トップ :: B 処理操作 運輸 :: B24 研削;研磨

【発明の名称】 砥粒供給用カプセル
【発明者】 【氏名】花島 聡

【要約】 【課題】粉塵飛散による環境悪化が防止され、かつ円滑に砥粒を供給することができる砥粒供給用カプセルを提供する。

【構成】円筒状のカプセル本体101の開口部に、該開口部を塞ぐ蓋体110を着脱自在に装着してなる砥粒供給用カプセル100であり、蓋体110を下に配置して、貯水槽の上方に保持される。蓋体110には、円筒状の内壁に沿って水をカプセル100内に供給して竜巻状の水流を発生させる水供給栓114と、竜巻状の水流の中心に相当する位置に形成されて内部の砥粒を供給された水とともに下方に排出する混合水排出部113とが設けられている。竜巻状の水流発生により砥粒で塞がれていた混合水排出部113が開口し、砥粒を含む混合水が混合水排出部113から円滑に、かつ粉塵が飛散することなく排出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に砥粒と水とが混合した加工水を噴射ノズルから噴射して加工を施す加工水噴射手段と、該噴射ノズルの直下に配設され被加工物を貫通した加工水を受け止めて勢いを減衰させる緩衝槽と、から少なくとも構成されたウォータジェット加工装置において使用される砥粒供給用カプセルであって、
砥粒の収容口とされる開口部を一端側に有し、他端側が閉塞した円筒状のカプセル本体と、該開口部を閉塞する蓋体と、該蓋体に形成された水供給部および混合水排出部と、を少なくとも含み、
該水供給部は、該蓋体の外周部に形成されてカプセル本体の円筒状の内壁に沿って水を供給して竜巻状態を生成し、
該混合水排出部は、該竜巻状態の回転中心部と一致するように該蓋体の中心部に形成されている砥粒供給用カプセル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒が混合された加工水を高圧で噴射して被加工物を切断加工するウォータジェット加工装置に砥粒を補給する際などに用いて好適な砥粒供給用カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等のデバイスは、ウエーハの表面に区画された多数の格子状の矩形領域にICやLSI等の電子回路を形成し、それら矩形領域の境界の分割予定ラインを切断することにより個片化されている。ウエーハを切断するには、切削ブレードで切断するダイシング装置や、レーザ光線を照射するレーザ装置が用いられている。個片化されたデバイスは、小型化が図られるCSP(Chip Size Package)と呼ばれるパッケージング技術でパッケージされる場合がある。
【0003】
CSPは、デバイスサイズの多数のリードフレームが区画された銅板等からなる基板の各リードフレーム上にデバイスを積層して実装し、これらデバイスを樹脂で封止してCSP基板を製造し、次いでこのCSP基板をリードフレームごとに切断して得ている。CSP基板の切断は、上記ダイシング装置が一般的に用いられていたが、切断で生じたバリがリード端子の短絡を招き品質を低下させる場合があったので、近年では、ウォータジェット加工装置が用いられてきている(特許文献1等)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−230994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載のウォータジェット加工装置は、噴射ノズルの直下に被加工物をセットし、噴射ノズルから、水に所定混合率で砥粒が混合された加工水を被加工物に向けて高圧で噴射しながら、被加工物に対して噴射ノズルを水平方向に相対移動させて、被加工物を所定の分割予定ラインに沿って切断するように構成されている。被加工物の下方には、高圧加工水すなわちウォータジェットを受け止めて水勢を減衰させる緩衝槽(水槽)が配置されている。ところで、砥粒を含む加工水は循環して再使用することが経済的にも望ましいが、被加工物を切断して貫通した砥粒は破砕されて使用される粒径(例えば50μm程度)よりも小さくなるものもあるため、使用可能な砥粒の混合率が低くなり不足となる。
【0006】
そこで、循環される加工水に対して砥粒の補給が必要となり、補給場所としては上記緩衝槽が適切であると考えられた。しかしながら、砥粒をそのまま緩衝槽に投入すると微細な粉塵が舞い上がって環境悪化を招くといった問題が起こり、特に、清浄な環境での製造が求められる半導体チップの製造環境では是非ともその問題は回避されるべきである。
【0007】
