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【発明の名称】 氷片ブラスト装置
【発明者】 【氏名】広安 博之

【氏名】佐古 光雄

【氏名】秋山 巌

【氏名】小松 節子

【氏名】小松 健太郎

【要約】 【課題】被作業物の表面に付着した塗膜、油膜、すす、砂又は泥等の物質の除去作業において、作業中に氷片流路が詰まって作業を中断するようなことのない、安全な作業環境で連続して行うことができる氷片ブラスト装置を提供する。

【構成】本発明に係る氷片ブラスト装置は、製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、氷片の温度を所定温度以下に保持する氷片冷却手段と、空気圧縮機と、該空気圧縮機により生成された高圧空気を貯える空気室と、高圧空気を冷却する空気冷却手段と、該空気室に貯えられた高圧空気とともに前記貯氷槽から供給され前記氷片冷却手段又は/及び前記空気冷却手段により所定温度以下に保持された氷片を被作業物に噴出させる噴射ノズルと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、氷片の温度を所定温度以下に保持する氷片冷却手段と、空気圧縮機と、該空気圧縮機により生成された高圧空気を貯える空気室と、高圧空気を冷却する空気冷却手段と、該空気室に貯えられた高圧空気とともに前記貯氷槽から供給され前記氷片冷却手段又は/及び前記空気冷却手段により所定温度以下に保持された氷片を被作業物に噴出させる噴射ノズルと、を有する氷片ブラスト装置
【請求項2】
氷片が保持される温度は、-5℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の氷片ブラスト装置。
【請求項3】
噴射ノズルに所要量の氷片を供給する氷片供給手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の氷片ブラスト装置。
【請求項4】
貯氷槽から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の氷片ブラスト装置。
【請求項5】
製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、該貯氷槽から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機と、該砕氷機により砕氷された氷片を氷片ブラスト搬送管に送り出す氷片供給手段と、
前記貯氷槽、砕氷機及び氷片供給手段を収容し、これらを所定温度に冷却する冷却庫と、
空気圧縮機と、該空気圧縮機により生成された高圧空気を貯える空気室とその高圧空気を冷却する空気冷却手段と、該空気室から高圧空気を前記氷片ブラスト搬送管に送り出す操作弁と、
前記氷片ブラスト搬送管に送り出された氷片を高圧空気とともに被作業物に噴出させる噴射ノズルと、を有する氷片ブラスト装置。
【請求項6】
氷片供給手段は、砕氷機から氷片を受け入れる氷片供給タンクと、該氷片供給タンクから氷片を受け入れ、これを氷片ブラスト搬送管に送り出す氷片送出装置と、制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記氷片供給タンクが前記砕氷機から氷片を受け入れるときはその受け入れ部を大気圧下に、その受け入れた氷片を前記氷片送出装置に送り出すときは氷片送り出し部を高圧空気下にするように制御するものであることを特徴とする請求項5に記載の氷片ブラスト装置。
【請求項7】
氷片送出装置は、スクリューコンベア式の氷片送出装置であることを特徴とする請求項6に記載の氷片ブラスト装置。
【請求項8】
氷片供給タンクを加振する振動手段を設けたことを特徴とする請求項6〜7のいずれかに記載の氷片ブラスト装置。
【請求項9】
貯氷槽の下端部にスクリューコンベア式の氷片送出装置を設けたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の氷片ブラスト装置。
【請求項10】
製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、該貯氷槽から所定量の氷片を送り出す氷片供給手段と、該氷片供給手段から送り出された氷片を受け入れその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機と、該砕氷機により砕氷された氷片を受け入れる氷片投入器と、
前記貯氷槽、砕氷機、氷片供給手段及び氷片投入器を収容し、これらを所定温度に冷却する冷却庫と、
