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削孔用カップ型回転砥石 - 特開2008−12606 | j-tokkyo
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【発明の名称】 削孔用カップ型回転砥石
【発明者】 【氏名】飯野 貴幸

【氏名】小島 政美

【要約】 【課題】サファイアやSiCのような高硬度の材料を安定した研削能力で、高精度かつ高効率に削孔するために適したカップ砥石を提供する。

【構成】ダイヤモンド砥粒を用いたセグメントをカップ型台金の外周縁に沿って複数個取り付けたカップ型回転砥石であって、取り付けられるセグメント数は14以上とし、セグメントとセグメントの間の隙間面積を、セグメントの面積に対して40%以上とする。さらに、セグメントのダイヤモンド砥粒の集中度を20以下とすることが好ましく、さらに、セグメントのダイヤモンド砥粒の結合材がメタルボンドであり、結合度がH(JIS表示)よりも軟らかいことが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンド砥粒を用いたセグメントをカップ型台金の外周部に沿って複数個取り付けたカップ型回転砥石であって、取り付けられるセグメント数を14以上とし、セグメントとセグメントの間の隙間部分の面積を、セグメントの面積に対して40%以上とすることを特徴とする削孔用カップ型回転砥石。
【請求項2】
前記各セグメントのダイヤモンド砥粒の集中度を20以下とすることを特徴とする請求項1記載の削孔用カップ型回転砥石。
【請求項3】
前記各セグメントのダイヤモンド砥粒の結合材がメタルボンドであり、結合度がH(JIS表示)よりも軟らかいことを特徴とする請求項1および2記載の削孔用カップ型回転砥石。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイアやSiCなどに代表される硬脆材料を効率的、かつ高精度に研削加工するために用いる削孔用カップ型回転砥石に関する。
【背景技術】
【0002】
サファイア、SiCなどの硬脆材料結晶は、近年では窒化ガリウム(GaN)に代表される窒化物系化合物半導体用のエピタキシャル成長用基板を始めとして幅広く用いられている材料である。特にサファイア結晶は、産業上最も数多く普及している材料であり、窒化ガリウムのエピタキシャル成長基板には不可欠の材料となっている。
【0003】
前述のようなサファイア基板を製造するには、まず、リボン結晶育成法(EFG法)やチョクラルスキー法(CZ法)などによって単結晶インゴットを作製し、次いで、単結晶インゴットを加工して任意の結晶方位を表面に持ったウエハー形状の基板を得る方法が一般的である。
【0004】
ここで、参考のために、サファイア単結晶インゴットから基板へ加工する際の一般的なプロセスを説明する。
【0005】
まず、単結晶インゴットの頭部および底部は所望の結晶方位に調整された高精度の平面に加工される。この平面の精度は、後に行われる円筒研削、ウエハーへスライスするための基準の平面となるため、X線によって結晶方位の微調整を行いながら、高精度の平坦な面に加工することが重要である。
【0006】
このように高精度に加工された平坦な面を基準に円筒研削加工によってインゴットの外径をスライスされるウエハーの外径に調整する。次に、オリエンテーションフラット加工で、円筒研削されたインゴットにウエハーの結晶方位や表裏を識別するために用いられるオリエンテーションフラットなどの切りかき状の形状を形成する。次に、ウエハースライス工程で、インゴットから所望の厚さのウエハーを多数枚切り出す。
【0007】
その後、スライスされたウエハーにはさらに種々の加工を施す。すなわち、ウエハー外周研削加工では、ウエハーの側面を所望の形状に加工する。次に、ウエハー表面研削によって、ウエハーの厚さの調整や平行度、平坦度などの加工精度を得る。最後に、表面鏡面仕上げ加工及び洗浄で、窒化物半導体のエピタキシャル成長に適した、平坦で歪やキズのない清浄な表面状態を達成し、窒化物半導体の成長に適したサファイア基板を得る。
【0008】
ここで、サファイアのような高硬度の材料を加工するためには一般的にダイヤモンド砥粒を用いた加工法が適用される。例えば、サファイアインゴットの頭部及び底部を切断加工するには、砥粒層にダイヤモンドを用いた外周刃切断機や内周刃切断機を用いることが出来る。しかしながら、サファイアのような高硬度の結晶を削孔加工する場合、削孔速度も非常に低く設定する必要があり、膨大な時間と労力を要す。
【0009】
また、後工程に必要な品質を満たす高精度な円筒形状も必要となるため、削孔機は、カップ型回転砥石を低速で回転させ、研削液を供給しながら被研削材であるサファイア結晶に一定の切り込み量で回転するカップ砥石を押し付け、高精度な削孔加工を行う事ができ、サファイア基板の製造工程において重要な工程と言える。
【0010】
特に、現在は2インチが主流である窒化物半導体成長用サファイア基板は今後3インチや4インチへの大口径化が進むことは確実であり、より大口径を、安定に、かつ効率を損なうことなく、高精度に削孔する必要性が高まる。
【0011】
このような削孔機に用いられる回転型カップ砥石の基本的な構造は、カップ型の台金の外周部に沿って、連続的または間欠的にセグメントと呼ばれる砥石部を設けたものである。
【0012】
セグメントの種類は、ダイヤモンド砥粒、砥粒の粒度、砥粒を保持するための結合材の種類、結合の強さ、砥石部に砥粒が存在する体積の割合を示す集中度などの数多くの要素の組み合わせによって決まる。
【0013】
このようなカップ砥石の性能はセグメントの種類だけでなく、セグメントの配置や形状等によっても大きく影響されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0014】
特にサファイアのような高硬度材料の研削加工を行うには、目的とする研削面の状態に適合した性能を持ったカップ型回転砥石を用いることが必要となる(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
しかしながら、サファイア等の硬脆材料を被研削材とし、上述の目的のために行う高精度削孔研削に適したカップ型回転砥石の仕様は現状では明確になっていない。このため、研削能力が不安定で再現性に乏しく、また研削能力が充分ではなく、仕上がり形状が悪くなり、この形状を修正するために切り込み量を小さくして時間をかけて加工するため効率が非常に悪い。
【特許文献1】特開平11−207634号公報
