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【発明の名称】 液体ホーニング装置のピンチバルブ破損検知装置
【発明者】 【氏名】小島 直勝

【要約】 【課題】液体ホーニング装置のスラリー供給管途中に圧縮空気によって開閉するゴム製弁体を有するピンチバルブを設置しているが、ゴム製弁体は長期間の使用による摩耗や弾性疲労によって劣化し、亀裂が生じることがあり、加工対象物の洗浄不良やスラリーの高圧空気供給管への逆流などの事態が発生していた。

【解決手段】水と研磨材とを混合したスラリーを噴射ガンに圧送するスラリー供給管1の管路途中に設置し、電磁弁11、レギュレータ19等の制御機器を介装した圧縮空気供給管2から供給される圧縮空気によってゴム製弁体3を開閉し、スラリー供給管の管路の開閉を行うピンチバルブ機構4において、圧縮空気供給管の制御機器介装箇所より下流側の管路途中にスラリーの逆流を阻止するラインフィルター13を設置すると共に、前記ラインフィルターより更に下流側に、管路内に侵入したスラリーを光学的に検出する光ファイバー式スラリー検知器17を設置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と研磨材とを混合したスラリーを噴射ガンに圧送するスラリー供給管の管路途中に設置し、電磁弁、レギュレータ等の制御機器を介装した圧縮空気供給管から供給される圧縮空気によってゴム製弁体を開閉せしめ、スラリー供給管の管路の開閉を行うピンチバルブ機構において、圧縮空気供給管の制御機器介装箇所より下流側の管路途中にスラリーの逆流を阻止するラインフィルターを設置すると共に、前記ラインフィルターより更に下流側に、管路内に侵入したスラリーを光学的に検出する光ファイバー式スラリー検知器を設置したことを特徴とする液体ホーニング装置のピンチバルブ破損検知装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、液体ホーニング装置のピンチバルブ破損検知装置、詳しくは、液体ホーニング装置において用いられるピンチバルブの破損事故を初期の段階で正確に検知出来る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水と研磨材とを混合したスラリーを加工対象物に向かって噴射し、表面加工を行う液体ホーニング装置においては、図1に示す様に、スラリーを噴射ガンに圧送するスラリー供給管1の管路途中に、スラリーの供給を必要に応じて停止できる様にする為、圧縮空気供給管2から供給される圧縮空気によってゴム製弁体3の開閉を行うピンチバルブ4が設置されている。
【0003】
図2はこのピンチバルブ4の側面拡大断面図、図3は図2における矢視A−A線断面図であり、筒状をなした本体5の両端面には、拡径した円板状のつば6,6が一体的に形成されており、この本体5の内側には、両端面が円盤状に拡径したつば部7,7となっている円筒状の軟質ゴム製弁体3が、両端のつば部7,7を前記本体5のつば部6,6に重ねる様にして位置せしめられており、フランジ9,9を前記つば部6,6にボルト20及びナット21によってねじ止め固定することにより、本体5の内側に固定されている。又、本体5の中央にはその外壁を貫通する圧縮空気供給孔10が形成されており、圧縮空気供給管2から圧縮空気が供給される様になっている
【0004】
そして、このピンチバルブ4を開放状態にするには、圧縮空気供給孔10への圧縮空気の供給を停止すれば良く、そうすれば、図2及び図3に示す様に、ゴム製弁体3はそれ自体の弾性によって円筒形を保ち、通路が形成されてゴム製弁体3内をスラリーが通過できることになる。一方、これを閉塞状態にしたいときは、圧縮空気供給孔10に圧縮空気を送り込めば、図4及び図5に示す様に、ゴム製弁体3は圧縮空気の圧力によってその中央部分が上下に押しつぶされて内壁面同士が密着し、ゴム製弁体3内の通路が閉塞されて、スラリーが通過できなくなる。
【0005】
この様に、圧縮空気供給孔10から圧縮空気の供給を行ったり、停止することにより、ゴム製弁体3を適宜変形させ、通路の開閉を行うものである。
【特許文献1】なし
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このピンチバルブ4のゴム製弁体3は、長期間の使用による摩耗や弾性疲労等で劣化し、亀裂等が発生することがあり、その場合には、ピンチバルブ4を閉じる状況においてもゴム製弁体3が完全に閉じず、スラリーが噴射ノズルに流出してしまい、加工対象物に洗浄不良が生じてしまうことがあった。又、ゴム製弁体3の亀裂部分からスラリーが漏れ出し、圧縮空気供給管2に逆流し、圧縮空気供給管2に設置されている電磁弁11やレギュレータ19などの制御機器内に流入してしまい、これを故障させたり、電磁弁11に付設されているサイレンサー12から噴出し、周辺機器の故障の原因となったりするなど、好ましからざる事態を招来することがあった。
