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【発明の名称】 ウォータージェット加工装置
【発明者】 【氏名】花島 聡

【氏名】金井 茂一

【氏名】松原 政幸

【氏名】山本 昌明

【氏名】立岩 聡

【要約】 【課題】被加工物を切断する際に飛散する砥粒が被加工物における加工領域の周囲に飛散することを防止できるウォータージェット加工装置を提供する。

【解決手段】被加工物を保持する被加工物保持手段と、被加工物保持手段によって保持された被加工物に加工水を噴射する加工水噴射ノズルを備えた加工水噴射手段と、加工水噴射手段と被加工物保持手段とを相対移動せしめる移動手段とを具備しているウォータージェット加工装置であって、加工水噴射ノズルから噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段を具備している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段によって保持された被加工物に加工水を噴射する加工水噴射ノズルを備えた加工水噴射手段と、該加工水噴射手段と該被加工物保持手段とを相対移動せしめる移動手段と、を具備しているウォータージェット加工装置において、
該加工水噴射ノズルから噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段を具備している、
ことを特徴とするウォータージェット加工装置。
【請求項2】
該ウォーターカーテン形成手段は、該ノズルを囲繞して配設され複数の噴出口を備えた環状のウォーターカーテン形成部材と、該ウォーターカーテン形成に水を供給する水供給手段とからなっている、請求項1記載のウォータージェット加工装置。
【請求項3】
該環状のウォーターカーテン形成部材に接続され上記加工水噴射ノズルから加工水が噴射されることによって発生する飛沫を吸引する飛沫吸引手段を具備している、請求項2記載のウォータージェット加工装置。
【請求項4】
該飛沫吸引手段は、該環状のウォーターカーテン形成部材の中央開口に嵌合される飛沫収集部材と、該飛沫収集部材によって収集された飛沫を吸引する吸引手段とからなっている、請求項3記載のウォータージェット加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を高圧の加工水を噴射して切断するウォータージェット加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定の分割予定ラインといわれる切断予定ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead
Package(QFN)と称するパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画する分割予定ラインが格子状に形成された銅板等の金属板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって金属板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板を分割予定ラインに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
【0004】
上記CSP基板の切断は、一般にダイシング装置とよばれる精密切削装置によって施される。このダイシング装置は、環状の砥粒層を備えた切削ブレードを備え、この切削ブレードを回転させつつCSP基板の分割予定ラインに沿って相対移動することにより、CSP基板を分割予定ラインに沿って切削し、個々のチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。しかるに、CSP基板を切削ブレードによって切断すると、接続端子にバリが生じ、隣接する接続端子同士が短絡してチップサイズパッケージ(CSP)の品質および信頼性を低下させるという問題がある。
【0005】
また、CSP基板に限らず、半導体ウエーハ等の被加工物を切削ブレードによって切削すると、被加工物の表面に微細な切削屑が付着して汚染するという問題もある。
このような切削ブレードによる切断における問題を解消する切断技術として、被加工物保持機構によって保持された被加工物にアルミナ、シリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の砥粒を混入した高圧の加工水をノズルから噴射して被加工物を切断するウォータージェット切断加工が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2004−136427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、高圧の加工水にはアルミナ、シリカ、ガーネット、ダイヤモンド等の砥粒が混入されているので、半導体ウエーハ等の被加工物を切断する際に、加工領域の周囲に砥粒が飛散して半導体ウエーハ等の表面に形成されたデバイスに付着し、デバイスの品質を低下させるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、被加工物を切断する際に飛散する砥粒が被加工物における加工領域の周囲に飛散することを防止できるウォータージェット加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段によって保持された被加工物に加工水を噴射する加工水噴射ノズルを備えた加工水噴射手段と、該加工水噴射手段と該被加工物保持手段とを相対移動せしめる移動手段と、を具備しているウォータージェット加工装置において、
