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【発明の名称】 ショットブラスト装置およびショットブラスト方法
【発明者】 【氏名】境 茂和

【氏名】立松 孝之

【氏名】平野 雅雄

【要約】 【課題】加工歪を生じ易い薄板状のワークのバリ取りを、サイズが比較的大きなものであっても加工歪を生じさせず、効率よく均一に且つ安価に実施できるショットブラスト装置とそのショットブラスト方法を提供すること。

【解決手段】ケーシング本体(1)内に板状のワーク(W)を垂直状態に保持し水平方向に自転と公転をするように設けたワーク保持ユニット(2)と、前記ケーシング本体(1)の一側に前記ワーク(W)にショットを投射するインペラー(3)とを設け、前記ワーク保持ユニット(2)に保持されたワーク(W)を前記インペラー(3)の投射エリア(A)内で常に自転と公転をするようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを垂直状態に保持し水平方向に自転と公転をするようにしたワーク保持ユニットと、前記ワークにショットを投射するインペラーとを設け、前記ワーク保持ユニットに保持されたブラスト加工中のワークが前記インペラーの投射エリア内で常に自転と公転をするようにしたことを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項2】
ケーシング本体の略中央に回転軸Aを軸心として水平回転するステーションディスクと、該ステーションディスク上に板状のワークを垂直状態に保持し該ワークが水平方向に自転と公転をするように設けたワーク保持ユニットと、前記ケーシング本体の一側に前記ワークにショットを投射するインペラーとを設け、前記ワーク保持ユニットに保持されたブラスト加工中のワークが前記インペラーの投射エリア内で常に自転と公転をするようにしたことを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項3】
前記ワーク保持ユニットが、回転軸Bを軸心として水平方向に公転する回転盤と、該回転盤上に自転可能に立設させた複数本の支軸と、該支軸に板状のワークを装入・取出し可能とし垂直状態に保持するワーク保持具とからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のショットブラスト装置。
【請求項4】
前記ワーク保持具が公転してインペラーに最も接近した位置において、ワーク保持具が保持している板状のワーク(W)の表面と前記インペラー(3)の投射方向中心線が一致するように、前記ワーク保持具が自転するようにしたことを特徴とする請求項3記載のショットブラスト装置。
【請求項5】
前記支軸に、ワーク保持具を一個または複数個設けたことを特徴とする請求項3または請求項4記載のショットブラスト装置。
【請求項6】
前記ワーク保持具が、耐磨耗線材により形成された網籠、または耐磨耗棒材により形成された枠体、からなることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか記載のショットブラスト装置。
【請求項7】
厚さが2.0〜0.3mmの板材からなるワークに形成されたバリ取り加工に、ケーシング本体内に板状のワークを垂直状態に保持し水平方向に自転と公転をするように設けたワーク保持ユニットと、前記ケーシング本体の一側に前記ワークにショットを投射するインペラーとを設け、前記ワーク保持ユニットに保持されたブラスト加工中のワークが前記インペラーの投射エリア内で常に自転と公転をするようにしたショットブラスト装置を使用し、その加工条件を、ショットの投射速度:30〜60m/sec、投射時間:60〜180sec、投射密度:4.5〜7.5Kg/m2・min、とし、加工によりワークに発生する歪量を0.3mm以下にすることを特徴としたショットブラスト方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、近年、軽量化ならびに製造コスト削減等の要求に伴い薄肉化傾向にある機械部品や自動車部品等に代表される軽合金ダイカスト製品からなる各種部品を被処理部材(以下「ワーク」と記す)とし、該ワークの平板部に形成されるバリに回転羽根車(以下「インペラー」と記す)により加速して投射される投射材(以下「ショット」と記す)を衝突させて前記ワークにブラスト加工による歪を生じさせることなくバリ取りが的確に行えるショットブラスト装置およびショットブラスト方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軽合金ダイカスト製品からなる各種部品には、製造過程において、その部品に製造用金型の合わせ面あるいはその部品の凹凸形状によりバリが発生するもので、そのバリ取り加工は不可欠である。
