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【発明の名称】 湿式ブラスト装置
【発明者】 【氏名】前田 利章

【要約】 【課題】研磨材の飛散による悪影響をなくし、被処理物に対し広い範囲でバリ取りや異物除去を行うことができる湿式ブラスト装置を提供する。

【解決手段】この湿式ブラスト装置は、被処理物を研磨材混合液中に浸漬させた状態で、研磨材混合液を被処理物に向けて噴流させ、ブラスト加工を行なう湿式ブラスト装置である。研磨材混合液を収容しブラスト加工を行なうブラスト処理槽1と、混合液から研磨材を分離した清浄な処理液を収容する液槽2と、ブラスト処理槽内に設置され、研磨材混合液中で被処理物に対し研磨材混合液を噴流する噴流ノズル3と、研磨材混合液から清浄な処理液を分離して液槽に送る分離装置7と、噴流ノズルに対し高圧の処理液を供給する噴流用ポンプ5と、ブラスト処理槽内の研磨材混合液を撹拌し、噴流ノズルに対し研磨材混合液を供給する撹拌用ポンプ6と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨材と液体を混合した研磨材混合液を収容しブラスト加工を行なうブラスト処理槽と、
該ブラスト処理槽内の研磨材混合液から研磨材を分離した清浄な処理液を収容する液槽と、
該ブラスト処理槽内に設置され、研磨材混合液中で被処理物に対し研磨材混合液を噴流する噴流ノズルと、
研磨材混合液から清浄な処理液を分離して該液槽に送る分離装置と、
該噴流ノズルに対し高圧の処理液を供給する噴流用ポンプと、
該ブラスト処理槽内の研磨材混合液を撹拌すると共に、該噴流ノズルに対し研磨材混合液を供給する撹拌用ポンプと、
該ブラスト処理槽内の研磨材混合液を該分離装置に供給する分離用ポンプと、
を備えたことを特徴とする湿式ブラスト装置。
【請求項2】
前記液槽は、前記ブラスト処理槽に隣接して配置され、該液槽には、処理液のレベルが所定レベルに達したとき、該液槽内の処理液がオーバーフローにより該ブラスト処理槽内に流入する通路が設けられたことを特徴とする請求項1記載の湿式ブラスト装置。
【請求項3】
前記ブラスト処理槽の上部に、ブラスト加工終了後に液中から引き上げた被処理物を保持して洗浄する洗浄部が形成され、該洗浄部には処理液を被処理物に吹き付けて洗浄する洗浄ノズルが配設されたことを特徴とする請求項1記載の湿式ブラスト装置。
【請求項4】
前記噴流用ポンプの吐出側の管路に切替弁が接続され、該切替弁によって処理液の供給が前記洗浄ノズル側と前記噴流ノズル側間で切り替えられることを特徴とする請求項3記載の湿式ブラスト装置。




【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、電子部品などの被処理物からバリや異物を除去する湿式のブラスト装置に関し、特に、被処理物に対し液中で研磨材混合液を噴射してバリや異物の除去を行う湿式ブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1などにおいて、湿式ブラスト装置が提案されている。この種の湿式ブラスト装置は、投射材を水に混合した投射材液を、圧縮空気と共に噴射ノズルに供給し、噴射ノズルからその投射材液を圧縮空気と共に被処理物に噴射し、被処理物の研磨を行なうものであり、乾式のショットブラストに適さない被処理物、細かい研磨材を使用して研磨する必要があるもの、或いは狭い範囲の研磨を行なう場合に、有効に使用されている。
【特許文献1】特開平11−316354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種の従来の湿式ブラスト装置は、処理槽内で水と投射材を混合した投射材液を噴射してブラスト加工を行なうため、槽内に飛散した投射材が、槽内に入る搬送装置の精密機械部分や電気機器部分に侵入し、搬送装置に悪影響を与える問題があった。
【0004】