空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯える空気室と、該空気室から高圧空気を空気搬送管に送り出す操作弁と、
前記空気室の高圧空気の一部を冷却し、これを氷片流路内に流動させて氷片流路を所定温度に冷却する氷片冷却手段と、
前記氷片投入器に投入された氷片を搬送する氷片搬送管及び前記空気搬送管が接続され、前記操作弁の操作により高圧空気とともに氷片を噴出させる吸込式噴射ノズルと、を有する氷片ブラスト装置。
【請求項11】
氷片投入器の下端部を空気室の空気を利用して加振する振動手段を設けたことを特徴とする請求項9又は10に記載の氷片ブラスト装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、氷の細片又は粒(氷片)を被作業物に噴出し、被作業物表面に付着した塗膜、油膜、すす、砂又は泥等を除去する氷片ブラスト装置に係り、特に氷片を高圧ガスとともに噴出させる氷片ブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
氷片を高圧ガス又は高圧水とともに被作業物に噴出し、その表面の付着物を除去する氷片ブラスト装置は、ショットブラストのように粉塵や被作業物の損傷の問題がなく、ハイドロブラストよりは除去能に優れているという特徴を有し、また、作業環境、環境衛生の向上を図ることができるので注目されている。なかでも、氷片を高圧ガスとともに噴出させる氷片ブラスト装置は、氷片を高圧水とともに噴出させる氷片ブラスト装置のような作業に大量の水を使用し、使用された水の処理をしなければならないという問題がないので注目される。
【0003】
しかしながら、この氷片を高圧ガスとともに噴出させる氷片ブラスト装置は、ブラスト中に氷片が融解・再氷結し氷塊(氷片塊)が形成されて氷片流路がつまり、氷片ブラストの連続噴出ができなくなるという問題があり、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1に、-15℃以下に保持された低温室A内に、液化窒素の液面に微氷粒を浮遊させる微氷粒製造用クンクaと、該タンクa中の浮遊微氷粒を取出して一定箇処に供給する微氷粒取出し移送装置bと、前記微氷粒取出し移送袈置bより微氷粒を、-20℃以下の窒素ガスを作動用気体とするジェットポンプcのジェット部3に受けて、粒径選別用サイタロンdに該微氷粒を送るジェットボンンcとを前記サイクロンdと共に設け、加工室Bの、-20℃以下の圧搾窒素ガスを作動気体とする噴射ガンeに、前記サイタロンdで分離きれた噴射用氷粒を供給するようにした氷粒を噴射するクリーニング装置が提案されている。
【0005】
特許文献2に、氷粒貯留タンクの排出口に、その排出口から漸次拡径する垂直管部を接続し、その垂直管部の側面のほぼ中央に加圧空気管を接続し、さらに、その加圧空気管と対向する側に搬送管を接続すると共に、その搬送管との間に搬送管の径より充分大きく、かつ、搬送管に向けて漸次縮径された水平管部を接続してほぼT字状の排出チャンバを形成し、その排出チャンパの下部の加圧空気流から離隔された氷粒溜り部にドレン排出管を接続したアイスブラスト装置が提案されている。
【0006】
特許文献3に、氷、ドライアイスあるいは両者の混合からなる氷片スラリを蓄えている氷片スラリ貯槽と、該氷片スラリ貯槽から氷片スラリ噴射ノズルに氷片スラリを供給する氷片スラリ輸送管と、供給された氷片スラリを噴射する氷片スラリ噴射ノズルと、該氷片スラリ噴射ノズルに圧縮流体を供給するための圧縮機から構成される氷片ブラスト装置において、氷結閉塞部位に熱電素子を貼着し、該熱電素子に加熱側電流と冷却側電流の双方が流せるようにした氷片ブラスト装置が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開昭62-120978号公報
【特許文献2】特開平4-360766号公報
