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【発明の名称】 マイクロブラスト加工方法及び加工装置
【発明者】 【氏名】越水 重臣

【要約】 【課題】マイクロ流路の断面を略U字形状としたマイクロチャンネルデバイスを容易に得ることができるマイクロブラスト加工方法及び加工装置を提供する。

【構成】表面が任意形状を残しつつマスク材Mで覆われてマスクパターンPが形成されたガラス基板Wを載置する載置台1と、該載置台1上のガラス基板WのマスクパターンPに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工し、ガラス基板の表面に溝形状のマイクロ流路Waを形成するブラストノズル2とを具備したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工装置において、ブラストノズル2の砥粒の噴出方向と載置台1上のガラス基板Wの表面とが相対的に所定角度傾斜して成るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意形状を残しつつ無機材料の表面をマスク材で覆うことによりマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するマイクロ流路形成工程と、
を有したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工方法において、
前記マイクロ流路形成工程は、前記砥粒の噴出方向と無機材料の表面とを相対的に所定角度傾斜させてマイクロブラスト加工することを特徴とするマイクロブラスト加工方法。
【請求項2】
前記マイクロ流路形成工程は、前記砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、前記無機材料を揺動して傾斜させることを特徴とする請求項1記載のマイクロブラスト加工方法。
【請求項3】
前記マイクロ流路形成工程は、前記無機材料の傾斜を一定に維持しつつ、前記砥粒の噴出方向を前記無機材料の表面に対して所定角度傾斜させることを特徴とする請求項1記載のマイクロブラスト加工方法。
【請求項4】
前記マイクロ流路形成工程は、前記無機材料の表面に対し、複数の方向から砥粒を噴出してマイクロブラスト加工することを特徴とする請求項1記載のマイクロブラスト加工方法。
【請求項5】
任意形状を残しつつ無機材料の表面をマスク材で覆うことによりマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、
前記マスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するマイクロ流路形成工程と、
を有したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工方法において、
前記マスクパターン形成工程は、無機材料の表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成することを特徴とする無機材料のマイクロブラスト加工方法。
【請求項6】
表面が任意形状を残しつつマスク材で覆われてマスクパターンが形成された無機材料を載置する載置手段と、
該載置手段上の無機材料のマスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工し、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するブラストノズルと、
を具備したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工装置において、
前記ブラストノズルの砥粒の噴出方向と前記載置手段上の無機材料の表面とが相対的に所定角度傾斜して成ることを特徴とするマイクロブラスト加工装置。
【請求項7】
前記ブラストノズルの砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、載置手段を揺動して前記無機材料を傾斜させることを特徴とする請求項6記載のマイクロブラスト加工装置。
【請求項8】
前記ブラストノズルを揺動することにより、前記砥粒の噴出方向を無機材料の表面に対して所定角度傾斜させることを特徴とする請求項6記載のマイクロブラスト加工装置。
【請求項9】
前記無機材料に対して砥粒の噴出方向が所定角度傾斜した複数のブラストノズルを具備したことを特徴とする請求項6記載のマイクロブラスト加工装置。
【請求項10】
表面が任意形状を残しつつマスク材で覆われてマスクパターンが形成された無機材料を載置する載置手段と、
該載置手段上の無機材料のマスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工し、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するブラストノズルと、
を具備したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工装置において、
