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【発明の名称】 溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法および装置
【発明者】 【氏名】岩田 恭一

【要約】 【課題】溝部を有する鋳造品などの被処理製品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法を提供する。

【解決手段】溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、被処理製品を横軸回転する回転ケージに設置し、被処理製品を横軸回転させる被処理製品回転工程と、所定の投射分布密度で処理を行う第1投射工程と、投射分布密度が第1投射工程の投射分布密度の30〜60%となるように処理を行う第2投射工程とを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、
被処理製品を横軸回転する回転ケージに設置し、被処理製品を横軸回転させる被処理製品回転工程と、
所定の投射分布密度で処理を行う第1投射工程と、
投射分布密度が第1投射工程の投射分布密度の30〜60%となるように処理を行う第2投射工程
とを含むショットブラスト方法。
【請求項2】
前記被処理製品における溝部が、該溝部の最小開口長さに対する溝部の深さの溝形状比率として5〜20%である形状を呈していることを特徴とする請求項1記載のショットブラスト方法。
【請求項3】
溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置であって、
投射材を被処理製品に投射する投射室と、
投射室の内部に配置され被処理製品を保持し横軸に回転する機構を有する回転ケージと、
投射室の外側に配置された遠心投射装置と、
遠心投射装置に供給する投射材を貯蔵する貯蔵ホッパーと、
遠心投射装置と貯蔵ホッパーを接続する接続管と、
接続管に配置され貯蔵ホッパーから遠心投射装置へ供給される投射材の量を調整する投射量調整ゲートと、
投射されて投射室下部に溜まった投射材を再び貯蔵ホッパーへ輸送する投射材循環装置
とを備えてなるショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法および装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、溝部を有する被処理製品、たとえば鋳造後の鋳造品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被処理製品としての圧縮コイルばねに投射材を投射して、被処理製品に付着した異物を除去するためや、圧縮残留応力を付与するためにショット処理がされている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−251375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溝部を有する鋳造品の金属製品に対してショットブラスト処理を行う場合、溝部のように開口部が狭く、かつ深さが深い部位については、投射材が溝部に溜まりやすい。このため、溜まった投射材が処理の妨げになり投射された投射材が奥まで入ることが困難となり、バリなどの異物を効率よく除去することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、溝部を有する鋳造品などの被処理製品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のショットブラスト方法は、溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、被処理製品を横軸回転する回転ケージに設置し、被処理製品を横軸回転させる被処理製品回転工程と、所定の投射分布密度で処理を行う第1投射工程と、投射分布密度が第1投射工程の投射分布密度の30〜60%となるように処理を行う第2投射工程とを含むことを特徴としている。
また、前記被処理製品における溝部が、該溝部の最小開口長さに対する溝部の深さの溝形状比率として5〜20%である形状を呈しているのが好ましい。
【0007】
また、本発明のショットブラスト装置は、溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置であって、投射材を被処理製品に投射する投射室と、投射室の内部に配置され被処理製品を保持し横軸に回転する機構を有する回転ケージと、投射室の外側に配置された遠心投射装置と、遠心投射装置に供給する投射材を貯蔵する貯蔵ホッパーと、遠心投射装置と貯蔵ホッパーを接続する接続管と、接続管に配置され貯蔵ホッパーから遠心投射装置へ供給される投射材の量を調整する投射量調整ゲートと、投射されて投射室下部に溜まった投射材を再び貯蔵ホッパーへ輸送する投射材循環装置とを備えてなるからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被処理製品を横軸回転する回転ケージに設置し、被処理製品を回転させることにより、被処理製品の溝部を有する面を一定間隔で下向きにすることができる。このとき、溝部に溜まった投射材を被処理製品より排出することができ、処理が必要な溝の内部が露出される。さらに被処理製品が回転することによって、全周の処理が有効になり、あらゆる位置に溝部が存在しても適切に投射材は排出することができる。
