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工業用ブラシとそれを用いた接合材残渣の除去方法 - 特開2008−30142 | j-tokkyo
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【発明の名称】 工業用ブラシとそれを用いた接合材残渣の除去方法
【発明者】 【氏名】上垣 八郎

【要約】 【課題】複数の部材を鑞付けや溶接などで接合して作られる機械部品の凹部内の接合材残渣や表面の落ち込んだコーナにある接合材残渣を効果的に除去できるようにすることを課題としている。

【構成】所定長さに切断されたピアノ線などの硬鋼線2を複数本束ねた工業用ブラシ1を回転させながらワーク(機械部品)10の表面に形成された凹部15の底に押し当て、このブラシの鋼線束3の先端で前記凹部15の底に付着している接合材の残渣16を擦り落すようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さに切断された硬鋼線(2)を毛材として使用し、その硬鋼線(2)を複数本束ねて鋼線束(3)を形成し、この鋼線束の先端をワーク(10)に擦りつけるように構成された工業用ブラシ。
【請求項2】
前記硬鋼線(2)としてピアノ線を用いた請求項1に記載の工業用ブラシ。
【請求項3】
前記鋼線束(3)の直径を10mm以下にした請求項1又は2に記載の工業用ブラシ。
【請求項4】
機械(20)のスピンドル(21)に装着した請求項1、2又は3のいずれかに記載の工業用ブラシ(1)を回転させながらワーク(10)の表面に形成された凹部(15)の底に押し当て、このブラシの鋼線束(3)の先端で前記凹部(15)の底に付着している接合材の滓を擦り落す接合材残渣の除去方法。
【請求項5】
前記凹部(15)が長孔によって形成され、前記ワーク(10)と回転中の工業用ブラシ(1)を凹部長手方向に相対移動させて凹部(15)の底を前記鋼線束(3)の先端で擦るようにした請求項4に記載の接合材残渣の除去方法。
【請求項6】
機械(20)のスピンドル(21)に装着した請求項1、2又は3のいずれかに記載の工業用ブラシ(1)を回転させながら、2つの面(11b、12b)が交わってワーク(10)の表面に形成されたコーナに押し当て、このブラシ(1)とワーク(10)をコーナに沿ってコーナの長手方向に相対移動させ、ブラシの鋼線束(3)の先端で前記コーナの表面に付着している接合材の滓を擦り落す接合材残渣の除去方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、付着物を効果的に擦り取ることができる工業用ブラシと、それを用いた接合材残渣の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1は第1、第2の2つの粉末成形体を焼結と同時に鑞付けして製造する自動変速機用のプラネタリキャリアを開示しており、そのプラネタリキャリアのように、複数の部材を炉中で鑞付けして作られる機械部品が知られている。
【0003】
この種の機械部品は、図6に示すように、第1部材11上に第2部材12を位置決めして重ね、その第2部材12に設けた鑞材セット孔13に鑞材のチップ14を入れた後、第1部材11と第2部材12を重ねた状態を維持して炉に導入し、炉内の熱で鑞材のチップ14を溶かす方法で製造される。溶けた鑞材は、両部材11、12の接合面11a、12a間に流れ、その鑞材が加熱後の冷却により冷え固まって接合が完了する。
【0004】
また、下記特許文献2に開示されるような工業用ブラシがバリ取り用ブラシとして知られている。
【特許文献1】特開2000−109907号公報
【特許文献2】実用新案登録第3092014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6の方法で鑞付けを行った部品は、第2部材12に設けた鑞材セット孔13が第1部材によって塞がれて表面に凹部が形成される。図7にその凹部を拡大して示す。この凹部15の底には鑞材の滓が付着して残っており、その残渣16が部品の使用中に衝撃などによって剥がれ落ちる心配がある。その残渣16が剥がれ落ちると、部品が例えば前述のプラネタリキャリアの場合、剥落した残渣が異物として歯車間などに噛み込まれ、機能部品を傷つける虞がある。
【0006】
凹部内に残存した異物の除去は、通常、凹部内にエアーを噴射する方法でなされるが、一般的な鑞材セット孔は直径が6〜7mm程度しかなく、その孔によって形成される小さな凹部の底に鑞材の残渣が付着しているため、エアーによる除去は十分な効果が望めない