また、水と投射材を混合した投射材液を噴射ノズルから高圧噴射して、ブラスト加工を行なうため、必然的にブラストの範囲が狭く限定され、被処理物に対し効率の良いブラスト加工を実施しにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、研磨材の飛散による悪影響をなくし、被処理物に対し広い範囲でバリ取りや異物除去を行うことができる湿式ブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る湿式ブラスト装置は、研磨材と液体を混合した研磨材混合液を収容しブラスト加工を行なうブラスト処理槽と、ブラスト処理槽内の研磨材混合液から研磨材を分離した清浄な処理液を収容する液槽と、ブラスト処理槽内に設置され、研磨材混合液中で被処理物に対し研磨材混合液を噴流する噴流ノズルと、研磨材混合液から清浄な処理液を分離して液槽に送る分離装置と、噴流ノズルに対し高圧の処理液を供給する噴流用ポンプと、ブラスト処理槽内の研磨材混合液を撹拌すると共に、噴流ノズルに対し研磨材混合液を供給する撹拌用ポンプと、ブラスト処理槽内の研磨材混合液を分離装置に供給する分離用ポンプと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、上記液槽は、上記ブラスト処理槽に隣接して配置され、該液槽には、処理液のレベルが所定レベルに達したとき、該液槽内の処理液がオーバーフローにより該ブラスト処理槽内に流入する通路を設けることができる。
【0008】
また、上記ブラスト処理槽の上部に、ブラスト加工終了後に液中から引き上げた被処理物を保持して洗浄する洗浄部を形成し、洗浄部には処理液を被処理物に吹き付けて洗浄する洗浄ノズルを配設することができる。
【0009】
さらに、上記噴流用ポンプの吐出側の管路に切替弁を接続し、切替弁によって処理液の供給を洗浄ノズル側と噴流ノズル側間で切り替えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の湿式ブラスト装置によれば、ブラスト加工を液中で行ない、研磨材混合液が液中で噴流ノズルから被処理物Wに向けて噴流され、研磨材混合液が被処理物Wの周囲に良好に回りこむように動くため、被処理物全体を効率良く良好にブラスト処理することができる。
【0011】
また、液中で研磨材混合液が噴射されるため、ブラスト処理槽内で研磨材が飛散することはなく、槽内に進入する搬入装置などに対する研磨材による悪影響を防止することができる。
【0012】
さらに、噴流ノズルには高圧の噴流用ポンプから清浄な処理液を供給し、撹拌用ポンプからの研磨材混合液を噴流ノズルから噴出するように動作するから、高圧ポンプである噴流用ポンプにおいては、研磨材による悪影響を防止することができる。
【0013】
さらに、ブラスト処理槽内の下部でブラスト加工を行なった後、被処理物はそのまま上部の洗浄部まで持ち上げられ、その洗浄部で清浄な処理液を吹き付けて洗浄することができるため、被処理物を外部に持ち出して研磨材を飛散させることがなく、ブラスト加工後の被処理物を、同一槽内で効率良く良好に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、被処理物に対し液中で研磨材混合液を噴射してバリ取りや異物の除去を行う湿式ブラスト装置の構成図を示している。
【0015】
本湿式ブラスト装置は、研磨材と液体を混合した研磨材混合液を収容しブラスト加工を行なうブラスト処理槽1と、ブラスト処理槽1に隣接して配置され研磨材を分離した清浄な処理液を収容する液槽2と、ブラスト処理槽1内に設置され、研磨材混合液中で被処理物に対し研磨材混合液を噴流する噴流ノズル3と、研磨材混合液から清浄な処理液を分離して液槽2に送る分離装置7と、噴流ノズル3に対し高圧の処理液を供給する噴流用ポンプ5と、ブラスト処理槽1内の研磨材混合液を撹拌すると共に、噴流ノズル3に対し研磨材混合液を供給する撹拌用ポンプ6と、研磨材混合液を分離装置7に供給する分離用ポンプ8と、を備えて構成される。
