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【発明の名称】 遠心投射装置
【発明者】 【氏名】伊藤 将克

【要約】 【課題】インペラーの回転バランスによる回転振動を低減して駆動モータの寿命を向上させるとともに、振動による騒音を抑えることができる遠心投射装置を提供する。

【構成】ハウジング2と、該ハウジングの側部に取付フランジ3を介して取り付けられる駆動モータ4と、該駆動モータの駆動軸にハブ6を介して取り付けられた、複数のブレード15を有するインペラー7と、前記駆動軸と同軸に取り付けられ、スリットを周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータ8と、後端部が前記ハウジングの側部に対向する他の側部に形成される開口部19の周辺に取り付けられ、分散窓18が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージ9と、前記開口部に取付けられる導入筒10とからなる遠心投射装置。前記取付フランジとハブとの間に、該取付フランジの内周部に緩衝体11を配置して軸受12が組込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングの側部に取付フランジを介して取り付けられる駆動モータと、
該駆動モータの駆動軸にハブを介して取り付けられた、複数のブレードを有するインペラーと、
該インペラーの内周空間に前記駆動軸と同軸に取り付けられ、スリットを周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータと、
後端部が前記ハウジングの側部に対向する他の側部に形成される開口部の周辺に取り付けられ、分散窓が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージと、
前記開口部へ投射材を供給するように前記ハウジングに取付けられる導入筒とからなる遠心投射装置であって、
前記取付フランジとハブとのあいだに、該取付フランジの内周部に緩衝体を配置して軸受が組み込まれてなる遠心投射装置。
【請求項2】
前記緩衝体が前記取付フランジの内周面に形成される溝に設けられている請求項1記載の遠心投射装置。
【請求項3】
前記緩衝体が前記取付フランジの内周面に形成される環状溝に設けられるOリングである請求項1記載の遠心投射装置。
【請求項4】
前記緩衝体が前記軸受の外輪外周面に設けられている請求項1記載の遠心投射装置。
【請求項5】
前記緩衝体がゴム、樹脂材料および制振金属材料からなる群から選ばれる請求項1、2、3または4記載の遠心投射装置。
【請求項6】
前記軸受が玉軸受である請求項1、2、3、4または5記載の遠心投射装置。
【請求項7】
前記玉軸受が該軸受を構成する部品のうち、少なくとも転動体がセラミックボールである請求項6記載の遠心投射装置。
【請求項8】
前記軸受が複列にされてなる請求項1、2、3、4、5、6または7記載の遠心投射装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は遠心投射装置に関する。さらに詳しくは、インペラーの回転バランスを安定させることができる遠心投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、微小な剛球などの投射材を被処理品に向けて投射することによって、被処理品の表面の錆、バリ、スケールまたは塗料などを剥離除去するブラスト加工が行なわれている。このブラスト加工においては、複数のブレードを設けたインペラーを高速回転させて、ブレードが投射材を連続的に遠心力投射するように構成された遠心投射装置が用いられている。たとえば特許文献1には、回転可能に配設した回転体に、円形状の回転板とこの回転板に放射状に配置されかつ内側基端部でほぼ円柱状の空間を形成して取り付けられた複数枚のブレードとでなるインペラーを装着し、前記回転体における前記空間内に、有底円筒状を成しかつ長手方向へ全長に亘って延びるとともに前記ブレードの枚数と同一の数の開口を周方向にほぼ等間隔をおいて形成したディストリビュータを前記回転体とほぼ同心させて取り付け、前記ブレードの内側基端部と前記ディストリビュータとのあいだに、別途固定配設されたコントロールケージを配置した砥粒遠心投射装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−150369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記インペラーは駆動モータにより片持ち状態で回転駆動されているため、高速回転では、たとえばブレードへの投射材の供給ばらつきや、インペラーの取付誤差および駆動モータの回転部品の摩耗などによりインペラーに回転バランスが発生して、インペラーが回転振動を起こしたり、ハウジングが振動して騒音を発生する。長期使用の場合、この回転振動により、駆動モータの回転部品、たとえばインペラーを支持する軸受に変動荷重が生じて寿命を低下させるおそれがある。そこで、軸受を耐荷重の大きな軸受に変更するか、大型の駆動モータを用いることによりインペラーの保持構造の寿命の向上を図ることが考えられる。しかし、装置が大型化になるとともにコストが増大してしまう。また、駆動軸の軸受に耐荷重の大きな軸受をしようする考えは、軸受の許容回転数が低下してしまうことから、高速回転を必要とする小型の遠心投射装置には採用することができない。
