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【発明の名称】 超砥粒砥石及びその製造方法
【発明者】 【氏名】小野 直人

【要約】 【課題】目詰まりを起こし難く、砥粒の突き出し高さを十分に得ることのできる超砥粒砥石及びその製造方法を提供する。

【構成】超砥粒10をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップ3を有する超砥粒砥石1及びその製造方法である。この砥石チップ3は、超砥粒10を保持する高強度結合層11と、高強度結合層11と交互に積層され、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層12とを有し、超砥粒10が高強度結合層11と低強度結合層12との間に挟装されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超砥粒をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップを有する超砥粒砥石において、
前記超砥粒を保持する高強度結合層と、
該高強度結合層と交互に積層され、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層とを有し、
前記超砥粒は前記高強度結合層と前記低強度結合層との間に挟装されることを特徴とする超砥粒砥石。
【請求項2】
請求項1において、前記超砥粒は砥粒径の55〜65%が前記高強度結合層に埋没していることを特徴とする超砥粒砥石。
【請求項3】
型内に低強度結合粉体を充填しプレスして低強度結合粉体層を形成し、該低強度結合粉体層に複数の超砥粒を散在させ各該超砥粒の一部を埋設し、各該超砥粒の一部が埋設されて散在された前記低強度結合粉体層上に高強度結合粉体を充填しプレスして高強度結合粉体層を形成することにより複合層とし、該複合層を順次積層形成する第1工程と、
積層形成された該複合層をプレスして成形体とする第2工程と、
該成形体を焼成して砥石チップを得る第3工程と、
該砥石チップをコアに貼付する第4工程と、を備えることを特徴とする超砥粒砥石の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、超砥粒をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップを有する超砥粒砥石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された超砥粒砥石のツルーイング方法が知られている。このツルーイング方法に用いられる超砥粒砥石は、ダイヤモンドの超砥粒をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップが円盤状のコアの外周に貼り付けられたものである。砥石チップは、超砥粒、ビトリファイドボンド、発泡剤及び有機物粒子を混錬し、これを型に充填して成形した後、焼成することにより得られる。このようにして得られた砥石チップの断面図を図10に示す。砥石チップ90は、超砥粒91が気孔を含むビトリファイドボンド92で結合されている。この超砥粒砥石のツルーイング方法は、4A族、5A族、6A族のいずれかに属する金属又はその合金を砥石の砥石作業面に接触させるものである。このツルーイング方法によれば、上記金属又はその合金の切り粉が砥石に含まれるビトリファイドボンドを除去するため、切れ味を回復させることができると考えられる。
【0003】
また、特許文献2に記載された超砥粒砥石も知られている。この超砥粒砥石は、炭化物形成金属含有層と炭化物非形成金属層とを積層し、両層の間にダイヤモンド砥粒を挟装した砥石チップを有している。この超砥粒砥石では、炭化物形成金属含有層がダイヤモンド砥粒と反応接着し、ダイヤモンド砥粒の脱落を抑えることができる。また、炭化物非形成金属層はダイヤモンド砥粒と化学反応を起こさないため、ダイヤモンド砥粒表面にダメージを受けず、砥石の寿命が長くなるとともに研削加工精度が向上する。
【特許文献1】特開平10−6216号公報
【特許文献2】特開平10−562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1記載の超砥粒砥石のツルーイング方法では、砥粒の突き出し高さが十分に確保されない虞がある。すなわち、超砥粒砥石のビトリファイドボンドは超砥粒を保持する役目を担っているため、ある程度の強度が必要とされ、上記金属又はその合金の切り粉によってビトリファイドボンドを良好に除去されるとは限らないからである。その結果、図11に示すように、超砥粒91周辺のビトリファイドボンド92が十分に除去されず、超砥粒91の突き出し高さh2が十分に確保されない事態が起こり得る。
【0005】
また、特許文献2記載の超砥粒砥石では、炭化物形成金属含有層はメタルボンドを用いているため、ビトリファイドボンドのように気孔の形成を自由に調整することができず、目詰まりを起こし易いという欠点を有している。
【0006】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、目詰まりを起こし難く、砥粒の突き出し高さを十分に得ることのできる超砥粒砥石及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る超砥粒砥石の特徴は、超砥粒をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップを有する超砥粒砥石において、前記超砥粒を保持する高強度結合層と、該高強度結合層と交互に積層され、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層とを有し、前記超砥粒は前記高強度結合層と前記低強度結合層との間に挟装されることである。