【特許文献3】特開2005-271116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に提案された装置は、高価な液体窒素を使用し、被除去物質が放射能を受けた汚染物質、砒素、燐等の有害物質、或いは毒性細菌等であるので、一般の工場で油膜、すす、塗料、土等を除去する装置として使用することは、処理量又は経済性の観点から問題である。特許文献2に提案された装置は、下部冷却タンク内に複雑な形状の排出チャンバを設けなければならないという問題があり、また、使用条件によっては氷片流路のつまりのおそれがあり、そのような場合には氷塊の形成を防ぐために高価なドライアイスと氷片の混粒を用いなければならないという問題がある。特許文献3に提案された装置は、特許文献2に提案された装置と同様に、使用条件によっては高価なドライアイスと氷片の混粒を用いなければならないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、被作業物の表面に付着した塗膜、油膜、すす、砂又は泥等の物質の除去作業において、作業中に氷片流路が詰まって作業を中断するようなことのない、安全な作業環境で連続して行うことができる氷片ブラスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る氷片ブラスト装置は、製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、氷片の温度を所定温度以下に保持する氷片冷却手段と、空気圧縮機と、該空気圧縮機により生成された高圧空気を貯える空気室と、高圧空気を冷却する空気冷却手段と、該空気室に貯えられた高圧空気とともに前記貯氷槽から供給され前記氷片冷却手段又は/及び前記空気冷却手段により所定温度以下に保持された氷片を被作業物に噴出させる噴射ノズルと、を有する。
【0011】
上記発明において、氷片が保持される温度は、-5℃以下とするのがよい。そして、噴射ノズルに所要量の氷片を供給する氷片供給手段を設けるのがよい。
【0012】
また上記発明において、貯氷槽から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機を設けるのがよい。
【0013】
また、本発明に係る氷片ブラスト装置は、製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、該貯氷槽から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機と、該砕氷機により砕氷された氷片を氷片ブラスト搬送管に送り出す氷片供給手段と、前記貯氷槽、砕氷機及び氷片供給手段を収容し、これらを所定温度に冷却する冷却庫と、空気圧縮機と、該空気圧縮機により生成された高圧空気を貯える空気室とその高圧空気を冷却する空気冷却手段と、該空気室から高圧空気を前記氷片ブラスト搬送管に送り出す操作弁と、前記氷片ブラスト搬送管に送り出された氷片を高圧空気とともに被作業物に噴出させる噴射ノズルと、を有するものとすることができる。
【0014】
この氷片ブラスト装置において、氷片供給手段は、砕氷機から氷片を受け入れる氷片供給タンクと、該氷片供給タンクから氷片を受け入れ、これを氷片ブラスト搬送管に送り出す氷片送出装置と、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記氷片供給タンクが前記砕氷機から氷片を受け入れるときはその受け入れ部を大気圧下に、その受け入れた氷片を前記氷片送出装置に送り出すときは氷片送り出し部を高圧空気下にするように制御するものとするのがよい。
【0015】
氷片送出装置は、スクリューコンベア式の氷片送出装置を用いるのがよく、氷片供給タンクには、これを加振する振動手段を設けるのがよい。また、貯氷槽の下端部には、スクリューコンベア式の氷片送出装置を設けるのがよい。
【0016】
また、本発明に係る氷片ブラスト装置は、製氷機と、該製氷機により製氷された氷片を貯える貯氷槽と、該貯氷槽から所定量の氷片を送り出す氷片供給手段と、該氷片供給手段から送り出された氷片を受け入れその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機と、該砕氷機により砕氷された氷片を受け入れる氷片投入器と、前記貯氷槽、砕氷機、氷片供給手段及び氷片投入器を収容し、これらを所定温度に冷却する冷却庫と、空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯える空気室と、該空気室から高圧空気を空気搬送管に送り出す操作弁と、前記空気室の高圧空気の一部を冷却し、これを氷片流路内に流動させて氷片流路を所定温度に冷却する氷片冷却手段と、前記氷片投入器に投入された氷片を搬送する氷片搬送管及び前記空気搬送管が接続され、前記操作弁の操作により高圧空気とともに氷片を噴出させる吸込式噴射ノズルと、を有するものとすることができる。
【0017】
