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【発明の名称】 両面研磨装置用キャリア及びこれを用いた両面研磨装置並びに両面研磨方法
【発明者】 【氏名】内山 勇雄

【要約】 【課題】半導体ウェーハの両面研磨の際に、ウェーハ外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを安定して効率的に生産することを可能とする両面研磨装置用キャリア、及びこれを用いた両面研磨装置並びに両面研磨方法を提供する。

【構成】両面研磨装置において、研磨布が貼付された上下定盤の間に配設され、研磨の際に前記上下定盤の間に挟まれた半導体ウェーハを保持するための保持孔が形成された両面研磨装置用キャリアであって、該キャリアの材質はチタンであり、該チタン製キャリアの表面粗さがRaで0.14μm以上であることを特徴とする両面研磨装置用キャリア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面研磨装置において、研磨布が貼付された上下定盤の間に配設され、研磨の際に前記上下定盤の間に挟まれた半導体ウェーハを保持するための保持孔が形成された両面研磨装置用キャリアであって、該キャリアの材質はチタンであり、該チタン製キャリアの表面粗さがRaで0.14μm以上であることを特徴とする両面研磨装置用キャリア。
【請求項2】
前記表面粗さがRaで0.32μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置用キャリア。
【請求項3】
前記キャリアは、その表裏面にキャリア外周側から前記保持孔に至る溝を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の両面研磨装置用キャリア。
【請求項4】
前記溝のパターンが碁盤目状または放射状であることを特徴とする請求項3に記載の両面研磨装置用キャリア。
【請求項5】
少なくとも、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の両面研磨装置用キャリアを具備したものであることを特徴とする両面研磨装置。
【請求項6】
半導体ウェーハを両面研磨する方法であって、研磨布が貼付された上下定盤の間に請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のキャリアを配設し、該キャリアに形成された保持孔に半導体ウェーハを保持して、前記上下定盤の間に挟み込んで両面研磨することを特徴とする半導体ウェーハの両面研磨方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、両面研磨装置において、半導体ウェーハを研磨する際に半導体ウェーハを保持する両面研磨装置用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハの両面をポリッシング等で研磨する際、キャリアによって半導体ウェーハを保持している。このキャリアは、半導体ウェーハより薄い厚みに形成され、両面研磨装置の上定盤と下定盤の間の所定位置にウェーハを保持するためのウェーハ保持孔を備えている。このウェーハ保持孔に半導体ウェーハが挿入されて保持され、上定盤と下定盤の対向面に設けられた研磨布等の研磨具で半導体ウェーハの上下面が挟み込まれ、研磨面に研磨剤を供給しながら研磨が行われる。
【0003】
このように両面研磨を行う場合、半導体ウェーハの外周部分に圧力が集中すること、研磨スラリーや研磨布の粘弾性の影響等により、半導体ウェーハの外周部のみが過剰に研磨されて外周ダレが生じる。この外周ダレがウェーハの平坦度を悪化させてしまうという問題があった。
【0004】
このような外周ダレを低減する方法として、第1次両面研磨工程で生じた外周ダレを修正する第2次両面研磨工程を行う方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、この方法では外周ダレを修正する第2次両面研磨工程を行うことで工程が増えるという欠点があり、より簡便に外周ダレを低減する両面研磨方法が求められていた。
【0005】
また、従来ウェーハの研磨においては、安定した研磨特性を得るために、セラミックプレートなどを用いて研磨布表面の目立てを行っている。しかし、上記両面研磨においては、被加工物のウェーハだけでなく、キャリアも研磨布と接触しているため、研磨布表面の目立ての効果が長続きせず、頻繁にセラミックプレート等を用いて研磨布表面の目立てを行わなければならないという問題があった。
