるように回転研磨装置の回転盤に容易に着脱できれば便利である。このような観点から、前述した弾性板の他面側に設けられている回転研磨装置側の回転盤への固定手段としてベルベットファスナー材を用いることができる。尚、ベルベットファスナー材は互いに係止する雌雄が一対となるので、弾性板の他面側に雌雄をなすベルベットファスナー材の一方を取り付けておき、他方を回転研磨装置側の回転盤に取り付けておく。
【0023】
前記本発明の研磨盤(クロスコットン)は、前記弾性板及び研磨布の中心部に透孔を設けることが望ましい。これらの透孔は、研磨に用いる液剤やコンパウンドが、研磨盤の回転運動により中心付近に集まる現象が生じた際に、中心付近に集まってきた液剤、コンパウンドが厚くならないように透孔内に逃がし、中心付近で貯留するものである。液剤やコンパウンドが研磨盤の中心付近に集まってくるとこれらのコンパウンド等の分布が不均一となり、研磨盤の中心付近と外周付近とで研磨の程度が異なって、研磨ムラが生じることがある。これを回避すべく、研磨盤の中心付近に集まってきた液剤、コンパウンドを貯留できる透孔を設けておくものである。
【0024】
なお、本願発明の研磨盤(クロスコットン)を構成する弾性板の他面側が固定される回転研磨装置の回転盤の回転中心部に、当該弾性板の側に突出する突部が設けられている形態を採用すると、回転研磨装置の回転盤に前記固定手段(例えば、ベルベットファスナー材)を介して弾性板の他面側を固定する際に、前記突部を前記弾性板中心部に形成されている透孔に嵌め込むことによって簡単に中心あわせを行なうことができる。また、これによって、回転研磨装置の回転盤が回転し、これにつれて本願発明の研磨盤が回転する際のバランスを良くすることができる。
【0025】
次に、前記目的を達成するため、本発明が提案する金属塗装面の研磨方法は、金属塗装面をサンドペーパーにより水研ぎ又は空研ぎする第一工程と、弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側にウール繊維を植設して構成されていると共に、前記ウール繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤に、細目のコンパウンドを保持させて、前記第一工程後の研磨面を研磨する第二工程と、弾性板の一面側に研磨布の背面側を固着し、前記弾性板の他面側に回転研磨装置側の回転盤への固定手段を設けてなる研磨盤であって、前記研磨布が、ベース布の表面側に綿繊維を植設して構成されていると共に、前記綿繊維を植設した面内に縦溝及び横溝が格子状に形成されている研磨盤に、超微粒子のコンパウンドを保持させて、前記第二工程後の研磨面を研磨する第三工程とを含んでなるものである。
【0026】
従来、金属塗装面の研磨方法においては、図5に示すように、金属塗装面をサンドペーパーにより水研ぎ又は空研ぎする第一工程、ウールバフ又はクロスウールに、細目のコンパウンドを保持させて、前記第一工程後の研磨面を研磨する第二工程、スポンジバフに、極細目〜超微粒子のコンパウンドを保持させて、前記第二工程後の研磨面を研磨する第三工程が含まれているものが採用されていた。
【0027】
そして、この第三工程においては、前述したように、仕上げ面を良好にする目的で、樹脂製の仕上げ剤が使用されることがあった。
【0028】
本願発明の金属塗装面の研磨方法は、第二工程でクロスウールに細目のコンパウンドを保持させて前記第一工程後の研磨面を研磨し、ついで、第三工程において、前述した本願発明の研磨盤(クロスコットン)に超微粒子のコンパウンドを保持させて研磨するようにしたものである。
【0029】
かかる本発明の金属塗装面の研磨方法によれば、第二工程の後に研磨面(研磨対象物の表面)に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げの研磨(前述した本願発明の研磨盤(クロスコットン)に超微粒子のコンパウンドを保持させて行なう研磨)に際して、従来のスポンジバフを使用した仕上げの研磨の際に使用することがあった樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなくなる。また、仕上げの研磨工程の時間を短縮でき、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することができた。
【0030】
これは、前述した本願発明の研磨盤(クロスコットン)においてベース布の表面側に植設されている綿繊維の方が、第二工程で使用される研磨盤においてベース布の表面側に植設されているウール繊維より柔らかく、これによって研磨面に傷をつけにくくなる一方、従来の第三工程(仕上げ研磨)において採用されていたスポンジバフよりも、本発明の第三工程(仕上げ研磨)において使用される本願発明の研磨盤(クロスコットン)でベース布の表面側に植設されている綿繊維の方が研削力が大きいためと考えられる。
【0031】
なお、前記において、細目のコンパウンドとしては粒径5μm〜30μm、硬度7〜9、好ましくは、粒径5μm〜20μm、硬度7〜9のコンパウンドを使用することができる。
【0032】
また、前記において、超微粒子のコンパウンドとしては粒径2μm未満、硬度7〜9、好ましくは、粒径1μm未満、硬度7〜9のコンパウンドを使用することができる。
【0033】
これらの細目のコンパウンド、超微粒子のコンパウンドは、アルミナ、シリカ、等、この技術分野で通常使用される材質のものを使用できる。
【0034】
このように、金属塗装面をサンドペーパーにより水研ぎ又は空研ぎする第一工程と、クロスウールに、粒径5μm〜30μmで硬度7〜9、好ましくは、粒径5μm〜20μmで硬度7〜9の細目のコンパウンドを保持させて前記第一工程後の研磨面を研磨する第二工程と、本発明のクロスコットンに、粒径2μm未満で硬度7〜9、好ましくは、粒径1μm未満で硬度7〜9の超微粒子のコンパウンドを保持させて前記第二工程後の研磨面を研磨する第三工程とを含んでなる本発明の研磨方法を行なうことにより、樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなく、仕上げの研磨工程の時間を短縮可能で、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨方法を提供できる。
【発明の効果】
【0035】
この発明によれば、クロスウールを用いて行なった研磨の後に、当該研磨後の研磨面(研磨対象物の表面)に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げの研磨に際して、従来のスポンジバフを使用した仕上げの研磨の際に使用することがあった樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなく、仕上げの研磨工程の時間を短縮可能で、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨盤と、研磨方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明を実施するための最良の形態を添付の図を参照して説明する。
【0037】
添付の図において、図1は研磨面(すなわち、研磨対象物の表面)に接して研磨を行う研磨布3を上側に配置した状態とした本発明の研磨盤1の平面図であり、図2は図1図示の研磨盤1の正面断面図で、この場合も研磨布3の側を上側に配置している。
【0038】
研磨盤1は、弾性板2の一面側(図2において上側)に研磨布3を、他面側(図2において下側)にベルベットファスナー材5をそれぞれ接着剤で固着して構成されている。弾性板2は、厚さが1.5cm程度で、図2に図示のように、断面台形のスポンジ製の円盤体である。図1に示される外径(すなわち、図2中、上側の面の外径)は約17cmである。この弾性板2の中心には直径3cm程度の透孔6が形成されている。
【0039】
研磨布3は、ベース布4に長さ4〜6mm程度の綿繊維8、8が植設されて構成されている。ベース布4は、断面台形の弾性板2の下底側(図2において上側)と平面同一形状である。ベース布4の中心にも直径3cm程度の透孔4aが形成されている。
