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【発明の名称】 溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法および装置
【発明者】 【氏名】岩田 恭一

【要約】 【課題】溝部を有する鋳造品などの被処理製品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法を提供する。

【解決手段】溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、被処理製品の外側に形成された大きなバリを除去するため、被処理製品を回転させ投射材を被処理製品に投射する外部バリ除去工程と、被処理製品の溝部の内部に形成された異物を除去するため、圧縮エアで被処理製品の溝部の内部へブローしながら投射材を被処理製品に投射する内部バリ除去工程とを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、
被処理製品の外側に形成された大きなバリを除去するため、被処理製品を回転させ投射材を被処理製品に投射する外部バリ除去工程と、
被処理製品の溝部の内部に形成された異物を除去するため、圧縮エアで被処理製品の溝部の内部へブローしながら投射材を被処理製品に投射する内部バリ除去工程
とを含むショットブラスト方法。
【請求項2】
前記内部バリ除去工程が、圧縮エアと投射材を同時に噴射させるエアノズルを用いることを特徴とする請求項1記載のショットブラスト方法。
【請求項3】
前記内部バリ除去工程において、投射材が溝部へ向く位置で被処理製品が停止することを特徴とする請求項1または2記載のショットブラスト方法。
【請求項4】
溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置であって、
投射材を被処理製品に投射する投射室本体と、
投射室本体の内部に配置されライナーによって3つに区切られた脱着ゾーン、外部バリ除去ゾーンおよび内部バリ除去ゾーンの処理ブースを具備したブースと、
ブースの各処理ブースに配置され被処理製品を保持し被処理製品を中心に回転する機構を持つ回転ケージと、
投射室本体の外側に配置され外部バリ除去ゾーンに位置する処理ブースに設置された被処理製品へ投射材を投射する遠心投射装置と、
内部バリ除去ゾーンに位置する処理ブースに位置する被処理製品へ圧縮エアを用いて投射材を噴射するエアノズルと、
圧縮エア供給装置にエア配管によって接続され投射材を加圧しながら貯蔵する加圧タンクと、
加圧タンクに貯蔵された投射材と圧縮エアを混合するミキシングバルブと、
加圧タンクとミキシングバルブを接続する配管に設置された噴射量調整バルブと、
ミキシングバルブとエアノズルを接続する輸送ホースと、
遠心投射装置および加圧タンクに供給する投射材を貯蔵する貯蔵ホッパーと、
遠心投射装置および加圧タンクと貯蔵ホッパーを接続する接続管と、
各接続管に配置され貯蔵ホッパーから遠心投射装置および加圧タンクへ供給される投射材の量を調整する投射量調整ゲートと、
投射されて投射室本体の下部に溜まった投射材を再び貯蔵ホッパーへ輸送する投射材循環装置
とを備えてなるショットブラスト装置。
【請求項5】
前記ブースにおいて、各処理ブースが放射線上に3つに区切られ、放射線の交点を中心軸に回転する回転ブースであることを特徴とする請求項4記載のショットブラスト装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法および装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、溝部を有する被処理製品、たとえば鋳造後の鋳造品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被処理製品としての圧縮コイルばねに投射材を投射して、被処理製品に付着した異物を除去するためや、圧縮残留応力を付与するためにショット処理がされている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−251375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溝部を有する鋳造品の金属製品に対してショットブラスト処理を行う場合、溝部のように開口部が狭く、かつ深さが深い部位については、投射材が溝部に溜まりやすい。