【0003】
従来のショットブラスト方法は、インペラーにより加速して投射されるショットをワークに衝突させてブラスト加工するワークのバリ取りや表面加工に広く採用されているが、そのワークは、例えば自動車部品で挙げるとエンジンブロック等のような大きなものを対象として開発されたもので、比較的小さなワークのバリ取りを対象とした先行技術には、該ワークを回転ドラムの中に装入して転動させつつブラスティングする方法があるが、該ワークは、前記のような転動に耐えられ、且つ如何なる方向からのショットの衝突にも加工歪を生じない程度の強度を有するものに限られていた。
【0004】
薄板状のワークのバリ取りを従来のショットブラスト装置で行った場合、該ワークのバリ取りができてもショットの衝突エネルギーにより歪が生じて商品価値を損なう問題があり、その対処法としてショットの投射速度あるいは投射量または投射密度を低下させてバリ取りを試みたが、一部のバリ取りが不完全であったり加工時間を要するなどの問題点があった。
【0005】
本発明者らは、ショットブラスト装置を用いて前記問題点を解決した装置およびその方法として、a)インペラーによりショットが投射される一定幅の投射領域に、b)公転軸を中心にして水平回転する回転籠の外周囲に、薄板状のワークを垂直状態に装入・取出しできるようにした網籠を、前記公転軸を中心にして放射状をなし一定間隔に設け、c)前記回転籠の水平回転により網籠内に垂直状態に装入された薄板状のワークが前記投射領域の幅内を通過する間の回転籠の回転角度を45度未満となるようにしてブラストすることにより加工歪を生じることなくバリ取りを容易にした特許文献1を開示した。
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明は、回転籠により回転されたワークのインペラー側に位置するバリ取りはワークの歪を生ずることなく的確に除去できるが、回転籠の公転軸側に位置するバリ取りは不完全な点があり、当該ワークのサイズが大きくなった場合にはその影響が大きくなる傾向にある。
【特許文献1】特許第3827174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決する問題点は、加工歪を生じ易い薄板状のワークのバリ取りを、サイズが比較的大きなものであっても加工歪を生じさせず、効率よく均一に且つ安価に実施できるショットブラスト装置とそのショットブラスト方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、前記問題点を解決し、以下そのショットブラスト装置およびショットブラスト方法について、図1〜図7を用いて説明する。
【0009】
第1の発明は、図1に示すように、板状のワーク(W)を垂直状態に保持し水平方向に自転と公転をするようにしたワーク保持ユニット(2)と、前記ワーク(W)にショットを投射するインペラー(3)とを設け、前記ワーク保持ユニット(2)に保持されたブラスト加工中のワーク(W)が前記インペラー(3)の投射エリア(A)内で常に自転と公転をするようにしたショットブラスト装置である。
【0010】
第2の発明は、ケーシング本体(1)の略中央に回転軸A(4)を軸心として水平回転するステーションディスク(5)を設け、該ステーションディスク(5)上に板状のワーク(W)を垂直状態に保持し該ワーク(W)が水平方向に自転と公転をするように設けたワーク保持ユニット(2)と、前記ケーシング本体(1)の一側に前記ワーク(W)にショットを投射するインペラー(3)とを設け、前記ワーク保持ユニット(2)に保持されたブラスト加工中のワーク(W)が前記インペラー(3)の投射エリア(A)内で常に自転と公転をするようにしたショットブラスト装置である。
【0011】
第3の発明は、前記第1または第2の発明のワーク保持ユニット(2)が、回転軸B(6)を軸心として水平方向に公転する回転盤(7)と、該回転盤(7)上に自転可能に立設させた複数本の支軸(8)と、該支軸(8)に板状のワーク(W)を装入・取出し可能とし垂直状態に保持するワーク保持具(9)とからなるショットブラスト装置である。
【0012】
第4の発明は、前記第3の発明のワーク保持具(9)が公転してインペラー(3)に最も接近した位置において、ワーク保持具(9)
が保持している板状のワーク(W)の表面と前記インペラー(3)の投射方向中心線と一致するように、前記ワーク保持具(9)が自転するようにしたショットブラスト装置である。
【0013】
第5の発明は、前記第3または第4の発明の支軸(8)に、ワーク保持具(9)を一個または複数個設けられたショットブラスト装置である。