この氷片ブラスト装置においては、氷片投入器の下端部に、これを加振する振動手段を設けるのがよく、その加振は空気室の空気を利用するのがよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る氷片ブラスト装置は、被作業物の表面に付着した塗膜、油膜、すす、砂又は泥等の物質の除去作業において、作業中に氷片流路が詰まって作業を中断するようなことがなく、安全な作業環境で連続して除去作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る氷片ブラスト装置の実施の形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る氷片ブラスト装置の一実施例のレイアウト図である。本氷片ブラスト装置100は、氷片供給部10と、高圧空気供給部50と、冷却庫63とその庫内を冷却する冷凍機64と、高圧空気を冷却する冷凍機65と、冷却された氷片及び高圧空気をともに被作業物90に噴出させる噴射ノズル30とを有する。
【0020】
氷片供給部10は、製氷機11と、製氷機11により製氷された氷片を貯える貯氷槽13とを有し、貯氷槽13に貯えられる氷片を氷片ブラスト搬送管73を通じて噴射ノズル30に供給することができる。この場合、貯氷槽13に貯えられた氷片は、噴射ノズル30から直ちに噴出されるのではなく、ある程度の時間貯氷槽13の内部に貯留されるために、貯えられた氷片から氷片塊が形成されやすい。このため、図1に示すように、氷片供給部10には、貯氷槽13から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機18を設けるのがよい。
【0021】
また、被作業物90に氷片を噴出させてその表面の付着物を適切に除去するには、その付着物の性状や作業量等により氷片の流量を調整する必要がある。このため、貯氷槽13に貯氷された氷片は、所要量が噴射ノズル30に供給されるように氷片供給手段20を設けるのがよい。
【0022】
冷却庫63は、上記の貯氷槽13、砕氷機18及び氷片供給手段20を収容することができ、それらの収容物を冷凍機64により冷却し、貯氷槽13から氷片供給手段20に至る氷片流路及びその氷片流路内を流動する氷片を所定温度にすることができる。すなわち、本例においては、冷却庫63と冷凍機64により氷片冷却手段が構成される。しかしながら、以下に説明するように、空気冷却手段により冷却された高圧空気を、貯氷槽13から噴射ノズル30に至る氷片流路に流し込み、氷片を所定温度に冷却するような氷片冷却手段を構成することもできる。また、上記の2つの氷片冷却手段を併設させることもできる。どのような氷片冷却手段を構成するかは、経済性、作業の対象、時間、範囲等を考慮して選択すればよい。
【0023】
製氷機11は、例えば、円管状の壁に水膜を流下させて氷を作り、これを掻き取って製氷する様式のものを使用することができる。このような製氷機によれば、厚さ1〜1.5mm、直径16mm以下の薄片状の氷片を作製することができる。
【0024】
貯氷槽13は、連続作業ができるに充分の量の氷片を貯氷することができるものであればよい。貯えられた氷片は、貯氷槽13の下端部から砕氷機18に送り出される。貯氷槽13には、蓄積された氷片の圧接により氷片塊が形成されるのを防止するため、氷片を攪拌する攪拌機14を設けるのがよい。例えば、1〜5rpmで攪拌羽根をゆっくり回転させる構造の攪拌機14を使用することができる。このような攪拌機14は、構造が簡単かつ操作が確実であるのでよい。
【0025】
砕氷機18は、例えばシュリンガータイプの砕氷機を使用することができる。このシュリンガータイプの砕氷機18によれば、氷片を厚さ1〜1.5mm、直径6mm以下に砕氷することができる。
【0026】
氷片供給手段20は、例えば、スクリューコンベア式の氷片送出装置21を用いて構成するのがよい。これにより、スクリューコンベアの速度を調整して所定量の氷片を噴射ノズル30に供給できるばかりでなく、砕氷機能をも付与することができる。この氷片供給手段20は、氷片の送り出しをより確実にし、氷片を噴射ノズル30から連続的に噴出させるため、以下に説明する空気室53の高圧空気を氷片送出装置21に流出させてその内部を高圧に維持する空気搬送管76を設けるのがよい。これにより氷片を円滑に氷片ブラスト搬送管73に送り出すことができる。なお、空気搬送管76には、所定流量の空気が流れるように絞り、あるいは流量調整弁を設けるのがよい。また、上記の氷片供給手段20は、公知のロータリ式フィーダを用いて構成することもできる。
【0027】
高圧空気供給部50は、空気圧縮機51、高圧空気を貯蔵する空気室53からなる。空気室53の上流側には、空気圧縮機51により生成された高圧空気中の水分を除くため除湿装置52を設けるのがよい。
【0028】
