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表面加工方法 - 特開2008−110454 | j-tokkyo
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【発明の名称】 表面加工方法
【発明者】 【氏名】綱渕 輝幸

【要約】 【課題】加工時間の短縮ならびにコストの低減が図れ、加工品質が安定した表面加工方法を提供する。

【解決手段】ホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子1を加工すべき被加工物8の表面に衝突させて、その被加工物8の表面を穴開け、起毛、脱色などの機械的加工処理することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子を加工すべき被加工物の表面に衝突させて、その被加工物の表面を加工処理することを特徴とする表面加工方法。
【請求項2】
請求項1記載の表面加工方法において、前記被加工物が布地または革であることを特徴とする表面加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば繊維分野、アパレル分野、インテリア分野、建築分野などにおいて使用する布地、糸、ロープ、紙、紙板、革、木材、プラスチック材、ゴム材、ボード材、それらの複合材、その他の素材などの被加工物の表面を粗面化、起毛、穿孔、研削などの所望の機械的加工処理を施す表面加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Gパンなどのデニム地の所望箇所に穴を開けるとともに、その開口の周辺部を起毛、脱色して古めかしさやボロ感覚の風合いを出すために、エイジング処理を施こす技術がある。
【0003】
このエイジング処理として従来は布地に対して、塩素化合物、オゾンあるいはグラインダーやサンドブラストなどによる穴開け・脱色加工が施されている。
【0004】
粉体噴射装置に関しては、例えば特開平11−300619号公報などを挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述のような従来の加工方法では、前述の風合いを確実に出すのが難しいため、結局、手作業により穴開け、起毛、脱色が行われていた。ところがこの手作業による加工は、作業が煩雑で長時間を要し、コスト高を招き、個人差があって加工品質が一定せず、また熟練を要するなどの欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、加工時間の短縮ならびにコストの低減が図れ、加工品質が安定した表面加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、ホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子を加工すべき被加工物の表面に衝突させて、その被加工物の表面を例えば穴開け、起毛、脱色などの機械的加工処理することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記被加工物が例えばデニム地などの布地または革であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
ホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子は、鋭利な刃物のような切れ味と、ナタのような鈍器としての破壊力を兼ね備えているため、その固体粒子を被加工物の表面に衝突させることにより、例えば穴開け、起毛、脱色などの機械的加工処理が短縮で行われ、コストの低減が図れるとともに、品質的にも安定している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
噴射加工において固体粒子は約50〜300m/sに加速されてノズルから噴射されるが、加速方式により、空気、窒素、二酸化炭素などの高圧気体により固体粒子を噴射するアブレイシブジェット加工(Abrasive Jet Machining AJM)と、水などの高圧液体により固体粒子を噴射するアブレイシブウォータージェット加工(Abrasive Water Jet Machining AWJM)とに大別することができる。
【0011】
被加工物の表面にはノズルから噴射された固体粒子が衝突して微細なクラックが発生し、その衝突は連続して起こるため、クラックがさらに成長してクラックどうしが交差し、その部分が微小な切り屑となって除去される。このようにして被加工物の表面がミクロン単位で切削されて、表面に凹凸ができたり、起毛が生じたり、穴が開いたりして、所望の機械的な表面加工がなされる。
【0012】
次に本発明の実施形態を図と共に説明する。図1は、前記AJMによる表面加工装置の概略構成図である。装置本体の内部には、固体粒子1を供給するために耐摩耗性のパイプにより供給通路2が形成されている。この供給通路2の上流端には電磁弁4を介してコンプレッサーを含む固体粒子供給用高圧ガス源3が接続されている。
【0013】
供給通路2の途中には固体粒子1を貯留したホッパー5が接続され、ホッパー5の供給口(図示せず)は供給通路2に連通している。供給通路2の先端部には混合室6が設けられ、それにコンプレッサーを含む加速用高圧ガス源7が接続されている。図示していないが、前記混合室6の先端部には噴射ノズルが設けられている。噴射ノズルは所定の間隔をおいて被加工物8と対向しており、噴射ノズルと被加工物8は相対的に移動可能にセッティングされている。
【0014】
本実施形態では前記固体粒子1として、ホタテの貝殻を粉砕して得た大きさが3mm以下 (アスペクト比:1.1以上)の粒子が用いられ、この固体粒子1が前記ホッパー5内に貯留されている。また、固体粒子供給用高圧ガス源3ならびに加速用高圧ガス源7の圧力媒体として、ともに空気が用いられる。
【0015】
固体粒子供給用高圧ガス源3のガス圧は前記電磁弁4の入口側に常に掛っており、制御部(図示せず)からのオン信号により電磁弁4が開くと、固体粒子供給用高圧ガス源3からの高圧ガスが前記供給通路2内を流通する。それによって前記ホッパー5の供給口付近が負圧状態となり、ホッパー5内の固体粒子1が供給通路2内に吸い込まれ、高圧ガス源3からの高圧ガスにより混合室6側に押し出される。
【0016】
そして混合室6に供給されている加速用高圧ガス源7からの高圧ガスと混合され加圧されて、固体粒子1が混合室6に前方に取り付けられているノズル(図示せず)から被加工物8(本実施形態ではデニム地を使用)に向かって高圧噴射される。噴射された無数の固体粒子1は被加工物8の加工表面に衝突し、それによって表面が切削されて、順次穴が開き、穴の開口部周辺に起毛が生じて、最終的には脱色して古めかしさやボロ感覚の風合いが出た被加工物8(デニム地)を得ることができる。
【0017】
この加工装置によれば電磁弁4のオン、オフ時間を制御することにより固体粒子1の間欠供給が可能であり、それによって加工形状の設定、変更が任意にできる。
【0018】
ホタテの貝殻は95%以上が炭酸カルシウムから構成されており、組織的には幅が数μm程度の短冊状をしたカルサイト結晶が規則正しく配列しており、そのカルサイト結晶間はタンパク質とキトサンからなるコンキオリンにより強固に結合している。そのためにアルミニウムやガラスなどに比べて曲げ弾性率、曲げ強度などの機械的強度に優れている。
【0019】
また構造的には、外表面に不規則な凹凸があり、内部は緻密なヤリ状(棒状)組織が配向方向を相互に違えて複数層(5層程度)積層した状態になっている。またホタテの貝殻は特異な形状を有しているため嵩高いが、それをジョークラッシャーなどによって粗粉砕した後、さらにカッターミルなどによって0.5〜6mm程度に粉砕すると嵩密度はほぼ最大値(約1.2g/cm)を示す。
【0020】
従ってこのホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子は、鋭利な刃物のような切れ味と、ナタのような鈍器としての破壊力を兼ね備えている。そのため砂、セラミック、金属などの粒子形状が球形のサンドブラスト材、あるいは牡蠣やホッキ貝など他の貝殻を粉砕して得た粒子では不可能な風合いを持った素材表面加工が可能となる。
【0021】
粉砕操作によりアスペクト比(長軸/短軸)の大きな粒子を得ることができ、例えば大きさが3mm以下のホタテの貝殻はアスペクト比が1.1以上のものが多く、特に本発明の表面加工に適している。
【0022】
厚さ1〜2mmのデニム地に対して各種の加工を行った場合の加工内容、加工量、作業時間ならびに固体粒子使用量の例を次の表に示す。
【0023】
[加工内容] [加工量] [作業時間] [使用量]
表面変色 100×250mm 51秒24 1.0kg
一部穴あけ 直径20mm 0.567秒 0.1kg
切り込み 長さ220mm 1分30秒30 2.1kg