。特に、凹部15の内部は余剰鑞材が残って底部が図7に示すように不規則な形に盛り上がることが多く、このような場合には残渣はほとんど除去できていない。
【0007】
また、前掲の特許文献2が開示しているようなブラシを使用して凹部内の鑞材残渣を除去することを試みたが、この方法でも残渣の効果的な除去はできなかった。
【0008】
このために、残渣を完全に除去することが要求されるときにはエンドミルや研削砥石などで凹部の底に付着した残渣を削り取る方法を採っており、費やす手間と時間が多くなって部品のコストを高める原因となっている。
【0009】
なお、残渣はアーク溶接などを行ったときにも発生し、その場合も上記と同様の問題が発生する。
【0010】
この発明は、複数の部材を鑞付けしたり溶接したりして作られるワーク(機械部品)の表面にある接合材残渣、特に、凹部の底や落ち込んだコーナなどにある接合材残渣を効果的に除去できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明においては、下記(1)〜(3)の工業用ブラシとそれを使用した下記(4)、(5)の接合材残渣の除去方法を提供する。
(1)所定長さに切断された硬鋼線を毛材として使用し、その硬鋼線を複数本束ねて鋼線束を形成し、この鋼線束の先端をワークに擦りつけるように構成された工業用ブラシ。
(2)前記硬鋼線としてピアノ線を用いた工業用ブラシ。
(3)前記鋼線束の直径を10mm以下にした工業用ブラシ。
(4)機械のスピンドルに装着した上記工業用ブラシを回転させながらワークの表面に形成された凹部の底に押し当て、このブラシの鋼線束の先端で前記凹部の底に付着している接合材の残渣を擦り落す接合材残渣の除去方法。
(5)前記凹部が長孔によって形成され、前記ワークと回転中の工業用ブラシを前記凹部の長手方向に相対移動させて前記凹部の底を前記鋼線束の先端で擦る接合材残渣の除去方法。
(6)機械のスピンドルに装着した上記工業用ブラシを回転させながら2つの面が交わってワークの表面に形成されたコーナに押し当て、このブラシとワークを前記コーナに沿ってコーナの長手方向に相対移動させ、ブラシの鋼線束の先端で前記コーナの表面に付着している接合材の滓を擦り落す接合材残渣の除去方法。
【発明の効果】
【0012】
この発明の工業用ブラシとそれを用いた接合材残渣の除去方法は、腰の強い硬鋼線を毛材として使用し、その硬鋼線を複数本束ねた鋼線束の先端を凹部の底に擦りつけるので、毛材がブラシの押付圧に負けて屈曲したり、ブラシの回転によって大きくねじれたりすることがなく(毛材の逃げが起こらない)、凹部の底に付着した接合材の残渣を強く擦って強制的に剥がすことができる。
【0013】
上記特許文献2が開示しているブラシは、毛材の腰が弱すぎて効果的な残渣除去ができない。また、毛材の表面に電着させたダイヤモンド砥粒などの高硬度砥粒による研削によって除去がなされるので、効率も悪い。切削や研削では冷え固まって凹部内に残存した余剰接合材も削ることになり、作業のロスが増えて効率が低下するが、この発明の方法によればこれらの問題も解決される。また、硬鋼線を用いたブラシは切削工具に比べると安価であり、残渣除去のコストも抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面の図1〜図5に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1は、ブラシの実施形態である。例示の工業用ブラシ1は、硬鋼線2を毛材として用いている。所定長さに切断された直線形状の硬鋼線2を複数本束ねて鋼線束3を形成し、この鋼線束3の先端をワークに擦りつけるように構成されている。
【0015】
鋼線束3は、先端を筒状に形成したストレートな金属シャフトやストレートな金属スリーブなどを柄4として使用し、その柄の筒内に硬鋼線2の後端側を挿入し、筒部を外側からかしめたり、筒部と硬鋼線との間の隙間を充填材で埋めたりして柄4に植毛すると、図2に示すように、動力駆動の機械20(図のそれはボール盤)のスピンドル21に取り付けられた保持具22で柄4を掴んでブラシ1を回転させることができる。
【0016】
図3に示すように、複数本の硬鋼線2を結束リング5など(針金などの結束線でもよい)を用いて結束し、鋼線束3の一端側を直接保持具で把持しても構わないが、上述したような柄をつけるとチャックなどの保持具22による保持を安定して行うことができる。
【0017】
硬鋼線2は、ピアノ線が好ましい。ピアノ線の種類は特に問わない。直径φ1mm、長さ100mmのピアノ線については実用面で問題がないことを実験で確認したが、これよりも細い線や太い線を使用してもよい。直径φ0.5mm程度の細い線でも長さを短くすれば腰の強い毛材として使用することができる。また、線径の太い線はより腰の強い毛材として使用することができる。
