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【発明の名称】 弾性ローラの研磨方法
【発明者】 【氏名】佐藤 淳一朗

【要約】 【課題】端部に接着剤未塗布領域を有する弾性層表面を研磨するにあたり、高い振れ精度と均一外径を確保しつつ、かつ、製造効率良く表面研磨を行うことができる弾性ローラの研磨方法を提供する。

【構成】軸2の外周に、接着剤を介して弾性層1を担持してなり、かつ、弾性層のローラ長手方向片側端部に接着剤の未塗布領域を有する弾性ローラの研磨方法である。弾性層の外周面を、ローラ長手方向に沿って移動する回転砥石10により研磨する。回転砥石による研磨を、ローラ長手方向の、接着剤の未塗布領域を有する側とは反対側の端部から開始する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の外周に、接着剤を介して弾性層を担持してなり、かつ、該弾性層のローラ長手方向片側端部に前記接着剤の未塗布領域を有する弾性ローラの研磨方法であって、該弾性層の外周面を、ローラ長手方向に沿って移動する回転砥石により研磨する弾性ローラの研磨方法において、
前記回転砥石による研磨を、ローラ長手方向の、前記接着剤の未塗布領域を有する側とは反対側の端部から開始することを特徴とする弾性ローラの研磨方法。
【請求項2】
前記回転砥石を少なくとも1回ローラ長手方向に往復させて研磨を行うにあたり、前記弾性層の、前記接着剤の未塗布領域を有する側の端部において、前記回転砥石と該端部とがローラ長手方向に接触した状態で前記回転砥石を反転させる請求項1記載の弾性ローラの研磨方法。
【請求項3】
前記弾性層がポリウレタンフォームからなるポリウレタンフォームローラに適用される請求項1または2記載の弾性ローラの研磨方法。
【請求項4】
前記接着剤の未塗布領域が、前記弾性層の端部から5〜10mmの範囲内である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の弾性ローラの研磨方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性ローラの研磨方法(以下、単に「研磨方法」とも称する)に関し、詳しくは、複写機やプリンタ、ファックス等の各種画像形成装置において各種ローラ部材として使用される弾性ローラの研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、画像形成の各工程で、転写ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、帯電ローラ、クリーニングローラ、中間転写ローラ、ベルト駆動ローラ等の、導電性を付与した弾性ローラが用いられている。このような弾性ローラには、所望のローラ性能を得るために、高い寸法精度や表面精度、振れ精度等が要求される。
【0003】
かかる弾性ローラは、一般に、軸の外周に、接着剤を介して弾性層を担持してなる構造を有しており、弾性層の材質としては、ゴムや樹脂が用いられている。また、弾性層に発泡ゴムや樹脂フォームを用いた発泡弾性ローラも広く使用されており、中でも、最も一般的に用いられているのが、弾性層をポリウレタンフォームにて形成したポリウレタンフォームローラである。
【0004】
このような弾性ローラを製造するに際しては、通常、金型成形や射出成形、押出成形等により弾性層を円筒形状に成形した後、ローラ精度の確保のために、成形された弾性層表面の研磨および端部の切断が行われる。そのため、弾性層の残留や軸の傷つきを防止する目的で、切断部となる弾性層の端部について接着剤を塗布しない領域を設けることが行われている(例えば、特許文献1に開示)。また、カートリッジ組み立て時に弾性層が障害となることがあるため、弾性層端部を可動とする目的でも、端部において接着剤を塗布しない領域を設ける場合がある。
【特許文献1】特開平9−29843号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、弾性層端部において接着剤未塗布領域を設けた場合、図3に示すように、弾性層1の表面研磨時に、研磨加工の開始時から、かかる接着剤未塗布領域Aにおいて弾性層1が砥石10に弾かれて、弾性層1が軸2から離れて大きく捲れた状態で研磨が行われる場合があり、結果として、接着剤未塗布領域Aの外径が目的寸法よりも小さくなり、軸方向に均一なローラ外径が得られず、振れ精度も悪化してしまうという問題があった。なお、図中の符号20は軸2の押さえ具を示す。
【0006】