さらに、キャリア自体のライフも短く、コスト高となるという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−158798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、半導体ウェーハの両面研磨の際に、ウェーハ外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを安定して効率よく低コストで生産することを可能とする両面研磨装置用キャリア、及びこれを用いた両面研磨装置並びに両面研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、両面研磨装置において、研磨布が貼付された上下定盤の間に配設され、研磨の際に前記上下定盤の間に挟まれた半導体ウェーハを保持するための保持孔が形成された両面研磨装置用キャリアであって、該キャリアの材質はチタンであり、該チタン製キャリアの表面粗さがRaで0.14μm以上であることを特徴とする両面研磨装置用キャリアを提供する(請求項1)。
【0009】
このように、キャリアの材質がチタンであれば、樹脂に比べて硬度が高く研磨時の磨耗も小さいためキャリアライフが向上する。また、チタン自体はシリコン等の半導体ウェーハ中の拡散係数が小さく、不純物として問題となりにくいし、チタン中にはFeなどの拡散係数の大きい金属不純物が存在しないので、半導体ウェーハへの金属不純物の汚染が抑えられる。さらに、このような表面粗さがRaで0.14μm以上であるチタン製キャリアを用いれば、外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを安定して効率よく生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減することができ、効率的に研磨を行うことができる。
【0010】
このとき、前記表面粗さがRaで0.32μm以上であることが好ましい(請求項2)。
キャリアの表面粗さがRaで0.32μm以上であれば、外周ダレがより低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを生産することができる。
【0011】
そして、前記キャリアは、その表裏面にキャリア外周側から前記保持孔に至る溝を有することが好ましい(請求項3)。
【0012】
このように、キャリアが、その表裏面にキャリア外周側から前記保持孔に至る溝を有するものであれば、研磨時に研磨液が溝を通って半導体ウェーハへ供給されるため、ウェーハ外周部が研磨時に受ける抵抗が緩和され、さらに外周ダレを低減することができる。また、溝により研磨中に研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度をさらに低減することができる。
【0013】
また、前記溝のパターンを碁盤目状または放射状とすることができる(請求項4)。
このように、溝のパターンとしては碁盤目状または放射状とすることで、容易かつ確実に研磨時の半導体ウェーハへ研磨液を供給することができる。
【0014】
そして、少なくとも、前記本発明の両面研磨装置用キャリアを具備した両面研磨装置であれば(請求項5)、キャリアの材質がチタンであることによりライフが長く半導体ウェーハへの金属不純物の汚染が抑えられるとともに、外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減することができ、装置の稼働率が著しく向上する。
【0015】
また、半導体ウェーハを両面研磨する方法であって、研磨布が貼付された上下定盤の間に前記キャリアを配設し、該キャリアに形成された保持孔に半導体ウェーハを保持して、前記上下定盤の間に挟み込んで両面研磨する方法が提供される(請求項6)。
【0016】
このように、前記本発明の両面研磨装置用キャリアの保持孔に半導体ウェーハを保持して、上下定盤の間に挟み込んで両面研磨すれば、キャリアのライフが長く、金属不純物による汚染および外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができる。従って、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減することができ、コストを低減し、効率良く半導体ウェーハを両面研磨することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、材質がチタンであることにより、ライフが向上した、金属不純物による汚染を起こしにくい両面研磨装置用キャリアが提供され、このキャリアを用いることで金属不純物による汚染および外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを安定して効率よく生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減することができる。従って、コストを低減し、効率良く半導体ウェーハを両面研磨することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
従来の両面研磨装置用キャリアには、例えばステンレス等の金属製のものや金属板の表面にセラミック砥粒を蒸着したもの等がある。しかし、これらのキャリアを使用した場合、研磨時においてその保持する半導体ウェーハの外周部のみが過剰に研磨されて外周ダレが生じたり、蒸着した砥粒が脱落してウェーハ表面にスクラッチが発生したりすることで、半導体ウェーハの品質が低下するという問題があった。
