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【発明の名称】 ガスタービンバケット及びブレードのウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成
【発明者】 【氏名】クリストファー・イー・トンプソン

【要約】 【課題】被覆製造物品のウォータージェットストリッピングにおいて亀裂及び表面欠陥を形状の変形を引起こすことなく、迅速に低コストで実行できる方法を提供する。

【解決手段】被覆製造物品を寸法走査するステップ520、被覆製造物品に対して3次元モデルを設定するステップ530、輪郭再形成のための縮小寸法プロファイルのセットを設定するステップ540と、縮小寸法プロファイルが後続する動作の条件を満たすか否かを次に解析するステップ550とを含む。皮膜を除去するためにジェット吹付けプログラムを設定するステップ560、表面の素地材料を所定の縮小寸法プロファイルの各々まで除去するためのジェット吹付けプログラム570が設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法において、
前記物品の素地(60)の面における損傷の深さを判定すること(625)と;
前記物品に対して所定の縮小輪郭プロファイルのセットから1つのプロファイルを選択すること(630)と;
前記物品における特定の皮膜に対してジェット吹付けプログラムを選択すること(635)と;
前記物品の特定の合金組成に対してジェット吹付けプログラムを選択することと;
前記特定の皮膜を除去し且つ前記物品の前記素地(60)の面における損傷を選択された縮小輪郭プロファイルまで除去するために、前記ジェット吹付けプログラムを適用すること(640)とから成る方法。
【請求項2】
前記被覆製造物品(40)は被覆タービン部品(100)から成る請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項3】
前記物品の前記素地(60)の面における損傷の深さを判定する過程(625)は、
ウォームトレーリングにより損傷を測定すること及び前記損傷が除去されるまで前記面を徐々に深くなる縮小輪郭プロファイルまで順次輪郭再形成することのうち少なくとも一方を含む請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項4】
ジェット吹付けプログラムを適用する過程(640)は、
ウォームトレーリングにより判定された損傷を除去するために、十分な深さの所定の縮小輪郭プロファイルまでジェット吹付けプログラムを適用すること;前記被覆製造物品を第1の所定の縮小輪郭プロファイルまで輪郭再形成すること;前記素地の面を検査すること;及び前記損傷が排除されるまで、より小さい所定の縮小輪郭プロファイルまで前記被覆製造物品の輪郭再形成を繰り返し且つ前記素地の面を検査することのうち少なくとも1つを含む請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項5】
ジェット吹付けプログラムを適用する過程(640)は、
最小許容寸法に従うように前記被覆製造物品(440)を寸法検査することを更に含む請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項6】
被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法において、
前記物品を寸法走査すること(715)と;
走査された前記物品が前記物品の公称設計形状から所定の偏差以内にあることを判定すること(725)と;
前記物品の素地(60)の面における損傷の深さを判定すること(730)と;
前記物品の特定の皮膜に対するジェット吹付けプログラムを選択すること(740)と;
前記物品の特定の合金組成に対するジェット吹付けプログラムを選択すること(745)と;
前記特定の皮膜を除去するために前記ジェット吹付けプログラムを適用すること(750)と;
前記物品の前記素地(60)の面を所定の深さまで除去するために前記ジェット吹付けプログラムを適用すること(750)とから成る方法。
【請求項7】
前記物品の素地の面における損傷の深さを判定する過程(730)は、
ウォームトレーリングを実行することを含む請求項6記載の被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項8】
ジェット吹付けプログラムを適用する過程(750)は、
最小許容寸法に従うように前記被覆製造物品を寸法検査することを更に含む請求項6記載の被覆製造物品(40)のウォーターストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法。
【請求項9】
被覆製造物品(40)に対してウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法において、
前記被覆製造物品を寸法走査すること(520)と;
前記被覆製造物品の3次元モデルを設定すること(530)と;