無機材料の表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成するマスクパターン形成手段を備えたことを特徴とするマイクロブラスト加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクパターンが形成されたガラス基板等の無機材料の表面に対し砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成してマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工方法及び加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、例えば化学分野等ではマイクロチャンネルデバイス(或いはマイクロリアクタ)と呼ばれる小型反応器を用いて、微量原料の化学反応を行う研究が活発化するに至っている。かかるマイクロチャンネルデバイスとは、数センチ角の基板の表面に溝形状の微細流路(マイクロ流路)が形成されたものをいい、当該マイクロ流路にて微量の液体試料サンプル等を流動させ、その流動過程で種々化学反応を行わせ得るよう構成されている。
【0003】
例えば特許文献1にて開示されているように、マスク材で覆われていないガラス基板の表面に砥粒を噴出してマイクロブラスト加工を施し、ガラス基板の表面に溝形状のマイクロ流路を形成することによりマイクロチャンネルデバイスを得る方法が提案されている。かかる方法によれば、ガラス基板の表面に対して容易且つ簡易にマイクロ流路を形成し、マイクロチャンネルデバイスを得ることができる。
【0004】
また、比較的厚手のフォトレジスト厚膜に対して常法により露光し、その後現像するに当たり、現像液を圧縮ガスによって噴出して吹き付けることにより膨潤な溶出部を排除して、任意形状のパターンを残しつつガラス基板の表面をマスク材で覆うことが、例えば特許文献2にて開示されている。かかる方法によれば、微細で高精細なマスキングパターンを形成することができる。
【特許文献1】特開2002−137167号公報
【特許文献2】特開2002−139848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のマイクロブラスト加工方法においては、マイクロ流路の断面がV字形状の溝となってしまうことから、微量原料を流動させる際、所望量の原料を流動させ難い或いは当該原料が滞留し易い等の問題があった。即ち、通常、砥粒を噴出させるノズルをガラス基板に対して直交する方向に向けて配設していることから、マスク材で覆われていない部位がV字形状(溝底部が鋭角とされた形状)に刻されてしまうのである。
【0006】
また、ガラス基板の表面をマスク材で覆うに際し、フォトレジスト厚膜に対して露光して現像することによりマスクパターンを形成するため、露光のための大がかりな装置や器具或いは現像液等を必要とすることから、マイクロチャンネルデバイスの製造コストが嵩んでしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、マイクロ流路の断面を略U字形状としたマイクロチャンネルデバイスを容易に得ることができるマイクロブラスト加工方法及び加工装置を提供することにあり、第2の目的は、簡易且つ容易に無機材料の表面にマスクパターンを形成することができ、そのマスクパターンにてマイクロブラスト加工を施してマイクロチャンネルデバイスを得ることができるマイクロブラスト加工方法及び加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、任意形状を残しつつ無機材料の表面をマスク材で覆うことによりマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するマイクロ流路形成工程とを有したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工方法において、前記マイクロ流路形成工程は、前記砥粒の噴出方向と無機材料の表面とを相対的に所定角度傾斜させてマイクロブラスト加工することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のマイクロブラスト加工方法において、前記マイクロ流路形成工程は、前記砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、前記無機材料を揺動して傾斜させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のマイクロブラスト加工方法において、前記マイクロ流路形成工程は、前記無機材料の傾斜を一定に維持しつつ、前記砥粒の噴出方向を前記無機材料の表面に対して所定角度傾斜させることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のマイクロブラスト加工方法において、前記マイクロ流路形成工程は、前記無機材料の表面に対し、複数の方向から砥粒を噴出してマイクロブラスト加工することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、任意