【0019】
また、両面研磨においては、研磨布表面の目立ての効果が長続きせず、頻繁にセラミックプレート等を用いて研磨布表面の目立てを行わなければならないという問題があった。
【0020】
そこで本発明者は、鋭意実験を行った結果、両面研磨装置用キャリアであって、キャリアの材質がチタンであり、該チタン製キャリアの表面粗さがRaで0.14μm以上であれば上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
【0021】
すなわち、このような両面研磨装置用キャリアを用いて両面研磨を行えば、外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減して、効率的に研磨を行うことができる。また、このキャリアは、砥粒を蒸着せずキャリア表面自体を粗くしたものであるので、砥粒が脱落してウェーハ表面にスクラッチを発生させることもない。さらに材質がチタンであるため、ライフが長く鉄等のウェーハ品質に影響を及ぼすような汚染を生じさせない。
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について図を用いて説明をする。
ここで、図1は本発明の両面研磨装置用キャリアを具備した両面研磨装置の一例の縦断面図、図2は平面視による両面研磨装置の内部構造図である。
【0023】
本発明は、半導体ウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨装置において、半導体ウェーハを保持するキャリアの改良に関するものであり、まず両面研磨装置の概要について図1及び図2を用いて説明する。
【0024】
本発明の両面研磨装置用キャリア10を具備した両面研磨装置11は、上下に相対向して設けられた下定盤12と上定盤13を備えており、各定盤12、13の対向面側には、それぞれ研磨布14が貼付されている。そして上定盤13と下定盤12の間の中心部にはサンギヤ15が、周縁部にはインターナルギヤ16が設けられている。半導体ウェーハWはキャリア10の保持孔17に保持され、上定盤13と下定盤12の間に挟まれている。
【0025】
サンギヤ15及びインターナルギヤ16の各歯部にはキャリア10の外周歯が噛合しており、上定盤13及び下定盤12が不図示の駆動源によって回転されるのに伴い、キャリア10は自転しつつサンギヤ15の周りを公転する。このとき半導体ウェーハWはキャリア10の保持孔17で保持されており、上下の研磨布14により両面を同時に研磨される。研磨時には、不図示のノズルから研磨液が供給される。
【0026】
なお、図2では各キャリアがそれぞれ1枚のウェーハを保持して研磨を行っているが、複数の保持孔を有するキャリアを用いて、各キャリア内に複数枚のウェーハを保持して研磨を行ってもよい。
【0027】
ここで、上記両面研磨装置11に配設される本発明の両面研磨装置用キャリア10について、以下に説明する。
本発明のキャリア10は、材質がチタンであり、例えば従来のSUS材に樹脂コーティングを施したものよりも硬度が高く、かつ、FeやNiなどの拡散係数の大きな不純物が存在しない。このため、傷や破損等が低減されてキャリアライフが長くなり、コストを抑えることができる。また、半導体ウェーハWの問題となる金属の汚染を抑制することが可能である。
【0028】
従来のキャリアの材質であるSUSの硬度は420Hvであり、本発明のキャリア10の材質であるTiの硬度は220Hvである。従って、従来はTiはSUSに比べて硬度が低く、キャリアの材質として使用できないものと考えられていた。しかし、上述したようにSUS材むき出しのものでは半導体ウェーハWへの致命的な金属汚染が生じ、実際には金属汚染を抑制するためにSUS材に樹脂コーティングを施すことが必須である。このため、材質がチタンである本発明のキャリア10の表面は、表面が樹脂で覆われている従来のキャリアよりも硬い。従って、ライフも長いものとなる。
【0029】
さらに本発明のキャリア10は、表面粗さがRaで0.14μm以上であることを特徴とする。本発明者は下記の実験を行うことで、外周ダレが低減されたウェーハを得るためには、キャリアの表面粗さがRaで0.14μm以上でなければならないことを見出した。
【0030】
(実験)
両面研磨装置用キャリアとして、複数のチタン製キャリアの表裏面を番手の異なるダイヤモンドペレットで粗して、それぞれ異なる表面粗さを有するキャリアを用意した。
各キャリアの表面粗さはMitutoyo製のサーフテストSJ−201Pを用いて測定し、JIS B0601−1994に基づき評価を行った。
【0031】
上記各キャリアを両面研磨装置に配設し、研磨布のドレッシングを行った後、直径300mmのシリコンウェーハの両面研磨を行った。すなわち、保持孔を1つ有するチタン製キャリア5枚にエッチング済みシリコンウェーハをそれぞれ1枚セットし、上定盤は時計廻り方向に、下定盤は反時計廻り方向にそれぞれ回転数を20rpm、荷重を250g/cmとし、研磨液としてコロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を用いて研磨を行った。