走査された物品に適用される輪郭再形成のための所定の縮小寸法プロファイルのセットを設定すること(540)と;
前記縮小寸法プロファイルが条件を満たすか否かを解析すること(550)と;
皮膜除去のためのジェット吹付けプログラムを設定すること(560)と;
表面の素地材料(40)を所定の縮小寸法プロファイルの各々まで除去するためのジェット吹付けプログラムを設定すること(570)とから成る方法。
【請求項10】
所定の縮小寸法プロファイルのセットを設定する過程(540)は、
前記物品の公称寸法より所定の厚さだけ小さい縮小寸法プロファイル及び所定の厚さの倍数ずつ小さい複数の縮小寸法プロファイルを設定することを含む請求項9記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法。
【請求項11】
縮小寸法プロファイルが条件を満たすか否かを解析する過程(550)は、
目標プロファイルの機械的特性を解析することと;
目標プロファイルの熱特性を解析することと;
目標プロファイルの空気力学的特性を解析することとを含む請求項9記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法。
【請求項12】
縮小寸法プロファイルが条件を満たすか否かを解析する過程は、
設計基準との整合性を検査することと;
前記設計基準が満たされる場合、前記縮小寸法プロファイルの妥当性を受入れることとを更に含む請求項11記載の被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法。
【請求項13】
特定の皮膜材料を除去するためのジェット吹付けプログラムを設定する過程(570)は、前記特定の皮膜材料に関して所定のドウェル時間に対する材料除去速度、研磨材の種類及び濃度、ジェット圧力並びにジェット流量を判定することを更に含み、前記物品の特定の合金材料を除去するためのジェット吹付けプログラムを設定する過程は、前記合金材料に関して所定のドウェル時間に対する材料除去速度、研磨材の種類及び濃度、ジェット圧力及びジェット流量を判定することを更に含む請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法。
【請求項14】
前記被覆製造物品(40)はガスタービンの被覆部品を含む請求項1記載の被覆製造物品(40)のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法に関し、特に、ガスタービンの被覆されたバケット及びブレードのウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンのバケット及びブレードは、部品の表面に亀裂が発生することが多い。それらの亀裂は「素地金属」又は鋳造物の著しく深い場所まで広がる場合がある。多くの場合、そのように深い亀裂は、脆性皮膜又は非延性皮膜で亀裂が発生し、その後、「素地金属」又は鋳造物の著しく深い場所まで広がり続けた場合に起こる。エンジンの使用を継続する前に、修理を実行するために、亀裂を除去しなければならないのが一般的である。通常、修理は、化学的手段又は機械的手段により皮膜を除去することと、次に、亀裂が除去されるまで手作業で研削するか又はコンピュータ数値制御(CNC)に従って機械加工することとを含む。しかし、外側皮膜を通して素地金属の中まで広がる亀裂の問題は、タービンのバケット及びブレード、あるいは一般的なタービン部品に限定されず、広範囲にわたる製造物品にも当てはまる。
【0003】
エンジン動作後にガスタービンの金属部品、特にバケットの表面で見られる亀裂は、多くの場合、修理工程の一部として除去されなければならない。通常、この亀裂除去は、亀裂が除去されるまで部品の表面の金属を研削(ブレンディング)によって取除くことにより実現される。材料除去は、通常、非常に多くの労力を必要とする手作業の研削により実行されるか、あるいは極めて長い時間を要するCNC機械加工により実行される。欠陥除去のために手作業による研削を実行すると、物品の当初の設計プロファイルと一致しない規定外の形状が形成されてしまう場合がある。
【0004】
Miller他(米国特許第6905396号(特許文献1))は、皮膜を流体流れに完全にさらすために加圧研磨材ウォータージェット及び/又は構成要素を互いに対して移動させながら、研磨材ウォータージェットによって基板から皮膜を除去する方法を提供する。Hashish他(米国特許第5704824号(特許文献2))は、高速研磨材ウォータージェットによって物体を研削する方法及び装置を説明する。複雑な形状を可変深さで均一に研削することを可能にし、相対速度、離間距離、角度及び圧力を自動的に変化することを可能にする制御手段が設けられる。Miller他及びHashish他は、製造物品から皮膜及び表面欠陥を除去し且つ表面を輪郭再形成するための処理を1つのセットアップで実行するという問題には対応していない。
【特許文献1】米国特許第6905396号明細書
