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【発明の名称】 ブラスト媒体およびその利用
【発明者】 【氏名】栗本 有康

【氏名】矢間 敬二

【要約】 【課題】被処理面にスポンジブラスト処理を施すとともに該被処理面に防錆効果を付与することのできるスポンジブラスト用ブラスト媒体を提供する。

【構成】本発明により提供されるブラスト媒体10は、スポンジ状弾性体11を備え、被処理面に噴射されて該被処理面をブラストするスポンジブラストに用いられる。このスポンジ状弾性体11は、ポリマー材料(典型的にはポリウレタン樹脂)12および防錆剤14を含んで構成されている。スポンジブラスト処理においてブラスト媒体10が被処理面に衝突すると、防錆剤14が被処理面に転写され、これによりブラスト処理された被処理面に防錆効果を付与することができる。スポンジ状弾性体11と混在する研削材粒子(アルミナ粒子等)16をさらに備えるブラスト媒体10が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジ状の弾性体を備えるブラスト媒体を被処理面に噴射して該被処理面をブラストするスポンジブラストに用いられるブラスト媒体であって、
前記スポンジ状弾性体はポリマー材料および防錆剤を含んで構成されている、ブラスト媒体。
【請求項2】
前記スポンジ状弾性体と混在する研削材をさらに備える、請求項1に記載のブラスト媒体。
【請求項3】
前記ポリマー材料はポリウレタン樹脂である、請求項2に記載のブラスト媒体。
【請求項4】
ウレタンプレポリマーと前記防錆剤と前記研削材とを含む組成物を発泡および硬化させてなる、請求項3に記載のブラスト媒体。
【請求項5】
前記防錆剤はアミン系防錆剤である、請求項4に記載のブラスト媒体。
【請求項6】
前記防錆剤は脂肪族または脂環式のアミン塩または4級アンモニウム塩を有効成分として含む防錆剤である、請求項4に記載のブラスト媒体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のブラスト媒体を被処理面に噴射することにより該被処理面をスポンジブラスト処理するとともに該ブラスト処理された被処理面の錆止めを行う、錆止め方法。
【請求項8】
被処理面上に表面層を形成する表面加工方法であって、
請求項1から6のいずれかに記載のブラスト媒体を前記被処理面に噴射して該被処理面をスポンジブラスト処理するとともに該ブラスト処理された被処理面の錆止めを行うこと;および、
そのブラスト処理された被処理面上に前記表面層を形成すること;
を包含する、表面加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジ状の弾性体を備えるブラスト媒体を被処理面に噴射して該被処理面をブラストするスポンジブラスト用のブラスト媒体に関し、詳しくは、当該ブラスト後の被処理面に錆止め(防錆)効果を付与可能なブラスト媒体に関する。また本発明は、かかるブラスト媒体を用いた被処理面の錆止め方法および表面加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理面上に防錆塗装等の表面層を形成する表面加工を行う場合、該被処理面に錆、汚れ、あるいは以前の塗装等の異物が存在する状態では、その上に高品質の表面層を形成することは困難であり、例えば外観不良、密着性不足、耐久性不足等の不具合を招く虞がある。また、例えば防錆を目的として表面層を形成する場合、被処理面に錆のある状態で該表面層を形成すると、予期した防錆効果が大きく損なわれることにもなりかねない。そこで、上記表面層の形成に先立って、被処理面を清浄にする(異物を取り除く)前処理を施すことが好ましい。従来、かかる前処理にはサンドブラストが広く用いられている。このサンドブラストは、ケイ砂、金属粒子等の研削材をブラスト媒体として用い、該ブラスト媒体を被処理面に高速で噴射することにより上記異物を削り落として被処理面を清浄にするものである。しかし、かかるサンドブラストではブラストによる粉塵発生が激しく、また被処理面に噴射された研削材の跳ね返りが強い。このため作業者は重装備を強いられ、しかも飛散した粉塵により視界が悪化するため作業効率が低下する。さらに、作業場所周辺への粉塵飛散を防止するための大がかりな養生が必要となる。
【0003】
一方、スポンジ状の弾性体を備えるブラスト媒体を被処理面に高速で噴射することにより該被処理面から異物を除去する(以下、「スポンジブラスト」という。)技術が知られている。該スポンジブラストに使用されるブラスト媒体に関する従来技術文献として特許文献1が挙げられる。また、スポンジブラスト用の装置またはその方法に関する従来技術文献として特許文献2および3が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5256703号明細書
【特許文献2】特開2004−106100号公報
【特許文献3】特開2006−130621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記スポンジブラストでは、ブラスト媒体が全体として弾性を有することから被処理面に噴射された後の跳ね返りが少ない。このため軽装備での作業が可能であり、ブラスト媒体の飛散防止および回収も容易である。また、ブラストにより生じた粉塵をブラスト媒体(スポンジ状弾性体)に取り込むことができるので粉塵の飛散が抑制され、その取り込まれた粉塵をブラスト媒体とともに容易に回収することができる。さらに、回収されたブラスト媒体から粉塵を分離回収することも可能である。このような特長を有するスポンジブラストは、上記表面層形成の前処理その他の用途において好適に利用され得る。