形状を残しつつ無機材料の表面をマスク材で覆うことによりマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するマイクロ流路形成工程とを有したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工方法において、前記マスクパターン形成工程は、無機材料の表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、表面が任意形状を残しつつマスク材で覆われてマスクパターンが形成された無機材料を載置する載置手段と、該載置手段上の無機材料のマスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工し、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するブラストノズルとを具備したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工装置において、前記ブラストノズルの砥粒の噴出方向と前記載置手段上の無機材料の表面とが相対的に所定角度傾斜して成ることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のマイクロブラスト加工装置において、前記ブラストノズルの砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、載置手段を揺動して前記無機材料を傾斜させることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項6記載のマイクロブラスト加工装置において、前記ブラストノズルを揺動することにより、前記砥粒の噴出方向を無機材料の表面に対して所定角度傾斜させることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項6記載のマイクロブラスト加工装置において、前記無機材料に対して砥粒の噴出方向が所定角度傾斜した複数のブラストノズルを具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、表面が任意形状を残しつつマスク材で覆われてマスクパターンが形成された無機材料を載置する載置手段と、該載置手段上の無機材料のマスクパターンに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工し、無機材料の表面に溝形状のマイクロ流路を形成するブラストノズルとを具備したマイクロチャンネルデバイスを得るためのマイクロブラスト加工装置において、無機材料の表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成するマスクパターン形成手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び請求項6の発明によれば、砥粒の噴出方向と無機材料の表面とを相対的に所定角度傾斜させてマイクロブラスト加工するので、マイクロ流路の断面を略U字形状としたマイクロチャンネルデバイスを容易に得ることができる。
【0019】
また、請求項2及び請求項7の発明の如く、砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、無機材料を揺動して傾斜させる、請求項3及び請求項8の発明の如く、無機材料の傾斜を一定に維持しつつ、砥粒の噴出方向を無機材料の表面に対して所定角度傾斜させる、或いは請求項4及び請求項9の発明の如く、無機材料の表面に対し、複数の方向から砥粒を噴出してマイクロブラスト加工するようにしてもよい。
【0020】
請求項5及び請求項10の発明によれば、無機材料の表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成するので、簡易且つ容易に無機材料の表面にマスクパターンを形成することができ、そのマスクパターンにてマイクロブラスト加工を施してマイクロチャンネルデバイスを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るマイクロブラスト加工装置は、マスクパターンが形成されたガラス基板(無機材料)の表面に対し砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、ガラス基板の表面に溝形状のマイクロ流路を形成してマイクロチャンネルデバイスを得るためのものであり、図1に示すように、載置台1(載置手段)と、ブラストノズル2と、砥粒タンク3と、電磁バルブ4と、コンプレッサ5とから主に構成される。
【0022】
載置台1は、ガラス基板Wを載置するためのもので、ブラストノズル2と対向した位置にて水平面内(X方向、Y方向)で摺動可能とされている。ガラス基板Wは、図3に示すように、表面が任意形状を残しつつマスク材M(紫外線硬化樹脂等)で覆われてマスクパターンPが形成されており、数十センチ角の矩形状ガラス材から成るものである。
【0023】