【0007】
本発明者は、スラリー供給管1に設置されているピンチバルブ4に関する上記問題点を解決すべく研究を行った結果、ピンチバルブ4の故障に基づくスラリーの流出を初期の段階で確実に検知し、被害の拡大を防ぐことが出来る装置を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
水と研磨材とを混合したスラリーを噴射ガンに圧送するスラリー供給管1の管路途中に設置し、電磁弁11、レギュレータ19等の制御機器を介装した圧縮空気供給管10から供給される圧縮空気によってゴム製弁体3を開閉せしめ、スラリー供給管1の管路の開閉を行うピンチバルブ機構において、圧縮空気供給管2の制御機器介装箇所より下流側の管路途中にスラリーの逆流を阻止するラインフィルター13を設置すると共に、前記ラインフィルター13より更に下流側に、管路内に侵入したスラリーを光学的に検出する光ファイバー式スラリー検知器14を設置することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
ピンチバルブ4内のゴム製弁体3が長期間の使用による摩耗や弾性疲労などの原因によって劣化し、その一部に亀裂等が生じた場合には、スラリーはピンチバルブ4から圧縮空気供給管2に侵入し、その管路を逆流することになるが、その場合逆流したスラリーは管路途中に設置されている光ファイバー式スラリー検知器14内を通過するので、スラリーの一部はこの光ファイバー式スラリー検知器14のスラリー滞溜部16に滞留し、対向して設置されている光ファイバーセンサー17,17によってスラリー内の懸濁物である研磨材の存在が光学的に検出され、これによってスラリー流出という事態が検知されることになる。
【0010】
更に、この光ファイバー式スラリー検知器14の上流側には、ラインフィルター13が介装されているので、たとえスラリーが圧縮空気供給管2の管路内を逆流したとしても、スラリー中の研磨材はこのラインフィルター13によって捕集され、それより上流側へは逆流しないので、圧縮空気供給管2に介装されている電磁弁11やレギュレータ19などに侵入してこれを詰まらせ損傷してしまうという事態を防ぐことが出来る。
【0011】
この様に、ピンチバルブ4のゴム製弁体3の損傷によるスラリーの圧縮空気供給管2の管路への逆流を、初期の段階で確実に検知すると共に、スラリー中の研磨材の逆流を阻止できるので、加工対象物や周辺機器に被害が及ぶ前に、不具合個所の修理を実施し、被害の拡大を防ぎ、早期に加工作業を再開できる効果を有し、非常に高い実用性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ピンチバルブ4に圧縮空気を送る圧縮空気供給管12の途中に光ファイバー式スラリー検知器14とラインフィルター13とを設けた点に最大の特徴があり、これによりスラリーの逆流の検知と、スラリー中の研磨材の周辺機器への侵入を防いでいる。
【実施例1】
【0013】
図6はこの発明に係る液体ホーニング装置のピンチバルブ破損検知装置の実施例1の説明図である。
【0014】
液体ホーニング装置自体は、図1に示す従来のものと全く同じであり、スラリーを噴射ガンに圧送するスラリー供給管1の管路途中に、圧縮空気によってゴム製弁体3の開閉を行うピンチバルブ4が設置されており、スラリーの供給を必要に応じて停止出来る様になっている。又、ピンチバルブ4に圧縮空気を供給する圧縮空気供給管2の管路途中には、管路の開閉を行う電磁弁11や圧縮空気の圧力を調整する為のレギュレータ19などの制御機器が介装されている。なお、図中12は、この電磁弁11に付設されているサイレンサーである。
【0015】
そして、この圧縮空気供給管2の電磁弁11の設置箇所より下流側、つまりピンチバルブ4寄りの管路途中にはラインフィルター13が、ラインフィルター13より更に下流側には光ファイバー式スラリー検知器14がそれぞれ設置されている。ラインフィルター13とは、管路内を通過する液体から懸濁物を分離する器材であり、従来から各種産業分野において広く用いられているものと基本的に同一である。
【0016】
