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【発明の名称】 ステンレス鋼製排気系部品の製造方法
【発明者】 【氏名】早川 淳二

【氏名】棚橋 正明

【要約】 【課題】ステンレス鋼製の排気系部品を機械加工した後に生じるバリを除去することができるとともに、バリが除去された後の排気系部品の加工面の面粗度が十分に確保することができるステンレス鋼製排気系部品の製造方法を提供する。

【解決手段】ステンレス鋼製排気系部品の加工後に生じるバリを除去する製造方法であって、平均粒径が0.05〜1.5mmの微細衝撃体を投射して前記バリを除去するステンレス鋼製排気系部品の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼製排気系部品の加工後に生じるバリを除去する製造方法であって、平均粒径が0.05〜1.5mmの衝撃体を投射して前記バリを除去するステンレス鋼製排気系部品の製造方法。
【請求項2】
前記微細衝撃体が投射された部位の表面粗さが最大高さ(Ry)で1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼製排気系部品の製造方法。
【請求項3】
前記微細衝撃体がセラミック質または金属質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステンレス鋼製排気系部品の製造方法。
【請求項4】
前記排気系部品が排気マニホールド、タービンハウジング、排気マニホールド一体型タービンハウジングであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のステンレス鋼製排気系部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は加工後に生じるバリの除去、詳しくはステンレス鋼製排気系部品を加工した後に生じるバリを除去する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のエンジンから排出される排気ガスを流通させる排気マニホールドやタービンハウジングのような排気系部品は、例えば鋳造で製造後、エンジン等との締結部位は、機械加工が施されて組み付けられる。機械加工が施された場合、加工後の周縁部にはバリが生じている。バリが残ったまま、排気系部品として使用すると、使用中に外れたバリが、タービンハウジング中のタービンブレードに付着したり、排気マニホールドとの組み付け面の間にかみ込み、組み付け精度が悪化し、使用中に排気ガスが洩れる不具合が生じる恐れがあるため、加工後に生じたバリは除去する必要がある。図2に排気系部品のタービンハウジング3の概略図を示す。機械加工が施された部位3a、3b、3c、3dの周縁部にバリ4が発生するが、このバリが残っていた場合、使用中に、タービンハウジング内にあるタービンブレード(図示せず)にバリが付着したり、排気マニホールドとの組付け面の間にかみ込んで組み付け精度が悪化してタービンハウジングとしての性能が低下する場合がある。
このようなバリを除去する場合、回転砥石やグラインダー等を用いて、バリが生じている面に沿って回転砥石等を動かしながら除去することが行われている。
また、特許文献1には、上記回転砥石やグラインダー等を用いると作業に時間がかかり、作業性が悪いとして、ワークと同一形状のマスキング部材を重合し、重合した側からワークに対してサンドブラスト等の微細衝撃体を当てることでバリ等を除去することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−329825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球環境改善の観点から自動車の排ガス浄化、燃費の向上が求められ、法的にも規制され、その内容は年々厳しくなっている。そして、燃費向上のためには、エンジンの燃焼効率を高める必要があるが、その場合、排ガス温度が上昇し950℃を超えるようになる。そのため、このような温度に耐えるために、排気系部品は、高Cr、高Niを含有するステンレス鋼や耐熱鋼のような、いわゆるステンレス鋼を使用する必要がある。
しかしながら、このようなステンレス鋼は粘りがあるため、バリが剥れにくく除去に手間が掛かかっていた。さらに、図4(a)に示すように、機械駆動の回転砥石や超鋼の回転工具11によって、加工後に発生するバリを除去する場合、図4(b)に示すように、回転工具11によって回転力による推力が発生するため、回転工具11の進行方向11aとは異なる外力11fが発生する。その際、外力11fにより工具が逸れると、加工面12に回転工具の傷が生じ、バリ残りとともに加工後の面粗度劣化の問題を生じていた。排気マニホールドやタービンハウジングの加工面が傷付くと、シール性が悪化して性能低下につながる。また、図3に示すように、タービンハウジングには、吸気側の加給圧を一定値以上に上げないようにするための可変のバルブ5が組み付く場合があり、このバルブの精度がターボの性能を決める項目の1つであるため、このバルブ5が組み付く部位3eの加工精度は高精度が要求されている。そのため、バリを除去する際に、この面を傷つけてしまうとシール性が低下し、また、バリが残っていると組み付け精度の低下につながる問題を生じていた。
一方、特許文献1に記載されるようにサンドブラスト等の微細衝撃体を単に当てただけでは、ステンレス鋼は粘りがあるため、バリを十分に除去することができなかった。また、複雑なマスキング部材を作製する必要があり、工数を要していた。
したがって、本発明の目的は、ステンレス鋼製の排気系部品の加工後に生じるバリを除去できるとともに、バリが除去された後の排気系部品の面粗度が十分に確保できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法は、ステンレス鋼製排気系部品の加工後に生じるバリを除去する製造方法であって、平均粒径が0.05〜1.5mmの微細衝撃体を投射して前記バリを除去することを特徴とする。
本発明において、前記微細衝撃体が投射された部位の表面粗さが最大高さ(Ry)で1〜10μmであることが好ましい。
本発明において、前記微細衝撃体がセラミック質または金属質であることが好ましい。