【特許文献2】特開平05−285843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、サファイアやSiCのような高硬度の材料を安定した研削能力で、高精度かつ高効率に削孔するために適したカップ砥石を提供することにある。これによって、サファイアを削孔する際に生じる加工工数の負荷を低減し、また高精度な円筒形状を達成することが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上記目的を達成するために、サファイアの削孔加工に用いるカップ砥石の仕様と研削性との関係について鋭意研究を重ねた結果、サファイアやSiCのような硬脆材料の削孔加工に適した、安定した研削能力を持ち、研削効率が高く、また高精度の円筒形状を得ることが出来るカップ型回転砥石を見出した。
【0018】
すなわち、請求項1に関わる発明によれば、ダイヤモンド砥粒を用いたセグメントをカップ型台金の外周縁に沿って複数個取り付けたカップ型回転砥石であって、取り付けられるセグメント数は14以上とし、セグメントとセグメントの間の隙間面積を、セグメントの面積に対して40%以上とすることを特徴とする削孔用カップ型回転砥石が提供される。
【0019】
請求項2に関わる発明は、請求項1に記載の削孔用カップ型回転砥石を前提とし、セグメントのダイヤモンド砥粒の集中度を20以下とすることを特徴とする。
【0020】
請求項3に関わる発明は、請求項1および2に記載の削孔用カップ型回転砥石を前提とし、セグメントのダイヤモンド砥粒の結合材がメタルボンドであり、結合度がH(JIS表示)よりも軟らかいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるカップ型回転砥石を用いてサファイアを削孔することにより、サファイアのような高硬度の材料であっても、高精度な円筒形状を、安定した研削能力で高効率に行うことが可能となり、カップ砥石のドレッシングや交換といった工期およびコストの増加要因を低減させることが出来る。
【0022】
特に、サファイアインゴットから窒化物系半導体成長用ウエハーを製造する工程においては、結晶方位の精度やウエハーの平坦度などが重要な品質である。削孔性が不安定で能力も充分ではないカップ型回転砥石を用いると、所望の結晶形状を得る事が出来ない。また研削能力が不安定なため無駄のない研削加工条件を設定するのが困難であるので、非常に効率が悪いという問題があった。
【0023】
したがって、本発明によるカップ型回転砥石を用いることにより、安定した研削能力が維持され、高効率かつ高精度な削孔加工が可能となるため、特にサファイアウエハーのような高精度な加工が要求される製品の製造に対して、製造納期の短縮、加工に要する緒コストの低減が可能となり、その工業的価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の削孔用カップ型回転砥石を詳細に説明する。
【0025】
図2は、請求項1の本発明に係るカップ型回転砥石の一実施形態を下から見た図であり、このカップ型回転砥石10は、カップ型台金11の外周部に、セグメント12が14以上、セグメント間の隙間の間隔11bを保持して一定間隔で取り付けられているものである。ここで、この隙間部の面積11aを、セグメントの面積12aに対して40%以上の大きな面積にしていることが本発明の特徴である。
【0026】
一般に、このようなタイプのカップ型回転砥石では、カップ型台金の外周部に取り付けられるセグメントとセグメンの間の隙間は、対象物の加工に寄与するセグメント部の面積が大きいほど加工効率や精度が良いと考えられていたため、なるべく小さな面積の隙間とし、セグメント部の面積を大きくするように設計されていた。ただし、隙間をゼロとし、台金の外周縁部に切れ目無くセグメントを配置することは、研削加工時に供給される研削液が加工部分へ充分に供給、また排出されるのを妨げるため好ましくないとされていた。
【0027】
しかしながら、本発明では、このように切削液の供給、排出のための目的で設けられているセグメントとセグメントの間に設けられている隙間の面積が、研削液の供給や排出を始めとする様々なカップ型回転砥石の性能において、切削能力や加工精度に大きな影響を与え、特にサファイアやSiCのように高硬度な材料の削孔加工においてはセグメントとセグメントの間の隙間部の面積を40%以上と、従来よりも大きな面積とすることが非常に有効であることを見出すことによって成された。
【0028】
また、このようなカップ型回転砥石に用いられるセグメント部は、サファイアのような高硬度材料を研削するため、サファイアより硬度の高いダイヤモンド砥粒を用いることが一般的であるが、セグメントの砥粒層中に砥粒がどれだけ含まれているかを表す指標である集中度は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜15%とされる。集中度を20%より多くすることは、加工精度、加工速度を落とすばかりで、高価なダイヤモンド砥粒を大量に使うだけ、コスト増となるに過ぎない。
【0029】
また、上記セグメント部においてダイヤモンド砥粒を保持するのに用いられる結合材はメタルボンド形式のものが好ましく、結合材の硬さをあらわす結合度は、JIS規格でH以上であることが好ましい。また、セグメントを構成するダイヤモンド砥粒の粒度は、#60〜#80であることが好ましい。粒度をこれよりも小さくすることは、研削加工効率の低下をまねくだけであり、また粒度を大きくすると砥粒の磨耗によりかえって研削性が落ちてすべりを発生させ、円筒精度を低下させるなど、本発明の効果が不十分となってしまう。
【0030】
本発明によるカップ型回転砥石では、カップ型回転砥石の形状や大きさによって変わるものではなく、カップ型回転砥石の直径、セグメントの取り付けられる外周部によって決まるセグメントの幅、取り付けら得るセグメントの数などによって限定されない。また、カップ型回転砥石を構成する台金の材質も、従来からカップ型回転砥石に用いられているものであれば良い。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明のカップ砥石によるサファイア結晶削孔の実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例)
下記の表1に示すようなセグメントの材質および形状を持ったカップ型回転砥石を作製し、サファイア削孔試験を行い、研削能力およびその安定性、真円度を比較した。
【0032】
また、上述の比較に用いたカップ型回転砥石の共通な仕様は、材質鉄、セグメント部外径90mm、セグメント部内径83.6mm(セグメント幅3.2mm)、セグメント部の砥粒はダイヤモンド、粒度#60/80で、結合材はメタルボンドタイプとした。
【0033】
【表1】