【特許文献2】米国特許第5704824号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、外側皮膜を有する製造物品の素地金属における亀裂及び表面欠陥を除去するための方法を提供し且つその処理を1つのセットアップで実行することが必要である。更に、手作業による修理で頻繁に起こるような形状の変形を引起こすことなく、当初の物品の輪郭形状を維持することが必要である。更に、処理を迅速に低コストで実行することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外側皮膜を有する製造物品の素地金属における亀裂及び表面欠陥を除去し、その工程を1つのセットアップで実行するための方法に関する。方法は、手作業による修理で頻繁に起こるような形状の変形を引起こすことなく、元の物品の輪郭形状を維持し、処理を迅速に低コストで実行できる。
【0007】
簡潔に述べると、本発明の1つの面に従えば、被覆製造物品に対してウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法が提供される。方法は、被覆物品を寸法走査することと、被覆物品に対して3次元モデルを設定することとを含む。方法は、特定の皮膜を除去するためのジェット吹付けプログラム及び表面素地金属を除去するためのジェット吹付けプログラムを設定することを更に含む。3次元モデルが設定された後、ジェット吹付けプログラムを設定するために、輪郭形成のための所定の縮小寸法プロファイルのセットがモデルに適用される。その結果得られる輪郭再形成のための最終寸法プロファイルが解析され、縮小寸法プロファイルが継続動作の条件を満たすか否かが判定される。
【0008】
本発明の第2の面によれば、被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法が提供される。方法は、まず、物品の素地表面における損傷の深さを判定することと、次に、素地金属の欠陥を排除するために、物品に対する所定の縮小輪郭プロファイルのセットから1つの再輪郭プロファイルを選択することとを含む。物品の特定の皮膜に対して1つのジェット吹付けプログラムの選択が実行され、更に、物品の特定の合金組成に対して1つのジェット吹付けプログラムの選択が実行される。その後、特定の皮膜を除去し且つ物品の素地表面の損傷を縮小輪郭プロファイルまで除去するために、それらのジェット吹付けプログラムが適用される。
【0009】
本発明の第3の面によれば、被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法が提供される。方法は、物品を寸法走査することと、次に、走査された物品が物品の公称設計形状から所定の偏差以内にあることを判定することとを含む。方法は、物品の素地表面における損傷の深さを判定することを更に含む。物品の皮膜の種類に応じて、皮膜を除去するためにジェット吹付けプログラムが選択される。物品の特定の合金組成に基づいて、素地材料の損傷を除去するためにジェット吹付けプログラムが選択される。次に、物品の素地表面から所定の深さを除去するために、それらのジェット吹付けプログラムが適用される。
【0010】
本発明の上記の特徴、面及び利点並びにその他の特徴、面及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより更によく理解されるであろう。図中、同じ図中符号は一貫して同じ部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に示される本発明の実施形態は、古い表面皮膜を除去するため及び材料を所定の輪郭まで除去するために適応コンピュータ数値制御(CNC)ウォータージェットプログラムを使用すること、部品を有効に再サーフェシングすること、並びにガスタービンのバケット及びブレードの素地表面から欠陥を排除することを含めて数多くの利点を有する。この方法は、亀裂を除去するために高圧研磨材ウォータージェット機械を使用する。この処理を自動化することにより、手作業及び追加の修理工程を省略でき、最終ブレンド寸法をより適切に制御できる。以下に、ガスタービンバケットの修理に関連する方法を説明するが、本発明の方法は被覆されたタービンバケット及びブレード、又は他の被覆されたタービン部品の修理に限定されず、広い範囲の被覆製造物品に適用可能である。
【0012】
本発明の重要な面は、ウォータージェットを使用する輪郭再形成によりガスタービンのバケット又はブレードから亀裂を除去すること、ウォータージェットによりガスタービンのバケット又はブレードの表面から皮膜及び素地金属亀裂を除去すること、並びにタービン構成要素から金属皮膜が除去され、次に構成要素の表面が所望の形状まで機械加工されるような1セットアップ工程であることである。この方法は単一セットアップ工程で実行される。種々のタービン構成要素の特定の幾何学形状は、以下に説明される方法によって
本発明の別の重要な面は、手作業による処理によって作製される無制御の形状とは異なり、修理後の部品において精密な形状を実現できることである。バケットの最終形状を制御することにより、全ての必要寿命条件に耐えられる品質の修理を保証できる。本発明は、材料除去処理を自動化することにより、手作業による問題を解決する。
