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【発明の名称】 アブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構
【発明者】 【氏名】蔭山 秀生

【氏名】北川 康之

【氏名】山地 周三

【氏名】日比 貴昭

【氏名】冨澤 加奈

【要約】 【課題】アブレシブ・サスペンション・ジェット方式において、緊急時に高圧水の圧力を低下させる際にバルブ等を構成する部材の摩耗・破損を防止する安全機構を提供する。

【解決手段】高圧ポンプ1とノズル3とを接続する主配管2と、高圧ポンプ1とタンク5の上部とを接続する加圧用配管4と、タンク5の下部と主配管2とを接続する研磨材供給用配管7と、タンク5の上部に接続された減圧用配管8と、減圧用配管8に順次接続された減圧用バルブ9・小径部17・排出口10とを備える。タンク5の上部には高圧の清水13が、下部には研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水12が各々貯留され、研磨材を含む加工水16がノズル3から被加工物15に向かって高速で噴射される。緊急時等には、減圧用バルブ9を開いてタンク5の上部から減圧用配管8と減圧用バルブ9と小径部17と排出口10とを順次介して清水13を排出して、タンク5内を減圧する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、該タンクの下部に貯留され研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水と、前記タンクの上部に貯留され前記研磨材が実質的に含まれない高圧の清水と、前記タンクの上部に接続され前記タンクに供給される加圧用の高圧水が流動する加圧用配管と、該加圧用配管に設けられた加圧用バルブと、前記高濃度水をノズルに向かって供給する研磨材供給用配管とを備えるアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構であって、
前記タンクの上部に接続された減圧用配管と、
前記減圧用配管に設けられた減圧用バルブと、
前記減圧用配管において前記減圧用バルブよりも下流側に設けられた減圧機構とを備えることを特徴とするアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構。
【請求項2】
請求項1記載のアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構において、
前記減圧機構は、前記減圧用配管よりも小さい内径を有する小径部と、前記小径部を通過した前記清水を排出する排出口とを有することを特徴とするアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構。
【請求項3】
請求項1記載のアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構において、
前記減圧機構は、前記減圧用配管に接続された減圧用シリンダと、該減圧用シリンダの内部に設けられ前記減圧用配管を介して流入する高圧の前記清水によって押圧されるピストンと、該ピストンが受けた圧力を吸収する圧力吸収機構とを有することを特徴とするアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレシブウォータージェット加工装置に使用される方式のうち特にアブレシブ・サスペンション・ジェット方式における、安全機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物に高圧水を噴射してその被加工物を加工する方式、すなわちウォータージェット方式による加工が広く行われている。ここでいう加工には、はつり、穴あけ、切断、研磨等が含まれる。このように、ウォータージェット方式においては高圧水を使用しているので、緊急の場合には安全上の理由で高圧水の圧力を低減させる必要がある。
【0003】
また、研磨材(砥粒)を含む高圧水を使用した加工方式、いわゆるアブレシブウォータージェット方式も採用されている。このアブレシブウォータージェット方式は、研磨材を含まない高圧水を被加工物に噴射する方式に対して、研磨材を含む高圧水を加工水として機能させることによって加工効率を向上させる目的で、案出されたものである。この方式においては、研磨材としてガーネット、シリカ、酸化アルミニウム等が使用される(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
アブレシブウォータージェット方式には、いくつかの方式がある。以下、それらのうち3つの方式について説明する。第1の方式は、アブレシブ・インジェクション・ジェットと呼ばれる方式である(例えば、非特許文献1の第31頁、図1参照)。この方式では、アブレシブノズルの混合室に研磨材を供給し、その混合室内で高圧水に研磨材を混合させる。そして、研磨材が含まれている高圧水を、アブレシブノズルの先端から高速で噴射させる。この方式においても、緊急の場合には安全上の理由で高圧水の圧力を低減させる必要がある。そして、高圧水の圧力を低減させることを目的として、アブレシブノズルのすぐ上流の配管に接続される安全装置として、バルブとそのバルブを介した排出経路とが設けられている(例えば、特許文献1の第9頁における左下欄−右下欄、第4図におけるオン/オフバルブ30とダンプ(廃棄)ノズル組立体28とを参照)。この構成によれば、緊急の場合や作業の完了時等においてバルブが開放される。したがって、排出経路を介して高圧水を排出することによって、高圧水の圧力を低減させることができる。なお、この方式においては、排出経路を介して排出される高圧水には研磨材は含まれていない。
