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【発明の名称】 ウォータージェット加工装置
【発明者】 【氏名】花島 聡

【氏名】立岩 聡

【氏名】山本 昌明

【氏名】松原 政幸

【氏名】金井 茂一

【要約】 【課題】砥粒が混入した高圧の加工水で被加工物を切断する際にミストが舞い上がることのないウォータージェット加工装置を提供する。

【解決手段】加工水噴射ノズル30から噴射されて被加工物を貫通した高圧の加工水33が抑制槽4内に入り込むことで加工水33の勢いが抑制されるが、この際、砥粒や切削屑が混入したミストは、開口部42のみ開口した抑制槽4内では主に貯水部43上部の空間部44で集中的に発生することとなり、この空間部44を排気手段10によって減圧して排気させることで、ミストを効率よく排気させることができるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に砥粒が混入した加工水を噴射して切断加工を施す加工水噴射ノズルと、被加工物を切断した加工水の勢いを抑制する抑制槽と、を少なくとも備えるウォータージェット加工装置であって、
前記抑制槽は、筐体と、該筐体上部に配設されて加工水を通すための該筐体の断面積よりも小さい開口部とからなり、該筐体内部は、被加工物を貫通した加工水を貯水する貯水部と、該貯水部上部の空間部とからなり、
前記空間部内部を減圧し排気する排気手段が前記空間部の筐体側面に配設されていることを特徴とするウォータージェット加工装置。
【請求項2】
前記保持手段と前記加工水噴射ノズルと前記抑制槽とを包囲するカバー本体と、該カバー本体の内部に外気を取り入れる外気取り入れ手段と、からなるミスト処理機構が配設されていることを特徴とする請求項1に記載のウォータージェット加工装置。
【請求項3】
前記外気取り入れ手段は、外気を取り入れる吸気開口部と、該吸気開口部の上部から回転自在に垂下して前記カバー本体の内部に位置付けられる蓋体とからなり、
前記排気手段の作動によって前記カバー本体の内部が減圧した際、前記蓋体が前記カバー本体の内部に回動して前記吸気開口部から外気を取り入れ、前記排気手段の作動が停止し前記カバー本体の内部の減圧が解除された際、前記蓋体が前記吸気開口部を閉塞することを特徴とする請求項2に記載のウォータージェット加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を高圧の加工水を噴射して切断するウォータージェット加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC,LSI等のデバイスが複数形成されたウエーハは、ダイシング装置によって個々のデバイスに分割され、携帯電話、パソコン等の電子機器に利用される。また、格子状に配列された複数の電極フレームにデバイスが配設され封止されたCSP(Chip Size Package)、マイクロメモリ等のパッケージ基板は、バリがでやすいこと、および形状が比較的複雑でダイシング装置では分割が困難なことから、本出願人によってウォータージェット加工装置が開発され実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。このウォータージェット加工装置は、概略的には、被加工物保持機構によって保持された被加工物にアルミナ、シリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の砥粒を混入した高圧の加工水をノズルから噴射して被加工物を切断するというものである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−136427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高圧の加工水には、アルミナ等の砥粒が混入しており、被加工物を切断する際に、加工領域の周囲に砥粒や切削屑が混入したミストが舞い上がり、クリーンルームを汚染するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、砥粒が混入した高圧の加工水で被加工物を切断する際にミストが舞い上がることのないウォータージェット加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるウォータージェット加工装置は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に砥粒が混入した加工水を噴射して切断加工を施す加工水噴射ノズルと、被加工物を切断した加工水の勢いを抑制する抑制槽と、を少なくとも備えるウォータージェット加工装置であって、前記抑制槽は、筐体と、該筐体上部に配設されて加工水を通すための該筐体の断面積よりも小さい開口部とからなり、該筐体内部は、被加工物を貫通した加工水を貯水する貯水部と、該貯水部上部の空間部とからなり、前記空間部内部を減圧し排気する排気手段が前記空間部の筐体側面に配設されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかるウォータージェット加工装置は、上記発明において、前記保持手段と前記加工水噴射ノズルと前記抑制槽とを包囲するカバー本体と、該カバー本体の内部に外気を取り入れる外気取り入れ手段と、からなるミスト処理機構が配設されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるウォータージェット加工装置は、上記発明において、前記外気取り入れ手段は、外気を取り入れる吸気開口部と、該吸気開口部の上部から回転自在に垂下して前記カバー本体の内部に位置付けられる蓋体とからなり、前記排気手段の作動によって前記カバー本体の内部が減圧した際、前記蓋体が前記カバー本体の内部に回動して前記吸気開口部から外気を取り入れ、前記排気手段の作動が停止し前記カバー本体の内部の減圧が解除された際、前記蓋体が前記吸気開口部を閉塞することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるウォータージェット加工装置によれば、加工水噴射ノズルから噴射されて被加工物を貫通した高圧の加工水が抑制槽内に入り込むことで加工水の勢いが抑制されるが、この際、砥粒や切削屑が混入したミストは、開口部のみ開口した閉塞的な抑制槽内では貯水部上部の空間部で集中的に発生することとなり、この空間部を排気手段によって減圧して排気させるので、ミストが効率よく排気されることとなり、クリーンルームの汚染を抑制することができるという効果を奏する。特に、保持手段と加工水噴射ノズルと抑制槽とを包囲するカバー本体と、該カバー本体の内部に外気を取り入れる外気取り入れ手段と、からなるミスト処理機構をさらに備えることで、ミストの舞い上がり飛散をより確実に防止することができ、クリーンルームの汚染を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態であるウォータージェット加工装置について図面を参照して説明する。本発明は、実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
【0011】
図1は、本実施の形態のウォータージェット加工装置の構成を示す概略斜視図である。本実施の形態のウォータージェット加工装置1は、被加工物を保持する保持手段2と、保持手段2に保持された被加工物に砥粒が混入した加工水を噴射して切断加工を施す加工水噴射ノズル30を有する加工水噴射手段3と、被加工物を切断した加工水の勢いを抑制する抑制槽4と、を少なくとも備える。
【0012】
保持手段2は、被加工物が載置される板状部材20と、被加工物の形状に応じた形状に形成され垂直方向に貫通する矩形状の開口21と、被加工物が載置される際の位置決め基準となる複数、例えば貫通部21周りの4箇所に設けられた4個の位置決めピン22とから構成されている。
【0013】
保持手段2は、第1の送り手段5によって駆動されてY軸方向(図1中に示す矢印Yの方向)に移動可能とされている。第1の移動手段5は、Y軸方向に配設されたボールネジ50と、ボールネジ50の一端に連結されボールネジ50を回転させるパルスモータ51と、ボールネジ50に平行に配設された一対のガイドレール52と、保持手段2を支持しガイドレール52に摺接するとともに内部の図示しないナットがボールネジ50に螺合する保持手段支持部53と、ボールネジ50とパルスモータ51とガイドレール52とを支持する可動基台54とから構成されている。これにより、パルスモータ51に駆動されてボールネジ50が回転するのに伴い、ガイドレール52にガイドされて保持手段支持部53がY軸方向に移動する。
【0014】