【0040】
綿繊維8、8が植設された面内には、図1、図2図示のように縦溝7aと横溝7bが格子状に形成され、縦溝7aと横溝7bで区画された領域に綿繊維群9、9が形成されている(図1参照。なお、図2には、縦溝7aのみが示されている)。
【0041】
縦溝7a、横溝7bの幅はそれぞれ1.5mm〜3.5mm程度とし、隣り合う縦溝7a、7aの間、隣り合う横溝7b、7bの間隔は、溝の中心間の距離で5mm〜8mm程度とする。
【0042】
また、ベルベットファスナー材5は、断面台形の弾性板2の上面側(図2において下側)と平面同一形状である。このベルベットファスナー材5にも弾性板2の透孔6に合わせて透孔5aが形成されている。
【0043】
次に、上記のように構成された研磨盤1の使用について説明する。
【0044】
研磨盤1のベルベットファスナー材5と対となる他方のベルベットファスナー材が回転研磨装置(図示していない)の回転盤に設けられており、双方のベルベットファスナー材を貼り合わせるようにして研磨盤1を回転研磨装置に装着する。
【0045】
次に、研磨布3に研磨用の液剤及び/又はコンパウンドを付け、研磨盤1を回転研磨装置を介して回転させ、研磨布3を研磨面に当接させて研磨する(布研磨)。
【0046】
ここで、研磨布3の表面に形成した縦溝7a、横溝7bと研磨盤1の回転方向との関係を、図4(a)、図4(b)を用いて説明する。
【0047】
図4(b)は研磨布3の表面に縦溝7aと横溝7bが格子状に形成されている本発明の研磨盤の図1図示の平面視状態における一部を省略した概略説明図である。
【0048】
図4(a)は、研磨布3の表面に縦溝15のみが形成されている(すなわち、本発明の研磨盤1でいえば、縦溝7aのみが形成されている)従来の研磨盤10の平面視状態における一部を省略した概略説明図である。本願発明の研磨盤1において形成されている横溝7bが形成されていない点を除けば本願発明の研磨盤1と従来の研磨盤10とは同一の構成としたので、共通する部分には共通する符号をつけてその説明を省略する。
【0049】
図4(a)において、矢示11、12は研磨盤10の回転方向を示しており、図4(b)において、矢示13、14は研磨盤1の回転方向を示している。
【0050】
図4(a)において楕円で囲んだA部では、縦溝15は研磨盤10の回転方向を示す矢示11とほぼ平行となる。このため、研磨用の液剤やコンパウンドは縦溝15に沿って適度に流れる。一方、楕円で囲んだB部では、縦溝15は研磨盤10の回転方向を示す矢示12とほぼ直角となる。このため、B部では縦溝15に溜まった研磨用の液剤やコンパウンドは、縦溝15の縁部で多少引きずられ、研磨面に僅かにバフ目をつけてしまうことが考えられる。このように、縦溝15のみを設けた研磨盤10の場合、研磨面に残るバフ目が多くなる。
【0051】
これに対し、図4(b)図示の本発明の研磨盤1では、楕円で囲んだC部では研磨盤1の回転方向を示す矢示13とほぼ平行となる縦溝7aが存在し、楕円で囲んだD部にも研磨盤1の回転方向を示す矢示14とほぼ平行となる横溝7bが存在する。したがって、研磨布3の全面において研磨盤1の回転方向とほぼ平行となる溝が存在することとなり、研磨用の液剤やコンパウンドは研磨布3の全面において縦溝7a又は横溝7bに沿って適度に流れる。
【0052】
尚、研磨布3の全面では、例えば、楕円で囲まれたC部、D部のように、研磨盤1の回転方向とほぼ平行となる溝が存在すると同時に、研磨盤1の回転方向とほぼ直角となる溝が存在することになる。図4(a)図示の従来の研磨板10では、前記のように研磨盤10の回転方向とほぼ直角となる縦溝15に研磨用の液剤やコンパウンドが溜まり、縦溝15の縁部で多少引きずられ、研磨面に僅かにバフ目を付けてしまうと考えられている。
【0053】