空気室53は、断熱性を有しており、図1に示すように、その内部の高圧空気を所定の温度に冷却する冷凍機65を有している。本例の場合は、断熱性の空気室53とこの冷凍機65により空気冷却手段が構成される。
【0029】
空気圧縮機51、除湿装置52は公知のものを使用することができる。空気室53は、連続作業が可能な程度に高圧空気を貯蔵できる大きさのものであればよい。
【0030】
噴射ノズル30は、高圧空気とともに氷片を連続的に噴出させることができるものであればよい。図1に示すように、氷片ブラスト搬送管73を介して氷片と高圧空気が混合され混相流となった状態の氷片と高圧空気を噴出させる噴射ノズル30の場合は、広くて高い作業範囲内にある被作業物90について付着物の除去作業を行うことができる。しかしながら、以下に説明する吸込式噴射ノズルを使用することもできる。この吸込式噴射ノズルを使用する場合は、簡単な構造の氷片供給手段20を構成することができる。
【0031】
本氷片ブラスト装置100はこのように構成されている。この氷片ブラスト装置100においては、貯氷槽13から供給され噴出ノズル30から噴出される氷片の温度を-5℃以下に保持するようにするのがよい。連続運転中の装置内温度の上昇を考慮すると氷片の温度を-8℃以下に保持するのがよい。また、氷片表面部の融解・再氷結を考慮すると、氷片が貯氷槽13から噴射ノズルに至る氷片流路の温度も、-5℃以下に保持するのがよい。なお、氷片の温度は低いほど氷片の融解・再氷結を防ぐことができるが、経済性を考慮して適当な温度を選択すべきである。
【0032】
氷片の温度を-5℃以下に保持するのがよいのは、以下に説明するように、この温度を保持することにより氷片の融解・再氷結を防ぐことができ、氷片塊が形成されて氷片流路が詰まるのを防止することができるからである。すなわち、水の平衡状態図は、圧力0.0006MPa、温度0.01℃のとき三重点を示し、固体から液体に変化する融解曲線はその三重点より圧力の上昇とともに低温側に移動する特徴を有する。このため、氷片はこれに加わる圧力が高くなるほど融解しやすくなる。この圧力上昇分を考えると、氷片同士の接触圧、氷片の積層による積層圧、氷片の氷片流路内での衝突圧等がある。例えば、氷片の積層厚さを100cm、局部接触が断面積の0.1%であるとすると、これに伴う氷接触部の圧力上昇分は10MPaで、対応する氷の融点温度の下降分は−0.7℃になる。また、氷片の氷片流路内で生ずる衝突圧は、氷片が100m/sの速度で衝突するとき、氷を完全塑性体かつ断熱変化と仮定して、衝突による圧力上昇分は4.7MPa、氷の融解温度の下降分は-2.4℃になる。
【0033】
したがって、氷片の温度が-3℃程度であるとその表面は融解するおそれがある。また、氷片は氷片流路内でそれ以上の温度のものに接触するとさらに融点が下がって融解しやすくなる。すなわち、氷片の温度は、-5℃以下に保持するのがよい。さらに、連続運転中の装置内温度の上昇分を考慮すると、氷片の温度は-8℃以下に保持するのがよい。また、氷片流路内も氷片と同等温度以下に保持されるのがよい。
【0034】
本氷片ブラスト装置100は、以下のように使用される。まず、冷凍機64及び65を作動させ、冷却庫63及び空気室53を所定の温度に冷却するとともに、製氷機11を作動させて製氷を始め、製氷された氷片を貯氷槽13に貯える。所定量の氷片が貯氷槽13に貯氷され、所定温度の高圧空気が空気室53に蓄圧されたときに、砕氷機18及び氷片供給手段20を作動させて氷片を貯氷槽13から氷片供給手段20を介して氷片ブラスト搬送管73に送り出す。つぎに、噴射ノズル30に設けられたスイッチ38を操作して操作弁71を開き冷却された高圧空気を氷片ブラスト搬送管73に流出させ、氷片供給手段20から氷片ブラスト搬送管73に送り出された氷片とともに噴射ノズル30から噴出させる。
【0035】
以上本発明に係る氷片ブラスト装置100について説明した。本発明によれば、作業中に氷片流路がつまって作業を中断するようなことがなく、安全な作業環境で連続して除去作業を行うことができる。しかしながら、本発明は上述の実施例に限定されない。より広くて高い範囲の作業域を確保し、安定して連続作業を行うには、図2に示す氷片ブラスト装置110がよい。
【0036】
すなわち、この氷片ブラスト装置110は、氷片供給部10が、製氷機11と、製氷機11により製氷された氷片を貯える貯氷槽13と、貯氷槽13から氷片を受け入れてその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機18と、砕氷機18により砕氷された氷片を氷片ブラスト搬送管73に送り出す氷片供給手段20と、から構成されている。
【0037】