また、保持手段2は、第2の送り手段6によって駆動されてZ軸方向(図1中に示す矢印Zの方向)に移動可能とされている。第2の移動手段5は、Z軸方向に配設され可動基台54の内部の図示しないナットに螺合するボールネジ60と、ボールネジ60の一端に連結されボールネジ60を回転させるパルスモータ61と、ボールネジ60に平行に配設され可動基台54と摺接する一対のガイドレール62と、ボールネジ60とパルスモータ61とガイドレール62とを支持する可動基台63とから構成されている。これにより、パルスモータ61に駆動されてボールネジ60が回転するのに伴い、ガイドレール62にガイドされて第1の送り手段5および保持手段2がZ軸方向に移動する。
【0015】
さらに、保持手段2は、第3の送り手段7によって駆動されてX軸方向(図1中に示す矢印Xの方向)に移動可能とされている。第3の移動手段7は、X軸方向に配設され可動基台63の内部の図示しないナットに螺合するボールネジ70と、ボールネジ70の一端に連結されボールネジ70を回転させるパルスモータ71と、ボールネジ70に平行に配設され可動基台63と摺接する一対のガイドレール72と、ボールネジ70とパルスモータ71とガイドレール72とを支持する静止基台73とから構成されている。これにより、パルスモータ71に駆動されてボールネジ70が回転するのに伴い、ガイドレール72にガイドされて第2の送り手段6、第1の送り手段5および保持手段2がX軸方向に移動する。
【0016】
また、加工水噴射手段3は、例えば粒径30〜50μm程度のアルミナセラミックス(Al23)製の砥粒と水とが混合した加工水を下方に噴射する加工水噴射ノズル30と、この加工水噴射ノズル30に砥粒を混入した高圧の加工水を供給する高圧ポンプ等を含む加工水供給手段31とからなる。加工水噴射ノズル30は、例えば直径200μm程度の噴射口を備えており、静止基台73に対してノズル支持部材32によって支持されている。加工水供給手段31は、砥粒が混入した高圧(例えば、60〜70MPa)の加工水を、配管321を介して加工水噴射ノズル30に供給する。
【0017】
ここで、本実施の形態のウォータージェット加工装置1は、加工水噴射ノズル30から噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段8と、ミスト吸引手段9とを備えている。ウォーターカーテン形成手段8は、環状のウォーターカーテン形成部材81と、環状のウォーターカーテン形成部材81にウォーターカーテン用水を供給するウォーターカーテン用水供給手段82とを備えている。ウォーターカーテン形成部材81は、図2〜図4に示すように、中央に開口811を備えているとともに環状の通路812を備えており、その底壁には環状の通路812に開口する複数の噴出口813が環状に設けられている。また、ウォーターカーテン形成部材81には環状の通路812と連通する水導入路814を備えた支持部815が設けられており、水導入路814が図1中に示すようにウォーターカーテン用水供給手段82に配管821を介して連通されている。このように構成された環状のウォーターカーテン形成部材81は、合成樹脂によって一体的に形成されており、図4に示すように加工水噴射ノズル30を囲繞するように配設され、支持部815がノズル支持部材32によって支持される。ウォーターカーテン用水供給手段82は、図1に示すように、配管821を介して環状のウォーターンカーテン形成部材81の水導入路814に圧力0.4MPa程度の水を2〜4リットル/分程度供給する。
【0018】
また、ミスト吸引手段9は、環状のウォーターカーテン形成部材81に接続されたもので、ミスト収集部材91と、ミスト収集部材91によって収集されたミストを吸引する図示しない吸引手段とからなる。ミスト収集部材91は、図2および図4に示すように、環状のウォーターカーテン形成部材81の開口811に嵌合する収集部911と、収集部911と連通するダクト部912とからなり、合成樹脂によって一体的に形成されている。収集部911は、環状に形成されており、中央に収集路911aを備えている。また、ダクト部912は、収集路911aと連通する吸引通路912aおよび吸引通路912aと連通する排出口912bを備えているとともに、加工水噴射ノズル30が挿通する孔912cを備えている。
【0019】