よって本発明は、粉塵飛散による環境悪化が防止され、かつ円滑に砥粒を供給することができる砥粒供給用カプセルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物に砥粒と水とが混合した加工水を噴射ノズルから噴射して加工を施す加工水噴射手段と、該噴射ノズルの直下に配設され被加工物を貫通した加工水を受け止めて勢いを減衰させる緩衝槽と、から少なくとも構成されたウォータジェット加工装置において使用される砥粒供給用カプセルであって、砥粒の収容口とされる開口部を一端側に有し、他端側が閉塞した円筒状のカプセル本体と、該開口部を閉塞する蓋体と、該蓋体に形成された水供給部および混合水排出部と、を少なくとも含み、該水供給部は、該蓋体の外周部に形成されてカプセル本体の円筒状の内壁に沿って水を供給して竜巻状態を生成し、該混合水排出部は、該竜巻状態の回転中心部と一致するように該蓋体の中心部に形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の砥粒供給用カプセルによれば、蓋体に形成された混合水排出部を下方に向けた状態に保持し、水供給部からカプセル内に水を供給して使用する。水を供給しない場合には、砥粒が混合水排出部に詰まってしまい砥粒が円滑に排出されにくい。ところが、水供給部から水を供給するとカプセル内で竜巻状の水流が発生して砥粒も竜巻状に舞い上がり、竜巻状態の中心に相当する混合水排出部から砥粒が離れ、混合水排出部は開口する。砥粒は竜巻状の水流からやがては離れ落下し、混合水排出部から水との混合水となって円滑に排出される。カプセル内に収容した砥粒を水と混合させてから排出するので、排出時の粉塵飛散が抑えられ、環境悪化が防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウォータジェット加工装置に砥粒を供給するにあたり、砥粒の粉塵飛散による環境悪化が防止され、かつ円滑に供給することができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
[1]ウォータジェット加工装置の構成
図1は一実施形態のウォータジェット加工装置を示している。同図には、互いに直交する水平なX方向・Y方向と、鉛直方向であるZ方向を矢印で示している。このウォータジェット加工装置1は、X・Y・Z方向に移動自在とされた保持テーブル(保持手段)10に被加工物を保持し、保持した被加工物に向けて噴射ノズル2からウォータジェット(水に砥粒が混合された高圧の加工水)を噴射して切断加工するものである。
【0012】
保持テーブル10は、X方向に延びる直方体状の固定ベース20に対して、X軸移動ベース30、Z軸移動ベース40およびY軸移動ベース50からなるX・Y・Z移動機構3を介して取り付けられている。固定ベース20の一側面には長手方向(X方向)に延びる一対のガイドレール21が形成されており、これらガイドレール21に、X軸移動ベース30がX方向に摺動自在に取り付けられている。
【0013】
X軸移動ベース30は、X軸移動機構31によりガイドレール21に沿ってX方向に移動させられる。X軸移動機構31は、ガイドレール21間に配され、固定ベース20に回転自在に支持されたX方向に延びるねじロッド32と、このねじロッド32を正逆回転させるパルスモータ33とで構成されている。ねじロッド32はX軸移動ベース30に螺合して貫通しており、また、回転自在ではあるが軸方向には移動不能とされている。X軸移動ベース30は、X軸移動機構31のパルスモータ33が作動してねじロッド32が一方向に回転すると、その回転方向に応じたX方向に、ガイドレール21に沿って移動するようになっている。
【0014】
Z軸移動ベース40はX軸移動ベース30に、また、Y軸移動ベース50はZ軸移動ベース40に、それぞれ取り付けられているが、取り付け構造は、X軸移動ベース30が固定ベース20に取り付けられている構造と同様であり、そして移動機構も同様の構造である。
【0015】
Z軸移動ベース40は、X軸移動ベース30に形成されたZ方向に延びる一対のガイドレール34に摺動自在に取り付けられ、Z軸移動機構41によりガイドレール34に沿ってZ方向に昇降させられる。Z軸移動機構41は、X軸移動ベース30に回転自在に支持され、Z軸移動ベース40に螺合して貫通するZ方向に延びるねじロッド42と、このねじロッド42を正逆回転させるパルスモータ43とで構成され、パルスモータ43によってねじロッド42が回転すると、その回転方向に応じたZ方向にZ軸移動ベース40が移動(昇降)するようになっている。
【0016】