そして、氷片供給手段20は、砕氷機18から氷片を受け入れる氷片供給タンク25と、氷片供給タンク25から氷片を受け入れ、これを氷片ブラスト搬送管73に送り出す氷片送出装置21と、以下に説明する制御手段と、を有している。この制御手段は、氷片供給タンク25が砕氷機18から氷片を受け入れるときはその受け入れ部を大気圧下に、その受け入れた氷片を氷片送出装置21に送り出すときは氷片送り出し部を高圧空気下にするように制御するものである。
【0038】
この氷片ブラスト装置110の氷片冷却手段は、上述の氷片ブラスト装置100の場合と同様に、貯氷槽14、砕氷機18及び氷片供給手段20を収容する冷却庫63と冷凍機64により構成される。そして、貯氷槽14から氷片送出装置21に至る氷片流路及び氷片は-5℃以下に保持されるようになっている。
【0039】
高圧空気供給部50は、空気圧縮機51と、空気圧縮機51により圧縮された空気を貯える空気室53から構成されている。また、空気冷却手段は、氷片ブラスト装置100の場合と同様に、断熱性の空気室53と冷凍機65により構成される。なお、高圧空気供給部50は、氷片ブラスト装置100の場合と同様に、除湿装置52を設けるのがよい
【0040】
噴射ノズル30は、氷片ブラスト装置100の場合と同様に、氷片ブラスト搬送管73に連結されており、氷片供給手段20から送り出された氷片を空気室53からの高圧空気とともに噴出させることができるようになっている。
【0041】
本氷片ブラスト装置110は、以下のように使用される。本例の場合は、まず、氷片供給手段20の具体的構成と制御手段の作動を説明することにより、氷片ブラスト装置110の使用について説明する。本例の氷片供給手段20は、図3に示すように、氷片供給タンク25は、氷片供給タンク25Aと25Bが並列して設けられ、砕氷機18から供給される氷片は氷片流路a2、氷片供給タンク25A、氷片流路a3から氷片送出装置21に至るaラインと、氷片流路b2、氷片供給タンク25B、氷片流路b3から氷片送出装置21に至るbラインとが並列に設けられている。そして、操作弁71を介して供給される冷却された高圧空気は、氷片ブラスト搬送管73から分岐し、氷片流路a2に連通する分岐管a1と氷片流路b2に連通する分岐管b1とを有する空気搬送管77に供給されるようになっている。なお、空気搬送管77には、所定の流量が流れるように絞り又は流量調整弁V5が設けられている。
【0042】
この氷片供給手段20において、制御手段は以下のように機能する。すなわち、まず、すべての開閉弁V1A〜V3Bを閉じた後、開閉弁V1Aを開き、切換手段26をaラインに切り換え、砕氷機18の氷片を氷片供給タンク25Aに貯氷し、開閉弁V1Aを閉じる。つぎに、開閉弁V1Bを開き、切換手段26をbラインに切り換え、砕氷機18の氷片を氷片供給タンク25Bに貯氷し、開閉弁V1Bを閉じる。両方の供給タンク25A及び25Bに氷片が貯氷された状態で準備を終わらせる。
【0043】
つぎに、開閉弁V2A及びV3Aを開き、噴射ノズル30のスイッチ38をONにして、高圧空気を氷片ブラスト搬送管73及び空気搬送管77に流出させるとともに、氷片送出装置21を作動させ、aラインから氷片を氷片ブラスト搬送管73に供給する。暫時噴射ノズル30からは高圧空気とともに氷片が噴出される。なお、aラインは氷片ブラスト搬送管73と同様に高圧状態になっているので、氷片を氷片ブラスト搬送管73に円滑に供給することができる。
【0044】
所定時間経過後、開閉弁V2A及びV3Aを閉じ、開閉弁V2B及びV3Bを開き、bラインを稼働させて氷片送出装置21から氷片を氷片ブラスト搬送管73に供給するとともに、開閉弁V1Aを開いて切換手段26をaライン側にして氷片を供給タンク25Aに貯氷する。以下順次、bライン、つぎにaラインと稼働させ氷片を連続的に氷片ブラスト搬送管73に供給する。
【0045】
本制御手段は、このように、氷片供給タンク25が砕氷機18から氷片を受け入れるときはその受け入れ部を大気圧下に、その受け入れた氷片を氷片送出装置21に送り出すときは氷片送り出し部を高圧空気下にするように制御することにより、氷片を円滑かつ連続的に氷片ブラスト搬送管73に供給し、噴射ノズル30から噴出させることができる。噴射ノズル30から氷片及び高圧空気を噴出させ、被作業物90の表面付着物の除去作業を行う操作は、図1に示す氷片ブラスト装置100の場合と同様である。
【0046】