【0034】
削孔する材料は、結晶径125mm、長さ130mmのサファイア単結晶インゴットを使用した。削孔条件は、砥石回転数300rpmとし、削孔速度を2mm/minとして、研削能力不足によって生じる削孔速度の減少及び結晶径の真円度を測定することによって評価した。
【0035】
図1及び下記の表2から明らかなように、本発明の要件である請求項1、2、3をすべて満たす砥石番号4では、他の砥石に対して非常に良好な結果が得られた。
【0036】
【表2】


【0037】
また、砥石番号1では請求項1のセグメント隙間割合を満たす仕様としたが、他の砥石と比較して最も悪い結果となった。砥石番号2では請求項2を満たす仕様としたが砥石番号3、4、5と比較すると劣る結果となった。砥石番号3では請求項1〜3のうち請求項3にて示したメタルボンドを結合材としたときの結合度がH(JIS表示)よりも軟らかいという条件を満たさない結合度Jとしたが、砥石番号4、5と比較すると劣る結果になった。砥石番号5では請求項2にて示した集中度12.5以下という条件を満たさない30としたが、砥石番号4と比較すると劣る結果となった。このように、本発明の要件をすべてみたすことで砥石番号4で得られた結果のように安定した削孔速度及び真円度50μm以下を達成することが可能となり、本発明のカップ型回転砥石が硬脆材料であるサファイアの削孔に極めて有効であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上より明らかなように、本発明の削孔用カップ型回転砥石を用いることにより、サファイアやSiCのような高硬度材料に対しても、安定性に優れ、研削効率が高く高精度の削孔加工を行うことができることにより、工期の短縮とコストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】種々のカップ砥石をパラメータとしたときの本数と平均削孔速度との関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係るカップ型回転砥石の一実施形態を下から見た図な例を示す
【符号の説明】
【0040】
10 カップ型回転砥石
11 台金
11a セグメント間の隙間の面積
11b セグメント間の隙間の間隔
12 セグメント
13 カップ型回転砥石回転軸中心
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100087583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 増顕


【公開番号】 特開2008−12606(P2008−12606A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184097(P2006−184097)