前記表面変色加工(脱色加工)は100×250mmの大きさの開口部を形成した金属板からなるマスキング冶具を、前記一部穴あけ加工は直径20mmの大きさの開口穴を形成した金属板からなるマスキング冶具をそれぞれ布地の表面にあてがって、固体粒子の高圧噴射を行った。また切り込み加工は、布地の裏に裏当冶具を当てないで加工した方がシャープな切り込みができた。
【0024】
前記表から明らかなように、ホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子は、鋭利な刃物のような切れ味と、ナタのような鈍器としての破壊力を兼ね備えているため、各種の加工が可能であるとともに、作業時間の短縮が図れ、しかも固体粒子の使用量が少なくて済む。前述の例では厚さ1〜2mmのデニム地に対して各種の加工を行ったが、それよりも厚いデニム地においても加工時間の短縮が図れる。
【0025】
別の実験結果によれば、Gパンのエイジング処理時間を同一加工面積において従来の手作業に比べて約1/10〜1/100に短縮できることが確認されている。
【0026】
前記実施形態ではAJM加工の場合について説明したが、水などの高圧液体を用いて固体粒子を噴射するAWJM加工にも本発明を適用することが可能である。また前記実施形態ではホタテの貝殻を粉砕して得た固体粒子を単独で使用したが、前記固体粒子と氷粒などの他の噴射媒体とを混合して被加工物の表面に衝突させるか、あるいは前記固体粒子を噴射する加工装置と氷粒を高圧水で噴射する加工装置とを併用したり、前記固体粒子を噴射する加工装置と高圧水で噴射するウォータージェット加工装置とを併用したりすることも可能である。
【0027】
前記実施形態ではGパンのエイジング処理について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、タペストリー、ベッドカバー、ジュータンなどのインテリア品の表面加工にも適用可能である。
【0028】
また金属板にエッチング技術を応用して例えば文字、マーク、絵など加工しようとしているデザインの外形を有する開口部を形成したマスキング冶具を準備し、このマスキング冶具を被加工物の表面にあてがって固体粒子を噴射することにより、前記開口部を通して被加工物の表面に所定の加工を施すこともできる。
【0029】
さらに、所定の形状の凹凸加工を施した例えば金属、木材、石材、プラスチック材などからなる基体の上に塑性変形が可能な例えば布材、革材、軟質プラスチック、軟質金属などの被加工物を被せて、その被加工物の上から前記固体粒子を二次元あるいは三次元方向に噴射することにより、被加工物を前記基体の表面形状に沿って塑性変形させるとともに、被加工物の表面を所望の状態に加工することもできる。このようにすれば、前記基体の外形に沿って塑性変形して表面が所望の状態に加工された被加工物を得ることができる。
【0030】
本発明は、例えば繊維分野、アパレル分野、インテリア分野、建築分野など各種技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る表面加工装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1:固体粒子、2:供給通路、3:固体粒子供給用高圧ガス源、4:電磁弁、5:ホッパー、6:混合室、7:加速用高圧ガス源、8:被加工物。
【出願人】 【識別番号】598175883
【氏名又は名称】綱渕 輝幸
【出願日】 平成18年10月31日(2006.10.31)
【代理人】 【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−110454(P2008−110454A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−295994(P2006−295994)