【0005】
第2の方式は、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式の1つであって、Indirect pumpingと呼ばれる方式である(例えば、非特許文献1の第31頁、図2参照)。この方式においては、タンク(storage vessel)の内部に進退自在に設けられた分離板(isolator)によって、タンクが仕切られている。タンクの下部には、研磨材を分散された状態で含んでいる加工水(懸濁水:suspension)が貯留されている。そして、タンクの上部から供給された高圧水(High pressure Water)が分離板を押圧する。これにより、ノズルから加工水が高速で噴射される。
【0006】
第3の方式は、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式の1つであって、Bypass−principleと呼ばれる方式である(例えば、非特許文献1の第31頁、図2参照)。この方式においては、タンク(storage vessel)の内部には分離板が設けられていない。また、タンクの下部には、研磨材(abrasives)が、沈降して堆積した状態(沈殿した状態)で貯留されている。そして、バイパス配管(bypass)を経由してタンクの上部から供給された高圧水(High pressure Water)が、堆積した研磨材を押圧する。これにより、タンクの下方から押し出された研磨材が配管内に吸引され、配管内において研磨材が高圧水に混合されて混合水が生成される。そして、ノズルから混合水が高速で噴射され、その高速で噴射される混合水が加工水として機能する。
【0007】
ところで、上述した第2及び第3の方式においても、高圧水を使用しているので、緊急の場合には安全上の理由でタンク内の高圧水の圧力を低減させる必要がある。そこで、第1の方式におけると同様に、ノズルのすぐ上流の配管に接続される安全装置として、バルブとそのバルブを介した排出経路とが設けられている。
【0008】
第3の方式とその安全装置について、図3を参照して具体的に説明する。図3は、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式のうちBypass−principle方式による加工装置の概略を示すブロック図である。なお、本出願書類に含まれるいずれの図についても、わかりやすくするために適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。
【0009】
図3に示されるように、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式のうちBypass−principle方式による加工装置は、高圧ポンプ(高圧水源)1と、高圧ポンプ1に接続された主配管2と、主配管2の端に接続されたノズル3とを有する。また、主配管2から分岐して加圧用配管4が設けられ、加圧用配管4はタンク5の上部に接続されている。加圧用配管4の内部においては、加圧用の高圧水が流動する。加圧用配管4の途中には、加圧用バルブ6が設けられている。タンク5の下部には、研磨材供給用配管7の一端が接続されている。研磨材供給用配管7の他端は、主配管2における加圧用配管4との分岐部よりも下流側において、主配管2に接続されている。更に、主配管2における研磨材供給用配管7との接続部よりも下流側において主配管2に減圧用配管8が接続され、減圧用配管8は減圧用バルブ9を介して排出口10まで延びている。ここで、減圧用配管8と減圧用バルブ9と排出口10とが、併せて減圧用配管系11を構成する。
【0010】
タンク5の内部には、研磨材を含んでいる水が貯留されている。ここで、通常の状態では、タンク5の下部においては、研磨材が堆積した状態で貯留されており、言い換えれば研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水12が貯留されている。一方、タンク5の上部においては、研磨材を実質的に含まない高圧の清水13が貯留されている。ノズル3の下方には、XYZの3方向に移動可能なステージ14が設けられ、ステージ14の上面には吸着、粘着等の方法によって被加工物15が固定されている。この被加工物15は、例えば、リードフレームやプリント基板等の上に装着された半導体チップが樹脂封止された樹脂封止体、半導体ウェーハ等から構成される。なお、本出願書類において、「高圧水」という用語は、タンク5に供給される加圧用の高圧水を意味する他に、タンク5内における高圧の高濃度水12と高圧の清水13とのいずれか又は双方を意味する。
【0011】