このため、溜まった投射材が処理の妨げになり投射された投射材が奥まで入ることが困難となり、バリなどの異物を効率よく除去することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、溝部を有する鋳造品などの被処理製品の溝内部に形成されたバリなどの異物をショットブラスト処理により効率的に除去し、製品の品質を向上する被処理製品のショットブラスト方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のショットブラスト方法は、溝部を有する被処理製品のショットブラスト方法であって、被処理製品の外側に形成された大きなバリを除去するため、被処理製品を回転させ投射材を被処理製品に投射する外部バリ除去工程と、被処理製品の溝部の内部に形成された異物を除去するため、圧縮エアで被処理製品の溝部の内部へブローしながら投射材を被処理製品に投射する内部バリ除去工程とを含むことを特徴としている。
また、内部バリ除去工程が、圧縮エアと投射材を同時に噴射させるエアノズルを用いるのが好ましい。
また、内部バリ除去工程において、投射材が溝部へ向く位置で被処理製品が停止するのが好ましい。
【0007】
また、本発明のショットブラスト装置は、溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置であって、投射材を被処理製品に投射する投射室本体と、投射室本体の内部に配置されライナーによって放射線上に3つに区切られた脱着ゾーン、外部バリ除去ゾーンおよび内部バリ除去ゾーンの処理ブースを具備し放射線の交点を中心軸に回転する回転ブースと、回転ブースの各処理ブースに配置され被処理製品を保持し被処理製品を中心に回転する機構を持つ回転ケージと、投射室本体の外側に配置され外部バリ除去ゾーンに位置する処理ブースに設置された被処理製品へ投射材を投射する遠心投射装置と、内部バリ除去ゾーンに位置する処理ブースに位置する被処理製品へ圧縮エアを用いて投射材を噴射するエアノズルと、圧縮エア供給装置にエア配管によって接続され投射材を加圧しながら貯蔵する加圧タンクと、加圧タンクに貯蔵された投射材と圧縮エアを混合するミキシングバルブと、加圧タンクとミキシングバルブを接続する配管に設置された噴射量調整バルブと、ミキシングバルブとエアノズルを接続する輸送ホースと、遠心投射装置および加圧タンクに供給する投射材を貯蔵する貯蔵ホッパーと、遠心投射装置および加圧タンクと貯蔵ホッパーを接続する接続管と、各接続管に配置され貯蔵ホッパーから遠心投射装置および加圧タンクへ供給される投射材の量を調整する投射量調整ゲートと、投射されて投射室本体の下部に溜まった投射材を再び貯蔵ホッパーへ輸送する投射材循環装置とを備えてなるからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、投射材を遠心投射装置によって被処理製品に投射することによって被処理製品の外側に形成された大きなバリを除去できるとともに、圧縮エアで被処理製品の溝部の内部へブローすることによって溝部の内部に溜まった投射材を排出しながら処理することにより、溜まった投射材によって妨げられることなく被処理製品の溝部の内部に形成された小さなバリなどの異物を除去することができる。
【0009】
また、内部バリ除去工程において、エアノズルの噴射を利用し圧縮エアとともに投射材を同時に噴射させることにより、装置の構成を簡略化することができる。
また、内部バリ除去工程では、圧縮エアのブローにより投射材が溝部に溜まる量が少ないため、被処理製品の溝部に集中して投射される位置に被処理製品の回転を停止させ処理させると処理時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて本発明の溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置を説明する。本発明は、被処理製品、たとえば鋳造品や、機械加工された製品の溝部に形成されたバリを除去するために適用することができ、本実施の形態にかかわるショット処理装置は、図1および2に示されるように、投射材Sを被処理製品1に投射する投射室本体2と、投射室本体2の内部(投射室)に配置されライナーによってブースとして、3方向である放射線上に3つに区切られ3つの処理ブース4を具備し放射線の交点を中心軸Cに回転する回転ブース5と、回転ブース5の各処理ブース4に配置され被処理製品1を保持し被処理製品1を中心に回転する機構を持つ回転ケージ6と、投射室本体2の外側に配置され外部バリ除去ゾーン21に位置する処理ブース4に設置された被処理製品1へ投射材Sを投射する遠心投射装置7と、内部バリ除去ゾーン22に位置する処理ブース4に位置する被処理製品1へ圧縮エアを用いて投射材Sを噴射するエアノズル8と、圧縮エア供