【0013】
図1Aは、ガスタービンバケットの翼形部の表面亀裂を白色光の下で撮影した写真を示す。図1Bは、ガスタービンバケットの翼形部の表面亀裂の写真を示す。図2Aは、ガスタービンバケットの翼形部の前方凹形外面の皮膜における亀裂の写真を示す。図2Bは、素地金属まで広がったガスタービンバケットの翼形部の前方凹形外面の皮膜における亀裂の写真を示す。
【0014】
ウォータージェット「ストリッピング」処理の品質を判定する努力を通して実行可能性が示された。部品の全面にわたり皮膜材料除去速度を3Dで制御できるのみならず、素地金属除去も制御できることが試験において実証された。更に、素地金属を過剰に除去することなく表面欠陥を除去できるように、除去される素地金属の量を少量ずつ制御でき、その結果、特定の形状までの輪郭研削が可能になった。タービンにガスを空気力学的に有効に流通させるために翼形部の形状規定が必要であるタービンバケットのようないくつかの製造物品においては、特定の形状を形成できる能力は極めて重要である。図3は、ウォータージェット工程による皮膜厚さの除去及び制御下の素地金属除去を示す。図示される製造物品40は皮膜50及び素地材料60を有する。ジェット吹付けによって、皮膜50及び素地材料60は輪郭再形成面70まで除去されている。
【0015】
いくつかの異なる(公序良俗違反につき、不掲載)部品の安全設計ポイントにある部品別ジオメトリを作成するために、コンピュータモデリングが実行された。このモデリングは、発見された損傷のレベルに応じて適用できる材料除去の種々の表面プロファイルを提供する。
【0016】
まず、部品は機械に装填され、寸法走査される。この走査は非接触走査ツール又は接触走査ツールを使用して実行されてもよい。このツールは、装填された部品のジオメトリを捕捉し、3次元データとしてジオメトリを格納できなければならない。
【0017】
部品の走査が完了したならば、所望の最終形状に到達するために材料を除去しなければならない量及び場所を判定するために計算が実行されてもよい。最終形状は所望の3次元ジオメトリとして定義されてもよいし、あるいは任意の装填部品の所定の表面から除去される材料の量として定義されてもよい。図4は、縮小寸法プロファイルが設定されたタービン部品の一例を示す。タービンブレード100の元の寸法輪郭110が示される。タービンブレード100の所定の縮小輪郭プロファイル120が示される。
【0018】
最終形状が所望の3次元ジオメトリとして定義される場合、最終形状は所定の縮小プロファイルのセットであってもよい。例えば、物品の最終形状は、所定の縮小プロファイルが徐々に小さくなるように、物品の元の公称設計形状を一定厚さずつ複数回縮小させることにより得られる形状であってもよい。除去される材料の体積を設定するために、寸法走査により測定されたジオメトリから所望のジオメトリが減算されなければならない。あるいは、寸法走査により測定された形状から差分の量の材料を減少することが望まれる場合もある。その場合、新たな目標プロファイルが設定されるのではなく、建造時の形状又は実際の使用中の形状から差分の材料が除去される。いずれの場合においても、寸法走査が処理開始の基礎を提供する。
【0019】
方法実行中、特定の合金ごとに又は合金と皮膜との組合わせごとに、所定のドウェル時間に対する材料除去速度、研磨材、圧力及び流量が設定される。それらの材料除去速度は、部品ごとに、所望の体積の材料を除去するカスタムCNCプログラムを作成するために使用される。最終絶対形状が要求されず、既存の部品表面からのデルタのみが要求される場合、1つのジオメトリから別のジオメトリを減算することなく、空間内材料を除去する場所を判定するために寸法走査を使用できる。
【0020】
部品が走査され、カスタムCNCプログラムが作成された後、所望の体積の材料を除去するように、部品の表面に沿って高圧研磨材ウォータージェットを通過させることにより部品が処理される。処理時間を通して表面に対して適正な姿勢を維持するために、ウォータージェットの経路は、いくつかの軸を通して制御及び移動される。高圧研磨材ウォータージェットが部品の表面に沿って通過している間に亀裂の深さまで又は亀裂を越えるまで基板を除去することにより、亀裂は除去される。部品の亀裂を除去することに加えて、同一のセットアップの間に皮膜も除去されてよい。
【0021】
所望の最終形状及び最終寸法を実現する上で処理の精度を検査するために、部品の断続的な寸法走査が実行されてもよい。所望の最終寸法又は最終形状を実現するために、寸法走査からのフィードバックが使用されてもよい。
【0022】
本発明による被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行するための特定の方法は、ウォータージェット吹付けプログラムを作成するための広い範囲の方法を含み、更に、特定の製造物品にウォータージェット吹付けを適用する方法を含む。
【0023】