しかし、図4(b)図示の本発明の研磨盤1では、溝は縦溝7aと横溝7bとが格子状に形成されており、研磨盤1の回転方向とほぼ直角になる溝に溜まった研磨用の液剤やコンパウンドは、即座に研磨盤1の回転方向とほぼ平行となる溝へ回り込んで逃がされる。このため、研磨用の液剤やコンパウンドが溝の縁部で引きずられることは少なくなると考えられる。
【0054】
実際に、同一の条件でサンドペーパーによる水研ぎ、あるいは空研ぎが行なわれた後の金属塗装面の研磨面について、図4(b)図示の本発明の研磨盤1を使用して布研磨を行った研磨面と、図4(a)図示の従来の研磨盤10を使用し同一の条件にて布研磨を行った研磨面とを比較すると、研磨盤1を使用して研磨を行った時の方が、研磨面に残されたバフ目が少ないことが確認できた。
【0055】
次に、同一の条件でサンドペーパーによる水研ぎ、あるいは空研ぎが行なわれた後の金属塗装面の研磨面について、研磨布3に植設されている綿繊維8を、長さ4〜6mm程度のウール繊維に変更した以外は本発明の研磨盤1と同様の研磨盤(すなわち、クロスウール)を準備し、本発明の研磨盤1(すなわち、クロスコットン)を使用したのと同様の条件で金属塗装面を研磨し、研磨後の研磨面を比較した。
【0056】
その結果、本発明の研磨盤1(すなわち、クロスコットン)で研磨した方が、研磨後の研磨面に残された微小な傷やバフ目が少なく、小さいことが確認できた。
【0057】
(研磨方法の発明の実施例)
以上に説明した本発明の研磨盤1を用いた本発明の研磨方法について説明する。
【0058】
(第一工程)
まず、金属塗装面をサンドペーパーにより水研ぎした。
【0059】
ここでは、800〜2000番と称される粗さを有するサンドペーパーを用いた。この番目のサンドペーパーのペーパー面における砥粒の大きさは、平均で19〜10μmである。この砥粒による研ぎ傷の深さは、サンドペーパーの砥粒の大きさの約1/10程度になる。
【0060】
なお、ここで、水研ぎではなく、水を使用しない空研ぎにすることもできる。この場合も、サンドペーパーのペーパー面における砥粒の大きさが平均で19〜10μmである800〜2000番と称される粗さを有するサンドペーパーを用いることができる。
【0061】
(第二工程)
前述した本発明の研磨盤1(すなわち、クロスコットン)において、研磨布3に植設されている綿繊維8を長さ4〜6mmのウール繊維に変更した研磨盤(すなわち、クロスウール)(研磨布3に植設されているウール繊維の長さが4〜6mm、図1図示のクロスコットンにおける縦溝7a、横溝7bに該当する縦溝、横溝の幅がそれぞれ2.0mm程度、図1図示のクロスコットンにおける隣り合う縦溝7a、7aの間隔、隣り合う横溝7b、7bの間隔に該当する隣り合う縦溝の間隔、隣り合う横溝の間隔が、溝の中心間の距離で6mm程度)を用い、この研磨盤(すなわち、クロスウール)に細目のコンパウンドを保持させて、第一工程を行なった後の研磨面を研磨した。
【0062】
ここで、細目のコンパウンドとしては、粒径10μmで硬度8のものを用いた。
【0063】
この第二工程では、研磨盤(すなわち、クロスウール)を回転研磨装置に装着し、800〜2000rpmで回転させながら研磨した。
【0064】
(第三工程)
前述した本発明の研磨盤1(すなわち、クロスコットン)(研磨布3に植設されている綿繊維8の長さが4〜6mm、縦溝7a、横溝7bの幅がそれぞれ2.0mm程度、隣り合う縦溝7a、7aの間隔、隣り合う横溝7b、7bの間隔が、溝の中心間の距離で6mm程度)に、超微粒子のコンパウンドを保持させて、第二工程を行なった後の研磨面を研磨した。
【0065】
超微粒子のコンパウンドとしては、粒径1μmで硬度9のものを用いた。
【0066】
研磨盤1(すなわち、クロスコットン)を回転研磨装置に装着し、前記のような超微粒子のコンパウンドを保持させて、800〜2000rpmで回転させながら研磨した。
【0067】
(研磨方法の比較例)
前述した実施例の第一工程、第二工程と同様の工程を行なった後、第三工程として粗目(密度70〜90kg/m、セル数30〜45/インチ)で、軟質ウレタンフォームからなる円盤状のスポンジバフに、前述した実施例の第三工程で使用したのと同じ超微粒子のコンパウンド(粒径1μmで、硬度9)を保持させて、第二工程を行なった後の研磨面を研磨した(円盤状のスポンジバフを回転研磨装置に装着し、前記のような超微粒子のコンパウンドを保持させて、800〜2000rpmで回転させながら研磨した)。