【0006】
しかし、道路、橋梁、パイプライン、工場設備、船舶等の大型構造物の表面(被処理面)に広範囲にわたって上記表面加工を施す場合には、被処理面の特定の箇所にスポンジブラスト処理を施してから当該箇所に表面層を形成するまでの時間が長くなりがちである。このようにスポンジブラスト処理から表面層形成までの待ち時間が長いと、いったんスポンジブラストにより被処理面を清浄化しても、上記待ち時間の間に被処理面の清浄さ(すなわち表面層を形成するのに適した状態)が損なわれてしまうことがある。例えば、スポンジブラストされた金属面に上記待ち時間の間に錆(金属酸化物)が発生し、このことによって表面層の品質が低下したり表面層形成による効果(例えば防錆効果)が低下したりすることがある。また、被処理面が広範囲に亘る場合に限らず、スポンジブラスト後の被処理面を表面層形成に適した状態により長く維持することができれば有益である。
【0007】
そこで本発明は、被処理面にスポンジブラスト処理を施すとともに該被処理面に防錆効果を付与することのできるスポンジブラスト用ブラスト媒体を提供することを一つの目的とする。本発明の他の一つの目的は、かかるブラスト媒体を用いた錆止め方法および表面加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、スポンジブラストに使用するブラスト媒体に防錆成分を含ませることにより上記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成した。
【0009】
本発明によると、スポンジ状の弾性体を備えるブラスト媒体を被処理面に噴射して該被処理面をブラストするスポンジブラストに用いられるブラスト媒体であって、前記スポンジ状弾性体がポリマー材料と防錆剤とを含んで構成されているブラスト媒体が提供される。このように防錆剤(防錆成分)を含ませたブラスト媒体を被処理面に衝突させることにより、該防錆剤の少なくとも一部が被処理面に転写(移染)され得る。その転写された(被処理面に残留する)防錆剤によって、ブラスト処理された被処理面に防錆効果(錆の発生または酸化の進行を防止、抑制または遅延する効果)を付与することができる。
【0010】
ここに開示されるブラスト媒体の好ましい一つの態様では、該ブラスト媒体が前記スポンジ状弾性体と混在する研削材をさらに備える。このように研削材を備えるブラスト媒体を用いることにより、被処理面から異物(錆、以前の塗装等)を効率よく削り取ることができる。また、被処理面が研削されて新たに現れた表面は酸化されやすい(錆が生じやすい)状況にあるため、スポンジ状弾性体に防錆剤を含ませることによる効果がよりよく(より有意義に)発揮され得る。
【0011】
上記スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料の一つの好適例としてポリウレタン樹脂が挙げられる。このようなスポンジ状弾性体または該弾性体を含むブラスト媒体は、例えば、ウレタンプレポリマーと防錆剤とを含む組成物を用意し、該組成物発泡および硬化させることにより形成され得る。また、さらに研削材を含む組成のブラスト媒体は、例えば、ウレタンプレポリマーと防錆剤と研削材とを含む組成物を用意し、該組成物を発泡および硬化させることにより形成され得る。
【0012】
スポンジ状弾性体に含ませる防錆剤は、被処理面の少なくとも一部を構成する材料(典型的には、鉄または鉄を主体とする合金)に錆が生じる事象を防止、抑制または遅延し得るものであればよく、特に限定されない。例えば、一般に防錆剤として知られている材料あるいは防錆効果を有することが知られている材料から適当なものを適宜選択して用いることができる。ここに開示されるブラスト媒体に使用し得る防錆剤の好適例として、いわゆるアミン系防錆剤を有効成分として含む防錆剤が挙げられる。また、脂肪族または脂環式のアミン塩または4級アンモニウム塩を有効成分として含む防錆剤が挙げられる。
【0013】
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかのブラスト媒体を被処理面に噴射することにより、該被処理面をスポンジブラスト処理するとともに該ブラスト処理された被処理面の錆止めを行う錆止め方法が提供される。上記ブラスト媒体は防錆剤を含有することから、該ブラスト媒体を用いてスポンジブラスト処理を行うことにより、従来のスポンジブラスト処理により得られる機能(表面の異物を除去する機能)に加えて、上記防錆剤が被処理面に転写されることによる錆止め(防錆)機能を発揮することができる。ここに開示される錆止め方法は、このようにブラスト処理と錆止めとを同時に(並行して)行うので作業効率がよい。また、ブラスト処理された表面に直ちに錆止めが行われるので高い防錆効果が発揮され得る。
【0014】
本発明によると、さらに、被処理面上に表面層を形成する表面加工方法が提供される。その方法は、ここに開示されるいずれかのブラスト媒体を前記被処理面に噴射して該被処理面をスポンジブラスト処理するとともに該ブラスト処理された被処理面の錆止めを行うことを含む。また、そのスポンジブラスト処理された被処理面上に前記表面層を形成することを含む。かかる方法によると、スポンジブラスト処理と同時に錆止めが行われることによって該ブラスト処理から表面層形成までの間に被処理面に錆が発生する事象が防止、抑制または遅延されるので、より高品質の表面層を形成することができる。また、スポンジブラスト処理から表面層形成までの待ち時間に余裕ができるので、表面加工の段取りが立てやすく、大型構造物への適用も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、ウレタンプレポリマーを発泡および硬化させてウレタンフォームを得る際の具体的な操作方法、スポンジブラストに使用する装置の具体的な構造や作業手順等に関する一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