該加工水噴射ノズルから噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段を具備している、
ことを特徴とするウォータージェット加工装置が提供される。
【0009】
上記ウォーターカーテン形成手段は、上記ノズルを囲繞して配設され複数の噴出口を備えた環状のウォーターカーテン形成部材と、該ウォーターカーテン形成に水を供給する水供給手段とからなっている。
上記環状のウォーターカーテン形成部材に接続され上記加工水噴射ノズルから加工水が噴射されることによって発生する飛沫を吸引する飛沫吸引手段を具備している。この飛沫吸引手段は、上記環状のウォーターカーテン形成部材の中央開口に嵌合される飛沫収集部材と、該飛沫収集部材によって収集された飛沫を吸引する吸引手段とからなっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるウォータージェット加工装置においては、加工水噴射ノズルから噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段を具備しているので、加工水噴射ノズルから噴射された加工水によって被加工物が加工される際に飛散する砥粒は筒状のウォーターカーテンによって遮蔽され、被加工物における加工領域の周囲に飛散することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明によるウォータージェット加工装置の好適な実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明によるウォータージェット加工装置の要部斜視図が示されている。図1に示されたウォータージェット加工装置は、静止基台2と、第1の可動基台3と、第2の可動基台4と、第3の可動基台5を具備している。この静止基台2の手前側の側面には、矢印Xで示す方向に沿って平行に延びる一対の案内レール21、21が設けられている。
【0013】
第1の可動基台3は、上記静止基台2と対向する一方の側面に矢印Xで示す方向に形成され静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝31、31を備えているとともに、他方の側面に設けられ矢印Zで示す方向に平行に延びる一対の案内レール32、32を備えている。このように構成された第1の可動基台3は、一対の被案内溝31、31を上記一対の案内レール21、21に嵌合することにより、静止基台2に矢印Xで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第1の可動基台3を上記静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動させるための第1の移動手段30を具備している。第1の移動手段30は、一対の案内レール21と21との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド301と、該雄ネジロッド301を回転駆動するためのパルスモータ302とを含んでいる。雄ネジロッド301は、上記第1の可動基台3に設けられた雌ネジ33と螺合し、その一端が静止基台2に配設された軸受部材303に回転可能に支持されている。パルスモータ302は、その駆動軸が雄ネジロッド301の他端に連結され、雄ネジロッド301を正転および逆転駆動することにより、第1の可動基台3を静止基台2に設けられた一対の案内レール21、21に沿って矢印Xで示す方向に移動せしめる。
【0014】
上記第2の可動基台4は、上記第1の可動基台3と対向する一方の側面に矢印Zで示す方向に形成され第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝41、41を備えているとともに、上記一方の側面に対して垂直な側面に設けられ矢印Yで示す方向に平行に延びる一対の案内レール42、42を備えている。このように構成された第2の可動基台4は、一対の被案内溝41、41を上記一対の案内レール32、32に嵌合することにより、第1の可動基台3に矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第2の可動基台4を上記第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動させるための第2の移動手段40を具備している。第2の移動手段40は、一対の案内レール32と32との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド401と、該雄ネジロッド401を回転駆動するためのパルスモータ402とを含んでいる。雄ネジロッド401は、上記第2の可動基台4に設けられた雌ネジ43と螺合し、その一端が第1の可動基台3に配設された軸受部材403に回転可能に支持されている。パルスモータ402は、その駆動軸が雄ネジロッド401の他端に連結され、雄ネジロッド401を正転および逆転駆動することにより、第2の可動基台4を第1の可動基台3に設けられた一対の案内レール32、32に沿って矢印Zで示す方向に移動せしめる。
【0015】