【0008】
請求項2に係る超砥粒砥石の特徴は、請求項1において、前記超砥粒は砥粒径の55〜65%が前記高強度結合層に埋没していることである。
【0009】
請求項3に係る超砥粒砥石の製造方法の特徴は、型内に低強度結合粉体を充填しプレスして低強度結合粉体層を形成し、該低強度結合粉体層に複数の超砥粒を散在させ各該超砥粒の一部を埋設し、各該超砥粒の一部が埋設されて散在された前記低強度結合粉体層上に高強度結合粉体を充填しプレスして高強度結合粉体層を形成することにより複合層とし、該複合層を順次積層形成する第1工程と、積層形成された該複合層をプレスして成形体とする第2工程と、該成形体を焼成して砥石チップを得る第3工程と、該砥石チップをコアに貼付する第4工程と、を備えることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る超砥粒砥石においては、超砥粒をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップを有しているため、気孔の形成を自由に調整することができる。また、この超砥粒砥石では、超砥粒を保持する高強度結合層と、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層との間に超砥粒が挟装されるため、ツルーイング時及び研削加工時に低強度結合層が容易に除去される。したがって、この超砥粒砥石によれば、目詰まりを起こし難く、砥粒の突き出し高さを十分に得ることができる。また、この超砥粒砥石では、砥粒の突き出し高さを十分に得ることができるため、超砥粒の先端が平滑化して切れ味が低下した場合、ツルーイングにより複数回に亘って切れ味を回復できる。さらに、この超砥粒砥石では、ツルーイングを繰り返し砥粒の突き出し高さが不十分になった場合、その超砥粒を含む高強度結合層を削り落とせば1つ下層の超砥粒が出現する。
【0011】
請求項2に係る超砥粒砥石においては、超砥粒は砥粒径の55〜65%が高強度結合層に埋没しているため、超砥粒が高強度結合層に確実に保持される。
【0012】
請求項3に係る超砥粒砥石の製造方法においては、第1工程において低強度結合粉体層と高強度結合粉体層との間に複数の超砥粒が挟装される複合層を順次積層形成し、第2工程において積層形成された複合層をプレスして成形体とし、第3工程において成形体を焼成して砥石チップとし、第4工程において砥石チップをコアに貼付して超砥粒砥石としているため、目詰まりを起こし難く、砥粒の突き出し高さを十分に得ることができる超砥粒砥石を確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る超砥粒砥石及びその製造方法を具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1に示すように、この超砥粒砥石1は、鉄アルミニウム等の金属、あるいは樹脂等で成形されたコアとしての円盤状コア2の外周面に砥石チップ3を接着剤で貼り付けたものである。
【0014】
図2は、砥石チップ3の断面図である。砥石チップ3は、CBN(立方晶窒化ホウ素)やダイヤモンドの超砥粒10を保持する高強度結合層11と、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層12とが交互に積層されている。そして、超砥粒10は砥粒径(R)の55〜65%が高強度結合層11に埋没している。
【0015】
図3は、ダイヤモンド製のドレッサ40(図1参照)によるツルーイング後の砥石チップ3の断面図である。ツルーイング後の砥石チップ3では、低強度結合層12が十分に除去され、砥粒の突き出し高さはh1となっている。
【0016】
次に、この超砥粒砥石の製造方法について図4により説明する。ステップS1において、図5に示す低強度結合粉体層22を形成する。まず、図5に示すように、長方形状の外型42の内側底部に下型41が嵌合され、下型41の上面には円弧状の凹面41aが形成された型を用意する。この下型41上に低強度結合粉体を充填した後、第1上型43を外型42の内面に沿って下降し、低強度結合粉体を仮プレスして低強度結合粉体層22が形成される。
【0017】
ステップS2においては、図6に示すように、低強度結合粉体層22に複数の超砥粒10の一部を埋設させて散在させる。この際、図7に示す樹脂シート50を用いることができる。樹脂シート50は、樹脂製のシート本体51と、シート本体51の凹部51aに挿入された超砥粒10と、超砥粒10をシート本体51に固定する樹脂52とにより構成されている。凹部51aはシート本体51に等間隔で配置されている。図6に示すように、この樹脂シート50を低強度結合粉体層22上に配置し、第1上型43で仮プレスすることにより、低強度結合粉体層22に超砥粒10を一部埋設させることができる。ここで、焼成後に得られる砥石チップ3において、超砥粒10の砥粒径(R)の55〜65%が高強度結合層11に保持されるように、低強度結合粉体層22に超砥粒10を埋設させる。このように、樹脂シート50を用いることにより、簡単かつ確実に低強度結合粉体層22に複数の超砥粒10の一部を埋設させて単層構造として散在させることができる。なお、樹脂シート50を用いることなく、手作業等の方法で低強度結合粉体層22に複数の超砥粒10の一部を埋設させて散在させ、第1上型43で仮プレスすることにより低強度結合粉体層22に超砥粒10を一部埋設させてもよい。
