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多層構造薄刃ブレード及びその製造方法 - 特開2008−49412 | j-tokkyo
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【発明の名称】 多層構造薄刃ブレード及びその製造方法
【発明者】 【氏名】石井 政義

【氏名】鈴木 賢治

【要約】 【課題】刃厚が極めて薄いにもかかわらず曲がりが少なく、精度の良い加工が可能で、低コストで製造できる多層構造薄刃ブレード及びその製造方法を提供する。

【構成】円盤状のグリーンシートを積層して焼結したところの、中心層11及び側面層12,13を有する多層構造の焼結体ブレードの上記中心層11が、砥粒11aと結合材11bとを有する焼結体で構成され、該多層構造の焼結体の切断に寄与する周縁部3において、側面層12,13の一部がドレッシング等の機械的方法で除去され、それにより、多層構造薄刃ブレードの周縁切断刃部が、砥粒11aが表面に露出した中心層部分11cだけで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状のグリーンシートを積層して焼結した中心層及び側面層を有する多層構造の焼結体ブレードにおいて、
少なくとも上記中心層のグリーンシートが結合材中に砥粒を分散させた焼結体で構成され、
該多層構造の焼結体の切断に寄与する周縁切断刃部が、側面層を除去することにより砥粒が表面に露出した中心層だけで構成されている、
ことを特徴とする多層構造薄刃ブレード。
【請求項2】
上記砥粒がダイヤモンド及びcBNのうちの1種あるいは2種の砥粒であり、
上記結合材が、周期律のIVa、Va、VIa族遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びこれらの複合化合物の1種も若くは2種以上の混合物よりなる硬質層、または、Fe、Co、Ni、Cu、Ti、Crの1種もしくは2種以上の金属結合層より成る硬質合金である、
ことを特徴とする請求項1に記載の多層構造薄刃ブレード。
【請求項3】
上記多層構造の焼結体の中心層の厚さが5〜200μmである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の多層構造薄刃ブレード。
【請求項4】
上記多層構造の焼結体の中心層及び側面層を含む全体の厚さが50μm〜1.0mmである、
ことを特徴とする請求項3に記載の多層構造薄刃ブレード。
【請求項5】
上記多層構造の焼結体における中心層の硬度が側面層の硬度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造薄刃ブレード。
【請求項6】
上記多層構造の焼結体の側面層が、砥粒を含まない結合材だけのグリーンシートの焼結体、または、中心層の砥粒よりも細粒の砥粒を結合材中に分散させたグリーンシートの焼結体で構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造薄刃ブレード。
【請求項7】
砥粒と結合材とを含む第1のグリーンシートと、該砥粒よりも細粒の砥粒を含みまたは含まない結合材からなる第2のグリーンシートとを作製し、
上記第1のグリーンシートを中心層にし、上記第2のグリーンシートを側面層にして積層することにより、多層構造の成形体を作製し、
上記成形体を加熱・加圧焼結して多層構造の焼結体を作製し、
上記焼結体の切断に寄与する周縁部において、中心層だけを残して側面層を機械的方法で除去することにより、上記周縁切断刃部を形成し、且つ該周縁切断刃部を形成する中心層の表面を砥粒が露出した状態にする、
ことを特徴とする多層構造薄刃ブレードの製造方法。
【請求項8】
上記側面層を除去する機械的方法がドレッシングである、
ことを特徴とする請求項7に記載の多層構造薄刃ブレードの製造方法。
【請求項9】
上記ドレッシングを、上記加熱・加圧焼結した後の多層構造の焼結体を回転軸に装着して回転させ、該焼結体の切断に寄与する周縁部をドレッサーに切込ませることによって行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の多層構造薄刃ブレードの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックや金属あるいはそれらの複合材料の切断、溝入れ加工をするのに有効な薄刃ブレード及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミックや金属あるいはそれらの複合材料の切断、溝入れ加工をする薄刃ブレードとして、ダイヤモンドまたはcBNブレードが知られている。