Y軸移動ベース50は、Z軸移動ベース40に形成されたY方向に延びる一対のガイドレール44に摺動自在に取り付けられ、Y軸移動機構51によりガイドレール44に沿ってY方向に移動させられる。Y軸移動機構51は、Z軸移動ベース40に回転自在に支持され、Y軸移動ベース50に螺合して貫通するY方向に延びるねじロッド52と、このねじロッド52を正逆回転させるパルスモータ53とで構成され、パルスモータ53によってねじロッド52が回転すると、その回転方向に応じたY方向にY軸移動ベース50が移動(昇降)するようになされている。
【0017】
Y軸移動ベース50の、Z軸移動ベース40への取り付け側とは反対側の面に、X方向に延びる平板状の上記保持テーブル10が取り付けられている。保持テーブル10の先端側には、X方向に長い長方形状の装着口11が開口しており、この装着口11の周囲の四隅には、上方に突出する位置決めピン12が設けられている。保持テーブル10には、位置決めピン12を利用して、後述する治具を介して被加工物が位置決めされ、被加工物は保持テーブル10ごと、上記X・Y・Z移動機構3によってX方向、Y方向およびZ方向に移動させられる。保持テーブル10の上方には、上記噴射ノズル2がウォータジェットの噴射方向を鉛直下方に向けた状態で配設されている。噴射ノズル2は、直径が200μm程度のウォータジェット噴射口を備えたもので、ノズル支持アーム4を介して固定ベース20に支持されている。
【0018】
本実施形態では、被加工物として図2に示すCSP基板60を挙げる。
このCSP基板60は、長方形状の銅板等からなる基板61の表面に、複数(図示例では3個)のチップ実装ブロック62が長手方向に配列されており、各ブロック62内に、分割予定ライン63によって多数のCSP(Chip Size Package)64が格子状に区画されている。個々のCSP64は、基板61に形成されたリードフレーム上に積層したデバイスを樹脂で封止してなるものであり、CSP基板60が、上記ウォータジェット加工装置1により分割予定ライン63に沿ってリードフレームごとに切断されることにより、個片化される。
【0019】
CSP基板60の分割予定ライン63を切断するには、幅方向に往復するジグザグ状切断を行い、次に、長手方向に往復するジグザグ状切断を行って完了する。なお、この順番は逆であってもかまわない。CSP基板60は上記保持テーブル10に、長手方向をX方向と平行にしてセットされるが、幅方向往復のジグザグ切断の場合には図3に示すY方向切断用治具70Yにより、また、長手方向往復のジグザグ切断の場合には図4に示すX方向切断用治具70Xにより保持されて、保持テーブル10にセットされる。
【0020】
図3に示すY方向切断用治具70Yは、長方形状の保持板71の一方の長縁にカバー72が開閉自在にヒンジ結合されたものである。カバー72の回動端部にはフック72aが形成され、このフック72aを保持板71に形成されたフック係合凹部71aに係合させることにより、保持板71に対してカバー72が重なって閉じた状態が保持されるようになっている。カバー72の中央には、CSP基板64の加工領域を露出させる開口72bが形成されており、CSP基板64は外周縁が開口72bの周縁に押さえ付けられて保持されるようになっている。
【0021】
保持板71の中央部はCSP基板60が配置される領域とされ、その領域には、保持板71の幅方向(保持テーブル10にセットされた状態でのY方向)に往復するジグザグ状のスリット71yが形成されている。スリット71yはウォータジェットを通す空間であって保持板71を貫通しており、CSP基板60の幅方向に延びる分割予定ライン63に対応して形成されている。また、保持板71の四隅には保持テーブル10の位置決めピン12が嵌合するピン孔71bが形成されている。CSP基板60は、幅方向に延びる分割予定ライン63を、保持板71の幅方向に延びるスリット71yに合わせて保持板71上に置かれ、カバー72を閉じることによってY方向切断用治具70Yに保持される。
【0022】
図4に示すX方向切断用治具70Xは、上記Y方向切断用治具70Yと同様の保持板71とカバー72とからなるものであるが、保持板71のCSP基板配置領域に形成されるスリット71xが、保持板71の長手方向(保持テーブル10にセットされた状態でのX方向)に往復するジグザグ状である点のみが異なっている。これ以外の構成はY方向切断用治具70Yと同様であり、CSP基板60は、長手方向に延びる分割予定ライン63を、保持板71の長手方向に延びるスリット71xに合わせて保持板71上に置かれ、カバー72を閉じることによってX方向切断用治具70Xに保持される。