【0068】
(比較・検討)
比較例において、第三工程の研磨時間を実施例における第三工程の研磨時間と同じにし、研磨後の研磨面を比較したところ、実施例における研磨面は目視では、研磨面に残っている微小な傷、バフ目を認めることができず、きれいな鏡面状態になっていたが、比較例における研磨面には、微小な傷、バフ目が残っていることが認められた。
【0069】
比較例において、第三工程の研磨時間を実施例における第三工程の時間よりも長くしたところ、前述した第三工程の研磨時間を実施例における第三工程の時間と同じにしていた場合よりも、研磨面に残っている微小な傷、バフ目が少なくなったが、依然として、微小な傷、バフ目が研磨面に残っていることが目視で確認できた。
【0070】
引き続き、樹脂製の仕上げ剤を前記円盤状のスポンジバフに保持させ、800〜2000rpmで回転させながら研磨したところ、目視では、研磨面に微小な傷、バフ目の存在を確認できない仕上げ面になった。
【0071】
目視レベルでは、この樹脂製の仕上げ剤を用いた後の比較例の研磨仕上げ面の状態は、前述した実施例における第三工程の研磨を終了した状態の研磨面とほぼ同等であった。
【0072】
この結果、本発明によれば、クロスウールを用いて行なった布研磨の後に、当該布研磨後の研磨面(研磨対象物の表面)に残存している微小な傷、バフ目を取り除くために行なう仕上げの研磨に際して、従来のスポンジバフを使用した仕上げの研磨の際に使用することがあった樹脂製の仕上げ剤を使用する必要がなく、仕上げの研磨工程の時間を短縮可能で、なおかつ、仕上げの研磨後の仕上げ面に、微小な傷や、バフ目などがほとんど残らない、鏡面状態の仕上げ面を実現することに適した研磨盤と、研磨方法を提供できることが確認できた。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例を、図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明の研磨盤の研磨対象物に当接する面の一例を表す平面図。
【図2】図1図示の研磨盤の研磨対象物に当接する面を上側にして表した正面断面図。
【図3】図1図示の研磨盤の回転研磨装置側の回転盤に固定される面の平面図。
【図4】研磨布に形成した溝と、研磨盤の回転方向との関係を説明する図で、(a)は、従来の縦溝のみを備えた研磨盤の説明図、(b)は、縦溝及び横溝を格子状に備えた本発明の研磨盤の説明図。
【図5】従来の金属塗装面の研磨方法の工程を説明する流れ図。
【図6】本発明の金属塗装面の研磨方法の工程を説明する流れ図。
【符号の説明】
【0075】
1 研磨盤
2 弾性板
3 研磨布
4 ベース布
4a 透孔
5 ベルベットファスナー材
5a 透孔
6 透孔
7a 縦溝
7b 横溝
8 綿繊維
9 綿繊維群
10 研磨盤(従来のもの)
【出願人】 【識別番号】390034511
【氏名又は名称】株式会社ウジケ
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100059281
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次

【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一

【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘

【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永


【公開番号】 特開2008−55575(P2008−55575A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237718(P2006−237718)