【0005】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、インペラーの回転バランスによる回転振動を低減して駆動モータの寿命を向上させることができるとともに、振動による騒音を抑えることができる遠心投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遠心投射装置は、ハウジングと、該ハウジングの側部に取付フランジを介して取り付けられる駆動モータと、該駆動モータの駆動軸にハブを介して取り付けられた、複数のブレードを有するインペラーと、該インペラーの内周空間に前記駆動軸と同軸に取り付けられ、スリットを周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータと、後端部が前記ハウジングの側部に対向する他の側部に形成される開口部の周辺に取り付けられ、分散窓が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージと、前記開口部へ投射材を供給するように前記ハウジングに取付けられる導入筒とからなる遠心投射装置であって、前記取付フランジとハブとのあいだに、該取付フランジの内周部に緩衝体を配置して軸受が組み込まれてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緩衝体が防振の役目を果たして、インペラーの回転バランスによる駆動モータおよびハウジングに発生する振動を低減して、駆動モータの寿命向上と振動による騒音を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に基づいて本発明の遠心投射装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかわる遠心投射装置は、図1に示されるように、装置本体の研掃室の天井に配された上壁1に配置されるハウジング(インペラーケース)2と、該ハウジング2の側部(カバー)2aに取付フランジ3を介して取り付けられる駆動モータ4と、該駆動モータ4の駆動軸4a側にテーパスリーブ5aとテーパロックナット5bとからなるテーパロック部材により固着されるハブ6を介して取り付けられるインペラー7と、該インペラー7の内周空間Sに前記駆動軸4aと同軸に取り付けられるディストリビュータ8と、前記ハウジング2の側部2aに対向する他の側部2bに取り付けられるコントロールケージ9と、前記ハウジング2の側部2bに取付けられる導入筒10と、前記取付フランジ3とハブ6とのあいだに、該取付フランジ3の内周部に緩衝体11を配置して組み込まれる軸受12とを備えている。
【0009】
前記駆動モータ4は、前記ハウジング2の側部2aにボルト13aにより固定される取付フランジ3にボルト13bにより固定されるとともに、前記上壁1に支持されており、とくに限定されるものではないが、前記駆動軸4aを回転自在に支持する軸受(図示せず)が複数個配された駆動モータを用いることができる。また、前記駆動軸4aが、駆動源を有さない軸受ユニットの軸受により回転自在に支持される場合、前記駆動モータ4としては、該軸受ユニットと、該駆動軸4aの端部に連結されるプーリーと、モータと、該モータの回転軸に連結されるプーリーと、前記駆動軸4aのプーリーとモータのプーリーとに巻き回されるベルトとからなる構成とすることもできる。
【0010】
前記インペラー7は、前記駆動軸4aにハブ6を介してボルト13cにより取り付けられている、前記駆動モータ4の駆動軸4a側の側板14aと、該側板14aにより前記導入筒10側に所定幅離れた位置の側板14bと、該側板14aと側板14bとのあいだに放射状に挾着固定された複数、たとえば4〜12枚のブレード15とから構成されている。前記側板14aとブレード15とは、ボルト13dにより取り付けられている。また、前記側板14bは、中央部に前記コントロールケージ9の外周より大きな開口を有し、この側板14bと前記ブレード15は、側板14bの内周端とブレード15の内周端とがほぼ同一になるように配置したのち、ボルト13eにより取り付けられている。