抑制槽4は、加工水噴射ノズル30の直下に配設されたもので、図1および図5に示すように、ステンレス等で形成された矩形立体形状の筐体41と、この筐体41の上部に配設されて加工水噴射ノズル30から噴射されて被加工物を貫通した加工水33を通すための開口部42とを備える。開口部42は、加工水噴射ノズル30の直下に位置して加工水33を通水できれば十分であり、筐体41の水平断面積よりも十分小さな開口断面積となるように形成されている。また、筐体41の内部は、加工水噴射ノズル30から噴射されて被加工物を貫通した加工水33を貯水する貯水部43と、貯水部43の上部に形成される空間部44とを備える。ここで、貯水部43は、加工水33の勢いを抑制するための多数の緩衝球45が収容されることで形成されている。緩衝球45は、加工水33に含まれる砥粒を構成するアルミナセラミックスと同種の耐磨耗性に優れたアルミナセラミックス(Al23)により形成された、例えば直径3〜8mm程度のボールである。なお、これらの緩衝球45は、筐体41内に直接収容せずに、筐体41を分割構造として網状のバスケット等を介して筐体41内に収容させてもよい。また、筐体41の下部側の一部には、貯水した加工水33を排出させるための排出口46が形成されている。
【0020】
また、本実施の形態のウォータージェット加工装置1は、排気手段10とミスト処理機構11とを備える。排気手段10は、筐体41に形成された空間部44の内部を減圧し排気するためのものであり、筐体41の側面に対して空間部44部分に配設されて適宜配管されるダクト101と、減圧のための排気を行うファン102と、ファン102に至る途中のダクト101に対して設けられたフィルタ103とを備える。
【0021】
また、ミスト処理機構11は、保持手段2と加工水噴射ノズル30と抑制槽4とを包囲するカバー本体111と、カバー本体111の内部に外気を取り入れる外気取り入れ手段112とからなる。ここで、カバー本体111は、X,Y,Z軸方向に可動的な保持手段2に対しては可動変位に追従して閉塞状態を維持するようにスライドシールプレート111aを備えている。また、カバー本体111は、加工水噴射ノズル30に対しては配管部分等を除き、その周囲のウォーターカーテン形成手段8やミスト吸引手段9も包囲するように形成されている。さらに、カバー本体111は、抑制槽4に対してはその全体を包囲する必要はなく、少なくとも開口部42周りを包囲し得る構造であれば十分である。
【0022】
さらに、カバー本体111には、カバー本体111の内部に形成される閉空間113をダクト101に連結する連通路114が形成され、排気手段10のファン102によって閉空間113内も減圧可能とされている。同様に、ミスト吸引手段9のダクト部912の排出口912bも連通路115によってダクト101に連通され、排気手段10のファン102を吸引手段として共用している。なお、閉空間113に対する排気手段やミスト吸引手段9の排気手段は、それぞれ別個に設けるようにしてもよい。また、カバー本体111の上面の加工水噴射ノズル30等を避けた位置には、保持手段2に対する被加工物Wを後述の治具とともに出し入れするための開閉操作口116が設けられている。
【0023】
また、外気取り入れ手段112は、図6に示すように、カバー本体111の一部を上部に高く形成してその垂直壁を開口させることにより形成されて外気をカバー本体111の内部に取り入れるための吸気開口部112aと、この吸気開口部112aの内側上部からヒンジ112bによって回転自在に垂下してカバー本体111の内部に位置付けられた蓋体112cとからなる。蓋体112cは、吸気開口部112aを閉塞し得る大きさを有する。
【0024】
次に、本実施の形態のウォータージェット加工装置1の加工動作例について説明する。図7に示すCSP基板12は、被加工物Wの一例であり、例えば3つのブロック12a,12b,12cによって構成されている。個々のブロックには、横方向ストリートS1および縦方向ストリートS2によって区画されて複数のCSP120が形成されており、ストリートSを縦横に切断することによって、個々のCSP120に分割される。
【0025】