これに対し、弾性層1の表面研磨を行うにあたり、接着剤未塗布領域Aにおける研磨速度を他の範囲より遅くして、加工精度を上げることにより、軸方向に均一な外径および高い振れ精度のローラを得る技術が提案されているが、この方法では、加工時間が長くなるために製造効率が悪いという難点があった。
【0007】
外径精度や振れ精度の悪いローラでは、例えば、電子写真プロセスにおいてトナー供給ローラとして使用した場合、現像ローラへのトナー供給が軸方向に均一に行われないと同時に、現像ローラから感光ドラムへ供給されなかった余剰トナーの掻き取りについても軸方向に均一に行われないため、画質不良を起こす原因となってしまう。従って、端部に接着剤未塗布領域を有する弾性層について、高い振れ精度および均一外径を確保しつつ表面研磨を行うことができ、さらに、製造効率も損なわない技術が求められていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、端部に接着剤未塗布領域を有する弾性層表面を研磨するにあたり、高い振れ精度および均一外径を確保しつつ、かつ、製造効率良く表面研磨を行うことができる弾性ローラの研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、接着剤未塗布領域を有する弾性ローラであっても外径の不均一や振れ精度の悪化を防止でき、かつ、製造効率も損なわないことを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の弾性ローラの研磨方法は、軸の外周に、接着剤を介して弾性層を担持してなり、かつ、該弾性層のローラ長手方向片側端部に前記接着剤の未塗布領域を有する弾性ローラの研磨方法であって、該弾性層の外周面を、ローラ長手方向に沿って移動する回転砥石により研磨する弾性ローラの研磨方法において、
前記回転砥石による研磨を、ローラ長手方向の、前記接着剤の未塗布領域を有する側とは反対側の端部から開始することを特徴とするものである。
【0011】
本発明において、前記回転砥石を少なくとも1回ローラ長手方向に往復させて研磨を行うにあたっては、前記弾性層の、前記接着剤の未塗布領域を有する側の端部において、前記回転砥石と該端部とがローラ長手方向に接触した状態で前記回転砥石を反転させることが好ましい。また、本発明は特に、前記弾性層がポリウレタンフォームからなるポリウレタンフォームローラに好適に適用可能であり、前記接着剤の未塗布領域が、前記弾性層の端部から5〜10mmの範囲内である場合に有用である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記構成としたことにより、端部に弾性層と軸との未接着部を有する弾性ローラであっても、高い振れ精度と均一外径を確保しつつ、かつ、製造効率良く弾性層表面の研磨を行うことができる弾性ローラの研磨方法を実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の弾性ローラの研磨方法に係る概略説明図を示す。図示するように、本発明の弾性ローラの研磨方法は、軸2の外周に、接着剤を介して弾性層1を担持してなり、かつ、弾性層1のローラ長手方向片側端部に接着剤の未塗布領域Aを有する弾性ローラの研磨方法である。
【0014】
本発明においては、弾性層1の外周面を、ローラ長手方向に沿って移動する回転砥石10により研磨するにあたり、回転砥石10による研磨を、図示するように、ローラ長手方向の、接着剤未塗布領域Aを有する側とは反対側の端部、即ち、弾性層1と軸2とが接着剤により一体化してなる側の端部から開始する点が重要である。これにより、ローラがかかる接着剤未塗布領域Aを有する場合であっても、ローラ軸方向に対する外径均一性および高い振れ精度を確保しつつ弾性層の研磨を行うことができ、かつ、製造効率も損なうことがない。
【0015】
本発明の研磨方法においては、上記したように、接着剤未塗布領域Aとは反対側の端部から回転砥石10による研磨を開始する点のみが重要であり、それ以外の点については常法に従い適宜行うことができ、特に制限されるものではない。例えば、本発明においては、弾性ローラを、軸2を介して押さえ具20により保持しつつ回転駆動させながら、その表面に回転砥石10を押付けて、ローラ長手方向に移動させることにより弾性層1の表面研磨を行うが、この際の弾性ローラの回転速度や、回転砥石10の回転速度および移動速度等の条件については、目的の研磨量や弾性層の材質、回転砥石10の研磨目の粗さ等により適宜決定することができ、特に制限されるものではない。
【0016】