【0018】
ステップS3においては、図8示す高強度結合粉体層21を形成して複合層23を形成する。超砥粒10を一部埋設させた低強度結合粉体層22上に高強度結合粉体を充填した後、第1上型43で仮プレスして高強度結合粉体層21を形成する。こうして、低強度結合粉体層22と高強度結合粉体層21とにより超砥粒10が挟持された複合層23が形成される。なお、高強度結合粉体及び低強度結合粉体の主原料は、ガラス質を主成分とするビトリファイドボンドである。ただし、焼成後に得られる砥石チップ3の低強度結合層12が高強度結合層11より軟質になるように、低強度結合粉体には添加剤を加える。この添加剤として、5質量%程度のBN(窒化ホウ素)又はタルク(珪酸マグネシウム)を採用することができる。これにより、ビトリファイドボンドの結合力を弱めることができる。また、添加剤として、5質量%程度の炭酸カルシウムを採用することもできる。これにより、炭酸カルシウムがガラス質と反応して発泡するため、ビトリファイドボンドの体積比率を下げることができる。
【0019】
ステップS4においては、ステップS1からステップS3の操作を繰り返し、複合層23を積層形成する。ステップS5においては、図9に示すように、第2上型44を外型42の内面に沿って下降し、積層形成された複合層23をプレスして成形体24を形成する。ステップS6においては、第2上型44を上昇させ、成形体24が外型42、下型41から取り出される。その後、成形体24は乾燥される。
【0020】
ステップS7においては、成形体24を焼成する。これにより、図2に示す砥石チップ3を得ることができる。ステップS8においては、図1に示すように、この砥石チップ3を円盤状コア2の外周面に接着剤で貼り付けて、超砥粒砥石1を得ることができる。
【0021】
本実施形態の超砥粒砥石の製造方法においては、ステップS1〜ステップS8により、超砥粒10を保持する高強度結合層11と、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層12との間に超砥粒10が挟装される砥石チップ3を有する超砥粒砥石1を確実に得ることができる。この超砥粒砥石1では、超砥粒10をビトリファイドボンドで結合して形成される砥石チップ3を有しているため、気孔の形成を自由に調整することができる。このため、研削加工時において、切りくずを排出しやすくして目詰まりが生じることを防止できる。また、この超砥粒砥石1では、超砥粒10を保持する高強度結合層11と、ツルーイング時及び研削加工時に排出される低強度結合層12との間に超砥粒10が挟装されるため、ツルーイング時及び研削加工時に低強度結合層12が容易に除去される。したがって、この超砥粒砥石1によれば、目詰まりを起こし難く、超砥粒10の突き出し高さh1を十分に得ることができる。また、この超砥粒砥石1では、超砥粒10の突き出し高さh1を十分に得ることができるため、超砥粒10の先端が平滑化して切れ味が低下した場合、ツルーイングにより複数回に亘って切れ味を回復できる。さらに、この超砥粒砥石1では、ツルーイングを繰り返し超砥粒10の突き出し高さh1が不十分になった場合、その超砥粒10を含む高強度結合層11をドレッサ40で削り落とせば1つ下層の超砥粒10が出現する。なお、高強度結合層11を特許文献2記載の超砥粒砥石のようにメタルボンドで形成してしまうと、強度が強くなりすぎてドレッサ40では削り落とせなくなってしまうという問題が生じる。
【0022】
また、この超砥粒砥石1においては、超砥粒10は砥粒径の55〜65%が高強度結合層11に埋没しているため、超砥粒10が高強度結合層11に確実に保持される。
【0023】
以上、本発明の超砥粒砥石及びその製造方法を実施形態に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態の超砥粒砥石の正面図。
【図2】実施形態の超砥粒砥石に係り、ツルーイング前の砥石チップの断面図。
【図3】実施形態の超砥粒砥石に係り、ツルーイング後の砥石チップの断面図。
【図4】実施形態の超砥粒砥石の製造方法を示すフローチャート。
【図5】実施形態の超砥粒砥石の製造方法に係り、低強度結合粉体層の形成方法を示す断面図。
【図6】実施形態の超砥粒砥石の製造方法に係り、超砥粒を一部埋設させる方法を示す断面図。
【図7】実施形態の超砥粒砥石の製造方法に係り、樹脂シートの拡大断面図。
【図8】実施形態の超砥粒砥石の製造方法に係り、複合層の形成方法を示す断面図。
【図9】実施形態の超砥粒砥石の製造方法に係り、成形体の形成方法を示す断面図。
【図10】従来の超砥粒砥石に係り、ツルーイング前の砥石チップの断面図。
【図11】従来の超砥粒砥石に係り、ツルーイング後の砥石チップの断面図。
【符号の説明】
【0025】
1…超砥粒砥石、2…コア(円盤状コア)、3…砥石チップ、10…超砥粒、11…高強度結合層、12…低強度結合層、21…高強度結合粉体層、22…低強度結合粉体層、23…複合層、24…成形体、41、42、43、44…型(41…下型、42…外型、43…第1上型、44…第2上型)。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩

【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総


【公開番号】 特開2008−12605(P2008−12605A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183611(P2006−183611)