【0016】
ブラスト処理槽1の上方は開口され、その開口部から被処理物が搬入装置30により挿入される。ブラスト処理槽1と液槽2間の壁部に、連通路10が開口して設けられ、液槽2内の処理液がオーバーフローにより、連通路10と通してブラスト処理槽1に流入するようにしている。
【0017】
ブラスト処理槽1内の下部に、研磨材と液体を混合した研磨材混合液が溜められ、その研磨材混合液中でブラスト加工が行なわれる一方、ブラスト処理槽1の内の上部の空気中に、洗浄部1aが形成される。この洗浄部1aには、清浄な処理液を噴射する洗浄ノズル9が配置され、ブラスト加工を終えた後の被処理物に対し、洗浄ノズル9から清浄な処理液が噴射され、被処理物を洗浄する。
【0018】
洗浄ノズル9には処理液を供給するための第1管路11が接続され、第1管路11は切替弁4を介して噴流用ポンプ5の吐出側に接続されている。切替弁4には三方切替弁が使用され、切替弁4の一方の吐出ポートに洗浄ノズル9が第1管路11を介して接続され、切替弁4の他方の吐出ポートに噴流ノズル3が第3管路13を介して接続される。切替弁4の入力ポートには第1管路11を介して噴流用ポンプ5の吐出側が接続され、噴流用ポンプ5の吸入側に第2管路12が接続され、この第2管路12の他端は液槽2に接続される。
【0019】
一方、撹拌用ポンプ6の吸入側が第10管路20を介してブラスト処理槽1の底部に接続され、撹拌用ポンプ6の吐出側は第4管路14を介して噴流ノズル3の研磨材混合液供給口に接続され、撹拌用ポンプ6により研磨材混合液が噴流ノズル3に供給される。研磨材としては、サンド等の鉱物砥粒、アルミナなどのセラミック砥粒等を使用することができ、液体(処理液)には水を使用することができる。
【0020】
また、第4管路14に第5管路15が分岐するように接続され、第5管路15はバルブ25を介してブラスト処理槽1の底部に接続される。バルブ25は運転時、常時開放され、撹拌用ポンプ6の作動により、ブラスト処理槽1の底部に溜まった研磨材混合液は、第10管路20から第4管路14、第5管路15を通り、ブラスト処理槽1に戻るように循環し、底部に溜まった研磨材混合液が撹拌される。また、撹拌用ポンプ6の作動により、ブラスト処理槽1内の研磨材混合液が噴流ノズル3に供給される。
【0021】
一方、分離用ポンプ8の吸入側は第6管路16を介してブラスト処理槽1の底部に接続され、分離用ポンプ8の吐出側は第7管路17を介して分離装置7の入口ポートに接続されている。分離装置7は、研磨材混合液から研磨材をフィルタリングにより、或いは遠心分離により分離し、清浄な処理液を液槽2に送り、分離した研磨材をブラスト処理槽1に戻すように構成される。これにより、分離装置7の処理液の吐出側は第8管路18を介して液槽2の上部に接続され、分離装置7の研磨材の吐出側は第9管路19を介してブラスト処理槽1内に接続される。
【0022】
次に、上記構成の湿式ブラスト装置の動作を説明する。図1に示すように、ブラスト処理槽1内には予め研磨材と処理液を混合した研磨材混合液が収容され、液槽2には、予め清浄な処理液が収容される。
【0023】
ブラスト加工に際し、先ず、ブラスト処理槽1内の研磨材混合液を撹拌する。研磨材混合液の撹拌は、バルブ25を開き、撹拌用ポンプ6を起動して行なう。撹拌用ポンプ6を起動すると、ブラスト処理槽1の底部に溜まった研磨材混合液が、第10管路20から撹拌用ポンプ6、第4管路14、第5管路15、及びバルブ25を経て再びブラスト処理槽1の底部に戻され、それらの通路とブラスト処理槽1内で混合液が循環することにより、研磨材混合液が撹拌される。
【0024】