給装置Pにエア配管P1によって接続され投射材Sを加圧しながら貯蔵する加圧タンク9と、加圧タンク9に貯蔵された投射材Sと圧縮エアを混合するミキシングバルブ10と、加圧タンク9とミキシングバルブ10を接続する配管に設置された噴射量調整バルブ11と、ミキシングバルブ10とエアノズル8を接続する輸送ホース12と、遠心投射装置7および加圧タンク9に供給する投射材Sを貯蔵する貯蔵ホッパー13と、遠心投射装置7および加圧タンク9と貯蔵ホッパー13を接続する接続管14と、各接続管14に配置され貯蔵ホッパー13から遠心投射装置7および加圧タンク9へ供給される投射材Sの量を調整する投射量調整ゲート15と、投射されて投射室下部に溜まった投射材Sを再び貯蔵ホッパー13へ輸送する投射材循環装置16が設置されている。
【0011】
図1において、投射材循環装置16は、投射本体2の下部に設置されたスクリューコンベア17と、スクリューコンベア17の片側に設置されたバケットエレベータ18と、バケットエレベータ上部の投射材投げ出し部19に設置されたロータリースクリーン20とを具備している。
【0012】
被処理製品1は、脱着ゾーン23において作業者Mまたはロボットにより回転ケージ6に設置される。回転ブース5が1/3回転し、被処理製品1は外部バリ除去ゾーン21へ移り、回転ケージ6により回転されながら遠心投射装置7によって投射される(外部バリ除去工程)。投射された後、回転ブース5が再び1/3回転し、被処理製品1は内部バリ除去ゾーン22へ移り、回転ケージ6によって被処理製品1の溝部が投射方向に向くよう回転されたのち停止、固定されエアノズル8によって噴射される圧縮エアと投射材Sによって処理される(内部バリ除去工程)。ここで、外部バリ除去工程によって溝部には投射材Sが溜まっているため、投射材Sを噴射する前に圧縮エアのみを噴射し溝部に溜まった投射材Sを除去するのが望ましい。投射された後、回転ブース5が再び1/3回転し、被処理製品1は脱着ゾーン23へ戻される。
投射材Sは、遠心投射装置7およびエアノズル8から投射され、投射室本体2の下部に集められたのち、該投射室本体2と接続されたスクリューコンベア17によりバケットエレベータ18に輸送される。ついで、バケットエレベータ18によって上部まで輸送された投射材は、投射材投げ出し部19を通りロータリースクリーン20に送られスクリーンを抜けた正常投射材は貯蔵ホッパー13に貯蔵される。ここで、スクリーンから抜けない大きな物、すなわちバリなどの異物は機外へ排出される。貯蔵ホッパー13に貯蔵された投射材Sは投射量調整ゲート15にて投射量を調節されたのち、再び接続管14を通り、遠心投射装置7および加圧タンク9に送られる。遠心投射装置7に送られた投射材Sはそこで再び投射される。一方加圧タンク9に送られた投射材Sは、加圧タンク9内で圧縮エアと共に貯蔵され噴射量調整バルブ11によって噴射量が調節されミキシングバルブ10へ供給される。ミキシングバルブ10で噴射エアと混合された後、輸送ホース12を通りエアノズル8から投射される。
【0013】
なお、本実施の形態ではブースとして、各処理ブースが放射線上に3つに区切られ、放射線の交点を中心軸に回転する回転ブースにされているが、本発明においては、3つに区切られた処理ブースを具備していれば、これに限定されるものではなく、処理ブースを並列配置や縦配置など適宜選定することができる。
また、本実施の形態では、遠心投射装置7が2台使用されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、台数は適宜選定することができる。また、本実施の形態では、圧縮エアと投射材を同時に噴射させるエアノズルを用いているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、圧縮エアと投射材をそれぞれ別個に噴射させる機構、たとえば遠心投射装置と、圧縮エアを噴射させるエアブローノズルとからなる機構を用いることができる。また、本実施の形態では、投射材が溝部へ向く位置で被処理製品が停止するようにしているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえば溝が縦横に配置されている被処理製品に対しては、被処理製品を回転しながら投射することができる。
さらに、本実施の形態の溝部を有する被処理製品のショットブラスト装置において、投射材循環装置16は投射室本体2の下部に溜まった投射材Sを貯蔵ホッパー13へ輸送できれば、バケットエレベータ18を用いたものに限定されるものではなく、たとえばベルトコンベアーや、スクリューコンベア、空気輸送パイプなどを適宜用いた投射材循環装置とすることができる。