例えば、研削材の選択、該研削材の前処理(例えばカップリング剤処理)、ウレタンプレポリマーの選択、該研削材とウレタンプレポリマーとを含み水で発泡する組成物の調製(ただし、該組成物に防錆剤を含有させる点は異なる。)等に関しては、米国特許第5256703号公報に開示された技術を参照し、あるいは当該米国特許公報の開示事項に適宜設計変更を加えて実施することができる。上記米国特許公報の全ての内容はこの明細書中に参照により援用されている。
【0016】
ここに開示されるブラスト媒体(ブラストメディア)は、スポンジ状(典型的には、多数のオープンセルを有する多孔質形状)の弾性体を有する。該スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料は、弾性のある多孔質体を形成し得るものであればよく、特に限定されない。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ゴム(天然ゴム、合成ゴム)等から選択される一種または二種以上を採用することができる。上記スポンジ状弾性体は、このようなポリマー材料を主成分とする発泡樹脂(フォーム)であり得る。
【0017】
上記スポンジ状弾性体を構成するのに特に適したポリマー材料としてポリウレタン樹脂が例示される。スポンジ状弾性体がウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)であるブラスト媒体が好ましい。該ウレタンフォームの形成方法としては公知の方法を使用することができ、ワンショット法、プレポリマー法のいずれも使用可能である。通常はプレポリマー法によることが好ましい。該プレポリマー法に使用するウレタンプレポリマーの好適例として、末端がイソシアネートでキャップされたウレタンプレポリマーが挙げられる。このようなイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを水と共存させることにより、該プレポリマーが脱炭酸(炭酸ガスの発生)を起こしつつ重縮合(硬化)してウレタンフォームが形成され得る。ここに開示されるスポンジ状弾性体は、かかるウレタンプレポリマーと水とを含む組成物(典型的には、さらに防錆剤を含む組成物)を発泡および硬化させて得られたものであり得る。
【0018】
上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーとしては、例えば、末端がイソシアネートでキャップされたポリエーテルポリオールを好ましく使用することができる。該ポリエーテルポリオールとしては実質的に線状のものが好ましく、該ポリオールの平均官能基数(average functionality)は凡そ2または2未満であることが好ましい。より好ましい平均官能基数は凡そ1.3〜1.9であり、さらに好ましくは凡そ1.5〜1.8である。
【0019】
このようなポリエーテルポリオールは、例えば、分子内に二以上の活性水素を有する化合物(例えば低分子量の多価アルコール、典型的には二価アルコール)と、一種または二種以上の1,2−エポキシド(親水性のポリエーテルポリオールを与えるものが好ましい。)とを用いて誘導されたものであり得る。また、アルキレングリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールから選択される一種または二種以上)と、1,2−エポキシド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の1,2−アルキレンオキサイドから選択される一種または二種以上)とを用いて誘導されたものであり得る。
【0020】
上記ポリエーテルポリオールの質量平均分子量は、例えば凡そ200〜20000の範囲であり得る。該平均分子量が凡そ800〜10000の範囲にあるポリエーテルポリオールの使用が好ましい。
【0021】
上述したイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、このようなポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物(典型的には多官能イソシアネート)とを用いて誘導されたイソシアネート末端ポリエーテルポリオールであり得る。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネートから選択される一種または二種以上の使用が好ましい。このようなイソシアネート化合物と上記ポリエーテルポリオールとを常法により反応させて得られたイソシアネート末端ポリエーテルポリオールを、上記ウレタンプレポリマーとして好ましく使用することができる。かかるウレタンプレポリマーを水と反応させて発泡および硬化させることにより、ここに開示されるブラスト媒体または該ブラスト媒体を構成するスポンジ状弾性体を好適に得ることができる。
【0022】