図3に示されたアブレシブ・サスペンション・ジェット方式による加工装置の動作について、説明する。減圧用バルブ9を閉じた状態で加圧用バルブ6を開くことによって、加圧用配管4を経由して加圧用の高圧水がタンク5に供給され、タンク5の内部で清水13が高濃度水12を加圧する。それとともに、主配管2の内部を高圧で流動する流動水(図示なし)によって、研磨材供給用配管7を介して主配管2の内部に高濃度水12が吸引される。これらによって、主配管2の内部において高濃度水12に含まれる研磨材が流動水に混合されて混合水が生成され、この混合水がノズル3から高速で噴射され、噴射される混合水が加工水16として機能する。
【0012】
【特許文献1】特開平3−066600号公報(第9頁、第4図)
【非特許文献1】宗廣修興、外8名、「ウォータージェットみがき加工機の開発」、広島県立東部工業技術センター研究報告 第15号(2002)、平成14年8月29日、p.31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した第2及び第3の方式を含むアブレシブ・サスペンション・ジェット方式においては、タンク内の高圧水の圧力を低減させる場合に次のような問題があった。第1の問題は、減圧用配管系11を経由して排出される高圧の流動水に研磨材が含まれていることに起因する問題である。具体的には、減圧用配管8と減圧用バルブ9と排出口10とにおいて研磨材による摩耗、損傷等が発生するという問題である。
【0014】
第2の問題は、減圧用配管系11が、高圧の流動水が流動する配管系(主配管2、高圧ポンプ1等)に接続されていることに起因する問題である。このような接続は、高圧の流動水が減圧用配管系11に直接流入することを意味する。具体的な問題としては、まず、減圧用バルブ9を開いた(又は閉じた)際に急激な流れの変化が発生することによって、減圧用バルブ9と減圧用配管8とが機械的なダメージを受けるという問題がある。これにより、減圧用バルブ9と減圧用配管8とに損傷等が発生するおそれがある。この問題は、第1の問題、すなわち流動水に含まれる研磨材によって発生する摩耗、損傷等の程度を、更に大きくする。次に、減圧用バルブ9を開いた(又は閉じた)際に発生する衝撃波によって、減圧用バルブ9及び減圧用配管8だけではなく、主配管2に接続されている他の機器、例えば高圧ポンプ1が機械的なダメージを受けるという問題がある。これにより、主配管2、高圧ポンプ1等に損傷等が発生するおそれがある。この問題は、研磨材が流動水に含まれていることとは無関係に発生する。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、アブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置において、加工装置に悪影響を与えることなくタンク内の高圧水の圧力を低減させる安全装置が得られていないことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下の説明における()内の符号は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの符号は、「図面に示された構成要素に限定して、説明における用語を解釈すること」を意味するものではない。
【0017】
上述の課題を解決するために、本発明に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構は、タンク(5)と、該タンク(5)の下部に貯留され研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水(12)と、タンク(5)の上部に貯留され研磨材が実質的に含まれない高圧の清水(13)と、タンク(5)の上部に接続されタンク(5)に供給される加圧用の高圧水が流動する加圧用配管(4)と、該加圧用配管(4)に設けられた加圧用バルブ(6)と、高濃度水(12)をノズル(3)に向かって供給する研磨材供給用配管(7)とを備えるアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構であって、タンク(5)の上部に接続された減圧用配管(8,19)と、減圧用配管(8,19)に設けられた減圧用バルブ(9)と、減圧用配管(8,19)において減圧用バルブ(9)よりも下流側に設けられた減圧機構(27)とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構は、上述した安全機構において、減圧機構は、減圧用配管(8)よりも小さい内径を有する小径部(17)と、小径部(17)を通過した清水(13)を排出する排出口(10)とを有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構は、上述した安全機構において、減圧機構(27)は、減圧用配管(19)に接続された減圧用シリンダ(20)と、該減圧用シリンダ(20)の内部に設けられ減圧用配管(19)を介して流入する高圧の清水(13)によって押圧されるピストン(22)と、該ピストン(22)が受けた圧力を吸収する圧力吸収機構(24)とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タンク(5)の上部における内部に、研磨材が実質的に含まれない高圧の清水(13)が貯留されている。また、タンク(5)の上部には減圧用配管(8,19)が接続されている。これらのことにより、研磨材が実質的に含まれない高圧の清水(13)が、減圧用配管(8,19)と減圧用バルブ(9)とを経由して減圧機構(27)に流れ込む。したがって、減圧用配管(8,19)と減圧用バルブ(9)と減圧機構(27)とにおいて、研磨材による摩耗、損傷の発生が防止される。