【0023】
これら各治具70X,70Yは、上記ウォータジェット加工装置1の保持テーブル10上に、保持板71のピン孔71bを位置決めピン12に嵌合させてセットされる。図1に示すように、保持テーブル10の下方には、噴射ノズル2から噴射されるウォータジェットを受け止める緩衝槽80が配設されている。この緩衝槽80は、図5にも示すように、外側の排水槽81の中に、排水槽81よりも低い貯水槽82が設けられた構成で、貯水槽82内にはメッシュでできたバスケット83が収容されている。そしてこのバスケット83の中には、ウォータジェットの水勢を減衰させる多数の硬質球84が適量充填されている。硬質球84としては、ウォータジェットに用いられる砥粒と同じ材料のものなどが用いられ、また、硬質球の粒径は、砥粒の粒径の50μm程度よりも十分大きいものとされる。例えば、粒径が3〜8mm程度のアルミナボールやジルコニアボール等が好適に用いられる。
【0024】
噴射ノズル2から噴射したウォータジェットは貯水槽82の中に入り、水に当たって進入したり硬質球84に当たったりすることにより水勢が減衰される。ウォータジェットとなっていた加工水(水+砥粒)は貯水槽82の中に溜まり、バスケット83の外側に通過して循環口85から排出され、再使用されるようになっている。加工水に混合される砥粒は上記のように粒径が50μm程度のものが用いられ、バスケット83はそのような砥粒が通過するメッシュ粗さのものが用いられている。ところで、ウォータジェット中の砥粒の中には、被加工物を貫通したり、あるいは硬質球84に当たったりすることにより破砕し、例えば粒径が5〜10μm程度の微細な粉状になるものがある。微細となった砥粒は貯水槽82内の水面に浮上し、オーバーフローする水とともに排水槽81に落下し、排水口86から所定の設備に送られ廃棄処理される。
【0025】
ここで、噴射ノズル2に加工水を供給する加工水供給系を図1を参照して説明する。噴射ノズル2には、上記貯水槽82の循環口85から配管された加工水循環ライン(加工水循環経路)90が接続されており、この加工水循環ライン90の途中には、循環口85から噴射ノズル2にわたって加工水精錬槽91、加工水タンク92、圧送ポンプ93が配備されている。加工水タンク92には、水に対して適宜な混合率(例えば50g/L)で砥粒が混合された加工水が貯留され、この加工水が圧送ポンプ93によって昇圧されて噴射ノズル2からウォータジェットとして噴射するようになっている。噴射ノズル2、加工水タンク92および圧送ポンプ93によって本発明の加工水噴射手段が構成されている。そして、貯水槽82の循環口85から排出された再使用可能な加工水は、加工水精錬部91で清浄化されるとともに不適当な粒径の砥粒が排除され、使用可能な砥粒を含む加工水として加工水タンク92に戻される。
【0026】
加工水中の砥粒は、上記のように破砕して排水槽81に移り加工水循環ライン90には戻らないため、当該ウォータジェット加工装置1を運転するにつれて加工水の砥粒混合率は徐々に低くなる。砥粒混合率が適正に保たれないとウォータジェットによる切断機能に変化が生じるので砥粒の補給が必要とされる。そこで本実施形態では、緩衝槽80の貯水槽82内に、図6に示す砥粒供給用カプセル100によって砥粒を補給し、加工水の砥粒混合率を適正範囲に保持することが行われる。
【0027】
[2]砥粒供給用カプセルの構成
図6は砥粒供給用カプセル100を分解した状態を示しており、該カプセル100は、円筒状のカプセル本体101を主体としている。カプセル本体101は、縦方向(径方向に直交する方向)の一端側が開口し、他端側が閉塞している有底円筒状で、開口部の周縁にはフランジ102が形成されている。このフランジ102には、開口部を閉塞する円盤状の蓋体110が着脱自在に装着される。蓋体110の、カプセル本体101の開口部に面する裏面側の中央には円形の凹所111が形成されており、この凹所111の周囲に、凹所111の部分よりも肉厚の環状凸部112が形成されている。凹所111の大きさは、カプセル本体101のフランジ102がちょうど嵌る程度に設定されている。環状凸部112には、厚さ方向に貫通する複数のねじ通し孔110aが周方向等分箇所に形成されている。
【0028】
図6中符号120は蓋体固定用の挟持リングである。この挟持リング120は外径が蓋体110の外径とほぼ同じであり、内径はカプセル本体101の外径よりも僅かに大きく設定されている。挟持リング120には、蓋体110のねじ通し孔110aに対応し、ねじ125がねじ込まれる複数のねじ孔120aが形成されている。カプセル本体101内には開口部から砥粒が収容され、砥粒が収容された状態で蓋体110が開口部に締結される。