また、通常、弾性層1の表面研磨は、回転砥石10を少なくとも1回ローラ長手方向に往復させて行われるが、この場合、図2に示すように、弾性層1の接着剤未塗布領域Aを有する側の端部において、回転砥石10と弾性層1の端部とが、ローラ長手方向に接触した状態で回転砥石10を反転させることが好適である。回転砥石10が弾性層1の端部から離れないようにして回転砥石10を折り返させ、往復移動させることで、回転砥石10の反転時においても、図3に示すような弾性層1の捲り上がりがなくなり、外径の均一性や触れ精度の悪化をより効果的に防止することが可能となる。
【0017】
本発明の研磨方法は、導電性を有する軸の外周に導電性を有する弾性層を担持してなる構造の弾性ローラ全般に適用可能であり、かかる弾性層は、通常、金型成形や射出成形、
押出成形等により円筒形状に成形される。また、弾性層の材質についても特に制限はないが、例えば、柔軟であって研磨時に外径のぶれ等を生じやすいポリウレタンフォームからなる弾性層を有するポリウレタンフォームローラ等において、本発明の適用が効果的である。また、接着剤未塗布領域Aとしては、通常、弾性層1の端部から5〜10mmの範囲内で設けられるが、本発明はこの範囲外で接着剤未塗布領域Aが設けられている場合でも適用可能であり、特に制限されるものではない。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(参考例、比較例1,2および実施例)
軸2の外周に、接着剤(ダイセル化学製,サーモライト6501)を介してポリウレタンフォームからなる弾性層1(長さ200〜300mm)を担持してなり、弾性層1のローラ長手方向片側端部に接着剤の未塗布領域Aを有する弾性ローラを作製し、その弾性層1の外周面の研磨を、ローラ長手方向に沿って移動する回転砥石10により行った。具体的には、弾性ローラにおける接着剤未塗布領域Aの範囲を下記表1中に示すようにそれぞれ変えるとともに、回転砥石10による研磨を、ローラ長手方向の、接着剤の未塗布領域を有する側の端部(未接着側,比較例)、または、その反対側の端部(接着側,実施例)のいずれかから開始するよう条件を変えて、弾性層1表面の研磨を行い、研磨後のローラ弾性層表面の振れ精度を比較評価した。また、接着剤未塗布領域Aを有しない弾性ローラ(塗布領域0mm)についても作製して、研磨および振れ精度の評価を行った(参考例)。
【0019】
(研削条件)
研削機:Minakuchi製研磨機,LEO600−F2(CNC型)
回転砥石:GC80(砥石幅50mm,(株)テイケン製)
ワーク(ローラ)押さえ具:逆センター使用
研削条件:砥石回転数1000〜2000回転,ワーク(ローラ)回転数200〜400回転,トラバース(砥石移動)速度500〜3000(mm/sec)
【0020】
(振れ検査条件)
寸法測定器:(株)Mitsutoyo製,レーザー式測定器
ローラ周方向に3点の測定点を取り、これら測定点1〜3について振れ平均を測定し、振れ最大値を検出した。振れ精度の良否判定の判定基準は、振れ最大値0.35mm以下を「○」、それを超えるものを「×」とした。その結果を下記の表2に示す。
【0021】
【表1】


【0022】
【表2】


【0023】
上記表1,2からわかるように、ローラの振れは接着剤未塗布領域Aの範囲が少ないほど小さく、良好な結果が得られている一方、研磨開始位置を未接着側から接着側に変えた実施例では、10mmの接着剤未塗布領域を有するにもかかわらず、接着剤未塗布領域を有しない参考例の研磨ローラの振れ精度とほぼ同一の、高い振れ精度が達成された。これにより、研磨開始位置を接着剤未塗布領域の反対側とすることで、弾性ローラの軸方向に対する外径均一性および振れ精度を向上できることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の弾性ローラの研磨方法に係る概略説明図である。
【図2】回転砥石の反転時(折り返し時)における状態を示す説明図である。
【図3】弾性ローラ研磨時における弾性層の捲れた状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 弾性層
2 軸
10 回転砥石
20 押さえ具
A 接着剤未塗布領域
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎

【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子


【公開番号】 特開2008−12627(P2008−12627A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186529(P2006−186529)