【0014】
第6の発明は、前記第3の発明乃至第5の発明のいずれかのワーク保持具(9)が、耐磨耗線材により形成された網籠、または耐磨耗棒材により形成された枠体、からなるショットブラスト装置である。
【0015】
第7の発明は、厚さが2.0〜0.3mmの板材からなるワーク(W)に形成されたバリ取り加工において、ケーシング本体(1)内に板状のワーク(W)を垂直状態に保持し水平方向に自転と公転をするように設けたワーク保持ユニット(2)と、前記ケーシング本体(1)の一側に前記ワーク(W)にショットを投射するインペラー(3)とを設け、前記ワーク保持ユニット(2)に保持されたブラスト加工中のワーク(W)が前記インペラー(3)の投射エリア(A)内で常に自転と公転をするようにしたショットブラスト装置を使用し、その加工条件を、ショットの投射速度:30〜60m/sec、投射時間:60〜180sec、投射密度:4.5〜7.5Kg/m2・min、とし、加工によりワークに発生する歪量を0.3mm以下にするショットブラスト方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のショットブラスト装置およびショットブラスト方法は、軽量化ならびに製造コスト削減等の要求に応え薄肉化傾向にある機械部品や自動車部品等に採用されている軽合金ダイカスト製品からなる薄板状のワークに形成されるバリ取りを、平板部を垂直に保持させた前記ワークを、常にショットの投射エリア内で水平方向に自転と公転させてブラスト(バリ取り)加工をすることにより、前記ワークに歪を生じさせることなく的確にバリ取りが行え、量産化・システムが容易にできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1〜図5を用いて本発明の最良の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、回転軸B(6)を軸心として水平方向に公転する回転盤(7)と、該回転盤(7)上に自転可能に立設させた複数本の支軸(8)と、該支軸(8)に板状のワーク(W)を装入・取出し可能とし垂直状態に保持するワーク保持具(9)とからなるワーク保持ユニット(2)とインペラー(3)との関係を示す平面図であって、前記ワーク(W)をインペラー(3)の投射エリア(A)内で常に自転と公転をするようにしたことにより、薄板状で比較的サイズが大きいワーク(W)であっても加工歪を生じさせず効率よく均一に且つ安価に実施できるようにした基本構成を示すものである。
【0019】
図2は、一側にインペラー(3)を設けるとともに内側をブラスト域(10)とワーク入出域(11)に仕切られたケーシング本体(1)内に、水平回転自在に設けられたステーションディスク(5)上に前記図1に示す基本構成のワーク保持ユニット(2)を取付けて、該ワーク保持ユニット(2)のワーク(W)をブラスト(バリ取り)加工と前記ワーク保持ユニット(2)へのセットおよび取出しを同時にできるようにして本発明に係るバリ取り加工を量産化・システム化ができるようにしたショットブラスト装置を示す。
【0020】
図3は、回転軸B(6)を軸心として水平方向に公転する回転盤(7)上に、2本の支軸(8)を自転可能に立設させ、各支軸(8)に2個のワーク保持具(9)設けて同時に4個のワーク(W)のバリ取りができるようにしたワーク保持ユニット(2)の実施例を示すもので、回転盤(7)が水平方向に1回転する間に自転する支軸(8)とワーク保持具(9)が水平方向に3回転するようにし、第4の発明でありその状態を図1に示すように、一方の支軸(8)のワーク保持具(9)がインペラー(3)に最も接近した位置においては、そのワーク保持具(9)が保持している板状のワーク(W)の表面と前記インペラー(3)の投射方向中心線とが一致するように自転させ、インペラー(3)から投射されるショットが、前記ワーク保持具(9)と90度位相した状態で他方の支軸(8)に取付けられたワーク保持具(9)のワーク(W)にも衝突し易くしてブラスト(バリ取り)加工ができるようにしている。
【0021】
図4は、ブレード部(図示しない)の形状を回転方向に「へ」の字形にしてショットの投射方向が広角に拡がるようにした広範囲投射型インペラーの投射エリア(A)を示すもので、当該インペラー(3)は後記の直投射型インペラーと比較して、ショットの投射エリア(A)は広く、投射密度は低く、ワーク(W)へ投射されるショットの入射角度が90度より小さいことからショットの衝突によるワーク(W)が受けるダメージは少ないことからワーク(W)の歪の発生も少なくなるもので、前記ショットの投射エリア(A)内でワーク保持ユニット(2)によりワーク(W)の自転と公転をするようにすれば、該ワーク(W)の歪を無くして効率よく均一にバリ取りが行えるものである。