上記第3の可動基台5は、上記第2の可能基台4と対向する一方の側面に矢印Yで示す方向に形成され上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝51、51(図1においては上側の一方だけが示されている)を備えており、該一対の被案内溝51、51を上記一対の案内レール42、42に嵌合することにより、第2の可動基台4に矢印Yで示す方向に移動可能に支持される。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、第3の可動基台5を上記第2の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動させるための第3の移動手段50を具備している。第3の移動手段50は、一対の案内レール42と42との間に該案内レールと平行に配設された雄ネジロッド501と、該雄ネジロッド501を回転駆動するためのパルスモータ502とを含んでいる。雄ネジロッド501は、上記第3の可動基台5に設けられた雌ネジ(図示せず)と螺合し、その一端が第2の可動基台4に配設された軸受部材503に回転可能に支持されている。パルスモータ502は、その駆動軸が雄ネジロッド501の他端に連結され、雄ネジロッド501を正転および逆転駆動することにより、第3の可動基台5を第3の可動基台4に設けられた一対の案内レール42、42に沿って矢印Yで示す方向に移動せしめる。
【0016】
上記第3の可動基台5の他方の面には、矢印Xで示す方向に延びる被加工物保持テーブル6が装着されている。この被加工物保持テーブル6には、矩形状の開口61が形成されているとともに、該開口61の周囲上面に4本の位置決めピン62が突出して配設されている。図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、被加工物保持テーブル6の下側に配設され、後述するウォータージェットを緩衝するための水を収容する水槽60を備えている。
【0017】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、上記被加工物保持テーブル6上に保持される被加工物に加工水を噴射するための加工水噴射手段7を具備している。加工水噴射手段7は、加工水噴射ノズル71と、該加工水噴射ノズル71に砥粒を混入した高圧の加工水を供給する加工水供給手段72とからなっている。加工水噴射ノズル71は、直径が200μm程度の噴射口を備えており、ノズル支持部材20に取付けられる。加工水供給手段72は、砥粒を混入した高圧(例えば40MPa)の加工水を配管721を介して加工水噴射ノズル71に供給する。
【0018】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、上記ノズル7から噴射される加工水を囲繞して筒状のウォーターカーテンを形成するウォーターカーテン形成手段8を具備している。図示の実施形態におけるウォーターカーテン形成手段8は、環状のウォーターカーテン形成部材81と、該環状のウォーターカーテン形成部材81にウォーターカーテン用水を供給するウォーターカーテン用水供給手段82とを具備している。環状のウォーターカーテン形成部材81は、図2乃至図4に示すように中央に開口811を備えているとともに環状の通路812を備えており、その底壁には環状の通路812に開口する複数の噴出口813が環状に設けられている。また、環状のウォーターカーテン形成部材81には上記環状の通路812と連通する水導入路814を備えた支持部815が設けられており、水導入路814が図1に示すように上記ウォーターカーテン用水供給手段82に配管821を介して連通されている。このように構成された環状のウォーターカーテン形成部材81は、合成樹脂によって一体的に形成されており、図4に示すように加工水噴射ノズル71を囲繞するように配設され、支持部815が上記ノズル支持部材20によって支持される。上記ウォーターカーテン用水供給手段82は、図1に示すように配管821を介して環状のウォーターカーテン形成部材81の水導入路814に圧力が0.3〜0.5MPaの水を2〜4リットル/分程度供給する。
【0019】
図示の実施形態におけるウォータージェット加工装置は、図1に示すように上記環状のウォーターカーテン形成部材81に接続された飛沫吸引手段9を具備している。飛沫吸引手段9は、飛沫収集部材91と、該飛沫収集部材91によって収集された飛沫を吸引する吸引手段92とからなっている。飛沫収集部材91は、図2および図4に示すように上記環状のウォーターカーテン形成部材81の開口811に嵌合する収集部911と、該収集部911と連通するダクト部912とからなっており、合成樹脂によって一体的に形成されている。収集部911は、環状に形成されており、中央に収集路911aを備えている。ダクト部912は、収集部911の収集路911aと連通する吸引通路912aおよび該吸引通路912aと連通する排出口912bを備えているとともに、上記加工水噴射ノズル71が挿通する穴912cを備えている。このように構成された飛沫収集部材91は、ダクト部912の排出口912bが図1に示すように吸引管921を介して吸引手段92に連通れている。
【0020】
図示の実施形態における加工水噴射手段7とウォーターカーテン形成手段8および飛沫吸引手段9は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
加工水噴射手段7が作動すると、図4に示すように加工水噴射ノズル71から加工水70が被加工物Wの表面に噴射される。一方、ウォーターカーテン形成手段8作動すると、環状のウォーターカーテン形成部材81に形成された複数の噴出口813からウォーターカーテン用水が被加工物Wの表面に向けて噴出され、加工水70を囲繞して筒状のウォーターカーテン80が形成される。従って、加工水噴射ノズル71から噴射された加工水70によって被加工物Wが加工される際に飛散する砥粒や切削屑は筒状のウォーターカーテン80によって遮蔽され、加工水70による加工領域の周囲に飛散することはない。また、この加工時には飛沫吸引手段9が作動しており、上記ウォーターカーテン80内に飛散した砥粒や切削屑および加工水の飛沫は、飛沫収集部材91の収集路911aおよび吸引通路912aを通って排出口912bから排出される。
【0021】
次に、上述したウォータージェット加工装置によって被加工物としてのCSP基板の切断作用について説明する。
先ず、被加工物としてのCSP基板について、図5および図6を参照して説明する。
図5および図6に示すCSP基板10は、金属板100に3個のブロック10a、10b、10cが連続して形成されている。CSP基板10を構成する3個のブロック10a、10b、10cの表面100aには、それぞれ所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ライン101と、該第1の分割予定ライン101と直交する方向に延びる第2の分割予定ライン102が格子状に形成されている。第1の分割予定ライン101と第2の分割予定ライン102によって区画された複数の領域にそれぞれチップサイズパッケージ(CSP)103が配置されており、このチップサイズパッケージ(CSP)103は各ブロック10a、10b、10c毎に金属板100の裏面側から合成樹脂部110a、110b、110cによってモールディングされている。なお、CSP基板10を構成する金属板100の外周部は3個のブロック10a、10b、10cより外側に突出して形成されており、この長手方向両側の突出部に位置決め用の複数の穴104(図示の実施形態においては、それぞれ4個)が設けられている。このように形成されたCSP基板10は、第1の分割予定ライン101および第2の分割予定ライン102に沿って切断され個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)103に分割される。
【0022】
上述したCSP基板10は、図7に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図8に示す第2の被加工物保持治具12bによって保持され、ウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に保持される。なお、図7に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図8に示す第2の被加工物保持治具12bは、後述する第1の貫通溝および第2の貫通溝以外は同一の構成であるため、同一部材には同一符号を付して説明する。図7に示す第1の被加工物保持治具12aおよび図8に示す第2の被加工物保持治具12bは、それぞれ下挟持板13と上挟持板14とからなっており、片側辺が2個のヒンジ15、15によって互いにヒンジ結合されている。
【0023】
第1の被加工物保持治具12aおよび第2の被加工物保持治具12bを構成する下挟持板13は、金属または合成樹脂によって矩形状に形成された板材からなっており、長手方向両側には上記CSP基板10の電極板100に形成された複数の位置決め用の穴104が嵌合する複数の位置決めピン131が配設されている。また、下挟持板13の4隅部には、上記第1の被加工物保持テーブル6aおよび第2の被加工物保持テーブル6bに配設された4本の位置決めピン62と嵌合する位置決め用の4個の穴132が設けられている。そして、図7に示す第1の被加工物保持治具12aの下挟持板13には、上記CSP基板10の第1の分割予定ライン101と対応する第1の貫通溝133aと、該第1の貫通溝133aの一端および他端において隣接する第1の貫通溝133aを交互に連通する第2の貫通溝134aが形成されている。また、図8に示す第2の被加工物保持治具12bの下挟持板13には、上記CSP基板10の第2の分割予定ライン102と対応する第1の貫通溝133bと、該第1の貫通溝133bの一端および他端において隣接する第1の貫通溝133bを交互に連通する第2の貫通溝134bが形成されている。
【0024】
第1の被加工物保持治具12aおよび第2の被加工物保持治具12bを構成する上挟持板14には、それぞれ開口141が設けられている。この開口141は、上記CSP基板10と相似形でCSP基板10より僅かに小さい寸法形状に形成されている。
【0025】
上記CSP基板10を第1の分割予定ライン101および第2の分割予定ライン102に沿って切断するには、先ず第1の被加工物保持治具11aの下挟持板13にCSP基板10をセットする。このとき、CSP基板10の電極板100に形成された複数の位置決め用の穴104を下挟持板13に設けられた複数の位置決めピン131に嵌合する。そして、上挟持板14を重合して係合片16を係合凹部133に係合する。このようにしてCSP基板10を下挟持板13と上挟持板14により挟持した第1の被加工物保持治具12aを図1に示すウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に載置する。このとき、下挟持板13に設けられた4個のピン穴132を被加工物保持テーブル6に配設された4本の位置決めピン62と嵌合することにより、CSP基板10を挟持した第1の被加工物保持治具12aは被加工物保持テーブル6の所定位置に保持される。
【0026】