一方、光ファイバー式スラリー検知器14とは、図6に示す様に、ブロック状をなした本体18内にスラリーを通過させる通路15を形成し、この通路15の途中にこの通路15から分岐し、スラリーを滞溜させ、このスラリーを外部から視認出来るにした筒状のスラリー滞溜部16を前記通路15と直角の方向へ形成し、更に、スラリー滞溜部16の外部の対向位置に一対の光ファイバーセンサー17を位置せしめ、該光ファイバーセンサー17によってスラリー滞溜部16にスラリーが滞溜しているか否かを、スラリー内の懸濁物である研磨材の存在を検出することによって光学的に検知出来る様になっている装置である。
【0017】
この実施例1は上記の通りの構成を有するものであり、噴射ガンへのスラリーの供給を停止しようとするときは、圧縮空気供給管2からピンチバルブ4に圧縮空気を送り、これによってゴム製弁体3を押圧して図4及び図5に示す状態にすれば、ピンチバルブ4内の通路が閉塞されて、スラリーの通過が阻止されることになる。一方、スラリーを噴射ガンに送ろうとするときは、圧縮空気供給管2への圧縮空気の供給を停止すれば、ピンチバルブ4内のゴム製弁体3への押圧力は低減し、ゴム製弁体3はそれ自身が有する弾発力によって図2及び図3に示す状態になり、ピンチバルブ4内の通路が開放状態になり、スラリーがピンチバルブ4内を自由に通過できることになる。
【0018】
このとき、ピンチバルブ4内のゴム製弁体3が長期間の使用による摩耗や弾性疲労などの原因によって劣化し、その一部に亀裂等が生じた場合には、スラリーはピンチバルブ4から圧縮空気供給管2に侵入し、その管路を逆流するこになるが、その場合逆流したスラリーは管路途中に設置されている光ファイバー式スラリー検知器14内を通過するので、スラリーの一部はこの光ファイバー式スラリー検知器14のスラリー滞溜部16に滞留し、対向して設置されている光ファイバーセンサー17,17によってスラリー内の懸濁物である研磨材の存在が光学的に検出され、これによってスラリー流出という事態が検知されることになる。
【0019】
更に、この光ファイバー式スラリー検知器14の上流側には、ラインフィルター13が介装されているので、たとえスラリーが圧縮空気供給管2の管路内を逆流したとしても、スラリー中の研磨材はこのラインフィルター13によって捕集され、それより上流側へは逆流しないので、圧縮空気供給管2に介装されている電磁弁11やレギュレータ19などに侵入してこれを詰まらせ損傷してしまうという事態は防ぐことが出来る。
【0020】
この様に、ピンチバルブ4のゴム製弁体3の損傷によるスラリーの圧縮空気供給管2の管路への逆流を、初期の段階で確実に検知すると共に、スラリー中の研磨材の逆流を阻止できるので、加工対象物や周辺機器に被害が及ぶ前に、不具合個所の修理を実施し、被害の拡大を防ぎ、早期に加工作業を再開できる効果を有し、非常に高い実用性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
液体ホーニングによって表面加工を行う各種産業分野、例えば、金属加工、半導体製造、プラスチック加工などの分野において、利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の液体ホーニング装置におけるスラリー供給管のピンチバルブ部分の説明図。
【図2】同じくスラリー供給管に用いられているピンチバルブの開放状態時の側面拡大断面図。
【図3】同じく、図2における矢視A−A線断面図。
【図4】同じく、ピンチバルブの閉塞状態時の側面拡大断面図。
【図5】同じく、図4における矢視A−A線断面図。
【図6】この発明に係るピンチバルブ破損検知装置を取付けた液体ホーニング装置のスラリー供給管部分の説明図。
【符号の説明】
【0023】
1 スラリー供給管
2 圧縮空気供給管
3 ゴム製弁体
4 ピンチバルブ
5 本体
6 つば部
7 つば部
9 フランジ
10 圧縮空気供給孔
11 電磁弁
12 サイレンサー
13 ラインフィルター
14 光ファイバー式スラリー検知器
15 通路
16 スラリー滞溜部
17 光ファイバーセンサー
18 本体
19 レギュレータ
20 ボルト
21 ナット
【出願人】 【識別番号】390022367
【氏名又は名称】株式会社不二精機製造所
【出願日】 平成18年11月21日(2006.11.21)
【代理人】 【識別番号】100076093
【弁理士】
【氏名又は名称】藤吉 繁


【公開番号】 特開2008−126365(P2008−126365A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−313830(P2006−313830)