CSP基板12を個々のCSP120に分割するに際し、CSP基板12は、図8に示す第1の治具13aおよび図9に示す第2の治具13bに支持される。いずれの治具13a,13bも、支持板130と蓋部材131とがヒンジ132によって開閉自在に連結された構成となっている。支持板130は、図1に示した保持手段2に形成された位置決めピン22に嵌合する嵌合孔133を位置決めピン22と同数備える。また、蓋部材131には、加工水を通すための貫通窓134が形成されている。支持板130の側面には、係合穴135が形成され、蓋部材131には係合穴135に係合する係合片136が形成されている。これにより、支持板130にCSP基盤12が載置された状態で係合片136を係合穴135に係合させると、支持板130と蓋部材131とが閉状態でロックされ、CSP基板12が支持板130と蓋部材131とによって挟持される。
【0026】
図8に示す第1の治具13aは、図7に示した横方向ストリートS1を切断する際に使用する治具であり、支持板130においては、CSP基板12を保持した状態における全ての横方向ストリートS1の下方には、加工水を通すための貫通溝137が横方向ストリートS1と同じ向きに形成されている。なお、本実施の形態では、貫通溝137は、端部を交互に連結することで連続して形成されている。
【0027】
図9に示す第2の治具13bは、図7に示した縦方向ストリートS2を切断する際に使用する治具であり、支持板130においては、CSP基板12を保持した状態における全ての縦方向ストリートS2の下方には、加工水を通すための貫通溝138が縦方向ストリートS2と同じ向きに形成されている。なお、本実施の形態では、貫通溝138は、端部を交互に連結することで連続して形成されている。
【0028】
図1を参照して説明すると、CSP基板12を保持した第1の治具13aは、位置決めピン22に嵌合孔133が嵌合されて保持手段2に保持される。そして、第1の送り手段5および第3の送り手段7による駆動により、CSP基板12に形成された横方向ストリートS1のうちの両端のいずれかを、加工水噴射ノズル30の直下に位置付ける。
【0029】
そして、加工水噴射ノズル30から砥粒と水とが混合した加工水33を下方に向けて高圧噴射するとともに、第3の送り手段7によってCSP基板12をX軸方向に移動させながら、X軸方向に相当する横方向ストリートS1を切断する。横方向ストリートS1を1本切断した後は、第1の送り手段5によってCSP基板12を若干Y軸方向に移動させてから、再び第3の送り手段7によってCSP基板12をX軸方向に移動させ、隣りの横方向のストリートS1を切断する。このように動作を連続的に繰り返し、第1の治具13aの支持板130に形成された貫通溝137に沿って加工水33が噴射されるようにする。これによって、横方向ストリートS1が全て切断される。
【0030】
次に、開閉操作口116を開けて、保持手段2から第1の治具13aを取り外すとともに、第1の治具13aからCSP基板12を取り外し、横方向ストリートS1が切断済みのCSP基板12を、第2の治具13bに保持させ、この第2の治具13bを保持手段2に保持させて開閉操作口116を閉じる。
【0031】
そして、第1の送り手段5および第3の送り手段7による駆動により、CSP基板12に形成された縦方向ストリートS2のうちの両端のいずれかを、加工水噴射ノズル30の直下に位置付ける。そして、加工水噴射ノズル30から砥粒と水とが混合した加工水33を下方に向けて高圧噴射するとともに、第1の送り手段5によってCSP基板12をY軸方向に移動させながら、Y軸方向に相当する縦方向ストリートS2を切断する。縦方向ストリートS2を1本切断した後は、第3の送り手段7によってCSP基板12を若干X軸方向に移動させてから、再び第1の送り手段5によってCSP基板12をY軸方向に移動させ、隣りの縦方向ストリートS2を切断する。このように動作を連続的に繰り返し、第2の治具13bの支持板130に形成された貫通溝138に沿って加工水33が噴射されるようにする。これによって、縦方向ストリートS2が全て切断され、個々のCSP120に分割される。
【0032】
このような切断中は、加工水噴射ノズル30から噴射された加工水33がCSP基板12(被加工物W)の切断部分を貫通し、高圧のまま開口部42を通って抑制槽4に達する。この抑制槽4には、多数の緩衝球45を収容した貯水部43が設けられており、高圧の加工水33は、緩衝球45に衝突する。そして、加工水33が衝突した緩衝球45は回転し、加工水33が衝突しなかったものも含めて多数の緩衝球45が攪拌されるため、加工水33の勢いは弱められる。また、勢いの弱まった加工水は、貯水部43内に溜まっていく。
【0033】