【0009】
また、前記第1投射工程では、被処理製品の外側に付着した大きなバリを除去することを目的とし、前記第2投射工程では、その投射分布密度が第1投射工程の投射分布密度の30〜60%となるように処理を行うことによって、投射された投射材同士の干渉を少なくし、他の投射材との衝突による減速や方向変化を抑制することによって、溝部へ効率良く進入し溝内部に形成されたバリを除去することができる。
なお、本明細書において投射分布密度とは、遠心投射装置からの投射によって被処理製品に投射材が衝突するときの単位面積あたり単位時間あたりの投射材の重量(kg/(m・min))である。この投射分布密度は、遠心投射装置に供給する投射材の量、すなわち投射量(kg/min)を減少させることや、遠心投射装置から分散投射される角度を幅広くすることによって変えることができるため、本発明において、第2投射工程の投射分布密度の設定はいづれの方法でも良い。なお、遠心投射装置から分散投射される角度を幅広くするためには遠心投射装置に構成されるコントロールケージの開口面積を広げることで可能となる。
また、被処理製品の溝部の形状は、溝部の最小開口長さに対する溝部の深さの溝形状比率、すなわち溝部深さ/溝部最小開口長さが5〜20%である形状であるのが好ましい。この溝形状比率が20%を超える場合は溝部が深過ぎて効果を得づらく、同様に5%未満の場合は、開口が広いため第2投射工程の投射分布密度を30〜60%にする効果がなく逆に処理時間が長くなってしまうためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて本発明の溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置を説明する。本発明は、被処理製品、たとえば鋳造品や、機械加工された製品の溝部に形成されたバリを除去するために適用することができ、本実施の形態にかかわるショットブラスト装置は、図1に示されるように、被処理製品1を横軸に回転自在に保持する回転ケージ2と、該被処理製品1および回転ケージ2を囲う投射室本体3と、投射室本体3の外側に配置された遠心投射装置4と、遠心投射装置4に供給する投射材を貯蔵する貯蔵ホッパー5と、遠心投射装置4と貯蔵ホッパー5を接続する接続管6と、該接続管6に配置され貯蔵ホッパー5から遠心投射装置4へ供給される投射材の量を調整する投射量調整ゲート7と、投射されて投射室本体3の下部に溜まった投射材を再び貯蔵ホッパー5へ輸送する投射材循環装置8と備えている。なお、図1において、符号9はショットブラスト機本体である。
【0011】
図1において、投射材循環装置8は、投射室本体3の下部に設置されたスクリューコンベア10と、スクリューコンベア10の片側に設置されたバケットエレベータ11と、バケットエレベータ11の上部の投射材投げ出し部12に設置されたロータリースクリーン13とを具備している。
【0012】
被処理製品1は、横軸に回転自在に保持する回転ケージ2によって保持され回転する(被処理製品回転工程)。そして、回転している被処理製品1に向け、遠心投射装置4より所定の投射分布密度で投射される(第1投射工程)。ついで、投射分布密度が第1投射工程の投射分布密度に対して所定の比率となるように投射される(第2投射工程)。投射材は、投射室本体3の下部に集められたのち、該投射室本体3と接続されたスクリューコンベア10によりバケットエレベータ11に輸送される。ついで、バケットエレベータ11によって上部まで輸送された投射材は、投射材投げ出し部12を通りロータリースクリーン13に送られスクリーンを抜けた再使用可能な正常な投射材は貯蔵ホッパー5に貯蔵される。ここで、スクリーンから抜けない大きな物、すなわちバリなどの異物は機外へ排出される。貯蔵ホッパー5に貯蔵された投射材は再び接続管6を通り、投射量調整ゲート7にて投射量を調節されたのち、遠心投射装置4に送られ投射される。
【0013】
本実施の形態で第1投射工程の投射分布密度は、被処理製品の大きさ、材質、バリの付着状況によって設定されるが、第2投射工程の投射分布密度は、第1投射工程の投射分布密度に応じて決定するのが好ましい。本実施の形態における前記第1投射工程の投射分布密度に対する所定の比率としては、30〜60%に設定することにより、溝部へ効率良く進入し溝内部に形成されたバリを除去することができる。
また、本実施の形態では遠心投射装置4が被処理製品1の上部の位置に設定されているが、前記被処理製品1は横軸回転するため、一定間隔で必ず溝部が下向きとなる。このため、前記遠心投射装置4の配置は被処理製品の回転軸回りの所定の位置、たとえば下部位置やその他放射方向の位置に設置することもできる。
また、投射材循環装置8は投射室本体3の下部に溜まった投射材を貯蔵ホッパー13へ輸送できれば、バケットエレベータ11を用いたものに限定されるものではなく、たとえばベルトコンベアーや、スクリューコンベア、空気輸送パイプなどを適宜用いた投射材循環装置とすることができる。