【0032】
研磨後のウェーハの外周ダレ量を測定した。黒田精工製ウェーハ形状評価装置を用いて、図3に示すようにウェーハエッヂより30mmの位置から外周ダレが始まる位置までの間を基準面として、ウェーハエッヂより1mm位置と3mm位置とのウェーハ形状の差を外周ダレ量として測定した。測定結果を下記表1、図4、図5に示す。
【0033】
【表1】


【0034】
表1、図4、図5から明らかなように、キャリア表面の粗さをRaで0.14μm以上とする事で、外周ダレ量が顕著に改善され、外周ダレが少ない高平坦度のウェーハを得ることができることがわかった。さらに、キャリア表面の粗さをRaで0.32μm以上とする事で、外周ダレをより低減できることもわかった。
【0035】
なお、この実験ではキャリア表裏面を粗してもキャリアの変形や破損は発生せず、キャリア表裏面を粗す処理を行わない無処理のチタン製キャリアと同等のライフまで使用でき、平坦度以外のウェーハ品質について無処理のキャリアと何ら差異は認められなかった。
ただし、キャリア表面の粗さが大きくなりすぎると、キャリアの変形や破損が発生しやすくなり、キャリアのライフが短くなると考えられる。従って、たとえば表面の粗さをRaで10μm以下とするのが望ましい。
【0036】
さらに、キャリア表裏面を粗すことにより研磨中に研磨布の目立ても行うことができることがわかった。従来は10バッチに1回行っていたドレッシングを、40バッチに1回の頻度で実施することで同様の効果を得る事ができるようになった。
【0037】
このように、表面粗さがRaで0.14μm以上であるチタン製キャリア、より好ましくは表面粗さがRaで0.32μm以上であるチタン製キャリアは、キャリアライフが長く、このキャリアを用いて両面研磨を行えば、金属汚染および外周ダレが低減された高い平坦度を有する高品質のウェーハを安定して効率的に低コストで生産することができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度を低減して、装置の稼働率を著しく向上することができる。
【0038】
さらに、本発明のキャリアは、その表裏面にキャリア外周側から前記保持孔に至る溝を有することが好ましい。キャリアがこのような溝を有することで、研磨時に研磨液が溝を通って半導体ウェーハへ供給されるため、ウェーハ外周部が研磨時に受ける抵抗が緩和され、さらに外周ダレを低減することができる。また、溝により研磨中に研磨布の目立ても行うことができるので、セラミックプレート等を用いた研磨布の目立ての頻度をさらに低減することができる。
【0039】
上記溝のパターンは特に限定されないが、たとえば図6(a)に示す碁盤目状、または図6(b)に示す放射状の溝18、あるいは横じまや縦じま等のパターンであってもよい。
溝18のサイズも特に限定されないが、たとえば幅1〜2mm、深さ2〜6μmとすることができる。
【0040】
なお、上記では遊星式の両面研磨装置のキャリアを例として述べてきたが、本発明の両面研磨装置用キャリアは遊星式に限定されず、揺動式の両面研磨装置のキャリアに採用しても有効である。
【0041】
このような本発明の両面研磨装置用キャリア10を具備した両面研磨装置11であれば、金属汚染が低減され外周のダレが少ない高平坦度のウェーハを得ることができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、研磨布の目立ての頻度を低減して、装置の稼働率を著しく向上することができる。また、キャリアライフが長いため、コストを低減することができる。
【0042】
そして、上記本発明の両面研磨装置用キャリア10を両面研磨装置11の研磨布14が貼付された上下定盤12、13の間に配設し、保持孔17で半導体ウェーハWを保持して上下定盤12、13の間に挟み込み、研磨液を供給しつつウェーハWを両面研磨することができる。
【0043】
このような方法を用いて両面研磨を行えば、金属汚染が抑制され外周のダレが少ない高平坦度のウェーハを安定して効率的に得ることができる。さらに、研磨中にキャリア表面で研磨布の目立ても行うことができるので、研磨布の目立ての頻度を低減して、効率的に研磨を行うことができる。しかも、チタン製キャリアの表面自体が所定の粗さを有するようにしているので、キャリア表面から砥粒等の被覆層が剥離してウェーハに傷を生じさせるようなこともない。
【実施例】
【0044】
以下に実施例および比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1、2)
図1、2に示す両面研磨装置11を用意した。チタン製キャリア10については予めダイヤモンドペレットで表裏面を粗した。キャリアの表面粗さはMitutoyo製のサーフテストSJ−201Pを用いて測定し、JIS B0601−1994に基づき評価を行った。表面粗さはRa=0.28〜0.32μmであった(実施例1、2)。このキャリア10を用いて以下のように両面研磨を行った。