このような加工水33の挙動において、高圧の加工水33には、アルミナ等の砥粒が混入しており、抑制槽4内に高圧状態で入り込むと、貯水部43の上部において砥粒や切削屑が混入したミストの舞い上がりが生ずる。ここで、本実施の形態では、抑制槽4が、ほぼ閉塞状態の筐体41からなり、開口部42部分が開口しているだけであるので、砥粒や切削屑が混入したミストの舞い上がりは、ほぼ閉じ込められた空間である貯水部43の上部の空間部44で集中的に発生することとなる。そして、切断動作中は、ファン102が駆動して排気手段10が作動状態にあり、砥粒や切削屑が混入したミストの舞い上がりが集中的に生ずる空間部44の内部を減圧し排気するので、ミストも効率よく外部に排気され、当該ウォータージェット加工装置1が配設されたクリーンルームを汚染することはない。
【0034】
また、切断動作中には、加工水噴射手段3が作動し、図4に示すように、加工水噴射ノズル30から加工水33が被加工物W(CSP基板12)の表面に噴射される。一方、ウォーターカーテン形成手段8が作動すると、環状のウォーターカーテン形成部材81に形成された複数の噴出口813からウォーターカーテン用水が被加工物Wに向けて噴出され、加工水33を囲繞して筒状のウォーターカーテン80が形成される。したがって、加工水噴射ノズル30から噴射された加工水33によって被加工物Wが加工される際に飛散する砥粒や切削屑の一部は筒状のウォーターカーテン80によって遮蔽され、加工水33による加工領域の周囲に飛散しない。また、このような加工時には、ファン102の駆動によりミスト吸引手段9が作動しており、ウォーターカーテン80内に飛散して砥粒や切削屑および加工水のミストは、ミスト収集部材91の収集路911aおよび吸引通路912aを通って排出口912bからダクト101を通って排出される。
【0035】
さらに、このような切断動作中には、加工水噴射ノズル30等がカバー本体111によって閉塞された雰囲気にあり、基本的に、外部へのミスト等の飛散が防止される。そして、ファン102の駆動により排気手段10が作動状態にあると、ダクト101に対して連通路114で連通しているカバー本体111の内部の閉空間113も減圧される。このカバー本体111の内部が減圧した際には、蓋体112cがカバー本体111の内部に回動して吸気開口部112aを開放させることでカバー本体111内に外気を取り入れる。一方、切断動作が終了したりして、ファン102の駆動が停止し、排気手段10の作動が停止すると、カバー本体111の内部の減圧も解除される。カバー本体111の内部の減圧が解除された際には、蓋体112cは自重で復帰方向に回動し、吸気開口部112cを閉塞する。これにより、排気手段10による閉空間113内の減圧・排気動作をスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態のウォータージェット加工装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】加工水噴射手段、ウォーターカーテン形成手段およびミスト吸引手段の要部を分解して示す斜視図である。
【図3】ウォーターカーテン形成部材を示す水平断面図である。
【図4】ウォーターカーテン形成部材とミスト収集部材を組付けた状態を示す断面図である。
【図5】全体構成の要部を模式的に示す断面図である。
【図6】外気取り入れ手段を示す分解斜視図である。
【図7】被加工物の一例を示す平面図である。
【図8】第1の治具の例を示す斜視図である。
【図9】第2の治具の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
2 保持手段
4 抑制槽
10 排気手段
11 ミスト処理機構
30 加工水噴射ノズル
33 加工水
41 筐体
42 開口部
43 貯水部
44 空間部
111 カバー本体
112 外気取り入れ手段
112a 吸気開口部
112c 蓋体
W 被加工物
【出願人】 【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
【出願日】 平成19年2月2日(2007.2.2)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−188695(P2008−188695A)
【公開日】 平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願番号】 特願2007−24056(P2007−24056)