そのような状態で、ブラスト処理槽1内に機械部品、電子部品などの被処理物が搬入装置30によって挿入され、被処理物は槽内の研磨材混合液に浸漬され、ブラスト加工が次のように行なわれる。すなわち、撹拌用ポンプ6を起動し、噴流用ポンプ5を起動すると、噴流ノズル3から研磨材混合液が槽内の研磨材混合液中に噴射され、これにより液中に噴流が発生する。このとき、噴流ノズル3では、撹拌用ポンプ6を通して研磨材混合液が供給され、高圧の噴流用ポンプ5、第1管路11、切替弁4、及び第3管路13を通して、液槽2から吸引した清流の処理液が噴流ノズル3に高圧供給され、液中の被処理物Wに向けて混合液の噴流が発生する。
【0025】
また、このとき、分離用ポンプ8が運転され、第6管路16を通して吸引した研磨材混合液が、分離用ポンプ8により第7管路17を通し分離装置7に送られ、この分離装置7で清浄な処理液と研磨材が分離され、清浄な処理液は液槽2に送られ、研磨材はブラスト処理槽1に戻される。このように、分離された清浄な処理液が噴流ノズル3の高圧噴流用として使用され、噴流ノズル3に導入した高圧媒体によって高圧となった研磨材混合液が、噴流ノズル3から液中に噴出される。この液中での研磨材混合液の噴出により、被処理物Wに向けた噴流が発生し、この噴流が被処理物Wに当ることによりブラスト加工が行なわれ、被処理物Wの表面のバリ或いは異物が削り取られる。
【0026】
ブラスト加工を終了した被処理物Wは、次に、搬入装置30によってブラスト処理槽1上部の洗浄部1aまで持ち上げられ、液中から槽内の空気中に引き出される。そして、図2に示すように、切替弁4が切り替えられ、第1管路11と第1管路11が連通する状態に切り替えられる。このため、噴流用ポンプ5によって供給された高圧の処理液が洗浄ノズル9に送られ、洗浄ノズル9から清浄の処理液が被処理物Wに向けて噴射されて、被処理物Wに付着した異物などが清浄の処理液によって洗浄され、除去される。
【0027】
このように、ブラスト加工では、液中で研磨材混合液が噴流ノズル3から被処理物Wに向けて噴流され、研磨材混合液が被処理物Wの周囲に良好に回りこむように動くため、被処理物W全体を効率良く良好にブラスト処理することができる。また、液中で研磨材混合液が噴射されるため、ブラスト処理槽1内で研磨材が飛散することはなく、槽内に進入する搬入装置30などに対する研磨材による悪影響を防止することができる。
【0028】
さらに、噴流ノズル3には高圧の噴流用ポンプ5から清浄な処理液を供給し、撹拌用ポンプ6からの研磨材混合液を噴流ノズル3から噴出するように動作するから、高圧ポンプである噴流用ポンプ5においては、研磨材による悪影響(各部の劣化や摩耗による故障など)を防止することができる。
【0029】
さらに、ブラスト処理槽1内の下部でブラスト加工を行なった後、被処理物Wはそのまま上部の洗浄部1aまで持ち上げられ、その洗浄部1aで清浄な処理液を吹き付けて洗浄するため、被処理物Wを外部に持ち出して研磨材を飛散させることがなく、ブラスト加工後の被処理物Wを、同一槽内で効率良く良好に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態を示すブラスト加工時の湿式ブラスト装置の構成図である。
【図2】洗浄時の同湿式ブラスト装置の構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ブラスト処理槽
1a 洗浄部
2 液槽
3 噴流ノズル
4 切替弁
5 噴流用ポンプ
6 撹拌用ポンプ
7 分離装置
8 分離用ポンプ
9 洗浄ノズル
25 バルブ
W 被処理物
【出願人】 【識別番号】506360594
【氏名又は名称】株式会社ハラタ
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫

【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子


【公開番号】 特開2008−105141(P2008−105141A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−290924(P2006−290924)