方法は、被覆物品を寸法走査することを含む。寸法走査された物品から、コンピュータ援用設計(CAD)/コンピュータ援用エンジニアリング(CAE)/コンピュータ援用製造(CAM)ツールを使用して、物品を表現する3次元モデルが開発される。除去される材料の所望の目標体積並びに物品の所望の最終寸法の双方を設定するために、所定の縮小寸法プロファイルのセットがモデルに適用される。目標体積は、種々の場所における除去の深さをモデルの面から減算することにより生成される。それらの体積は、所望の最終プロファイルを実現するために物品から除去されてもよい様々に異なる材料の量を表現する。除去される材料の目標体積が選択されたならば、物品の所望の最終プロファイルを実現するために所望の体積の材料を除去するためのジェット吹付けプログラムを作成できる。プログラムのパラメータは、特定の皮膜ごと及び特定の素地材料ごとに処理特性規定を実行することにより、事前に設定される必要がある。
【0024】
まず、物品の厳密な3次元構造を判定するために、物品は寸法走査されなければならない。寸法走査の過程は、非接触走査ツール及び接触走査ツールのうち少なくとも一方を使用することを含む。
【0025】
物品の表面欠陥を剥ぎ取るために、物品の寸法が物品の公称寸法より所定の厚さだけ小さくなり、更に所定の厚さの倍数ずつ小さくなるように、縮小寸法プロファイルが設定されなければならない。被覆されたガスタービンバケット及び羽根について通常発見される表面欠陥に基づいて、所定の縮小寸法プロファイルは表面を約5〜6milの倍数ずつ縮小する。しかし、縮小寸法プロファイルの縮小の厚さは特定の物品及び特定の用途に応じて決定される。
【0026】
縮小寸法プロファイルが後続する動作の条件を満たすことを確認するために、縮小寸法プロファイルは解析されなければならない。解析は、目標プロファイルの機械的特性、熱特性及び空気力学的特性を解析することを含む。縮小プロファイルが後続する動作の条件を満たすか否かを解析する過程は、機器の設計基準に照らして整合性を検査することを更に含む。設計基準はコンピュータコード及び設計マニュアルを含んでもよい。設計基準が満たされる場合、目標プロファイルは後続する動作の条件を満たすものとして受入れられてもよい。
【0027】
製造物品の皮膜で採用されてもよい種々の材料皮膜及びその下方に位置する素地材料は、様々に異なる強度特性及び靭性特性を有する。ジェット吹付けは、皮膜を除去し且つその下方に位置する素地材料を除去する間、それらの異なる特性を考慮に入れなければならない。方法において判定される特定の係数は、所定のドウェル時間に対する材料除去速度、研磨材の種類及び濃度、ジェット圧力及びジェット流量である。それらのパラメータは、皮膜及び素地材料に対して別個に設定されてもよい。
【0028】
しかし、特定の皮膜及び素地材料に関する試験データによる支援があれば、皮膜及び素地材料の双方に対して同一のパラメータを採用することが望ましいであろう。
【0029】
上述の方法は被覆製造物品に一般に適用可能であるが、方法はガスタービンの被覆部品及びガスタービンの被覆バケットに特に適用可能である。
【0030】
先に説明したように、特定の部品に関わる方法が提供されたので、以下に方法の適用を説明する。最初に、物品の皮膜の下方に位置する素地材料に至る損傷の深さが判定されなければならない。損傷の深さが判定されたならば、方法は、物品に関する縮小輪郭プロファイルのセットから1つの再輪郭プロファイルを選択する。物品の特定の皮膜に対してジェット吹付けプログラムが選択されなければならない。下方に位置する素地材料の特定の合金組成に対するジェット吹付けプログラムが選択される。次に、特定の皮膜を除去し、物品の素地面の損傷を縮小輪郭プロファイルまで除去するために、ジェット吹付けプログラムが適用される。
【0031】
下方に位置する素地材料に至る損傷の深さは、ウォームトレーリングの処理により判定されてもよい。ウォームトレーリングは、表面欠陥がそれ以上存在しなくなるまで欠陥の複数の小さなサンプル領域を研削することにより、表面に至る損傷の深さを判定する処理である。このような欠陥深さのサンプリングにより、面全体を研削する必要なく表面欠陥の深さの見積もりを得ることができる。
【0032】
ウォームトレーリングにより表面欠陥の深さを判定した後、見積もられた欠陥の深さを除去するのに適する縮小輪郭プロファイルを選択し、次に、欠陥が完全に除去されたか否かを判定するために物品を検査しながら、表面が輪郭再形成されてもよい。表面欠陥が完全に除去されていない場合には、更にウォームトレーリングを実行して、表面の輪郭再形成を再度実行する必要があるか否かを判定する。
【0033】
あるいは、第1の輪郭再形成面まで輪郭再形成し、次に検査することにより、許容される範囲まで表面欠陥が除去されてもよい。表面欠陥が完全に除去されない場合には、表面欠陥が完全に除去されるまで、表面は徐々に深くなる縮小輪郭プロファイルまで再度輪郭再形成され、検査されてもよい。
【0034】
ジェットストリッピングにより所定の縮小輪郭まで表面欠陥が完全に除去されたならば、最終寸法が物品の継続動作を可能にする許容寸法の範囲内にあることを確認するために、除去を終了した物品の寸法が検査される。