CSP基板10をセットした第1の被加工物保持治具12aがウォータージェット加工装置における被加工物保持テーブル6の所定位置に保持されたならば、第1の移動手段30および第3の移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、被加工物保持テーブル6に保持されたCSP基板10を加工水噴射ノズル71の下方である加工領域に移動する。そして、図9の(a)に示すようにCSP基板10を形成するブロック10aの図において左隅の第1の分割予定ライン101と第2の分割予定ライン102が交わる位置、即ち最外側(図9の(a)において最左側)の第1の分割予定ライン101の一端(図9の(a)において上端)を加工水噴射ノズル71に合わせる。そして、第2の移動手段40を作動して第2の可動基台4を矢印Zで示す方向に移動し加工水噴射ノズル71をCSP基板10の表面から上方に所定の間隔(例えば、50μm)を置いた所定位置に位置付ける。
【0027】
次に、加工水噴射手段7の加工水供給手段72を作動して加工水噴射ノズル71から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第3の移動手段50および第1の移動手段30を作動して第3の可動基台5および第1の可動基台3を矢印Yおよび矢印Xで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6即ちCSP基板10を加工水噴射ノズル71に対して第1の分割予定ライン101および第2の分割予定ライン102の一部に沿って図9の(a)において1点鎖線で示すように(第1の被加工物保持治具12aの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133aおよび第2の貫通溝134aと対応する)、即ちCSP基板10と加工水噴射ノズル71を図9の(b)において矢印Aで示すように矢印Y方向および矢印X方向に順次相対移動せしめる。図示の実施形態においては、CSP基板10と加工水噴射ノズル71を第1の分割予定ライン101の一端(図9の(a)において上端)から他端(図9の(a)において下端)に向けて相対移動し、第1の分割予定ライン101の他端に達したら第2の分割予定ライン102に沿って図9の(a)において右方に次の第1の分割予定ライン101の他端まで相対移動し、第1の分割予定ライン101の他端から一端に向けて相対移動する。そして、第1の分割予定ライン101の一端に達したら第2の分割予定ライン102に沿って図9の(a)において右方に更に次の第1の分割予定ライン101の一端まで相対移動し、上述した相対移動を順次繰り返し実行する。このとき、ウォーターカーテン形成手段8も作動され、図4に示すように加工水70を囲繞して筒状のウォーターカーテン80が形成される。従って、加工水噴射ノズル71から噴射された加工水70によってCSP基板10が加工される際に飛散する砥粒や切削屑は筒状のウォーターカーテン80によって遮蔽され、加工水70による加工領域の周囲に飛散することはなく、チップサイズパッケージ(CSP)102の表面に付着することはない。また、飛沫吸引手段9も作動され、ウォーターカーテン80内に飛散した砥粒や切削屑および加工水の飛沫は、飛沫収集部材91の収集路911aおよび吸引通路912aを通って排出口912bから吸引され排出される。この結果、CSP基板10を形成するブロック10cは、第1の分割予定ライン101の全てと第2の分割予定ライン102の一部に沿って図9の(a)において1点鎖線で示すように切断される(第1の切断工程)。なお、切断時においては、ウォータージェットはCSP基板10を貫通するが、切断後のウォータージェットは下挟持板13に形成された第1の貫通溝133aおよび第2の貫通溝134aを通して水槽60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられる。
【0028】
CSP基板10を図9の(a)において1点鎖線で示すように切断したならば、CSP基板10を挟持している第1の被加工物保持治具12aを被加工物保持テーブル6から取り外す。そして、第1の被加工物保持治具12aに挟持されているCSP基板10を第2の被加工物保持治具12bにセットする。このCSP基板10のセットは、上記第1の被加工物保持治具12aへのセットと同様に実施する。
【0029】
CSP基板10を第2の被加工物保持治具12bにセットしたならば、図1に示すウォータージェット加工装置の上記被加工物保持テーブル6上に載置し、上記第1の被加工物保持治具12aと同様に被加工物保持テーブル6の所定位置に保持する。そして、第1の移動手段30および第3の移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に移動させて、被加工物保持テーブル6に保持されたCSP基板10を加工水噴射ノズル71の下方である加工領域に移動し、加工水噴射ノズル71を図10の(a)に示すように加工水噴射ノズル71をCSP基板10を形成するブロック10aの図において左隅の第1の分割予定ライン101と第2の分割予定ライン102が交わる位置、即ち最外側(図10の(a)において最上側)の第2の分割予定ライン102の一端(図10の(a)において左端)に合わせる。そして、第2の移動手段40を作動して第2の可動基台4を矢印Zで示す方向に移動しノズル7をCSP基板10の表面から上方に所定の間隔(例えば、50μm)を置いた所定位置に位置付ける。
【0030】