なお、図2に示すように、本氷片ブラスト装置110の氷片送出装置21は、スクリューコンベア式の氷片送出装置21を用いるのがよく、また、貯氷槽13の下端部には、スクリューコンベア式の氷片送出装置16を設けるのがよい。この氷片送出装置16は、氷片送出装置21と同等のものを使用することができる。また、図3に示すように、氷片供給タンク25(25A、25B)を加振する振動手段27を設けるのがよい。
【0047】
本発明に係る氷片ブラスト装置は、さらに、図4に示すような簡単な構造の構成のものにすることができる。図4に示す氷片ブラスト装置120は、氷片供給部10が、製氷機11と、製氷機11により製氷された氷片を貯える貯氷槽13と、貯氷槽13から所定量の氷片を送り出す氷片供給手段22と、氷片供給手段22から送り出された氷片を受け入れその中に存在する氷片塊を砕氷する砕氷機18と、砕氷機18により砕氷された氷片を受け入れる氷片投入器23から構成されている。氷片投入器23には、氷片搬送管74が連結されている。
【0048】
氷片冷却手段は、上述の氷片ブラスト装置100及び110と同様に、冷凍機64と、貯氷槽13、氷片供給手段22、砕氷機18及び氷片投入器23を収容することができる冷却庫63と、以下に説明する氷片流路に流れる冷却空気による冷却手段とから構成されている。
【0049】
高圧空気供給部50は、空気圧縮機51と、空気圧縮機51により圧縮された空気を貯える空気室54から構成されている。本例の場合、空気室54は断熱性を有するものでなくてもよい。
【0050】
本氷片ブラスト装置120の空気冷却手段は、図4に示すように、空気室54から操作弁71を介して以下に説明する吸込式噴射ノズル31に連結された空気搬送管75から分岐する空気搬送管78を通じて流出する高圧空気を冷却する冷凍機66により構成される。そして、この冷凍機66により冷却された高圧空気は、氷片投入器23を通じて氷片搬送管74から吸込式噴射ノズル31に至る氷片流路に流出し、その氷片流路とそれを流れる氷片の冷却を行うようになっており、この空気冷却手段は氷片冷却手段にもなっている。
【0051】
本氷片ブラスト装置120の氷片を高圧空気とともに噴射するノズルは、図4に示すように、氷片投入器23に投入された氷片を搬送する氷片搬送管74と、空気搬送管75とが連結された吸引式噴射ノズル31が用いられている。この吸引式噴射ノズル31は、図5に示すように、氷片搬送管74に連結される氷片吸込み口35と、空気搬送管75に連結される空気ノズル36とを有し、それらは混合室33に開口しており、氷片が高速気流により混合室33に吸引され、氷片噴射ノズル34の内部で氷片と高速気流との混相流が形成されるようになっている。
【0052】
本氷片ブラスト装置120は、このように氷片流路が高圧になっていないので、氷片供給手段は、貯氷槽13の氷片排出部に設けられたスクリューコンベア式の氷片送出装置22と、大気圧に開放された氷片投入器23とにより構成することができる。また、氷片冷却手段と空気冷却手段を冷却能力の低い冷凍機を用いた簡単な構造のものにすることができる。
【0053】
なお、本氷片ブラスト装置120においては、氷片投入器23の下端部を加振する振動手段28を設けるのがよい。振動手段28は、空気室54の空気を利用して加振する振動機を使用することができる。
【0054】
以上本発明に係る氷片ブラスト装置100、110及び120について説明したが、上述の氷片ブラスト装置110に用いられる氷片供給手段20の氷片供給タンク25部分は、図6に示す構成にすることができる。すなわち、一体のタンクに低圧部Lと、低圧部Lよりは容積の大きい高圧部Hと、低圧部Lに設けた砕氷機18から氷片を受け入れるための開閉手段S1と、低圧部Lと高圧部Hを仕切る開閉手段S2と、低圧部Lを外気と開放・遮断させる開閉弁V5と、開閉弁V6を介して高圧部Hに連結された空気搬送管77とにより、氷片供給タンク25部分を構成することができる。
【0055】
この構成において、まず、開閉手段S1及びS2、開放弁V5を開き、低圧部Lと高圧部Hに砕氷機18から氷片を送り込み、開閉手段S1及び開放弁V5を閉じて準備段階が終わる。そして、開放弁V6を開いて低圧部L及び高圧部Hを高圧にして、氷片送出装置21に氷片を供給し、氷片送出装置21より氷片を氷片ブラスト搬送管73に送り出す。つぎに、低圧部Lに残留する氷片がなくなる前に、開閉手段S2を閉じ、そして、開閉手段S1及び開放弁V5を開いて低圧部Lに氷片を送り込む。低圧部Lに氷片を送り込んだ後、開閉手段S1及び開放弁V5を閉じて開閉手段S2を開く。以降上記作動を順次行うことにより、氷片を砕氷機18から氷片ブラスト搬送管73に連続的に送り出すことができる。
【0056】