【0021】
また、本発明によれば、加圧用の高圧水が流動する配管系から、減圧用配管(8,19)と減圧用バルブ(9)と減圧機構(27)とが分離されている。したがって、加圧用の高圧水によって加工装置に悪影響を与えることがなく、タンク(5)内の高圧水の圧力が低減される。
【0022】
また、本発明によれば、減圧用配管(8)において小径部(17)が設けられている。これにより、小径部(17)を高圧水が流動することによって、その高圧水の圧力が徐々に低減する。したがって、簡単な構成を有する安全装置が実現される。
【0023】
また、本発明によれば、減圧用配管(19)に接続された減圧用シリンダ(20)と、該減圧用シリンダ(20)の内部に設けられ減圧用配管(19)を介して流入する高圧の清水(13)によって押圧されるピストン(22)と、該ピストン(22)が受けた圧力を吸収する圧力吸収機構(24)とを有する。これにより、ピストン(22)を介して受けた圧力が圧力吸収機構(24)によって吸収される。したがって、高圧水の圧力が徐々に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
高圧ポンプ(1)とノズル(3)とを接続する主配管(2)と、高圧ポンプ(1)とタンク(5)の上部とを加圧用バルブ(6)を介して接続する加圧用配管(4)と、タンク(5)の下部と主配管(2)とを接続する研磨材供給用配管(7)と、タンク(5)の上部に接続された減圧用配管(8)と、減圧用配管(8)に順次接続された減圧用バルブ(9)・小径部(17)・排出口(10)とを備える。タンク(5)の上部における内部には高圧の清水(13)が、下部における内部には研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水(12)が各々貯留されている。そして、研磨材を含む加工水(16)がノズル(3)から被加工物(15)に向かって高速で噴射される。緊急時等には、減圧用バルブ(9)を開いてタンク(5)の上部から減圧用配管(8)と減圧用バルブ(9)と小径部(17)と排出口(10)とを順次介して清水(13)を排出することによって、タンク(5)内が減圧される。
【実施例1】
【0025】
本発明に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の実施例1を、図1を参照して説明する。図1は、本実施例に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の概略を示すブロック図である。以下の説明において、図3に示された構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
図1に示されているように、本実施例においては、減圧用配管8がタンク5の上部(上端面)に接続されている。言い換えれば、加圧用配管4と減圧用配管8とが、タンク5の上端面に接続されている。また、減圧用配管8における減圧用バルブ9と排出口10との間に、減圧用配管8よりも小さい内径を有する小径部17が設けられている。ここで、減圧用配管8と減圧用バルブ9と小径部17と排出口10とが、併せて減圧用配管系18を構成する。
【0027】
ここで、図1に示されているアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の動作を説明する。緊急時等においてタンク5の内部を減圧したい場合には、加圧用バルブ6を閉じるとともに減圧用バルブ9を開放する。これにより、タンク5に対する加圧用の高圧水の供給が停止されるとともに、減圧用配管8と減圧用バルブ9とを介して高圧の清水13が小径部17に流入する。そして、高圧の清水13は、小径部17を通過することによって減圧され、減圧された清水13が排出口10から排出される。
【0028】
本実施例によれば、次の効果が得られる。第1に、減圧用配管8がタンク5の上端面に接続されており、かつ、タンク5の上部における内部には高圧の清水13が貯留されているので、減圧用配管系18に研磨材が流入することが抑制される。したがって、減圧用配管8と減圧用バルブ9と小径部17と排出口10とにおける研磨材による摩耗、損傷等の発生が防止される(第1の効果)。
【0029】
第2に、高圧の流動水が流動する配管系(主配管2、高圧ポンプ1等)に減圧用配管系18が接続されていないので、高圧の流動水が減圧用配管系18に直接流入することがない。これによって、まず、減圧用バルブ9を開いた(又は閉じた)際において、急激な流れの変化の発生が抑制される。したがって、減圧用配管系18が機械的なダメージを受けにくいので、減圧用配管系18における損傷等の発生が防止される。次に、減圧用バルブ9を開いた(又は閉じた)際において、衝撃波の発生が抑制される。このことによって、主配管2に接続されている他の機器、例えば高圧ポンプ1が衝撃波による機械的なダメージを受けることがない。したがって、主配管2、高圧ポンプ1等における損傷等の発生が防止される。以上をまとめると、高圧の流動水が減圧用配管系18に直接流入しないことによって、減圧用配管系18、主配管2、高圧ポンプ1等における損傷等の発生が防止される(第2の効果)。この効果が実現される過程において、タンク5は緩衝機構として機能する。