【0022】
図5は、ブレード部(図示しない)の形状を平板にしてショットの投射方向を直進方向とした直投射型インペラーの投射エリア(A)を示すもので、前記のようにショットの衝突によるワーク(W)が受けるダメージは、広範囲投射型インペラーと比較すると大きいことから、本発明の目的である薄板状のワークの歪を無くしてバリ取りができるに相当するショットの投射密度、投射速度を低下させるとともに、設置する直投射型のインペラー(3)の台数をワーク保持ユニット(2)によりワーク(W)が自転と公転をするエリアをカバーできる台数にして同時にショットを投射できるようにすれば、前記ワーク(W)の歪を無くして効率よく均一にバリ取りが行えるものである。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例と比較例の条件と結果について説明する。
【0024】
実施例と比較例に用いたワークは、板厚:1.5mmのアルミダイカスト製品(ADC12/JIS−H5302)を使用して大きさ:190×170×30mmに形成した角形ケースとし、インペラー(3)は、図4に示す広範囲投射型インペラーを使用した。
【0025】
実施例と比較例のブラスト(バリ取り)条件を表1に示すが、実施例と比較例の違いは、ブラスト域(10)におけるワーク(W)の回転状態とその回転速度が異なるもので、実施例のワークは公転と自転の比率を1:3としその回転速度は公転=8min−1、自転=24min−1であるのに対し、比較例のワークは回転速度が8min−1である自転のみであって、その他は同一条件である。
【0026】
【表1】


【0027】
次に、ブラスト(バリ取り)加工後のワークの歪の評価に関し、その測定方法は、第6図に示すようにワークを定盤にセットし、測定器に株式会社ミツトヨ製「ハイトゲージ」を使用して、ブラスト(バリ取り)加工前と加工後の実施例と比較例を夫々3回測定した。測定箇所は、第7図に示すように前記ワークの四隅(a−1、a−2、b−1、b−2)とし、その対角線(a)と対角線(b)の変化量を歪として評価とした。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】


【0029】
表2に示す測定器の測定値は、図6に示すようにワーク(W)を定盤上へセットし、図7に示すようにワーク(W)の四隅(a−1、a−2、b−1、b−2)を株式会社ミツトヨ製「ハイトゲージ」を使用して測定したもので、本発明のブラスト(バリ取り)加工後のワークの歪の評価は、実施例と比較例のワーク(W)を夫々3個準備し、夫々の四隅(a−1、a−2)と(b−1、b−2)の測定値の差を前記ワーク(W)の対角線(a)と(b)の歪量として評価するものである。
【0030】
インペラー(3)に広範囲投射型インペラーを使用して、ショットの投射エリア(A)は広く、投射密度は低く、ワーク(W)へ投射されるショットの入射角度が90度より小さくして歪の発生を少なくしたショットの投射条件に同一にしてブラスト(バリ取り)加工をおこなったが、表2に示すように、実施例における対角線(a)と(b)の歪量は、3個のワークのともすべてが、第7の発明の条件である0.3mm以下に収めることができたが、比較例における前記歪量は、3個のワークのともすべてが0.3mm以上となって満足する結果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のワーク保持ユニットとインペラーとの関係を示す平面図。
【図2】本発明のショットブラスト装置を示す平面図。
【図3】本発明のワーク保持ユニットの斜視図。
【図4】広範囲投射型インペラーの投射エリアを示す説明図。
【図5】直投射型インペラーの投射エリアを示す説明図。
【図6】ワークの歪測定の方法を示す説明図。
【図7】ワークの歪測定位置示す説明図。
【符号の説明】
【0032】
1 ケーシング本体
2 ワーク保持ユニット
3 インペラー
4 回転軸A
5 ステーションディスク
6 回転軸B
7 回転盤
8 支軸
9 ワーク保持具
10 ブラスト域
11 ワーク入出域
A 投射エリア
W ワーク
【出願人】 【識別番号】390031185
【氏名又は名称】新東ブレーター株式会社
【出願日】 平成18年11月8日(2006.11.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−119759(P2008−119759A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−303149(P2006−303149)