このダイヤモンドまたはcBNブレードは、金属、樹脂、あるいは金属と樹脂の複合材料、ガラス等の結合材とダイヤモンドまたはcBN砥粒を混合して、成形・焼成し、あるいは、Ni及びNi合金メッキにより形成される結合材によりダイヤモンドまたはcBN砥粒を固定し、1層構造のブレードとしたものが主流である。そのブレードは、通常、厚さが100μm〜500μmに形成される。
【0003】
一方、セラミックや金属あるいはそれらの複合材料を切断加工する際には、材料ロスを減らし、一度に多数個を切り出すことが望まれるため、より薄く切断精度にすぐれた剛性の高いブレードが求められている。
しかし、一般的なレジン、メタルブレードなどは、薄刃化のためにラッピング工程を行わなければならず、ブレード厚が50μm以下のものの製作は困難である。また、メッキを施す電鋳ブレード(一例として特許文献1参照)では、薄刃化は可能であるが、剛性に乏しく、切れ曲がりが発生したり、切れ味が悪くなって研削抵抗が上昇し、ブレードが破損することがある。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−174877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、刃厚が極めて薄く、すぐれた精度で切断することができる多層構造の薄刃ブレード及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、刃厚が極めて薄いにもかかわらず切れ曲がりが少なく、精度の良い加工が可能で、研削性に優れ、高剛性で、低コストの多層構造薄刃ブレード及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る多層構造薄刃ブレードは、円盤状のグリーンシートを積層して焼結した中心層及び側面層を有する多層構造の焼結体ブレードにおいて、少なくとも上記中心層のグリーンシートが結合材中に砥粒を分散させた焼結体で構成され、該多層構造の焼結体の切断に寄与する周縁切断刃部が、側面層を除去することにより砥粒が表面に露出した中心層だけで構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
上記多層構造薄刃ブレードの好ましい実施形態においては、上記砥粒がダイヤモンド及びcBNのうちの1種あるいは2種の砥粒であり、上記結合材が、周期律のIVa、Va、VIa族遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びこれらの複合化合物の1種も若くは2種以上の混合物よりなる硬質層、または、Fe、Co、Ni、Cu、Ti、Crの1種もしくは2種以上の金属結合層より成る硬質合金により形成される。
【0008】
本発明に係る多層構造薄刃ブレードの他の好ましい実施形態においては、上記多層構造の焼結体の中心層の厚さが5〜200μmであり、中心層及び側面層を含む全体の厚さが50μm〜1.0mmに形成される。
更に、本発明に係る多層構造薄刃ブレードの他の好ましい実施形態においては、上記多層構造の焼結体における中心層の硬度が側面層の硬度よりも大きく形成され、また、上記側面層は、砥粒を含まない結合材だけのグリーンシートの焼結体、または、中心層の砥粒よりも細粒の砥粒を結合材中に分散させたグリーンシートの焼結体で構成される。
【0009】
一方、上記課題を解決するための本発明に係る多層構造薄刃ブレードの製造方法は、砥粒と結合材とを含む第1のグリーンシートと、該砥粒よりも細粒の砥粒を含みまたは含まない結合材からなる第2のグリーンシートとを作製し、上記第1のグリーンシートを中心層にし、上記第2のグリーンシートを側面層にして積層することにより、多層構造の成形体を作製し、上記成形体を加熱・加圧焼結して多層構造の焼結体を作製し、上記焼結体の切断に寄与する周縁部において、中心層だけを残して側面層を機械的方法で除去することにより、上記周縁切断刃部を形成し、且つ該周縁切断刃部を形成する中心層の表面を砥粒が露出した状態にすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る多層構造薄刃ブレードの製造方法の好ましい実施形態においては、上記側面層を除去する機械的方法がドレッシングであり、望ましくは、このドレッシングが、上記加熱・加圧焼結した後の多層構造の焼結体を回転軸に装着して回転させ、該焼結体の切断に寄与する周縁部をドレッサーに切込ませることによって行われる。