ブラストノズル2は、載置台1上のガラス基板Wの表面に対し、砥粒を噴出させてブラスト加工するためのものであり、微細なセラミック粒子等から成る砥粒が収容された砥粒タンク3と連結されているとともに、電磁バルブ4を介してコンプレッサ5とも連結されている。これにより、コンプレッサ5を駆動しつつ電磁バルブ4を開状態とすると、砥粒タンク3内の砥粒がブラストノズル2から高圧で噴出されるようになっている。
【0024】
しかして、高圧で噴出された砥粒は、載置台1上のガラス基板W表面に衝突してマイクロブラスト加工が施されるので、マスクパターンP(マスク材Mで覆われていない部位)に沿って溝形状のマイクロ流路Waが形成されることとなる。即ち、ガラス基板W表面のマスク材Mで覆われた部分には砥粒が衝突しないため、マスクパターンPのみが削られることから、当該マスクパターンPに倣ったマイクロ流路Waが形成されるのである。
【0025】
ここで、本実施形態においては、ブラストノズル2がガラス基板Wの表面に対して揺動し得るよう構成されている。即ち、図1に示すように、ガラス基板W表面の直交方向に対し所定角度α(5°〜60°)だけ傾斜するようブラストノズル2を揺動させることができる揺動機構を具備しているのである。尚、本発明の「砥粒の噴出方向とガラス基板の表面とを相対的に所定角度傾斜」とは、ガラス基板W表面の直交方向に対して所定角度αだけ傾斜した状態をいい、直交方向を含まない。
【0026】
そして、ブラストノズル2をガラス基板W表面と直交方向に向けて砥粒を噴出した後、ガラス基板Wを水平面(X、Y方向)内で移動させつつ、右側へ角度αだけ傾斜させた状態で砥粒を噴出し、更に左側へ角度αだけ傾斜させた状態で砥粒を噴出させれば、形成されるマイクロ流路Waの断面が、図4に示すような略U字形状の溝となる。然るに、上記マイクロブラスト加工は、噴出する砥粒をホワイトアルミナ(♯800)、噴出圧力を0.5(MPa)、噴出距離を75(mm)、走査速度を15(mm/s)、砥粒噴出量を50(g/min)とした条件で行うのが好ましい。
【0027】
その後、マスク材Mを剥離すれば、断面が略U字形状のマイクロ流路Waが表面に形成されたマイクロチャンネルデバイスを得ることができる。かかる表面に略同一形状のガラス板等を積層すれば、マイクロ流路Waにおいて液体試料サンプル等の微量原料を流動させることができ、その流動過程で種々化学反応を行わせることができる。尚、複数のガラス基板Wを上下に積層させて上下方向に複数のマイクロ流路Waを形成するよう構成してもよい。
【0028】
一方、本実施形態に係るマイクロブラスト加工装置は、図5に示すようなマスクパターン形成手段を具備している。かかるマスクパターン形成手段は、載置台6、及び半溶融状態の紫外線硬化樹脂を載置台6上のガラス基板W上に供給し得るディスペンサ7を有しており、当該ディスペンサ7の先端に形成されたノズル7aから紫外線硬化樹脂を吐出させ得るよう構成されているとともに、マシニングセンタ等の加工軸8にてディスペンサ7が例えば数値制御等により任意軌跡にて動作し得るよう構成されている。
【0029】
そして、加工軸8を動作させることにより、ガラス基板Wの表面に対してノズル7aから紫外線硬化樹脂(マスク材)を直接吐出して、図2に示すように、一筆描きで任意形状のマスクパターンPを形成し得るようになっている。然るに、マスクパターンP以外の部位に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射すれば紫外線硬化樹脂が硬化し、図3に示す如きマスク材Mが形成されることとなる。
【0030】
従って、本実施形態に係るマスクパターン形成手段が、ガラス基板Wの表面に対してノズル7aから紫外線硬化樹脂(マスク材)を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンPを形成するので、簡易且つ容易にガラス基板Wの表面にマスクパターンPを形成することができ、そのマスクパターンPにてマイクロブラスト加工を施してマイクロチャンネルデバイスを得ることができる。
【0031】
ノズル7aによる一筆描き吐出は、例えば紫外線硬化樹脂の吐出圧力が0.3(MPa)、ノズル7aの吐出部内径及び移動速度が0.4(mm)及び5(mm/s)、ノズル7aとガラス基板W表面との間のギャップ(間隙寸法)が0.005(mm)とした条件下で行うのが線幅のばらつきを抑制する上で好ましい。
【0032】
次に、本実施形態に係るブラスト加工方法について説明する。
まず、上述の如くマスクパターン形成手段により、ガラス基板Wの表面に対して半溶融状態の紫外線硬化樹脂を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンPを形成するとともに、他の部位(マスクパターンP以外の部位)も紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射して硬化させる。これにより、任意形状を残しつつガラス基板Wの表面をマスク材Mで覆うことによりマスクパターンPを形成することができる(マスクパターン形成工程)。
【0033】