さらに、投射材循環装置8には投射材に混入したバリなどの異物を除去するために投射材分別装置が設置されているのが好ましい。この投射材分別装置としては、バリと投射材が分別できるものであれば、本発明において、とくに限定されるものではないが、たとえば風撰式セパレータや、振動フルイ、ロータリースクリーンなどを適宜用いることができる。
また、本発明が適用される溝部を有する被処理製品は、溝部の開口部が大きい金属部品はもちろん、開口部の最小間口が狭く、深さが深い形状、具体的には、溝部の最小開口長さに対する溝部の深さの溝形状比率が5〜20%である形状の溝、細穴などを有する金属部品などとすることができる。これは、溝形状比率が20%を超える場合は溝部が深過ぎて効果を得づらく、同様に5%未満の場合は、開口が広いため第2投射工程の投射分布密度を30〜60%にする効果がなく逆に処理時間が長くなってしまうためである。
また、除去対象はバリに限定されるものでなく、砂、スケールなど被処理製品にとって不必要な異物の除去を目的としていればいずれでも良い。
【0014】
つぎに本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。本実施例では、被処理製品としてのアルミダイカスト品(アルミニウムを主成分とする鋳物)の鋳造時に発生する鋳バリを除去するために前記実施の形態のショットブラスト装置を使用する。ここで、アルミダイカスト品の大きさは縦寸法が300mm、横寸法が200mmおよび厚さが50mmである。また、アルミダイカスト品に形成される溝部の形状は、開口部が4mmであり、深さは40mmである。回転ケージによりアルミダイカスト品の回転数は30rpmとした。投射材は平均粒径が1.0mm、平均硬度がHV100の亜鉛製の投射材を使用した。また、本実施例では、前記第1投射工程の投射分布密度M1と第2投射工程の投射分布密度M2について、表1に示される比率により処理を実施した。なお、溝部の内部処理の状態は顕微鏡を用いて写真により評価した。ここで、表1において○印は投射材による打痕が充分に付着している状態であり、△印は投射材による打痕は確認できるが充分でない状態であり、×印は投射材による打痕が少ない状態である。
【0015】
【表1】


また、本実施例では、アルミダイカスト品を被処理製品回転工程および第1投射工程の処理についても行った。
図3に未処理のアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態(未処理製品)を示す。図4に被処理製品回転工程および第1投射工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態(一部処理製品)を示す。図5に代表として実施例3における被処理製品回転工程および第1、第2投射工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態を示す。図6に比較例3における被処理製品回転工程および第1、第2投射工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態を示す。
本実施例の結果から明らかなように、被処理製品回転工程および第1投射工程の処理を施した一部処理製品(図4)は未処理製品(図3)とあまり変化がなく充分処理されていないことが分かる。
そして、本実施例は表1から、被処理製品回転工程および第1、第2投射工程の処理を施すとともに、この第1投射工程と第2投射工程の投射分布密度の比率を30〜60%にすることにより、投射材による打痕が充分に付着されており効率よく内部処理がされていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわるショット処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかわるショット処理装置の概略構成図である。
【図3】未処理のアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【図4】被処理製品回転工程および第1投射工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【図5】被処理製品回転工程および第1、第2投射工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【図6】比較例3にて処理を施したアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 被処理製品
2 回転ケージ
3 投射室本体
4 遠心式投射装置
5 貯蔵ホッパー
6 接続管
7 投射量調整ゲート
8 投射材循環装置
9 ショットブラスト機本体
10 スクリューコンベア
11 バケットエレベータ
12 投射材投げ出し部
13 ロータリースクリーン
【出願人】 【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【出願日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−200810(P2008−200810A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−40113(P2007−40113)