好ましく使用されるウレタンプレポリマーの市販品として、商品名「TREPOL(登録商標)」(Rynel社製品)として知られているイソシアネート末端ポリエーテルポリオールプレポリマー(典型的には、ポリエチレングリコールとTDIとを用いて誘導される。)が例示される。同社の商品名「A−62」も同様の製品である。市販のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの他の例として、商品名「HYPOL(登録商標)」(W.R.Grace社製品)として知られているイソシアネート末端ポリエーテルポリオールプレポリマー(典型的には、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールおよびTDIを用いて誘導される。)が挙げられる。その他、水と反応してウレタンフォームを形成する各種のウレタンプレポリマーの市販品を適宜選択して用いることができる。
【0023】
ここに開示されるブラスト媒体を構成するスポンジ状弾性体は防錆剤を含有する。該防錆剤としては、被処理面に錆が生じる事象(典型的には、被処理面を構成する材料の酸化)を防止、抑制または遅延し得るものを使用すればよい。特に限定するものではないが、ここに開示される防錆剤またはその有効成分としては、環境中の酸素が被処理面構成材料と反応することを妨げる性質を有する各種薬剤(還元剤、酸化防止剤等)を利用し得る。
かかる防錆剤は、一般に防錆機能を発揮し得ることが知られている各種薬剤(一種類の化合物であってもよく、二種以上の化合物の組み合わせであってもよい。)または該薬剤を有効成分とするものであり得る。例えば、アミン(典型的にはモノアミン)の亜硝酸塩またはカルボン酸塩等の、アミン系防錆剤を使用することができる。該アミン系防錆剤におけるアミンとしては、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが例示される。上記アミンのカルボン酸塩におけるカルボン酸としては、安息香酸、サリチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、カルバミン酸、カプリル酸、酢酸等が例示される。ここに開示されるブラスト媒体における防錆剤としては、カチオン界面活性剤として市販されている脂肪族または脂環式アミン(1級、2級または3級)と有機酸または無機酸との塩、脂肪族または脂環式の4級アンモニウム塩(陰イオンの典型例は塩化物イオン)等を利用し得る。上記アミンまたはアンモニウム塩は、窒素原子に結合した一以上(典型的には一または二)のポリオキシアルキレン鎖(例えばポリオキシエチレン鎖)を有してもよい。例えば、上記防錆剤として、第一工業製薬株式会社製品、商品名「ラミプルーフ(登録商標)C−2」を使用することができる。
【0024】
このような防錆剤は、典型的には該スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料に添加された(添加剤として含まれている)態様で前記スポンジ状弾性体に含まれている。例えば、ポリマー材料またはその前駆体(モノマー、プレポリマー等)と防錆剤とを含む組成物(すなわち、防錆剤が添加された組成物)を用いてスポンジ状弾性体を形成することにより、ポリマー材料に防錆剤が添加されたスポンジ状弾性体を得ることができる。また、防錆剤を封入したマイクロカプセルがポリマー材料に添加された態様であってもよい。このような防錆剤入りマイクロカプセルを有するブラスト媒体を被処理面に衝突させることによりマイクロカプセルの一部を破損させ、内部の防錆剤を被処理面に転写することができる。あるいは、スポンジ状弾性体の表面(セル内の表面を含み得る)に防錆剤が保持された態様であってもよい。このような態様で防錆剤を含むスポンジ状弾性体は、例えば、まずスポンジ状弾性体を形成した後に、液状の防錆剤または防錆剤を含む液状組成物(水溶液等)に該スポンジ状弾性体を浸し、次いで乾燥させることにより得られる。ブラスト媒体を繰り返し使用する場合等における防錆効果(すなわち、被処理面に防錆機能を付与する効果)の耐久性がよく、かつブラスト媒体の製造工程を簡略化し得ることから、スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料に添加された態様で防錆剤を含むブラスト媒体がより好ましい。なお、スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料に防錆剤が添加され、さらに該弾性体の表面に防錆剤が付与された態様のブラスト媒体であってもよい。
【0025】
上記防錆剤の含有量は、被処理面に所望の防錆効果を付与するのに適した分量であればよく、特に限定されない。例えば、スポンジ状弾性体100質量部当たり概ね0.1〜10質量部程度の防錆剤を含有させることができる。通常は、該防錆剤の含有割合をスポンジ状弾性体100質量部当たり概ね0.2〜5質量部程度とすることが適当である。また、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと防錆剤とを含む組成物を発泡および硬化させてブラスト媒体を形成する場合には、該組成物における防錆剤(不揮発分換算)の含有割合を、上記ウレタンプレポリマー100質量部当たり例えば概ね0.1〜5質量部程度とすることができ、通常は概ね0.2〜3質量部程度とすることが適当である。
【0026】