その後、マスク材Mを上方へ臨ませつつガラス基板Wを載置台1上に載置し、マスクパターンPに砥粒を噴出させてマイクロブラスト加工することにより、ガラス基板Wの表面に溝形状のマイクロ流路Waを形成する(マイクロ流路形成工程)。かかるマイクロ流路形成工程においては、ガラス基板Wの傾斜を一定(水平状態)に維持しつつ、砥粒の噴出方向をガラス基板Wの表面に対して所定角度α傾斜させている。
【0034】
即ち、マスクパターンPが形成されたガラス基板Wに対し、まず直交方向に向けて砥粒を噴出した後(この状態では従来と同様、断面がV字形状の溝が形成される)、右側へ角度αだけ傾斜させた状態で砥粒を噴出し、更に左側へ角度αだけ傾斜させた状態で砥粒を噴出させることにより、断面が略U字形状のマイクロ流路Waを得ることができるのである。そして、マイクロブラスト加工の後、マスク材Mをガラス基板W表面から剥離すれば、任意形状のマイクロ流路Waを有したマイクロチャンネルデバイスを得ることができる。
【0035】
上記実施形態によれば、砥粒の噴出方向とガラス基板Wの表面とを相対的に所定角度α傾斜させてマイクロブラスト加工するので、マイクロ流路Waの断面を略U字形状としたマイクロチャンネルデバイスを容易に得ることができる。所定角度αは、ガラス基板W表面の直交方向から左右にそれぞれ略5〜60°程度が好ましいが、左右にそれぞれ略45°程度が理想的なU字形状のマイクロ流路Waを形成する上で最も好ましい。尚、ブラストノズル2の傾斜角度を任意設定することにより、断面がU字形状で且つ溝形状(深さ等)が異なるマイクロ流路を種々形成することができる。
【0036】
更に、上記実施形態によれば、ガラス基板Wの表面に対してノズル7aからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンPを形成するので、簡易且つ容易にガラス基板Wの表面にマスクパターンPを形成することができ、そのマスクパターンPにてマイクロブラスト加工を施してマイクロチャンネルデバイスを得ることができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6に示すように、マイクロ流路形成工程において、ブラストノズル2からの砥粒の噴出方向を一定に維持しつつ、載置台1(載置手段)を揺動してガラス基板Wを揺動して傾斜させるよう構成してもよい。即ち、載置台1を揺動すれば、ブラストノズル2の砥粒の噴出方向と載置台1上のガラス基板Wの表面とが相対的に所定角度傾斜して成るので、上記実施形態と同様、マイクロブラスト加工により、断面が略U字形状のマイクロ流路Waが形成されるのである。
【0038】
また、図7に示すように、ガラス基板Wに対して砥粒の噴出方向が所定角度傾斜した複数のブラストノズル2a〜2cを具備したものとしてもよい。この場合、各ブラストのずる2a〜2cに対応する電磁バルブ4a〜4cが形成され、これら電磁バルブ4a〜4cを介してコンプレッサ5が連結されるよう構成されており、電磁バルブ4b、4a及び4cを順次開状態としてマイクロブラスト加工することにより、上記実施形態と同様、断面が略U字形状のマイクロ流路Waが形成されることとなる。尚、本マイクロブラスト加工が施される対象物として、本実施形態においてはガラス基板を用いているが、他の無機材料(ブラスト加工に適した硬くて脆い例えばシリコンやセラミックス等)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
砥粒の噴出方向と無機材料の表面とを相対的に所定角度傾斜させてマイクロブラスト加工するマイクロブラスト加工方法及び加工装置であれば、砥粒の種類が異なるもの或いは装置構成が他の形態のもの等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係るマイクロブラスト加工装置を示す模式図
【図2】同マイクロブラスト加工装置で使用されるガラス基板(無機材料)であって、その表面に任意形状のマスクパターンが一筆描きにて形成されたものを示す模式図
【図3】同マイクロブラスト加工装置で使用されるガラス基板であって、その表面にマスク材が塗布されたものを示す模式図
【図4】同マイクロブラスト加工装置で形成されたマイクロ流路を示す断面模式図
【図5】同マイクロブラスト加工装置に適用されるものであって、ガラス基板Wの表面に対してノズルからマスク材を直接吐出して一筆描きで任意形状のマスクパターンを形成するマスクパターン形成手段を示す模式図
【図6】本発明の他の実施形態に係るマイクロブラスト加工装置を示す模式図
【図7】本発明の更に他の実施形態に係るマイクロブラスト加工装置を示す模式図
【符号の説明】
【0041】
1 載置台(載置手段)
2 ブラストノズル
3 砥粒タンク
4 電磁バルブ
5 コンプレッサ
6 載置台
7 ディスペンサ
7a ノズル
8 加工軸
W ガラス基板(無機材料)
Wa マイクロ流路
P マスクパターン
M マスク材
【出願人】 【識別番号】802000020
【氏名又は名称】財団法人浜松科学技術研究振興会
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫


【公開番号】 特開2008−30148(P2008−30148A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205777(P2006−205777)