【0029】
蓋体110は、凹所111の外周部にリング状のパッキン129を配し、パッキン129にフランジ102の表面を合わせるとともに凹所111に嵌め込み、カプセル本体101を通した挟持リング120と蓋体110とによってフランジ102を挟持して、蓋体110のねじ通し孔110aに通したねじ125を挟持リング120のねじ孔120aにねじ込んで締結することにより、カプセル本体101に装着され、これによってカプセル100が構成される。
【0030】
蓋体110の中心には混合水排出部113が形成されており、また、裏面の凹所111における外周部には、水供給栓(水供給部)114が装着されている。図8に示すように、蓋体110の表側(図8で下側)には、混合水排出部113に通じる砥粒排出管115と、水供給栓114に通じる水導入管116とが、それぞれ接続されている。水供給栓114は、蓋体110の外周縁の接線方向、かつ図6においてやや上方(カプセル本体101方向)に水を向けて噴射するノズル114aを有している。水導入管116には図示せぬ水供給ラインが接続され、その水供給ラインから水導入管116を経て水供給栓114に水が供給されるようになっている。蓋体110がカプセル本体101に装着された状態で水供給栓114に水が供給されると、ノズル114aから水がカプセル本体101の内壁に沿う方向に噴出し、その噴出水は、カプセル本体101の内壁に沿って竜巻状の水流を発生させるようになっている。
【0031】
カプセル100内には、容量の例えば1/2程度といったように、適宜な空間が空く量の砥粒が収容され、混合水排出部113を下に向けた状態で貯水槽82の上方に保持される。このようにカプセル100を貯水槽82の上方に保持するには、作業者が手で持って行ってもよく、また、適宜な台に載置してもよい。図7は、リング台131に脚部132が固定されたカプセル載置用のスタンド130を示している。このスタンド130を貯水槽82に載せ、砥粒排出管115を貯水槽82内に向けた状態でカプセル100はリング台131に載置される。カプセル100はこのように砥粒排出管115が貯水槽82の上方に位置し、砥粒排出管115から排出される砥粒が貯水槽82に直接投入されるように保持される。
【0032】
[3]ウォータジェット加工装置の動作
以上がウォータジェット加工装置1および砥粒供給用カプセル100の構成であり、続いて、ウォータジェット加工装置1によってCSP基板60を個々のCSP64に分割する動作を説明する。
【0033】
CSP基板60をY方向切断用治具70Yで保持し、保持したCSP基板60を上に配した状態で、ピン孔を位置決めピン12に嵌合させ、Y方向切断用治具70Yを介してCSP基板60を保持テーブル10にセットする。次に、X・Y・Z移動機構3のX軸移動ベース30およびY軸移動ベース50をそれぞれ適宜に移動させることにより、CSP基板60を噴射ノズル2の下方の加工領域に移動させ、さらに噴射ノズル2から噴射するウォータジェットのターゲットに、CSP基板60の幅方向すなわちY方向に往復するジグザグ状の分割予定ライン63の一端を合わせる。そして、Z軸移動ベース40を上昇させて噴射ノズル2の先端のウォータジェット噴射口とCSP基板60との間隔を適切な間隔(例えば50μm)に調整する。
【0034】
次いで、圧送ポンプ93を作動させて噴射ノズル2から所定圧力で加工水を噴射させ、加工水の噴射状態であるウォータジェットをCSP基板60に当ててCSP基板60と保持板71のスリットに貫通させながら、Y軸移動ベース50とX軸移動ベース30を交互に移動させることにより、CSP基板60のY方向に延びる分割予定ライン63をジグザグ状に切断する。この切断が完了したら、ウォータジェットの運転を中断し、Z軸移動ベース40を下降させて噴射ノズル2をCSP基板60から離し、CSP基板60をX方向切断用治具70Xに付け替え、そのX方向切断用治具70Xを保持テーブル10にセットする。
【0035】
上記と同様に、Y軸移動ベース50とX軸移動ベース30を適宜に移動させて、ウォータジェットのターゲットに、CSP基板60の長手方向すなわちX方向に往復するジグザグ状の分割予定ライン63の一端を合わせ、Z軸移動ベース40を上昇させて噴射ノズル2のウォータジェット噴射口とCSP基板60との間隔を適切な間隔に調整する。
【0036】