本発明において、前記排気系部品が排気マニホールド、タービンハウジング、排気マニホールド一体型タービンハウジングであることが好ましい。
【0006】
次に、本発明の作用効果について説明する。
本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法において、ステンレス鋼製排気系部品の加工後に生じるバリを除去する製造方法で、平均粒径が0.05〜1.5mmの微細衝撃体を投射して前記バリを除去するのは次の理由による。
ステンレス鋼製排気系部品の加工後に生じるバリに、平均粒径が0.05〜1.5mmの微細衝撃体を投射することで、粘りがあって除去に手間がかかるステンレス鋼製の排気系部品の生じたバリであっても、容易に除去することができるのである。ここで、微細衝撃体の平均粒径が0.05mm未満である場合、微細衝撃体の衝撃力が弱いためにバリを十分に除去する効果が得られない場合がある。一方、微細衝撃体の平均粒径が1.5mmを超えると、微細衝撃体の衝撃力が大きくなりすぎ、投射された微細衝撃体により加工面の面粗さが悪くなり、組み付け後のシール性が悪化して性能低下につながる場合があるので好ましくない。好ましくは、平均粒径が0.2〜0.8mmである。
【0007】
また、本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法において、微細衝撃体が投射された部位の表面粗さが最大高さ(Ry)で1〜10μmであることが好ましいのは次の理由による。ステンレス鋼製排気系部品に微細衝撃体が投射されると、投射された部位の面粗さは変化する。特に、加工面に微細衝撃体が投射されると面粗さが変化し、組み付け後のシール性が低下することがあるが、微細衝撃体が投射された部位の表面粗さが最大高さ(Ry)で1〜10μmであることで、加工面の面粗さを維持することができ、組み付け後のシール性を維持することができる。好ましくは3〜8μmである。
【0008】
また、本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法において、微細衝撃体の材質がセラミックス質または金属質であることが好ましいのは次の理由による。微細衝撃体の材質がセラミックス質または金属質であることで、粘りがあって除去に手間がかかるステンレス鋼製の排気系部品に生じたバリに投射した際、バリが容易に除去されるとともに、微細衝撃体が投射された部位の面粗さが良好に維持されるからである。微細衝撃体の材質は、セラミックス質の場合は、ジルコン、ムライト、アルミナ、ガラス等、金属質の場合は、スチール、ステンレス、排気系部品と同一若しくは類似の材質が好ましい。
【0009】
また、本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法において、排気系部品は、高温に耐える必要があるため、ステンレス鋼を用いる排気マニホールド、タービンハウジング、排気マニホールド一体型タービンハウジングに適用することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のステンレス鋼製排気系部品の製造方法によれば、ステンレス鋼製の排気系部品の加工後に生じるバリを除去できるとともに、バリが除去された後の排気系部品の面粗度が十分に確保できる製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について実施例を基に詳細に説明する。
(実施例)
図1、2にステンレス鋼製排気系部品のタービンハウジング3をバリ取りする構成図を示す。図1、2において、架台上(図示せず)にタービンハウジング3を載置する。このタービンハウジング3は、ステンレス鋼の材質を用いて鋳造で製造後、組み付け部位3a、3b、3c、3d及びバルブ組み付け部3eを機械加工されている。機械加工後の表面粗さは最大高さ(Ry)で6.0μmであった。機械加工後の周縁部にはバリ4が生じている。タービンハウジング3の機械加工後に生じているバリに対して、ノズル1から微細衝撃体2を0.5Mpaの圧力で10秒間投射してバリの除去を行う。このとき、微細衝撃体の粒径、材質を表1に示すように変更してバリの除去を行った。
【0012】
次に、バリを除去した後のタービンハウジング3の機械加工された部位3a、3b、3c、3d、3eの表面粗さの測定と、バリの除去状態の評価を行った。表面粗さは、JIS
B0601に規定される最大高さ(Ry)に基き測定を行った。また、バリの除去状態については、バリが除去されたいた場合を○、バリ残りが見られたが使用上問題のないものを△、バリが残り使用できないものを×で評価して表1に示した。
【0013】
【表1】


【0014】
表1に示すように、平均粒径が0.05〜1.5mμmの微細衝撃体を用いてバリを除去した実施例1〜8は、バリが除去されると共に、バリが除去された後の表面粗さが除去前と同等であり、面粗度を十分に確保できていることがわかる。なかでも、平均粒径が0.2〜0.8mμmの微細衝撃体を用いた実施例3〜5はバリが確実に除去できることがわかる。一方、平均粒径が0.05mm未満の微細衝撃体を用いた比較例1は、バリ残りが多くタービンハウジングとして使用することができたかった、また、平均粒径が1.5mμmを超えた微細衝撃体を用いた比較例2は、バリは除去されたが、表面粗さが除去前よりも悪化したため、タービンハウジングとして使用した場合、性能が低下することが有るので使用することができなかった。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態を示した図である。
【図2】本発明に関する排気系部品を示した図である。
【図3】本発明に関する排気系部品を示した図である。
【図4】従来技術を示した図である。
【符号の説明】
【0016】
1:ノズル
2:微細衝撃体
3:排気系部品
3a、3b、3c、3d:加工部位
4:バリ
5:バルブ
11:回転工具
11a:回転工具の進行方向
11f:外力
12:加工面

【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−126397(P2008−126397A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−317973(P2006−317973)