【0011】
上記構成を有する多層構造薄刃ブレードは、多層構造のグリーンシートの焼結体から成る薄刃ブレードの少なくとも中心層が、砥粒と結合材とを有する焼結体で構成され、該多層構造の焼結体の切断に寄与する周縁部において、側面層が除去されて砥粒が表面に露出した中心層だけで構成されているため、切断に寄与する部分の刃厚を極めて薄くすることができ、超薄刃ブレードでありながら曲がりが少なく精度の良い加工が可能で、研削性に優れ、高剛性で、製作が容易で低コストである。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明によれば、刃厚が極めて薄く、刃厚が極めて薄いにもかかわらず曲がりが少なく精度の良い加工が可能で、研削性に優れ、高剛性で、低コストの多層構造薄刃ブレード及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係る多層構造薄刃ブレード及びその製造方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る多層構造薄刃ブレードの一実施例を要部縦断面によって示すもので、この多層構造薄刃ブレード1は、結合材中に砥粒を分散させた第1のグリーンシートと、該砥粒よりも細粒の砥粒を結合材中に分散させた第2のグリーンシートとを用い、上記第1のグリーンシートにより形成される中心層11に、第2のグリーンシートからなる必要数の側面層12,13を積層して焼結することにより、多層構造のブレードとして構成されたものである。上記第2のグリーンシートは、砥粒を混入しない結合材だけで構成することもできる。
【0014】
さらに具体的に説明すると、図1において、上記ブレードにおける中心層11は、砥粒11aと結合材11bとを有する上記第1のグリーンシートの焼結体で構成され、それに対し、上記側面層12,13は、上記中心層11の砥粒11aよりも細粒あるいは硬度が小さい砥粒12a,13aと上記結合材12b,13bとを有する上記第2のグリーンシートの焼結体で構成され、それらは加熱・加圧焼結により多層構造に形成している。そして、該多層構造の焼結体の切断に寄与する周縁部3においては、以下に説明するように、上記中心層11に積層した側面層12,13の一部12c,13c(図2のハッチング部分参照)を除去することにより、砥粒11aが表面に露出した中心層部分11cだけで周縁切断刃部が構成されている。
【0015】
側面層12,13を上述のように構成すると、中心層11の硬度が側面層12,13の硬度よりも大きくなり、それにより、上記周縁部3における側面層12,13をドレッシング等の機械的方法で除去して中心層11を突き出させる際に、該側面層の除去が容易になる。
【0016】
上記中心層11の砥粒11aは、ダイヤモンド及びcBNのうちの1種あるいは2種の砥粒であり、上記中心層11の結合材11bは、周期律のIVa、Va、VIa族遷移金属の炭化物、窒化物、ホウ化物及びこれらの複合化合物の1種も若くは2種以上の混合物よりなる硬質層、または、Fe、Co、Ni、Cu、Ti、Crの1種もしくは2種以上の金属結合層より成る硬質合金で形成することができる。
上記中心層11における結合材と、その両側の側面層12,13における結合材とは、それらの間で剥離が生じるのを避けるために同一のものであるのが望ましいが、異なる材料を用いることもできる。この場合、必要に応じて、多層構造のブレードに層間剥離が生じないように適宜接合材が選択使用される。
【0017】
上記多層構造の焼結体の中心層11を含む全体の厚さtは、50μm〜1.0mmであり、より望ましくは、100μm〜500μmである。また、多層構造の焼結体における周縁部3の側面層12,13の一部12c,13cが除去されることにより外側に突き出る中心層部分11cの厚さ(刃厚)tは、5μm〜200μmであり、より望ましくは、10μm〜100μm、更に望ましくは、10μm〜50μmである。
一方、上記多層構造の焼結体の周縁部3の中心層部分11cの突き出し長さdは、一般的には数mm程度であるが、切断するワークの厚さ等を考慮して、その厚さよりも若干(1〜2mm)長く設定される。
【0018】
上記多層構造薄刃ブレードの中心層11を含む全体の厚さtを50μm〜1.0mmとするのは、50μm未満ではハンドリングが困難になるためであり、1.0mmを超えると刃厚tに対する全体の厚さtとしては厚すぎるためである。
また、上記多層構造薄刃ブレードにおける周縁部3における突き出た中心層部分11cの厚さtを5〜200μmとするのは、5μm未満では剛性不足により曲がり、折れが発生するためであり、200μmを超えると、本発明による薄刃化の意味が無くなるからである。