【0035】
更に、実際の物品の形状からの差異のみが除去されるように、物品の形状が許容設計プロファイルに従うように被覆製造物品のウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行する方法が提供される。方法は、まず、物品を寸法走査する。次に、物品の寸法は物品の公称設計形状と比較される。物品が物品の公称設計形状から所定の偏差以内にあると判定された場合、所定の縮小プロファイル形状までウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成を実行するのではなく、物品の既存のプロファイルから材料のデルタが除去されてもよい。
【0036】
ウォームトレーリング又は当該技術において周知である他の試験方法に基づいて、物品の素地面における損傷の深さが判定される。次に、特定の皮膜材料及び素地材料の特定の合金組成に対してジェット吹付けプログラムが選択される。その後、特定の皮膜を除去し、物品の既存の素地面から所定の深さを除去するために、ジェット吹付けプログラムが適用される。物品の素地面から除去される所定の深さは、少なくともウォームトレーリング又は他の方法により判定された損傷の深さである。
【0037】
図5は、製造物品から欠陥を除去するためのウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを作成する方法を説明したフローチャートを示す。ステップ510において、物品が装置に装填される。ステップ520において、物品が走査される。この場合、スキャナは接触走査ツール又は非接触走査ツールのいずれであってもよい。ステップ530において、走査に基づき、当該技術において周知であるCAD/CAE/CAMツールを使用して製造物品の3次元モデルが作成される。ステップ540において、物品の表面欠陥を除去するために使用されてもよい徐々に深くなる切削を定義するために、所定の縮小寸法プロファイルのセットに基づいて3次元モデルが修正される。ステップ550において、縮小プロファイルまで機械加工された場合に物品が継続動作の条件を満たすことを確認するために、縮小寸法プロファイルを含むモデルが解析される。ステップ560において、皮膜を除去するための3次元ジェット吹付けプログラムが作成される。ステップ570において、表面素地材料を縮小寸法プロファイルまで除去するための3次元ジェット吹付けプログラムが作成される。ステップ580において、物品は装置から取出される。
【0038】
図6は、製造物品から所定の縮小寸法プロファイルまで欠陥を除去するためのウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成プログラムを実行する方法を説明したフローチャートを示す。ステップ610において、ウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成装置に物品が装填される。ステップ615において、物品は走査される。この場合、スキャナは接触走査ツール又は非接触走査ツールのいずれであってもよい。ステップ620において、物品の3次元モデルが作成される。ステップ625において、素地面における損傷の深さがまず判定される。損傷の深さが判定された後、ステップ630において、物品の縮小輪郭プロファイルのセットから1つの再輪郭プロファイルが選択される。
【0039】
ステップ635において、物品の特定の皮膜を除去するためのジェット吹付けプログラムが選択される。ステップ640において、素地の特定の合金組成を除去するためのジェット吹付けプログラムが選択される。ステップ645において、皮膜を除去するためのジェット吹付けプログラム及び素地材料を縮小輪郭プロファイルまで除去するためのジェット吹付けプログラムが実行される。ステップ650において、物品は検査される。ステップ655において、皮膜及び亀裂が除去されたと判定された場合、ステップ660において、物品が以後の使用に対して許容寸法の範囲内にあることを確認するために物品が走査されてもよい。ステップ665の試験において、走査により、部品が許容寸法の範囲内にあることが示された場合、ステップ670において、部品は取出され、使用場所に戻される。ステップ655において、皮膜及び亀裂がまだ除去されていないと判定された場合には、更に輪郭研削するために、物品はステップ615で再度走査される。ステップ665の試験により、走査の結果、寸法が最小許容寸法を下回ることが示された場合には、部品を再利用してはならないので、ステップ675において部品は廃棄されなければならない。
【0040】
図7は、製造物品の表面から所定の深さの材料を除去するためのウォータージェット吹付けプログラムを実行する方法を説明したフローチャートを示す。ステップ710において、ウォータージェットストリッピング及び輪郭再形成装置に物品が装填される。ステップ715において、物品は走査される。この場合、スキャナは接触走査ツール又は非接触走査ツールのいずれであってもよい。ステップ720において、物品の3次元モデルが作成される。ステップ725において、物品の形状が物品の公称寸法から所定の偏差以内にあるか否かが判定される。物品の形状が物品の公称寸法から所定の偏差以内にある場合、処理は継続される。これに対し、ステップ725において、形状が所定の偏差以内にない場合には、別の輪郭再形成手続きを利用する必要がある。