ここに開示されるブラスト媒体は、上記スポンジ状弾性体と混在する研削材(研磨材、研掃材等としても把握され得る。)をさらに有するものであり得る。典型的には、粒状の研削材すなわち研削材粒子(砥粒としても把握され得る。)が使用される。かかる研削材粒子としては、従来のスポンジブラスト用研削材と同様のものを特に限定なく使用することができる。例えば、鉄、ニッケル、アルミニウム、亜鉛の金属またはこれらのいずれかを主成分とする合金(例えばスチール、ステンレス)等の金属材料の粒子(該金属材料のグリット、ショット、カットワイヤ等であり得る。);スタウロライト(十字石)、アルミナ(溶融アルミナ、褐色アルミナ(コランダム)、白色アルミナ、淡紅色アルミナ等であり得る。)、ガーネット、石英、ガラス、砂(珪砂等)、炭化ケイ素等の非金属無機材料の粒子;ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹脂材料(スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料よりも硬質の樹脂材料が好ましい。)の粒子;銅スラグ、フェロクロムスラグ等のスラグ(鉱滓);クルミの殻、桃の種子等の破砕物等の、天然物に由来する有機質粒子;等から選択される一種または二種以上を研削材粒子として採用することができる。ブラスト媒体の使用目的や使用態様等に応じて(例えば、仕上がり表面粗さ、ブラスト速度等)適切な材質を適宜選択することができる。
【0027】
研削材粒子の形(粒形)は、角張った形状であってもよく、丸みを帯びた形状(略球状、略円柱状等)であってもよい。研削効率を高めるという観点からは、角ばった形状の研削材粒子の使用が有利である。また、研削材粒子のサイズ(粒度)に関しては、例えば凡そ#16〜#500程度のサイズの研削材粒子を使用することができ、凡そ30メッシュ〜80メッシュ程度のサイズの研削材粒子を用いてもよい。ブラスト媒体の用途に応じて適切な粒形およびサイズの研削材を適宜選択して用いることができる。
【0028】
ブラスト媒体を構成する上記研削材(典型的には研削材粒子)は、スポンジ状弾性体と単純に混合された状態であってもよいが、繰り返し使用に対する耐久性等の観点から、上記スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料と研削材との間に結合が形成された状態にあることが好ましい。上記結合は、例えば、ポリマー材料と研削材とが化学結合、水素結合、錯体形成、吸収または吸着による結合等の一種または二種以上の寄与による結合であり得る。かかる結合が形成されたブラスト媒体は、例えば、ポリマー材料またはその前駆体(プレポリマー等)と研削材とを含むブラスト媒体形成用組成物を用いることにより(例えば、該組成物を発泡および硬化させることにより)好適に得ることができる。さらに防錆剤を含む組成物を使用することが好ましい。
【0029】
研削材とポリマー材料との間の結合(典型的には化学結合)形成を容易にするために、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタニウム系カップリング剤等の一般的なカップリング剤を使用してもよい。例えば、あらかじめカップリング剤(例えばシランカップリング剤)で表面処理した研削材を用いて上記ブラスト媒体形成用組成物を調製することができる。ポリマー材料の前駆体としてのイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを含むブラスト媒体形成用組成物からブラスト媒体を形成する場合には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(Witco社等から商品名「A1100」として販売されている。)、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のような、アミノ基を有するシランカップリング剤を好ましく採用することができる。例えば、かかるシランカップリング剤で表面処理された研削材を上記プレポリマーおよび防錆剤と混合して上記組成物を調製するとよい。
【0030】
スポンジ状弾性体と研削材とを備える組成のブラスト媒体において、該ブラスト媒体全体の質量に占める研削材の質量割合は特に限定されない。例えば、該研削材の質量をブラスト媒体全体の質量の凡そ10〜75質量%の範囲とすることができ、通常は凡そ20〜60質量%程度とすることが適当である。また、スポンジ状弾性体を構成するポリマー材料と研削材との質量比(ポリマー材料:研削材)は、例えば凡そ1:1〜1:5とすることができる。通常は、該質量比を凡そ1:2〜1:3程度とすることが適当である。上記ウレタンプレポリマー(典型的には、イソシアネート末端ポリエーテルポリオールプレポリマー)を用いて得られるブラスト媒体では、該プレポリマーと研削材との質量比(ウレタンプレポリマー:研削材)を上記範囲とすることが好ましい。
【0031】
ここに開示されるブラスト媒体は、上述のような研削材(典型的には研削材粒子)に代えて、あるいは該研削材に加えて、任意成分として例えば炭化カルシウム、ウォラストナイト(メタケイ酸カルシウム)、メタケイ酸バリウム、セッコウ(硫酸カルシウムまたはその水和物)、ケイソウ土等の無機材料(典型的には微細な粉末状または繊維状)を含有することができる。例えば、該無機材料および防錆剤がポリマー材料に添加された態様で含まれたスポンジ状弾性体を有するブラスト媒体であり得る。すなわち、防錆剤および無機材料を含むスポンジ状弾性体と、研削材粒子と、を含むブラスト媒体であり得る。このような無機粉末(充填材としても把握され得る。)をスポンジ状弾性体に含有させることにより該スポンジ状弾性体を強化し、ブラスト媒体の繰り返し使用に対する耐久性を向上させることができる。ポリマー材料と上記無機材料との質量比(ポリマー材料:無機材料)は、例えば凡そ1:0.5〜1:5(好ましくは凡そ1:0.75〜1:3)程度とすることができる。研削材(典型的には研削材粒子)を含む組成のブラスト媒体では、通常、ポリマー材料:無機材料の質量比を凡そ1:0.75〜1:1.5程度とすることにより良好な結果が得られる。上記ウレタンプレポリマー(典型的には、イソシアネート末端ポリエーテルポリオールプレポリマー)を用いて得られるブラスト媒体では、該プレポリマーと無機材料との質量比(ウレタンプレポリマー:無機材料)を上記範囲とすることが好ましい。