【0045】
研磨布14のドレッシングを行った後、直径300mmのシリコンウェーハの両面研磨を行った。すなわち、保持孔17を1つ有するチタン製キャリア5枚にエッチング済みシリコンウェーハWをそれぞれ1枚セットし、上定盤13は時計廻り方向に、下定盤12は反時計廻り方向にそれぞれ回転数を20rpm、荷重を250g/cmとし、研磨液としてコロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を用いて行った。この研磨を4回繰り返し行った。
【0046】
研磨後のウェーハの外周ダレ量を測定した。前記実験と同様に黒田精工製ウェーハ形状評価装置を用いてウェーハエッヂより30mmの位置から外周ダレが始まる位置までの間を基準面として、ウェーハエッヂより1mm位置と3mm位置のウェーハ形状の差を外周ダレ量として測定した。得られた測定結果を図7に示した。
【0047】
(比較例1、2)
表裏面を粗さないチタン製キャリア(表面粗さはRa=0.02〜0.06μmであった)を用いた以外は、(実施例1、2)と同条件で両面研磨、測定を行った(比較例1、2)。得られた測定結果を図7に示した。
【0048】
図7に示すように、チタン製キャリアの表裏面を粗してRaで0.14μm以上とすることにより、4回のいずれの研磨でも外周のダレが少ない高平坦度のウェーハを得られることが確認できた。
【0049】
(実施例3、4、5)
上記実施例1、2と同様にチタン製キャリアの表裏面をダイヤモンドペレットで粗した後(Ra=0.28〜0.32μmであった)、図6(a)に示すような碁盤目状のパターンを有する溝を形成した。溝幅1mm、溝深さ2μm、溝間隔2mmとした。このような溝を有するキャリアを用いた以外は、実施例1、2と同条件で両面研磨を行った。
【0050】
そして、研磨後のウェーハについて、実施例1、2と同様に外周ダレ量の測定を行った(実施例3、4、5)。
得られた測定結果を図8に示した。
【0051】
(実施例6、7)
溝を形成しないRa=0.28〜0.32μmのチタン製キャリアを用いた以外は、(実施例3、4、5)と同条件で両面研磨、測定を行った(実施例6、7)。得られた測定結果を図8に示した。
図8の外周ダレ量の測定結果から、実施例3、4、5のウェーハが実施例6、7のウェーハより高平坦であることがわかる。特に、実施例3、4、5の外周ダレ量は実施例6、7に比べて格段に小さく、キャリアに溝を形成することで外周ダレが一層改善されることが確認できた。
【0052】
(実施例8)
上記実施例1、2と同条件で両面研磨を行なった。ダイヤモンドペレットで表裏面を粗したキャリアの表面粗さはRa=0.28〜0.32μmであった。
研磨後のウェーハをレイテックス製ウェーハ表面検査装置で観察したところ、ウェーハ表面にスクラッチは観察されず(図9)、高品質なウェーハであることが確認できた。
【0053】
(比較例3)
SUS製キャリア表面をブラスト加工して表面粗さがRa=4.8〜5.0μmである凹凸面を形成した。この凹凸面にセラミック砥粒を蒸着させた。このようなキャリアを用いた以外は、実施例8と同条件で両面研磨を行った。
【0054】
研磨後のウェーハをレイテックス製ウェーハ表面検査装置で観察したところ、ウェーハ表面にスクラッチが観察された(図9)。キャリア表面に蒸着した砥粒が脱落して、研磨中のウェーハ表面にスクラッチを発生させたと考えられる。
このように砥粒を蒸着させたキャリアを用いると、ウェーハの品質を低下させてしまう恐れがあるが、本発明のキャリアを用いれば高品質なウェーハを得ることができる。
【0055】
なお、本発明は、上記形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の両面装置用キャリアを具備した両面研磨装置の一例を示した縦断面図である。
【図2】平面視による両面研磨装置の内部構造図である。
【図3】外周ダレ量の測定位置を示した概略図である。
【図4】実験の測定結果である。
【図5】実験の測定結果である。
【図6】本発明の両面研磨装置用キャリア表裏面の溝のパターンの一例である、(a)碁盤目状、(b)放射状。
【図7】実施例1、2および比較例1、2の測定結果である。
【図8】実施例3〜7の測定結果である。
【図9】実施例8、比較例3の測定結果である。
【符号の説明】
【0057】
10…両面研磨装置用キャリア、 11…両面研磨装置、 12…下定盤、
13…上定盤、 14…研磨布、 15…サンギヤ、 16…インターナルギヤ、
17…保持孔、 18…溝、 W…半導体ウェーハ。

【出願人】 【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫


【公開番号】 特開2008−23617(P2008−23617A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195967(P2006−195967)