【0030】
第3に、高圧水が貯留されたタンク5の上部から減圧用配管8と減圧用バルブ9とを経由して高圧水が流出し、その高圧水が小径部17を通過する際に減圧され、その後排出口10から排出される。このことにより、高圧水は急激に減圧されることなく徐々に減圧される。言い換えれば、本実施例においては小径部17と排出口10とが減圧機構として機能する。したがって、加工装置に悪影響を与えることなく高圧水の圧力が低減される(第3の効果)。
【0031】
なお、本実施例における小径部17の内径と長さとは、減圧用配管系18を流動する流動圧の圧力等の条件や、どの程度の時間内にどれだけ減圧させるかという減圧曲線についての要求仕様等に応じて、適当に定めればよい。また、小径部17から排出口10までの間において、減圧用配管8を直線状に配管して直線部を構成するとともに、直線部の長さをできるだけ長くすることが好ましい。更に、図示されていないが、直線部の下方にU字管や水タンク等を設けて、減圧用バルブ9のすぐ下流からU字管や水タンク等に至るまでの内部に水が充填された状態にしておく。これらのことにより、小径部17から流出した高圧水の勢いが、直線部において更に弱められるという効果が得られる。
【0032】
また、本実施例においては、次の2つの場合には減圧用配管8に研磨材が流入するおそれがある。それは、第1に、タンク5に研磨材を補充した直後で、タンク5内において研磨材が完全に堆積(沈殿)していない場合である。第2に、タンク5内において研磨材の量が満杯に近くなっており、減圧用配管8に研磨材が吸引されやすい状態になっている場合である。これらの場合においては、減圧用バルブ9に研磨材が残留するおそれがある。そして、残留した研磨材が減圧用バルブ9に噛み込まれることによって、減圧用バルブ9の部材に溝状の傷がつくおそれがある。この不具合を防止するためには、タンク5の内部が減圧された後に、タンク5の内部が安定した状態で、加圧用バルブ6を開にすることが好ましい。これにより、加圧用の高圧水によってタンク5の内部が加圧されるので、タンク5の上部における内部に溜まっている清水が減圧用配管8と減圧用バルブ9とに順次流入する。したがって、減圧用配管8と減圧用バルブ9とに残留している研磨材が洗い流されるので、減圧用バルブ9の破損が防止される。
【実施例2】
【0033】
本発明に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の実施例2を、図2を参照して説明する。図2は、本実施例に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の概略を示すブロック図である。
【0034】
図2に示されているように、実施例1における減圧用配管8(図1を参照)と同様に、本実施例においても減圧用配管19がタンク5の上部(上端面)に接続されている。しかし、本実施例においては、減圧用配管19は減圧用シリンダ20に接続されている。減圧用シリンダ20は、閉空間21とピストン22とロッド23とを有している。ロッド23は、エアシリンダ24が有するロッド25に接続されている。エアシリンダ24には、エア用配管26が接続されている。そして、エア用配管26を経由して、エアシリンダ24に適当な圧力のエア(高圧空気)が適当なタイミングで供給される。本実施例では、減圧用配管19と減圧用バルブ9とが併せて減圧用配管系18を構成し、減圧用シリンダ20とエアシリンダ24とエア用配管26とが併せて減圧機構27を構成する。
【0035】
ここで、図2に示されているアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の動作を説明する。緊急時等においてタンク5の内部を減圧したい場合には、加圧用バルブ6を閉じるとともに減圧用バルブ9を開放する。これにより、タンク5に対する加圧用の高圧水の供給が停止される。それとともに、減圧用配管19と減圧用バルブ9とを介して、減圧用シリンダ20の閉空間21のうちピストン22によって仕切られた部分(図の上側の部分)に、高圧の清水13が流入する。閉空間21に流入した高圧の清水13は、ピストン22を押圧する。ここで、適当なタイミングで適当な圧力のエア(高圧空気)を、エア用配管26を経由してエアシリンダ24に供給する。これにより、減圧用シリンダ20のピストン22が適当な速度と適当なタイミングとで図の下方に移動するので、ピストン22が受けた圧力はロッド23,25を介して吸収される。
【0036】
本実施例によれば、実施例1における第1の効果及び第2の効果と同様の効果が得られる。加えて、実施例1における第3の効果に代えて、本実施例に特有の次のような効果が得られる。それは、高圧水が貯留されたタンク5の上部から減圧用配管19と減圧用バルブ9とを経由して高圧水が流出し、その高圧水が減圧機構27によって徐々に減圧されるという効果である。具体的には、まず、減圧用シリンダ20の閉空間に流入した高圧水がピストン22を押圧する。そして、ピストン22を押圧する圧力は、エアシリンダ24に適当なタイミングで供給される適当な圧力のエアによって吸収される。これにより、高圧水は急激に減圧されることなく徐々に減圧される。したがって、加工装置に悪影響を与えることなく高圧水の圧力が低減される(実施例2における第3の効果)。