【0019】
なお、図1に示す実施例では、中心層11の両側に側面層12,13を設けた3層構造の薄刃ブレードにしているが、必ずしも3層構造にする必要はなく、中心層と側面層とが一体に接合された多層構造の焼結体ブレードであるならば2層または4層以上の多層構造でもよい。
【0020】
上記多層構造薄刃ブレード1を製造するに際しては、まず、図2に示すように、上記砥粒11aと結合材11bとを含む第1のグリーンシートと、該砥粒よりも細粒の砥粒を含みまたは含まない結合材からなる第2のグリーンシートとを作製し、上記第1のグリーンシートを中心層11にし、上記第2のグリーンシートを側面層12,13にして上記中心層11に積層することにより、多層構造の成形体を作製し、該成形体を、0.1ton/cm〜10ton/cmで加圧しながら、900〜1500℃で加熱焼結して、多層構造の焼結体2を作製する。そして、上記多層構造の焼結体2の切断に寄与する周縁部3を、中心層部分11cだけを残して側面層12c,13cをドレッシング等の機械的方法で除去することにより、上記周縁部3において中心層部分11cの表面全体に砥粒11aが露出した状態の多層構造薄刃ブレード1を得る。上記図2のハッチングを付した側面層部分12c,13cは、多層構造の焼結体2の周縁部3の除去される部分を示している。
【0021】
上記側面層部分12c,13cを除去する機械的方法としてはドレッシングが適し、このドレッシングは、上記加圧焼結した多層構造の焼結体2を回転軸に装着して回転させ、該焼結体2の切断に寄与する周縁部3をドレッサーに切込ませることによって簡単に行うことができる。
【0022】
図3及び図4はそのドレッシングの状態を説明するためのもので、該ドレッシングに際しては、上記多層構造の焼結体2を加工機の回転軸23にスペーサ21を介して装着し、焼結体2の送り方向にドレッサー4を配置して、上記加工機により多層構造の焼結体2を該ドレッサー4に切り込ませる。それにより、上記多層構造の焼結体2の周縁部3における側面層部分12c,13cを除去するドレッシングが行われる。すなわち、上記多層構造の焼結体2を上記ドレッサー4に切込むと、前述のように多層構造の焼結体2における中心層11の硬度が上記側面層12,13の硬度よりも大きいため、該焼結体2の周縁部3の側面層部分12c,13cがドレッシングされ、図1に示すように、砥粒11aが表裏面側に露出した突き出し長さがdの中心層部分11cが形成される。
【0023】
上記構成を有する多層構造薄刃ブレード1は、多層構造のグリーンシートの焼結体からなり、中心層11が砥粒11aと結合材11bとを有する焼結体で構成され、切断に寄与する周縁部3が、側面層部分12c,13cの除去により砥粒が表面に露出した中心層部分11cだけで構成されるため、切断に寄与する部分の刃厚tを極めて簡単かつ安価な方法で薄くすることができる。
【0024】
また、上記多層構造薄刃ブレード1は、上記加工機の回転軸23に上記多層構造の焼結体2を装着した状態で、該焼結体2の周縁部3の側面層12c,13cをドレッシングにより除去して製造できるため、焼結体の切断に寄与する部分の中心層11cの表面に砥粒11aを簡単に露出させることができると共に、機械取り付けによる側面振れを極小に抑えることができる。
このようにして製造された多層構造薄刃ブレード1は、上記加工機の回転軸23に上記多層構造薄刃ブレード1を装着したままの状態でワークの加工に供することができる。
【0025】
なお、上記実施例では、上記多層構造の焼結体2の周縁部3の側面層12c,13cを除去する方法としてドレッシングを用いたが、上記側面層12c,13cを除去する方法としては、レーザー加工、側面ツルーイング、放電加工などの方法を用いてもよい。
【0026】
図5は、上記多層構造薄刃ブレード1の複数を上記加工機の回転軸23にスペーサ21を介して一定間隔で装着し、被加工物を切断する態様を示すもので、被加工物5を基台6に接着して加工機上に配置し、該加工機により上記多層構造薄刃ブレード1を取り付けた回転軸23を回転駆動しながら図の矢印方向に送り、上記基台6上の被加工物5を切断するようにしている。
同図に示すように、被加工物5の先にドレッサー4を配置しておき、被加工物5を切断した後の上記多層構造薄刃ブレード1を更に同方向に進行させることにより、そこに配置したドレッサー4に必要な切込み深さで切込ませ、該ブレード1の切断に寄与する周縁部3の切れ味を持続させるためのドレッシングを行うことができる。この場合、必要があれば、ブレードの回転数や送り速度をドレッシングに適した条件に変更すればよい。