再び圧送ポンプ93を作動させて噴射ノズル2からウォータジェットを噴射させ、X軸移動ベース30とY軸移動ベース50を交互に移動させることにより、今度はCSP基板60のX方向に延びる分割予定ライン63をジグザグ状に切断する。全てのX方向に延びる分割予定ライン63が切断されたら、ウォータジェットの運転を停止し、Z軸移動ベース40を下降させて噴射ノズル2をCSP基板60から離し、X方向切断用治具70Xを保持テーブル10から取り外す。CSP基板60はリードフレームごとに切断されて個々のCSP64に個片化されており、次の工程にこれらCSP64は次の実装工程等に移される。なお、X・Y・Z移動機構3の動作や噴射ノズル2からのウォータジェットの噴射等の動作は、予め必要データが記憶されてそれに基づき制御を行う制御手段によって適宜に制御される。
【0037】
[4]砥粒供給用カプセルの作用
さて、このようにしてウォータジェットの運転を続けていくと、破砕して微細化した加工水中の砥粒が排水槽81に移って排水管86から廃棄処理され、加工水の砥粒混合率が徐々に低くなることは前述の通りである。そこで、加工水の砥粒混合率を適正範囲に保持するために、砥粒供給用カプセル100に収容した新たな砥粒を貯水槽82に補給することを行う。
【0038】
そのためには、例えば作業者が手で持ったり、あるいは上記スタンド130を用いたりして、貯水槽82の直上において蓋体110の混合水排出部113を下に向けて保持し、水導入管116から水供給栓114に水を例えば2〜3気圧の圧力で供給する。その水はカプセル100内において水供給栓114のノズル114aからカプセル本体101の内壁に沿う方向に噴出し、これによって図8に示すように竜巻状の水流が発生する。カプセル100内に収容された砥粒は竜巻状の水流に乗って竜巻状に舞い上がり、中心が空洞化して砥粒で塞がれていた混合水排出部113が開口する。混合水排出部113は蓋体110の中心に形成されているが、形成位置がカプセル100内に発生する竜巻状の水流の中心に相当する位置であるため、混合水排出部113が開口する。砥粒は竜巻状の水流からやがては離れ落下し、開口している混合水排出部113から水との混合水となって排出され、砥粒排出管115を経て貯水槽82に投入される。カプセル100内の砥粒が全て投入されたら、1回目の砥粒の補給が完了し、この後は、必要に応じて同様に補給を行う。
【0039】
このように砥粒はカプセル100内において水とともに竜巻状に流動し、それによって開口した混合水排出部113から円滑に排出される。竜巻状の水流を発生させない場合には、混合水排出部113に砥粒が詰まってしまい、多少の落下はあるものの円滑には排出されにくいが、本実施形態では、竜巻状の水流をカプセル100内で発生させることにより砥粒を円滑に排出させることができるのである。排出される砥粒は水と混合した状態であるから、砥粒の粉塵が飛散することが抑えられ、環境悪化が防止される。
【0040】
なお、上記実施形態では、カプセル100から砥粒を貯水槽82に落下させているが、混合水排出部113に接続した砥粒排出管115に貯水槽82内の水に埋没する砥粒導入管を接続し、この砥粒導入管を通して外部に触れないように砥粒を貯水槽82内に導入すれば、砥粒の粉塵を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォータジェット加工装置の全体斜視図である。
【図2】被加工物であるCSP基板の平面図である。
【図3】CSP基板をウォータジェット加工装置の保持テーブルに保持させるためのY方向切断用治具を示す斜視図である。
【図4】CSP基板をウォータジェット加工装置の保持テーブルに保持させるためのX方向切断用治具を示す斜視図である。
【図5】緩衝槽の構成を示す斜視図である。
【図6】砥粒供給用カプセルの分解斜視図である。
【図7】砥粒供給用カプセルと載置用スタンドの斜視図である。
【図8】砥粒供給用カプセルの砥粒排出作用を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ウォータジェット加工装置
2…噴射ノズル
10…保持テーブル(保持手段)
60…CSP基板(被加工物)
80…緩衝槽
100…砥粒供給用カプセル
101…カプセル本体
110…蓋体
113…混合水排出部
114…水供給栓(水供給部)
【出願人】 【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生


【公開番号】 特開2008−23616(P2008−23616A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195947(P2006−195947)