【0032】
ここに開示されるブラスト媒体は、例えば、水と反応して発泡するウレタンプレポリマー(上述したイソシアネート末端ウレタンプレポリマーはその典型例である。)と防錆剤と水とを含む組成物(ブラスト媒体形成用組成物)を発泡および硬化させてなるものであり得る。研削材を含む組成のブラスト媒体では、さらに該研削材を含む組成のブラスト媒体形成用組成物を用いることが好ましい。該組成物に含まれる各成分(ウレタンプレポリマー、防錆剤、研削材)の質量比は、これらの成分を上述した好ましい質量比で含むブラスト媒体が形成されるように設定することができる。
【0033】
このようなブラスト媒体形成用組成物は、典型的には、上記ウレタンプレポリマーを発泡および硬化させるための水を含有する。該水の含有量は、使用するウレタンプレポリマーの構造から算出される化学量論量よりも多めにすることが好ましい。例えば、該化学量論量の凡そ6.5〜400倍のモル数の水を含む組成とすることができる。通常は、該化学量論量の凡そ20〜200倍のモル数の水を含む組成とすることが好ましい。
【0034】
上記ブラスト媒体形成用組成物は、任意成分として、セルサイズを調節するための界面活性剤(典型的にはノニオン界面活性剤、以下「セルサイズ調整剤」ということもある。)を含有することができる。このセルサイズ調整剤の含有量は、ウレタンプレポリマーの質量に対して凡そ5.0質量%以下とすることができ、例えば凡そ0.5〜5.0質量%(好ましくは凡そ1.0〜2.0質量%)とすることができる。
【0035】
また、上記ブラスト媒体形成用組成物は、他の任意成分としてバインダ樹脂を含有することができる。該バインダ樹脂は、アクリル系共重合体(例えば、アルキル基の炭素原子数1〜18であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される一種または二種以上を含むモノマーを重合させて得られる重合体)、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等から選択される一種または二種以上であり得る。これらのうち、例えばアクリル系共重合体を好ましく使用することができる。かかるバインダ樹脂の使用量は、ブラスト媒体形成用組成物全体の質量を100質量%として25質量%以下とすることが適当である。
【0036】
このような組成のブラスト媒体形成用組成物は、水と反応して発泡および硬化するウレタンプレポリマー(典型的にはイソシアネート末端ウレタンプレポリマー)を含有することから、該組成物の調製過程ではウレタンプレポリマーと水とを最終段階で混合することが好ましい。例えば、防錆剤と水とを含む水性組成物(リアクタント)とウレタンプレポリマーとを別々に用意し、これらを最後に混合するとよい。研削材を含むブラスト媒体の製造においては、該研削材を水性組成物側に含有させておくことができる。該水性組成物は、ウレタンプレポリマーの構造から算出される化学量論量に対して上述した好ましい分量(モル数)の水を含む組成とすることが好ましい。
【0037】
上記水性組成物は、防錆剤とセルサイズ調整剤(典型的にはノニオン界面活性剤)と研削材とを水に溶解または分散させた組成物であり得る。上記セルサイズ調整剤としては、BASF社製の商品名「プルロニック」シリーズ(例えば、グレード名「F88」)、ダウケミカル社製の商品名「TRITON−X」シリーズ(例えば、グレード名「X−100」)等のノニオン界面活性剤を好ましく使用することができる。上記水性組成物全体の質量に占めるセルサイズ調整剤の質量割合は、該水性組成物全体の質量を100質量%として、不揮発分換算で凡そ0.1〜0.5質量%とすることができる。この水性組成物は、また、研削材の分散性を高めるための懸濁剤(増粘剤、分散安定化剤等としても把握され得る。)を含有することができる。該懸濁剤としては、例えば、Vanderbilt社製のスメクタイトクレイ、商品名「VEEGUM」を使用することができる。また、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性ポリマーを懸濁剤として用いてもよい。水性組成物全体の質量に占める懸濁剤の質量割合は、例えば凡そ0.1〜0.5質量%とすることができる。
【0038】
ブラスト媒体形成用組成物の発泡および硬化は、従来の一般的なウレタンフォームの形成過程と同様にして行うことができる。硬化時間を短縮するため、該組成物を加熱条件下(例えば40〜70℃程度)で硬化させてもよい。このようにして形成された発泡硬化物を適当なサイズに粉砕することにより、粒状のブラスト媒体を得ることができる。後述する実験例のように、ある程度(例えばタックがなくなるまで)硬化反応を進行させた段階で粉砕し、その後さらに硬化反応を進行させてもよい。ブラスト媒体のサイズ(粒度)は特に限定されないが、例えば1〜10mm程度とすることができ、通常は2〜5mm程度とすることが適当である。研削剤粒子を含む組成では、各粒に平均して1個以上(好ましくは2個以上、例えば2〜5個程度)の研削剤粒子が含まれるように粉砕するとよい。
【0039】