次に、加工水供給手段70を作動して加工水噴射ノズル71から砥粒が混入された加工水を噴射するとともに、第1の移動手段30および第3の移動手段50を作動して第1の可動基台3および第3の可動基台5を矢印Xおよび矢印Yで示す方向に順次移動させることにより、被加工物保持テーブル6従ってCSP基板10を加工水噴射ノズル71に対して第2の分割予定ライン102および第1の分割予定ライン101の一部に沿って図10の(a)において2点鎖線で示すように(第2の被加工物保持治具12bの下挟持板13に形成された第1の貫通溝133bおよび第2の貫通溝134bと対応する)、即ちCSP基板10と加工水噴射ノズル71を図10の(b)において矢印Bで示すように矢印X方向および矢印Y方向に順次相対移動せしめる。図示の実施形態においては、CSP基板10とノズル7を第2の分割予定ライン102の一端(図10の(a)において左端)から他端(図10の(a)において右端)に向けて相対移動し、第2の分割予定ライン102の他端に達したら第1の分割予定ライン101に沿って図10の(a)において下方に次の第2の分割予定ライン102の他端まで相対移動し、第2の分割予定ライン102の他端から一端に向けて相対移動する。そして、第2の分割予定ライン102の一端に達したら第1の分割予定ライン101に沿って図10の(a)において下方に更に次の第2の分割予定ライン102の一端まで相対移動し、上述した相対移動を順次繰り返し実行する。このとき、上記第1の切断工程と同様にウォーターカーテン形成手段8も作動され、図4に示すように加工水70を囲繞して筒状のウォーターカーテン80が形成される。従って、加工水噴射ノズル71から噴射された加工水70によってCSP基板10が加工される際に飛散する砥粒や切削屑は筒状のウォーターカーテン80によって遮蔽され、加工水70による加工領域の周囲に飛散することはなく、チップサイズパッケージ(CSP)102の表面に付着することはない。また、飛沫吸引手段9も作動され、ウォーターカーテン80内に飛散した砥粒や切削屑および加工水の飛沫は、飛沫収集部材91の収集路911aおよび吸引通路912aを通って排出口912bから吸引され排出される。この結果、CSP基板10は、第2の分割予定ライン101の全てと第1の分割予定ライン102の一部分割予定ライン101に沿って図10の(a)において2点鎖線で示すように切断される(第2の切断工程)。なお、切断時においては、ウォータージェットはCSP基板10を貫通するが、切断後のウォータージェットは下挟持板13に形成された第1の貫通溝133bおよび第2の貫通溝134bを通して水槽60に収容された緩衝用の水によってその勢いが和らげられる。
【0031】
以上のように第1の切断工程および第2の切断工程を実施することによりCSP基板10は、図9の(a)および図10の(a)おいて1点鎖線および2点鎖線で示すように第1の分割予定ライン101のおよび第2の分割予定ライン102に沿って切断され、個々のチップサイズパッケージ(CSP)103に分割される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従って構成されたウォータージェット加工装置の要部斜視図。
【図2】図1に示すウォータージェット加工装置に装備される加工水噴射手段とウォーターカーテン形成手段および飛沫吸引手段の要部を分解して示す斜視図。
【図3】図2に示すウォーターカーテン形成手段を構成するウォーターカーテン形成部材の断面図。
【図4】図2に示すウォーターカーテン形成手段を構成するウォーターカーテン形成部材と飛沫吸引手段を構成する飛沫収集部材を組み付けた状態の断面図。
【図5】被加工物としてのCSP基板の斜視図。
【図6】図5に示すCSP基板の断面図。
【図7】被加工物としてのCSP基板を保持しウォータージェット加工装置の被加工物保持テーブル上に載置するための第1の被加工物保持治具の斜視図。
【図8】被加工物としてのCSP基板を保持しウォータージェット加工装置の被加工物保持テーブル上に載置するための第2の被加工物保持治具の斜視図。
【図9】図1に示すウォータージェット加工装置によって図5に示すCSP基板を切断する第1の切断工程を示す説明図。
【図10】図1に示すウォータージェット加工装置によって図5に示すCSP基板を切断する第2の切断工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0033】
2:静止基台
21:案内レール
3:第1の可動基台
30:第1の移動手段
31:被案内溝
32:案内レール
30:第1の移動手段
4:第2の可能基台
40:第2の移動手段
41:被案内溝
42:案内レール
5:第3の可動基台
50:第3の移動手段
51:被案内溝
52:案内レール
6:被加工物保持テーブル
61:開口
62:位置決めピン
60:水槽
7:加工水噴射手段
71:加工水噴射ノズル
72:加工水供給手段
8:ウォーターカーテン形成手段
81:環状のウォーターカーテン形成部材
811:開口
812:環状の通路
813:複数の噴出口
814:水導入路
82:ウォーターカーテン用水供給手段
9:飛沫吸引手段
91:飛沫収集部材
911:収集部
912:ダクト部
92:吸引手段
10:CSP基板(被加工物)
12a:第1の被加工物保持治具
12b:第2の被加工物保持治具
【出願人】 【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
【出願日】 平成18年10月20日(2006.10.20)
【代理人】 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純

【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子


【公開番号】 特開2008−100322(P2008−100322A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−285690(P2006−285690)