【0027】
以下に本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
[実施例1]
平均粒径1μmのWC粉末90wt%とCo粉末10wt%とをボールミルで混合した後、それに対して、粒径が5〜10μmのダイヤモンド10vol%とPVAバインダー10vol%とを添加し、それらを乳鉢で混合した。混合粉をφ100×35Hの型に入れ、1ton/cmでの加圧により、0.2mmの厚さの中心層成型体(第1のグリーンシート)を作製した。
次に、上記と同様であるが、10vol%のダイヤモンドに代えて、カーボン粉末30vol%を添加した混合粉を用い、上記と同様の工程を経て、0.3mmの厚さの2枚の側面層成型体(第2のグリーンシート)を作製した。
そして、前者の中心層成型体を中心部に配し、後者の側面層成型体をその両側にそれぞれ積層して多層構造のブレード成型体を作製した。
【0029】
次いで、このブレード成型体をφ100×35Hのカーボン型に挿入し、0.5ton/cmで加圧しながら、1200℃で10分間の加熱・加圧焼結を行った。中心層の焼結体の硬度はHv2000、側面層の焼結体硬度はHv200程度であることを別途確認している。
これらの工程により、ブレード総厚みが0.3mmで、中心層の厚みが0.1mmの多層構造焼結ブレードを得た。さらに、この焼結体の外径及び内径をφ90×40Hに加工し、ステンレススペーサを用いて該スペーサからの突き出し量が3mmになるようにしてフランジに組み込み、スライシングマシンに装着した。
【0030】
次に、長さ70mmのドレッサー(WA3000G)を用い、回転数5000rpm、送り速度20mm/min、切込み深さ2mmとして、被加工物を切断するのと同様な態様で上記多層構造焼結ブレードの周縁部のドレッシングを行い、刃厚0.1mmの中心層が突き出した多層構造の焼結ブレードを作製した。
【0031】
得られた焼結ブレードによる切断試験を、被加工物として磁気ヘッド用材として使用されている切断長さ50mm、厚さ1.2mmのAl−TiC材を用いて行い、それをフェライト製基台にエポキシ系樹脂で接着して切断に供した。なお、この切断試験においては、図5に示しているような態様で、被加工物の先にドレッサー(WA3000G)を配置し、被加工物を切断した後においても切れ味を持続させるためのドレッシングを行った。
切断条件としては、スライシングマシンを使用し、回転数10,000rpm、送り速度100mm/min、切り込み1.5mmで切断加工を行った。
切断結果の評価は、50mmの長さの上記被加工物を1.1mmのピッチで10ラインの被切断片を得る切断加工を行い、被切断物についての加工入口側、加工中央側、加工出口側の厚みを測定し、ブレードの直進性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】


【0033】
[比較例1]
実施例1と同じサイズの砥粒を用い、電鋳法により0.1mm刃厚のブレードを作製した。外径、内径を実施例1と同様にφ90×40Hに加工して、比較用のブレードとし、実施例1と同様の条件にて切断試験を行った。この場合に図5のドレッサーを用いていないのは勿論である。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】


【0035】
表1に示す実施例1の結果と比較すると、実施例1で作製されたブレードは、従来法である電鋳法で作製されたブレードに比べ、切断加工における直進性の点で非常に優れていることがわかる。
【0036】
[比較例2]
平均粒径1μmのWC粉末90wt%とCo粉末10wt%とをボールミルで混合した後、粒径が5〜10μmのダイヤモンド10vol%とPVAバインダー10vol%とを添加し、それらを乳鉢で混合した。混合粉をφ100×35Hの型に入れ、1ton/cmの加圧により、0.1mm厚さの成型体を3枚作製した。この3枚の成型体を積層し、φ100×35Hのカーボン型に挿入して、0.5ton/cmで加圧しながら、1200℃で10分間の加熱・加圧焼結を行った。この焼結によって、ブレード総厚みが0.15mmの単層構造焼結ブレードを得た。
【0037】
次に、このブレードをラッピングにより0.1mmの厚さに、また、外径及び内径をφ90×40Hに加工して、ブレードを作製し、実施例1と同様の条件にて切断試験を行った。この場合にも図5のドレッサーを用いていないのは勿論である。その結果を表3に示す。