また、氷片ブラスト装置120においては、冷却された高圧空気を空気搬送管78から氷片投入器23に放出させるようになっているが、冷却された高圧空気はさらに上流側に、たとえば貯氷槽13に放出させるようにしてもよい。また、氷片ブラスト装置120に用いた氷片流路とそれを流れる氷片の冷却を行うような冷却手段を、氷片ブラスト装置100又は110に設けることもできる。その場合は、氷片ブラスト装置100又は110に用いた冷凍機の性能を小さくすることができる。
【実施例1】
【0057】
氷片ブラスト装置120を用いて、自動車エンジンに付着した油汚れと構造用形鋼に付着した赤さびを除去する試験1と、壁の一面に厚さ4cmのアスベスト板を用いて密閉空間(1.2×1.2×2m)を作製し、アスベストを除去する試験2を行った。製氷機11は、1冷凍ton(約42kg/h)で、厚さ1〜1.5mm、直径16mm以下の薄片状の氷片を製作することができる。貯氷槽13は、貯氷容量50kgで、槽内には1〜5rpmで回転する攪拌羽根式の撹拌機14を設けた。砕氷機18は、シュリンガータイプの遠心式砕氷機を用いた。冷凍機64は、出力が3.7kWで、冷却庫63は庫内温度を-28℃まで冷却することができるものを用いた。氷片送出装置22は、スクリューコンベア式のものを用いた。空気圧縮機51は、吐出圧力0.7MPa、吐出流量3.7m3/minのものを用いた。除湿装置52は、吸着式除湿器を用い、冷凍機66は、出力1.5kWのものを用いた。
吸込式噴射ノズル31の氷片噴出量は75kg/h、空気噴出量は2.3m3/minであった。なお、冷却庫63の庫内温度は、K熱電対を用い冷却庫63の壁から3cm離れた貯氷槽13の近傍で測定した。室内温度は23.5℃であった。
【0058】
図7に試験結果を示す。図7において、横軸は試験の経過時間、縦軸は庫内温度を示す。図7によると、試験1において庫内温度は、試験開始時に庫内温度が-26℃であったものが、25minの試験後に-16.5℃になっていることが分かる。また、試験1の終了後25min放置して庫内温度が-22℃になったとき、試験2を開始し、その試験が終了した25min後には、庫内温度が-15℃になっていることが分かる。
【0059】
試験1及び2において、装置内で氷片のつまりが生ずることはなく、円滑に試験を行うことができた。また、試験1において、自動車エンジンに付着した油汚れ及び構造用形鋼に付着した赤さびは、きれいに除去されていた。試験2において、アスベスト板からアスベストをきれいに除去することができた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る氷片ブラスト装置のレイアウト図である。
【図2】他の実施例に係る氷片ブラスト装置のレイアウト図である。
【図3】図2に示す氷片ブラスト装置の氷片供給手段部分の説明図である。
【図4】他の第二の実施例に係る氷片ブラスト装置のレイアウト図である。
【図5】吸引式噴射ノズルの断面図である。
【図6】図2に示す氷片ブラスト装置の氷片供給手段部分の他の実施例の説明図である。
【図7】図4に示す氷片ブラスト装置を用いて試験を行ったときの庫内温度と試験時間の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
10 氷片供給部
11 製氷機
13 貯氷槽
14 攪拌機
16 氷片送出装置
18 砕氷機
20 氷片供給手段
21、22 氷片送出装置
23 氷片投入器
25、25A、25B 氷片供給タンク
26 切換手段
27、28 振動手段
30 噴射ノズル
31 吸込式噴射ノズル
33 混合室
34 氷片噴射ノズル
35 氷片吸込み口
36 空気ノズル
38 スイッチ
50 圧縮空気供給部
51 空気圧縮機
52 除湿装置
53、54 空気室
60 氷片冷却手段
61 空気冷却手段
63 冷却庫
64、65、66 冷凍機
71 開閉弁
73 氷片ブラスト搬送管
74 氷片搬送管
75、76、77、78 空気搬送管
90 被作業物
【出願人】 【識別番号】506309881
【氏名又は名称】有限会社ヒロ技術研究所
【識別番号】501286510
【氏名又は名称】株式会社メンテック
【識別番号】596063056
【氏名又は名称】財団法人 ひろしま産業振興機構
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】 【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康


【公開番号】 特開2008−68341(P2008−68341A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−247417(P2006−247417)