【0041】
ステップ730において、素地表面における損傷の深さが判定される。損傷の深さが判定された後、ステップ735において、物品の縮小輪郭プロファイルのセットから1つの再輪郭プロファイルが選択される。ステップ740において、物品の特定の皮膜を除去するためのジェット吹付けプログラムが選択される。ステップ745において、素地の特定の合金組成を除去するためのジェット吹付けプログラムが選択される。ステップ750において、物品の形状を所定の深さまで縮小するために、皮膜を除去するためのジェット吹付けプログラム及び素地材料を除去するためのジェット吹付けプログラムが実行される。ステップ755において、物品は検査される。ステップ760において、皮膜及び亀裂が除去されたと判定された場合、物品が以後の使用に対して許容寸法の範囲内にあることを確認するために、ステップ765において物品が走査されてもよい。ステップ770の試験において、走査により、部品が部品の継続動作に対して許容寸法の範囲内にあることが示された場合、ステップ775において、使用場所に戻すために部品は取出される。ステップ760において、皮膜及び亀裂がまだ除去されていないと判定された場合には、更に輪郭研削するために、物品はステップ715で再度走査される。ステップ770の試験により、走査の結果、寸法が最小許容寸法を下回ったことが示された場合には、部品は再利用されてはならないので、ステップ780において、部品は廃棄される。
【0042】
本発明は、製造物品、特に皮膜に関連する表面亀裂発生が問題となるガスタービンのバケット及びブレードの修理を迅速且つ高品質に、より費用効率よく実行する方法を提供する。この方法の1つの利点は、基板材料にまで広がる亀裂並びに使用に耐えられない皮膜を単一のセットアップで除去することである。この方法に代わる方法は、皮膜を機械的又は化学的に剥ぎ取り、次に、手作業によるブレンディング工程又は複数のセットアップによる自動化機械加工処理によって別個に亀裂を除去する。
【0043】
本発明のいくつかの特徴のみを図示及び説明したが、数多くの変形及び変更は当業者には明らかであろう。更に、被覆ガスタービン構成要素に方法を適用する場合を例にとって説明したが、方法は被覆製造物品に一般に適用可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内に入る全ての変形及び変更を含むことが意図されると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】ガスタービンバケットの翼形部における表面亀裂を白色光の下で撮影した写真である。
【図1B】ガスタービンバケットの翼形部における表面亀裂の写真である。
【図2A】ガスタービンバケットの翼形部の前方凹形外面の皮膜における亀裂の写真である。
【図2B】ガスタービンバケットの翼形部の前方凹形外面の皮膜における素地金属まで広がった亀裂の写真である。
【図3】ウォータージェット処理による皮膜厚さの除去及び制御下で実行される素地金属除去を示した図である。
【図4】縮小寸法輪郭を有する翼形部を示した図である。
【図5】製造物品から欠陥を除去するためのウォータージェット吹付けプログラムを作成する方法を示したフローチャートである。
【図6】製造物品から欠陥を所定の縮小寸法プロファイルまで除去するためのウォータージェット吹付けプログラムを実行する方法を示したフローチャートである。
【図7】製造物品の表面から材料を所定の深さまで除去するためのウォータージェット吹付けプログラムを実行する方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
40…製造物品、50…皮膜、60…素地材料、70…輪郭再形成面、100…タービンブレード、120…縮小寸法プロファイル
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成19年12月11日(2007.12.11)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一

【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博

【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久

【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志


【公開番号】 特開2008−168420(P2008−168420A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−319050(P2007−319050)