表1に示す実施例1の結果と比較すると、実施例1のブレードは、この比較例2の従来法であるラッピング工法で作製されたブレードに比べ、低コストで簡単に製造できるにもかかわらず、切断加工における直進性の点で遜色が無いことがわかる。
【0038】
【表3】


【0039】
[実施例2]
実施例1と同じ素材を用い、かつ、同じ方法で、1枚の中心層成型体(第1のグリーンシート)を作製した。但しその厚さを0.1mmとした。
また、実施例1と同じ素材を用い、かつ、同じ方法で、厚さ0.3mmの2枚の側面層成型体(第2のグリーンシート)を作製した。
そして、前者の中心層成型体を中心部に配し、後者の側面層成型体をその両側にそれぞれ積層して、多層構造のブレード成型体を作製した。
更に、これらの工程を繰り返し、多層構造のブレード成型体を10枚作製した。
【0040】
次に、この10枚の多層構造ブレード成型体を、それぞれ、φ100×35Hのカーボン型に挿入し、0.5ton/cmで加圧しながら、1200℃で10分間の加熱・加圧焼結を行った。これらの工程により、ブレード総厚みが0.25mmで、中心層の厚みが0.05mmの多層構造焼結ブレードの10枚を得た。さらに、それらのブレードの外径及び内径をφ90×40Hに加工し、ステンレススペーサを用いて該スペーサからの突き出し量が2mmになるようにしてフランジに組み込み、スライシングマシンの回転軸に装着した。
【0041】
次に、長さ70mmのドレッサー(WA3000G)を用い、回転数5000rpm、送り速度20mm/min、切込み深さ0.5mmとして、被加工物を切断するのと同様な態様で上記多層構造焼結ブレードの周縁切断刃部のドレッシングを行い、刃厚0.05mmの中心層が突き出した多層構造の焼結ブレードを10枚作製した。このとき、刃先の割れ、欠けなどは皆無で、10枚のブレード中に不良品は全く見当たらなかった。
【0042】
[比較例3]
実施例2の中心層積層体と同じ素材を用い、かつ、同じ方法で、0.1mm厚さの成型体を3枚作製した。そして、この成型体を3枚積層して、積層成型体を得た。
更に、この工程を繰り返して、10枚の積層成型体を作製し、そのそれぞれをφ100×35Hのカーボン型に挿入し、0.5ton/cmで加圧しながら、1200℃で10分間の加熱・加圧焼結を行った。
この焼結により、ブレード総厚みが0.15mmの10枚の単層構造焼結ブレードを得た。この10枚のブレードの外径及び内径をφ90×40Hに加工し、さらに、0.05mmの厚さまでラッピング加工を施した。このラップ時に、ブレードの割れ、欠け、キャリアの破損などが生じ、10枚の全てが不良品であった。
【0043】
上記実施例2及び比較例3の結果から、実施例2では、0.05mmの薄刃ブレードが非常に歩留まり良く作製されることがわかる。また、工数においても比較例3のラッピングよりも実施例2のドレッシングによる機械加工の方が簡易で、低工数により作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る多層構造薄刃ブレードの一実施例の要部縦断面図である。
【図2】上記多層構造薄刃ブレードの周縁部における側面層の除去について説明するための要部縦断面図である。
【図3】加圧焼結した多層構造の焼結体を加工機の回転軸に装着した状態を示す側面図である。
【図4】多層構造の焼結体の周縁切断刃部の側面層を除去する方法についての説明図である。
【図5】多層構造薄刃ブレードにより被加工物を切断する状態の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 多層構造薄刃ブレード
2 多層構造の焼結体(側面層部分の除去前)
4 ドレッサー
11 中心層
11a 砥粒
11b 結合材
11c 中心層部分
12,13 側面層
【出願人】 【識別番号】591107403
【氏名又は名称】株式会社リード
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏

【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹

【識別番号】100100804
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏太郎

【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐


【公開番号】 特開2008−49412(P2008−49412A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225789(P2006−225789)