【0011】
前記ディストリビュータ8は、投射材を撹拌する部品であってボルト13fにより前記側板14aに固定されており、前記ブレード15の枚数と同一の数、該枚数より少ない数または該枚数より多い数のスリット(切り欠き)16を周方向にほぼ等間隔に有している。すなわち、本実施の形態におけるディストリビュータ8は、基部8aからインペラー7の中心軸に対して平行(図1の紙面左右方向)に前記ブレード15の枚数と同一の数の爪17が突出した、いわゆる櫛歯状を呈しているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、爪17の先端を周方向に連結して補強した形状とすることもできる。
【0012】
前記コントロールケージ9は、先端部9aの円筒部に形成される分散窓18により投射方向を規制する部品であって、前記ディストリビュータ8と前記ブレード15とのあいだに延設されており、後端部9bが前記ハウジング2の側部2aに対向する側部2bに形成される開口部19の周辺に取り付けられている。すなわち、本実施の形態では、このコントロールケージ9の取付構造として、まず前記開口部19にリンク状のフランジ(環状リング)20を組み付けたのち、該フランジ20の段部にコントロールケージ9の段部を当接して位置合わせ、シール板21を介して導入筒10を差し込んで、最後にリング状の押さえ部材22を取り付け、ボルト13gにより前記側部2bに固定する構造にされている。これにより、前記インペラー7に投射材を供給する導入筒10もコントロールケージ9とともに、前記側部2bに取付けられている。
【0013】
前記緩衝体11としては、ゴム、樹脂材料および制振金属材料からなる群から適宜選定される材質を用いて作製することができる形状であって、本実施の形態では、前記取付フランジ3の内周面に形成される溝である一対の環状溝にそれぞれ設けられるOリングにされている。前記樹脂材料である樹脂系の制振材料には、ウレタン系、エステル系またはアミド系などが挙げられ、制振金属材料としての金属系の制振材料 には、Mn−Cu系合金またはNi−Ti系合金などがある。また、前記ゴム、樹脂材料および制振金属材料を複合させることもできる。前記緩衝体11の配置や形状の構造は、本発明において、これに限定されるものではなく、たとえば前記軸受12の外輪外周面に一体に成形し、設けられた、断面が矩形のリング状の構造とするか、該外輪外周面に環状溝を形成し、該環状溝に、たとえばOリングなどを設けた構造、または外輪外周面に螺旋溝を形成し、該螺旋溝に成形して、設けた構造とすることができる。また、前記軸受12は、鉄板シールまたはゴムシール(図示せず)を有する深溝玉軸受であり、外輪が前記取付フランジ3にボルト13hにより固定されるリング状の幅押さえ部材23を用いて幅押さえされている。この軸受12は、取付フランジ3の内周面に環状溝を形成し、該環状溝にOリングを組み付けたのち、該軸受12の外輪によりOリングを弾性変形させた嵌め合い代を持って、前記取付フランジ3に嵌め込まれている。
【0014】
本実施の形態では、前記緩衝体11は、防振の役目を果たすため、高速回転時のインペラー7の回転バランスによる駆動モータ4の回転振動を低減して、該駆動モータ4の回転部品、とくに軸受の寿命を向上させることができる。また、ハウジング2に発生する振動による騒音を抑えることができる。
【0015】
なお、前記軸受12は、シール付深溝玉軸受にされているが、本発明においては、玉軸受のセラミック軸受を適宜選定して用いることができるが、軸受を構成する部品のうち、少なくとも転動体がセラミックボールである玉軸受を用いるのが好ましい。また、前記軸受13は、単列であるが、複列にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわる遠心投射装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 上壁
2 ハウジング
2a、2b 側部
3 取付フランジ
4 駆動モータ
4a 駆動軸
5a テーパスリーブ
5b テーパロックナット
6 ハブ
7 インペラー
8 ディストリビュータ
8a 基部
9 コントロールケージ
9a 先端部
9b 後端部
10 導入筒
11 緩衝体
12 軸受
13a〜13h ボルト
14a、14b 側板
15 ブレード
16 スリット
17 爪
18 分散窓
19 開口部
20 フランジ
21 シール板
22 押さえ部材
23 幅押さえ部材
【出願人】 【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12598(P2008−12598A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182994(P2006−182994)