ここに開示されるブラスト媒体は、防錆剤を含まない従来のブラスト媒体を用いた一般的なスポンジブラスト工法(スポンジブラスト処理)と同様に、例えば該スポンジブラスト工法に用いられるスポンジブラスト装置と同様に構成された装置を用いて、同様の態様で使用され得る。典型的には、従来のブラスト媒体と同様に、該ブラスト媒体を被処理面に噴射して(例えば、乾式のエアーブラスト法により)用いられる。ここに開示されるブラスト媒体は、また、防錆剤を含まない従来のブラスト媒体と同様に(例えば、公知のスポンジリサイクル分離機を利用して)繰返し使用することが可能である。
【0040】
ここに開示されるブラスト媒体の典型的な構造を図1に模式的に示す。このブラスト媒体10は、スポンジ状弾性体11と研削材粒子16とが混在する粒状に形成されている。スポンジ状弾性体11は、ポリマー材料12と、該ポリマー材料に添加された防錆剤14とを含む。なお、この図では表示を省略しているが、スポンジ状弾性体11は多数のオープンセルを有する多孔質状の弾性体である。また、この図では説明を容易にするためポリマー材料12中に防錆剤14が目で見えるように分散した状態を表しているが、防錆剤14がポリマー材料12に均一に混合(溶解)して外観上は防錆剤14が視認されない状態のスポンジ状弾性体11であってもよい。
【0041】
ここに開示されるブラスト媒体を用いたスポンジブラストによると、被処理面をスポンジブラスト処理するとともに該被処理面の錆止めを行うことができる。かかる錆止め方法の典型的な過程を図2(A)〜(C)に模式的に示す。
図2(A)に示すように、表面(被処理面)に異物(錆等)22を有する被処理物20に対し、圧縮空気を用いてブラスト媒体10を高速で噴射する。その噴射されたブラスト媒体10が被処理物20の表面に衝突すると、図2(B)に示すように偏平になり、研削材16が異物22に高速で衝突する。このことによって被処理物20の表面が研削され、図2(C)に示すように被処理物20の表面から異物22を除去することができる。図2(B)に示すようにブラスト媒体10が偏平に変形することにより、上記研削により生じた粉塵(研削除去された異物22、被処理物20の表面付近を構成する材料等)の飛散を抑え込むことができる。図2(C)に示すように、上記粉塵がスポンジ状弾性体11に取り込まれてブラスト媒体10とともに落下することにより、粉塵の飛散を効果的に抑制することができる。さらに、図2(B)に示すようにブラスト媒体10が偏平に変形(弾性変形)することにより衝突エネルギーが吸収されるため、図2(C)に示すようにブラスト媒体10の跳ね返りが少なくなる。
【0042】
また、図2(B)に示すようにブラスト媒体10が被処理物20の表面に衝突すると、防錆剤14を含むスポンジ状弾性体11が偏平に変形して被処理物20に押しつけられ、これにより防錆剤14の一部がブラストされた被処理面(清浄面)24に転写される(図2(C))。この転写された防錆剤14によって清浄面24に防錆効果を付与することができる(すなわち、清浄面24の錆止めが行われる)。このようにして、被処理面のブラスト処理および錆止めを行うことができる。
【0043】
上記錆止め方法は、ここに開示される表面加工方法における前処理工程として好ましく採用され得る。該錆止め方法によると、ブラスト処理された表面(清浄面24)に錆が生じる事象を、例えば該ブラスト処理から3〜4時間程度の期間に亘って効果的に抑制することができる。その間に次工程(防錆塗装等の表面層を形成する工程)を行うことによって、より高品質の表面層を形成することができる。このような表面加工方法によると、防錆剤を含まない従来のブラスト媒体を用いたスポンジブラストにより被処理面の前処理を行う場合と比較して、ブラスト処理から表面層形成までの時間が同程度(例えば3〜4時間以内)であれば、より好ましい状態(表面層の形成に適した状態、例えば錆の少ない状態)にある被処理面に表面層を形成することができる。また、ブラスト処理された被処理面をより長い時間に亘って表面層の形成に適した状態に維持することができるので、ブラスト処理から表面層形成までの時間の設定自由度が高くなる。したがって表面加工の段取りが立てやすく、大型構造物の表面加工にも適用しやすい。
【0044】
ここに開示されるブラスト媒体は、金属製の被処理体の表面または金属製部材が露出した表面(被処理面)のスポンジブラストに好ましく使用することができる。該被処理体または部材を構成する金属は、例えば、鉄、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかを主成分とする合金であり得る。好ましい適用対象の一例として、鉄または鉄を主成分とする合金(スチール等)製の被処理体の表面が挙げられる。このように表面に金属材料を有する被処理体のスポンジブラストに使用することにより、ブラスト媒体に含まれる防錆剤を効果的に機能させる(防錆機能を有効に発揮させる)ことができる。もっとも、スポンジブラストの対象は上記材質の被処理体に限定されない。ここに開示されるブラスト媒体は、防錆剤を含まない従来のスポンジブラスト用ブラスト媒体と同様に、各種材質により構成された被処理面のブラスト処理等に好適に利用することができる。
【0045】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において、特記しない場合には、「%」および「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。
【0046】
<実験例1>