また、投射材循環装置16には投射材に混入したバリなどの異物を除去するために投射材分別装置が設置されているのが好ましい。この投射材分別装置としては、バリと投射材が分別できるものであれば、本発明において、とくに限定されるものではないが、たとえば風撰式セパレータや、振動フルイ、ロータリースクリーンなどを適宜用いることができる。
また、本発明が適用される溝部を有する被処理製品は、溝部の開口部が大きい金属部品はもちろん、開口部の最小間口が狭く、深さが深い形状、具体的には、深さ/最小開口長さが5〜20である溝、細穴などを有する金属部品などとすることができる。また、除去対象はバリに限定されるものでなく、砂、スケールなど被処理製品にとって不必要な異物の除去を目的としていればいずれでも良い。
【0014】
つぎに、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。本実施例では、被処理製品としてのアルミダイカスト品(アルミニウムを主成分とする鋳物)の鋳造時に発生する鋳バリを除去するために前記実施の形態のショットブラスト装置を使用する。ここで、アルミダイカスト品の大きさは縦寸法が300mm、横寸法が200mmおよび厚さが50mmである。また、アルミダイカスト品に形成される溝部の形状は、開口部が4mmであり、深さは40mmである。回転ケージによりアルミダイカスト品の回転数は30rpm(外部バリ除去工程)とした。投射材は平均粒径が1.0mm、平均硬度がHV100の亜鉛製の投射材を使用した。投射量は、外部バリ除去工程に用いられる投射装置である遠心投射装置(2台使用)は各130kg/min、内部バリ除去工程に用いられる投射装置であるエアノズルは10kg/minとした。ここで、圧縮エアの設定圧力は0.3MPaであり、投射時間は各工程30sに設定した。
図3に未処理のアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態(未処理製品)を示す。図4に外部バリ除去工程のみを施したアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態(一部処理製品)を示す。図5に外部バリ除去工程および内部バリ除去工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部(深さ40mm)の状態(実施例)を示す。
本実施例の結果から明らかなように、外部バリ除去工程のみを施した一部処理製品(図4)は未処理製品(図3)とあまり変化がなく充分処理されていないのに対して、外部バリ除去工程および内部バリ除去工程の処理を施した実施例(図5)は投射材による打痕が充分に付着されており効率よく内部処理がされていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわるショットブラスト装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかわるショットブラスト装置のA−A線の断面図である。
【図3】未処理のアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【図4】外部バリ除去工程のみを施したアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【図5】外部バリ除去工程および内部バリ除去工程の処理を施したアルミダイカスト品の溝内部の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 被処理製品
2 投射室本体
4 処理ブース
5 回転ブース
6 回転ケージ
7 遠心式投射装置
8 エアノズル
9 加圧タンク
10 ミキシングバルブ
11 噴射量調整バルブ
12 輸送ホース
13 貯蔵ホッパー
14 接続管
15 投射量調整ゲート
16 投射材循環装置
17 スクリューコンベア
18 バケットエレベータ
19 投射材投げ出し部
20 ロータリースクリーン
21 外部バリ除去ゾーン
22 内部バリ除去ゾーン
23 脱着ゾーン
P 圧縮エア供給装置
S 投射材
【出願人】 【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【出願日】 平成19年2月16日(2007.2.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−200762(P2008−200762A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−36130(P2007−36130)