【0018】
硬鋼線2の使用本数は任意に設定してよいが、少なすぎると緻密な擦りつけが望み難くなって残渣の除去性能が低下し、多すぎると鋼線束の直径が大きくなりすぎてブラシの使用規制を受け易くなるので、これを考慮して適正な本数を組み合わせる。
【0019】
鋼線束3の直径は、残渣を除去する凹部の直径よりも小さくする。その直径を例えば5mm程度にしたブラシは、一般的なサイズの鑞材セット孔によって形成される凹部(直径が6〜7mm程度の凹部)の残渣除去にも利用することができる。
【0020】
この発明の方法による残渣の除去は、図2に示すように、ボール盤などの機械20のスピンドル21に装着された保持具22でブラシ1を掴み、これを回転させながら機械のテーブル23に予めセットされているワーク10の表面の凹部15に鋼線束3の先端側を挿入し、鋼線束3の先端を凹部15の底に擦りつけて行う。
【0021】
腰の強い硬鋼線2を毛材として用いているので、毛材の逃げ(ブラシの押付圧による屈曲やブラシの回転によるねじれ)が起こらず、付着した接合材の残渣を効果的に擦り落すことができる。このとき、凹部15の直径との径差が小さいブラシ1を使用すると、凹部に挿入したブラシを横送りする必要がなく、作業の単純化、迅速化が図れる。
【0022】
なお、図4に示すように、ワーク10の表面の凹部15が長孔によって形成されているときは、ブラシ1とワーク10を凹部15の長手方向に相対移動させて凹部の底の全域を擦る。外径Dを凹部の幅Wに近似させたブラシ1を凹部15の底に押付け、このブラシ1を回転させながらワーク10もしくはブラシ1に横方向への送りをかけると、一方向の相対移動のみで残渣除去の作業を完了することができる。
【0023】
なお、図5に示すように、第1部材11と第2部材12の重ね部のコーナ(面11bと12bが交わって表面に形成されるコーナ)を溶接したワーク10の場合、溶接部17の表面に残渣(溶接滓)が付着している。この場合には、機械に装着したブラシ1を溶接部に押し当て、このブラシ1を回転させながらブラシとワーク10をコーナに沿ってコーナの長手方向に相対移動させる方法で残渣を擦り落す。このときのブラシ1は、電動ドリルなどに装着して斜め上方(コーナ角の2等分する方向)からコーナに押し当てると真上から押し当てる場合に比べて回転バランスを保ち易い。
【0024】
この発明の効果を確認するために、線径φ1.0mm、長さ100mmのピアノ線を10本束ねてブラシを作った。
次に、2つの部材を炉中鑞付けして製造したプラネタリキャリアを準備し、一方の部材に設けられた鑞材セット孔が他方の部材によって塞がれてこのプラネタリキャリアの表面にできた凹部内の鑞材残渣を試作ブラシを使って除去した。
このときの残渣除去は、ワークのプラネタリキャリアをボール盤のテーブル上に固定し
、ボール盤のスピンドルに取り付けられたチャックでブラシを把持し、このブラシを回転させながら降下させてワークの凹部に挿入し、回転している鋼線束の先端を凹部の底に押し当てて擦る方法で行った。その結果、エアーの吹きつけでは全く除去できなかった凹部の底の鑞材の残渣を完全に除去することができた。なお、残渣の除去状態の評価は目視で行った。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明のブラシの一例を示す斜視図
【図2】図1のブラシを用いた残渣除去方法を示す図
【図3】この発明のブラシの他の例を示す斜視図
【図4】長孔で形成された凹部内の残渣の除去方法を示す斜視図
【図5】2面が交わってできるコーナの溶接部の残渣除去方法を示す斜視図
【図6】2つの部材を炉中鑞付けして製造するワークの一例を示す断面図
【図7】鑞材セット孔によって形成された凹部内の鑞材残渣を示す断面図
【符号の説明】
【0026】
1 工業用ブラシ
2 硬鋼線
3 鋼線束
4 柄
5 結束リング
10 ワーク
11 第1部材
11a、12a 接合面
11b、12b コーナを形成する面
12 第2部材
13 鑞材セット孔
14 鑞材のチップ
15 凹部
16 残渣
17 溶接部
20 機械
21 スピンドル
22 保持具
23 テーブル
【出願人】 【識別番号】593016411
【氏名又は名称】住友電工焼結合金株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−30142(P2008−30142A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204909(P2006−204909)