【0037】
また、本実施例によれば、エアシリンダ24に供給されるエア(高圧空気)の圧力やエアを供給するタイミング等を、適当に変えることができる。これにより、高圧水の圧力が低減する程度を適切に制御することが可能になる。したがって、タンク5に貯留された高圧水の圧力や高圧水を減圧する際に要求される減圧曲線等に応じて、最適な減圧特性を有する安全機構が得られる(実施例2における第4の効果)。
【0038】
なお、本実施例の説明では、減圧機構27の構成要素としてエア(高圧空気)とエアシリンダ24とを使用したが、作動流体としてエアに代わる他の流体を使用することもできる。例えば、減圧機構27の構成要素として、エアシリンダ24に代えて油圧シリンダを使用してもよい。また、減圧機構27の構成要素として他のアクチュエータを使用することもできる。
【0039】
また、減圧用シリンダ20のロッド23に接続されたボールねじと、そのボールねじを駆動する電動モータとを組み合わせて使用してもよい。この場合には、減圧用シリンダ20の閉空間21に流入した高圧水の圧力を検出して、検出された圧力に応じて電動モータを回転させることが好ましい。この構成によれば、減圧用シリンダ20のピストン22を適当な速度で移動させることによって、減圧用シリンダ20の閉空間に流入した高圧水が徐々に減圧される。
【0040】
なお、ここまで説明にした実施例1と実施例2とを、次のようにして使い分けることができる。まず、実施例1によれば、減圧用配管系18に小径部17を設けるので、小型で低価格の安全機構が得られる。その一方で、減圧性能については小径部17の内径と長さとに依存する。したがって、要求される減圧性能がある程度固定されており、かつ小型で低価格の安全機構を実現したい場合には、実施例1を採用すればよい。また、実施例2によれば、エアシリンダ24に供給されるエアの圧力やエアを供給するタイミング等を変えることによって、減圧特性を変えることができる。その一方で、減圧用シリンダ20の閉空間が、タンク5の容積に見合うだけの容積(好ましくはほぼ等しい容積)を有していることが好ましい。したがって、小型で低価格であることよりも最適な減圧特性を得ることのほうを重視するのであれば、実施例2を採用すればよい。
【0041】
また、上述した各実施例では、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式のうちBypass−principleと呼ばれる方式について説明した。これに限らず、本発明は、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式のうち、タンクの内部に進退自在に設けられた分離板を有するIndirect pumpingと呼ばれる方式に対しても、適用される。この場合においても、タンクの内部において、研磨材を実質的に含まない高圧の清水が分離板の上側、すなわち上部に貯留され、研磨材が高濃度に含まれる高圧の高濃度水が分離板の下側、すなわち下部に貯留される。そして、この場合においても、上述した各実施例において説明した効果と同様の効果が得られる。
【0042】
また、減圧用配管8がタンク5の上端面に接続されていることとした。これに限らず、減圧用配管8がタンク5の上部に接続されていればよく、例えば、減圧用配管8がタンク5の上部における側面に接続されていてもよい。この構成によっても、図1と図2とに示された減圧用配管系18に研磨材が流入することが抑制される。
【0043】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、実施例1に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の概略を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係るアブレシブ・サスペンション・ジェット加工装置における安全機構の概略を示すブロック図である。
【図3】図3は、アブレシブ・サスペンション・ジェット方式のうちBypass−principle方式による加工装置の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 高圧ポンプ
2 主配管
3 ノズル
4 加圧用配管
5 タンク
6 加圧用バルブ
7 研磨材供給用配管
8,19 減圧用配管
9 減圧用バルブ
10 排出口
11,18 減圧用配管系
12 高濃度水
13 清水
14 ステージ
15 被加工物
16 加工水
17 小径部
20 減圧用シリンダ
21 閉空間
22 ピストン
23,25 ロッド
24 エアシリンダ(圧力吸収機構)
26 エア用配管
27 減圧機構
【出願人】 【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−93802(P2008−93802A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−280292(P2006−280292)