粒度#80のスタウロライト粒子(デュポン社製品、商品名「スターブラスト」)を、該粒子100部あたり0.5部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤)で処理した。このシラン処理済のスタウロライト粒子61.0部を、無機材料としてのウォラストナイト(NICO社製品、グレード10012)22.88部、防錆剤(第一工業製薬株式会社製品、カチオン界面活性剤、商品名「ラミプルーフC−2」(ポリオキシアルキレン脂環式アミン))0.25部、セルサイズ調整剤としてのノニオン界面活性剤(BASF社製品、商品名「プルロニックF88」)の10%水溶液0.91部、懸濁剤(Vanderbilt社製品、商品名「VEEGUM」)0.3部および水14.6部と混合して水性混合物(リアクター)を調製した。
この水性混合物とウレタンプレポリマー(Rynel社製品、商品名「TREPOL(登録商標)」)とを4:1の質量比で混合し、該混合物(ブラスト媒体形成用組成物)を発泡させつつ硬化させた。
【0047】
上記ブラスト媒体形成用組成物の発泡および硬化は、該組成物をタック(触ったときのべたつき)がなくなるまで(ここでは凡そ20分間)硬化させた後、適当なサイズ(ここでは差渡し凡そ2〜3mmの粒状)に粉砕し、さらに6〜8時間硬化させて硬化反応を完了させることにより行った。このようにして実験例1に係るブラスト媒体を得た。
【0048】
<実験例2>
ウォラストナイトを使用しない点以外は実験例1と同様にして水性混合物を用意した。
すなわち、シラン処理済スタウロライト粒子61.0部を、防錆剤(ラミプルーフC−2)0.25部、ノニオン界面活性剤(プルロニックF88)の10%水溶液0.91部、懸濁剤(VEEGUM)0.3部および水14.6部と混合して水性混合物を調製した。この水性混合物と、実験例1で用いたものと同じウレタンプレポリマー(TREPOL(登録商標))とを、3.27:1の質量比で混合した。この組成物(ブラスト媒体形成用組成物)を実験例1と同様にして発泡および硬化させ、同程度のサイズに粉砕することによりブラスト媒体を得た。
【0049】
<実験例3>
本実験例は、セルサイズ調整剤としてのノニオン界面活性剤を含まない組成のブラスト媒体形成用組成物を用いてブラスト媒体を作製した例である。
すなわち、粒度#50のガーネット粒子(NICO社製品)を、該粒子100部あたり0.5部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤)で処理した。このシラン処理済のガーネット粒子52.25部を、ウォラストナイト(NICO社製品、グレード10012)19.08部、防錆剤(ラミプルーフC−2)0.5部、懸濁剤(VEEGUM)の5%水溶液19.32部および水8.79部と混合して水性混合物を調製した。この水性混合物と、実験例1で用いたものと同じウレタンプレポリマー(TREPOL(登録商標))とを、4.73:1の質量比で混合した。この組成物(ブラスト媒体形成用組成物)を実験例1と同様にして発泡および硬化させ、同程度のサイズに粉砕することによりブラスト媒体を得た。
【0050】
<実験例4>
本実験例は、研削材粒子を含まないブラスト媒体を作製した例である。
すなわち、ウォラストナイト(NICO社製品、グレード10012)66.56部、防錆剤(ラミプルーフC−2)0.5部、ノニオン界面活性剤(プルロニックF88)の10%水溶液2.44部、ナフタレンスルホン酸0.5部および水30.0部を混合して水性組成物を調製した。この水性組成物と、実験例1で用いたものと同じウレタンプレポリマー(TREPOL(登録商標))とを、3.75:1の質量比で混合した。この組成物(ブラスト媒体形成用組成物)を実験例1と同様にして発泡および硬化させ、同程度のサイズに粉砕することによりブラスト媒体を得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
ここに開示されるブラスト媒体は各種構造物(被処理体)の表面のスポンジブラスト処理に好ましく使用され得る。特に、道路、鉄道(高架道路または高架鉄道の橋脚等)、橋梁、石油備蓄タンク等の大型タンク、パイプライン、工場設備、船舶、航空機等の大型構造物の表面のスポンジブラスト処理に好適である。また、ここに開示される錆止め方法および表面加工方法は、上記のような構造物(好ましくは大型構造物)の表面の錆止め、該構造物の表面加工等に好適に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るブラスト媒体の構造の一典型例を表す模式図である。
【図2】(A),(B)および(C)は、被処理面のスポンジブラスト処理および錆止めが行われる過程の典型例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10:ブラスト媒体
11:スポンジ状弾性体
12:ポリマー材料
14:防錆剤
16:研削材粒子
22:異物
24:被処理面(清浄面)
【出願人】 【識別番号】504064777
【氏名又は名称】株式会社金属化学研究所
【識別番号】599122215
【氏名又は名称】株式会社テクノス
【出願日】 平成18年7月22日(2006.7.22)
【代理人】 【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠

【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子

【識別番号】100115510
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 勝


【公開番号】 特開2008−23672(P2008−23672A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200138(P2006−200138)